説明

接木装置

【解決手段】 接木苗は、台木苗および穂木苗の茎部の端部同士を相互に接合した状態で、該台木苗と穂木苗との接合位置の周囲に茎部の軸心と同一方向にスリットの形成された可撓性を有するチューブTを装着して製造するようになっている。
台木苗の茎部の端部と穂木苗の茎部の端部とを相互に当接した状態で保持するとともに、これらを挟んで支持手段243とチューブ保持手段244とを相対移動可能に設け、このうち上記チューブ保持手段は上記スリットが上記台木苗および穂木苗を向くようにチューブを保持するようになっている。
この状態から支持手段とチューブ保持手段とを相対的に接近させると、台木苗および穂木苗の接合部分がスリットの間からチューブ内に挿入され、台木苗と穂木苗と接合位置の周囲にチューブが装着されて上記接木苗が得られるようになっている。
【効果】 接木苗を低コストに製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接木装置に関し、詳しくは台木および穂木を接合して接木を製造する接木装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、トマトやナス等の農作物を生産する際、台木と穂木とを接合した接木を使用するのが一般的となっており、この接木の製造は従来人手によって行われるか、もしくは下記接木装置によって製造されるようになっている。
上記接木装置として、台木と穂木との接合部分に2つの把持部材をばね部材によって閉鎖方向に付勢する構成を有するクリップを装着する接木装置(特許文献1)や、台木と穂木とを接着剤によって接着する接木装置(特許文献2)が知られている。
【特許文献1】特公平7−9号公報
【特許文献2】特開2005−211046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、人手では大量の接木を製造することは困難であり、上記特許文献1の接木装置の場合、台木苗と穂木苗とを接合する上記クリップは洗濯バサミのような構成を有しているので単価が高く、またこのクリップは台木苗と穂木苗とが完全に接合されるまで離脱させることができないため、多数のクリップが必要となり高コストである。
また接着剤によって台木苗と穂木苗とを接着する場合、接着力不足によって台木苗と穂木苗とが分離してしまう場合があり、確実に接木できない場合があった。
このような問題に鑑み、本発明は低コストで確実に接木を行うことの可能な接木装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、請求項1にかかる接木装置は、台木および穂木の切断した茎部の端部同士を相互に接合した状態で、台木と穂木との接合位置の周囲に茎部の軸心と同一方向にスリットの形成された可撓性を有するチューブを装着して接木を製造する接木装置であって、
該接木装置は、台木を保持する台木保持手段と、穂木を保持する穂木保持手段と、上記チューブを保持するチューブ保持手段とを備え、
上記台木保持手段および穂木保持手段は台木の茎部の端部と穂木の茎部の端部とを相互に接合させた状態で台木および穂木をそれぞれ保持するとともに、上記チューブ保持手段は接合された台木および穂木に上記スリットが向くようにチューブを保持し、
接合された台木および穂木にチューブ保持手段を相対的に接近させると、台木および穂木の接合部分がスリットの間からチューブ内に挿入されるとともに、上記チューブ保持手段によるチューブの保持が解除され、台木と穂木との接合部分の周囲にチューブが装着されて台木と穂木とが接合した状態に保持されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記請求項1の発明によれば、上記台木および穂木の接合部分をスリットを設けただけのチューブを用いることで接合することができ、簡単でしかも確実に接木を行うことができる。また大量の接木苗を製造することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1は接木製造システム1を示し、トマトの台木と穂木とを接合して接木を生産するシステムとなっている。
