説明

接客端末

【課題】利用者が見つけやすく、且つ利用者の使い勝手の向上を図った接客端末を提供する。
【解決手段】券売機1は、三角柱形状である。券売機1は、背面を通路の壁面に対向させて取り付ける。このとき、券売機1を、通路の壁面に少し埋設してもよい。券売機1の背面でない2つの面の一方の面には、利用者が乗車券等の購入かかる入力操作行う接客部2が設けられており、他方の面には表示器3が設けられている。そして、券売機1は、改札口に向かう利用者に対向する面が接客面になり、改札口から出てきた利用者に対向する面が情報提供面になるように設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接客部における利用者の入力操作に応じて、物品の販売や、入出金取引等のサービスを提供する処理を実行する接客端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接客部における利用者の入力操作に応じて、サービスを提供する接客端末があった。接客端末としては、乗車券を販売する券売機、物品を販売する自動販売機、入出金取引を行うATM等がある。従来の接客端末には、直方体形状で、正面に接客部を設けたものや、接客部の上部が下部よりも奥になっているスラント型のものがある。特許文献1には、スラント型の券売機が示されている。
【0003】
この特許文献1に示されている券売機は、改札口に向かう通路等の壁面に埋設して設置される。利用者は、券売機の正面に設けられた接客部で、乗車券の購入等にかかる入力操作を行う。券売機は、乗車券を発券する発券処理等を、利用者の入力操作に応じて実行する。
【特許文献1】特開平7−220146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の券売機は、通路を通行している利用者から接客部が見えにくいので、利用者は、券売機の設置場所を知らない駅では、券売機を見つけるために、左右を見渡しながら、改札口に向かって歩かなければならなかった。また、利用者は、見つけた券売機の接客部で入力操作を行うために、自分の向きを改札口に向かう方向から接客部に対向する方向に変えなければならない。そして、券売機で目的の処理を終えると、今度は自分の向きを改札口に向かう方向に戻し、改札口に向かって歩きだす。このように、従来の券売機は、設置場所が見つけにくく、また利用者に何度も向きを変えさせる等、利用者に煩雑な動作を行わせており、使い勝手が良くないという問題があった。
【0005】
なお、この問題は、券売機だけでなく、他の種類の接客端末でも同じである。
【0006】
この発明の目的は、利用者が見つけやすく、且つ利用者の使い勝手の向上を図った接客端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の接客端末は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0008】
接客部における入力操作を検知し、検知した入力操作に応じて処理を実行する接客端末において、
本体の外形形状が、多角柱形状であるとともに、
前記接客部が、背面に対して鋭角に傾斜した側面に設けられている。
【0009】
この構成では、接客部を背面に対して鋭角に傾斜した面に設けているので、背面を通路の壁面に対向させて設置した場合に、この通路を通行している利用者が、自分の向きを変えなくても接客部を確認することができる。すなわち、利用者が、設置されている接客端末を容易に見つけることができる。また、利用者は、自分の向きを殆ど変えることなく、接客部を操作して、目的の処理を行うことができ、利用者の使い勝手が向上される。
【0010】
また、本体の外形形状については、三角柱形状とし、背面でない2つの側面が、この背面に対して鋭角に傾斜している形状にするのが好ましい。このような形状にすることで、通路の壁面から突出する部分の長さを抑えることができる。これにより、通路の幅が確保でき、通路における利用者の通行を阻害することもない。
【0011】
