説明

採血台

【課題】支持面を覆うシートを自動的に巻き取ることができる小型の採血台を提供する。
【解決手段】採血台10は、採血者の腕を支持しうる支持面を有する支持台11と、この支持面を覆う帯状のシート12がロール形状に巻かれたシートロール17と、第1端25側に設けられたロール収容部50と、第2端26側に設けられて回転軸13を有するシート巻取部18と、回転軸13を回転させるためのモータ90と、具備する。モータ90から駆動伝達されて回転する回転軸13が、使用後のシート12を巻き取り、これに伴ってロール収容部50に収容されたシートロール17から自動的にシート12が支持面に引き出され、所定の間隔だけシート12が引き出されるとモータ90が停止されるので、複数の採血に際して、支持面を覆うシート12が自動的に巻き取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血において卓上に載置されて被採血者の身体の腕を支持する採血台に関し、特に、腕を支持する支持面がシートで覆われた採血台に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検査などのために行われる採血においては、注射器や真空採血管のホルダーなどに取り付けされた採血針が、被採血者の腕において静脈に到達するまで刺通される。その際、採血針が刺通される腕を安定して載置するために採血台が使用される。この採血台には、作業台などに置かれる枕形状のものや、床に載置できる脚を備えたものなどの様々の形態がある(例えば、特許文献1〜5)。
【0003】
従来の採血台において、被採血者の腕が載置される部材は、クッション材などの比較的柔らかな部材からなり、そのクッション材などの部材において身体の一部と接触する支持面は、衛生的な観点から布などのカバー材で覆われる(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−44443号公報
【特許文献2】特開平8−266519号公報
【特許文献3】特開2006−187566号公報
【特許文献4】特開2006−68224号公報
【特許文献5】実用新案第3107483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば職場での健康診断の採血や病棟での採血においては、持ち運び可能なコンパクトな採血台が適している。したがって、特許文献1に示される採血ベッドや、特許文献2に示される支持台付きの採血台などの比較的大きなものは不適である。
【0006】
また、健康診断などにおいて、多数の被採血者から連続して採血を行うような場合には、複数の被採血者に対して採血台が使い回されることがある。採血において、採血台に血液が飛散する場合もあり、他人の血液が付着した採血台がそのまま再使用されることは非衛生的であるばかりか、感染症の感染ルートとなりかねない。また、血液が付着していないとしても、他人の身体が接触した採血台がそのまま再使用されることは衛生的とは言い難い。しかし、被採血者が代わる毎に、採血台を取り替えたり、採血台をディスポーザブルとするのでは、採血に要するコストが高くなる。また、採血毎にカバー材を交換する作業は繁雑であり、採血作業が非効率となる。
【0007】
特許文献3には、カバーを巻取り可能な採血台が開示されているが、使用後のカバーがどのように扱われるかが明確でない。仮に、使用後のカバーは切り離されて捨てられるものとすれば、被採血者が替わる毎に使用後のカバーを切り離して捨てなければならず、作業が煩雑である。また、切り離されたカバーが嵩張るので大容量の医療用ゴミ箱が必要となる。さらには、この採血台においては、ロールカバー或いは折り畳みカバーを交換する際には、採血台の上部部材を取り外すか、採血台を裏返しにすることとなる。多数の採血を実施する途中において、採血台の上部部材を取り外す作業は煩雑である。また、採血台を裏返すと、血液が付着して汚れたカバーが机などの載置面と接触することとなり好ましくない。さらに、新しいカバーが机などの載置面と接触することとなるので、使用に際して、載置面と接触した部分を交換する作業が必要となり、作業工数が増える上にカバーの一部が無駄になる。
【0008】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、支持面を覆うシートを自動的に巻き取る小型の採血台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る採血台は、卓上に載置された状態で被採血者の腕を支持しうる支持面を有する支持台と、上記支持面を覆う帯状のシートであって、ロール形状に巻かれたシートロールと、上記支持台における第1端側に設けられて、上記シートロールからシートを引き出し可能に収容するロール収容部と、上記支持台における上記第1端と反対側の第2端側に設けられており、上記支持面を覆っているシートを巻き取る回転軸を有するシート巻取部と、上記シート巻取部の回転軸を回転させるための駆動源と、を具備する。
【0010】
本発明に係る採血台は、卓上に載置されて使用される。卓上とは、採血用の作業台上や机上を意味する。卓上に載置された採血台は、採血において被採血者の腕を支持する。腕を支持する支持面は支持台の一部であり、一般的には支持台の上面となる。この支持面は、帯状のシートで覆われる。帯状のシートは、例えば、布、紙、その他の血液を吸収可能な素材からなるシートであって、支持台の支持面をほぼ覆うことができる幅であり、かつ支持面より十分に長い帯状である。帯状のシートは、洗濯などによって繰り返し使用されるものであってもよいが、衛生上や感染防止という観点からはディスポーザブルであることが好ましい。
【0011】
帯状のシートは、ロール形状に巻かれたシートロールとしてロール収容部に収容される。ロール収容部から引き出されたシートは、支持面を覆って第1端から第2端へ延出される。支持面を覆ったシートは、第2端側においてシート巻取部の回転軸に巻き取られる。
【0012】
採血台が使用される際には、シートで覆われた支持面に被採血者の腕が支持される。そして、採血が行われた後、駆動源から駆動伝達されて回転軸が回転する。駆動源としては、例えばモータが挙げられる。この回転軸の回転によって、支持面を覆うシートがシート巻取部に巻き取られる。このシートの巻き取りに伴って、ロール収容部からシートの未使用部分が支持面へ供給されて支持面を覆う。したがって、被採血者の腕は、常に新しいシートで覆われた支持面に支持される。
【0013】
(2) 本発明に係る採血台は、上記駆動源を駆動させるための入力受付部と、上記入力受付部が駆動開始の入力を受け付けたことに基づいて上記駆動源を駆動させる制御部と、を更に具備するものであってもよい。
【0014】
例えば、入力受付部としてスイッチが設けられると、採血が終了した後にスイッチが押されると、駆動源が動作して回転軸が回転し、支持面を覆うシートがシート巻取部に巻き取られる。
【0015】
(3) 上記入力受付部が、上記支持台に設けられて被採血者の腕の載置を検知する感圧センサであってもよい。
【0016】
感圧センサは、支持台に載置された被採血者の腕による圧力を検知して、検知信号を出力する。例えば、支持台に被採血者の腕が載置されると、その圧力を検知して感圧センサがON信号を出力し、支持台に被採血者の腕が載置されていないと、感圧センサは何ら圧力を検知せずにOFF信号を出力する。制御部は、感圧センサからの出力信号が、ON信号からOFF信号に切り替わったタイミングで、駆動源を動作させる。これにより、採血が終了して、被採血者の腕が支持台から離れると、自動的にシートが巻き取られる。
【0017】
(4) 上記シートロールに、その長手方向に対して、上記支持台において対向する上記第1端と上記第2端との距離に対応した間隔で被検知部が記されており、上記制御部は、上記シートによって覆われる位置に配置されたセンサが上記被検知部を検知したことに基づいて上記駆動源を停止させるものであってもよい。
【0018】
制御部は、シートの被検知部をセンサが検知すると、駆動源の駆動を停止させる。シートにおいて、被検知部が所定の間隔で記されているので、この所定の間隔だけ、新たなシートが支持面に引き出される。この所定の間隔は、例えば、支持台の第1端と第2端との距離と同程度に設定される。これにより、新たなシートによって支持面が覆われると、自動的に回転軸が停止される。
【0019】
(5) 本発明に係る採血台は、上記駆動源から上記回転軸へ駆動伝達を行う駆動伝達機構と、上記回転軸を手動で回転させるためのハンドルと、を更に具備するものであってもよい。この駆動伝達機構は、上記駆動源と上記回転軸とを駆動伝達可能に連結させる第1駆動伝達状態と、上記駆動源と上記回転軸との駆動伝達を解除し、かつ上記ハンドルと上記回転軸とを駆動伝達可能に連結させる第2駆動伝達状態と、に状態変化されるものである。