この接木製造システム1は、台木を下記接木装置4に供給する台木供給装置2と、穂木を下記接木装置4に供給する穂木供給装置3と、台木供給装置2および穂木供給装置3から供給された台木および穂木を接合して接木を製造する接木装置4と、接木された接木を後工程に排出する接木排出装置5とから構成され、これらは図示しない制御手段によって制御されている。
上記台木供給装置2には上記台木を複数収容した台木トレイ6が人手により供給され、この台木供給装置2では、この台木トレイ6から台木を台木キャリア7に一つずつ移し替え、台木を該台木キャリア7ごと上記接木装置4に供給するようになっている。
上記穂木供給装置3には上記穂木を複数収容した穂木トレイ8が人手により供給され、この穂木供給装置3では、この穂木トレイ8から穂木を穂木キャリア9に一つずつ移し替えて搬送し、さらにこの穂木を所定の位置で切断した後に上記接木装置4へと供給するようになっている。
上記接木装置4では、台木および穂木を所要の接合位置で切断した後、これらを接合位置で接合して接木を製造し、得られた接木を台木キャリア7ごと上記接木排出装置5に供給するようになっている。
そして上記接木排出装置5では、接木装置4より供給された接木キャリアとしての台木キャリア7に収容されている接木を、該接木を複数収容可能な接木トレイ10に移し替え、この接木トレイ10を図示しない後工程に供給するようになっている。
【0007】
図2に示すように、上記台木トレイ6は1つの台木を収容可能なポケット6aが複数整列して形成され、各ポケット6aは下方から上方に向けて広がる形状に形成されて、台木を培土ごと収容または取出しするのが容易な形状となっている。
図3に示すように、上記台木キャリア7は外部が略円筒状となっており、内側には上記台木トレイ6のポケット6aと略同形のポケット7aが設けられており、台木トレイ6の一つのポケット6aに収容されていた台木が収容されるようになっている。
また各台木キャリア7の外周面にはそれぞれ異なるバーコードや、RFIDなどの識別情報媒体が貼付されている(図示せず)。
なお、上記穂木トレイ8および接木トレイ10は上記台木トレイ6と同形となっており、また穂木キャリア9は台木キャリア7と同形となっているため、詳細な説明は省略する。
【0008】
通常、トマトの苗木は培土から上方に伸びた茎部と、最も地面に近い位置で茎部から相反する方向に伸びた子葉と、該子葉の上部に位置する本葉とからなっている。
図3は接木を示しており、所要の接合位置で切断された下方に位置する台木と、所要の接合位置で切断された上方に位置する穂木とをチューブTによって接合したものとなっている。本実施例では上記接合位置を上記子葉より約5〜10mm上方の位置としている。
例えば、下方に位置する台木には土壌伝染性の病害に強い品種を使用し、上方に位置する穂木には果実の品質や収量の優れた品種を使用することで、効率的にトマトの収穫をすることができる接木を得ることができる。
上記チューブTは可撓性を有した管状の部材であって、該接合位置における台木および穂木の茎部に装着することで、台木と穂木とを折れないように保持するようになっている。
このチューブTには、茎部の方向と同一の方向にスリットが形成されており、チューブTを台木および穂木の茎部に装着する際には、該スリットを押し広げて該スリットから台木と穂木とをチューブT内に挿入し、その後チューブTは復帰しようとする弾性力により台木および穂木の茎部を締め付けるようになっている。
【0009】
上記台木供給装置2は、上記台木トレイ6を搬送する台木トレイ搬送手段11と、台木キャリア7を一列で搬送する台木キャリア搬送手段としての第1コンベヤ12と、台木トレイ6から台木キャリア7に台木を移し替える台木移し替え手段13と、台木を検査する台木検査手段14と、台木検査手段14による検査結果に応じて台木の選別を行う台木選別手段15と、台木を所要の角度に回転させる台木回転手段16とを備えている。
上記台木トレイ搬送手段11は、平面視略コ字型に配置された3つのコンベヤ11a〜11cによって構成されており、図示左方側の上流端に位置するコンベヤ11aには人手により台木トレイ6が供給され、図示右方側の下流端に位置するコンベヤ11cの空の台木トレイ6は人手により回収されるようになっている。
中央のコンベヤ11bはサーボモータにより駆動し、上記台木トレイ6を間欠的に搬送することで、台木トレイ6内の台木を上記台木移し替え手段13の下記取り上げ位置に間欠的に供給するようになっている。
【0010】
