説明

採血懸垂装置

【課題】切り口からの体液の供給が、あまりに早く遮断されることがなく、充分な量の体液がテストストリップ上に採取される体液サンプリング装置の提供。
【解決手段】ケーシングとケーシング中に摺動可能に受け取られる皮膚における切り口を穿刺するためのランセットとを含み、ケーシングは、切り口から体液を引き出すためのサンプリング空間を定めることを特徴とする統合化された穿刺−サンプリング装置と;切り口から体液の流れを促進するために、皮膚に対して一体化された穿刺−サンプリング装置を引っ込めて、再び当接する手段を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する証明書
本出願は、2002年12月30日にファイルされた米国特許仮出願第60/436,952(代理人整理番号第7404−446)の利得をクレームするものであり、それは、全体としてここに参考のために示す。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的には体液サンプリング装置に関するものであり、より具体的には、排他的ではないが、テストストリップを一時的に除去しかつ切り口部位に再適用するために適用される統合された体液サンプリング装置に関するものである。
【0003】
一般的体液のテスト
体液の取得とテストは、多くの目的のために有用であって、医療診断および治療における使用および他の種々の応用に対して、重要性が増し続けている。医療分野では、オペレータが、日常的に、迅速に、研究室のセッテイングの外で再現性よく、迅速な結果を得および得られるテスト情報の読み取りが出来るテストを行えることが望ましい。検査は、種々の体液に対して行うことが出来るし、ある適用に対しては、特に血液および/あるいは腸液の検査に関係している。このような体液は、医療状態を同定し、治療対応を定め、治療の進捗を評価するなどの目的のために、体液の種々の特性あるいは体液中に含まれる検体に対して、テストできる。
【0004】
一般的なテスト工程
体液の検査は、体液サンプルを取得する工程と、サンプルをテスト装置に移す工程と、体液サンプルに対してテストを行う工程と、結果を表示する工程を基本的には包含している。これらの工程は、一般的には、複数の別の機器あるいは装置により行われている。
【0005】
血管―取得
体液サンプルを取得する1つの方法は、血液サンプルを抜き出すために、静脈あるいは動脈中に中空の針あるいは注射器を挿入することを包含する。しかし、そのような血管からの直接血液サンプリングは、苦痛、感染症、血腫および他の出血性合併症を含めたいくつかの制限を持ちうる。さらに、血管からの直接血液サンプリングは、ルーテインベースでの反復には適していないし、非常に難しくかつ患者に対して自分で行うことは、勧められない。
【0006】
切開―取得
体液サンプルを採取するための他の共通の技術は、体液を皮膚表面に持ってくるように、皮膚に切開を形成することである。メス、ナイフあるいは他のカット機器が、皮膚中に切開を形成するために使用されている。その後、得られる血液あるいは腸液標本は、小さな管あるいは他の容器中に集められ、あるいは、テストストリップと接触させて直接置かれる。指先は、血管が高度に新生しておりまたこのために、良好な量の血液を生じるから、体液源として、しばしば使用されている。しかし、この指先も、神経末端の集中を持っており、このために指先にメスを入れることは、痛みを生じる。手の甲、前腕、耳たぶなどの別のサンプリング部位は、サンプリング用に有用であり、より痛みが少ない。しかし、それらも血液の生成量は少ない。それゆえ、これらの代替部位は、相対的に少量の体液を必要とするテストシステムに対しての使用にのみ、あるいは、切開部位から体液の発現を促進する工程がとられるなら、一般的に適している。
【0007】
皮膚を切開するための種々の方法およびシステムが、技術的に公知である。ランセットで切開する装置の例は、たとえば、米国特許第Re35,803(1998年5月19日ランゲらに発行)、第4,924,879(1990年5月15日、オブライエンに発行)、第5,879,311(1999年2月16日、デュションらに発行)、第5,857,983(1999年1月12日、ダグラスに発行)、第6,183,489(2001年2月6日、ダグラスらに発行)、第6,332,871(2001年12月25日、ダグラスらに発行)、第5,964,718(1999年10月12日、デュションらに発行)に示されている。代表的な市販の切開装置は、アキューチェック・ソフトクリックスの穿刺具である。
【0008】
発現
