説明

排水金具

【課題】排水音が静かで、他の排水金具に悪影響を及ぼすことのない排水金具を提供する。
【解決手段】排水管31に接続され内部に排水通路9を有する金具本体2と、この金具本体2の上部に設けられた排水通路9に連通する排水口3と、この排水口3を開閉する線体11とを備えた排水金具において、排水通路9に、排水速度を下げる受け皿21を設け、この受け皿21には複数の孔22を穿設する。受け皿21を通過することにより、排水速度が下がり、通気性も確保でき、排水騒音を下げることができる。また、開閉時において、管内の圧力が急激に変化を防止でき、同一系統の排水管の内圧が変動による悪影響を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などに設ける排水金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、排水配管に接続され内部に排水通路を有する金具本体と、この金具本体の上部に設けられた前記排水通路に連通する排水口と、この排水口を開閉する線体とを備えた排水金具がある。
【0003】
例えば、浴槽栓に浴槽栓を吊り下げる鎖と該鎖の取付け金具を収納する凹所を設けてあり、そしてこの凹所は、浴槽栓の中央に設けた鎖取付け金具収容用の凹みと該凹みから外周縁までにかけて穿設する鎖収容用の凹溝とから成る浴槽栓であって、浴槽栓の上部をなだらかな山形状に形成したもの(例えば特許文献1)がある。
【特許文献1】特開2003−169758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記排水金具及び排水栓では、いずれも浴槽などに用いた場合、栓を開けて排水すると、浴槽内の水の圧力が排水管内に急激に加わり、排水の流速が早くなるため、排水音が大きくなり、騒音を発生する。
【0005】
また、開閉により、管内の圧力が急激に変化するため、同一系統の排水管の内圧が変動し、他の排水金具内の封水トラップに悪影響を及ぼすという問題がある。
【0006】
さらに、いずれもストレートに排水される構造になっているため、浴槽内の固形物なども排水管に流れてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、排水音が静かで、他の排水金具に悪影響を及ぼすことのない排水金具を提供することを目的とし、加えて、固形物の流出を防止することができる排水金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、排水管に接続され内部に排水通路を有する金具本体と、この金具本体の上部に設けられ前記排水通路に連通する排水口と、この排水口を開閉する線体とを備えた排水金具において、前記排水通路に、排水速度を下げる緩衝材を設けたものである。
【0009】
また、請求項2の発明は、前記緩衝材がメッシュを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の構成によれば、排水速度を下げ、通気性を確保し、排水騒音を下げることができる。また、開閉時において、管内の圧力が急激に変化を防止でき、同一系統の排水管の内圧が変動による悪影響を抑制できる。
【0011】
また、請求項2の構成によれば、排水中の髪の毛、落し物やごみなどを捕捉し、排水系統に流れることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる排水金具を採用することにより、従来にない排水金具が得られ、その排水金具を夫々記述する。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の排水金具の実施例1について図1を参照して説明する。同図に示すように、排水金具1は、円筒形の金具本体2を備え、この金具本体2の上部には排水口3を開設し、この排水口3には、下部に向かって縮小するテーパー管部4を設け、このテーパ管部4の下端に径小管部5を接続し、前記テーパ管部4の下端と径小管部5の下端にそれぞれ内鍔部6,7を周設している。
【0014】
そして、前記テーパー管部4及び径小管部5の外周面と、前記金具本体2の内周面との間の空間により空気溜り部8を構成している。また、前記金具本体2には、その下端開口から、径小管部5,テーパー管部4及び開口部3に連続する排水通路9が形成されている。尚、前記金具本体2の上端には、外鍔部10が周設されている。
【0015】
前記排水口3を開閉する栓体11を備え、この栓体11は、前記テーパー管部4に嵌挿する外栓12と、この外栓12の中央孔13を開閉する内栓14とを備える。前記外栓12は、上面部12Aと、上面部12Aの外周縁より下方に向って形成された外テーパー管部12Bと、上面部12Aの内周縁より下方に向って形成され前記中央孔13を構成する内テーパー管部12Cとを一体に備える。そして、前記外テーパー管部12B及び内テーパー管部12Cは、下部に向かって縮小し、外テーパー管部12Bが前記テーパー管部4内に嵌挿される。
【0016】
前記内栓14は、略裁頭円錐型をなし、前記内テーパー管部12C内の中央孔13には、前記内栓14が嵌挿され、この嵌挿状態で、内栓14の上面と、上面部12Aの上面と、外鍔部10の上面とが略面一となる。また、前記内栓14の下部には、ボルトなどからなる抜け止め杆15が連結され、この抜け止め杆15は、下部に抜け止め頭部15Aを備え、前記内テーパー管部12Cの下部開口を挿通した杆本体15Bの上端が前記内栓14に固定されている。尚、抜け止め杆15がボルトの場合は、ねじ付きの前記杆本体15Bを前記内栓14に螺合すれば固定できる。そして、抜け止め頭部15Aが前記内テーパー管部12Cの下部開口に係止するようになっている。
