説明

採血用枕

【課題】 採血時の血液の逆流を防止することができるとともに、血管を浮き上がり易くさせて容易に採血を行うことができる採血用枕を提供する。
【解決手段】 採血時に被採血者12の腕14をアームダウン姿勢で支持するための採血用枕2である。この採血用枕2は、被採血者12の腕14を支持するための傾斜状の支持面6を有する枕本体4を備えている。また、支持面6の下端部には段差部10が設けられている。これにより、被採血者12の腕14を支持面6に支持させると、被採血者12の肩関節26の屈曲角度は55〜70°となり、安楽な姿勢を保つことができる。また、手関節18を段差部10に向けて背屈させることができ、肘関節16の伸展位を約0°に容易に保持させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血時に被採血者の腕を支持するための採血用枕に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば病院や診療所等で静脈血採血(以下、「採血」という)を行う際には、被採血者の腕を支持するための採血用枕が用いられている。従来の採血用枕は、被採血者の腕を支持するためのブロック状の枕本体と、枕本体を下方より支持するためのスタンド部材と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。スタンド部材には、枕本体の床面からの高さ位置を調節するための高さ調節機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−31006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタイプの採血用枕では、次のような問題がある。採血を行う際には、被採血者は、着座した姿勢で腕を枕本体の上面に載置するようになる。しかしながら、枕本体の床面からの高さ位置が高い場合には、腕が床面に対して略平行となり、注射針を刺す腕の部位(例えば肘窩)が心臓よりも高い位置となるため、採血した血液が血管内に逆流するおそれがある。また、枕本体の床面からの高さ位置が低い場合には、被採血者の肘関節は屈曲した状態となるため、肘窩の静脈内圧が上昇せずに血管が浮き上がり難く、採血を容易に行うことができない。
【0005】
本発明の目的は、採血時の血液の逆流を防止することができるとともに、血管を浮き上がり易くさせて容易に採血を行うことができる採血用枕を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の採血用枕では、採血時に被採血者の腕をアームダウン姿勢で支持するための採血用枕であって、
被採血者の腕の少なくとも肘関節から手関節までの部位を支持するための支持面を有する枕本体を備え、前記支持面は、被採血者の肩関節の屈曲角度が55〜70°となるように傾斜状に構成され、前記支持面の下端部には段差部が設けられ、前記段差部の高さは、被採血者の手関節が背屈可能な高さに構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の採血用枕では、前記段差部の高さは3〜5cmであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の採血用枕では、前記支持面の下端部の前方には握り棒が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の採血用枕では、前記支持面には、被採血者の腕の少なくとも一部を収容保持するための保持用凹部が設けられ、前記保持用凹部は前記支持面の長さ方向に延びており、その深さは、前記支持面の下端部から上端部に向けて漸増されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の採血用枕では、前記枕本体の下面には、着座した被採血者の大腿部に支持される支持用凹部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に記載の採血用枕では、前記枕本体は、前記支持面を有する上枕本体と、前記上枕本体の下面に着脱自在に取り付けられる下枕本体と、を備え、前記下枕本体の下面には前記支持用凹部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項7に記載の採血用枕では、前記枕本体に関連して、前記枕本体を下方より支持するためのスタンド部材が設けられ、前記スタンド部材は、高さ調節機構を有するスタンド本体部と、前記スタンド本体部の上端部に設けられた装着部と、を備え、前記枕本体の下面には装着用凹部が設けられ、前記装着用凹部には、前記スタンド部材の前記装着部が着脱自在に装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の採血用枕によれば、支持面は傾斜状に構成されているので、被採血者の腕はアームダウン姿勢で支持面に支持されるようになり、これにより注射針を刺す腕の部位(例えば肘窩)が心臓よりも低い位置となるため、血液の逆流を防止することができる。