排泄処理具
【課題】使用者が仰向け姿勢で排尿しても、尿が受け口から逆流することなくその処理ができ、陰茎,収容袋に対して受け口を容易に装着できる排泄処理具を提供する。
【解決手段】受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、摘み部は左右一対の摘みを一端側で繋いで形成され、他端側には湾曲性を有した茎包囲部の左右端部をそれぞれ繋ぐと共に、上下幅が摘み部の上下幅よりも幅狭に形成され、且つ開口をサイズ可変に形成可能とし、収容袋は受け口の開口部に貫挿され、端縁が開放された上端部が反転して受け口に被さって受け口に装着され、左右の摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の摘みが該収容袋の一部を挟んで係止し、且つ開口部内にある陰茎の茎部の先端部付近を茎包囲部が包囲して開口部が閉じられ、排泄される尿は収容袋に収容される。
【解決手段】受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、摘み部は左右一対の摘みを一端側で繋いで形成され、他端側には湾曲性を有した茎包囲部の左右端部をそれぞれ繋ぐと共に、上下幅が摘み部の上下幅よりも幅狭に形成され、且つ開口をサイズ可変に形成可能とし、収容袋は受け口の開口部に貫挿され、端縁が開放された上端部が反転して受け口に被さって受け口に装着され、左右の摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の摘みが該収容袋の一部を挟んで係止し、且つ開口部内にある陰茎の茎部の先端部付近を茎包囲部が包囲して開口部が閉じられ、排泄される尿は収容袋に収容される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物を収容する排泄処理具であって、詳しくは介護用、屋外携帯用、車中用、その他用途において主に男性の尿処理に好適であるが、女性の尿処理にも使用でき、更には大便をも処理できるハンデイータイプの排泄処理具に関するものである。加えて、嘔吐の処理にも使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
この種の排泄処理具は、袋の開口部に受け口を取り付け、この受け口より排泄物を袋に収容するタイプのものが一般的であり、主に尿の処理に使用されている。
そして、従来例の受け口についていえば、硬質で開口サイズ不変の受け口が、下記特許文献1に開示されており、これを図13中、1で示した。なお、図中、4は袋である。
これに対して、例えば袋の開口部に面ファスナーを取り付け、開口部をサイズ可変にした受け口が、男性の尿処理用として、下記特許文献2に開示されている。これを図14中、2で示した。
上記開口サイズ可変の面ファスナー付き受け口2の使用法は、受け口の開口サイズを大きくして陰茎をあてがい、その後、面ファスナー3で緩み分を締め、隙間がないよう陰茎を包囲する。
【0003】
更に、受け口に対して、袋を着脱可能とする構成のものについては、下記特許文献3で開示されている。これによれば、切り込みを形成した受け口に、袋の一部を差し込み、これを受け口に係止するといった構造のものが開示されている。
《先行技術情報》
【特許文献1】実登第3019218号公報
【特許文献2】特開2003−116898号公報
【特許文献3】特開平8−33589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例としてあげた開口サイズ不変の受け口と、開口サイズ可変の受け口は、何れも立った姿勢で好適に使用され、この姿勢で排尿すると、陰茎は下向きになり、これに対して受け口は上向きにして持たれ、尿は問題なく受け口より袋に導かれる。
ところが、排泄の際の姿勢は一様でなく、例えば、介護の場等では、仰向けあるいは横向きの姿勢で排尿される場合があり、また、車中で座席に座って排尿する場合等もあり、以下の問題点が指摘されている。
仰向の姿勢で排尿した場合、陰茎は下向きの方向にはなり難く、受け口は水平に近づく向きに傾けて使用せざるを得ない。この場合、陰茎の向きは、上向きになる場合もある。
車中で座って排尿する場合は、陰茎と座席の上面との高低差が確保しづらく、受け口は水平に近づく向きに傾けて使用されることになる。
そして、上記開口サイズ不変の受け口で排尿処理をした場合、受け口を水平に近い向きに傾けて持つ程、尿が受け口より漏出,逆流する度合いが高くなるに加えて、この受け口は尿が空気にふれる度合いが高く、臭いが漂いでるといった問題が指摘されている。
次に、開口サイズ可変の受け口で排尿処理をした場合、陰茎は受け口により包囲されているので、臭いの遮断性は優れているものの、上記開口サイズ不変の受け口と同様、受け口を水平に近い向きに傾けて持つほど、尿が受け口より漏出,逆流しやすくなるといった問題が指摘されている。
【0005】
上記尿の漏出,逆流の原因は、尿が溜まって袋が重くなると、斜めに持たれる受け口の下端に沿って袋が折曲し、受け口の下端を遮ることに起因する。
つまり、尿が排出されると、尿が受け口の下端を遮る袋の壁部に衝突し、その一部が受け口より漏出,逆流することになる。尿が勢いよく排泄される程、この逆流,漏出が発生しやすい。
なお、開口サイズ可変の受け口の場合、陰茎が受け口を挿通し、亀頭が袋内に位置して包囲されると、亀頭に袋の壁部が被さり、この場合も受け口より尿の一部が漏出,逆流する原因となると共に、亀頭が圧迫されることにもなる。
従って、排尿姿勢の関係で受け口が水平に近い向きに傾けて持たれても、尿が受け口より漏出,逆流しない受け口の開示が求められる。
【0006】
また、使用環境によっては、例えば動く車中等で使用されると、開口サイズ不変の受け口は手許がずれたり、開口サイズ可変の受け口も陰茎から受け口が抜け出たりする場合があり不都合が生じていた。
従って、動く車中で使用されても、ミスのない排尿処理のできる受け口の構成が求められる。
【0007】
また、上記特許文献3では、受け口に対して袋を着脱可能にした構成が開示されている。
その中で、受け口に切り込みを形成し、これに袋の一部を差し込んで袋を受け口に係止する方法が開示されているが、その手順には手間がかかる。
従って、上記手間を要せずとも、受け口に袋を容易に装着できる処理具が求められる。
更に、陰茎に受け口を装着する際、例えば上記面ファスナーによる陰茎の締め付け操作は手間がかかる。
従って、容易、且つ簡単に陰茎に受け口を装着できる処理具が求められる。
【0008】
さて、収容袋に収容された排泄物は、袋を逆さにしてトイレ等で廃棄するが、その際、収容袋の口部が汚れることになる。
従って、汚れた収容袋を別の袋等に入れて処理する際、残存した尿の雫等で手が汚れやすく、衛生的でない。
従って、袋を衛生的に処理できる処理具が求められる。
《本発明について》
本発明は、主に男性の排尿姿勢によって生じる上記従来例の問題点を解消するためになされた。
まず、臭いを良好に遮断すると共に、受け口を水平の向きに傾けて持って排尿しても、尿が受け口から漏出,逆流することなく排尿処理ができ、次に、陰茎に受け口を容易に装着でき、且つ受け口に袋を容易に着脱できる排泄処理具を提供する目的でなされた。
加えて、女性の排尿処理、さらには大便の処理にも使用でき、且つ携帯しやすく、コンパクトな排泄処理具を提供することを目的とする。そして嘔吐の処理にも使用でき、更に袋内の排泄物を廃棄する際に口部が汚れる袋を衛生的に処理できる排泄処理具を提供する目的でなされた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は開放された端縁側が該受け口の開口部を貫挿され反転して該受け口に被さり、左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、且つ該開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする。
【0010】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、左右の摘みを閉じるという容易な単一操作で、陰茎の茎部は包囲されて、受け口に装着され、従来例で示したファスナー等で陰茎を締め付けて装着するといった手間を要しない。
更に、受け口は、閉じられるので、臭いは良好に遮断される。
そして、茎包囲部が手前側に位置(逆の方向に摘み部が出っ張る)するようにして受け口を傾けて持って排尿した場合、尿が溜まって重くなる収容袋は出っ張った摘み部の下端の縁で下方に折曲し、茎包囲部の下端では折曲しない。
