説明

掛止装置

【課題】アームを折り畳んで収納する時に、指を挟んでも取付基体とアームとの間に隙間ができて怪我をしにくいようにすること。
【解決手段】本発明の掛止装置は、壁や柱等の被取付体Wに取り付けられる取付基体1に、伸縮アーム3と回動アーム4から成るアーム2の下端を接続具8を介して間接的に回動可能に取り付け、連繋具5でアーム2を斜め上向きの使用状態に保持することができるものである。アーム2が使用状態から回動して略垂直の収納状態に移行しようとする時に、アーム2と取付基体1との間に異物が挟まると、アーム2を軸支している接続具8の下方部が取付基体1から前方に突出して、取付基体1とアーム2の間に隙間ができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁や柱等の被取付体に取り付けられる取付基体に、アームを回動可能に設けて略垂直の収納状態と前方に突出する使用状態に設定することができる掛止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の掛止装置として、特開2005−46586号公報に記載された発明が提案されており、これは、壁や柱等の取付対象Wに固定するための取付部材1と、該取付部材1に起倒自在に連結され、先端部にハンガーHを吊り掛けるための吊掛部3を有する吊掛アーム2と、これらの取付部材1と吊掛アーム2とに両端を連結され、該吊掛アーム2がハンガー吊掛位置Aに延出したときの延出角度を規定する引張部材4とを有する折り畳み式ハンガー掛けである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−46586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例においては、吊掛アーム2が取付部材1に対して斜め上向きに延出している使用状態から、吊掛アーム2を上方へ回動して折り畳んで収納する時に、取付部材1と吊掛アーム2との軸支部に近いところに誤って指を挟んだ場合に、大きな力がかかって怪我をしてしまうという問題があり、本発明は、この問題を解決することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、壁等の被取付体に取り付けられる取付基体に、接続具を介してアームを回動可能に軸支して略垂直の収納状態と前方に突出する使用状態に設定することができる掛止装置であって、接続具は、一端部を取付基体の下部に軸支すると共に、他端部をアームの下部に軸支して成り、アームが使用状態から回動して略垂直の収納状態に移行する時に、アームと取付基体との間に指等の異物が挟まると、アームを軸支している接続具の他端部が取付基体から前方に突出して、取付基体とアームの間に隙間ができるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明によれば、アームを折り畳んで収納する時に、誤って指を挟んでも取付基体とアームとの間に隙間ができて大きな力がかかることがなく、怪我をしにくいという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】使用状態を示す斜視図である。
【図2】収納状態を示す斜視図である。
【図3】指を挟んだ状態を示す側面図である。
【図4】アームを少し前方へ回動させた状態を示す斜視図である。
【図5】取付基体の内部を見せるために一部切り欠いた使用状態を示す斜視図である。
【図6】アームの内部を見せるために一部切り欠いた使用状態を示す斜視図である。
【図7】使用状態を示す縦断面図である。
【図8】収納状態を示す縦断面図である。
【図9】アームを少し前方へ回動させた状態を示す縦断面図である。
【図10】全体の分解斜視図である。
【実施例1】
【0008】
本実施例の掛止装置は、壁や柱等の被取付体Wに取り付けられる取付基体1に、アーム2の下端を接続具8を介して間接的に回動可能に取り付け、連繋具5でアーム2を斜め上向きの使用状態に保持することができるものである。
【0009】
取付基体1は、断面略コ字状の縦長部材で、その上下両端部にはそれぞれ上エンドピース20と下エンドピース21がねじ止めされて取り付けられ、中間部には下向きコ字状のばね受け具9が取り付けられている。
【0010】
取付基体1の上エンドピース20は、縦長で上部に係合部32を設け、中間部に円形ピンの転換具10を取り付けてあり、取付基体1の下エンドピース21は、上部に倒U字状凹部の軸受部31を設けてある。
【0011】
また取付基体1には、上エンドピース20と下エンドピース21との間に、ばね受け具9を覆うように断面略コ字状の縦長部材である繋止具6が収容され、さらにその前面には、上エンドピース20と下エンドピース21との間に断面略コ字状の縦長部材である蓋具17が取り付けられており、この蓋具17は、その上部を上エンドピース20の下部にねじ止めして、繋止具6を覆うように設け、その下部には一対の軸受孔30・30を設けてあり、この一対の軸受孔30・30に挿入される軸25が下エンドピース21の軸受部31に支持される。また、蓋具17の前面板には、中間部に矩形孔の表示窓18及び表示窓19を上下に設けてある。
【0012】
アーム2は、回動アーム4の中に伸縮アーム3を摺動可能に収容して構成されており、伸縮アーム3には、上端部に掛止具11が取り付けられると共に下端部に端部キャップ33が取り付けられ、回動アーム4には、上部に矩形の導入孔39を設けて転換具12が取り付けられると共に、下端部には軸支具23が取り付けられている。