【0017】
また、前記内栓14の上部には、掛け部16が設けられ、この掛け部16には環体17が揺動可能に連結されている。そして、必要に応じて、前記環体17にチェーンなどの紐状体18を連結して、栓体11の開閉操作を行うことができるようになっている。
【0018】
前記内鍔部7の下部には、排水速度を下げる緩衝材を設けている。この緩衝材は、有底筒型の受け皿21であり、筒状部21Aと、底面部21Bと、前記内鍔部7の上面に係止する外鍔部21Cとを一体に備え、ステンレスなどから形成され、その筒状部21Aと底面部21Bとに複数の孔22を設け、孔22を設けた部分がメッシュとなる。この受け皿21の筒状部21A及び底面部12Bは、前記排水口3、内鍔部6,7を通過可能であって、外鍔部21Cが内鍔部7に係止して吊設され、また、逆の取り出すことができるから、必要に応じて、取外し可能に構成されている。
【0019】
前記金具本体2の下部内周には、連結受部たる雌螺子部2Aが形成され、排水管31の上端の連結部たる雄螺子部31Aに前記雌螺子部2Aが螺合されて、排水管31の上部に、排水金具1が連結される。
【0020】
次に、前記構成につき、その作用を説明する。前記排水金具1は、浴槽(図示せず)などの底面に設けられて使用される。そして、使用者が環部17に連結した紐状体18を引張ると、内栓14が持ち上がって中央孔13が開き、抜け止め頭部15Aが内テーパ管部12Cの下端に係止して外栓12が外れるため、栓体11が無理なく外れ、排水口3が開く。浴槽から流れ落ちる排水は、受け皿21を通過することにより、流速が下がり、且つ孔22を通ることにより分流されて、排水騒音が低減される。そして、流速が下がることにより、同一系統の排水管の内圧の大きな変動が抑制され、他の排水金具内の封水トラップに悪影響を及ぼすこともない。また、受け皿21により、髪の毛、落し物やごみなどを補足することができる。この場合、受け皿21を外して、落し物を回収したり、ごみなどを捨てて掃除をすることができる。さらに、孔2より排水管31と外部との通気性を確保することができる。
【0021】
このように本実施例では、請求項1に対応して、排水管31に接続され内部に排水通路9を有する金具本体2と、この金具本体2の上部に設けられた排水通路9に連通する排水口3と、この排水口3を開閉する線体11とを備えた排水金具において、排水通路9に、排水速度を下げる緩衝材たる受け皿21を設けたから、排水速度を下げ、通気性を確保し、排水騒音を下げることができる。また、開閉時において、管内の圧力が急激に変化を防止でき、同一系統の排水管の内圧が変動による悪影響を抑制できる。
【0022】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、緩衝材たる受け皿がメッシュである筒状部21Aと底面部21Bを備えるから、排水中の髪の毛、落し物やごみなどを捕捉し、排水系統に流れることを防止できる。
【0023】
また、緩衝材を設けることにより、排水の流速を抑えて、しかも、水が流れる孔22以外の遮蔽部分により、空気層ができるため、管内圧力変動を低減させることができる。また、受け皿21により、排水の中の固形物の流失を防ぐことができる。さらに、従来の共栓サイズでは、緩衝材の抵抗により、流量が減るので、外栓12の直径を内栓13の直径の約1.5倍以上とすることにより、流量を確保することができる。尚、これらの直径は、上面における直径を言う。また、ステンレス板材からなる受け皿21は取外し可能であるから、外に取り出して補足した固形物を除去することもできる。また、金具本体2の軸心に対するテーパー管部4及び内外テーパー管部12C,12Bの角度θが45度以上であるから、排水を絞って流量を抑制することができる。
【0024】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、緩衝材として、孔を穿設したメッシュの受け皿を示したが、通水性を有するものであれば、金網やフィルターなどを用いても良い。また、内栓は、中央孔に嵌る部分をゴムなどの弾性体により構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 排水金具
2 金具本体
3 排水口
9 排水通路
11 栓体
12 外栓
13 中央孔
14 内栓
21 受け皿(緩衝材)
21A 筒状部(メッシュ)
21B 底面部(メッシュ)
22 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管に接続され内部に排水通路を有する金具本体と、この金具本体の上部に設けられ前記排水通路に連通する排水口と、この排水口を開閉する線体とを備えた排水金具において、前記排水通路に、排水速度を下げる緩衝材を設けたことを特徴とする排水金具。
【請求項2】
前記緩衝材がメッシュを備えることを特徴とする請求項1記載の排水金具。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−144369(P2009−144369A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321231(P2007−321231)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(505142137)有限会社瀬戸川工業所 (3)
【Fターム(参考)】