【0020】
第1駆動伝達状態の駆動伝達機構によって、前述されたように、駆動源から回転軸へ駆動伝達がなされる。駆動伝達機構が第2駆動伝達状態にされると、駆動源から回転軸への駆動伝達経路が切断されるので、回転軸が自在に回転可能となる。また、ハンドルから回転軸へ駆動伝達が可能となるので、ハンドルを操作することによって、回転軸が回転される。これにより、駆動源による自動のシート巻取りと、ハンドル操作による手動のシート巻取りとが実現される。
【0021】
(6) 上記駆動伝達機構として、上記駆動源から駆動伝達可能に設けられた第1伝達ギヤと、上記ハンドルから駆動伝達可能に設けられた第2伝達ギヤと、上記回転軸に駆動伝達可能に設けられた太陽ギヤと、上記太陽ギヤ周りに周回して、上記第1伝達ギヤ又は上記第2伝達ギヤと選択的に噛合可能な遊星ギヤと、を具備するものが挙げられる。
【0022】
(7) 本発明に係る採血台は、上記遊星ギヤを、上記第1伝達ギヤと噛合する第1位置と、上記第2伝達ギヤと噛合する第2位置とに位置させるレバーを具備するものであってもよい。
【0023】
上記レバーが操作されることによって、自動巻取りと手動巻取りとが切り替えられる。
【0024】
(8) 上記シート巻取部は、上記支持台の上記第2端に開口して上記第1端へ向かって延出されており、当該開口から上記回転軸が嵌め込み可能な軸受け溝と、上記軸受け溝に設けられており、上記回転軸を上記開口側に対して位置決めするロック姿勢と、上記回転軸を上記開口から挿抜可能とするアンロック姿勢とに姿勢変化されるロック部材と、を具備するものであってもよい。このロック部材の姿勢変化は、上記レバーに連動されており、上記レバーが、上記遊星ギヤを上記第1位置としたときにロック姿勢とされ、上記遊星ギヤを上記第2位置としたときにアンロック姿勢とされる。
【0025】
回転軸がシートを巻き取る際に、軸受け溝の開口へ向かう方向の力がシートを通じて回転軸に加わっても、ロック姿勢のロック部材が軸受け溝における回転軸の位置決めを行っているので、回転軸が軸受け溝から外れることがない。また、ロック部材がアンロック姿勢とされると、回転軸が軸受け溝から取り外し可能となる。
【0026】
前述されたロック部材の姿勢変化が、レバーの動作と連動されているので、自動巻取りの際には回転軸がロックされ、例えばシートロールが交換される際には、回転軸が軸受け溝から取り外し可能であり、また、ハンドル操作によって回転軸が回転される。
【0027】
(9) 上記ロック部材として、上記軸受け溝の奥に設けられて第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能に設けられており、その内空に上記回転軸を回転可能に支持し、かつ第1回転位置又は第2回転位置のいずれか一方の回転位置において、その内空と上記軸受け溝とが連続する導入溝を有するドーナツ盤が挙げられる。
【0028】
(10) 上記レバーとして、上記ドーナツ盤から延出されて当該ドーナツ盤を回転させるものが挙げられる。
【0029】
(11) 上記支持台は、上記支持面を有する弾性変形部材と、上記弾性変形部材を支持する支持板、及び当該支持板から下方へ延出された一対の脚部を有する台本体と、を具備するものであってもよい。上記軸受け溝は、上記一対の脚部にそれぞれ設けられる。
【0030】
弾性変形部材は、例えばスポンジや低反発ポリウレタンなどからなる。この弾性変形部材により支持面が構成されることによって、被採血者の腕に、痛みの少ない柔らかな感触を与えることができる。この弾性変形部材は、支持板に支持されており、この支持板は、一対の脚部により作業台上などにおいて所定の高さに支持される。回転軸は、軸方向の両端が一対の脚部にそれぞれ支持されて回転自在である。換言すれば、回転軸は、支持板の下方において、一対の脚部に架設されている。これにより、支持板の下方の空間を回転軸に巻回された帯状のシートの収容空間として、採血台を小型化できる。
【0031】
(12) 上記ロール収容部として、上記支持台の第1端に開口し、当該開口を通じて上記シートロールを装填可能な収容空間と、当該収容空間の開口をシートを引き出し可能なスリットを残して閉じる蓋と、を具備するものが挙げられる。
【0032】
(13) 上記センサは、上記ロール収容部に設けられたものであってもよい。
【0033】
蓋により閉止可能な収容空間にセンサが設けられることにより、例えば光学センサによってシートの被検知部を確実に検知することができる。また、例えば接触式のセンサが用いられても、未使用のシートにセンサが接触することとなるので、シートに付着した血液などがセンサに転移するおそれがない。
【0034】
(14) 上記制御部は、上記センサが上記被検知部を検知した回数をカウントするカウンタを有し、当該カウンタのカウント数に基づいて、シートロールの残量を判定するものであってもよい。
【0035】
これにより、シートロールの残量をユーザに報知することができる。
【0036】
(15) 上記制御部は、駆動源を駆動させてから上記センサが上記被検知部を検知するまでの時間を計測するタイマを有し、当該タイマが所定の時間以上を計測したときにエラーを報知するものであってもよい。
【0037】
これにより、シートロールが無くなったときや、シートが詰まったときなどがエラーとして認識される。
【0038】
(16) 本発明は、ロール収容部に収容されたシートロールからシートが支持面に引き出され、当該シートが回転軸に巻き取られており、駆動源から駆動伝達された当該回転軸が回転されることによって、回転軸にシートが巻き取られてシートロールから新たなシートが上記支持面に引き出される採血台に使用されるシートロールであって、帯状のシートがロール形状に巻かれたものであって、その長手方向に対して所定の間隔で上記採血台に設けられたセンサによって検知可能な被検知部が記されているシートロールとして捉えられてもよい。
【0039】
(17) 上記被検知部として、光学センサによって検知可能なものが挙げられる。
【0040】
(18) 上記被検知部として、支持面と対向する面に記されたものが挙げられる。
【0041】
これにより、被採血者の腕などが、被検知部に接触することがない。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、駆動源から駆動伝達されて回転する回転軸が、使用後のシートを巻き取り、これに伴ってロール収容部に収容されたシートロールから自動的にシートが支持面に引き出され、所定の間隔だけシートが引き出されると駆動源が停止されるので、複数の採血に際して、支持面を覆うシートが自動的に巻き取られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる採血台10の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、採血台10の第1端25側の外観構成を示す背面図である。
【図3】図3は、蓋52が開放姿勢された状態の採血台10を示す斜視図である。
【図4】図4は、採血台10の分解斜視図である。
【図5】図5は、採血台10の中央断面図である。
【図6】図6は、採血台10から手動ハンドル121,122を取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、手動ハンドル121,122を示す斜視図である。
【図8】図8は、採血台10の中央断面図である。
【図9】図9は、採血台10の側面図である。
【図10】図10は、採血台10の側面図である。
【図11】図11は、シート12を示す底面図である。
【図12】図12は、制御部140の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、採血台10の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
【0045】
[採血台10の概略構成]
図1に示されるように、採血台10は、採血が行われる作業台上や机上に載置可能な大きさであり、採血に際して被採血者の腕が採血台10上に載置される。この採血台10は、支持台11、回転軸13、モータ90(図4参照)を具備する。なお、図2から図5においては、シートロール17及び手動ハンドル121,122が取り外された状態の採血台10が示されている。
【0046】
[支持台11]