切り口の周辺領域に圧力をかけ、切り口から体液を搾り取りあるいはポンプで取ることによるなどで、患者たちは、切り口部位に体液を出すようにしばしば強いられる。機械的装置も、切り口から体液の発現を促進することが知られている。そのような装置は、たとえば、1999年2月16日にデュションらに発行された米国特許第5,879,311、1999年1月12日にダグラスに発行された第5,857,983、2001年2月6日にダグラスらに発行された第6,183,489、1999年9月14日にダグラスらに発行された第5,951,492、1999年9月14日にダグラスらに発行された第5,951,493、1999年10月12日にダグラスらに発行された第5,964,718、2000年7月11日にローらに発行された第6,086,545に示されている。切り口から体液の発現を促進する代表的な市販の製品は、アミラ・アトラスト血液グルコースシステムである。
【0009】
サンプリング
生じた体液の取得(以下体液の「サンプリング」とする)は、種々の形式をとることが出来る。体液の検体が、一度切り口での皮膚表面にくると、サンプリング装置は、この体液と接触して置かれる。このような装置として、たとえば、管あるいはテストストリップが、切開を形成する前に切り口部位に隣接して置かれ、あるいは切り口が、形成された後すぐに切り口部位に動かされるシステムなどが、挙げられる。サンプリング管は、吸引あるいは毛細管作用により、体液を得る。このようなサンプリングシステムとしては、たとえば、2000年4月11日にダグラスらに発行された米国特許第6,048,352、2000年8月8日にダグラスらに発行された第6,099,484、2001年12月25日にダグラスらに発行された第6,332,871が、挙げられる。市販のサンプリング装置の例としては、ロッシュコンパクト、アミラ・アトラスト、グルコミータ・エリートおよびテラセンス・フリ−スタイルテストストリップが、挙げられる。
【0010】
テスト一般
体液サンプルは、技術的に充分公知のように、種々の特性あるいは成分に対して分析しても良い。たとえば、そのような分析は、ヘマトクリット値、血液グルコース、凝集、鉛、鉄などを志向しても良い。テストシステムとしてはたとえば、サンプリングされた体液を分析するための光学的(たとえば、反射、吸収、蛍光、ラマンなど)手段、電気化学的手段および機械的手段などの手段が挙げられる。このようなテストシステムの例としては、1998年10月20日にプリーストらに発行された米国特許第5,824,491、1999年10月5日にダグラスらに発行された第5,962,215、および1998年7月7日にダグラスらに発行された第5,776,719におけるシステムが挙げられる。
【0011】
典型的には、テストシステムは、検査される体液とテストシステム中に存在する試薬のあいだの反応を利用している。たとえば、光学式テストストリップは、一般的に、色変化、すなわち、使用された試薬システムにより形成される色素により吸収されるあるいは反射される波長の変化に依存している。たとえば、米国特許第3,802,842、第4,061,468および第4,490,465を参照のこと。
【0012】
血液グルコース
共通医療テストは、血液グルコースレベルの測定である。グルコースレベルは、血液を直接分析することにより、あるいは腸液のような他の体液を間接的に分析することにより、求めることが出来る。糖尿病患者らは、かれらの糖尿病の性質および重症度より、1日に数回血液グルコースレベルを測定するように、一般的に教えられている。測定されたグルコースレベル中の観察されたパターンに基づいて、患者と医者は、ダイエット、運動および他の因子などの問題をも考慮して、投与すべきインシュリンの適当なレベルを決定する。
【0013】
体液中のグルコースなどの検体の有無をテストする際に、オキシダーゼ/パーオキシダーゼ検出化学を用いて生じる酸化/還元反応の利点を取り入れるテストシステムが、普通は使用される。テスト試薬は、体液のサンプルに適当な期間暴露され、もし検体(グルコース)が存在するときには、色変化が生じる。典型的には、この変化の強度は、サンプル中の検体の濃度に比例している。その後、試薬の色は、サンプル中に存在する検体の量の決定を可能にするために、公知の標準と比較する。この決定は、たとえば、目視により行われるか、あるいは、選択された波長における反射スペクトル分光器あるいは血液グルコースメーターなどの機器により、行われる。電気化学システムあるいは他のシステムも、成分中の特性に対して、体液検査用として充分知られている。
【0014】
試験の困難性
