説明

接合連結器

【課題】メタルラス板などの網目形成板や紙等の連接作業を省力化可能にした接合連結器を提供する。
【解決手段】ピン受け座100を支持する受座保持アーム200と、押込みハンマー300を支持するハンマー支持アーム400と、ピン受け座100と押込みハンマー300間に連結ピン500を供給するピンケース600と、ピンケースを600支持する支持アーム400とを有し、これらアームの後部を回動可能にピン連結にした接合連結器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルラス板などの網目形成板や紙等を複数枚重ねて接合連結する接合連結器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
網目形成板例えばメタルラス板は、従来からラス型枠工法として型枠用の合板に替えてせき板用に広く使用されている。このラス型枠工法はメタルラス板の空間率が大きいことから型枠の軽量化や材料費に関するコスト削減に有効である。ラス型枠工法は一般に、主筋や肋筋で構成した鉄筋籠の両外側の各々をセパレーターロッドにより所定間隔をおいてメタルラス板で囲う。セパレーターロッドの両側には横パイプ固定用のコッターを挿出入する複数のキー穴を設け、適宜なキー穴にコッターを入れて横パイプを押し圧支持すると共にメタルラス板間を締め保持する。横パイプとメタルラス間には縦パイプを介してある。
そしてメタルラス板で囲ったコンクリート収容部にコンクリートを流し込む所謂コンクリート打設をするのみで完了させるものである。
【0003】
一方、前記メタルラス板の製造は、薄鋼板コイルを巻き戻しながら、切り刃ロールでその厚み方向に網形成用の長さ17mm程度の切れ目を千鳥状に連続して刻み込み、その後2m長さ単位に剪断し、次いでこの切板の幅方向を引っ張り拡張して網目に拡張形成すると共に、エッジ部或いは前後端部に補強用のリブをプレス形成して数枚単位に梱包して出荷される。
【0004】
そこで前記ラス型枠工法におけるメタルラス板の配設施工は、複数のメタルラス板を連接するが、メタルラス板間の接合は、従来から隣接メタルラス板の補強リブ部を重ねてこの重ね部分を番線で締めて行われる。また隣接メタルラス板の前後部に補強リブ部が無い場合は、その網目どうしを重ねてその重ね部分を番線で締めて行われる。
この重ね部分の番線締め作業は、全て手作業なため多量の番線と、多大な人手による労力を必要とする煩雑で多大な時間のかかる作業を伴っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、メタルラス板などの網目形成板や紙等の連接作業を、単純堅牢構造で安全迅速に均一で強固に実施できるハンディな接合連結器を提供して、例えば前記の番線締め作業を皆無にし、省力化を有利に可能にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を全て満足する本発明の特徴とするところは、次の(1)にある。
(1)、ピン受け座を支持する受座保持アームと、押込みハンマーを支持するハンマー支持アームと、ピン受け座と押込みハンマー間に連結ピンを供給するピンケースと、ピンケースを支持する支持アームとを有し、これらアームの後部を回動可能にピン連結し、ピンケースとピン受け座を被連結部を挟んで対面させ、開放端を内曲げ可能にしたコ字型の連結ピンをピンケースに収容し、ケース内の連結ピンの背部を押込みハンマーで押し込んでケース外に突出させ、突出した連結ピンの内側に被連結物を収容すると共に連結ピンの開放端をピン受け座に当接させて内曲げ変形させて被連結物を拘束する接合連結器において、ピン受け座の保持アームは、ピン受け座側の支持部を、ピン受け座を被連結部の裏側に挿通して回して対面させることを可能にしたクランクアームにしたことを特徴とする接合連結器
【発明の効果】
【0007】
本発明の接合連結器は、前記ピン受け座を支持する受座保持アームに、¬型又はコ字型のクランクアームを成形した単純堅牢構造により、受座保持アーとピンケース間にメタルラス板を位置させること無く、ピン受け座のみを補強リブの重ね部分に対面させて被接合連結部である補強リブ等の重ね部分を連結ピンで接合連結するものである。
これにより、メタルラス板などの網目形成板や紙等の連接作業を、安全迅速に均一で強固に実施できるハンディな接合連結器であり、例えば前記の番線締め作業を皆無にし、省力化を有利に可能にしたものである。