上記第1コンベヤ12の上流端は後述する接木排出装置5の第11コンベヤ304に連結され、下流端は上記台木選別手段15に連結されている。そして第1コンベヤ12は台木キャリア7を上記台木移し替え手段13および台木検査手段14を通過して台木選別手段15まで搬送するようになっている。
また第1コンベヤ12は上記台木トレイ搬送手段11のコンベヤ11bの上方を横切るように設けられ、台木移し替え手段13の上流側となる位置には、台木キャリア7の搬送をせき止めるストッパ12aが設けられている。
【0011】
台木移し替え手段13は、第1コンベヤ12上の台木キャリア7を間欠的に搬送する間欠搬送手段21と、台木の茎部を把持するグリッパ22と、該グリッパ22を移動させる移動手段23とから構成されている。
間欠搬送手段21は上記第1コンベヤ12が台木トレイ搬送手段11のコンベヤ11bの上部を横切る部分に隣接して設けられた搬送ベルト21aと、該搬送ベルト21aに設けられた複数のストッパ部材21bとから構成されている。
上記搬送ベルト21aはサーボモータによって駆動し、上記ストッパ部材21bは所要の間隔で等間隔に設けられ、隣接するストッパ部材21bの間には上記台木キャリア7が一つずつ位置するようになっている。
この間欠搬送手段21によれば、搬送ベルト21aによって間欠的に上記ストパ部材21bを下流側に移動させることで、台木キャリア7をひとつずつ下流側へ送出するようになっている。
【0012】
図4に示すように、上記グリッパ22は台木の茎部を把持するようになっており、上記移動手段23は、水平方向に設けられたフレーム23aと、該フレーム23aに沿って水平方向に移動する水平移動機構23bと、該水平移動機構23bに設けられて上下に昇降する昇降機構23cと、該昇降機構23cに設けられて上記グリッパ22を台木に対して進退動させる伸縮機構23dとから構成されている。
上記フレーム23aは上記第1コンベヤ12と平行して上記コンベヤ11bの上方を横切るように設けられ、第1コンベヤ12とフレーム23aとの間には所要の間隔が設けられている。
上記水平移動機構23bは上記グリッパ22を台木トレイ6の幅に合わせて水平に移動させ、上記昇降機構23cはグリッパ22を台木トレイ6の高さと台木キャリア7の高さに合わせて昇降させ、上記伸縮機構23dは上記グリッパ22をフレーム23aと直交する方向に進退動させるようになっている。
【0013】
このような構成により、台木移し替え手段13は以下のようにして台木を台木トレイ6から台木キャリア7に移し替えるようになっている。
まず、上記台木トレイ搬送手段11のコンベヤ11bは、上記台木トレイ6を間欠的に搬送して、台木を収容したポケット6aを上記第1コンベヤ12とフレーム23aとの間に位置させる。
一方、間欠搬送手段21には、上記第1コンベヤ12のストッパ12aを解除することで空の台木キャリア7が所定個数供給され、その後間欠搬送手段21は台木キャリア7を下流側に一つずつ搬送する。
この状態から、上記移動手段23がグリッパ22を台木トレイ6上に移動させ、グリッパ22が台木の子葉の下部を把持すると、その後グリッパ22を上昇させて、台木を培土ごとポケット6aより離脱させる。
次に、移動手段23はグリッパ22を間欠搬送手段21の下流端に位置する台木キャリア7の上方に移動させて、該台木を培土ごと台木キャリア7のポケット7aに収容する。
そしてグリッパ22が台木を解放すると、間欠搬送手段21は台木キャリア7を間欠的に搬送し、下流端に位置する台木を収容した台木キャリア7は第1コンベヤ12上を搬送されて台木検査手段14へと移動する。
【0014】
図5は上記台木検査手段14の側面図を示し、上記第1コンベヤ12に沿って設けられた回転手段としての駆動ベルト31と、台木キャリア7に貼付された識別情報媒体に記録された識別データを読み取る図示しないスキャナと、台木に光を照射する照射手段32と、台木を撮影する撮影手段33と、撮影手段33により撮影した画像データを画像処理して台木を検査する図示しない画像処理手段とを備えている。
上記駆動ベルト31は上記第1コンベヤ12を挟んで両側に設けられており、両駆動ベルト31を反対方向に駆動させることで、台木キャリア7を水平方向に回転させるようになっている。
上記スキャナは回転する台木キャリア7から、該台木キャリア7に貼付されている識別情報媒体の識別データを読み取り、当該台木キャリア7の識別データとして記憶する。