上述した工程を行うことは、患者に対して、特に高齢者などのような手の器用さが限定されている患者に対しては、困難になりうる。典型的な穿刺装置では、ユーザーが、穿刺具を手動で発射準備する必要がある。理解されるように、この装置を手動で発射準備することは、手の器用さが限定されている患者に対しては、困難であろう。典型的な手法においては、発射機構を発射準備したのち、患者は、皮膚中に切り口を形成するために、皮膚にランセットを発射する。充分な体液の量が、一度皮膚中の切り口から液滴として集められと、テストストリップが、試験用の充分な量の体液に接触しかつ吸収するように、患者は、切り口部位の上にテストストリップを置かなければならない。通常は、これらの体液の液滴は、まったく小さくて、患者は、特にハンドモーターの制御の下手な患者は、個々の液滴から充分なサンプルを採取するように、テストストリップを置くのがかなり難しいことを経験するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
理解されるように、患者たちは、叙上の手法により、すぐにいらいらするようになり、このため、患者たちは、テストする回数が少なくなり、テストすることも断念することもありうる。さらに、サンプリング中にテストストリップにより、皮膚に対して印加される圧力は、この切り口を閉じることにもなりうるし、そのため、時期尚早に体液供給を遮断することになりうる。もし切り口からの体液供給が、あまりにも早く遮断されると、不充分な量の体液が、テスト用のテストストリップ上に採取されることになる。
【0016】
このように、この領域の技術に対して、さらなる寄与を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1つの態様は、皮膚中の切り口からの体液形成を促進するように、一時的に体液採取手段を除去する体液サンプリング装置に関する。
【0018】
他の態様は、体液のサンプリング方法に関するものである。この方法は、統合されたランセット/サンプリング装置を用いて、皮膚中に切り口を形成することを包含する。この装置は、切り口から体液形成を促進するために、一時的に皮膚から引っ込められる。その後、本装置は、体液を採取するために、体液に最も近くで再適用されるか、あるいは皮膚と接触して再適用される。
【0019】
さらに、他の態様は、皮膚をランセットで切開する前に、発射機構を自動的に発射準備できる体液サンプリング装置に関する。
【0020】
さらに、本発明の形式、対象、特性、態様、利得、利点および実施形態は、詳細な記述およびここに提供される図面から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0021】
切り口からの体液の供給が、あまりに早く遮断されることがなく、充分な量の体液がテストストリップ上に採取される体液サンプリング装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の原理の理解を促進する目的のために、参照は、図示された実施形態に対して行われ、また特定の言葉は、同一のことを記述するために使用される。それにより、本発明が関連する当業者にとって通常起こりそうなここに図示した装置の修正およびさらなる変更、および本発明の原理のさらなる応用など、本発明の範囲に制限を加えることを意図するものでもないということを理解していただきたい。
【0023】
本発明は、一般的に、切り口から体液サンプルを形成させ、採取し、またテストすることに包含される工程数を削減する統合された皮膚切開装置に関するものである。より具体的には、本装置は、切開メカニズムを自動的に発射準備するように作動できるものであり、またさらに一時的には皮膚との接触からこの装置を離す働きをするものであり、また体液サンプルを採取するために、切り口部位にわたり装置を置く働きをするものである。装置を一時的に皮膚から上げることにより、潜在的には切り口を閉じまたサンプルに対する体液の供給を制限することになりうる圧力が、本装置により皮膚に印加されないことになる。1つの実施形態においては、この装置は、切開メカニズムを自動的に発射準備し、また体液の採取手段を皮膚から一時的に上げる電気モーターを包含している。他の実施形態では、純粋に機械的システムが、体液採取手段を一時的に上げるために使用できることを考慮している。
【0024】
本発明のその他のうちの1つの実施形態による統合化された体液サンプリング装置30は、図1および図2を参照にして、ここに記述する。図1に示すように、装置30は、サンプリング端末部分32および作動末端部分34を包含している。サンプリング端末部分32は、統合化されたランセット/サンプリング装置36と、装置36用のホルダー38と、深さ制御メカニズム40を包含している。装置36は、皮膚中にランセットを用いて切開し、切り口から体液サンプルを採取し、かつ体液サンプルを分析するように設定されている。装置36中では、切り口を形成するためのランセットあるいは刃42が、ケーシング44中に収められている。ランセット42が、図1中に見られるように図示の目的のために、ランセット42は、拡大状態で示されている。