すなわち、収容袋の重量は摘み部の下端の縁で支えられ、茎包囲部の下端では折曲せず、尿の重量の影響は茎包囲部にはほとんど及ばない。
従って、従来の受け口と異なり、これを水平に近づく向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
【0011】
請求項2記載の発明は、受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は、開放された側の端縁部が該受け口に固着され、
左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、該受け口の開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする。
【0012】
このような請求項2記載の発明の構成によれば、左右の摘みを閉じるという容易な単一操作で、陰茎の茎部は包囲されて、受け口に装着され、従来例で示したファスナー等で陰茎を締め付けて装着するといった手間を要しない。
更に、受け口は、閉じられるので、臭いは良好に遮断される。
そして、茎包囲部が手前側に位置(逆の方向に摘み部が出っ張る)するようにして受け口を傾けて持って排尿した場合、尿が溜まって重くなる収容袋は出っ張った摘み部の下端の縁で下方に折曲し、茎包囲部の下端では折曲しない。
すなわち、収容袋の重量は摘み部の下端の縁で支えられ、茎包囲部には尿の重量の影響はほとんど及ばない。
従って、従来の受け口と異なり、これを水平に近づく向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
更に、収容袋は受け口に固着されるので、開口部を大きくして使用(左右の摘みは開く)する大便、嘔吐の処理に好適である。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明に加えて、該収容袋は、フレキシブルな樹脂材でなると共に、該茎包囲部の下端付近より該収容袋の底部に向け、収容袋のフレキシブル度を低下させ排泄される尿の流下を促進する流下促進体が添設されること、を特徴とする。
【0014】
このような請求項3記載の発明の構成によれば、流下促進体により茎包囲部付近の収容袋のフレキシブル度が低下するので、収容袋が変形して茎包囲部の下端を塞いだりせず、尿の流下が促進される。摘み部の構成に伴う上記効果もあり、尿の漏出,逆流は更に抑えられる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、該収容袋は、着脱可能であり、開放された上端部側の端部付近に中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする。
【0016】
このような請求項4記載の発明の構成によれば、受け口への収容袋の装着は、収容袋を受け口の開口部に挿通して収容袋の端部側を折り返すだけでよく、従来例のように受け口の切り込みに袋の一部を差し込んで装着するのに比べ、極めて容易である。
更に、排尿が終ると折り返し部を戻し、単に紐を引っ張るという容易な操作で、収容袋を閉じることができると共に、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明に加えて、該収容袋は、折り返し部が延設され、該折り返し部が反転して該受け口に被さると共に、該折り返し部の端部付近に、中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする。
【0018】
このような請求項5記載の発明の構成によれば、排尿が終ると、折り返し部を戻し単に紐を引っ張るという容易な操作で、収容袋を閉じることができると共に、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載の発明に加えて、該収容袋には、両端が開放された外袋が取り付けられ、該外袋は一端側が該収容袋の胴部に固着され、他端側が底部付近に位置し該収容袋の口部に反転して被さるようにしたこと、を特徴とする。
【0020】
このような請求項6記載の発明の構成によれば、収容袋を逆さにして排泄物を廃棄する際、汚れる収容袋の口部に、外袋を反転させて被せることができるので、衛生的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
《図面について》
以下、本発明の排泄処理具5を、図面に基づいて説明する。
図1は排泄処理具5が開口し、且つ一部切欠した状態を示すその斜視図、図2は、摘み部9が開き受け口6が開口した状態を示すその斜視図、図3は、摘み部9が閉じ、受け口6の開口部が閉じた状態を示すその平面図、図4は、受け口6を水平の向きで持った状態を示し、且つ一部切欠したその斜視図、図5は、図4で示す受け口6の一部切欠したその断面図、図6は、上流下促進体17aが下方に引っ張られたときの一部切欠したその断面図、図7は、受け口6が斜めに持たれた場合のその斜視図、図8は、一対の側板10により形成された受け口36の斜視図、図9は、図8に示す受け口36が開口したその平面図、図10は、外袋38を収容袋7に取付けたその正面図、図11は、図10に示す収容袋7を逆さにした状態を示すその正面図、図12は、外袋38の操作説明図である。
【0022】
《排泄処理具5の概要について》
まず、本発明の排泄処理具5の概要を説明する。
本発明は、排泄物を収容するハンデイータイプの排泄処理具で、詳しくは介護用、屋外携帯用、車中用、その他用途に於いて主に男性の尿処理に好適であり、加えて女性の排尿処理、そして大便の処理に使用できる排泄処理具であり、さらには嘔吐の処理にも使用可能とするものである。
受け口6、並びに流下促進体17は、排泄物を収容する収容袋7の開口側端部付近にいわゆる腰を形成するもので、ポリプロピレン製シート材、その他樹脂材、紙製シート材、その他の材質のシート材が使用される。
そして、受け口6は、この構成部材を型抜きで作り、事後、必要に応じて組み立て、折曲加工等を行って製造するとよく、あるいは受け口6を射出成形で一体に成形してもよい。
更に、例えばテープ等を重ね合わせてこれを形成してもよい。また、本実施例では、受け口6はポリプロピレン製シート材で肉厚0.75mm程度のものを使用した。
収容袋7は、フレキシブルであり液不透過性の、例えばポリエチレン製のフイルム材、その他の樹脂製のフイルム材が使用される。
まず、この排泄処理具5が男性の尿処理に使用されるものと限定して、説明する。
本発明の排泄処理具5は、ハンデイータイプよりなり、受け口6と収容袋7を備える。
以下、この受け口6、収容袋7その他について、説明する。
【0023】
《受け口6について》
図2,図3その他の図面を参照して、この排泄処理具5の受け口6について、説明する。
受け口6は、摘み部9と茎包囲部8とからなり、摘み部9はこの構成部材である左右一対の摘み9aが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した茎包囲部8の左右端部が該左右の摘み9aの側端上部にそれぞれ繋がる。
摘み部9は、この上下幅が茎包囲部8の上下幅よりも幅広に設定される。
そして、上記左右の摘み9aの端部が繋がった部分(以下、この部分を摘み部側の端部14と称する)で折曲し、左右の摘み9aが図2のようにV字状に開いた状態で、受け口6には略楕円状の開口部12が形成される。
茎包囲部8は、陰茎Pの茎部Iを包囲するもので、図2中、15で示す左右中央部(以下、この中央部を茎包囲部側の端部15と称する)で大きく折曲する。このようにしてなる摘み部9と茎包囲部8は左右対称の形状とし、受け口6は開口をサイズ可変に形成可能である。
【0024】
図中、22は折目であり、折目22は、茎包囲部8に縦に一対につけられ、茎包囲部8が、図7に示すように、茎部Iを包囲する際、茎包囲部8が茎部Iの形状に合って湾曲しやすいようにしている。なお、折目22は、必要に応じて、折目の数を増減するとよく、折り曲げに代えて、ハーフカット等した溝を切り欠いてもよい。
【0025】
図中、23は指当て部であり、指当て部23には、指Aの一部があてがわれ、受け口6を持つ際、これがより安定して持たれることを可能にしている。特に後記する女性の尿処理、大便の処理の際に、摘み部9を開いた状態で受け口6を使用する時に下方に重量がかかる受け口6を支え易くしている。
【0026】
そして、茎包囲部8を茎部Iにあてがって包囲する際には、茎部Iの先端部付近、すなわち亀頭Kの後方の近くの位置が包囲されるとよく、陰茎Pの基部近くまでを包囲する必要はない。このような構成により、受け口6の陰茎Pへの装着は手間を要しない。