図1、図4及び図5に示されるように、支持台11は、主として、台本体20と、台本体20に支持された弾性変形部材21とから構成されている。台本体20は、天板となる支持板22と一対の脚部23,24とからなる。支持板22は、平面視が長方形の平板である。支持板22において一対の長辺をなす両縁には、鉛直方向へ延びる一対の脚部23,24が設けられている。一対の脚部23,24は、支持板22の各長辺に渡ってそれぞれ設けられている。この支持板22及び脚部23,24は一つの部材として一体に形成されている。一対の脚部23,24は、支持板22の長辺となる両縁から鉛直方向にそれぞれ突出している。一対の脚部23,24によって、支持板22が作業台などの上面から所定の高さに支持される。図5に示されるように、支持板22の下方はシートロール17が収容される空間である。
【0047】
支持台11が作業台上に置かれた状態において、支持板22は、その長辺方向に沿って傾斜している。支持板22において傾斜上側となる端が第1端25と称される。第1端25と対向して下方へ傾斜した側となる端が第2端26と称される。つまり、支持板22の上面は、その長辺方向に沿って第1端25から第2端26へ向かって降下する傾斜面である。なお、本明細書においては、支持台11を構成する各部材においても第1端25側及び第2端26側と称されることがあるが、これらは支持板22における第1端25及び第2端26がそれぞれ位置する側を示している。また、各図には示されていないが、一対の脚部23,24の底面に、ゴムなどの静摩擦係数が高い部材が設けられると、作業台などの上面において支持台11が滑らないので好適である。
【0048】
支持台11の大きさは特に限定されないが、採血に適した大きさに設定される。また、採血台10の持ち運びなどを考慮すると小型であることが好ましい。さらに、支持板22の下方の空間は、採血を行う人数に好適な長さのシートロール17や巻取後のシート12が収容できるように設定される。また、支持板22の傾斜は、被採血者が肘より手首を下側として弾性変形部材21上に腕を載置するに好適な角度が設定される。例えば、100人の被採血者毎にシート12を交換するとすれば、一般的な布製のシートロール17の直径は、直径25mmの紙管89(図8参照)を含むと65mm程度となる。そして、シートロール17の収容や採血作業の便宜などを考慮すると、支持台11の第1端25における支持板22の高さを卓上から130mm程度とし、支持台11の第2端26における支持板22の高さを卓上から80mm程度とすることが一例としてあげられる。
【0049】
脚部23,24における第1端25側には、後述される蓋52の軸56,57(図4参照)を回転自在に支持する軸孔27,28がそれぞれ設けられている。なお、図4においては、脚部23に形成された軸孔27及び蓋52の軸56が現れていないが、軸孔27は軸孔28と対称な形状であり、軸56は軸57と対称な形状である。軸孔27,28は、脚部23,24を厚み方向にそれぞれ貫通しており、各々の軸線が同一仮想直線上にある。この軸孔27,28に軸56,57がそれぞれ嵌め込まれて、蓋52が開閉自在となる。
【0050】
脚部23,24における第2端26側には、後述される回転軸13を回転自在に支持する軸受け溝29,30がそれぞれ設けられている。軸受け溝29,30は、脚部23,24を厚み方向にそれぞれ貫通するスリット形状である。軸受け溝29,30は、支持板22より下方において脚部23,24の第2端26側にそれぞれ開口して第1端25側へ向かって水平方向へ延出されている。各軸受け溝29,30の開口は、脚部23,24のうち支持板22より下側部分の中央となる高さ位置に配置されている。各軸受け溝29,30の開口付近における鉛直方向の幅は、回転軸13の外径とほぼ同じである。また、各軸受け溝29,30の奥(開口と反対側)には、開口付近の幅より大きな内径のロック受け部31,32が設けられている。各ロック受け部31,32の軸線は一致する。このロック受け部31,32にロック部材15,16がそれぞれ回転可能に嵌め込まれる。
【0051】
脚部23,24におけるロック受け部31,32周りには、支軸ガイド溝37,38が形成されている。各支軸ガイド溝37,38は、ロック受け部31,32を中心とした円弧であり、脚部23,24を厚み方向へ貫通している。支軸ガイド溝37,38の範囲は、後述される遊星ギヤ107,108の移動範囲に対応して設定されている。なお、図4においては、脚部23に設けられた支軸ガイド溝37が現れていないが、脚部24に設けられた支軸ガイド溝38と対象な形状である。
【0052】
図4に示されるように、脚部23,24の外側には外装材33,34が設けられている。各外装材33,34は、脚部23,24の外側面をすべて覆う形状である。したがって、側面視において対応する脚部23,24と外装材33,34とは同形状である。各外装材33,34には、脚部23,24の軸受け溝29,30に対応して軸受け溝35,36が形成されている。この軸受け溝35,36は、外装材33,34が対応する脚部23,24に設けられた状態において、軸受け溝29,30と一体となる。したがって、軸受け溝35,36の形状は、前述された軸受け溝29,30の形状と同一なので、ここでは詳細な説明が省略される。
【0053】
図4に示されるように、各外装材33,34の外面には、ロック受け部31,32からそれぞれ上方へ向かって直線形状に延出されたロックレバーガイド溝39,40が形成されている。このロックレバーガイド溝39,40には、後述される手動ハンドル121,122のロックレバー125,126(図7参照)が嵌合される。ロックレバーガイド溝39,40は、各外装材33,34の外面からそれぞれ凹陥した溝である。なお、図4においては外装材33に設けられたロックレバーガイド溝39が現れていないが、外装材34におけるガイド溝40と対象な形状である。
【0054】
各外装材33,34において、各ロックレバーガイド溝39,40の延出端には貫通孔41,42が厚み方向へ穿たれている。この貫通孔41,42は、手動ハンドル121,122のロックレバー125,126を支持する。この貫通孔41,42に支持された手動ハンドル121,122のロックレバー125,126が、軸受け溝35,36及びロックレバーガイド溝39,40に嵌入される。なお、図4においては外装材33に設けられた貫通孔41が現れていないが、外装材34における貫通孔42と対象な形状である。
【0055】
外装材33,34における軸受け溝35,36の奥部の周りには、操作レバーガイド溝43,44が形成されている。各操作レバーガイド溝43,44は、軸受け溝35,36の奥部を中心とした円弧であり、外装材33,34を厚み方向へ貫通している。操作レバーガイド溝43,44の範囲は、後述されるロック部材15,16のレバー72,73の移動範囲に対応して設定されている。
【0056】
外装材34の下端付近には、電源スイッチ45が設けられている。この電源スイッチ45は、制御部140と電気的に接続されている。電源スイッチ45が押されると、所定の電気信号が制御部140に発信される。電源スイッチ45が発信する電気信号が、制御部90において、装置の電源をオン状態又はオフ状態に切り替えるコマンドとして認識される。
【0057】
外装材34の上端には、入力スイッチ46が設けられている。この入力スイッチ46は、制御部140と電気的に接続されている。入力スイッチ46が押されると、所定の電気信号が制御部140に発信される。入力スイッチ46が発信する電気信号が、制御部90において、モータを駆動すべきコマンドとして認識される。
【0058】
外装材33の上端には、LED47,48が設けられている。このLED47,48は、オレンジとグリーンなど、互いに発光色が異なるものである。LED47,48は、制御部140と電気的に接続されている。制御部140は、電源オン状態やシート残量、エラーなどを報知するために所定のパターンでLED47,48を発光させる。
【0059】
図4に示されるように、支持板22の上面には、弾性変形部材21が着脱可能に固定されている。弾性変形部材21は、平面視が長方形の平板であり、支持板22の外形寸法とほぼ同等の外形寸法である。弾性変形部材21は、低反発ウレタンによって形成されており、外力に対して容積を収縮するように弾性変形可能である。このような弾性変形部材21が、長辺方向の両端(小口面)を支持板22の第1端25及び第2端26と揃えるようにして、支持板22の上面に固定されている。同図には現れていないが、弾性変形部材21と支持板22とは面ファスナーにより接続されており、弾性変形部材21は支持板22に対して着脱可能である。支持板22に固定された弾性変形部材21の上面が、採血の際に被採血者の腕を支持しうる支持面となる。弾性変形部材21の厚みは長辺方向に対して一定であり、弾性変形部材21の上面は、支持板22の上面に沿って傾斜している。
【0060】
[ロール収容部50]
図5に示されるように、支持台11における第1端25側には、ロール収容部50が設けられている。図8に示されるように、ロール収容部50はシートロール17を収容する。ロール収容部50は、支持板22から垂下された区画壁51と蓋52とによって構成されている。
