説明

排泄物用収容装具

【課題】排泄物を直接収容する部分のみを簡単、清潔に廃棄処理することができ、使用中万一排泄物を収容する部分に破損が生じても装着者に被害を与えることなく安心して使用できる排泄物用収容装具を提供する。
【解決手段】人体に造設した排泄孔に装着する接皮部1の非接皮側に第1のフランジ4を固定し、第1のフランジ4と着脱可能な第2のフランジ7の非接皮側に外側袋体10を取り付け、外側袋体10の内側に外側袋体と分離し得るように内側袋体15を収納し、外側袋体10は非水溶性のフィルムから形成し、内側袋体15は水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成し、喇叭状に広がる形状をした排泄物を通すための開口部16を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に造設した排泄孔に装着して体内から排出する排泄物を一時的に収容するための排泄物用収容装具に関する。
【背景技術】
【0002】
便、尿の失禁者、消化器系や泌尿器系器官の疾患のため外科的手術を行い腸管や尿管を体表まで導き体表面にストーマを造設した人、或はその他の疾患で体表面にストーマやフィステルを造設した人は、それらの造設された排泄孔から排出される便、尿、体液等の排泄物を処理するため、日常生活に支障を来さない時間は排泄物を貯留できる排泄物用収容装具を排泄孔に装着する。この排泄物用収容装具は一般に接皮部と収容器部とから構成されている。
【0003】
接皮部は体表面の排泄孔の周囲に密着し、排泄物を漏らすことなく収容器部へ導くと共に収容器部を保持する機能を持っている。接皮部の機能を高めるため、排泄孔の周囲の体表面に密着し、皮膚刺激が少なく安心して使用できるように形態や接皮側の粘着剤について研究がなされ、形態については排泄孔の近辺を凸状態や凹状態にして排泄孔の近傍をよく密着するようにした技術が知られており、粘着剤については皮膚から出る汗を吸収して粘着力の低下を防止、また汗、排泄物中の皮膚刺激物や雑菌の繁殖による皮膚炎を防止する技術が知られている。
【0004】
収容器部には、排泄物を一時的に貯留する機能の他に、ガスバリヤ性、しなやかさ、音が生じないこと、肌触りがよいことが要求される。例えばガスバリヤ性を高める技術として、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等を用いた単体又は複合フィルムを収容器部の袋体の構成材料として使用し、又肌への感触を高めるため袋体を構成するフィルムを柔軟にしたり表面にエンボス加工を施したり、或は不織布を重ね合わせることが行われている。
【0005】
接皮部と収容器部とを組み合わせるための構造には、両者を一体化したワンピース型と、両者を粘着や嵌合により着脱可能にしたツーピース型とがあり、それぞれに適した目的で使用されている。
【0006】
上述のように排泄物用収容装具には多くの改良が重ねられ、実用上の大きな問題はほぼ解決されている。しかしながら、近年、都市化が進みトイレが水洗化されたため、排泄物は取り出して水洗トイレに流すことができるが、使用済みの収容器部は水に溶解しないものであるから水洗トイレに流すことはできず、一般のごみとして廃棄しなければならず、環境汚染の問題として社会的に大きく取り上げられ、廃棄方法に苦慮している。
【0007】
この問題を解決するため、収容器部を構成する袋体の材料に種々のものが提案されている。例えば、水溶性フィルムの片面を疎水性材料で被覆したもの(例えば特許文献1参照)、水溶性の中間層の内側に疎水性の被覆層、外側に耐水性であるがアルカリにより分解する被覆層を設けたもの(例えば特許文献2参照)、水溶性のオキシアルキレン基含有ビニルアルコール系重合体フィルム層を単層又は複層で使用するもの(例えば特許文献3参照)、生分解性複合フィルムを使用するもの(例えば特許文献4参照)、水に溶解又は分散するポリビニルアルコールのフィルムの内側を揆水剤で被覆したもの(例えば特許文献5参照)、水溶性のポリビニルアルコールからなるフィルムの内面に鹸化度の低いポリビニルアルコールの薄層を被覆して内面の水透過性を高めたもの(例えば特許文献6参照)、水溶解性の層の内側に弱い水不溶性の保護層を設けるもの(例えば特許文献7参照)、水崩壊性吸収シートの両面に水崩壊性シートを重ね合わせるもの(例えば特許文献8参照)等がある。これらの技術は、水溶性フィルムを基本とし、この水溶性フィルムが一定時間は排泄物により溶解しないように内側に耐水性素材の保護層を設けるものが多く、廃棄に際しては短時間に水洗トイレに詰まらない程度迄溶解又は崩壊させる必要から非常に微妙な品質が要求される。従って品質監理が難しく、又使用中折れたり擦れたりして保護層が破壊され、その傷の部分からフィルムが溶解又は崩壊して漏れを起こす問題があり普及していない。又廃棄時pHをアルカリにして溶解させるものは環境上の問題や水洗設備を破壊する等の問題がある。
