説明

掘削孔に適用されるマイクロ流体振動管密度計

少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を割り出すための装置、方法、およびシステム。管が、少なくとも1つの流体サンプルを受け入れるように構成され、圧力ハウジングに配置される。さらに、加振源が、管の振動を生じさせることによって、管の一部分に沿った電流の循環を、少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすように構成されている。またさらに、少なくとも1つの振動センサが、管の振動を測定信号へと変換する。最後に、測定信号を受け取ったプロセッサが、少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性を割り出すために、周波数測定装置を使用して測定信号から共振周波数を割り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くには、油田の用途および他の産業(例えば、化学および食品産業)において流体の特性を測定するための装置および方法に関する。とくには、本発明は、表面および掘削孔の油田の用途におけるマイクロ流体量の流体の密度の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削孔の流体の密度および他の流体の特性を知ることは、油、ガス、および水の間の区別が可能になるため、石油探鉱にとって最重要である[W.D.McCain,Jr.,The Properties of Petroleum Fluids,2nd ed.(1990)]。さらに、油−水の接触線の位置を特定し、したがって産油層の厚さを特定することが、可能になる。結果として、油井に見られる過酷な環境において流体の密度および他の流体の特性を正確に測定することができる丈夫なセンサを開発することが必須である。油田の掘削孔の圧力は、典型的には、150℃もの高い温度において15,000psiもの高い範囲に及ぶが、とくには沖合など、さらにもっと厳しい条件の油井も存在する。掘削孔の流体の分析におけるさらなる課題は、ボーリングの泥水または地層水のいずれにせよ、常に存在する汚染ゆえに、掘削孔の流体を代表する流体を大量に得ることが難しい点にある[O.C.Mullins,M.Hashem,H.Elshahawi,G.Fujisawa,C.Dong,S.Betancourt,T.Terabayashi,Petrophysics 46,302(2005)]。したがって、少量の流体で機能することができるセンサが、きわめて有利である。さらに、Schlumberger社が、J.G.Blencoe,S.E.Drummond,J.C.Seitz,and B.E.Nesbitt,International Journal of Thermophysics,17,179(1996)に記載のとおり、振動管密度計の小型化において或る程度の進歩を果たしている。
【0003】
振動管密度計は、周囲条件ならびに高い温度および圧力の両方においてとりわけ流体の密度を測定するための世界で最も正確な技術として、当然の名声を得ている[J.G.Blencoe,S.E.Drummond,J.C.Seitz,and B.E.Nesbitt,International Journal of Thermophysics,17,179(1996)およびR.Laznickova and H.Huemer,Meas.Sci.Technol.9,719−733(1998)]。その精度の一因が、基礎をなす物理学の単純さおよび堅固さにあり、幅広い範囲の温度および圧力への適合性にあることに、注意すべきである。例えば、測定は、管を測定対象の流体で満たし、この管を圧電または電磁アクチュエータによって管の共振周波数で振動させることによって実行される。運動、したがって共振周波数が、圧電トランスデューサまたは電気ピックアップコイルで測定される。そのようなトランスデューサの質量が加わることで、流体の密度に関してセンサの感度が低下するとともに、装置の複雑さが増す。さらに、これらのトランスデューサの温度依存性を、解釈に取り入れなければならない。
【0004】
単相流体の密度は、リザーバまたは掘削孔のいずれかにおける流体の流れを説明し、さらに上述のとおりに表面の設備の特性および流体の経済的価値の両方を明らかにするために必要な基礎物理パラメータの1つであることができ、リザーバのシミュレータに使用される状態の三次方程式のための体積変換係数をもたらすためにも必要である。サンプリングツール内の単相流体の密度の測定が、掘削孔の流体の汚染ならびに経済的価値のリアルタイムの現場での判断を提供する。不混和流体が必要とされ、あるいは分離器が、単相流体をもたらすために必要とされる可能性がある。乳濁液における測定を実行することができ、油の密度を抽出できる前に、混ざり合った各々の相の体積を知ることが問題になり、これを、例として、Schlumberger社によって記載されているとおり、マイクロキュリー源(micro Curie source)による同時ガンマ線減衰測定によって実現することができる。スタック分析の式の外側の大部分の用途において、±0.01ρという密度の広い不確かさが、充分でありうる。
【0005】
さらに、実験室において流体の密度を測定するために使用することができる多数の方法が存在し、それらの方法のいくつかが、例えば、1)Wagnerら[J.W.Density in Experimental Thermodynamics Vol.VI,Measurement of the Thermodynamic Properties of Single Phases,Ch.5,Goodwin,A.R.H.,Marsh,K.N.,Wakeham W.A.Eds.;Elsevier for International Union of Pure and Applied Chemistry:Amsterdam,2003;pp 127−235];2)WagnerおよびKleinrahm[Densimeters for very accurate density measurements of fluids over large ranges of temperature,pressure,and density.Metrologia 2004,41,S24−S39];ならびに3)Kuramotoら[Accurate density measurements of reference liquids by a magnetic suspension balance.Metrologia 2004,41,S84−S94]によって説明されている。しかしながら、Fujiiが、さらに絶対密度基準を記載している[Absolute Density Standards in Experimental Thermodynamics Vol.VI,Measurement of the Thermodynamic Properties of Single Phases,Ch.5,Goodwin,A.R.H.,Marsh,K.N.,Wakeham W.A.Eds.;Elsevier for International Union of Pure and Applied Chemistry:Amsterdam,2003;pp 191−208,and Present state of the solidおよびliquid density standards.Metrologia 2004,41,Sl−S15]。
【0006】
上述の方法のうち、掘削孔の用途に最も適切であるように思われる方法は、現場の重力場に対するトランスデューサの向きが、既知でなくてもよい方法である。これらの方法は、振動している物体の共振周波数の割り出し(determining)に基づいており、MajerおよびPadua[Measurement of Density with Vibrating Bodies in Experimental Thermodynamics Vol.VI,Measurement of the Thermodynamic Properties of Single Phases,Ch.5,Goodwin,A.R.H.,Marsh,K.N.,Wakeham W.A.,Eds.;Elsevier for International Union of Pure and Applied Chemistry:Amsterdam,2003;pp 158−168]によって要約され、とくにはStansfeld[In situ Density Measurement in Experimental Thermodynamics Vol.VI,Measurement of the Thermodynamic Properties of Single Phases,Ch.5,Goodwin,A.R.H.,Marsh,K.N.,Wakeham W.A.,Eds.;Elsevier for International Union of Pure and Applied Chemistry:Amsterdam,2003;pp 208−225]により、坑口およびパイプラインにおいて使用される装置の説明によって要約されている。
【0007】
通常は金属製の物体の外面または内面のいずれかに流体を接触させてなる振動物密度計について、多数の幾何学的構成が報告されている。流体が外面に接触させられる場合、測定は、高い圧力で実行される場合に通常は侵入的であると考えられるが、流体が管の内側に位置する場合、非侵襲的な測定である。ひとたび特定の装置が選択されると、残る仕事は、物理学の原理にもとづいて測定量(この場合には、周波数)を密度に関係付ける解式を作り出し、拡大(k=2または95%信頼区間)を有する測定値を提供することである。