【0061】
図5に示されるように、区画壁51は、支持板22の下面において第1端25より内側の位置から下方へ延出され、その延出端が第1端25へ向かって湾曲されている。同図には現れていないが、区画壁51の幅は、支持板22の幅と同程度である。区画壁51の延出端の湾曲は、シートロール17の径を考慮して設定されている。区画壁51より支持板22の第1端25側の空間が、シートロール17を収容するための収容空間63となる。この収容空間63は、支持板22の第1端25側に対して開口している。区画壁51により、支持板22の下方における収容空間63とモータ収容部68側との空間とがほぼ分離されている。
【0062】
図2、図3及び図5に示されるように、蓋52は、区画壁51の延出端付近から支持板22の第1端25へ向かって延出されている。この蓋52によって、収容空間63の開口が開閉される。図4に示されるように、蓋52は、湾曲板53を主要構成とする。図4に示されるように、湾曲板53は、支持板22の幅と同程度の幅であり、その高さは台本体20の脚部23,24のうち支持板22より下側となる部分より若干低い。
【0063】
図4に示されるように、湾曲板53の両側には、側板54,55が設けられている。各側板54,55は湾曲板53から収容空間63(湾曲内側)へ向かって突出している。各側板54,55は、湾曲板53の両側へ沿って下側へ向かって突出幅が拡幅し、最下端側が半円形状をなしている。各側板54,55の最下端付近には、湾曲板53より外側へ向かってそれぞれ突出する軸56,57が設けられている。この軸56,57が、台本体20の一対の脚部23,24に設けられた軸孔27,28に挿入されて、蓋52が台本体20に回転自在に支持される。
【0064】
蓋52の上端付近には、蓋52から外側へ向かってそれぞれ突出するピン58,59が設けられている。各図には現れていないが、一対の脚部23,24にそれぞれ設けられた凹陥部にピン58,59が嵌合することによって、蓋52が閉塞姿勢(図2参照)に保持される。なお、図4においては側板54に設けられたピン58が現れていないが、側板55におけるピン59と対象な形状である。
【0065】
図4に示されるように、湾曲板53には、側板54,55の間に並列して側板54,55とほぼ同形状のリブ60〜62が設けられている。各リブ60〜62は、湾曲板53から収容空間63へ向かって突出している。リブ60〜62は、湾曲板53を補強すると共に、収容空間63へ突出する端面がシートロール17を位置決めする。
【0066】
蓋52が台本体20に組み付けられることにより、蓋52が台本体20に対して回動可能となる。図2に示されるように、蓋52の上端(回動先端)が支持板22の第1端25付近へ位置された状態が蓋52の閉塞姿勢と称される。閉塞姿勢の蓋52は、そのリブ60〜62が区画壁51と相まってシートロール17を所定位置に保持する。保持されたシートロール17は、その軸方向を支持板22の短辺方向に沿った水平方向に位置決めされる。
【0067】
蓋52の湾曲板53の高さは、台本体20の脚部23,24のうち支持板22より下側となる部分より若干低い。したがって、閉塞姿勢の蓋52の上端と支持板22の第1端25との間にスリット64が形成される。このスリット64は、支持板22の第1端25に沿った横長形状であり、シートロール17からシート12の幅方向を第1端25に沿わせてシート12を引き出し可能な大きさ及び形状である。
【0068】
図3及び図4に示されるように、スリット64に対応する位置には、ガイド65が設けられている。ガイド65は、支持板22の第1端25に設けられる長尺部材である。ガイド65の長さは、支持板22の第1端25の長さと同等である。このガイド65によってスリット64の上側の縁が形成される。図8に示されるように、ロール収容部50から引き出されたシート12は、ガイド65に対して摺動されながら弾性変形部材21上へ至る。ガイド65によって案内されるシート12の幅方向は支持板22の短辺方向に沿っている。したがって、引き出されたシート12は、捩れることなく弾性変形部材21の上面へ延出される。
【0069】
収容空間63に収容されたシートロール17の外周側からスリット64を通じて連続的にシート12が引き出されると、シートロール17は収容空間63内において軸線方向(水平方向)を中心として回転する。このようなシートロール17の回転中において、蓋52のリブ60〜62及び区画壁51は、回転を許容しながらシートロール17の軸線方向を支持板22の短辺方向に沿った水平方向に保持する。
【0070】
図3に示されるように、蓋52を開放姿勢にすると、収容空間63が第1端25側に対して開口する。したがって、第1端25側からシートロール17を収容空間63へ装填することができる。
【0071】
[センサ67]
図3に示されるように、ガイド65には貫通孔66が形成されている。この貫通孔66は、ガイド65を厚み方向へ貫通する。この貫通孔66に対応させて、ガイド65において収容空間63と反対側となる面にセンサ67(図4参照)が配置されている。このセンサ67は、反射型の光学センサである。各図には詳細に現されていないが、センサ67は、可視光や赤外光を照射する発光素子と、その光を受光して光量に応じた電気信号を出力する受光素子とを有する。発光素子から照射される光は、貫通孔66を通じて収容空間63側へ透過される。前述されたようにガイド65に対して摺動するシート12が貫通孔66を覆うと、そのシートによって発光素子の光が反射され、その反射光が貫通孔66を通じて受光素子に受光される。この反射光量に応じた電気信号がセンサ67から出力される。センサ67は、制御部90と、この電気信号を送信可能に接続されている。
【0072】
[シート巻取部18]
図5に示されるように、支持台11における第2端26側には、シート巻取部18が設けられている。図8に示されるように、シート巻取部18は、弾性変形部材21の上面を覆っているシート12を巻き取る。図4に示されるように、シート巻取部18は、軸受け溝29,30,35,36に嵌め込まれた回転軸13を有し、更にロック部材15,16を有する。
【0073】
図4に示されるように、ロック部材15,16は、ドーナツ盤70,71と操作レバー72,73とをそれぞれ有する。ロック部材15,16は、軸受け溝29,35又は軸受け溝30,36に対応する対称な形状であるので、以下にはロック部材15を例に詳細な説明がなされ、ロック部材16についての詳細な説明が省略される。
【0074】
図4に示されるように、ロック部材15は、ドーナツ盤70と操作レバー72とを有する。ドーナツ盤70は、支持台11の脚部23と外装材33との間に介設される。ドーナツ盤70は、脚部23と外装材33との間において、軸受け溝29,35に対応する位置に配置される。ドーナツ盤70には、軸受け溝29,35に対応して導入溝74が形成されている。この導入溝74は、ドーナツ盤70が支持台11の脚部23と外装材33との間に介設されてアンロック姿勢となると、軸受け溝29,35と一体となり得る。したがって、導入溝74の形状は、前述された軸受け溝29,35の形状とほぼ同一であるが、その奥部の内径が、軸受け溝29,35の奥部の内径より小さい。
【0075】
導入溝74の奥には、その内周面と同一面をなして脚部23及び外装材33側へそれぞれ突出するリブ76,77が設けられている。リブ76は、軸受け溝29の奥部の内周面に摺接するように係合する。リブ77は、軸受け溝35の奥部の内周面に摺接するように係合する。このリブ76,77と軸受け溝29,35との係合によって、軸受け溝29,35に対してドーナツ盤70が位置決めされると共に、軸受け溝29,35の奥部を中心として、ドーナツ盤70が回転可能となる。
【0076】
操作レバー72は、ドーナツ盤70から外装材33側へ向かって突出されたピン形状である。ドーナツ盤70が支持台11の脚部23と外装材33との間に介設された状態において、操作レバー72は、外装材33の操作レバーガイド溝43に挿通されて、外装材33の外側へ突出される。操作レバーガイド溝43の範囲内で操作レバー72が移動されることによって、ドーナツ盤70は最大で90度だけ回転される。操作レバー72が操作レバーガイド溝43の上端に位置されると、ドーナツ盤70がアンロック姿勢となる。操作レバー72が操作レバーガイド溝43の下端に位置されると、ドーナツ盤70の導入溝74が軸受け溝29,35と合致せずに上方へ向いて、ドーナツ盤70がロック姿勢となる。ロック姿勢においては、ドーナツ盤70の導入溝74へ進入した回転軸13が、軸受け溝29,35の開口側に対して位置決めされて、軸受け溝29,35及びドーナツ盤70によって回転自在に支持される。一方、アンロック姿勢において、ドーナツ盤60の導入溝74と軸受け溝29,35とが連続すると、支持台11の外側から軸受け溝29,35,74内へ回転軸13を挿抜させることができる。このように、操作レバー72が操作されることによって、ドーナツ盤70がロック姿勢とアンロック姿勢に姿勢変化される。各姿勢におけるドーナツ盤70の回転位置が、本発明における第1回転位置及び第2回転位置に相当する。