また、茎包囲部8の幅は狭い程あてがい易く、本実施例ではその上下幅場合は8mm前後の幅で構成した。
【0027】
上記茎包囲部8の上下幅よりも幅広に上下幅が形成される左右の摘み9aは、2本の指以外に他の指もあてがえるように上下幅60mm、左右幅が55mm前後でそれぞれなり、より確実に受け口6を持つことができる。
【0028】
図3は、受け口6が、摘み部側の端部14と茎包囲部側の端部15で内方にさらに折曲し、受け口6の開口部12が閉じた状態を示す。この時、摘み部9は左右の摘み9aが押えられてこの内面側が当接して閉じている。
なお、受け口6の開口部12は、茎包囲部8に形成された折目22(内側に折曲)により、完全に閉じず、菱形状の開口部11が形成される。
また、摘み部9は、これが閉じられた状態で、図2で示すようにV字状に復帰しようとする弾力を有しており、左右の摘み9aはこの弾力に抗して閉じられよう構成される。
以上、受け口6について説明した。
【0029】
《収容袋7について》
次に、図1,図4を参照して収容袋7について説明する。
収容袋7は、受け口6の開口部12に貫挿され、開放された端部13側を受け口6の上端周部に沿って反転させて折り返し、受け口6に保持させる。
その際、左右の摘み9aの下端部に収容袋7の一部が位置する。
収容袋7は、上記折り返し部において、受け口6が開くと追従して、図1で示す折り返し開口部30を形成する。
陰茎Pの茎部Iは、この折り返し開口部30を介して受け口6の開口部12内にあてがわれる。
なお、左右の摘み9aを指Aで摘む場合、折り返し部31を介して押えても、折り返し部31と受け口6の間に指Aを入れ直接摘み部9を押えて摘んでもよい。
【0030】
そして、摘み部9が閉じられると、左右の摘み9aが、間に位置する収容袋7の一部を挟み、尿が溜まって重くなる収容袋7が受け口6から抜け落ちないよう係止する。(図4参照)
受け口6から収容袋7を取り外すには、単に折り返し部31を伸ばし収容袋7を受け口6から抜く。このように収容袋7は受け口6に着脱可能とし、その方法は容易である。
また、収容袋7は受け口6に、分離可能とする両面テープ、あるいは容易に剥すことができる接着材等で取り付けて着脱可能としてもよい。
【0031】
そして、収容袋7の折り返し部31の端部13付近には、中空の紐通し18が周設され、該紐通し18に紐20が通され、該紐20の操作により該端部13の開閉がなされる。
以上、収容袋7について説明した。
【0032】
《流下促進体17について》
流下促進体17は、収容袋7に添設され、このフレキシブル度を低下させることで、従来例で問題になった袋が変形して受け口の下端を塞いだり、あるいは袋内にある亀頭に袋が被さったりしないようにし、さらに尿の流路を下方に確保する。
以下、これを図4と、同図のB−B線における断面図である図5、その他の図面を参照して説明する。
流下促進体17は硬質な紙材等でなり、図4に示すように、茎包囲部8の下端より離間部16を経た下方の位置の収容袋7の壁部に貼り付けられる。
図5では、流下促進体17が亀頭Kの上側面に位置し、一端が亀頭Kの前方にまでのびて、収容袋7が尿道に被さらないようにしている状態を示した。(以下、これを上流下促進体17aと称する)
亀頭Kの下側面に位置する流下促進体17は、尿の流路を下方に確保する。(以下、これを下流下促進体17bと称する。下流下促進体17bは、上流下促進体17aに加えて設けるとよい)
上流下促進体17aは、図5で示すように、亀頭Kの崖部Fの高さ分、盛り上がって位置し、崖部Fは離間部16に対向している。
図6では、上流下促進体17aが収容袋7の重みで下方に引っ張られて、図5と比べて下方に若干傾斜し、これに伴い亀頭Kが上流下促進体17aに押されて、少し下方に向きを変えている状態を示した。
つまり、茎部Iがたとえ上方向を向いていても、亀頭Kは下方を向くことになり、尿は受け口6より漏出,逆流せずに収容袋7内に流下する。
なお、上流下促進体17aが収容袋7により引っ張られる度合いは、摘み部9が収容袋7の重量の大半を支える構成であるため、尿道が圧迫されない程度に僅かである。
以上、流下促進体17を説明した。
【0033】
次に、これまで受け口6に収容袋7を着脱可能とした構成を説明してきたが、これに代えて、着脱可能としない、すなわち、受け口に収容袋を固着して取り付ける構成、並びに受け口を一対の側板10により形成する構成を、図8、図9を参照して、以下に説明する。
図8に示す受け口36は、受け口6の左右部を、左右一対の側板10で形成したもので、一対の側板10は、粘着テープ35で外側面からそれぞれ両端部が貼り合わされる。
収容袋7は、この上端部(開口側)が受け口36の上端の内側面に、取り付け部材37により、固着される。この場合、収容袋7の一部は摘み部42の下端部に位置している。
【0034】
そして、一対の側板10により形成された受け口36は、処理具内に排泄物を封じる手段として、以下の二つの構成が考えられる。
第1の構成は、図8中、収容袋7の上端部より仮想線で示す折り返し部31を延設して、受け口36に被せる方法がある。そして、その端部13付近に中空の紐通し18を周設し、紐通し18に紐20を通す。該紐20の操作により端部13の開閉を行い、収容袋7内に排泄物を封じる方法である。
第2の構成は、左右の側板10の上端内側にファスナーを取り付け、このファスナーにより受け口36を開閉可能にし、処理具内に排泄物を封じる方法である。
【0035】
なお、本排泄処理具5には、凝固剤を添付するとよい。臭いの発生を更に抑えることができると共に、凝固した尿は収容袋7から漏れにくくなる。
また、排泄処理具5が屋外で使用される場合を前提にして、これを分解性プラスチック材で作り、光、あるいは土中でこれを分解させ自然に帰すようにすると、ゴミ問題の解消に繋がる。
【0036】
《作用等について》
本発明の排泄処理具は、以上説明したように構成され、以下のように使用される。
まず、予め開口している受け口6の開口部内に、陰茎Pの茎部Iの先端部付近が茎包囲部8により包囲されるようあてがい、摘み部9を摘んだ指Aを閉じる。この操作はいたって簡単である。
なお、受け口6の開口部12は、予め略楕円形状に開口しているが、受け口6の両端部(14,15)を指Aで押える等して、略円状、その他の形状に変形させ、陰茎Pをあてがい易い形状にするとよい。
この時、受け口6の開口部12は茎包囲部8が茎部Iを包囲して閉じられるので、臭いは良好に遮断される。
なお、陰茎Pが萎縮し柔らかいと、従来例の受け口では、完全に包囲されているかの確認がしづらい場合があり、尿の漏出の原因となっていたが、本実施例の場合、摘み部9を亀頭K側に引っ張ってみて、茎包囲部8が抜け出るか、抜け出ないかでその確認ができる。その確認方法は容易である。
【0037】
さて、仰向け姿勢で使用する場合、陰茎Pは下向きの方向にはなり難く、上向きになることもあるが、茎包囲部8が茎部Iの先端付近(亀頭Kから少し後方)を包囲しており、亀頭K部だけを下方に向けることは摘み部9の操作で容易に可能である。陰茎Pが柔らかめの場合に特に容易である。
そのため、左右の摘み9aは、上下,左右幅が上記サイズでなり、親指,人差指に加えて、他の指もあてがえるようにしている。
従って、これら指の感触に基づいて受け口6の向きを感知できると共に、向きを変える動作も確実に行うことができる。従って、この姿勢では手許の直視は不可能であるにかかわらず、このような摘み部9の構成により、使用者が受け口6の口部を誤って下向きにして排尿するようなことがないようにされる。
【0038】
そして、フレキシブルな収容袋7は、仰向け姿勢下で膝が多少でも開いていれば、例えば大腿部間の隙間で変形して、尿を収容する。また袋が硬質である場合と比べ、肌触りに抵抗がない。
さらに、横臥姿勢、あるいは車中で座席に座った姿勢で使用する際には、収容袋7と受け口6との高低差を確保しがたいが、多少でも確保された状態で尿が流入した場合、収容袋7はベッドあるいは座席の上面に沿って広く横に拡がることで、円滑に尿を受け口6に収容する。
なお、横臥姿勢で排尿する際、受け口6は、摘み部9を上にすると(茎包囲部8は下側になる)持ちやすい。この場合、摘み部9は、亀頭Kの上方に位置して、亀頭Kの先端部の前方位置で収容袋7を挟むため、亀頭Kに対して収容袋7の重量の影響は及ばない。
【0039】
そして、図7に示すように、茎包囲部が手前側に位置(逆の方向に摘み部が出っ張る)するようにして受け口を傾けて持って排尿した場合、尿が溜まって重くなる収容袋は出っ張った摘み部の下端の縁で下方に折曲し、茎包囲部の下端では折曲しない。
すなわち、収容袋7は摘み部9の下端の縁で支えられ、茎包囲部8の下端では折曲せず、尿の重量の影響は茎包囲部8にはほとんど及ばない。