【0008】
Modular Dynamics Tester(MDT)において使用される管に照らし、密度の測定を、振動管によって最も良好に得ることができる。振動U字管が、妥当な形状のうちの1つであるが、他も存在する[In situ Density Measurement in Experimental Thermodynamics Vol.VI,Measurement of the Thermodynamic Properties of Single Phases,Ch.5,Goodwin,A.R.H.,Marsh,K.N.,Wakeham W.A.,Eds.;Elsevier for International Union of Pure and Applied Chemistry:Amsterdam,2003;pp 208−225]。管は、質量を小さくすることができる点および機械的な衝撃(局所加速度の急変および結果として加わる大きな力)の支持によく適する点で、ワイヤ線(ならびに他のツール搬送法およびMWD)に別の利点を提供する。実際、管の内径が小さいほど、管の内外の圧力差に耐える能力を依然として維持しつつ、外径も小さくなる。管の製作に使用される材料の種類および弾性特性が、管壁が耐えることができる圧力差の絶対値を決定する。
【0009】
多くの密度計は、既知の密度を有する較正用流体を使用し、指定の温度で密度を測定することによって較正される。実験室/管理された環境の外で密度の測定を得ようと試みる場合の問題は、大部分の流体の密度が、温度につれて変化する点にある。現在のところ、多くの現行の設計の密度計においては、較正用流体を較正のために密度計へと注入する前に、較正用流体の温度を制御しなければならない。これは、較正用流体を、一定の温度に保たれるよう、温度管理された容器に入れておかなければならないことを意味する。また、容器から密度計までの流体の配管も、送出される流体の温度が移動の際に変化することがないように保証するために、温度制御されなければならないことに注意すべきである。したがって、保管される較正用流体の温度を制御すること、および流体が測定装置へと送られるときに流体の温度が変化しないように保証することが、高価かつ困難なプロセスになる可能性がある。
【0010】
さまざまな種類の密度計などについて、公知の例が存在する。例えば、ここでの言及によってその全体が本明細書に援用されるKratkyらの米国特許第4,170,128号(以下では、「KRATKY]と称する)が、U字形の屈曲式の振動子を温度および圧力に応答する緊張体に接続して備えている装置を示している。しかしながら、上記引例は、最初に管内に存在する流体を第2の流体で完全に置き換えるために大量の流体が必要である形状など、多数の欠点を抱えている。さらに、マイクロリットルというよりはむしろミリリットルに近い内容積を有しており、高い圧力での動作に最適化されていない形状を有している。
【0011】
ここでの言及によってその全体が本明細書に援用されるSparksらの米国特許第7,263,882号(以下では、「SPARKS]と称する)が、化学的濃度に関する密度計であって、流体サンプルがコリオリにもとづくマイクロ流体装置の共振管のマイクロチャネルを通って流れるときに流体の密度の変化を検出することによって、燃料電池溶液の化学的濃度などを測定することができる密度計を示している。SPARKSの装置は、気体および気体混合物の質量流量および密度を検出するためにコリオリにもとづくマイクロ流体装置を使用することを開示しているが、そのような装置の可能性を充分に実現するために、そのような装置の感度において、多くのさらなる改善が必要である。さらに、SPARKSの装置は、シリコンで製作され、マイクロリットル程度の量のサンプル流体で機能する振動管密度計を開示している。SPARKSの装置は、振動要素が薄肉のシリコン管で構成されているため、通常の圧力をはるかに上回る圧力では動作することができない。さらに、SPARKSの装置は、掘削孔で動作することができる装置ではなく、低い圧力および低い温度に限定されている。
【0012】
ここでの言及によってその全体が本明細書に援用されるPelletierらの米国特許第6,378,364号(以下では、「PELLETIER’364号」と称する)が、サンプル空洞および基準空洞の振動周波数から流体の特性を割り出すための密度計を示している。PELLETIER’364号の測定装置は、サンプル流の管、基準流の管、管に取り付けられた振動源および検出器、ならびに測定モジュールを備えている。サンプル流の管が、特性化のためのサンプル流体の流れを受け取る。基準流の管が、充分に明らかにされた特性を有している基準流体で満たされる。基準流の管の圧力を、サンプルと同じ圧力に釣り合わせることができる。測定モジュールが、振動源を使用して両方の管に振動を生じさせる。測定モジュールが、管の振動検出器からの信号を組み合わせ、密度などのサンプル流体の特性を割り出す。とくには、サンプル流体の密度を割り出すために、PELLETIER’364号の測定モジュールは、サンプル流の管と基準流の管との間の共振周波数の相違を測定する。次いで、密度を、式に従って計算することができる。しかしながら、Pelletierの装置の主たる欠点は、とりわけ、動作のための流体としてミリリットル程度の量を必要とする点にあり、大型の装置として開示されるとともに、主として基準と称される第2の管に関する測定が論じられる。さらに、PELLETIER’364号引例の他の主たる欠点は、ツールに既知の特性の流体または真空で満たされる第2の振動管が存在するという考え方にもとづく基準周波数の使用ゆえに、非現実的かつ商業的に生き残れない点にある。またさらに、PELLETIER’364号引例は、例えば磁石を管に取り付け、ピックアップコイルで検出するなど、装置の構造ゆえの基準周波数を必要とする。
【0013】
ここでの言及によってその全体が本明細書に援用されるPELLETIERの米国特許第6,543,281号B2明細書(以下では、「PELLETIER’281号」と称する)が、掘削孔用振動管密度計を示している。しかしながら、PELLETIER’281号の掘削孔用振動管密度計は、管の内径が5mm程度であり、センサの体積が少なくとも数十ミリリットルになる。PELLETIER’281号は、上述のように、動作のためにミリリットル規模の量の流体を利用し、加振または検出のいずれかの部品を管に固定する必要があるため、センサの感度が低くなるという他の欠点も抱えている。
【0014】
本出願と同じ譲受人へと譲渡されており、ここでの言及によってその全体が本明細書に援用されるPermuyらの米国特許出願公開第2008/0156093号(以下では、「PERMUY」と称される)が、流れ配管用の市販の密度計(InSitu Density)を示している。PERMUYの装置は、測定対象の流体中で振動させられる機械要素の使用にもとづくセンサ装置を示している。しかしながら、PERMUYのセンサ装置は、少なくとも数ミリリットルの流体を必要とする。
【0015】
Anton Paar社が、多くの場合に、実験室用振動管密度計の世界的なリーダと考えられる。最近に導入された型式は、今や20,000psiおよび高い温度で動作することができる。しかしながら、この装置は、密度を測定するために数ミリリットルの流体を必要とする。Anton Paar社の引例は、圧力環境で働くための圧力ハウジング(pressure housing)を持たない装置を開示している。さらに、Anton Paar社の引例は、動作のためにミリリットル規模の量の流体を必要とし、これは地下環境に適さない。
【0016】
より最近では、振動管の一部または全体を磁界内に配置し、管の本体そのものに振動電流を通すことによって、駆動を達成できることが明らかになっている[J.Herrero−A’lvarez,G.Gonza’lez−Gaitano,and G.Tardajos,Rev.Sci.Instrum.68,3835(1997)およびR.F.Chang and M.R.Moldover,Rev.Sci.Instrum.67,251(1996)]。例えば、ChangおよびMoldoverの引例(以下では、「CHANG」と称する)が、電磁石および密度計の管に取り付けられる付加物をなくすとともに、高い温度で動作することができる振動管の設計を開示している。CHANGは、13.8MPa未満の圧力で298K(約900kg×m−3)〜575K(約600kg×m−3)の間のトルエンの密度の測定を開示している。しかしながら、この装置には多数の欠点が存在する。なぜならば、第1には、圧力ハウジングが開示されておらず、第2には、開示されている装置が、電気絶縁体または類似の同様の装置が組み込まれていないために、電気的な問題を抱えると考えられるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、上述の従来技術の限界を克服する方法および装置について、ニーズが存在する。これに限られるわけではないが、例えば、掘削による穴において直面される高い温度、圧力、衝撃、および振動の条件下で機能することができ、使用する流体サンプルの量が100マイクロリットル以下であり、系への温度および圧力の影響に関係する誤差を実質的に取り除き、装置の外部に位置する外的影響からの電気雑音を抑える高精度の密度計を提供することができる装置および方法について、ニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を割り出すための装置を含む。装置は、少なくとも1つの流体サンプルを受け入れるように構成された管を備えており、管が、圧力ハウジングに配置される。さらに、加振源(excitation source)が、管の振動を生じさせることによって、管の一部分に沿った電流の循環を、少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすように構成されている。またさらに、少なくとも1つの振動センサが、管の振動を測定信号へと変換する。最後に、測定信号を受け取ったプロセッサが、少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性の1つの特性を割り出すために、周波数測定装置を使用して測定信号から共振周波数を割り出す。