【0077】
ドーナツ盤70には、支持台11の脚部23へ向かって突出された支軸(不図示)によって、遊星ギヤ107を回転自在に支持する。遊星ギヤ107は、ドーナツ盤70が支持台11の脚部23と外装材33との間に介設される。操作レバー72が操作レバーガイド溝43の上端に位置されると、遊星ギヤ107が伝達ギヤ109と噛合する第2位置に位置される。操作レバー72が操作レバーガイド溝43の下端に位置されると、遊星ギヤ107が伝達ギヤ103と噛合する第1位置に位置される。つまり、操作レバー72が操作されることによって、遊星ギヤ107が移動される。
【0078】
なお、ロック部材16については、詳細な説明が省略されるが、ロック部材15と同様に、ドーナツ盤71及び操作レバー73を有し、ドーナツ盤71には、導入溝75、リブ78,79、遊星ギヤ108が設けられている。
【0079】
[回転軸13]
図4に示されるように、回転軸13は、巻取部82、嵌合部83,84、太陽ギヤ85,86を有する。図8に示されるように、巻取部82は、シート12の端部が結着されて、シート12を巻き取るものである。巻取部82の軸方向の幅は、シート12の幅より若干広い。巻取部82は、回転軸13の幅方向に対して中央を占めており、回転軸13の両端に嵌合部83,84がそれぞれ配置されている。嵌合部83,84は、その外径が、軸受け溝29,30,35,36に進入可能な大きさであり、ロック部材15,16に対しては、導入溝74,75に進入可能な大きさである。
【0080】
太陽ギヤ85,86は、巻取部82と嵌合部83,84との間にそれぞれ介設されている。太陽ギヤ85,86には、遊星ギヤ107,108が噛合される。この遊星ギヤ107,108は、太陽ギヤ85,86周りに回動可能である。モータ90又は手動ハンドル121,122から遊星ギヤ107,108へ駆動伝達されると、その伝達された駆動が太陽ギヤ85,86に伝達されて太陽ギヤ85,86が回転し、太陽ギヤ85,86と共に巻取部82が回転される。つまり、回転軸13が回転される。
【0081】
[モータ90]
図4及び図5に示されるように、台本体20における支持板22の下方にモータ90が配置されている。モータ90が、本発明における駆動源に相当する。支持板22の下方は、前述された区画壁51によって、支持板22の第1端25側がロール収容部50として区画されており、区画壁91によって、支持板22の第2端26側が、シート巻取部18の回転軸13が配置される空間として区画されており、区画壁51と区画壁91とによって挟まれたモータ収容部68に、モータ90が配置されている。このモータ90は、減速機構付きのモータであり、出力軸92に減速された駆動が伝達される。モータ90と同じ空間に、電源93が配置されている。この電源93は、区画壁51,91によって挟まれた空間の下側の開口を覆う蓋94に配設されている。この電源93から電力が供給されてモータ90が駆動される。
【0082】
[駆動伝達機構]
モータ90から回転軸13への駆動伝達機構は、出力ギヤ101,102、太陽ギヤ85,86、伝達ギヤ103,104、109,110及び遊星ギヤ107,108から構成されている。なお、本明細書において、単に「ギヤ」と称される部材は平歯ギヤである。
【0083】
図4に示されるように、モータ90の出力軸92は、台本体20の脚部23,24へ向かってそれぞれ突出されている。脚部23,24には、この出力軸92を厚み方向へ挿通させる貫通孔98,99がそれぞれ形成されている。貫通孔98,99にそれぞれ挿通された出力軸92の両端には、出力ギヤ101,102がそれぞれ固定されている。出力ギヤ101,102は、出力軸92と共に回転される。この出力ギヤ101,102には、伝達ギヤ103,104がそれぞれ噛合されている。出力ギヤ101は、伝達ギヤ103と噛合されており、出力ギヤ102は、伝達ギヤ104と噛合されている。出力ギヤ101及び伝達ギヤ103はギヤホルダ105に軸支されており、出力ギヤ102及び伝達ギヤ104は、ギヤホルダ106に軸支されている。各ギヤホルダ105,106は、脚部23,24の外側にそれぞれ固定される。この伝達ギヤ103,104が、本発明における第1伝達ギヤに相当する。なお、図4においては、貫通孔98及び出力ギヤ102が現れていないが、貫通孔98は、貫通孔99と対称な形状であり、出力ギヤ102は、出力ギヤ101と対称な形状である。
【0084】
伝達ギヤ103,104は、第1位置に位置された遊星ギヤ107,108とそれぞれ噛合される。前述されたように、操作レバー72の操作によって太陽ギヤ85,86周りに回動される。第1位置の遊星ギヤ107,108は、伝達ギヤ103,104と噛合し、かつ太陽ギヤ85,86と噛合する。これにより、モータ90の駆動力が駆動伝達機構を介して回転軸13に伝達されて、回転軸13が回転される。この駆動伝達の状態が、本発明における第1駆動伝達状態である(図9参照)。
【0085】
図4に示されるように、支持台11の各外装材33,34に形成された貫通孔41,42に対応して、伝達ギヤ109,110が設けられている。伝達ギヤ109,110は、各貫通孔41,42に係合されて、貫通孔41,42の軸線を中心として回転自在に支持される。伝達ギヤ109,110と、太陽ギヤ85,86とは、共に、脚部23,24と外装材33,34との間に配置され、伝達ギヤ109と太陽ギヤ85とが離間されており、伝達ギヤ110と太陽ギヤ86とが離間されている。太陽ギヤ85周りに回動される遊星ギヤ107が第2位置とされると、伝達ギヤ109と遊星ギヤ107とが噛合する。太陽ギヤ86周りに回動される遊星ギヤ108が第2位置とされると、伝達ギヤ110と遊星ギヤ108とが噛合する(図10参照)。これにより、手動ハンドル121,122の駆動力が駆動伝達機構を介して回転軸13に伝達されて、回転軸13が回転される。この駆動伝達の状態が、本発明における第2駆動伝達状態である。また、伝達ギヤ109,110が、本発明における第2伝達ギヤに相当する。なお、図4においては、伝達ギヤ109が現れていないが、伝達ギヤ109は、伝達ギヤ110と対称な形状である。
【0086】
[手動ハンドル121,122]
図6及び図7に示されるように、採血台10は、着脱可能な一対の手動ハンドル121,122を有する。各手動ハンドル121,122は、支持台11の各外装材33,34に形成された貫通孔41,42に嵌入されることにより、採血台10に取り付けられる。一対の手動ハンドル121,122は、各外装材33,34に対応して幅方向に対象な形状をなすものなので、以下には、手動ハンドル121を例として、その詳細な構成が説明される。
【0087】
図7に示されるように、手動ハンドル121は、主として、ハンドル部123とロックレバー125とから構成されている。ハンドル部123は、概略円筒形状をなしており、その軸線から回転軸127が突出されている。この回転軸127は、外装材33の貫通孔41に挿入されて伝達ギヤ109に嵌入される。これにより、ハンドル部123と伝達ギヤ109とが一体に回転される。
【0088】
ロックレバー125は、軸受け128及びL字部材129を有する。軸受け128は、外装材33の貫通孔41に挿入可能な円筒形状であり、その内部空間に回転軸127が挿通された状態で、回転軸127を回転自在に支持すると共に、回転軸127を軸線方向に対して固定する。これにより、ハンドル部123とロックレバー125とが連結されている。この連結状態において、回転軸127の先端は、軸受け128から突出されている。
【0089】
L字部材129は、軸受け128の外周面から軸受け128の径方向へ延出され、ほぼ直角に曲折されて軸受け128の軸方向に沿って回転軸127と同じ向きに突出されている。L字部材129における軸受け128側の一部分は、外装材33に形成されたロックレバーガイド溝39に嵌入される。L字部材129において軸受け128の軸方向へ延びる一部分は、外装材33の軸受け溝35及び脚部23の軸受け溝29に挿通される。L字部材129が軸受け溝29,35に挿通される位置は、軸受け溝29,35の奥にある回転軸13より開口側(第2端26側)である。このL字部材129によって、ロック部材15,16がアンロック姿勢であっても、回転軸13が軸受け溝29,35から外れることが防止される。
【0090】