また、支持面は、被採血者の肩関節の屈曲角度が55〜70°となるように傾斜状に構成されている(換言すると、支持面の鉛直方向に対する角度が、肩関節の屈曲角度よりも約5°だけ大きい60〜75°である)ので、肘関節を伸展させた状態で腕を支持面に容易に支持させることができ、これにより、被採血者は安楽な姿勢を保つことができ、苦痛を感じることなく採血を受けることができる。また、支持面の下端部には段差部が設けられているので、被採血者の腕を支持面に支持させた際に、手関節を段差部に向けて背屈させることができる。この手関節の背屈によって生理学的に肘関節が伸展するようになり、肘関節の伸展位が約0°に保持される。これにより、肘窩の静脈内圧が高まって血管が浮き上がるようになり、採血を容易に行うことができる。また、一般に、被採血者の腕に対する注射針の刺入角度は約30°であるが、被採血者の肩関節の屈曲角度を例えば約60°に保持することにより、注射器(又は真空採血管)は地面に対して略平行となり、採血を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の採血用枕によれば、段差部の高さは3〜5cmであるので、手関節を段差部に向けて確実に背屈させることができる。また、手関節を背屈させた際に、手指の背側(又は拳部分)が枕本体の載置面(例えばテーブルの上面)に接触するようになり、これにより手関節を背屈させた所要の状態に容易に保持することができる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の採血用枕によれば、支持面の下端部の前方には握り棒が設けられているので、この握り棒を手で把持することにより、被採血者の腕を支持面に安定して支持させることができるとともに、駆血効果によって血管を効果的に浮き上がらせることができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の採血用枕によれば、支持面には保持用凹部が設けられているので、被採血者の腕の少なくとも一部(例えば、肘関節から手関節までの部位)をこの保持用凹部に収容保持させることにより、被採血者の腕を支持面に安定して支持させることができる。また、保持用凹部は支持面の長さ方向に延びており、その深さは、支持面の下端部から上端部に向けて漸増されているので、肘関節が支持面の上端部(保持用凹部の深さが深い部位)に収容保持されるとともに、手関節が支持面の下端部(保持用凹部の深さが浅い部位)に収容保持されるようになる。一般に、肘関節の太さは手関節の太さよりも太いので、上述のように収容保持されることにより、被採血者の腕の肘関節から手関節までの部位を保持用凹部に安定して収容保持することができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載の採血用枕によれば、枕本体の下面には、着座した被採血者の大腿部に支持される支持用凹部が設けられているので、枕本体を載置するためのテーブルなどがない場合であっても、枕本体を被採血者の大腿部に支持させることができ、採血を行う場所の自由度を高めることができる。また、被採血者の腕を支持面に支持させると、枕本体が被採血者の大腿部に押さえ付けられるようになるので、枕本体を安定して支持することができる。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載の採血用枕によれば、枕本体は、支持面を有する上枕本体と、支持用凹部を有する下枕本体とに分割可能であるので、下枕本体を上枕本体から取り外すことにより、上枕本体をテーブルの上などに載置して使用することができる。従って、用途等に応じて、2通りの使用方法(即ち、下枕本体を上枕本体に取り付けて枕本体を被採血者の大腿部に支持して使用する方法及び下枕本体を上枕本体から取り外して上枕本体をテーブルの上面などに載置して使用する方法)を適宜選択することができる。
【0019】
また、本発明の請求項7に記載の採血用枕によれば、枕本体を下方より支持するためのスタンド部材が設けられているので、被採血者の身長等に応じて、スタンド本体部の高さ調節機構により枕本体の床面からの高さ位置を適宜調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による採血用枕を示す斜視図である。
【図2】図1の採血用枕の側面図である。
【図3】図1の採血用枕の使用状態を示す斜視図である。
【図4】図3中のA−A線による採血用枕の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による採血用枕を示す斜視図である。
【図6】図5の採血用枕の分解斜視図である。
【図7】図5の採血用枕の使用状態を示す斜視図である。