【特許文献1】実開平2−44029号公報
【特許文献2】特開昭63−63456号公報
【特許文献3】特開平1−160550号公報
【特許文献4】特開平2−280748号公報
【特許文献5】特開平4−200470号公報
【特許文献6】特開平6−234195号公報
【特許文献7】特開平6−304197号公報
【特許文献8】特開平7−222768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、排泄物の排出があったときその排泄物を直接収容する部分のみを簡単、清潔に廃棄処理することができ、その廃棄すべき部分ができるだけ少なく、水洗トイレに廃棄したとき速やかに水に溶解又は崩壊し、水洗トイレ設備、浄化設備に問題を起こすことなく簡単に最終処理が可能であり、環境汚染を起こさず、しかも使用中万一排泄物を収容する部分に破損が生じても装着者に被害を与えることなく安心して使用できる排泄物用収容装具及びそれに使用される排泄物を収容するための袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明においては、人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有する外側袋体と、外側袋体の内側に外側袋体とは分離し得るように収納され排泄孔より接皮部及び第1のフランジの各開口を介して排出される排泄物を収容するための内側袋体とを備え、外側袋体は非水溶性のフィルムから形成され、内側袋体は水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、排泄物を通すための開口部にフレアーを付ける。
【0010】
また本発明においては、人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有する外側袋体と、外側袋体の内側に外側袋体とは分離し得るように収納され排泄孔より接皮部及び第1のフランジの各開口を介して排出される排泄物を収容するための内側袋体とを備え、外側袋体は非水溶性のフィルムから形成され、内側袋体は水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、喇叭状に広がる形状をした排泄物を通すための開口部を有する。
【0011】
さらに本発明においては、人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有し、排泄孔より排出される排泄物を収容するための内側袋体を分離し得るように収納することができる非水溶性のフィルムから形成された外側袋体とを備える排泄物用収容装具の、排泄物を収容するための袋体としての内側袋体が、水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、排泄物を通すための開口部にフレアーが設けられる。
【0012】
また人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有し、排泄孔より排出される排泄物を収容するための内側袋体を分離し得るように収納することができる非水溶性のフィルムから形成された外側袋体とを備える排泄物用収容装具の、排泄物を収容するための袋体としての内側袋体が、水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、喇叭状に広がる形状をした排泄物を通すための開口部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非水溶性のフィルムからなる外側袋体の内側に、それと分離し得るように水溶性のフィルムからなる内側袋体が配置され、排泄物は内側袋体にのみ排出されるようになっており、排泄があったときは内側袋体のみを分離して外側袋体から外部へ取り出し、そのまま水洗トイレ等に廃棄すれば、内側袋体は速やかに水に溶解ないし崩壊し、環境汚染を起こすことは全くなく、万一使用中に内側袋体の水溶性フィルムに損傷が生じて排泄物が漏れることがあっても外側袋体により保持されるから、装着者は全く不安なく使用することができ、外側袋体は繰り返し使用可能であるから経済的である。そして内側袋体の開口部はフレアを備えるか、又は喇叭状に広がる形状を有しているため、内側袋体の着脱操作、即ちその分離操作や新しい内側袋体の装着操作を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1のフランジの接皮部と反対側及び第2のフランジの接皮部の側に相互に嵌合し合うリング状嵌合部をそれぞれの開口の周りに設け、両フランジを嵌合により着脱し得るようにするのが好ましい。嵌合部は一方を凸形に突出したリングとして形成し、他方をそのリングの形状に合った凹形の溝状のリングとして形成し、指の力で嵌合操作できるものが適しており、従来2ピース型として提案されている種々のものを使用することができる。嵌合のシール性を高めるため嵌合部にOリングを組み込むこともできる。