上記照射手段32と撮影手段33とは上記第1コンベヤ12を挟むようにして設けられており、撮影手段33は駆動ベルト31によって回転する台木を撮影して、撮影した画像を上記画像処理手段に送信するようになっている。
なお、本実施例では照射手段32は台木キャリア7を挟んで反対側に設けているが、該照射手段32を撮影手段33側に設けて、照射手段32が照射した光が台木に反射した画像を撮影するようにしてもよい。
【0015】
上記画像処理手段では、得られた画像を従来公知の方法によって画像認識し、台木の茎部の太さと、該茎部の曲がり具合とについて検査を行う。
台木の茎部の太さとして、画像処理手段は上記台木における上記接合位置の茎部の太さを検査し、この接合位置の茎部の太さに応じて「太・中・細」の3種類のレベルに分類するようになっている。
また茎部の曲がり具合として、上記接木装置4によって処理できるか否かを判断基準としており、茎部が所定以上に曲がっている台木については、接木装置4による接木に適さない台木であるとして「処理不可」として分類するようになっている。
そして画像処理手段はこの検査結果を、先ほど上記スキャナによって認識した台木キャリア7の識別情報媒体の識別データと関連付けて記憶し、この検査結果および識別データを上記制御手段へと送信する。
【0016】
上記台木選別手段15は、台木検査手段14の検査結果に応じて台木キャリア7を貯留する4つの第2〜第5コンベヤ41〜44と、第2〜第4コンベヤ41〜43上の台木キャリア7を上記台木回転手段16に搬送する第6コンベヤ45とから構成されている。
上記第2〜第4コンベヤ41〜43はそれぞれ第1コンベヤ12の途中から直交する方向に分岐するように接続され、上記第5コンベヤ44は第1コンベヤ12の下流端に連結されている。
そして第2コンベヤ41には上記台木検査手段14によって「太」と判断された台木の台木キャリア7が供給され、第3コンベヤ42には「中」と判断された台木の台木キャリア7が供給され、第4コンベヤ43には「細」と判断された台木の台木キャリア7が供給され、第5コンベヤ44には「処理不可」と判断された台木の台木キャリア7が供給されるようになっている。
また、第1コンベヤ12と第2コンベヤ41とが接続する位置の上流側には、台木キャリア7の識別情報媒体の識別データを読み取る図示しないスキャナが設けられており、読み取った識別データを制御手段に送信する。
制御手段は、該スキャナによる識別データの認識結果と、上記台木検査手段14での検査結果とを照合して、その台木キャリア7に収容されている台木が「太・中・細・処理不可」のいずれに該当するかを認識する。
そして、第1コンベヤ12の搬送経路に沿って、第2〜第4コンベヤ41〜43に対向する位置にはそれぞれ図示しないプッシャが設けられており、例えば上記台木検査手段14によって「太」と判断された台木を収容した台木キャリア7が第1コンベヤ12と第2コンベヤ41との接続位置に差し掛かると、該第2コンベヤ41に設けられたプッシャが作動して、該台木キャリア7を第1コンベヤ12から第2コンベヤ41へと押し出すようになっている。
【0017】
また、第2〜第4コンベヤ41〜43の上流端には、台木キャリア7の通過をカウントする図示しない第1センサが設けられ、下流端にはそれぞれ制御手段によって制御されるストッパ41a〜43aと、このストッパ41a〜43aを通過する台木キャリア7の個数を計測する図示しない第2センサとが設けられている。
制御手段は、上記第1センサによって第2〜第4コンベヤ41〜43に供給される台木キャリア7の個数と、第2センサによってストッパ41a〜43aを通過する台木キャリア7の個数とを常時監視しており、これにより第2〜第4コンベヤ41〜43上に貯留されている台木キャリア7の個数を常時把握するようになっている。
上記ストッパ41a〜43aはそれぞれ第2〜第4コンベヤ41〜43上に突出して台木キャリア7を第2〜第4コンベヤ41〜43上にせき止めるようになっている。
そして上記第1センサによって、制御手段が例えば第2コンベヤ41に所定個数の台木キャリア7が貯留されたことを認識すると、制御手段は上記ストッパ41aを退避させて台木キャリア7を上記第6コンベヤ45に供給させる。