【0019】
本発明のいくつかの態様によれば、管が、少なくとも1つの磁石の軸の周囲を実質的に包んで少なくとも1つの磁石の高さを二等分するような構造および配置を有することができる。さらに、少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの流体サンプルで満たされた管の全長の30パーセント以上に接近する構造および配置を有している。またさらに、管は、少なくとも1つの曲がり、2つ以上の曲がり、直線管、1つ以上の形状、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つで構成されるグループから形作られる管形状を有する。管を、圧電装置、電磁石アクチュエータ、または他の振動装置のうちの1つによって振動させることが可能である。さらに、管は、少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性の周波数特性で振動する。管は、保持装置によって固定される少なくとも2つの端部を備え、各々の端部が、保持装置から電気的に絶縁されている。
【0020】
本発明のいくつかの態様によれば、保持装置は、1つ以上の固定装置を備えることができ、各々の固定装置が、電気的に絶縁された装置を含む。割り出されるサンプル流体の1つ以上の特性は、密度、沸点、熱力学的相(thermodynamic phase)、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つであってよい。さらに、サンプルされる流体の体積は、1マイクロリットル、2マイクロリットル以上、100マイクロリットル以下、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つであってよい。1つ以上の流体サンプルは、気体、液体、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つであってよい。さらに、1つ以上の流体サンプルは、1つ以上の懸濁固形物、1つ以上のゲル、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つを含むことができる。さらに、1つ以上の流体サンプルを、少なくとも1つの導入口および少なくとも1つの排出口のうちの1つから電気的に絶縁することができる。さらに、本発明において、管を少なくとも1つの導入口および少なくとも1つの排出口へと流体に関して接続することができ、電気絶縁手段が、少なくとも1つの導入口、少なくとも1つの排出口、少なくとも1つの導入口に進入する少なくとも1つの流体、または少なくとも1つの排出口から出る少なくとも1つの流体のうちの1つから管を電気的に絶縁する。
【0021】
本発明のいくつかの態様によれば、装置が、350C以下の温度または35,000psi以下の圧力のうちの1つにおいて動作可能であってよい。さらに装置は、少なくとも1つの流体サンプルが静止中または運動中のうちの一方であるときに、少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を割り出すことができる。またさらに、装置は、少なくとも1つの流体サンプルを管への進入前にろ過するフィルタをさらに備えることができる。フィルタは、地層(formation)流体を泥水ろ過液から分離する微多孔膜を含むことが可能である。例えば、微多孔膜を使用して地層の油を泥水ろ過液から分離することができる(本出願と同じ譲受人に譲渡済みの出願公開第2006/0008913号を参照)。
【0022】
本発明のいくつかの態様によれば、装置が、1つ以上の振動モードで動作することができる。例えば、U字形の管においては、1つ以上の振動モードのうちの第1のモードが、上下運動を生じさせることができ、1つ以上の振動モードのうちの第2のモードが、横から横への運動を生じさせることができ、1つ以上の振動モードのうちの第3のモードが、ねじり運動を生じさせることができる。装置を、リザーバツールまたは油田作業のためのツールのうちの1つなどのツールに配置することができる。さらに、圧力ハウジングが、掘削孔(downhole)の環境において動作するように装置の外側を装置の外部の圧力から保護すべく密閉を行うことができる。またさらに、圧力ハウジングは、装置の外部の圧力から装置の外側を保護するために密閉を行うことができるとともに、装置を迷走外部インピーダンス(stray exterior impedance)から電気的に絶縁する。
【0023】
本発明のいくつかの態様によれば、装置が、管、加振源、少なくとも1つのセンサ、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つを固定するために、一体または非一体の一方である電気的に絶縁された保持装置を備えることができる。電気的に絶縁された保持装置は、1つ以上の固定装置を含むことができ、各々の固定装置が、管、加振源、少なくとも1つのセンサ、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つから電気的に絶縁される。さらに、1つ以上の固定装置は、少なくとも1つの管固定装置と、少なくとも1つの磁石固定装置と、少なくとも1つの管固定装置、少なくとも1つの磁石固定装置、または少なくとも1つの他の固定装置のうちの1つを固定するための少なくとも1つのユニット固定装置と、を含む。少なくとも1つの振動センサは、静電トランスデューサ、圧電トランスデューサ、電気ピックアップコイル、電気機械センサ、誘導コイル、光デバイス、または他の振動検出装置のうちの1つで構成されるグループからのものであってよい。
【0024】
本発明のいくつかの態様によれば、本発明は、少なくとも1つの流体サンプルの温度、少なくとも1つの流体サンプルの圧力、管の温度、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つの温度または圧力のうちの1つを検出するための少なくとも1つのセンサをさらに備えることができる。少なくとも1つのセンサまたは少なくとも1つの振動センサは、管に物理的に接触しているか、あるいは管に物理的に接触していないかの一方であってよい。少なくとも1つの振動センサを、管の振動を生じさせるように構成することができる。少なくとも1つの振動センサは、管が少なくとも1つの磁界に対して運動するときに管の一部分に沿って誘導される電磁気力(emf)またはemf電圧を検出することによって管の運動を検出することができる。さらに、誘導されるemfまたはemf電圧は、100ミリボルト以下である。またさらに、誘導されるemfまたはemf電圧が、100ミリボルト以下であり、プロセッサによる処理に先立って約100倍〜1,000倍の範囲の増幅を必要とする。測定信号は、電気信号であってよい。
【0025】
本発明のいくつかの態様によれば、少なくとも1つの磁石が、少なくとも1つの流体サンプルで満たされた管の全長の35パーセント以上に接近する構造および配置を有することができる。さらに、少なくとも1つの磁石が、より強い磁界をもたらすことで装置の精度を向上させるために、少なくとも1つの流体サンプルで満たされた管の全長の50パーセント以上に接近する構造および配置を有することができる。またさらに、加振源は、少なくとも1つの電磁石、少なくとも1つの機械共振器、少なくとも1つの静電デバイス、少なくとも1つの圧電デバイス、または他の加振装置のうちの1つで構成されるグループからのものであってよい。加振源を、別の加振源で置き換えることができ、別の加振源は、少なくとも1つの機械共振器、静電デバイス、圧電デバイス、光デバイス、または他の加振装置のうちの1つで構成されるグループからのものである。さらに、電流は、交流電流または脈動電流のうちの1つであってよい。加振源は、時間につれて電流の方向を交互させることによって管の振動を生じさせることができる。またさらに、加振源は、管に物理的に接触しているか、あるいは管に物理的に接触していないかの一方である。少なくとも1つの磁石を、非湾曲形状、箱状の形状、または矩形の形状のうちの1つとして形作ることができる。さらに、管は、100マイクロリットル以下の内容積を有する空洞を有することができる。
【0026】