【0015】
内側袋体は、その開口部を第1のフランジと第2のフランジとの両嵌合部間に挟み込むようにし、両嵌合部を嵌合することにより内側袋体を接皮部と連結し、接皮部の開口を通して排出される排泄物を収容するようにし、両嵌合部の嵌合を解くことにより内側袋体を接皮部及び外側袋体から分離するようにすることができる。
【0016】
また内側袋体は、その開口部にリング状の水溶性粘着絆を有し、この粘着絆でもって、第1のフランジに、又は接皮部の非接皮側に表面において第1のフランジの内側に、又は第2のフランジの接皮部と反対側において外側袋体の内側に着脱可能に取り付けてもよい。
【0017】
第1のフランジ、第2のフランジの他に、接皮部の非接皮側において第1のフランジの内側に接皮部及び第1のフランジの各開口に対応する開口を有する第3のフランジと、第3のフランジと着脱可能に形成され第3のフランジの開口に対応する開口を有する第4のフランジとを有し、第4のフランジの接皮部と反対側に内側袋体を粘着又は溶着により取り付けてもよい。第3、第4のフランジの着脱機構には第1、第2のフランジと同様に嵌合を用いることができる。
【0018】
第2のフランジの開口に対応する開口を有し第2のフランジの接皮部と反対側に着脱可能な今一つのフランジを有し、このフランジの接皮部と反対側に内側袋体を粘着又は溶着により取り付けてもよい。第2のフランジと今一つのフランジとの着脱機構には嵌合を用いることができる。
【0019】
第1のフランジは、そのリング状の全面で接皮部の非接皮側に固定してもよいし、そのリング状内周縁で接皮部の非接皮側に固定し、リング状外周縁を接皮部の非接皮側表面から浮かせるようにしてもよい。
【0020】
外側袋体はその一部に開閉可能な口を有し、この口から内側袋体を交換できるようにするのが有利である。
【0021】
外側袋体を形成する非水溶性のフィルムとしては、水密性、ガスバリヤ性が高く、しなやかで、シール性に優れたものが適しており、従来排泄物用収容装具の袋体として使用されているものを用いることができるが、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、又はこれらに酢酸ビニル、ポリアクリル酸等をブレンド又は共重合させた単体フィルムや複合フィルムがある。外側袋体は、内側袋体との密着を防止し滑りをよくするため、内面にエンボスを施したり、静電防止処理を施すことが好ましい。
【0022】
内側袋体を形成する水溶性のフィルムの材料としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリエチレンオキサイド、及びこれらの誘導体又はブレンド物がある。
【0023】
内側袋体の開口部に設ける水溶性の粘着絆の材料としては、基材として上述の水溶性フィルム、水に崩壊する不織紙を用い、粘着剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリカルボン酸を主成分としこれらに粘着付与剤を配合したものを用いるものがある。
【実施例】
【0024】
次に本発明の実施例を図面について説明する。
【0025】
図1において、aは本発明の実施例の正面図、bはその縦断面図、c、dはその使用状態の説明図である。1は接皮部で例えば円形状をなし中心部に開口2を備え、接皮側には粘着層3、接皮側と反対側即ち非接皮側の表面にはリング状の第1のフランジ4が固定され、第1のフランジ4は接皮部1の開口2に対応する開口5を有し、外周縁には凸形のリング状嵌合部6が設けられている。7は第1のフランジ4と着脱可能なリング状の第2のフランジで、第1のフランジ4の開口5に対応する開口8と第1のフランジの嵌合部6と嵌合し得る凹形のリング状嵌合部9を備えている。第2のフランジ7の嵌合部9と反対側には外側袋体10が固定され、外側袋体10は非水溶性のフィルムから形成され、第2のフランジの開口8と対応する開口11を備え、下端12は封止されているが、上端13は開閉できるようにポリチヤック付きのファスナー14を有している。外側袋体10の内部には内側袋体15が挿入され、この内側袋体15は水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、開口部16を除いて封止されている。その開口部16は外側袋体の開口11、第2のフランジの開口8から外へ引き出しやすいようにその部分で一旦窄められ、それから喇叭状に広がるような形状を有し、第1のフランジの嵌合部6と第2のフランジの嵌合部9とを嵌合させたとき、両者の嵌合面間に挟着され得るような十分な広がりを持っている。