【図8】図5の採血用枕の他の使用形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う採血用枕の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による採血用枕を示す斜視図であり、図2は、図1の採血用枕の側面図であり、図3は、図1の採血用枕の使用状態を示す斜視図であり、図4は、図3中のA−A線による採血用枕の断面図である。
【0022】
図1及び図2を参照して、図示の採血用枕2は、断面略直角三角形状の枕本体4を備えている。枕本体4には傾斜状の支持面6が設けられており、支持面6の幅方向中央部には、その長さ方向に延びる保持用凹部8が設けられている。保持用凹部8の深さは、支持面6の下端部から上端部に向けて漸増されている(図2参照)。これにより、支持面6の幅方向中央部(保持用凹部8)の鉛直方向(図2において上下方向)に対する角度θ1は、支持面6の幅方向両端部の鉛直方向に対する角度θ2よりも大きく構成されるようになる。本実施形態では、角度θ1は65°に設定され、また角度θ2は60°に設定されている。
【0023】
また、支持面6の下端部には段差部10が設けられており、この段差部10によって、支持面6の下端縁は、枕本体4の下面よりも所定高さh(例えば4cm程度)だけ高い位置に位置されるようになる。
【0024】
また、枕本体4は、クッション材(図示せず)と、クッション材を覆うカバー(図示せず)とから構成されている。クッション材は、例えばウレタンなどの低反発性素材から形成され、またカバーは、例えばポリエステルやレザーなどから形成されている。なお、カバーは、滑り難い材質のものを用いるのが好ましい。
【0025】
なお、枕本体4のサイズは、高さH:18cm、幅W:20cm、支持面6の長さL:27cmに構成されている。支持面6の長さLは、被採血者12の腕14の少なくとも肘関節16から手関節18までの部位を支持可能な長さ、例えば26〜30cm程度に構成するのが好ましく、このように構成することにより、被採血者12の肘関節16が支持面6に確実に支持され、後述するように肘関節16の伸展位を約0度に確実に保持させることができる。
【0026】
支持面6の下端部における両端部にはそれぞれ、接続部20が前方(図2において左方向)に延びて設けられている。これら一対の接続部20の各先端部には、略水平方向に延びる握り棒22が支持されている。握り棒22の高さ位置は、支持面6の下端縁と同じ高さ位置又はこれよりも幾分低い高さ位置に設定される。
【0027】
図3及び図4をも参照して、上述した採血用枕2の使用方法について説明する。まず、枕本体4を例えばテーブル23の上面(載置面)に載置する。被採血者12は、採血する腕14の少なくとも肘関節16から手関節18までの部位を支持面6の保持用凹部8に支持させるとともに、握り棒22を手24で把持する。このとき、枕本体4のクッション材は低反発性素材から形成されているので、被採血者12の腕14が保持用凹部8にやや沈み込むようになり、腕14が支持面6に安定して支持される。一般に、肘関節16の太さは手関節18の太さよりも太いので、肘関節16が支持面6の上端部(保持用凹部8の深さが深い部位)に支持されるとともに、手関節18が支持面6の下端部(保持用凹部8の深さが浅い部位)に支持されることにより、被採血者12の腕14の肘関節16から手関節18までの部位を保持用凹部8に安定して収容保持することができる。
【0028】
被採血者12の腕14を支持面6の保持用凹部8に支持させると、腕14の中心軸線は、支持面6の幅方向両端部と略平行となるので、被採血者12の肩関節26の屈曲角度θ3(即ち、腕14の中心軸線の鉛直方向に対する角度)は、支持面6の幅方向両端部の鉛直方向に対する角度θ2とほぼ等しい約60°となる。換言すると、肩関節26の屈曲角度θ3は、支持面6の保持用凹部8の鉛直方向に対する角度θ1よりも約5°だけ小さい角度となる。これにより、腕14がアームダウン姿勢で支持面6に支持され、肘関節16の位置を心臓(心尖部)よりも低くすることができる。また、肘関節16を伸展させた状態で腕14を支持面6に容易に支持させることができ、それ故に、被採血者12は安楽な姿勢を保つことができ、苦痛を感じることなく採血を受けることができる。
【0029】
なお、このように肘関節16の位置を心臓よりも低くするとともに、苦痛を感じることなく採血を受けるためには、被採血者12の肩関節26の屈曲角度θ3は55〜70°(換言すると、支持用凹部8の鉛直方向に対する角度θ1は60〜75°)であるのが好ましく、60〜65°(換言すると、支持用凹部8の鉛直方向に対する角度θ1は65〜70°)であるのがより好ましい。屈曲角度θ3が55°よりも小さいと、被採血者12の肘関節16が過伸展となり、無理な体勢を維持しなければならないために苦痛を感じるようになる。また、屈曲角度θ3が70°よりも大きいと、被採血者12の肘関節16の位置が心臓よりも高くなり、採血した血液が血管内に逆流するおそれがある。
【0030】