【0025】
通常は、ランセット42が、皮膚を切開しないときには、ランセット42はケーシング44内に引っ込められる。切開中は、ケーシング44は、皮膚に対して押し付けられ、参照表面を形成し、その上にランセット42の侵入深さの基礎が、形成されている。装置36が皮膚に対してさらに押し付けられるにつれて、ケース44は、ランセット42が露出するよう、ランセット42に対してスライドし、皮膚に切り込みを入れる。装置36は、さらに体液サンプルを分析するために、テストストリップあるいは媒体46を包含している。テストストリップ46は、2〜3の例を挙げると、光学的(たとえば、反射、吸収、蛍光、ラマンなど)、電気化学的および/あるいは磁気的分析などのような手段を経由して、体液を分析することが出来る。1つの実施形態において、テストストリップは、化学試薬を経由して、体液を光学的に分析する。毛細管経路が、ケーシング44とランセット42のあいだに形成され、それが、毛細管作用により、体液をテストストリップ46上に引き込む。上述したように、ホルダー32は、切開中は、装置36を保持している。深さ制御メカニズム40は、皮膚中へのランセット42の貫通の深さを制御し、変化させるために使用される。サンプリング末端部分32中におけるこれらの成分のみならず、それらの機能についてのさらなる考察に関しては、ここでは、完全に参照として組み入れられているのであるが、2002年12月27日にファイルされた「精密な深さ制御による切開チップ」という名称の米国出願特許連続番号第10/330724(代理人参照番号7404−413)を参照のこと。以下の考察から理解されるように、本発明による体液サンプリング装置30は、他のタイプの切開および/あるいはサンプリング装置と接続して使用するように改質できる。
【0026】
図2は、サンプリング装置30の作動部分34の拡大図を示している。作動部分34を容易に見ることが出来るように、図1および図2は、ハウジングなしの装置30を示している。しかし、装置30は、装置30の部品を外部環境から守るために、ハウジングを含んでいることを理解するべきである。図示したように、作動部分34は、発射機構52のみならずモーター50を支持する支持構造48を含んでいる。発射機構52は、皮膚を切開するために、統合化されたランセット/サンプリング装置36を発射するために使用されるし、またモーター50は、切開後装置36を一時的に引っ込めるのみならず、発射機構52を発射準備するために使用される。図示された実施形態における支持構造48は、支持構造48が、「C」の形状に形成されるように、作動ガイド部材58を経由して互いに接続されている第1支持アーム54および第2支持アーム56を持っている。第1支持アーム54および第2支持アーム56の反対側のガイド部材58は、それぞれ、モーター50が搭載される第1モーター搭載60および第2モーター搭載62を持っている。図示されたモーター50は、一般的には円筒状をしているが、モーター50が、他の形状をしていることも考えられている。図示されているように、モーター搭載60およびモーター搭載62のそれぞれは、モーター50が、モーター搭載60および62の内部に勘合できるように、モーター50の円筒状と一致するように空洞の円筒形状をしている。しかし、異なった形状に形成されたモーターの形状に一致させるために、モーター搭載60および62は、異なって形成できることを理解するべきである。
【0027】
図示した実施形態においては、モーター50は、逆回転可能な電気モーターを含んでいるが、モーター50は、空気モーターなどの他のタイプのモーターを包含できることを理解するべきである。さらに、モーター50が、非可逆である他の実施形態においては、装置30が、モーター50から出力された力を逆にするように形成された変速機を包含できる。1つの実施形態においては、モーター50は、バッテリーあるいは燃料電池などの内部パワー源により、パワーを与えられているが、モーター50は、外部からの電気的出力によるなどの他の方法でパワーを与えられることも考慮されている。図1および図2に描かれているように、モーター50は、第1支持アーム54を経由して伸びているドライブギア64を持ったドライブシャフトを持っている。第1支持アーム54に回転可能に搭載される減速装置66は、モーター50の駆動ギア64と動作可能なように係合する。