本発明のいくつかの態様によれば、プロセッサを、管の振動周波数応答、管の振動振幅、少なくとも1つの流体サンプルの温度、管の温度、装置の1つ以上の温度、装置の1つ以上の圧力、または装置の1つ以上の外部の圧力のうちの1つを割り出すように構成することができる。さらに、プロセッサを、少なくとも1つの流体の以前に記録された圧力測定、少なくとも1つの流体の以前に記録された温度測定、管の以前に記録された温度、装置の1つ以上の以前に記録された温度および圧力、1つ以上の掘削孔の1つ以上の以前に記録された履歴データ、または他の以前に記録された油田適用データのうちの1つを保存するように構成することができる。プロセッサを、加振源の1つ以上の振幅を割り出すように構成することも可能である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明は、表面環境または地下環境の一方において少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を割り出すための装置を含む。装置は、少なくとも1つの流体サンプルを受け入れるように構成された管と、管の振動を生じさせることによって、管の一部分に沿った電流の循環を少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすように構成された加振源とを備える。さらに、本発明は、装置の外部に位置する外的影響に由来する導電性を抑えるために、少なくとも1つの導入口または少なくとも1つの排出口のうちの一方について管に対する電気的絶縁をもたらす電気絶縁装置を備える。さらに本発明は、管の振動を測定信号へと変換する少なくとも1つの振動センサを備える。最後に、本発明は、測定信号を受け取り、周波数測定装置を使用して測定信号から共振周波数を割り出して、少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性の1つの特性を割り出すプロセッサを備える。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明は、表面環境または地下環境において少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を測定するための方法を含む。この方法は、a)少なくとも1つの流体サンプルを、圧力ハウジング内に配置された容器であって、或る内部流体体積を有する容器へと受け入れるステップと、b)容器を加振源で振動させることによって、管の一部分に沿った電流の循環を少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすステップと、c)管の振動を容器の振動周波数である測定信号へと変換する振動センサで、容器の振動を検出するステップと、d)サンプル容器とは無関係な周波数基準から基準信号を生成し、基準周波数をプロセッサによって記録するステップと、e)容器の振動周波数をプロセッサへと通信し、通信された容器の振動周波数と記録された基準周波数との間の周波数比をプロセッサによって割り出すステップと、f)周波数比を少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性へと変換するステップと、を含んでいる。
【0029】
本発明のいくつかの態様によれば、本発明は、少なくとも1つの流体サンプルの密度の測定値であってよい少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を含む。さらに、容器は、内部流体体積が100マイクロリットル以下であるように少なくとも1つの流体サンプルを保持することができる管または中空構造のうちの1つを備えることができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明は、地下環境、表面環境、または両方のうちの1つにおいて少なくとも1つの流体のサンプルの密度などの1つ以上の特性を測定するためのシステムを含む。このシステムは、a)少なくとも1つの流体サンプルを、圧力ハウジング内に配置された950マイクロリットル以下の内部流体体積を有する中空構造へと受け入れることと、b)装置の外部に位置する外的影響に由来する導電性を抑えるために、少なくとも1つの導入口、少なくとも1つの排出口、または両方のうちの1つを、電気絶縁装置によって管に対して電気的に絶縁することと、c)容器を振動させて容器の振動周波数を有する振動信号を取得し、容器の振動周波数をプロセッサへと通信することと、d)容器とは無関係な周波数基準から基準信号を生成し、基準周波数をプロセッサによって記録することと、e)記録された基準周波数と通信された容器の振動周波数との間の周波数比を割り出すことと、f)周波数比を少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性へと変換することと、を含んでいる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明は、地下環境において単相または混相のうちの一方である少なくとも1つの流体のサンプルの1つ以上の特性を測定するための方法を含む。この方法は、a)少なくとも1つの流体のサンプルを容器へと受け入れるステップと、b)容器を振動させて容器の振動周波数を有する振動信号を取得し、容器の振動周波数をプロセッサへと通信するステップと、c)容器とは無関係な周波数基準から基準信号を生成し、基準周波数をプロセッサによって記録するステップと、 d)記録された基準周波数と通信された容器の振動周波数との間の周波数比を割り出すステップと、e)周波数比を少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性へと変換するステップと、を含んでいる。
【0032】
本発明のいくつかの態様によれば、本発明は、少なくとも1つの流体サンプルの密度の測定値であってよい少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性を含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明は、マイクロ流体量の流体の密度または他の流体特性の測定に関する。本発明は、幅広い範囲の温度および圧力において動作することができる丈夫な密度計を記載する。現在の油田の作業は、そのような能力が必要とされる場所において、30,000psiまたはそれ以上の圧力および200Cまたはそれ以上の温度を含んでいる。本発明の適用は、表面および地下の用途を含むと考えられる。本発明の少なくとも1つの実施形態のようなマイクロ流体量の正確な密度測定の有用性を示すいくつかの例が存在する。例1:調査の段階において、最近に掘削された開いた坑井は、典型的には、地層の炭化水素と混ざり合って汚染の源をもたらす掘削流体で満たされる。代表的な地層の流体を得るために、Schlumberger社のModular Dynamics Tester (MDT)などの地層評価ツールが、ワイヤラインまたはドリルパイプによって坑井へと運ばれ、地層の流体が多孔性の岩の表面からツールへと送られる。初期には、流体はもっぱら泥で構成されるが、数時間の経過を経て汚染のレベルが低下し、流体が現場の炭化水素をより代表するようになる。この方法を、地層の油を泥水ろ過液から分離する微多孔膜(本出願と同じ譲受人に譲渡済みの出願公開第2006/0008913号を参照)を使用することによって大きく加速させることができるが、流体の分離の速度は、1000マイクロリットル/分よりも大幅に低く、マイクロ流体量で動作することができる密度センサが必要である。例2:炭化水素を含んでいる岩石コアサンプルが、調査の段階において得られ、実験室での分析のために地表へと運ばれることが多い。これらのコアに含まれる流体の量は、典型的には1ml未満である。これらのコア内の流体を第2の流体で押し出し、この押し出しの際に地層流体の密度を測定できると、好都合であると考えられる。やはり、これを行うためには、マイクロリットルの流体で正確な測定を行うことができる密度センサが必要と考えられる。例3:数ミリリットル(または、それ以下)の原油について完全なPVT(圧力−体積−温度)分析を実行することが、好都合であると考えられる。とくには、そのような少量は、いくつかの温度へと素速く掃引または走査することができる。そのようにするために、密度を1つまたは2つの段階にて測定する必要があると考えられ、数マイクロリットル以下の流体でサンプルの密度を正確に測定することができる密度計を有することが、必要であると考えられる。このように、以上の3つの例から認められるように、とりわけ数マイクロリットルの流体での密度の測定を提供できると同時に、上述のような高い圧力および高い温度で動作することができる正確な密度計に、ニーズが存在することに注目すべきである。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施形態の別の利点は、本発明が、流体の密度を正確に報じるために密度計へと送る必要がある流体の量を、最小限にできる点にある。
【0035】
本発明のさらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することで、より容易に明らかになるであろう。
【0036】
本発明が、以下の詳細な説明において、後述される複数の図を本発明の典型的な実施形態の例(ただし、これらに限られるわけではない)として参照して、さらに説明される。図面のいくつかの図を通して、類似の参照番号は類似の部品を表している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】2枚のプレートの間にクランプされ、SmCo磁石などの永久磁石の周囲に巻き付けられた本発明のいくつかの実施形態による振動管の概略図を示しており、電流が管を通って駆動され、結果としてのローレンツ力が管をねじりモードで駆動し、生じるemf(ファラデーの法則)が管の速度に比例する。