従って、受け口6を水平に近い向きに傾けて持っても、陰茎Pを包囲する茎包囲部8の下端部分側は従来の受け口と異なり、袋で遮られず、尿の受け口6からの漏出,逆流は防止される。図7では、縦皺32と横皺27で、収容袋7の重量が摘み部9で支えられる様子を図示した。
【0040】
更に、上流下促進体17aは、図5に示すように、亀頭Kの上面側に位置して、所謂庇の役目を果たして収容袋7が亀頭Kに被さらないようにし、下流下促進体17bは、亀頭Kの下面側に位置し、下方に傾斜して尿が流下しやすいようにしている。
【0041】
さて、一対の側板10により形成された受け口36の場合の使用法は、この開口部は予め閉まった状態であるため、図9に示すように指Aで両端部を押えて開口させ、茎部Iの先端部をあてがう。あてがった後、摘み部42で茎部Iの包囲操作を行う。
【0042】
排泄が終ると、折り返し部31を戻し、紐20で収容袋7の開口部を閉じる。
臭いと尿は、良好に収容袋7内に封じることができる。なお、受け口6は汚れておらず収容袋7を取り外して、再利用が可能であり、その分経済的である。
【0043】
上記本発明の排泄処理具5のモニタリングによると、従来例の開口サイズ可変の受け口と異なり、本実施例の受け口6は、水平の向きで持っても、収容袋7により受け口6の下端が塞がれ尿が漏れることがなく仰向けの姿勢の場合の使用に好適であった。
さらに、車中で使用する場合、受け口6を水平方向にして排尿しても、漏出,逆流を伴わずに使用することができた。また、車が揺れても、茎部Iの太さは亀頭Kの最大径部Mより細いため、茎部Iを包囲する茎包囲部8は容易に抜け出ることがなかった。
【0044】
そして、当排泄処理具5は、受け口6を押えてエアーを抜いて厚みを縮減し、収容袋7をこれに巻きつけて包装すると、厚みは10mm以下になり、市販されているハンデイータイプのテイシュペーパーの包装サイズとほぼ同じになり、携帯に便利である。
以上、男性の排尿処理に限定した構成を説明した。併せてその作用等も説明した。
【0045】
一対の側板10により形成された受け口36は、男性が使用しても好適に排尿処理ができると共に、女性の排尿処理、大便、嘔吐にも好適に使用できる。
その使用法は、図9に示すように前後の端部を指Aで押えて開口(摘み部9は開いた状態)させ、排泄物の出口の周辺部にあてがう。その際、受け口36は開口部のサイズを変えることができるので、身体の周辺の形状に合わせて、隙間なくあてがうことができる。
その際、収容袋7は、左右の摘み9aが開いても、受け口36に固着されているので、これより抜け落ちない。
【0046】
さて、収容袋7に収容された尿は、袋を逆さにしてトイレ等に廃棄するが、その際、収容袋7の口部が汚れることになる。
従って、汚れた収容袋7は別の袋に入れて処理するが、入れるとき、残存した尿の雫などで手が汚れる場合が多く、衛生的でない。
これを解決する手段として、図10に示すように、両端が開放された外袋38の一端を収容袋7の胴部の外側周部に固着する。図中、40は収容袋7の胴部の取り付け位置である。
なお、外袋38の下端の開口部側には紐通し41を設け、紐39を取付けるとよい。
その使用法は、図11で示すように収容袋7を逆さにして排泄物を廃棄した後、外袋38を反転させて外側面を収容袋7の口部に被せる。手は汚れず衛生的である。
その後、外袋38の紐39を引っ張り外袋38の開口部を閉じる。
【発明の効果】
【0047】
上記排泄処理具の構成により、以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、陰茎に受け口を装着する際に、従来例で示したファスナー等による締め付けなどの手間を要しない。更に、臭いは良好に遮断される。
そして、従来の受け口と異なり、これを水平に近い向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、陰茎に受け口を装着する際に、従来例で示したファスナー等による締め付けなどの手間を要しない。更に、臭いは良好に遮断される。
そして、従来の受け口と異なり、これを水平に近い向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
更に、開口部を大きくして使用(左右の摘みは開いた状態)でき、大便、嘔吐の処理にも好適である。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、流下促進体により尿の受け口からの漏出,逆流は確実に防止された。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、従来例に示した受け口の切り込みに袋の一部を差し込んで袋を受け口に装着する方法に比べ、その装着は極めて容易である。
更に、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0052】
請求項6記載の発明によれば、衛生的に収容袋の後処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】排泄処理具5が開口し、且つ一部切欠した状態を示すその斜視図。
【図2】摘み部9が開き、受け口6が開口した状態を示すその斜視図。
【図3】摘み部9が閉じ、受け口6の開口部が閉じた状態を示すその平面図。
【図4】受け口6を水平の向きで持った状態を示し、且つ一部切欠したその斜視図。
【図5】図4で示す受け口6の断面図。
【図6】収容袋により上流下促進体17aが下方に引っ張られたときのその断面図。
【図7】受け口6が斜めに持たれた場合のその斜視図。
【図8】一対の側板10により形成された受け口36の斜視図。
【図9】図8に示す受け口36が開口した状態の平面図。
【図10】外袋38を収容袋7に取付けたその正面図。
【図11】図10に示す収容袋7を逆さにした状態を示すその正面図。
【図12】外袋38の取り扱い説明図。
【図13】従来例の受け口を示す斜視図。
【図14】従来例の受け口を示す斜視図。
【符号の説明】
【0054】
1 開口サイズ不変の受け口(従来例)
2 開口サイズ可変の受け口(従来例)
3 面ファスナー
4 袋(従来例)
5 排泄処理具
6 受け口(本発明)
7 収容袋
8 茎包囲部
9 摘み部
9a 左右の摘み
10 側板
11 菱形状開口部
12 受け口の開口部
13 端部
14 摘み部側の端部
15 茎包囲部側の端部
16 離間部
17 流下促進体
17a 上流下促進体17a
17b 下流下促進体17b
18 紐通し
20 紐
21 底部
22 折目
23 指当て部
27 横皺
30 折り返し開口部
31 折り返し部
32 縦皺
35 粘着テープ
36 左右の側板により形成された受け口
37 取り付け部材
38 外袋
39 外袋の紐
40 外袋の取り付け部
41 外袋の紐通し
42 左右の側板で形成された受け口の摘み部
A 指
P 陰茎
K 亀頭
I 茎部
M 最大径部
F 崖部
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物を収容する排泄処理具であって、詳しくは介護用、屋外携帯用、車中用、その他用途において主に男性の尿処理に好適であるが、女性の尿処理にも使用でき、更には大便をも処理できるハンデイータイプの排泄処理具に関するものである。加えて、嘔吐の処理にも使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
この種の排泄処理具は、袋の開口部に受け口を取り付け、この受け口より排泄物を袋に収容するタイプのものが一般的であり、主に尿の処理に使用されている。
そして、従来例の受け口についていえば、硬質で開口サイズ不変の受け口が、下記特許文献1に開示されており、これを図13中、1で示した。なお、図中、4は袋である。
これに対して、例えば袋の開口部に面ファスナーを取り付け、開口部をサイズ可変にした受け口が、男性の尿処理用として、下記特許文献2に開示されている。これを図14中、2で示した。
上記開口サイズ可変の面ファスナー付き受け口2の使用法は、受け口の開口サイズを大きくして陰茎をあてがい、その後、面ファスナー3で緩み分を締め、隙間がないよう陰茎を包囲する。
【0003】
更に、受け口に対して、袋を着脱可能とする構成のものについては、下記特許文献3で開示されている。これによれば、切り込みを形成した受け口に、袋の一部を差し込み、これを受け口に係止するといった構造のものが開示されている。
《先行技術情報》
【特許文献1】実登第3019218号公報
【特許文献2】特開2003−116898号公報
