説明

採血及び注射用台

【課題】採血や注射を安全かつ容易に行うことができるようにした採血及び注射用台を提供することにある。
【解決手段】上面が載置面に形成された台本体2と、台本体の載置面に載置される利用者の腕を保持する保持バンド14と、保持バンドに設けられ採血・注射時に利用者の腕を温めるカイロ16を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は注射や採血を行う際に用いられる採血及び注射用台に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、患者などの利用者が注射や採血を受ける場合、利用者は腕を採血及び注射用台の上面に載置して行なう。このような採血及び注射用台としては、たとえば特許文献1に示されるものが知られている。
【0003】
特許文献1に示された採血及び注射用台は本体を有する。この本体には、中間板と腕のせ板とが順次回動可能に連結されていて、これらの板は上下調節金具によって回動角度を設定できるようになっている。
【0004】
したがって、上記上下調節金具によって上記腕のせ板の高さと角度を調整し、その上面に利用者が腕を載せれば、腕の高さや角度を採血や注射をし易い状態に設定できるから、作業性を向上させることができるということがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−187566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、採血や注射を行う際、血管が十分に拡張していないと注射針を血管に刺し難いということがある。血管を拡張させるには腕の注射針を刺す部分を温めることが有効である。
【0007】
しかしながら、腕を単に台の上に載置するだけでは、とくに冬季などは血管が収縮していることがあるから、採血や注射がし難いということがある。
【0008】
この発明は、採血や注射を行う際、腕を温めることができるようにすることで、採血や注射を安全かつ確実に行うことができるようにした採血及び注射用台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上面が載置面に形成された台本体と、
この台本体の載置面に載置される利用者の腕を保持する保持バンドと、
この保持バンドに設けられ採血或いは注射時に利用者の腕を温める加熱手段と
を具備したことを特徴とする採血及び注射用台にある。
【0010】
上記加熱手段はカイロであって、
上記保持バンドには上記カイロを着脱可能に収容する収容部が形成されていることが好ましい。
【0011】
上記台本体は、
外装体と、
上下2つに分割されて上記外装体内に収容された下側部材及び上側部材と、
上記下側部材及び上側部材との間に設けられ給気して膨張させることで上記上側部材を上昇させるエアバッグと
によって構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、台本体に保持バンドを設け、この保持バンドに加熱手段を設けるようにしたから、採血や注射を行う際、上記加熱手段によって腕を温めて血管を拡張させ、採血や注射を容易に、しかも安全に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施の形態を示す全体構成の斜視図。
【図2】台本体の長手方向に沿う縦断面図。
【図3】下側部材に取り付けられたエアーバックを示す斜視図。
【図4】保持バンドの側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1と図2に示す採血及び注射用台1は台本体2を備えている。この台本体2は伸縮性のある布地によって袋状に縫製された外装体3を有する。この外装体3は外周面の下部に設けられたファスナ3aによって開閉可能に形成されていて、その内部には図2に示すように上側部材4と下側部材5が収容されている。
【0015】
上記上側部材4と下側部材5は、合成樹脂や木板などによって矩形状に形成された板材4a,5aと、これら板材4a,5aの外面に重合されるウレタンフォームなどの弾性材4b,5bからなる。板材4a,5aよりも弾性材4b,5bの方が大きな平面積に形成されている。
【0016】
上記下側部材5の板材5aの内面(上面)にはエアーバック6が設けられている。このエアーバック6は、図3に示すように長手方向の中途部が上記板材5aに一端が連結固定され他端が図示しない面状ファスナによって連結される伸縮性を有する一対の取り付バンド7によって保持されている。
【0017】
図1に示すように、上記エアーバック6にはチューブ8が接続され、このチューブ8には給気ポンプ9が設けられている。この給気ポンプ9の圧縮・膨張を繰り返えせば、上記エアーバック6を図3に示すように膨張させることができるようになっている。なお、上記エアーバック6からの排気は上記給気ポンプ9に設けられた排気バルブ11を手動で開放すればよい。
【0018】
そして、上記上側部材4と下側部材5は、図2に示すように上記エアーバック6を挟んで重合されて上記外装体3の内部に収容されている。そして、上記給気ポンプ9が設けられた上記チューブ8は上記外装体3から外部に導出されている。