また紙などの連結ピン接合も紙の端から必要な位置に端の向きに対して連結ピンを直角に或いは平行に位置させて被連結部のみを接合連結することを可能にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1を示す側面説明図である。同図(1)はピン受け座をメタルラスの裏側に回して補強リブの重ね部に対面させた接合連結前の状態を示すと同時に矢視A−Aからの正面図を円内に併記し、(2)はハンマーヘッドで連結ピンを押し込み開始の状態を示し、(3)は作業側の正面から見た説明図である。
【図2】本発明の実施例2を示す平面説明図である。同図(1)はピン受け座をメタルラスの裏側に回して補強リブの重ね部に対面させた状態を上から見た平面図であり、(3)は(1)の状態からハンマー支持アームを連結作動側に回動させてハンマーヘッドを連結ピンに当接した状態の断面説明図であり、(2)はピン受け座をメタルラスの補強リブの重ね部の上方直近の網目に挿入している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明を実施するための最良の形態を次の紹介する実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
本例における接合連結器は次の構成にしてある。
即ち、ピン受け座100を支持する受座保持アーム200と、アーム先端部にアーム長手方向に沿って平行にハンマーヘッド301を形成した押込みハンマー300を支持するハンマー支持アーム400と、ピン受け座100と押込みハンマー300間に直角に配置し連結ピン500を押込みハンマー300直下にバネ力で供給するピンケース600と、ピンケース600を支持するケース支持アーム700とを有し、受座保持アーム200とハンマー支持アーム400とケース支持アーム700の各後部を共用の軸P1で互いに自由に所定角度範囲内で離間自在に回動可能に連結している。
【0011】
ピンケース600は、開放端が内曲げ可能にした連結ピン500を複数収容し、ケース内の前端部の連結ピン500のみの背部を押込みハンマー300のハンマーヘッドで押し込んで他の連結ピンから分離させてケース外に突出させることを可能にしてある。
【0012】
受座保持アーム200には、ピン受け座100側にクランクアームC1を介在させてある。
クランクアームC1は、図2(1)に示すように受座保持アーム200の途中(x)からメタルラス板M側に斜めに曲げて斜め直線状にし(y)、続いて受座保持アーム200に対して平行関係に戻し(z)、その先部にピン受け座100の下端を固定接続したものである。
このクランクアームC1は、ピン受け座100を押込みハンマー300のハンマーヘッド301に対面させるため、ピン受け座100をメタルラス板Mの補強リブR近傍の下網目A1から挿通させてメタルラス板Mの裏側に回して補強リブRに対面させる。
【0013】
つまりこのクランクアームC1は、受座保持アー200とピンケース600間にメタルラス板Mを位置させること無く、ピン受け座100のみを補強リブRの重ね部分に対面させて補強リブRの重ね部分を連結ピン500で図1(4)に示すように接合連結するものである。
この連結ピン500での補強リブRの重ね部分の接合連結は、受座保持アーム200とハンマー支持アーム400を握って収縮回転させることにより、押込みハンマー300のハンマーヘッド301で連結ピン500をケース外に突出させ、ピン受け座100に向かって進行させその途中でピン内に補強リブRの重ね部分を収容すると共に開放端をピン受け座100の案内用凹部101に当接させて内曲げ変形させ、補強リブRの重ね部分をその直角方向で拘束接合するのである。
なおピン受け座が補強リブRの真裏に位置した時にピン受け座を停止させる補強リブ当接用のストッパーをピン受け座かクランクアームC1の適宜な箇所に付設して作業性を更に迅速的確にすることができる。
【実施例2】
【0014】
本例における接合連結器は次の構成にしてある。
即ち、ピン受け座10を支持する受座保持アーム20と、アーム先端部にアーム長手方向に対して直角にハンマーヘッド31を形成した押込みハンマー30を支持するハンマー支持アーム40と、受座保持アーム20とハンマー支持アーム40間に沿って配置し連結ピン50を押込みハンマー30直下にバネ力で供給するピンケース60と、ピンケース60を支持するケース支持アーム70とを有し、受座保持アーム20とハンマー支持アーム40とケース支持アーム70との各後部を共用の軸P2で互いに自由に所定角度範囲内で離間自在に回動可能に連結している。