発射機構52は、装置30の縦軸Lに沿って、第1支持アーム54および第2支持アーム56のあいだに延びるガイド棒68を含んでいる。図示されるように、ガイド棒68は、第1軸受け筒70および第2軸受け筒72を経由して、それぞれ第1支持アーム54および第2支持アーム56に、回転可能に搭載される。第1支持アーム54においては、モーター50が、ガイド棒68を回転させることができるように、ガイド棒68が、減速装置66を介してモーターと動作可能に係合している。1つの実施形態においては、ガイド棒68の周りにらせん状パターンに巻いている駆動ねじあるいはコイル74が、軸受け筒70および72を経由して、両端において、ガイド棒68に結び付けられている。他の実施形態においては、駆動ねじ74の終端は、直接ガイド棒68に結び付けられている。上に示したように、ガイド棒68が、減速装置66を経由して、動作可能なようにモーター50に係合している。図示された実施形態においては、ガイド棒68および駆動ねじ74の両方は、モーター50が、減速装置66を回転させるにしたがい、調和して回転する。他の実施形態においては、駆動ねじ74が回転するにしたがい、ガイド棒68が、静止して留まれるように、駆動ねじ74が、動作可能なように減速装置66と係合する。
【0028】
図2を参照して、発射機構52は、さらに駆動ねじ74およびホルダー38と連結している作動部材78と係合している駆動部材76を備えている。バネ(あるいは弾性手段)80は、駆動部材76と作動部材78のあいだに連結されている。多くの機能のうち、バネ80は、装置36から穿刺具42を発射するために使用される。発射準備しているあいだ、モーター50が、駆動ねじ74を介して、駆動部材76を作動部材78に向けて駆動し、その結果、該部材間の間でバネ80が縮む。さらに詳細に以下記述するように、押し付けられるバネ80により蓄えられる位置エネルギーは、その後作動部材78の発射に使用され、それを受けて、統合された穿刺具/サンプリング装置36から穿刺具42を延ばす。
【0029】
描かれているように、駆動部材76は、ガイド棒68に沿って摺動可能に受け止められる棒係合部分82を持っている。図2では、棒係合部分82は、駆動ねじ74の内側に置かれ、またそこから伸びた、駆動ねじ74を係合する1つ以上のねじ係合アーム84を持っている。図示された実施形態においては、棒係合部分82は、棒係合部分82の対向する側に置かれた1組のL字型ねじ係合アーム84を持っており、ねじ係合アーム84は、駆動ねじ74をまたいで伸びている。棒係合部分は、示された以上あるいは以下の棒係合部分82を含むことが出来ることを理解するべきである。駆動ねじ74およびねじ係合アーム84のあいだの係合により、モーター50は、縦軸Lに沿って、駆動方向Dあるいは引っ込める方向Rのいずれかに向けて、駆動部材76を動かすことが出来る。たとえば、時計方向への駆動ねじ74の回転は、駆動部材76をD方向に動かし、また反時計方向への駆動ねじ74の回転は、駆動部材76をR方向に動かす。しかし、他の実施形態における駆動ねじ74は、駆動ねじ74が、時計方向へ回転し、駆動部材76をR方向に動かし、また反時計方向へ回転して、駆動部材76をD方向に動かすこともできるように、反対側にコイルを巻くことが出来ることを理解するべきである。
【0030】
駆動部材76は、さらに、バネ係合部分86および作動部材係合部分88を包含する。示されるように、バネ80は、バネ係合部分86に取り付けられ、またねじ係合アーム84は、棒係合部分82をバネ係合部分86に取り付けている。図示された実施形態においては、バネ係合部分86は、駆動ねじ74の周りにフィットするように形成された環である。1つ以上のガイドアーム90は、バネ係合部分86を、作動部材係合部分88に結び付けている。示されているように、図示された実施形態における駆動部材76は、駆動部材76の対向する側に置かれる1組のガイドアーム90を持っている。少なくとも1つのガイドアーム90は、支持構造48のガイド部材58から伸びている1対のガイドレール94のあいだに、摺動可能に受け取られるガイドタブ92含むように構築されている。しかし、装置30は、示されているガイドアーム90およびガイドレール94より多いかあるいは少ないものを含むことが出来ることを理解するべきである。ガイドタブ92と接続したガイドレール94は、駆動部材76を、縦軸Lに沿って移動させるように指向させ、また駆動部材76が、駆動ねじ74の回転に対応して回転することを防ぐ。図2を参照して、駆動部材74の部分88は、バネ開口部96を定めており、それを経由して、バネ80、駆動ねじ74およびガイド棒68が、伸びている。駆動部材76のバネ開口部96の周りには、作動部材78が、摺動可能に受け取られる1つ以上の係合ノッチ98を定めている。