そして上記第2センサによって、制御手段が所定個数の台木キャリア7が通過したことを認識すると、上記ストッパ41aは第2コンベヤ41上に突出して再び台木キャリア7を第2コンベヤ41上にせき止めるようになっている。
一方、第5コンベヤ44には第2〜第4コンベヤ41〜43のような上記プッシャおよびストッパ41a〜43aは設けられておらず、第1コンベヤ12の下流端まで搬送された台木キャリア7はそのまま第5コンベヤ44上に移動し、その後第5コンベヤ44の下流端で停止する。
【0018】
上記台木回転手段16は、上記第6コンベヤ45と接木装置4との接続位置に設けられており、台木キャリア7を撮影する図示しない撮影手段と、台木キャリア7を水平方向に回転させる図示しない回転手段と、上記撮影手段が撮影した画像を画像処理する図示しない画像処理手段とを備えている。
上記撮影手段は台木キャリア7を上方から撮影するようになっており、画像処理手段は撮影された画像から台木の子葉の伸びている方向を認識するようになっている。
回転手段は、例えば上記台木検査手段14の駆動ベルト31と同様の構成を有しており、上記画像処理手段が認識した台木の子葉の方向に基づいて、台木キャリア7を回転させるようになっている。
そして回転手段は、接木装置4に台木キャリア7が保持されたときに、台木の子葉が接木装置4の回転方向に対して接線方向を向くように回転させるようになっている。
【0019】
次に、穂木供給装置3は、上記穂木トレイ8を搬送する穂木トレイ搬送手段111と、穂木キャリア9を搬送する穂木キャリア搬送手段としての第1コンベヤ112と、穂木トレイ8から穂木キャリア9に穂木を移し替える穂木移し替え手段113と、穂木を検査する穂木検査手段114と、穂木検査手段114による検査結果に応じて穂木の選別を行う穂木選別手段115と、穂木を所要の角度に回転させる穂木回転手段116と、穂木を所要の位置で切断する穂木切断手段117と、穂木キャリア9を第1コンベヤ112に返還する穂木キャリア返還手段118とを備えている。
このうち、上記穂木トレイ搬送手段111、第1コンベヤ112、穂木移し替え手段113、穂木検査手段114、穂木選別手段115、穂木回転手段116は、上記台木供給装置2における台木トレイ搬送手段11、第1コンベヤ12、台木移し替え手段13、台木検査手段14、台木選別手段15、台木回転手段16と同じ構成を有しているので、詳細な説明は省略し、図中において、共通する部材には台木供給装置2について使用した符号に100を加算したものを付すものとする。
【0020】
以下穂木切断手段117から説明すると、穂木切断手段117は上記穂木回転手段116から穂木キャリア返還手段118にかけて設置された第7コンベヤ151上に設けられており、またこの穂木切断手段117では切断した穂木を上記接木装置4に供給するようになっている。
図6は上記穂木キャリア9が第7コンベヤ151上を穂木回転手段116から穂木切断手段117を介して穂木キャリア返還手段118まで搬送される状態を示した図となっている。
まず、図6(a)は穂木回転手段116によって回転させられた穂木キャリア9が第7コンベヤ151上に供給された状態を示している。
第7コンベヤ151は、並行して設けられた2本のコンベヤ151a、151bを備え、このコンベヤ151a、151bには高低差が設けられると共に、穂木キャリア9は最初に上段側のコンベヤ151a上に供給されるようになっている。
また、上記穂木回転手段116では、穂木キャリア9を回転させることで、穂木の子葉の向きが第7コンベヤ151の搬送方向と同じ方向を向くようにしている。
【0021】
図6(b)は穂木回転手段116と穂木切断手段117との略中間となる位置での状態を示した図となっている。
上記第7コンベヤ151のコンベヤ151a、151bの間には傾斜152が形成され、上段側のコンベヤ151aには下段側のコンベヤ151bに接近するようにガイド部材153が設けられている。
このため、上記上段側のコンベヤ151aを搬送される穂木キャリア9はガイド部材153によって下段側のコンベヤ151bに押しやられ、上記傾斜152によって横転しながら下段側のコンベヤ151bに落下する。
ここで、上記下段側のコンベヤ151bに隣接した位置には、横転した穂木キャリア9の中心よりわずかに低い高さの段差154が形成され、穂木キャリア9が横転すると、上記穂木の子葉が略水平方向を向いた状態で落下し、かつ子葉が略水平に広がった状態で該段差154上に位置することとなる。