なお、手動ハンドル122については、その詳細な構成の説明が省略されるが、手動ハンドル121のハンドル部123及びロックレバー125と同様のハンドル部124及びロックレバー126を有する。
【0091】
[シートロール17]
図8に示されるように、弾性変形部材21の上面、つまり支持面は、シート12で覆われる。シート12は、例えば、布、紙、その他の血液を吸収可能な素材からなる平帯である。シート12の幅は、弾性変形部材21の短辺方向の長さと同等である。また、シート12の長さは、弾性変形部材21の長辺方向の長さより十分に長い。したがって、シート12は、弾性変形部材21の上面をほぼ覆うことができる。シート12は、幅方向を軸として円筒形状に巻き取られてシートロール17とされている。このシートロール17からシート12が引き出されて弾性変形部材21の上面が覆われている。
【0092】
図11に示されるように、シート12には、その長手方向に対して所定の間隔で被検知ライン14が記されている。この被検知ライン14は、シート12に幅方向に渡って記されている。また、被検知ライン14は、シート12の表裏面のうち、支持台11の弾性変形部材21と対向する面に記されている。したがって、採血台10の外観には被検知ライン14が直接には現れない。被検知ライン14は、シート12の全体に渡って長手方向に所定の間隔で記されている。隣り合う被検知ライン14の間隔は、支持板22の第1端25と第2端26との距離と同等である。被検知ライン14の色は特に限定されないが、センサ67によって光学的に検出可能な色である。例えば、シート12が白色であれば、被検知ライン14は、黒色や青色などが採用され得る。この被検知ライン14が、本発明における被検知部に相当する。
【0093】
[制御部140]
図12に示されるように、制御部140は、CPU,ROM,RAMを有する演算装置として構成されている。各図には現れていないが、制御部140を構成する基板が電源93付近に配置される。
【0094】
制御部140は、モータ90を駆動するためのPWM信号などを生成して、モータ90に駆動電流を付与する。また、制御部140は、入力スイッチ46、LED47,48、センサ67と電気信号を送受信可能に接続されている。また、制御部140は、タイマ141及びカウンタ142を有する。このように構成された制御部140によって、後述されるように採血台10の動作が制御される。
【0095】
[採血台10の動作]
以下、モータ90を駆動させて採血台10が使用されるときの動作が詳細に説明される。モータ90を駆動させるときは、手動ハンドル121,122は不要である。
【0096】
採血台10は、卓上に載置されて採血に用いられ、特に健康診断のように多人数から連続して行う採血に適している。採血に際して、採血台10のロール収容部50に未使用のシートロール17が装填される。シートロール17の装填に際して、採血台10は、脚部23,24によって支持板22が作業台などの上面から所定の高さに支持された状態で作業台などに載置される。このシートロール17は、例えば、概ね100回使用分のシート12の長さである。したがって、シートロール17のシート12には、概ね100本の被検知ライン14が記されている。
【0097】
図3に示されるように、蓋52を開放姿勢として、ロール収容部50を開口させる。そして、ロール収容部50に未使用のシートロール17を水平方向を軸線方向として挿入する。挿入したシートロール17の外周にあるシート12の端を摘んで、蓋52の回動先端より外側へ引き出す。そして、蓋52を閉塞姿勢とすると、図8に示されるように、区画壁51とリブ60〜62によってシートロール17が軸線方向を支持板22の第1端25に沿った水平方向に支持され、シートロール17から引き出されたシート12は、スリット64を通じてロール収容部50の外側へ延びる。
【0098】
スリット64から延びているシート12を、ガイド65に沿わせて弾性変形部材21の上面へ、第1端25側から第2端26側へ延びるように引き出す。シート12は、その帯形状の長手方向へ引き出される。回転軸13は、軸受け溝29,30,35,36に嵌め込まれてない状態で、その巻取部82にシート12の端を接続する。
【0099】
ロック部材15,16の操作レバー72,73を操作レバーガイド溝43,44の上端に移動させてロック部材15,16をアンロック姿勢とし、シート12が接続された回転軸13を軸受け溝29,30,35,36に挿入する。回転軸13を軸受け溝29,30,35,36の奥まで進入させ、さらに導入溝67を通じてドーナツ盤70,71の内空へ回転軸13を進入させる。その後、ロック部材15,16の操作レバー72,73を操作レバーガイド溝43,44の下端に移動させてロック姿勢とし、回転軸13を軸受け溝29,30,35,36の開口に対して位置決めする。そして、入力スイッチ46を押すことによって、後述されるように回転軸13が回転される。これにより、シート12を回転軸13に若干巻き取って、シート12が弾性変形部材21の上面を弛みなく覆うようにする。
【0100】
前述されたように、シート12で覆われた弾性変形部材21の上面に被採血者の腕が載置される。採血台10は、支持板22の第1端25を被採血者に対向させる。これにより、弾性変形部材21の上面の傾斜に沿って、被採血者の腕は肘より手首が下側となる。そして、注射器や真空採血管などを用いて公知の手法によって採血が行われる。
【0101】
図13に示されるように、採血が終了して被採血者の腕が弾性変形部材21から離れると、入力スイッチ46を押すことによって(S2)、制御部140がモータ90を駆動させる(S4)。なお、最初に採血台10が使用されるときには、カウンタ142のカウントはリセットされておりC=0である(S1)。また、制御部140は、モータ90を駆動させるときに、タイマ141をスタートさせる(S3)。
【0102】
回転軸13が回転されると、シート12が矢印100(図8参照)へ移動しながら回転軸13に巻き取られる。これに伴い、弾性変形部材21の上面においては、シート12が矢印100へ移動する。また、シートロール17からはスリット64を通じて未使用のシート12が弾性変形部材21へ引き出される。このとき、シート12と弾性変形部材21との摺動摩擦や、シートロール17と区画壁51及びリブ60〜62との摺動摩擦などによって、シート12を通じて回転軸13に軸受け溝29,30,35,36の開口側へ引き出される力が作用するが、前述されたように、回動軸13は、ロック部材15,16によって軸受け溝29,30,35,36の開口に対して位置決めされているので、回動軸13が開口へ向かって移動することはない。
【0103】
制御部140は、タイマ141により計測された駆動時間Tが所定の閾値T1を超えないかを監視する(S5)。この閾値T1は、モータ90の出力軸92の回転数や駆動伝達機構のギヤ比などから、シート12の被検知ライン14間の距離だけシート12を回転軸13に巻き取るに十分な時間として設定される。仮に、シートロール17が完全に使用されたり、回転軸13とシート12との接続が不完全であったりすると、ロール収容部50からシート12が引き出されず、モータ90が駆動され続ける。そして、モータ90の駆動時間Tが閾値T1を超えると(S5:YES)、制御部90はLED47,48を所定のパターンで発光させてエラー表示を行う(S6)。
【0104】
弾性変形部材21の上面を覆っていた使用後のシート12が回転軸13に巻き取られ、シートロール17から引き出された未使用のシート12が弾性変形部材21の上面を覆うには、少なくとも第1端25と第2端26との距離分だけシート12が回転軸13に巻き取られればよい。このために、制御部140は、センサ67が被検知ライン14を検知するまでモータ90を駆動させる(S7)。前回の回転軸13の回転が被検知ライン14に基づいて停止されていれば、次に被検知ライン14が検知されるまで回転軸13が回転されることによって、第1端25と第2端26との距離分だけシート12が回転軸13に巻き取られる。
【0105】
制御部140は、センサ67が被検知ライン14を検知すると(S7:YES)、タイマ141を停止させてリセットし(S8)、モータ90の駆動を停止させる(S9)。これにより、弾性変形部材21の上面が新たなシート12で覆われた状態となる。そして、制御部140は、カウンタ142のカウント数Cを1だけ加算する(S10)。
【0106】
弾性変形部材21の上面が未使用のシート12に置き換えられた後に、次の被採血者の腕を、未使用のシート12で覆われた弾性変形部材21の上面に載置させる。さらに、次の被採血者に対しても、同様の作業が行われて、常に未使用のシート12で覆われた弾性変形部材21の上面に被採血者の腕が載置される。
【0107】