【0031】
図1を参照して、作動部材78は、作動部材78で定められた係合ノッチ98中に摺動可能に受け取られる1つ以上の摺動アーム100(および図示された実施形態においては、1対の)を含んでいる。摺動アーム100の各々は、駆動部材76の端に最も近接して置かれている停止タブ102を持っている。示されているように、停止タブ102は作動部材78を、駆動部材76の部分88に摺動可能に取り付けるのに役立つ斜めの挿入面104を持っている。第2支持アーム56においては、摺動アーム100は、摺動アーム100が、開口部106摺動するように動くことが出来るように、第2支持アーム56中に定められる摺動アーム開口部106を経由して、伸びている。ホルダー38に接続されている摺動アーム100の末端は、接続部材108を経由して共に接続されている。支持構造48中では、摺動アーム100は、発射準備フランジ110を経由して共に接続されている。図示された実施形態においては、発射準備フランジ110は、リング形状をしており、また駆動ねじ74が延びているねじ開口部112を定めている。
【0032】
図2に示しているように、バネ80は、バネ80が駆動部材76のバネ係合部分86と作動部材78の発射準備フランジ110とのあいだに連結されるように、発射準備フランジ110に取り付けられている。装置30を発射準備しているあいだは、モーター50は駆動部材76が、作動部材78の発射準備フランジ110に向けて駆動されるように、駆動ねじ74を回転させる。駆動部材76が、フランジ110に向けて駆動されるので、縦軸Lに関して平行な配列で、第2支持アーム56から伸びている1対の発射準備アーム114が、バネ80から印加される力に対して、発射準備フランジ110を支持している。他の実施形態においては、装置30は、1つ以上の発射準備アーム114を含むことが出来ることを理解するべきである。発射準備アーム114は、発射準備中に発射準備フランジ110を支持するために、互いに向かい合っている支持タブ116を持っている。駆動部材76に最近接して、発射準備アーム114は、角度のあるあるいは傾斜した形状をした駆動部材係合表面118を持っている。同様に、駆動部材76は、同様に傾いて、あるいは角度をつけて、駆動部材係合表面118の形状に合致している発射準備アーム係合表面120を持っている。発射準備中は、駆動部材76は、発射準備アーム114に向けて駆動されているので、発射準備フランジ110が開放されるように、発射準備アーム係合表面120は、発射準備アーム114を広げている。開放されたフランジ110上には、圧縮されたバネ80が、発射準備フランジ110を駆動部材76から追い出し、それにより、統合化されたランセット/サンプリング装置36を駆動して、皮膚を切開する。図2に描かれているように、発射準備アーム114は、さらに、発射準備フランジ110が支持タブ116を再係合出来るように、角度を付けられる再係合表面122を持っている。
【0033】
1つの実施形態による統合化された体液サンプリング装置30の操作は、図1,図2,図3,図4,図5を参照してここに記述されるであろう。図3,図4,図5は、本発明の1実施形態によるサンプリング技術のあいだの、皮膚Sに関係するサンプリング装置36の相対的位置を示している。図示された実施形態においては、装置30は、支持構造48に連結しているハウジング124を持っており、また示されているように、ハウジング124は、皮膚Sに装置30を位置決めするようにサンプリング装置36を取り囲む皮膚接触部分126を含んでいる。1つの形式においては、皮膚接触部分126は、円筒形をしているが、皮膚接触部分126は、異なった形状も可能であることを理解するべきである。さらに、他の実施形態においては、体液サンプリング装置30を手動で使用する人が、皮膚S上の位置に装置30を保持するように、皮膚接触部分126は、完全にあるいは部分的に省略することも出来るということを考慮している。図示された実施形態における皮膚接触部分126は、一度形成された切り口Iを閉じることが出来る力を、皮膚に印加しないような大きさにしてある。
【0034】