【図2】本発明の少なくとも1つの実施形態に従って使用することができる少なくとも1つの圧力ハウジングを、これに限られるわけではない例として示している。
【図2a】これに限られない例として、本発明の少なくとも1つの実施形態に従って圧力ハウジングとして使用することができる米国特許第7,114,562号に記載の種類の掘削同時サンプリング検層装置の概略図を示している。
【図3】水平方向の矢印によって示されるとおりの磁界の方向を示しており、本発明のいくつかの態様によるねじりモードの運動が、分かり易くするために誇張された湾曲した矢印で示されている。
【図4】本発明のいくつかの態様に従って管の反対向きの力によって励起されるねじり共振モードを示しており、運動の実際の振幅は、約10ミクロンである。
【図5】本発明のいくつかの態様による25Cおよび大気圧のいくつかの流体についての密度−振動管の共振周波数のプロットを示しており、式(3)の当てはめが、データに重ね合わせて示されている。
【図6】本発明のいくつかの態様に従い、ヘプタン(赤)およびトルエン(黒)についての密度のずれ−密度のプロットを、ずれを密度に対してプロットして示しており、これらの測定は150Cという高い温度および10,000psiという高い圧力で行われ、精度は典型的には+/−0.5パーセントよりも良好である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書に示される細目は、あくまでも例であって、本発明の実施形態を解説する目的のためのものにすぎず、本発明の原理および概念的態様について最も有用かつ容易に理解されると考えられる説明を提供するという動機で提示されている。この点に関して、本発明の構造的な詳細を、本発明の基本的な理解に必要であるよりも詳しく示そうとする試みは行わない。本明細書を図面と併せて検討することで、本発明のいくつかの形態を実施においてどのように具現化できるのかが、当業者にとって明らかになるであろう。さらに、種々の図において、類似の参照番号および呼称は類似の構成要素を示している。
【0039】
本発明の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を割り出すための装置を含む。装置は、少なくとも1つの流体サンプルを受け入れるように構成された管を備えており、管が、圧力ハウジングに配置される。これらに限られるわけではないが、例として、圧力ハウジングは、油田検層(logging)ツール、油田ツール、あるいは地下環境または表面のいずれかで使用されるツールであってよい。さらに、加振源が、管の振動を生じさせることによって、管の一部分に沿った電流の循環を、少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすように構成されている。またさらに、少なくとも1つの振動センサが、管の振動を測定信号へと変換する。最後に、測定信号を受け取ったプロセッサが、少なくとも1つのサンプル流体の1つ以上の特性の1つの特性を割り出すために、周波数測定装置を使用して測定信号から共振周波数を割り出す。
【0040】
図1が、2枚のプレート600a、600bの間にクランプされ、SmCo磁石250などの永久磁石の周囲に巻き付けられた振動管200の概略図を示しており、電流が管200を通って駆動され、結果としてのローレンツ力が、管200をねじりモードで駆動し、生じるemf(ファラデーの法則)が、管の速度に比例する。運動を、ファラデーの法則に起因して生じる小さなemf電圧(図1)を測定することによって監視できることに、注意すべきである。本発明は、約1/32インチの外径および20マイクロリットル未満の流体サンプリング容積を有する管内の測定値を割り出すために、最大15,000psiまたはそれ以上の高い圧力および最大150℃またはそれ以上の高い温度へと適用可能である。いくつかの油田の用途においては、15,000psiの圧力(圧力が35,000psiにもなりうることに、注意すべきである)に加えて、温度が現時点において150C(350Cにもなりうることに、注意すべきである)に達する可能性があることに、注意すべきである。さらに、管の直径が、より大きくても、あるいはより小さくてもよく、流体サンプリング容積は、最大1000マイクロリットルであってよい。またさらに、この密度計において使用される管は、例えばステンレス鋼または類似の特性を有する他の関連の材料で作られるが、そのような材料に限られるわけではない。例えばチタンまたはニッケルなど、他の種類の金属も使用可能である。外径および内径は、それぞれ約1/32インチ(0.03125インチ)および約0.020インチである。U字管を、2つの金属プレートまたはブロックが、マイカなどの誘電材料からなる少なくとも1つの層によって管から電気的に絶縁されるように、2つの金属プレートの間にクランプすることができ、あるいは銅などの2つの金属ブロックへとろう付けすることができ、ここで管の各々の「脚部」は、およそ4.5cmの長さ(図1)である。 管の端部を、約20μlというおよその総内容積(上述のように、総内容積は最大で約1000μlであってよい)を生じるように、約1cmの直径の半円へと曲げることができる。管について、直線状の管または磁石の周囲で急に方向を変えるようにカムシャフト状に曲げられた管など、他の形状も考えることが可能である。銅ブロック600a、600bを、ねじなどの固定装置700によって金属プレート400へと固定することができ、薄いマイカシート(図示されていない)または他の何らかの類似の絶縁材料でプレートから絶縁することができる。永久磁石(SmCo、高さ1cm、長さ3cm、幅0.6cm)250が、ループの内側に配置され、交流電流が、管200に通される。さらに、磁石を、ねじまたは何らかの同様の磁石固定手段など、磁石固定装置500によって固定することができる。典型的な高圧流体システムは、金属製の流れ配管を電気接地面へと接続しており、結果として、流体の密度の測定に使用される信号を完全には台無しにしないかもしれないが変化させてしまうと考えられる迷走インピーダンスが持ち込まれる。プラスチック製の結合体が、振動管200を電気的に絶縁し、振動管を電気的に浮いた状態にすることができる。しかしながら、プラスチック製の結合体は、掘削孔の状況など、強い衝撃、高い温度、または高い圧力の環境条件のもとでは、信頼性が充分でない可能性がある。したがって、つなぎ合わせられる2つの管を電気的に絶縁することができるとともに、強い衝撃および高い温度の装置の状況において機能することができる高圧流体継ぎ手の開発が、必要となる可能性がある。管200への電気的な接続を、直接的なはんだ付けによって生み出すことができ、あるいはナットとねじまたは何らかの他の固定装置によって各側へと配線を取り付けることによって生み出すことができる。あるいは、配線を、管がろう付けされた金属ブロックへと直接接続することができる。磁石250を、管200のループが磁石の長軸の周囲に巻き付いて磁石の高さを二等分するように、ループの中心に注意深く位置させることができる(図1および図2)。流体が、管200が少なくとも1つの導入口と少なくとも1つの排出口とを有するように、管200へと流通可能に接続される。
【0041】
図2が、本発明の少なくとも1つの実施形態に従って使用することができる少なくとも1つの圧力ハウジングを、これに限られるわけではない例として示している。とくには、図2は、本発明の少なくとも1つの実施形態を使用することができる油井現場システムを示している。油井現場は、陸上または沖合であってよい。この典型的なシステムにおいて、掘削孔11が、周知のやり方での回転掘削によって、地下の地層に形成されている。本発明の実施形態は、後述されるように、傾斜掘りを使用することも可能である。
【0042】
さらに図2を参照すると、ドリルストリング12が、掘削孔11の中へと吊り下げられており、下端にドリルビット105を備える孔下部アセンブリ100を有している。地上システムが、掘削孔11の上方に位置するプラットフォーム/デリックアセンブリ10を備えており、アセンブリ10は、回転テーブル16、ケリー17、フック18、および回転スイベル19を備えている。ドリルストリング12が、ドリルストリングの上端においてケリー17に係合する手段(図示されていない)によって駆動される回転テーブル16によって回転させられる。ドリルストリング12は、トラベリングブロック(やはり図示されていない)へと取り付けられたフック18から、ドリルストリングをフックに対して回転可能にするケリー17および回転スイベル19を介して吊り下げられている。周知のとおり、上部駆動システムを代案として使用することが可能である。
【0043】
さらに図2を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、地上システムが、油井現場に形成されたピット27に収容された掘削流体または泥26をさらに含んでいる。ポンプ29が、掘削流体26をスイベル19のポートを経由してドリルストリング12の内部へと届け、掘削流体を方向の矢印8によって示されるとおりにドリルストリング12を通って下方へと流す。掘削流体は、ドリルビット105のポートを介してドリルストリング12から出て、方向の矢印9によって示されるように、ドリルストリングの外側と掘削孔の壁との間の環状の領域を通って上方へと循環する。この周知のやり方において、掘削流体がドリルビット105を潤滑し、再循環のためにピット27へと戻るときに地層の掘削物を地上へと運ぶ。
【0044】
さらに図2は、掘削同時検層(LWD)モジュール120と、掘削同時計測(MWD)モジュール130と、回転操舵(roto−steerable)システムおよびモータと、ドリルビット105とを有する孔下部アセンブリ100を示している。