【0015】
ピンケース60は、開放端を内曲げ可能にしたコ字型の連結ピン50を複数収容し、ケース内の前端部の連結ピン50のみの背部を押込みハンマー30のハンマーヘッド31で押し込んで他の連結ピンから分離させてケース外に突出させることを可能にしてある。
【0016】
受座保持アーム20には、ピン受け座10側にクランクアームC2を介在させてある。
このクランクアームC2は、ピン受け座10を押込みハンマー30のハンマーヘッドに対面させるため、ピン受け座10をメタルラス板Mの補強リブR近傍の上網目A2から上方挿通させてメタルラス板Mの裏側に回して補強リブRに対面させる。
【0017】
クランクアームC2は、図2に示す如く受座保持アーム200の途中から直角に変形させて一旦上方に延ばし(a)、続いてメタルラス板Mに沿って直角に変形させて水平に延ばし(b)続いてメタルラス板Mに向かって延ばし(c)、続いて下方に直角でピン受け座横側に延ばし(d)その側端をピン受け座10の側端に固定接続したものである。
つまりこのクランクアームC2は、上記の型にしたことにより受座保持アー20とピンケース60間にメタルラス板Mを位置させること無く、ピン受け座10のみを補強リブRの重ね部分に対面させて補強リブRの重ね部分を連結ピン50で図1(4)に示すように接合連結するものである。
【0018】
この連結ピン50での補強リブRの重ね部分の接合連結は、前例同様に受座保持アー20とハンマー支持アーム40を握って収縮回転させることにより、押込みハンマー30のハンマーヘッド31で連結ピン50をケース外に突出させ、ピン受け座10に向かって進行させその途中でピン内に補強リブRの重ね部分を収容すると共に開放端をピン受け座10の案内用凹部11に当接させて内曲げ変形させ、補強リブRの重ね部分をその直角方向で拘束接合するのである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の接合連結器は前述のように、メタルラス板などの網目形成板や紙等の連接作業を、安全迅速に均一で強固に実施できるハンディな接合連結器であり、例えば前記の番線締め作業を皆無にし、省力化を有利に可能にしたものである。また紙などの連結ピン接合も紙の端から必要な位置に端の向きに対して連結ピンを直角に或いは平行に位置させて被連結部のみを接合連結することを可能にしたものである。
このように優れた作用効果をもたらす本発明は、特にメタルラスを採用する建築業界に多大な効果をもたらす画期的な接合連結器である。
【符号の説明】
【0020】
100、10:ピン受け座 200、20:受座保持アーム
301、31:ハンマーヘッド P2、P1:軸
300、30:押込みハンマー R:補強リブ
400、40:ハンマー支持アーム A1:下網目
500、50:連結ピン A2:上網目
600、60:ピンケース M:メタルラス板
700、70:ケース支持アーム C1、C2:クランクアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン受け座を支持する受座保持アームと、押込みハンマーを支持するハンマー支持アームと、ピン受け座と押込みハンマー間に連結ピンを供給するピンケースと、ピンケースを支持する支持アームとを有し、これらアームの後部を回動可能にピン連結し、ピンケースとピン受け座を被連結部を挟んで対面させ、開放端を内曲げ可能にしたコ字型の連結ピンをピンケースに収容し、ケース内の連結ピンの背部を押込みハンマーで押し込んでケース外に突出させ、突出した連結ピンの内側に被連結物を収容すると共に連結ピンの開放端をピン受け座に当接させて内曲げ変形させて被連結物を拘束する接合連結器において、
ピン受け座の保持アームは、ピン受け座側の支持部を、ピン受け座を被連結部の裏側に挿通して回して対面させることを可能にしたクランクアームにしたことを特徴とする接合連結器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−251406(P2012−251406A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134592(P2011−134592)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(307022790)大成ラス株式会社 (4)