さらに、背面でない2つの側面の一方に、前記接客部を設け、他方に、広告等を表示するための表示器を設けてもよい。例えば券売機であれば、駅に入場するために改札口に向かって歩いてきている利用者から見える面に接客部を設け、改札口を出てきた利用者から見える面に表示器を設ければよい。このようにすれば、駅に入場する利用者に対して、乗車券の購入をスムーズに行わせることができるとともに、駅から出場してきた利用者に対して駅周辺の店舗の情報等を提供するサービスが効率的に実現できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、利用者が、設置されている接客端末を容易に見つけることができる。また、利用者は、自分の向きを殆ど変えることなく、接客部を操作して、目的の処理を行うことができ、利用者の使い勝手が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態である券売機について説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施形態である券売機の外観を示す図である。この実施形態の券売機1の外形形状は、三角柱形状である。券売機1は、背面を通路の壁面に対向させて取り付ける。このとき、券売機1を、通路の壁面に少し埋設してもよい。券売機1の背面でない2つの側面の一方には、利用者が乗車券等の購入にかかる入力操作行う接客部2が設けられている。また、他方の側面には、広告用表示器3が設けられている。以下の説明では、接客部2が設けられている面を接客面と呼び、広告用表示器3が設けられている面を情報提供面と呼ぶ。
【0015】
図2は、図1に示すA−A方向の断面図である。図2に示すように、接客面と情報提供面とは、直交している。図2に示すように、券売機1の断面形状は、完全な三角形ではなく、接客面と情報提供面とが接合している部分に丸みを付けている。また、接客面と背面とが接合している部分や、情報提供面と背面とが接合している部分についても、丸みを付けてもよい。この発明で言う三角柱形状とは、2つの面が接合している部分に丸みを付けた形状も含んでいる。また、接客面と、情報提供面と、は同じ大きさである。すなわち、券売機1の断面形状は、直角二等辺三角形である。
【0016】
接客面に設けられている接客部2は、利用者に対して操作案内画面を表示する案内用表示器や、この案内用表示器の画面上に配置したタッチパネル、カード等の媒体を挿入する媒体挿入口、キップ等の乗車券を放出する乗車券放出口等を有している。また、券売機1は、特に図示していないが、案内用表示器における操作案内画面の表示を制御する表示制御部、タッチパネルにおける利用者の入力操作を検知する入力検知部、媒体挿入口から挿入された媒体に記録されている情報の読取や、この媒体に対する情報の書込を行う媒体処理部、乗車券放出口から放出する乗車券を発行する乗車券発行部等、一般的な券売機に設けられている構成を備えている。さらに、券売機1は、設置されている駅周辺の店舗の広告や、企業の広告、天気予報、路線図、ニュース等の映像を、情報提供面に設けられている広告用表示器3に表示する表示制御部を備えている
なお、券売機1は、キップの購入に加えて、乗車券として使用できるプリペイドカードに対するチャージ機能、新幹線等の指定席券の予約が行える予約機能等を付加的に設けたものであってもよい。
【0017】
図3は、通路の壁面に券売機を4台並べて設置した状態を示す図であり、図4は通路における人の動線を示す図である。券売機1は、改札口に向かう利用者側の面が接客面になり、改札口から出てきた利用者側の面が情報提供面になるように設置される。通常、券売機1を利用する利用者は、これから駅に入場する利用者であり、駅から出場してきた殆どの利用者は、券売機1を利用しない。券売機1の接客面、および情報提供面は、壁面から突出している。すなわち、券売機1は、これから券売機1を利用する可能性が高い利用者に接客部2が見えるように配置されており、券売機1を利用する可能性が低い利用者に広告用表示器3が見えるように配置されている。
【0018】
改札口に向かって通路を歩いている利用者(すなわち、券売機1を利用する可能性が高い利用者)は、券売機1の接客面に設けられている接客部2が見えるので、券売機1を簡単に見つけることができる。また、利用者は、券売機1を利用するとき、殆ど向きを変えることなく、接客面に設けられている接客部2で入力操作が行える。また、利用者は、券売機1でキップの購入等の目的の処理を完了すると、殆どを向きを変えることなく、改札口に向かって歩いていける。図4(A)は、改札口に向かって歩いている利用者が一番手前に設置されている券売機1を利用するときの動線を示しており、図4(B)は、改札口に向かって歩いている利用者が3番目に設置されている券売機1を利用するときの動線を示している。図4に示すように、券売機1を利用する利用者の動線がスムーズであり、周辺を通行している他の人の流れを乱さない。
【0019】
このように、改札口に向かって歩いている利用者にとって、券売機1を利用するときの動作が煩雑にならず、利用者の使い勝手の向上が図れる。また、券売機1を利用する利用者が、周辺を通行している他の人の流れを乱さないので、券売機1周辺の混雑も抑えられる。
【0020】