【0045】
さらに図2は、この技術分野において公知のとおり、特別な種類のドリルカラーに収容されているLWDモジュール120を示しており、1つまたは複数の公知の種類の検層ツールを含むことができる。また、例えば120Aに示されているように、2つ以上のLWDおよび/またはMWDモジュールを使用できることを、理解できるであろう(全体を通して、120の位置のモジュールへの言及は、120Aの位置のモジュールも同様に意味することができる)。LWDモジュールは、情報を測定、処理、および保存する能力、ならびに地上の設備と通信する能力を備えている。本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、LWDモジュールが、流体サンプリング装置を備えることができる。本発明の少なくとも1つの実施形態を、流体サンプリング装置に流体に関して接続することができる。
【0046】
さらに図2は、この技術分野において公知のとおり、やはり特別な種類のドリルカラーに収容することができ、ドリルストリングおよびドリルビットの特性を測定するための1つ以上の装置を含むことができるMWDモジュール130を開示している。MWDツールは、掘削孔システムへの電力を発電するための装置(図示されていない)をさらに備えている。これは、典型的には、掘削流体の流れを動力とするマッドタービン(mud turbine)発電機を備えることができるが、他の動力および/または電池システムも使用できることを、理解できるであろう。この実施形態において、MWDモジュールは、以下の種類の測定装置のうちの1つ以上を備え、すなわちビット荷重測定装置、トルク測定装置、振動測定装置、衝撃測定装置、スティックスリップ測定装置、方向測定装置、傾斜測定装置、または他の何らかの測定種類の装置のうちの1つ以上を備える。
【0047】
図2aは、これに限られない例として、LWDツール120またはLWDツール一式120Aの一部として利用される掘削同時サンプリング検層装置であって、ここでの言及によって本明細書に援用される米国特許第7,114,562号に記載の種類の装置の概略図を示している。LWDツール120は、地層との流体の連絡を確立し、矢印によって示されるとおりにツールへと流体21を引き込むプローブ6を備えている。プローブを、LWDツールのスタビライザ板23に配置し、そこから掘削孔の壁に係合するように延ばすことができる。スタビライザ板23は、掘削孔の壁に接触する1枚以上のブレードを備えている。プローブ26を使用して掘削孔のツールへと引き込まれた流体を、例えば予備検査および/または圧力のパラメータを割り出すために測定することができる。さらに、LWDツール120は、地表での回収のために流体サンプルを集めるためのサンプル室などの装置を備えることができる。また、掘削ツールおよび/またはプローブを掘削孔の壁へと押し付けるべく力を加えるうえで助けとなるように、バックアップピストン81を設けることができる。
【0048】
図3が、電流源(例えば、0.5アンペアの電流源)からの周期的なバースト(burst)で自身の固有の共振周波数で加振されることによって駆動されて振動することができる振動管200を示している。例えば、各々のバーストを、管の共振周波数に位置する10周期の振動電流で構成することができる。ローレンツ力(電流、経路長、および場の強度の積)からもたらされる管200の2つの脚部への反対向きの力ゆえに、ねじり共振モード(図3)を励起させることができる。高い品質係数ゆえに、垂直および水平運動でそれぞれ構成される2つの低い周波数モードは、加振の周波数がねじりモードの周波数に近いとき、大きくは駆動されない。ねじりモード(または、第二高調波モード)を、便宜のために選択することができるが、他のモード(上述のとおり、基本垂直モード(ダイビングボード(diving board)モード)および/または第一高調波(垂直モードまたは並進(side to side)モード)が、センサの別の構成においてはより実用的かもしれない。振動のねじりモードを使用する少なくとも1つの利点は、掘削孔の環境に存在する振動または衝撃によって加振される可能性が低い点にある。得られるemf電圧(ファラデーの法則、閉回路を通過する磁束の時間変化からもたらされる)の振幅は、2ミリボルトの大きさであり、これがデータ取得システムによるデジタル化に先立って100倍に増幅される(図4)。
【0049】
図4を参照すると、品質係数が数千またはそれ以上であるため、リングダウンの際にきわめてわずかな振幅の減少しか認められないことに注意すべきである。回帰を、指数関数的に弱まる正弦関数によって実行し、そこから共振周波数を抽出した。共振周波数は、典型的には約1000Hzであり、1秒の測定の標準偏差は、典型的には0.02Hz程度であった。他の方法も、共振周波数の測定において利用可能であり、当業者にとって自明であろう。例えば、加振周波数を広い周波数範囲にわたって掃引し、どの加振周波数が最大の振幅を生じさせるかを判断することができる。同様に、所与の時間内のゼロ交差の回数が共振周波数を示すので、それを数えてもよい。
【0050】
振動管密度計の共振周波数fを、下記のように有効ばね定数kおよび総質量mに関連付けることができる。

式(1)
総質量mは、管の質量mtubeと流体の質量ρVとで構成され、ここでVは管の容積であり、ρは流体の密度である。質量を代入し、流体の密度について解くと、以下の式がもたらされる。

式(2)
上記式(2)を、2つの較正定数A(T,P)およびB(T,P)によって書き直すことができ、ここでPおよびTは、それぞれ圧力および温度に対応し、密度および周波数が同じ熱力学特性に依存することが理解される。

式(3)
【0051】
図5を参照すると、最初にセンサの共振周波数fが、すべての密度範囲を含むように25Cおよび大気圧においていくつかのサンプル流体(例えば、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン)によって測定された。流体の密度が大きいほど周波数が低くなることを見て取ることができ(図5)、このデータに式(3)を当てはめることで、AとB(それぞれ、1.224×10 Hzg/ccおよび8.908 g/cc)を割り出すことができる。誤差の原因を、特定の場合において流体の密度が不充分にしか知られていないことに起因すると推測できるが、フィッティングルーチンを用いた共振周波数の割り出しの不正確さに主として起因すると推測することができることに、注意すべきである。
【0052】
さらに図5を参照すると、文献[B.Lagourette,C.Boned,H.Saint−Guirons,P.Xans and H.Zhout,,Meas.Sci.Technol.3,699(1992)およびM.J.P.Comunas,J−P.Bazile,A.Baylaucq,C.Boned,J.Chem Eng.Data 53,986(2008)]において見つけることができるいくつかの既存の高圧高温(HPHT)較正技法が存在するが、本発明のための較正手順は、例えばこれに限られるわけではないが、ばね定数が圧力とは無関係であると見積もる。使用される技法は、真空にされた振動管の共振周波数を調査される温度の全範囲にわたって前もって測定すること、および水で満たされた振動管の共振周波数を測定のすべての温度および圧力の範囲にわたって前もって測定することを必要とする。実際には、種々の(T,P)の組み合わせにおいて周波数測定の採取が行われ、間の値について補間が実行される。簡単化のために、センサが水で満たされた場合および真空下にある場合の周波数の逆数の平方を、それぞれ(Λ)および(Λ)と称する。水の密度(ρ(T,P))の文献値を、NISTによって提供されているものなど、一般的に利用可能なソースから入手することができる。kが圧力に依存しないという近似からもたらされる解釈が、未知の流体の密度ρ(T,P)の測定値についての以下の式をもたらす[上述のLagouretteらを参照]。

式(4)
【0053】
振動管を、真空時に周囲温度から150Cまでの範囲のいくつかの温度において周波数を測定することによって較正した。実際には、これを、空気の密度は較正へと吸収することが可能なずれしか生み出さないと考えられるため、空気で満たされた振動管において行った。空気の密度(1.2kg/m)が我々の測定に系統だったずれ(典型的な流体の密度において0.1%)を持ち込むことに注意および同意すべきであるが、理想気体の法則ゆえに我々の実験の最中の空気の密度の変化が25%未満であることを思い起こせば、このずれがおおむね一定であり、較正へと吸収可能であることに注意すべきである。さらに、我々は、空気で満たされたセンサと真空下のセンサとの間の0.08Hzの差を測定したが、これは、適切に補償されない場合、測定される密度に0.13%のずれを加える。共振周波数の逆数の平方(Λ)を任意の温度に内挿できるよう、データに二次の多項式を当てはめた。次に、センサを水で満たし、補間によって任意の指定の温度および圧力について周波数の逆数の平方Λを計算できるよう、同じ温度についていくつかの別々の圧力において共振周波数を測定した。これらの単純な自動測定による2組の測定により、較正を完了させた。使用される圧力および温度の範囲に応じて、別のより適切な較正方法を使用してもよい。本明細書に記載の較正方法は、我々の用途に最も適切であると考えられる較正方法を説明しているにすぎない。
【0054】