【特許文献3】特開平8−33589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例としてあげた開口サイズ不変の受け口と、開口サイズ可変の受け口は、何れも立った姿勢で好適に使用され、この姿勢で排尿すると、陰茎は下向きになり、これに対して受け口は上向きにして持たれ、尿は問題なく受け口より袋に導かれる。
ところが、排泄の際の姿勢は一様でなく、例えば、介護の場等では、仰向けあるいは横向きの姿勢で排尿される場合があり、また、車中で座席に座って排尿する場合等もあり、以下の問題点が指摘されている。
仰向の姿勢で排尿した場合、陰茎は下向きの方向にはなり難く、受け口は水平に近づく向きに傾けて使用せざるを得ない。この場合、陰茎の向きは、上向きになる場合もある。
車中で座って排尿する場合は、陰茎と座席の上面との高低差が確保しづらく、受け口は水平に近づく向きに傾けて使用されることになる。
そして、上記開口サイズ不変の受け口で排尿処理をした場合、受け口を水平に近い向きに傾けて持つ程、尿が受け口より漏出,逆流する度合いが高くなるに加えて、この受け口は尿が空気にふれる度合いが高く、臭いが漂いでるといった問題が指摘されている。
次に、開口サイズ可変の受け口で排尿処理をした場合、陰茎は受け口により包囲されているので、臭いの遮断性は優れているものの、上記開口サイズ不変の受け口と同様、受け口を水平に近い向きに傾けて持つほど、尿が受け口より漏出,逆流しやすくなるといった問題が指摘されている。
【0005】
上記尿の漏出,逆流の原因は、尿が溜まって袋が重くなると、斜めに持たれる受け口の下端に沿って袋が折曲し、受け口の下端を遮ることに起因する。
つまり、尿が排出されると、尿が受け口の下端を遮る袋の壁部に衝突し、その一部が受け口より漏出,逆流することになる。尿が勢いよく排泄される程、この逆流,漏出が発生しやすい。
なお、開口サイズ可変の受け口の場合、陰茎が受け口を挿通し、亀頭が袋内に位置して包囲されると、亀頭に袋の壁部が被さり、この場合も受け口より尿の一部が漏出,逆流する原因となると共に、亀頭が圧迫されることにもなる。
従って、排尿姿勢の関係で受け口が水平に近い向きに傾けて持たれても、尿が受け口より漏出,逆流しない受け口の開示が求められる。
【0006】
また、使用環境によっては、例えば動く車中等で使用されると、開口サイズ不変の受け口は手許がずれたり、開口サイズ可変の受け口も陰茎から受け口が抜け出たりする場合があり不都合が生じていた。
従って、動く車中で使用されても、ミスのない排尿処理のできる受け口の構成が求められる。
【0007】
また、上記特許文献3では、受け口に対して袋を着脱可能にした構成が開示されている。
その中で、受け口に切り込みを形成し、これに袋の一部を差し込んで袋を受け口に係止する方法が開示されているが、その手順には手間がかかる。
従って、上記手間を要せずとも、受け口に袋を容易に装着できる処理具が求められる。
更に、陰茎に受け口を装着する際、例えば上記面ファスナーによる陰茎の締め付け操作は手間がかかる。
従って、容易、且つ簡単に陰茎に受け口を装着できる処理具が求められる。
【0008】
さて、収容袋に収容された排泄物は、袋を逆さにしてトイレ等で廃棄するが、その際、収容袋の口部が汚れることになる。
従って、汚れた収容袋を別の袋等に入れて処理する際、残存した尿の雫等で手が汚れやすく、衛生的でない。
従って、袋を衛生的に処理できる処理具が求められる。
《本発明について》
本発明は、主に男性の排尿姿勢によって生じる上記従来例の問題点を解消するためになされた。
まず、臭いを良好に遮断すると共に、受け口を水平の向きに傾けて持って排尿しても、尿が受け口から漏出,逆流することなく排尿処理ができ、次に、陰茎に受け口を容易に装着でき、且つ受け口に袋を容易に着脱できる排泄処理具を提供する目的でなされた。
加えて、女性の排尿処理、さらには大便の処理にも使用でき、且つ携帯しやすく、コンパクトな排泄処理具を提供することを目的とする。そして嘔吐の処理にも使用でき、更に袋内の排泄物を廃棄する際に口部が汚れる袋を衛生的に処理できる排泄処理具を提供する目的でなされた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は開放された端縁側が該受け口の開口部を貫挿され反転して該受け口に被さり、左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、且つ該開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする。
【0010】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、左右の摘みを閉じるという容易な単一操作で、陰茎の茎部は包囲されて、受け口に装着され、従来例で示したファスナー等で陰茎を締め付けて装着するといった手間を要しない。
更に、受け口は、閉じられるので、臭いは良好に遮断される。
そして、茎包囲部が手前側に位置(逆の方向に摘み部が出っ張る)するようにして受け口を傾けて持って排尿した場合、尿が溜まって重くなる収容袋は出っ張った摘み部の下端の縁で下方に折曲し、茎包囲部の下端では折曲しない。
すなわち、収容袋の重量は摘み部の下端の縁で支えられ、茎包囲部の下端では折曲せず、尿の重量の影響は茎包囲部にはほとんど及ばない。
従って、従来の受け口と異なり、これを水平に近づく向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
【0011】
請求項2記載の発明は、受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は、開放された側の端縁部が該受け口に固着され、
左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、該受け口の開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする。
【0012】
このような請求項2記載の発明の構成によれば、左右の摘みを閉じるという容易な単一操作で、陰茎の茎部は包囲されて、受け口に装着され、従来例で示したファスナー等で陰茎を締め付けて装着するといった手間を要しない。
更に、受け口は、閉じられるので、臭いは良好に遮断される。
そして、茎包囲部が手前側に位置(逆の方向に摘み部が出っ張る)するようにして受け口を傾けて持って排尿した場合、尿が溜まって重くなる収容袋は出っ張った摘み部の下端の縁で下方に折曲し、茎包囲部の下端では折曲しない。
すなわち、収容袋の重量は摘み部の下端の縁で支えられ、茎包囲部には尿の重量の影響はほとんど及ばない。
従って、従来の受け口と異なり、これを水平に近づく向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
更に、収容袋は受け口に固着されるので、開口部を大きくして使用(左右の摘みは開く)する大便、嘔吐の処理に好適である。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明に加えて、該収容袋は、フレキシブルな樹脂材でなると共に、該茎包囲部の下端付近より該収容袋の底部に向け、収容袋のフレキシブル度を低下させ排泄される尿の流下を促進する流下促進体が添設されること、を特徴とする。
【0014】
このような請求項3記載の発明の構成によれば、流下促進体により茎包囲部付近の収容袋のフレキシブル度が低下するので、収容袋が変形して茎包囲部の下端を塞いだりせず、尿の流下が促進される。摘み部の構成に伴う上記効果もあり、尿の漏出,逆流は更に抑えられる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、該収容袋は、着脱可能であり、開放された上端部側の端部付近に中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする。
【0016】
このような請求項4記載の発明の構成によれば、受け口への収容袋の装着は、収容袋を受け口の開口部に挿通して収容袋の端部側を折り返すだけでよく、従来例のように受け口の切り込みに袋の一部を差し込んで装着するのに比べ、極めて容易である。
更に、排尿が終ると折り返し部を戻し、単に紐を引っ張るという容易な操作で、収容袋を閉じることができると共に、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明に加えて、該収容袋は、折り返し部が延設され、該折り返し部が反転して該受け口に被さると共に、該折り返し部の端部付近に、中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする。