また、支持面6の下端部には段差部10が設けられているので、握り棒22を手24で把持した際に、被採血者12の手関節18を段差部10に向けて背屈角度θ4(20〜30°程度)で背屈させることができる。この手関節18の背屈によって、生理学的に肘関節16が伸展するようになる。このように、アームダウン姿勢で肘関節16の伸展位を約0度に保持するとともに、握り棒22を手4で把持することにより、肘窩28の静脈内圧が高まって血管が浮き上がるようになる。
【0031】
なお、段差部10の高さhは、3.0〜5.0cmであるのが好ましく、3.5〜4.5cmであるのがより好ましい。段差部10の高さhをこのように構成することにより、手関節18を確実に背屈させることができ、また、手関節18を背屈させた際に手指の背側(又は拳部分)がテーブル23の上面に接触するようになり、手関節18を背屈させた所要の状態に容易に保持することができる。段差部10の高さhが3.0cmよりも小さいと、手関節18を十分に背屈させることができず、また、段差部10の高さhが5.0cmよりも大きいと、手関節18を背屈させた際に手指の背側(又は拳部分)がテーブル23の上面に接触せず、手関節18を背屈させた状態に保持するのが難しくなる。
【0032】
上述のように腕14を支持面6に支持させた後に、被採血者12の上腕部に駆血帯(図示せず)を巻き付け、例えば肘窩28に消毒を施した後に注射器30の注射針32を刺し、採血を行う。上述のように注射針32を刺す肘関節16の位置は心臓よりも低いので、血液の逆流を防止することができる。なお、一般に、被採血者12の腕14に対する注射針32の刺入角度θ5は約30°であるが、本実施形態では、被採血者12の肩関節26の屈曲角度θ3は約60°であるので、注射器30は地面に対して略平行となり、採血を容易に行うことができる。
【0033】
次に、図5〜図8を参照して、他の実施形態の採血用枕について説明する。図5は、本発明の他の実施形態による採血用枕を示す斜視図であり、図6は、図5の採血用枕の分解斜視図であり、図7は、図5の採血用枕の使用状態を示す斜視図であり、図8は、図5の採血用枕の他の使用状態を示す斜視図である。なお、本実施形態において、上記実形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
図5及び図6を参照して、図示の採血用枕2Aでは、枕本体4Aは、支持面6を有する上枕本体34と、上枕本体34の下面に着脱自在に取り付けられる下枕本体36と、を有している。上枕本体34の下面には一対の取付用孔37が上方に延びて設けられており、上枕本体34の他の構成は、上記実施形態の枕本体4とほぼ同様である。下枕本体36の下面には、断面略円弧状の支持用凹部38が前後に延びて設けられている。また、下枕本体36の上面には、上枕本体34の一対の取付用孔37に対応して一対の取付用ピン40が上方に延びて設けられている。取付用ピン40を取付用孔37に挿入することにより、下枕本体36が上枕本体34の下面に取り付けられる。
【0035】
図7をも参照して、上述した採血用枕2Aの使用方法について説明する。まず、下枕本体36を上枕本体34の下面に取り付けた状態で、下枕本体36の支持用凹部38を椅子42に着座した被採血者12の大腿部44に支持させる。そして、上記実施形態と同様に、被採血者12の腕14を支持面6に支持させて採血を行う。従って、枕本体4Aを載置するためのテーブルなどがない場合でも、枕本体4Aを被採血者12の大腿部44に支持させることができ、採血を行う場所の自由度を高めることができる。また、被採血者12の腕14を支持面6に支持させると、枕本体4Aが被採血者12の大腿部44に押さえ付けられるようになるので、枕本体4Aを安定して支持することができる。
【0036】
なお、下枕本体36を上枕本体34から取り外し、上枕本体34をテーブルの上などに載置することにより、この上枕本体34を上記実施形態と同様の方法で使用することもできる。
【0037】
あるいは、図8に示すように、枕本体4Aを下方より支持するためのスタンド部材46を用いることもできる。このスタンド部材46は、スタンド本体部48と、スタンド本体部48の上端部に設けられたブロック状の枕本体50(装着部を構成する)と、を備えている。スタンド本体部48には、枕本体50の床面からの高さ位置を調節するための高さ調節機構(図示せず)が設けられている。なお、スタンド部材46としては既製品を用いることができる。また、採血用枕2Bの枕本体4Bは、支持面6を有する上枕本体34と、上枕本体34の下面に着脱自在に取り付けられる下枕本体36Bと、を有している。下枕本体36Bの下面には、スタンド部材46の枕本体50の形状に対応した形状を有する装着用凹部52が設けられている。この装着用凹部52をスタンド部材46の枕本体50に着脱自在に装着することにより、枕本体4Bがスタンド部材46の枕本体50に支持されるようになる。従って、枕本体4Bの高さ位置を調節したい場合などには、枕本体4Aをこのスタンド部材46の上端部に支持して使用することができる。なお、装着部を枕本体50から構成したが、例えばプレート状の取付金具などから構成することもできる。