図5および図6を参照すると、次にセンサをヘプタンおよびトルエンなどの流体で満たし、同様の一連の測定を行った。図5が、不一致度のプロットを示しており、データの大部分が+/−0.3%の間に位置している一方で、わずかに大きい不一致を有する少数のアウトライアが存在している。測定は、150Cという高い温度および15,000psiという高い圧力で行われた。測定値の平均再現性は、約0.1%であった。1秒のデータの標準偏差は、約0.03Hzまたはそれ以下であった。これらのデータおよび他のデータを、センサの長期安定性を試験するために、数ヵ月の経過において取得した。共振周波数に時間に関して上方のドリフトが存在し、不一致のデータを負になるように付勢しているように見受けられた。はるかに高い温度でのセンサの適切なアニーリング(「通電テスト)」が、これを測定不可能なほどに小さくすることが明らかになっている。
【0055】
本発明の実施形態によれば、本発明は、20マイクロリットルの流体または最大1000マイクロリットルの流体で動作するように作られたきわめて正確な振動管密度計であることができる。小型化を開示する少なくとも1つの実施形態は、管に磁石またはピックアップコイルを取り付けることなく管の運動を正確に検出することができ、したがって設計を簡単にすることができる。上述のように、本発明は、最大35,000psiもの高い圧力および350kという高い温度に適用可能である。
【0056】
本発明の1つ以上の実施形態を説明した。しかしながら、本発明の技術的思想および技術的範囲から離れることなく、種々の変更が可能であることを、理解できるであろう。上述の例が、あくまでも説明を目的として提示されており、決して本発明を限定するものとして解釈されてはならないことに、注意すべきである。本発明を、典型的な実施形態を参照して説明したが、本明細書において使用した用語が、限定の用語というよりはむしろ説明および解説の用語であることを、理解すべきである。現状および補正後の添付の特許請求の範囲の技術的範囲において、本発明の技術的範囲および技術的思想から離れることなく、その態様について変更が可能である。本発明を、本明細書において特定の手段、材料、および実施形態に関して説明したが、本発明は、それら本明細書に開示の細目に限定されるものではなく、むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に包含されるような機能的に同等のすべての構造、方法、および用法まで広がる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を割り出すための装置であって、
前記少なくとも1つの流体サンプルを受け入れるように構成され、圧力ハウジング内に配置される管と、
前記管の振動を生じさせることによって、前記管の一部分に沿った電流の循環を少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすように構成された加振源と、
前記管の振動を測定信号へと変換する少なくとも1つの振動センサと、
前記測定信号を受け取り、周波数測定装置を使用して前記測定信号から共振周波数を割り出し、前記少なくとも1つのサンプル流体の前記1つ以上の特性の1つの特性を割り出すプロセッサと
を備えている装置。
【請求項2】
前記管が、前記少なくとも1つの磁石の軸の周囲を実質的に包んで前記少なくとも1つの磁石の高さを二等分するような構造および配置を有している請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁石が、前記少なくとも1つの流体サンプルで満たされた前記管の全長の35パーセント以上に接近する構造および配置を有している請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記管が、少なくとも1つの曲がり、2つ以上の曲がり、直線管、1つ以上の形状、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つで構成されるグループから形作られる管形状を有している請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記管が、圧電装置、電磁石アクチュエータ、または他の振動装置のうちの1つによって振動する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記管が、前記少なくとも1つの流体サンプルの前記1つ以上の特性の周波数特性で振動する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記管が、保持装置によって固定される少なくとも2つの端部を備えており、各々の端部が、前記保持装置から電気的に絶縁されている請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記保持装置が、1つ以上の固定装置を備えており、各々の固定装置が、電気的に絶縁された装置を含んでいる請求項1に記載の装置。
【請求項9】
割り出される前記サンプル流体の前記1つ以上の特性が、密度、沸点、熱力学的相、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つである請求項1に記載の装置。
【請求項10】
サンプルされる流体の体積が、1マイクロリットル、2マイクロリットル以上、100マイクロリットル以下、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つである請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の流体サンプルが、1つ以上の懸濁固形物、1つ以上のゲル、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つを含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ以上の流体サンプルが、少なくとも1つの導入口および少なくとも1つの排出口のうちの1つから電気的に絶縁される請求項1に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの導入口および少なくとも1つの排出口へと流体に関して接続された前記管をさらに備えている請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの導入口、前記少なくとも1つの排出口、前記少なくとも1つの導入口に進入する前記少なくとも1つの流体、または前記少なくとも1つの排出口から出る前記少なくとも1つの流体のうちの1つからの迷走外部インピーダンスから前記管を電気的に絶縁するための電気絶縁手段をさらに備えている請求項13に記載の装置。
【請求項15】
350C以下の温度または35,000psi以下の圧力のうちの1つにおいて動作することができる請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの流体サンプルが静止中または運動中のうちの一方であるときに、前記少なくとも1つの流体サンプルの前記1つ以上の特性を割り出す請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの流体サンプルを前記管への進入前にろ過するフィルタをさらに備えており、該フィルタが、地層流体を泥水ろ過液から分離する微多孔膜を含んでいる請求項1に記載の装置。
【請求項18】
1つ以上の振動モードで動作する請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記1つ以上の振動モードのうちの第1のモードが、上下運動を生じさせ、前記1つ以上の振動モードのうちの第2のモードが、横から横への運動を生じさせ、前記1つ以上の振動モードのうちの第3のモードが、ねじり運動を生じさせる請求項18に記載の装置。
【請求項20】
リザーバツール、掘削同時検層ツール、ワイヤラインツール、恒久監視ツール、または油田作業のためのツールのうちの1つなどのツールに配置される請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記圧力ハウジングが、当該装置の外部の圧力から当該装置の外側を保護するために密閉を行うとともに、当該装置を迷走外部インピーダンスから電気的に絶縁する請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記管、前記加振源、前記少なくとも1つのセンサ、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つを固定するために、一体または非一体の一方である電気的に絶縁された保持装置を備えている請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記電気的に絶縁された保持装置が、1つ以上の固定装置を備えており、各々の固定装置が、前記管、前記加振源、前記少なくとも1つのセンサ、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つから電気的に絶縁されている請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記1つ以上の固定装置が、少なくとも1つの管固定装置と、少なくとも1つの磁石固定装置と、前記少なくとも1つの管固定装置、前記少なくとも1つの磁石固定装置、または少なくとも1つの他の固定装置のうちの1つを固定するための少なくとも1つのユニット固定装置と、を含んでいる請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの振動センサが、静電トランスデューサ、圧電トランスデューサ、電気ピックアップコイル、電気機械センサ、誘導コイル、光デバイス、または他の振動検出装置のうちの1つで構成されるグループからのものである請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの流体サンプルの温度、前記少なくとも1つの流体サンプルの圧力、前記管の温度、またはこれらの何らかの組み合わせのうちの1つの温度または圧力のうちの1つを検出するための少なくとも1つのセンサをさらに備えている請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つのセンサまたは前記少なくとも1つの振動センサが、前記管に物理的に接触しているか、あるいは前記管に物理的に接触していないかの一方である請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの振動センサが、前記管の振動を生じさせるように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの振動センサが、前記管が前記少なくとも1つの磁界に対して運動するときに前記管の前記一部分に沿って誘導される電磁気力(emf)またはemf電圧を検出することによって前記管の運動を検出する請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記誘導されるemfまたはemf電圧が、100ミリボルト以下である請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記誘導されるemfまたはemf電圧が、100ミリボルト以下であり、前記プロセッサによる処理に先立って約100倍〜1,000倍の範囲の増幅を必要とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つの磁石が、より強い磁界をもたらすことで当該装置の精度を向上させるために、前記少なくとも1つの流体サンプルで満たされた前記管の全長の50パーセント以上に接近する構造および配置を有している請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記加振源が、少なくとも1つの電磁石、少なくとも1つの機械共振器、少なくとも1つの静電デバイス、少なくとも1つの圧電デバイス、または他の加振装置のうちの1つで構成されるグループからのものである請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記加振源が、別の加振源で置き換えられ、該別の加振源が、少なくとも1つの機械共振器、静電デバイス、圧電デバイス、光デバイス、または他の加振装置のうちの1つで構成されるグループからのものである請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記加振源が、時間につれて前記電流の方向を交互させることによって前記管の振動を生じさせる請求項1に記載の装置。
【請求項36】
前記加振源が、前記管に物理的に接触しているか、あるいは前記管に物理的に接触していないかの一方である請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記少なくとも1つの磁石が、非湾曲形状、箱状の形状、または矩形の形状のうちの1つとして形作られている請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記管が、1000マイクロリットル以下の内容積を有する空洞を有している請求項1に記載の装置。
【請求項39】
前記プロセッサが、前記管の振動周波数応答、前記管の振動振幅、前記少なくとも1つの流体サンプルの温度、前記管の温度、当該装置の1つ以上の温度、当該装置の1つ以上の圧力、または当該装置の1つ以上の外部の圧力のうちの1つを割り出すように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項40】
前記プロセッサが、前記少なくとも1つの流体の以前に記録された圧力測定、前記少なくとも1つの流体の以前に記録された温度測定、前記管の以前に記録された温度、当該装置の1つ以上の以前に記録された温度および圧力、1つ以上の掘削孔の1つ以上の以前に記録された履歴データ、または他の以前に記録された油田適用データのうちの1つを保存するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項41】
前記プロセッサが、前記加振源の1つ以上の振幅を割り出すように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項42】
表面環境、地下環境、または両方のうちの1つにおいて少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を割り出すための装置であって、
前記少なくとも1つの流体サンプルを受け入れるように構成された管と、
前記管の振動を生じさせることによって、前記管の一部分に沿った電流の循環を少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすように構成され、前記少なくとも1つの磁石が、前記少なくとも1つの流体サンプルで満たされた前記管の全長の30パーセント以上に接近する構造および配置を有している加振源と、
当該装置の外部に位置する外的影響に由来する導電性を抑えるために、少なくとも1つの導入口または少なくとも1つの排出口のうちの一方の前記管に対する電気的絶縁をもたらす電気絶縁装置と、
前記管の振動を測定信号へと変換する少なくとも1つの振動センサと、
前記測定信号を受け取り、周波数測定装置を使用して前記測定信号から共振周波数を割り出し、前記少なくとも1つのサンプル流体の前記1つ以上の特性の1つの特性を割り出すプロセッサと
を備えている装置。
【請求項43】
表面環境または地下環境において密度の測定値などの少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を測定するための方法であって、
a)少なくとも1つの流体サンプルを、圧力ハウジング内に配置された1000マイクロリットル以下の内部流体体積を有する中空構造へと受け入れるステップと、
b)容器を加振源で振動させることによって、前記管の一部分に沿った電流の循環を少なくとも1つの磁石によって生成される少なくとも1つの磁界にさらすステップと、
c)前記管の振動を容器の振動周波数である測定信号へと変換する振動センサで、前記容器の振動を検出するステップと、
d)前記サンプル容器とは無関係な周波数基準から基準信号を生成し、基準周波数をプロセッサによって記録するステップと、
e)前記容器の振動周波数を前記プロセッサへと通信し、該通信された容器の振動周波数と前記記録された基準周波数との間の周波数比を前記プロセッサによって割り出すステップと、
f)前記周波数比を前記少なくとも1つのサンプル流体の前記1つ以上の特性へと変換するステップと
を含んでいる方法。
【請求項44】
地下環境において単相または混相のうちの一方である少なくとも1つの流体のサンプルの1つ以上の特性を測定するためのシステムであって、
a)前記少なくとも1つの流体のサンプルを容器へと受け入れることと、
b)装置の外部に位置する外的影響に由来する導電性を抑えるために、少なくとも1つの導入口、少なくとも1つの排出口、または両方のうちの1つを、電気絶縁装置によって前記管に対して電気的に絶縁することと、
c)前記容器を振動させて容器の振動周波数を有する振動信号を取得し、前記容器の振動周波数をプロセッサへと通信することと、
d)前記容器とは無関係な周波数基準から基準信号を生成し、基準周波数をプロセッサによって記録することと、
e)前記記録された基準周波数と前記通信された容器の振動周波数との間の周波数比を割り出すことと、
f)前記周波数比を前記少なくとも1つのサンプル流体の前記1つ以上の特性へと変換することと
を含んでいるシステム。
【請求項45】
少なくとも1つの流体サンプルの1つ以上の特性を測定するための方法であって、
a)前記少なくとも1つの流体サンプルを容器へと受け入れるステップと、
b)前記容器を振動させて容器の振動周波数を有する振動信号を取得し、前記容器の振動周波数をプロセッサへと通信するステップと、
c)前記容器とは無関係な周波数基準から基準信号を生成し、基準周波数をプロセッサによって記録するステップと、
d)前記記録された基準周波数と前記通信された容器の振動周波数との間の周波数比を割り出すステップと、
e)前記周波数比を前記少なくとも1つのサンプル流体の前記1つ以上の特性へと変換するステップと
を含んでいる方法。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−522252(P2012−522252A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503776(P2012−503776)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030026
【国際公開番号】WO2010/120593
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(509082178)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (16)