【0018】
このような請求項5記載の発明の構成によれば、排尿が終ると、折り返し部を戻し単に紐を引っ張るという容易な操作で、収容袋を閉じることができると共に、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載の発明に加えて、該収容袋には、両端が開放された外袋が取り付けられ、該外袋は一端側が該収容袋の胴部に固着され、他端側が底部付近に位置し該収容袋の口部に反転して被さるようにしたこと、を特徴とする。
【0020】
このような請求項6記載の発明の構成によれば、収容袋を逆さにして排泄物を廃棄する際、汚れる収容袋の口部に、外袋を反転させて被せることができるので、衛生的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
《図面について》
以下、本発明の排泄処理具5を、図面に基づいて説明する。
図1は排泄処理具5が開口し、且つ一部切欠した状態を示すその斜視図、図2は、摘み部9が開き受け口6が開口した状態を示すその斜視図、図3は、摘み部9が閉じ、受け口6の開口部が閉じた状態を示すその平面図、図4は、受け口6を水平の向きで持った状態を示し、且つ一部切欠したその斜視図、図5は、図4で示す受け口6の一部切欠したその断面図、図6は、上流下促進体17aが下方に引っ張られたときの一部切欠したその断面図、図7は、受け口6が斜めに持たれた場合のその斜視図、図8は、一対の側板10により形成された受け口36の斜視図、図9は、図8に示す受け口36が開口したその平面図、図10は、外袋38を収容袋7に取付けたその正面図、図11は、図10に示す収容袋7を逆さにした状態を示すその正面図、図12は、外袋38の操作説明図である。
【0022】
《排泄処理具5の概要について》
まず、本発明の排泄処理具5の概要を説明する。
本発明は、排泄物を収容するハンデイータイプの排泄処理具で、詳しくは介護用、屋外携帯用、車中用、その他用途に於いて主に男性の尿処理に好適であり、加えて女性の排尿処理、そして大便の処理に使用できる排泄処理具であり、さらには嘔吐の処理にも使用可能とするものである。
受け口6、並びに流下促進体17は、排泄物を収容する収容袋7の開口側端部付近にいわゆる腰を形成するもので、ポリプロピレン製シート材、その他樹脂材、紙製シート材、その他の材質のシート材が使用される。
そして、受け口6は、この構成部材を型抜きで作り、事後、必要に応じて組み立て、折曲加工等を行って製造するとよく、あるいは受け口6を射出成形で一体に成形してもよい。
更に、例えばテープ等を重ね合わせてこれを形成してもよい。また、本実施例では、受け口6はポリプロピレン製シート材で肉厚0.75mm程度のものを使用した。
収容袋7は、フレキシブルであり液不透過性の、例えばポリエチレン製のフイルム材、その他の樹脂製のフイルム材が使用される。
まず、この排泄処理具5が男性の尿処理に使用されるものと限定して、説明する。
本発明の排泄処理具5は、ハンデイータイプよりなり、受け口6と収容袋7を備える。
以下、この受け口6、収容袋7その他について、説明する。
【0023】
《受け口6について》
図2,図3その他の図面を参照して、この排泄処理具5の受け口6について、説明する。
受け口6は、摘み部9と茎包囲部8とからなり、摘み部9はこの構成部材である左右一対の摘み9aが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した茎包囲部8の左右端部が該左右の摘み9aの側端上部にそれぞれ繋がる。
摘み部9は、この上下幅が茎包囲部8の上下幅よりも幅広に設定される。
そして、上記左右の摘み9aの端部が繋がった部分(以下、この部分を摘み部側の端部14と称する)で折曲し、左右の摘み9aが図2のようにV字状に開いた状態で、受け口6には略楕円状の開口部12が形成される。
茎包囲部8は、陰茎Pの茎部Iを包囲するもので、図2中、15で示す左右中央部(以下、この中央部を茎包囲部側の端部15と称する)で大きく折曲する。このようにしてなる摘み部9と茎包囲部8は左右対称の形状とし、受け口6は開口をサイズ可変に形成可能である。
【0024】
図中、22は折目であり、折目22は、茎包囲部8に縦に一対につけられ、茎包囲部8が、図7に示すように、茎部Iを包囲する際、茎包囲部8が茎部Iの形状に合って湾曲しやすいようにしている。なお、折目22は、必要に応じて、折目の数を増減するとよく、折り曲げに代えて、ハーフカット等した溝を切り欠いてもよい。
【0025】
図中、23は指当て部であり、指当て部23には、指Aの一部があてがわれ、受け口6を持つ際、これがより安定して持たれることを可能にしている。特に後記する女性の尿処理、大便の処理の際に、摘み部9を開いた状態で受け口6を使用する時に下方に重量がかかる受け口6を支え易くしている。
【0026】
そして、茎包囲部8を茎部Iにあてがって包囲する際には、茎部Iの先端部付近、すなわち亀頭Kの後方の近くの位置が包囲されるとよく、陰茎Pの基部近くまでを包囲する必要はない。このような構成により、受け口6の陰茎Pへの装着は手間を要しない。
また、茎包囲部8の幅は狭い程あてがい易く、本実施例ではその上下幅場合は8mm前後の幅で構成した。
【0027】
上記茎包囲部8の上下幅よりも幅広に上下幅が形成される左右の摘み9aは、2本の指以外に他の指もあてがえるように上下幅60mm、左右幅が55mm前後でそれぞれなり、より確実に受け口6を持つことができる。
【0028】
図3は、受け口6が、摘み部側の端部14と茎包囲部側の端部15で内方にさらに折曲し、受け口6の開口部12が閉じた状態を示す。この時、摘み部9は左右の摘み9aが押えられてこの内面側が当接して閉じている。
なお、受け口6の開口部12は、茎包囲部8に形成された折目22(内側に折曲)により、完全に閉じず、菱形状の開口部11が形成される。
また、摘み部9は、これが閉じられた状態で、図2で示すようにV字状に復帰しようとする弾力を有しており、左右の摘み9aはこの弾力に抗して閉じられよう構成される。
以上、受け口6について説明した。
【0029】
《収容袋7について》
次に、図1,図4を参照して収容袋7について説明する。
収容袋7は、受け口6の開口部12に貫挿され、開放された端部13側を受け口6の上端周部に沿って反転させて折り返し、受け口6に保持させる。
その際、左右の摘み9aの下端部に収容袋7の一部が位置する。
収容袋7は、上記折り返し部において、受け口6が開くと追従して、図1で示す折り返し開口部30を形成する。
陰茎Pの茎部Iは、この折り返し開口部30を介して受け口6の開口部12内にあてがわれる。
なお、左右の摘み9aを指Aで摘む場合、折り返し部31を介して押えても、折り返し部31と受け口6の間に指Aを入れ直接摘み部9を押えて摘んでもよい。
【0030】
そして、摘み部9が閉じられると、左右の摘み9aが、間に位置する収容袋7の一部を挟み、尿が溜まって重くなる収容袋7が受け口6から抜け落ちないよう係止する。(図4参照)
受け口6から収容袋7を取り外すには、単に折り返し部31を伸ばし収容袋7を受け口6から抜く。このように収容袋7は受け口6に着脱可能とし、その方法は容易である。
また、収容袋7は受け口6に、分離可能とする両面テープ、あるいは容易に剥すことができる接着材等で取り付けて着脱可能としてもよい。
【0031】
そして、収容袋7の折り返し部31の端部13付近には、中空の紐通し18が周設され、該紐通し18に紐20が通され、該紐20の操作により該端部13の開閉がなされる。
以上、収容袋7について説明した。
【0032】
《流下促進体17について》
流下促進体17は、収容袋7に添設され、このフレキシブル度を低下させることで、従来例で問題になった袋が変形して受け口の下端を塞いだり、あるいは袋内にある亀頭に袋が被さったりしないようにし、さらに尿の流路を下方に確保する。
以下、これを図4と、同図のB−B線における断面図である図5、その他の図面を参照して説明する。
流下促進体17は硬質な紙材等でなり、図4に示すように、茎包囲部8の下端より離間部16を経た下方の位置の収容袋7の壁部に貼り付けられる。
図5では、流下促進体17が亀頭Kの上側面に位置し、一端が亀頭Kの前方にまでのびて、収容袋7が尿道に被さらないようにしている状態を示した。(以下、これを上流下促進体17aと称する)
亀頭Kの下側面に位置する流下促進体17は、尿の流路を下方に確保する。(以下、これを下流下促進体17bと称する。下流下促進体17bは、上流下促進体17aに加えて設けるとよい)
上流下促進体17aは、図5で示すように、亀頭Kの崖部Fの高さ分、盛り上がって位置し、崖部Fは離間部16に対向している。