シートロール17には、概ね100回だけ弾性変形部材21の上面を新たなシート12に置き換えることが可能な長さのシート12が巻かれている。制御部140は、前述されたように、カウンタ142のカウント数Cを1だけ加算した後(S10)、カウンタ142のカウント数Cが90以上であるか(C≧90)を判定する(S11)。カウンタ142のカウント数Cが90以上であれば(S11:YES)、制御部140は、シートロール17の残量が少なくなったことを、LED47,48を所定のパターンで発光させて表示する(S12)。
【0108】
また、制御部140は、カウンタ142のカウント数Cが100以上であるか(C≧100)を判定する(S13)。カウンタ142のカウント数Cが100以上であれば(S13:YES)、制御部140は、カウンタ142をリセットした後(S14)、シートロール17が無くなったことを、LED47,48を所定のパターンで発光させて表示する(S15)。
【0109】
ロール収容部50に装填されたシートロール17がすべて使用されると、ロック部材15,16の操作レバー72,73を操作してドーナツ盤70,71をアンロック姿勢に保持し、回転軸13を軸受け溝29,30,35,36から取り外す。そして、回転軸13から使用後のシート12を外して廃棄する。このような回転軸13の取り外しに際して、支持台11を裏返す必要はない。
【0110】
その後、前述と同様にして、新たな未使用のシートロール17をロール収容部50に装填し、シート12の端を回転軸13に接続して、その回転軸13を軸受け溝29,30,35,36の奥に挿入してロックする。これを繰り返すことにより、1個のシートロール17を使い切るまで、弾性変形部材21を覆っているシート12を自動的に巻き取ることができる。
【0111】
なお、使用後のシート12は、洗濯や滅菌などが施されることによって繰り返し使用されてもよいが、衛生上や感染防止という観点からはディスポーザブルであることが好ましい。また、使用後のシート12が取り外された回転軸13もディスポーザルとしてもよい。
【0112】
[手動ハンドル121,122による操作]
以下、手動ハンドル121,122を用いて採血台10が使用されるときの動作が詳細に説明される。
【0113】
図1に示されるように、採血台10に手動ハンドル121,122が取り付けられることによって、手動によってシート12を回転軸13に巻き取ることが可能となる。例えば、電源93の電力が消失したときや、採血台10の自動動作に何らかの故障が生じたときなどに、このような手動による操作が有用である。
【0114】
採血台10に手動ハンドル121,122が取り付けられる前に、操作レバー72,73が操作レバーガイド溝43,44の上端へ移動される。これにより、ロック部材15,16の導入溝74,75と、軸受け溝29,30,35,36とが合致する。また、遊星ギヤ107,108が第2位置となって、モータ90から回転軸13への駆動伝達経路が切断されると共に、伝達ギヤ109,110から回転軸13への駆動伝達経路が繋がる(図10参照)。
【0115】
そして、手動ハンドル121,122の各ハンドル部123,124を各外装材33,34の貫通孔41,42に嵌入させるとともに、各ロックレバー125,126をロックレバーガイド溝39,40及び軸受け溝29,30,35,36に嵌入させる。これにより、ハンドル部123,124と伝達ギヤ109,110とがそれぞれ一体に回転される。また、各ロックレバー125,126によって、回転軸13が軸受け溝29,30,35,36を開口側へ移動することが規制される。そして、ハンドル部123,124が回転されることによって、回転軸13が回転されて、回転軸13にシート12が巻き取られる。これにより、手動ハンドル121,122の操作による手動のシート12の巻取りが実現される。
【0116】
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、採血台10によれば、モータ90から駆動伝達されて回転する回転軸13が、使用後のシート12を巻き取り、これに伴ってロール収容部50に収容されたシートロール17から自動的にシート12が弾性変形部材21の上面に引き出されるので、複数の採血に際して、弾性変形部材21の上面を覆うシート12が自動的に巻き取られる。また、センサ67が被検知ライン14を検知すると、モータ90が停止されるので、入力スイッチ46を押す操作のみによって、弾性変形部材21が新たなシート12によって覆われると自動的にシート12の巻取りが停止される。
【0117】
また、駆動伝達機構が第2駆動伝達状態にされると、モータ90から回転軸13への駆動伝達経路が切断されるので、回転軸13が自在に回転可能となる。また、手動ハンドル121,122から回転軸13へ駆動伝達が可能となるので、手動ハンドル121,122を操作することによって、回転軸13が回転される。これにより、モータ90による自動のシート12の巻取りと、手動ハンドル121,122の操作による手動のシート12の巻取りとが実現される。
【0118】
また、操作レバー72,73の操作によって、遊星ギヤ107,108が、伝達ギヤ103,104と噛合する第1位置と、伝達ギヤ109,110と噛合する第2位置とに回動されるので、自動巻取りと手動巻取りとの切り替えが容易である。
【0119】
また、回転軸13を軸受け溝29,30,35,36の開口側に対して位置決めするロック姿勢と、回転軸13を軸受け溝29,30,35,36に対して挿抜可能とするアンロック姿勢とに姿勢変化されるロック部材15,16を有するので、回転軸13がシート12を巻き取る際に、軸受け溝29,30,35,36の開口へ向かう方向の力がシート12を通じて回転軸13に加わっても、回転軸13が軸受け溝29,30,35,36から外れることがない。一方、ロック部材15,16がアンロック姿勢とされると、回転軸13が軸受け溝29,30,35,36から取り外し可能となる。
【0120】
また、ロック部材15,16の姿勢変化が、操作レバー72,73の動作に連動されているので、自動巻取りの際には回転軸13がロックされ、例えばシートロール17が交換される際には、回転軸13が軸受け溝29,30,35,36から取り外し可能であり、また、手動ハンドル121,122の操作によって回転軸13が回転される。
【0121】
また、弾性変形部材21の上面に被採血者の腕が載置されるので、被採血者に痛みの少ない柔らかな感触を与えることができる。この弾性変形部材21は、支持板22に支持されており、この支持板22は、一対の脚部23,24により作業台上などにおいて所定の高さに支持される。回転軸13は、支持板22の下方において、一対の脚部23,24に架設されているので、支持板22の下方の空間を回転軸13に巻回された帯状のシート12の収容空間として、採血台10を小型化できる。
【0122】
また、ロール収容部50において蓋52により閉止可能な収容空間にセンサ67が設けられているので、光学式のセンサ67によってシート12の被検知ライン14を確実に検知することができる。また、未使用のシート12にセンサ67が接触することとなるので、シート12に付着した血液などがセンサ67に転移するおそれがない。
【0123】
また、制御部140は、センサ67が被検知ライン14を検知したカウント数Cをカウンタ142によってカウントするので、そのカウント数Cに基づいて、シートロール17の残量が判定され、シートロール17の残量が少なくなったことがLED47,48によってユーザに報知される。
【0124】
また、制御部140は、モータ90を駆動させてからセンサ67が被検知ライン14を検知するまでの時間をタイマ141によって計測し、その駆動時間Tが閾値T1以上となればLED47,48によってエラーを報知するので、シートロール17が無くなったことや、シート12が詰まったことなどがユーザに認識される。
【0125】
また、シートロール17において、被検知ライン14が弾性変形部材21の上面と対向する面に記されているので、被採血者の腕などが、被検知ライン14に接触することがない。
【0126】
なお、本実施形態においては、入力スイッチ46が押されることによって制御部140がモータ90を駆動させるが、入力スイッチ46に代えて感圧センサが用いられてもよい。この感圧センサは、支持台11の弾性変形部材21に設けられて、弾性変形部材21上に載置される被採血者の腕による圧力を検知して、検知信号を出力する。したがって、支持台11に被採血者の腕が載置されると、その圧力を検知して感圧センサがON信号を出力し、支持台11に被採血者の腕が載置されていないと、感圧センサは何ら圧力を検知せずにOFF信号を出力する。制御部140は、感圧センサからの出力信号が、ON信号からOFF信号に切り替わったタイミングで、モータ90を動作させる。これにより、採血が終了して、被採血者の腕が支持台11から離れると、自動的にシート12が巻き取られる。