最初は、発射機構52の発射準備フランジ110は、図1に示されているように、発射準備アーム114の支持タブ116と係合する。切開を始めるために、ユーザーは、皮膚Sに接触してあるいは最近接して装置36を位置づける。図3に図示されている実施形態においては、ユーザーは、装置36を置くように、皮膚接触部分126を皮膚Sに対して押し付ける。図2に描かれているように、発射機構52を発射準備するために、減速装置66を経由してモーター50は、駆動部材76が、作動部材78の発射準備フランジ110に向けて、縦軸Lに沿って駆動方向Dに駆動されるように、駆動ねじ74を回転させる。ユーザーは、モーター50を作動する装置30上のスイッチを経由して、および/あるいは装置30中の制御器を経由して自動的に発射準備を開始することが出来る。モーター50は、他の方法で作動させることが出来ることを理解するべきである。発射準備フランジ110は、発射準備アーム114と係合されるので、発射機構52中のバネ80は、駆動部材76が、D方向に駆動されるにしたがい圧縮される。駆動部材76が、さらに、D方向に駆動されるときには、摺動アーム100が、駆動部材76の係合開口部98内にスライドするように、作動部材78の停止タブ102が、駆動部材76の作動部材係合部分88から、係合を解くことになる。結局、バネ80は、駆動部材76によりさらに圧縮されるので、駆動部材76上のアーム係合表面120が、発射準備アーム114上の駆動部材係合表面118と係合し、発射準備アーム114は、互いから引き剥がされるようになる。一度、発射準備アーム114が、十分にお互いから曲げはなされると、発射準備アーム114上の支持タブ116は、発射準備フランジ110から、解放される。
【0035】
発射準備フランジ110が、開放されるとすぐに、圧縮されたバネ80は、D方向に作動部材78を駆動するように、皮膚に向けて広がる。発射機構52が、発射された後、1つの実施形態におけるモーター50は、駆動部材76を駆動することを停止する。1つの形式においては、モーター50の操作を制御するために、タイマーを使用する。にもかかわらず、モーター50は、制御器およびセンサーによるなどの他の方法で制御できる。作動部材78を発射すると、作動部材78は、統合化されたランセット/サンプリング装置36のケーシング44を、皮膚に対して押し付け、またケーシング44内部のランセット42が、ケーシング44から伸びるように、ケーシング44に相対的にスライドし、それにより、皮膚S中に切り口Iを切開することになる(図3)。深さ制御メカニズム40は、ランセット42の貫通の深さを制御する。一度、適当な深さの切り口が、形成されると、装置36中の重ね板バネなどの引っ込め機構が、ケーシング44内にランセット42を引っ込め戻す。さらに、D方向への作動部材78の前方進行は、1つの実施形態においては、駆動部材76上に作動部材係合部分88を接触させる停止タブ102により、停止される。他の実施形態においては、作動部材78の移動は、第2支持アーム56をたたく発射準備フランジ110により、停止される。
【0036】
ケーシング44により印加された圧力が、時期早尚に切り口を閉じ、それにより切り口から供給される体液を制限することを避けるために、本発明の1つの実施形態による体液サンプリング装置30は、図4に示すように、一時的に、統合化されたランセット/サンプリング装置36をR方向に、皮膚から上げる。後ほど、体液サンプリング装置30は、装置36のケーシング44を皮膚に対して再適用するか、あるいは図5に図示されるように、統合化されたランセット/サンプリング装置36が、切り口から体液サンプルを採取できるように、皮膚に再近接して、装置36を置く。理解されるべきであるが、本発明によるサンプリング技術は、切り口Iからの体液フローを制限しないから、体液サンプルのサイズを増やすことになる。1つの実施形態においては、体液サンプリング装置30は、装置36を皮膚に対して再適用する前の2秒間、この統合化されたランセット/サンプリング装置36を上げる。しかし、装置36は、異なった時間間隔で皮膚から一時的に上げることが出来ることを理解するべきである。装置36を一時的に皮膚Sから除去するために、図2中のモーター50は、駆動ねじ74が反対方向(発射機構を発射準備するときと比較して)に回転するようにして、それにより引っ込め方向Rに駆動部材76を移動させるように、逆にされる。たとえば、駆動ねじ74を、時計方向に回転させ、駆動部材76をD方向に移動させることが出来るし、また、駆動部材76をR方向に移動させるように、反時計方向に回転させることが出来る。理解するべきこととして、他の実施形態における駆動部材76を、D方向に進め、駆動ねじ74を反対に回転させることにより、R方向に引っ込めることができる。駆動部材76は、R方向に駆動させるが、駆動部材76と係合している停止タブ102も、作動部材78をR方向に引き寄せる。作動部材78が、R方向に移動すると、装置36も同様にR方向に移動し、それにより、装置36のケーシング44を、皮膚Sから上げることになる(図4)。ある実施形態においては、統合化されたランセット/サンプリング装置36は、皮膚から短い距離を上げられ、特に、装置36は、皮膚から1mm上げられる。理解すべきであるが、しかし、装置36を、皮膚から異なった距離で、引っ込めることが出来る。