【0022】
図6(c)は上記穂木切断手段117での状態を示した図となっている。
穂木切断手段117は、穂木を把持するグリッパ155と、穂木を切断するカッタ156とから構成されており、このうち上記グリッパ155については、図7に示す接木装置4の穂木供給ステーションBを説明する際に説明する。
この穂木切断手段117の位置には図示しないストッパが設けられており、穂木が切断される間、穂木キャリア9が一時的に停止するようになっている。
上記第7コンベヤ151の傾斜152はこの穂木切断手段117の位置では略垂直になっており、この傾斜152と上記段差154との間隔が略穂木キャリア9の高さと同じ間隔になるようになっている。このため、穂木キャリア9の上端部分が上記段差154に接近した状態を維持するようになっている。
上記カッタ156はエアシリンダ156aによって昇降するようになっており、上記段差154には該カッタ156が下降する茎部の切断位置にスリット154aが形成されている。
このような構成により、穂木切断手段117は以下のようにして穂木の切断を行うようになっている。
上記第7コンベヤ151を搬送された穂木キャリア9が上記ストッパによって停止すると、最初に上記グリッパ155によって穂木の子葉よりも上部を把持する。
次に、上記カッタ156がエアシリンダ156aによって下降し、カッタ156の先端がスリット154aに挿入されることで、穂木の茎部を確実に切断するようになっている。
【0023】
次に、図6(d)を用いて穂木キャリア返還手段118について説明する。穂木キャリア返還手段118は、切断された穂木を把持するグリッパ161と、穂木キャリア9を把持するグリッパ162と、第7コンベヤ151のコンベヤ151aの下流端に接続された第8コンベヤ163(図1参照)と、コンベヤ151bの下流端に設けられた培土回収ボックス164(図1参照)とから構成されている。
この図6(d)に示す位置には穂木キャリア9を一時的に停止させる図示しないストッパが設けられており、穂木キャリア9から穂木を培土ごと抜き出す間、穂木キャリア9が一時的に停止するようになっている。
図6(d)に示すように、穂木キャリア返還手段118の位置では上記第7コンベヤ151のコンベヤ151aがコンベヤ151bよりも低くなっており、上記傾斜152は図6(b)とは反対向きに形成されている。
上記グリッパ161,162は、上記ストッパによって穂木キャリア9が停止すると、それぞれ穂木の茎部と穂木キャリア9とを把持するようになっている。
上記グリッパ161,162が穂木と穂木キャリア9とを把持すると、上記グリッパ162は図示しない移動手段によってコンベヤ151a側に移動し、穂木キャリア9を傾斜152上に移動させる。
その結果、穂木キャリア9から穂木が培土ごと抜き出され、その後グリッパ161が該穂木を解放することで、該穂木はコンベヤ151bを搬送された後、上記培土回収ボックス164に回収されることとなる。
一方、グリッパ162が穂木キャリア9を解放すると、穂木キャリア9は上記傾斜152によって再び倒立し、その後穂木キャリア9はコンベヤ151aから第8コンベヤ163上に移動する。
そして上記第8コンベヤ163は上記第1コンベヤ112の上流端に接続されており、倒立して空になった穂木キャリア9は再び上記第1コンベヤ112に供給されるようになっている。
【0024】
上記接木装置4は、上記台木および穂木を水平方向に間欠的に回転しながら搬送して接木を製造する装置であって、計8ヶ所の作業ステーションA〜Hから構成されている。
この作業ステーションA〜Hは、上記台木供給装置2に接続された台木供給ステーションA、上記穂木供給装置3に接続された穂木供給ステーションB、台木および穂木を切断する位置を認識する切断位置認識ステーションC、台木および穂木を上記認識した位置で切断する切断ステーションD、切断した台木および穂木を接合して接木とする接合ステーションE、接合された接木を検査する検査ステーションF、不良と判断された接木を排除するリジェクトステーションG、上記接木排出装置5に接続された接木排出ステーションHとから構成されている。
【0025】