【0019】
なお、上記上側の弾性材5aの上面は幅方向に沿って湾曲し、外装体3の上面は上側の弾性材5aの上面に対応するよう幅方向に沿って湾曲形成されている。それによって、上側部材4と下側部材5が収容された台本体2の上面は図1に示すように湾曲面2aとなっている。
【0020】
上記外装体3の外周面の上部両側には面状ファスナ13(一側面のみ図示)が長手方向全長にわたって設けられている。左右一対の面状ファスナ13には保持バンド14が長手方向両端部を着脱可能に連結して設けられる。
【0021】
なお、保持バンド14の両端部を上記面状ファスナ13に係着させるには、保持バンド14の両端に上記面状ファスナ13に係着する面状ファスナを設けるようにしてもよいが、保持バンド14を面状ファスナ13に係着可能な布地によって形成するようにしてもよい。
【0022】
そして、上記保持バンド14のは、上記面状ファスナ13に対して係着位置を変えることができるようになっている。それによって、台本体2の上面に載置された利用者の腕を保持する際、その腕を保持バンド14によって十分に圧迫した状態で締め付けることが可能となるから、腕の血管を膨張させることが可能となる。
【0023】
図4に示すように、上記保持バンド14は帯状の2枚の布地14aを縫合して形成されていて、その長手方向中途部には幅方向の一側に開放した収容部15が形成されている。この収容部15には加熱手段としての使い捨てのカイロ16が着脱可能に収容される。
【0024】
このように構成された採血及び注射用台1を使用する場合、採血や注射を行う利用者は腕を台本体2の上面の湾曲面2aに載置した後、保持バンド14によって保持する。この保持バンド14の収容部15にカイロ16を収容しておけば、利用者は上記カイロ16によって腕が温められる。
【0025】
利用者が腕を温められると、腕の血管が拡張する。それによって、腕の血管に注射針が刺し易くなるから、採血や注射を容易に、しかも安全に行うことが可能となる。しかも、利用者の腕が圧迫されるよう台本体2に対して保持バンド14の取付状態を調整すれば、そのことによっても腕の血管が拡張されるから、さらに採血や注射がし易くなる。
【0026】
上記台本体2は外装体3内に上側部材4と下側部材5とが収容され、これら部材4,5の間にはエアーバック6が設けられている。そのため、給気ポンプ9によってエアーバック6に給気して膨張させれば、外装体3を伸張させて上側部材4を上昇させることができる。
【0027】
つまり、台本体2の湾曲面2aの高さを変えることができる。したがって、台本体2による腕の支持高さを、採血や注射をし易い高さに変えることができるから、そのことによっても採血や注射を容易に、しかも安全に行うことができる。
【0028】
しかも、上側部材4と下側部材5との間にエアーバック6設け、このエアーバック6に給気して膨張させるだけで、台本体2の湾曲面2aNO高さを変えることができるため、その高さ調整のための構造が簡単であるばかりか、高さ調整時の操作も容易であるということがある。
【0029】
なお、上記一実施の形態では保持バンドに設けられる加熱手段として使い捨てのカイロを例に挙げて説明したが、上記保持バンドに電池や家庭用電源で温められるヒータを設け、そのヒータに通電して腕を温めるようにしてもよい。電池を用いる場合、その電池を外装体の内部に収容できるようにすれば、取扱いに便利であるばかりか、外観的にも体裁がよい。
【符号の説明】
【0030】
2…台本体、3…外装体、3…上側部材、4…下側部材、6…エアーバック、14…保持バンド、16…カイロ(加熱手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が載置面に形成された台本体と、
この台本体の載置面に載置される利用者の腕を保持する保持バンドと、
この保持バンドに設けられ採血或いは注射時に利用者の腕を温める加熱手段と
を具備したことを特徴とする採血及び注射用台。
【請求項2】
上記加熱手段はカイロであって、
上記保持バンドには上記カイロを着脱可能に収容する収容部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の採血及び注射用台。
【請求項3】
上記台本体は、
外装体と、
上下2つに分割されて上記外装体内に収容された下側部材及び上側部材と、
上記下側部材及び上側部材との間に設けられ給気して膨張させることで上記上側部材を上昇させるエアバッグと
によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の採血及び注射用台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−240250(P2010−240250A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94196(P2009−94196)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】