また、改札口を通って駅から出場してきた利用者(すなわち、券売機1を利用する可能性が低い利用者)は、券売機1の情報提供面に設けられている広告用表示器3が見える。券売機1は、設置されている駅周辺の店舗の広告や、企業の広告、天気予報、路線図、ニュース等の映像を、この広告用表示器3に表示する。広告用表示器3に表示する映像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。改札口を通って駅から出できた利用者の多くは、この駅周辺で行動する。したがって、駅から出てきた利用者に対して、有益な情報の提供が効率的に行え、利用者に対するサービスの向上が図れる。また、駅空間のイメージアップも図れる。
【0021】
また、この実施形態では、接客面と情報提供面とのなす角度が略直角である二等辺直角三角形とすることにより、接客面、および情報提供面の面積を確保し、且つ客面、および情報提供面が通路側に突出する長さを抑えたので、通路幅が狭くなりすぎて、通路における人の通行を阻害することもない。
【0022】
なお、上記実施形態では、背面でない一方の側面を接客面、他方の側面を情報提供面とした場合を例にして、本願発明を説明したが、背面でない2つの側面を両方とも接客面にしてもよい。また、図3に示すように、複数の券売機1を並べて配置する場合、各券売機1の広告用表示器3を1つの表示器とみなし、各券売機1のの広告用表示器3に1つの映像を分割して表示してもよい。
【0023】
上記実施形態では、券売機1の外形形状を断面形状が直角二等辺三角形である三角柱形状としたが、背面に対して鋭角に傾斜した面を有する多角柱形状であれば、他の形状であってもよい。例えば、断面形状が、図5(A)に示す二等辺でない直角三角形である三角柱形状であってもよいし、断面形状が、図5(B)に示す鈍角を有する鈍角三角形である三角柱形状であってもよいし、断面形状が、図5(C)に示す直角以上の角を有しない鋭角三角形である三角柱形状であってもよい。図5(A)〜(C)に示す外形形状の券売機1も、接客面、および情報提供面が設けられる面は、背面に対して鋭角に傾斜した面である。
【0024】
また、券売機1は、断面形状が図6(A)に示す台形である四角柱形状であってもよいし、図6(B)や図6(C)に示す四角形である四角柱形状であってもよい。図6(B)に示す四角形は、平行な辺を有していない四角形であるが、接客面が設けられる面と、対向する面が平行である台形であってもよい。図6(C)に示す四角形も、平行な辺を有していない四角形であるが、情報提供面が設けられる面と、対向する面が平行である台形であってもよい。図6(A)〜(C)に示す外形形状の券売機1も、接客面、および情報提供面が設けられる面は、背面に対して鋭角に傾斜した面である。
【0025】
さらに、券売機1は、断面形状が図7(A)や図7(B)に示す五角形である五角柱形状であってもよい。図7(A)、(B)に示す外形形状の券売機1も、接客面、および情報提供面が設けられる面は、背面に対して鋭角に傾斜した面である。
【0026】
なお、券売機1の外形形状は、背面に対して鋭角に傾斜した面を有する形状であれば、上記した形状に限らず、他の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施形態である券売機の外観を示す図である。
【図2】図1におけるA−A方向の断面図である。
【図3】通路の壁面に券売機を4台並べて配置した状態を示す図である。
【図4】通路における人の動線を示す図である。
【図5】この発明の別の実施形態である券売機の断面形状を示す図である。
【図6】この発明の別の実施形態である券売機の断面形状を示す図である。
【図7】この発明の別の実施形態である券売機の断面形状を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1−券売機
2−接客部
3−広告用表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接客部における入力操作を検知し、検知した入力操作に応じて処理を実行する接客端末において、
本体の外形形状が、多角柱形状であるとともに、
前記接客部が、背面に対して鋭角に傾斜した側面に設けられている、接客端末。
【請求項2】
本体の外形形状が、三角柱形状であるとともに、
背面でない2つの側面が、背面に対して鋭角に傾斜している、請求項1に記載の接客端末。
【請求項3】
背面でない2つの側面の一方には、前記接客部が設けられており、且つ、
背面でない2つの側面の他方には、表示器が設けられている、請求項2に記載の接客端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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