図7に示すように、接木装置4は地面に固定された回転軸201と、該回転軸201に対して回転可能に設けられた下側回転テーブル202および上側回転テーブル203と、下側回転テーブル202に保持されるとともに上記台木を把持する台木保持手段204と、上側回転テーブル203に保持されるとともに上記穂木を把持する穂木保持手段205とを備えている。
上記下側回転テーブル202および上側回転テーブル203は図示しない駆動手段により水平方向に回転し、かつ台木保持手段204および穂木保持手段205の上下の位置を揃えた状態で、これらを上記各ステーションA〜Hに間欠的に移動させるようになっている。
上記台木保持手段204は下側回転テーブル202の円周上に等間隔に8ヶ所に設けられ、該下側回転テーブル202に対して昇降可能に保持されている。また穂木保持手段205は上側回転テーブル203の円周上に台木保持手段204と対応する位置に等間隔に8ヶ所に設けられ、該上側回転テーブル203に対して昇降可能に保持されている。
【0026】
上記台木保持手段204は下側回転テーブル202を貫通するように設けられたシャフト211と、シャフト211の上部に設けられて台木キャリア7を保持する載置台212と、台木キャリア7を把持する第1グリッパ213と、台木の茎部を把持する第2グリッパ214と、上記シャフトの下端に設けられた下側カムフォロア215とから構成されている。
上記第1グリッパ213と第2グリッパ214とはそれぞれ異なる図示しない駆動手段によって独立して開閉するようになっており、制御手段によってその開閉が制御されるようになっている。
上記下側カムフォロア215は上記回転軸201を囲繞して設けられた下側カム216の上面に当接し、該下側カム216に従って上下動することで、上記載置台212、第1グリッパ213、第2グリッパ214を一体的に昇降させるようになっている。
上記穂木保持手段205は上側回転テーブル203を貫通するように設けられたシャフト217と、シャフト217の下端に設けられて穂木の茎部を把持する第3グリッパ218と、上記シャフト217の上端に連結された上側カムフォロア219とから構成されている。
上記第3グリッパ218は図示しない駆動手段によって開閉するようになっており、制御手段によってその開閉が制御されるようになっている。
上記上側カムフォロア219は上記回転軸201を囲繞して設けられている上側カム220の上面に当接するようになっており、該上側カム220に従って上下動することで、上記第3グリッパ218を上下に昇降させるようになっている。
【0027】
最初に、台木供給ステーションAについて説明する。この台木供給ステーションAでは上記台木供給装置2の台木回転手段16から台木キャリア7を受け取るようになっている。
上記台木回転手段16は、上記台木キャリア7を把持する図示しないグリッパと、該グリッパを移動させる図示しない移動手段とを備えており、該グリッパの高さと、上記台木保持手段204の第1グリッパ213の高さとは、上記下側カム216によって相互に干渉しない高さに位置するようになっている。
そして上記台木回転手段16は、台木キャリア7を所定の方向に回転させると、上記グリッパおよび移動手段によって台木キャリア7を台木保持手段204の載置台212上に載置する。
台木キャリア7が載置台212上に載置されると、第1グリッパ213が台木キャリア7を把持し、同時に第2グリッパ214が台木の茎部を把持するようになっている。
このとき、上記台木回転手段16が予め台木キャリア7を所定の方向に回転させておくことで、台木保持手段204に保持された台木の子葉の向きは、下側回転テーブル202の回転方向と同じ方向となっている。
【0028】
次に、図7を用いて上記穂木供給ステーションBについて説明する。穂木供給ステーションBでは上記穂木供給装置3の穂木切断手段117から切断された穂木を受け取るようになっている。
図7に示すように、穂木切断手段117は切断された穂木を把持する上記グリッパ155を備えており、このグリッパ155は所要の位置に固定された回転軸221を支点に揺動するアーム222と、該アーム222の先端に設けられて上記グリッパ155を進退動させるエアシリンダ223とから構成されている。
上記穂木切断手段117が穂木を切断する際、上記アーム222はグリッパ155を垂直方向に向け、穂木切断手段117の位置で穂木キャリア9が停止すると、上記エアシリンダ223を伸長させて、グリッパ155により穂木を把持するようになっている。