図6では、上流下促進体17aが収容袋7の重みで下方に引っ張られて、図5と比べて下方に若干傾斜し、これに伴い亀頭Kが上流下促進体17aに押されて、少し下方に向きを変えている状態を示した。
つまり、茎部Iがたとえ上方向を向いていても、亀頭Kは下方を向くことになり、尿は受け口6より漏出,逆流せずに収容袋7内に流下する。
なお、上流下促進体17aが収容袋7により引っ張られる度合いは、摘み部9が収容袋7の重量の大半を支える構成であるため、尿道が圧迫されない程度に僅かである。
以上、流下促進体17を説明した。
【0033】
次に、これまで受け口6に収容袋7を着脱可能とした構成を説明してきたが、これに代えて、着脱可能としない、すなわち、受け口に収容袋を固着して取り付ける構成、並びに受け口を一対の側板10により形成する構成を、図8、図9を参照して、以下に説明する。
図8に示す受け口36は、受け口6の左右部を、左右一対の側板10で形成したもので、一対の側板10は、粘着テープ35で外側面からそれぞれ両端部が貼り合わされる。
収容袋7は、この上端部(開口側)が受け口36の上端の内側面に、取り付け部材37により、固着される。この場合、収容袋7の一部は摘み部42の下端部に位置している。
【0034】
そして、一対の側板10により形成された受け口36は、処理具内に排泄物を封じる手段として、以下の二つの構成が考えられる。
第1の構成は、図8中、収容袋7の上端部より仮想線で示す折り返し部31を延設して、受け口36に被せる方法がある。そして、その端部13付近に中空の紐通し18を周設し、紐通し18に紐20を通す。該紐20の操作により端部13の開閉を行い、収容袋7内に排泄物を封じる方法である。
第2の構成は、左右の側板10の上端内側にファスナーを取り付け、このファスナーにより受け口36を開閉可能にし、処理具内に排泄物を封じる方法である。
【0035】
なお、本排泄処理具5には、凝固剤を添付するとよい。臭いの発生を更に抑えることができると共に、凝固した尿は収容袋7から漏れにくくなる。
また、排泄処理具5が屋外で使用される場合を前提にして、これを分解性プラスチック材で作り、光、あるいは土中でこれを分解させ自然に帰すようにすると、ゴミ問題の解消に繋がる。
【0036】
《作用等について》
本発明の排泄処理具は、以上説明したように構成され、以下のように使用される。
まず、予め開口している受け口6の開口部内に、陰茎Pの茎部Iの先端部付近が茎包囲部8により包囲されるようあてがい、摘み部9を摘んだ指Aを閉じる。この操作はいたって簡単である。
なお、受け口6の開口部12は、予め略楕円形状に開口しているが、受け口6の両端部(14,15)を指Aで押える等して、略円状、その他の形状に変形させ、陰茎Pをあてがい易い形状にするとよい。
この時、受け口6の開口部12は茎包囲部8が茎部Iを包囲して閉じられるので、臭いは良好に遮断される。
なお、陰茎Pが萎縮し柔らかいと、従来例の受け口では、完全に包囲されているかの確認がしづらい場合があり、尿の漏出の原因となっていたが、本実施例の場合、摘み部9を亀頭K側に引っ張ってみて、茎包囲部8が抜け出るか、抜け出ないかでその確認ができる。その確認方法は容易である。
【0037】
さて、仰向け姿勢で使用する場合、陰茎Pは下向きの方向にはなり難く、上向きになることもあるが、茎包囲部8が茎部Iの先端付近(亀頭Kから少し後方)を包囲しており、亀頭K部だけを下方に向けることは摘み部9の操作で容易に可能である。陰茎Pが柔らかめの場合に特に容易である。
そのため、左右の摘み9aは、上下,左右幅が上記サイズでなり、親指,人差指に加えて、他の指もあてがえるようにしている。
従って、これら指の感触に基づいて受け口6の向きを感知できると共に、向きを変える動作も確実に行うことができる。従って、この姿勢では手許の直視は不可能であるにかかわらず、このような摘み部9の構成により、使用者が受け口6の口部を誤って下向きにして排尿するようなことがないようにされる。
【0038】
そして、フレキシブルな収容袋7は、仰向け姿勢下で膝が多少でも開いていれば、例えば大腿部間の隙間で変形して、尿を収容する。また袋が硬質である場合と比べ、肌触りに抵抗がない。
さらに、横臥姿勢、あるいは車中で座席に座った姿勢で使用する際には、収容袋7と受け口6との高低差を確保しがたいが、多少でも確保された状態で尿が流入した場合、収容袋7はベッドあるいは座席の上面に沿って広く横に拡がることで、円滑に尿を受け口6に収容する。
なお、横臥姿勢で排尿する際、受け口6は、摘み部9を上にすると(茎包囲部8は下側になる)持ちやすい。この場合、摘み部9は、亀頭Kの上方に位置して、亀頭Kの先端部の前方位置で収容袋7を挟むため、亀頭Kに対して収容袋7の重量の影響は及ばない。
【0039】
そして、図7に示すように、茎包囲部が手前側に位置(逆の方向に摘み部が出っ張る)するようにして受け口を傾けて持って排尿した場合、尿が溜まって重くなる収容袋は出っ張った摘み部の下端の縁で下方に折曲し、茎包囲部の下端では折曲しない。
すなわち、収容袋7は摘み部9の下端の縁で支えられ、茎包囲部8の下端では折曲せず、尿の重量の影響は茎包囲部8にはほとんど及ばない。
従って、受け口6を水平に近い向きに傾けて持っても、陰茎Pを包囲する茎包囲部8の下端部分側は従来の受け口と異なり、袋で遮られず、尿の受け口6からの漏出,逆流は防止される。図7では、縦皺32と横皺27で、収容袋7の重量が摘み部9で支えられる様子を図示した。
【0040】
更に、上流下促進体17aは、図5に示すように、亀頭Kの上面側に位置して、所謂庇の役目を果たして収容袋7が亀頭Kに被さらないようにし、下流下促進体17bは、亀頭Kの下面側に位置し、下方に傾斜して尿が流下しやすいようにしている。
【0041】
さて、一対の側板10により形成された受け口36の場合の使用法は、この開口部は予め閉まった状態であるため、図9に示すように指Aで両端部を押えて開口させ、茎部Iの先端部をあてがう。あてがった後、摘み部42で茎部Iの包囲操作を行う。
【0042】
排泄が終ると、折り返し部31を戻し、紐20で収容袋7の開口部を閉じる。
臭いと尿は、良好に収容袋7内に封じることができる。なお、受け口6は汚れておらず収容袋7を取り外して、再利用が可能であり、その分経済的である。
【0043】
上記本発明の排泄処理具5のモニタリングによると、従来例の開口サイズ可変の受け口と異なり、本実施例の受け口6は、水平の向きで持っても、収容袋7により受け口6の下端が塞がれ尿が漏れることがなく仰向けの姿勢の場合の使用に好適であった。
さらに、車中で使用する場合、受け口6を水平方向にして排尿しても、漏出,逆流を伴わずに使用することができた。また、車が揺れても、茎部Iの太さは亀頭Kの最大径部Mより細いため、茎部Iを包囲する茎包囲部8は容易に抜け出ることがなかった。
【0044】
そして、当排泄処理具5は、受け口6を押えてエアーを抜いて厚みを縮減し、収容袋7をこれに巻きつけて包装すると、厚みは10mm以下になり、市販されているハンデイータイプのテイシュペーパーの包装サイズとほぼ同じになり、携帯に便利である。
以上、男性の排尿処理に限定した構成を説明した。併せてその作用等も説明した。
【0045】
一対の側板10により形成された受け口36は、男性が使用しても好適に排尿処理ができると共に、女性の排尿処理、大便、嘔吐にも好適に使用できる。
その使用法は、図9に示すように前後の端部を指Aで押えて開口(摘み部9は開いた状態)させ、排泄物の出口の周辺部にあてがう。その際、受け口36は開口部のサイズを変えることができるので、身体の周辺の形状に合わせて、隙間なくあてがうことができる。
その際、収容袋7は、左右の摘み9aが開いても、受け口36に固着されているので、これより抜け落ちない。
【0046】
さて、収容袋7に収容された尿は、袋を逆さにしてトイレ等に廃棄するが、その際、収容袋7の口部が汚れることになる。
従って、汚れた収容袋7は別の袋に入れて処理するが、入れるとき、残存した尿の雫などで手が汚れる場合が多く、衛生的でない。
これを解決する手段として、図10に示すように、両端が開放された外袋38の一端を収容袋7の胴部の外側周部に固着する。図中、40は収容袋7の胴部の取り付け位置である。
なお、外袋38の下端の開口部側には紐通し41を設け、紐39を取付けるとよい。
その使用法は、図11で示すように収容袋7を逆さにして排泄物を廃棄した後、外袋38を反転させて外側面を収容袋7の口部に被せる。手は汚れず衛生的である。
その後、外袋38の紐39を引っ張り外袋38の開口部を閉じる。
【発明の効果】
【0047】