【0037】
一度、装置36を短時間皮膚から上げると、その後モーター50は、駆動部材76をD方向に駆動するように再び逆になる。バネ80に対して駆動部材76により印加される力は、装置36が皮膚方向に向けてD方向に移動するように、作動部材78に移される(図5)。統合化されたランセット/サンプリング装置36が、皮膚Sと接触するか、あるいは皮膚Sから望みの距離で置かれるとき、モーター50の電源を切ることが出来る。皮膚S中の切り口Iから液滴として形成された体液Fは、毛細管作用により、ケーシング44中に形成された毛細管空洞中に引き込まれ、体液サンプルを分析できるように、装置36中のテストストリップ46上に蓄えられる。
【0038】
将来のサンプル採取用に体液サンプリング装置30をリセットするためには、モーター50は、作動部材78が同様に引っ込み方向Rに引かれるように、駆動部材76を、引っ込み方向Rに駆動する。作動部材78が、方向Rに引かれるので、発射準備フランジ110は、発射準備アーム114上の再係合表面122と係合し、またアーム114は、発射準備フランジ110が発射準備アーム114上の支持タブ116と再係合をするように、こじ開けられる。一度、体液サンプリング装置30をリセットすると、発射カニズム52を再び発射準備することが出来、上述したように発射できる。
【0039】
他の実施形態においては、純粋に機械的装置を、上述したようにサンプリング技術を達成するために使用することが出来るし、その中では、統合化されたランセット/サンプリング装置は、一時的に除去されまた再び皮膚に適用されると考慮される。1つの形式においては、水圧および/あるいは空気圧シリンダーは、統合化されたランセット/サンプリング装置が、一時的に除去されまた再び適用される機械的移動を抑えあるいは遅らせるために、使用される。
【0040】
本発明を、図中および先の記述中で詳細に図示しかつ記述してきたが、同じことは、図示されかつ特性において制限されるものではないと考えるべきであり、好ましい実施形態のみを示しかつ記述してきたと理解され、また本発明の精神の範囲内にはいる全ての変更および改良は、保護されることを希望すると理解している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の1つの実施形態による体液サンプリング装置の透視図である。
【図2】図1の装置の拡大透視図である。
【図3】皮膚中に切り口を形成する図1の装置の断面図である。
【図4】皮膚から一時的に引っ込める図1の装置の断面図である。
【図5】切り口から体液を採取するために設定される図1の装置の断面図である。び方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングとケーシング中に摺動可能に受け取られる皮膚における切り口を穿刺するためのランセットとを含み、ケーシングは、切り口から体液を引き出すためのサンプリング空間を定めることを特徴とする統合化された穿刺−サンプリング装置と;切り口から体液の流れを促進するために、皮膚に対して一体化された穿刺−サンプリング装置を引っ込めて、再び当接する手段を含むことを特徴とする体液サンプリング装置。
【請求項2】
一体化されたサンプリング装置を、発射するための一体化された穿刺−サンプリング装置に連結された発射機構と;発射機構を自動的に発射準備する手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
穿刺具を含む、皮膚に傷を付けるための一体化された穿刺サンプリング装置と、傷を形成するために前記穿刺具を発射するための発射機構と、
モーターと
からなり、前記発射機構が前記モーターによって発射準備がなされる
ことを特徴とする体液サンプリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−289934(P2008−289934A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229551(P2008−229551)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【分割の表示】特願2004−565515(P2004−565515)の分割
【原出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】