【0127】
また、本実施形態では、センサ67がシート12の被検知ライン14を検知すると、制御部140がモータ90を停止するが、センサ67及び被検知ライン14は必ずしも設けられなくてもよい。例えば、制御部140が、弾性変形部材21の上面を覆っているシート12がロール収容部50に収容されたシートロール17から引き出された新たなシート12に置き換えられるに十分な回転量だけ、回転軸13を回転させて停止させるように構成されてもよい。
【0128】
また、本実施形態で示された支持台11は、本発明における支持台の一態様であり、本発明の要旨が変更されない範囲で、支持台11の構成が適宜変更されてもよいことは言うまでもない。
【0129】
また、本実施形態では、センサ67として光学センサが用いられ、シート12に光学的に検知可能な被検知ライン14が記されているが、本発明におけるセンサは、センサ67のような光学センサに限定されず、例えば磁気センサなどが用いられてもよい。そして、本発明における被検知部は、そのようなセンサが検知可能に構成されればよく、例えば、磁気センサが用いられた実施態様においては、被検知部が磁気を有するラインなどで構成されればよい。
【0130】
また、本実施形態では、センサ67は、ロール収容部50に配置されているが、シート12によって覆われて被検知ライン14を検知可能な位置であれば、センサ67の配置が変更されてもよい。
【0131】
また、本実施形態では、一対の手動ハンドル121,122が設けられているが、手動ハンドル120,121のうち、いずれか一方のみが設けられていれば、前述された作用効果が奏されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0132】
10・・・採血台
11・・・支持台
12・・・シート
13・・・回転軸
14・・・被検知ライン(被検知部)
15,16・・・ロック部材
17・・・シートロール
18・・・シート巻取部
20・・・台本体
21・・・弾性変形部材
22・・・支持板
23,24・・・脚部
25・・・第1端
26・・・第2端
29,30,35,36・・・軸受け溝
46・・・入力スイッチ(入力受付部)
50・・・ロール収容部
52・・・蓋
67・・・センサ
70,71・・・ドーナツ盤
72,73・・操作レバー(レバー)
74,75・・・導入溝
85,86・・・太陽ギヤ
90・・・モータ(駆動源)
101,102・・・出力ギヤ(駆動伝達機構)
103,104・・・伝達ギヤ(駆動伝達機構、第1伝達ギヤ)
107,108・・・遊星ギヤ(駆動伝達機構)
109,110・・・伝達ギヤ(駆動伝達機構、第2伝達ギヤ)
121,122・・・手動ハンドル(ハンドル)
140・・・制御部
141・・・タイマ
142・・・カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上に載置された状態で被採血者の腕を支持しうる支持面を有する支持台と、
上記支持面を覆う帯状のシートであって、ロール形状に巻かれたシートロールと、
上記支持台における第1端側に設けられて、上記シートロールからシートを引き出し可能に収容するロール収容部と、
上記支持台における上記第1端と反対側の第2端側に設けられており、上記支持面を覆っているシートを巻き取る回転軸を有するシート巻取部と、
上記シート巻取部の回転軸を回転させるための駆動源と、を具備する採血台。
【請求項2】
上記駆動源を駆動させるための入力受付部と、
上記入力受付部が駆動開始の入力を受け付けたことに基づいて上記駆動源を駆動させる制御部と、を更に具備する請求項1に記載の採血台。
【請求項3】
上記入力受付部が、上記支持台に設けられて被採血者の腕の載置を検知する感圧センサである請求項2に記載の採血台。
【請求項4】
上記シートロールに、その長手方向に対して、上記支持台において対向する上記第1端と上記第2端との距離に対応した間隔で被検知部が記されており、
上記制御部は、上記シートによって覆われる位置に配置されたセンサが上記被検知部を検知したことに基づいて上記駆動源を停止させるものである請求項2又は3に記載の採血台。
【請求項5】
上記駆動源から上記回転軸へ駆動伝達を行う駆動伝達機構と、上記回転軸を手動で回転させるためのハンドルと、を更に具備し、
上記駆動伝達機構は、
上記駆動源と上記回転軸とを駆動伝達可能に連結させる第1駆動伝達状態と、
上記駆動源と上記回転軸との駆動伝達を解除し、かつ上記ハンドルと上記回転軸とを駆動伝達可能に連結させる第2駆動伝達状態と、に状態変化されるものである請求項1から4のいずれかに記載の採血台。
【請求項6】
上記駆動伝達機構は、
上記駆動源から駆動伝達可能に設けられた第1伝達ギヤと、
上記ハンドルから駆動伝達可能に設けられた第2伝達ギヤと、
上記回転軸に駆動伝達可能に設けられた太陽ギヤと、
上記太陽ギヤ周りに周回して、上記第1伝達ギヤ又は上記第2伝達ギヤと選択的に噛合可能な遊星ギヤと、を具備するものである請求項5に記載の採血台。
【請求項7】
上記遊星ギヤを、上記第1伝達ギヤと噛合する第1位置と、上記第2伝達ギヤと噛合する第2位置とに位置させるレバーを具備する請求項6に記載の採血台。
【請求項8】
上記シート巻取部は、
上記支持台の上記第2端に開口して上記第1端へ向かって延出されており、当該開口から上記回転軸が嵌め込み可能な軸受け溝と、
上記軸受け溝に設けられており、上記回転軸を上記開口側に対して位置決めするロック姿勢と、上記回転軸を上記開口から挿抜可能とするアンロック姿勢とに姿勢変化されるロック部材と、を具備し、
上記ロック部材の姿勢変化は、上記レバーに連動されており、上記レバーが、上記遊星ギヤを上記第1位置としたときにロック姿勢とされ、上記遊星ギヤを上記第2位置としたときにアンロック姿勢とされるものである請求項7に記載の採血台。
【請求項9】
上記ロック部材は、上記軸受け溝の奥に設けられて第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能に設けられており、その内空に上記回転軸を回転可能に支持し、かつ第1回転位置又は第2回転位置のいずれか一方の回転位置において、その内空と上記軸受け溝とが連続する導入溝を有するドーナツ盤である請求項8に記載の採血台。
【請求項10】
上記レバーは、上記ドーナツ盤から延出されて当該ドーナツ盤を回転させるものである請求項9に記載の採血台。
【請求項11】
上記支持台は、
上記支持面を有する弾性変形部材と、
上記弾性変形部材を支持する支持板、及び当該支持板から下方へ延出された一対の脚部を有する台本体と、を具備し、
上記軸受け溝は、上記一対の脚部にそれぞれ設けられたものである請求項8から10のいずれかに記載の採血台。
【請求項12】
上記ロール収容部は、上記支持台の第1端に開口し、当該開口を通じて上記シートロールを装填可能な収容空間と、当該収容空間の開口をシートを引き出し可能なスリットを残して閉じる蓋と、を具備するものである請求項1から11のいずれかに記載の採血台。
【請求項13】
上記センサは、上記ロール収容部に設けられたものである請求項4に記載の採血台。
【請求項14】
上記制御部は、上記センサが上記被検知部を検知した回数をカウントするカウンタを有し、当該カウンタのカウント数に基づいて、シートロールの残量を判定するものである請求項4に記載の採血台。
【請求項15】
上記制御部は、駆動源を駆動させてから上記センサが上記被検知部を検知するまでの時間を計測するタイマを有し、当該タイマが所定の時間以上を計測したときにエラーを報知するものである請求項4に記載の採血台。
【請求項16】
ロール収容部に収容されたシートロールからシートが支持面に引き出され、当該シートが回転軸に巻き取られており、駆動源から駆動伝達された当該回転軸が回転されることによって、回転軸にシートが巻き取られてシートロールから新たなシートが上記支持面に引き出される採血台に使用されるシートロールであって、
帯状のシートがロール形状に巻かれたものであって、その長手方向に対して所定の間隔で上記採血台に設けられたセンサによって検知可能な被検知部が記されているシートロール。
【請求項17】
上記被検知部は、光学センサによって検知可能なものである請求項16に記載のシートロール。
【請求項18】
上記被検知部は、支持面と対向する面に記されたものである請求項17に記載のシートロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−252952(P2010−252952A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104872(P2009−104872)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】