【0038】
本実施形態では、上枕本体34と下枕本体36(36B)とを別体に構成したが、これらを一体的に構成することもできる。かかる場合には、枕本体4A(4B)の下面に支持用凹部38(装着用凹部52)が設けられるようになる。
【0039】
また、上述した支持用凹部38を装着用凹部として用い、スタンド部材46の枕本体50に支持用凹部38を装着するようにしてもよい。かかる場合には、用途等に応じて、3通りの使用方法(即ち、下枕本体36を上枕本体34から取り外して上枕本体34をテーブル23の上面などに載置して使用する方法、下枕本体36を上枕本体34に取り付けて枕本体4Aを被採血者12の大腿部44に支持して使用する方法及び下枕本体36を上枕本体34に取り付けて枕本体4Aをスタンド部材46の上端部に支持して使用する方法)を適宜選択することができる。
【0040】
以上、本発明に従う採血用枕の各種実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0041】
上記各実施形態では、支持面6の下端部の前方に握り棒22を設けるように構成したが、この握り棒22を省略してもよい。また、支持面6に保持用凹部8を設けるように構成したが、この保持用凹部8を省略してもよい。
【0042】
また、上記各実施形態では、握り棒22の両端部を一対の接続部20により支持するように構成したが、接続部20を1つのみ設け、この接続部20により握り棒22の一端部を支持するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
2,2A,2B 採血用枕
4,4A,4B 枕本体
6 支持面
8 保持用凹部
10 段差部
12 被採血者
14 腕
16 肘関節
18 手関節
22 握り棒
26 肩関節
34 上枕本体
36,36B 下枕本体
38 支持用凹部
44 大腿部
46 スタンド部材
48 スタンド本体部
50 枕本体(装着部)
52 装着用凹部

















【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血時に被採血者の腕をアームダウン姿勢で支持するための採血用枕であって、
被採血者の腕の少なくとも肘関節から手関節までの部位を支持するための支持面を有する枕本体を備え、前記支持面は、被採血者の肩関節の屈曲角度が55〜70°となるように傾斜状に構成され、前記支持面の下端部には段差部が設けられ、前記段差部の高さは、被採血者の手関節が背屈可能な高さに構成されていることを特徴とする採血用枕。
【請求項2】
前記段差部の高さは3〜5cmであることを特徴とする請求項1に記載の採血用枕。
【請求項3】
前記支持面の下端部の前方には握り棒が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の採血用枕。
【請求項4】
前記支持面には、被採血者の腕の少なくとも一部を収容保持するための保持用凹部が設けられ、前記保持用凹部は前記支持面の長さ方向に延びており、その深さは、前記支持面の下端部から上端部に向けて漸増されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の採血用枕。
【請求項5】
前記枕本体の下面には、着座した被採血者の大腿部に支持される支持用凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の採血用枕。
【請求項6】
前記枕本体は、前記支持面を有する上枕本体と、前記上枕本体の下面に着脱自在に取り付けられる下枕本体と、を備え、前記下枕本体の下面には前記支持用凹部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の採血用枕。
【請求項7】
前記枕本体に関連して、前記枕本体を下方より支持するためのスタンド部材が設けられ、前記スタンド部材は、高さ調節機構を有するスタンド本体部と、前記スタンド本体部の上端部に設けられた装着部と、を備え、前記枕本体の下面には装着用凹部が設けられ、前記装着用凹部には、前記スタンド部材の前記装着部が着脱自在に装着されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の採血用枕。





















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−188968(P2011−188968A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56926(P2010−56926)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(504177284)国立大学法人滋賀医科大学 (41)
【Fターム(参考)】