【0026】
次にこの排泄物用収容装具の使用方法を説明する。図1cに示すように接皮部1の開口2が人体に造設した排泄孔例えばストーマ100に対向するようにして接皮部1の粘着層3により体表面101に固定する。内側袋体の開口部16の先端部分を第1のフランジの嵌合部6又は第2のフランジの嵌合部9上に被せるようにして第2のフランジの嵌合部9と第1のフランジの嵌合部6とを嵌合すると、内側袋体の開口部16は両嵌合部6、9間に挟み込まれ液密に固定される。その結果、ストーマ100より接皮部の開口2、第1のフランジの開口5、内側袋体の開口部16を通して内側袋体15の内部に通じる路が形成され、排泄物102は矢印で示すように内側袋体15内に収容される。
【0027】
排泄があった後内側袋体を交換したいときには、図1dに示すように、両嵌合部6、9間の嵌合を解くことにより内側袋体15の開口部16は外されるから、外側袋体のファスナー14を開くことにより内側袋体15は外部へ引き出すことができ、内側袋体15はすべて水溶性のフィルムで形成されているからそのまま水洗トイレ等に捨てることができる。新しい内側袋体を外側袋体の上端から挿入し、その開口部を第2のフランジの開口から引き出して両フランジを嵌合すれば、再び使用可能状態となる。
【0028】
第1のフランジの嵌合部と第2のフランジの嵌合部との構造については、従来のいわゆる2ピース型排泄物用収容装具で使用されている嵌合機構と同様のものを使用することができる。図2には図1で使用したものと異なる嵌合構造のいくつかの例を示し、図1と同等部分には同符号を付してある。図2aの嵌合構造では、第1のフランジの嵌合部6の外周部にOリング61を付加したもので、これによってシール機能が高められる。図2bの嵌合構造では、嵌合に際し第2のフランジの嵌合部9上に内側袋体15の開口部16を被せその上にゴムバンド91を巻き付け内側袋体15を固定し、この嵌合部9を第1のフランジ4の嵌合部6と嵌合することにより、嵌合操作を容易にしたものである。図2cの嵌合構造では、第1のフランジ4の嵌合部6は2つの凸形リング62、63を有し、第2のフランジ7の嵌合部9は2つの凹形リング92、93を有し、二重の嵌合機構になっている。
【0029】
図3は別の実施例の縦断面図であり、図1と同等部分には同符号を付してある。内側袋体15はその開口部16に水溶性のリング状の粘着絆151が取り付けられ、この粘着絆151でもって第1のフランジ4の非接皮側で嵌合部6の内側に取り付けられている。なおこの内側袋体15の開口部16は図1の場合のように両嵌合部間に挟み込むものでないから、喇叭状の広がり部分は必要としない。内側袋体15は粘着絆151ごと第1のフランジから引き剥がしそのまま水洗トイレ等に捨てることができる。また粘着絆151でもって、第1のフランジの表面ではなく、接皮部の非接皮側の表面に直接内側袋体15を取り付けるようにしてもよい。
【0030】
図4は別の実施例の縦断面図であり、図3の実施例と同様に内側袋体15はその開口部16に水溶性のリング状の粘着絆151が取り付けられているが、この粘着絆151でもって、第1のフランジではなく第2のフランジ7の接皮部と反対側の表面で外側袋体10の内側に取り付けられる点が相違している。この実施例では、使用済みの内側袋体15は粘着絆151と共に第2のフランジ7から引き剥がし、新しい内側袋体をその粘着絆でもって第2のフランジ上に粘着固定することにより交換することができる。
【0031】
図5はさらに異なる実施例の縦断面図を示し、図1と同等部分には同符号を付してある。接皮部1の非接皮側には第1のフランジ4の内側にさらにリング状の第3のフランジ17が設けられ、その外周縁にはリング状嵌合部18が形成されている。内側袋体15は図3と同様に開口部16に水溶性のリング状の粘着絆151が取り付けられ、この粘着絆151でもって第4のフランジ19の一方の側に取り付けられ、第4のフランジ19の他方の側、即ち接皮部の側には第3のフランジの嵌合部18と対応するリング状嵌合部20が形成され、両嵌合部18、20を嵌合することにより内側袋体15は接皮部1に結合される。内側袋体15はその粘着絆151ごと第4のフランジ19から引き剥がして除いてもよいし、或は先ず両嵌合部18、20の嵌合を解き、第4のフランジ19と共に外側袋体10から引き出し、しかる後粘着絆151を第4のフランジ19から引き剥がすようにしてもよく、後者の方法の方が新しい内側袋体を第4のフランジ19に貼り付ける操作が容易である。
【0032】