【0013】
掛止具11には物干竿等を掛止する略コ字状の掛止部22を設けると共に、その上端部には係合部32に係止される係止部16を設け、軸支具23には一対の軸受孔27・27を設けてある。引張ばね24が、軸支具23を通って両端を掛止具11に固定されており、伸縮アーム3は、この引張ばね24によって、回動アーム4に対して縮む方向に付勢されている。
【0014】
繋止具6は、取付基体1に対して摺動可能であり、下端部に取り付けたばね受キャップ15と取付基体1に固定されたばね受け具9との間に圧縮ばね7を配設して下方へ付勢されており、また、その上部には連繋具5を繋いである。そして、繋止具6の前面板には、上から順に、黄色の表示部34、赤色の表示部35、表示のない部分を挟んで、黄色の表示部36、赤色の表示部37及び赤色の表示部38をそれぞれ一定幅を持って設けてある。
【0015】
連繋具5は、ベルト状で一端が取付基体1の中の繋止具6に繋がり、取付基体1の上部に取り付けた上エンドピース20から転換具10によって前方に導き出され、回動アーム4の上部から入って転換具12によって下方へ導かれて、他端が伸縮アーム3の下部に繋がっている。
【0016】
接続具8は、上下部に軸受孔28及び軸受孔29をそれぞれ設けてあり、上部の軸受孔28には、蓋具17の一対の軸受孔30・30と合わせて軸25を挿通して軸支し、下部の軸受孔29には、軸支具23の一対の軸受孔27・27と合わせて軸26を挿通して軸支する。そして、上述のように軸25の両端部は、軸受孔28及び一対の軸受孔30・30の外方に突出し、下エンドピース21の軸受部31に軸支されている。
【0017】
本実施例の掛止装置は、取付基体1を取付ねじ13・14で壁や柱等の被取付体Wに固定して使用するもので、2つを1組として間隔をおいて設置し、掛止部22・22に物干竿を掛け渡してもいいし、1つでピンチハンガー等を掛けて使用してもいい。
【0018】
図2及び図8に示すように、掛止具11の係止部16が上エンドピース20の係合部32に係合して、アーム2が取付基体1に平行に一部重なり合うようにコンパクトに収納された状態から、アーム2を少し前方へ回動させると、余っていた連繋具5が伸ばされた状態(図4及び図9参照)となり、物干竿を掛け渡したままの状態で維持することができる。
【0019】
この状態から、さらに回動アーム4を前下方へ回動させると、連繋具5が回動アーム4から繰り出され、引張ばね24の力に抗して伸縮アーム3が持ち上げられて上方に伸びていき、下端部の端部キャップ33が転換具12に当接して、伸縮アーム3が最も長く伸びて、アーム2全体が斜め上向きの使用状態(図1及び図7参照)となる。この状態では、接続具8が少し前方へ回動した状態となっている。
【0020】
この使用状態で掛止部22に荷重がかかると、繋止具6が圧縮ばね7に抗して上方へ移動していき、予め設定した荷重を超えると、取付基体1に取り付けられた蓋具17の表示窓18・19から表示部34〜表示部38が表れて、荷重がかかりすぎていることを3段階で警告するようになっている。
【0021】
すなわち、まず黄色の表示部36が下の表示窓19に表れ、かかる荷重がより大きくなると、上の表示窓18に黄色の表示部34が表れると共に下の表示窓19に赤色の表示部37が表れ、さらにかかる荷重がより大きくなると、上の表示窓18に赤色の表示部35が表れると共に下の表示窓19に赤色の表示部38が表れるようになっている。
【0022】
使用状態からアーム2を収納するには、回動アーム4を上方へ回動して折り畳めば、伸縮アーム3が連繋具5と共に引張ばね24の力によって回動アーム4の中へ収納されていき、掛止具11の係止部16が上エンドピース20の係合部32に係合して、アーム2が取付基体1に平行に一部重なり合う収納状態に保持される。
【0023】
そして、アーム2が使用状態から回動して略垂直の収納状態に移行しようとする時に、図3に示すように、アーム2と取付基体1との間に異物が挟まると、アーム2を軸支している接続具8の下方部が取付基体1から前方に突出して、取付基体1とアーム2の間に隙間ができるようになっており、万が一指を挟んだとしても、指に大きな力がかかることがなく怪我をしにくいようになっている。
【符号の説明】
【0024】
1 取付基体
2 アーム
8 接続具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁等の被取付体に取り付けられる取付基体に、接続具を介してアームを回動可能に軸支して略垂直の収納状態と前方に突出する使用状態に設定することができる掛止装置であって、接続具は、一端部を取付基体の下部に軸支すると共に、他端部をアームの下部に軸支して成り、アームが使用状態から回動して略垂直の収納状態に移行する時に、アームと取付基体との間に指等の異物が挟まると、アームを軸支している接続具の他端部が取付基体から前方に突出して、取付基体とアームの間に隙間ができるように構成したことを特徴とする掛止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−100986(P2012−100986A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253867(P2010−253867)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000148070)株式会社川口技研 (48)