上記排泄処理具の構成により、以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、陰茎に受け口を装着する際に、従来例で示したファスナー等による締め付けなどの手間を要しない。更に、臭いは良好に遮断される。
そして、従来の受け口と異なり、これを水平に近い向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、陰茎に受け口を装着する際に、従来例で示したファスナー等による締め付けなどの手間を要しない。更に、臭いは良好に遮断される。
そして、従来の受け口と異なり、これを水平に近い向きに傾けて持っても、陰茎を包囲する受け口の下端部分が袋で遮られず、尿の受け口からの漏出,逆流は防止される。
更に、開口部を大きくして使用(左右の摘みは開いた状態)でき、大便、嘔吐の処理にも好適である。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、流下促進体により尿の受け口からの漏出,逆流は確実に防止された。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、従来例に示した受け口の切り込みに袋の一部を差し込んで袋を受け口に装着する方法に比べ、その装着は極めて容易である。
更に、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、尿とその臭いは良好に収容袋内に封じられる。
【0052】
請求項6記載の発明によれば、衛生的に収容袋の後処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】排泄処理具5が開口し、且つ一部切欠した状態を示すその斜視図。
【図2】摘み部9が開き、受け口6が開口した状態を示すその斜視図。
【図3】摘み部9が閉じ、受け口6の開口部が閉じた状態を示すその平面図。
【図4】受け口6を水平の向きで持った状態を示し、且つ一部切欠したその斜視図。
【図5】図4で示す受け口6の断面図。
【図6】収容袋により上流下促進体17aが下方に引っ張られたときのその断面図。
【図7】受け口6が斜めに持たれた場合のその斜視図。
【図8】一対の側板10により形成された受け口36の斜視図。
【図9】図8に示す受け口36が開口した状態の平面図。
【図10】外袋38を収容袋7に取付けたその正面図。
【図11】図10に示す収容袋7を逆さにした状態を示すその正面図。
【図12】外袋38の取り扱い説明図。
【図13】従来例の受け口を示す斜視図。
【図14】従来例の受け口を示す斜視図。
【符号の説明】
【0054】
1 開口サイズ不変の受け口(従来例)
2 開口サイズ可変の受け口(従来例)
3 面ファスナー
4 袋(従来例)
5 排泄処理具
6 受け口(本発明)
7 収容袋
8 茎包囲部
9 摘み部
9a 左右の摘み
10 側板
11 菱形状開口部
12 受け口の開口部
13 端部
14 摘み部側の端部
15 茎包囲部側の端部
16 離間部
17 流下促進体
17a 上流下促進体17a
17b 下流下促進体17b
18 紐通し
20 紐
21 底部
22 折目
23 指当て部
27 横皺
30 折り返し開口部
31 折り返し部
32 縦皺
35 粘着テープ
36 左右の側板により形成された受け口
37 取り付け部材
38 外袋
39 外袋の紐
40 外袋の取り付け部
41 外袋の紐通し
42 左右の側板で形成された受け口の摘み部
A 指
P 陰茎
K 亀頭
I 茎部
M 最大径部
F 崖部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は開放された端縁側が該受け口の開口部を貫挿され反転して該受け口に被さり、左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、且つ該開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする排泄処理具。
【請求項2】
受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は、開放された側の端縁部が該受け口に固着され、
左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、該受け口の開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする排泄処理具。
【請求項3】
該収容袋は、フレキシブルな樹脂材でなると共に、該茎包囲部の下端付近より該収容袋の底部に向け、収容袋のフレキシブル度を低下させ排泄される尿の流下を促進する流下促進体が添設されること、を特徴とする請求項1又は2記載の排泄処理具。
【請求項4】
該収容袋は、着脱可能であり、開放された上端部側の端部付近に中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする請求項1記載の排泄処理具。
【請求項5】
該収容袋は、折り返し部が延設され、該折り返し部が反転して該受け口に被さると共に、該折り返し部の端部付近に、中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする請求項2記載の排泄処理具。
【請求項6】
該収容袋には、両端が開放された外袋が取り付けられ、該外袋は一端側が該収容袋の胴部に固着され、他端側が該収容袋の底部付近に位置し該収容袋の口部に反転して被さるようにしたこと、を特徴とする請求項1又は2記載の排泄処理具。
【請求項1】
受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は開放された端縁側が該受け口の開口部を貫挿され反転して該受け口に被さり、左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、且つ該開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする排泄処理具。
【請求項2】
受け口と、収容袋を備えたハンデイータイプの排泄処理具であって、
該受け口は、摘み部と茎包囲部とからなり、該摘み部は該摘み部の構成部材である左右一対の摘みが一端側で開閉可能に繋がり、他端側で湾曲性を有した該茎包囲部の左右端部が該左右の摘みの側端上部付近にそれぞれ繋がると共に、上下幅が該茎包囲部の上下幅よりも幅広に形成されてなり、開口をサイズ可変に形成可能とし、
該収容袋は、開放された側の端縁部が該受け口に固着され、
左右の該摘みを押さえて閉じる摘み部の閉じ動作に伴い、左右の該摘みが該収容袋の一部を挟み、該受け口の開口部内にあてがわれた陰茎の茎部を該茎包囲部が包囲して該開口部が閉じられ、排泄される尿は該収容袋に収容されること、を特徴とする排泄処理具。
【請求項3】
該収容袋は、フレキシブルな樹脂材でなると共に、該茎包囲部の下端付近より該収容袋の底部に向け、収容袋のフレキシブル度を低下させ排泄される尿の流下を促進する流下促進体が添設されること、を特徴とする請求項1又は2記載の排泄処理具。
【請求項4】
該収容袋は、着脱可能であり、開放された上端部側の端部付近に中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする請求項1記載の排泄処理具。
【請求項5】
該収容袋は、折り返し部が延設され、該折り返し部が反転して該受け口に被さると共に、該折り返し部の端部付近に、中空の紐通しが周設され、該紐通しに紐が通され、該紐の操作により該端部の開閉がなされること、を特徴とする請求項2記載の排泄処理具。
【請求項6】
該収容袋には、両端が開放された外袋が取り付けられ、該外袋は一端側が該収容袋の胴部に固着され、他端側が該収容袋の底部付近に位置し該収容袋の口部に反転して被さるようにしたこと、を特徴とする請求項1又は2記載の排泄処理具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−247853(P2009−247853A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119257(P2008−119257)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(592187280)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(592187280)
【Fターム(参考)】
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