図5の実施例において、内側袋体の開口部に粘着絆を設けず、第4のフランジの一方の側に溶着等の手段で固定することもできる。この場合には使用済みの内側袋体は引き剥がしによって第4のフランジから外されるが、第4のフランジは再利用されず、内側袋体とは別に廃棄処分される。
【0033】
図6は又異なる実施例の縦断面図で、図1と同等部分には同符号を付してある。第2のフランジ7はその嵌合部9と反対側、即ち外側袋体10の内側に更に凸形のリング状嵌合部21を有している。22は内側袋体のためのフランジで、その接皮部側には嵌合部21と対応する凹形のリング状嵌合部23を有し、それと反対側には図3に示す内側袋体と同様に粘着絆151を有する内側袋体15が取り付けられている。嵌合部6、9間、嵌合部21、23間の嵌合を形成することにより内側袋体15は接皮部1と結合される。なおこの場合、図5の変形例で説明したように、内側袋体を粘着絆ではなく溶着等でフランジに固定することもできる。
【0034】
上述の各例では第1のフランジは接皮部上に全面的に固着した構造で説明したが、外周部を接皮部から浮かした構造にすることもできる。図7はその一例の縦断面図で、第1のフランジ4はそのリング状内周縁41でもって接皮部1の非接皮側表面上に接皮部の開口2と同心的に位置せしめて例えば溶着により固定され、接皮部の表面に沿って外方に延び、外周縁42は接皮部の非接皮側表面から若干浮いており、その接皮部と反対側にリング状嵌合部6が設けられている。この構造によれば第1のフランジと第2のフランジの両嵌合部を嵌合させるとき第1のフランジ4の裏側に指を挿入して嵌合操作を容易にすることができる。このようなフランジ構造は第1のフランジに限らず上述の実施例の第3のフランジにも適用することができる。
【0035】
図8は内側袋体の形状についてのいくつかの実施例の正面図と縦断側面図を概略的に示したものである。図8のa1、a2に示すものは三面シールされ上部に開口部16を有し、かつ開口部近傍に絞り24を設けて開口部を喇叭状に広げたもの、b1、b2は片面に開口部16を設け、開口部にフレアー25を付け、四面シールしたもので、上述の実施例にそれぞれ適したものを使用することができる。
【0036】
上述の実施例では、外側袋体は上部に開閉部分を有するものについて説明したが、下部に開閉部分を設けてもよい。又外側袋体から内側袋体を取り出したり交換する方法として、外側袋体の開閉部分から行う方法について説明したが、外側袋体が取り付けられている第2のフランジの開口を通して行うこともできる。嵌合部の構造についても上述の実施例の凸形と凹形を逆にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例の、aは正面図、bは縦断面図、c、dは使用状態の説明図である。
【図2】本発明で使用される嵌合部の異なる実施例の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施例の要部の縦断面図である。
【図4】本発明の一実施例の要部の縦断面図である。
【図5】本発明の一実施例の要部の縦断面図である。
【図6】本発明の一実施例の要部の縦断面図である。
【図7】本発明の一実施例の要部の縦断面図である。
【図8】本発明で使用される内側袋体の異なる実施例のそれぞれ正面図及び縦断側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 接皮部
2 開口
3 粘着層
4 第1のフランジ
5 開口
6 嵌合部
61 Oリング
7 第2のフランジ
8 開口
9 嵌合部
91 ゴムバンド
10 外側袋体
11 開口
12 下端
13 上端
14 ファスナー
15 内側袋体
16 開口部
17 第3のフランジ
18 嵌合部
19 第4のフランジ
20 嵌合部
21 嵌合部
22 フランジ
23 嵌合部
100 ストーマ
101 体表面
102 排泄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、
接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、
第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、
第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有する外側袋体と、
外側袋体の内側に外側袋体とは分離し得るように収納され排泄孔より接皮部及び第1のフランジの各開口を介して排出される排泄物を収容するための内側袋体と
を備え、
外側袋体は非水溶性のフィルムから形成され、
内側袋体は水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、排泄物を通すための開口部にフレアーを付けたことを特徴とする排泄物用収容装具。
【請求項2】
人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、
接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、
第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、
第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有する外側袋体と、
外側袋体の内側に外側袋体とは分離し得るように収納され排泄孔より接皮部及び第1のフランジの各開口を介して排出される排泄物を収容するための内側袋体と
を備え、
外側袋体は非水溶性のフィルムから形成され、
内側袋体は水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、喇叭状に広がる形状をした排泄物を通すための開口部を有することを特徴とする排泄物用収容装具。
【請求項3】
第1のフランジがリング状の嵌合部を有し、第2のフランジが接皮部の側に第1のフランジの嵌合部と着脱可能なリング状の嵌合部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の排泄物用収容装具。
【請求項4】
第1のフランジと第2のフランジとの間に内側袋体の開口部を挟み込むことにより内側袋体を接皮部と結合し得るようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の排泄物用収容装具。
【請求項5】
第1のフランジは、そのリング状の全面で接皮部の非接皮側に固定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の排泄物用収容装具。
【請求項6】
第1のフランジは、そのリング状内周縁で接皮部の非接皮側に固定し、リング状外周縁を非接皮側表面から浮かせたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の排泄物用収容装具。
【請求項7】
人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、
接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、
第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、
第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有し、排泄孔より排出される排泄物を収容するための内側袋体を分離し得るように収納することができる非水溶性のフィルムから形成された外側袋体と
を備える排泄物用収容装具に使用される内側袋体であり、
水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、排泄物を通すための開口部にフレアーを付けたことを特徴とする排泄物用収容装具の内側袋体。
【請求項8】
人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、
接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、
第1のフランジの接皮部と反対側に着脱可能であり第1のフランジの開口に対応する開口を有する第2のフランジと、
第2のフランジの接皮部と反対側に取り付けられ接皮部、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有し、排泄孔より排出される排泄物を収容するための内側袋体を分離し得るように収納することができる非水溶性のフィルムから形成された外側袋体と
を備える排泄物用収容装具に使用される内側袋体であり、
水に可溶又は崩壊する水溶性のフィルムから形成され、ラッパ状に広がる形状をした排泄物を通すための開口部を有することを特徴とする排泄物用収容装具の内側袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−95321(P2006−95321A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310182(P2005−310182)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【分割の表示】特願平7−317383の分割
【原出願日】平成7年11月10日(1995.11.10)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】