上記カッタ156によって穂木が切断されると、エアシリンダ223が収縮して穂木を上昇させ、その後上記アーム222が上記回転軸221を支点として下方に揺動して、グリッパ155を略水平方向に向ける。
このときのグリッパ155の高さと、上記穂木保持手段205の第3グリッパ218の高さとは、上記上側カム220によって第3グリッパ218が若干下側に位置するようになっている。
その後さらにエアシリンダ223が伸長すると、穂木が上記第3グリッパ218の位置まで移動し、第3グリッパ218が穂木を把持すると、グリッパ155は穂木を解放し、エアシリンダ223によって後退する。
【0029】
切断位置認識ステーションCについて説明する。切断位置認識ステーションCでは、台木および穂木を撮影して、接木を行う際の台木および穂木の接合位置の高さを検出する。
切断位置認識ステーションCには回転軸201側に設けられた図示しない照射手段と、台木保持手段204および穂木保持手段205を挟んで反対側に設けられた図示しない撮影手段と、撮影手段が撮影した画像を画像処理する図示しない画像処理手段とを備えている。
台木保持手段204および穂木保持手段205は上記下側、上側カム216,220によって極力離隔した位置に位置するようになっており、上記撮影手段によって撮影したときに、台木の子葉および穂木の子葉の位置を認識できるようにしている。
そして、画像処理手段では撮影手段が撮影した画像を画像処理して、台木の子葉の位置と、穂木の子葉の位置とを認識し、台木と穂木とを接合する接合位置の高さを認識する。
【0030】
上記切断ステーションDについて説明する。切断ステーションDでは台木および穂木を上記接合位置で切断する。
切断ステーションDは、上記台木保持手段204を所要の高さに昇降させる下側昇降手段231と、穂木保持手段205を所要の高さに昇降させる上側昇降手段232と、台木および穂木の茎部を切断する切断手段233と、台木および穂木の不要部分を回収する不要苗回収ボックス234とから構成されている。
上記下側昇降手段231および上側昇降手段232は、以下に説明する接合ステーションEに設けられているものと同一の構成を有しているので、図10を用いて説明し、また下側昇降手段231と上側昇降手段232とは同一の構成を有しているので上側昇降手段232についての詳細な説明を省略する。
下側昇降手段231は中心軸に対して移動しないように固定されたステー231aと、該ステー231aに設けられたサーボモータ231bと、該サーボモータ231bによって昇降する移動カム231cとから構成されている。
上記サーボモータ231bは、上記台木保持手段204が切断ステーションDに到達するまでは上記移動カム231cを上記下側カム216の上面と同じ高さに位置させ、このとき上記下側カム216は台木保持手段204を最も低い位置に保持するようになっている。
そしてサーボモータ231bが駆動して移動カム231cを上昇させると、下側カムフォロア215によって第2グリッパ214に把持されている台木を台木キャリア7ごと所要の高さに位置させることができる。
【0031】
図8、図9を用いて上記切断手段233について説明する。切断手段は台木の茎部と穂木の茎部とのそれぞれを支持する2つのガイド部材235、235と、該ガイド部材235、235を回転テーブルの半径方向に進退動させるエアシリンダ236と、上記ガイド部材235、235と同じ高さに設けられた2つのカッタ237、237と、該カッタ237、237を回転テーブルの半径方向に進退動させるエアシリンダ238とから構成されている。
図9は穂木の茎部を支持するガイド部材235を、カッタ237の進入する方向、すなわち回転テーブルの半径方向から見た図となっており、ガイド部材235の中央に形成されたスリット235aによって、茎部が上下方向を向くように保持されるようになっている。
また上記カッタ237は先端が略V字型となっており、上記ガイド部材235にはこのカッタ237が挿入可能な斜め方向に形成されたスリット235bが設けられている。そして上下に位置する各ガイド部材235、235およびカッタ237、237は同形状を有している。
【0032】
このような構成を有する上記切断ステーションDでは、以下のようにして台木と穂木とを切断するようになっている。
最初に、台木を保持した台木保持手段204と穂木を保持した穂木保持手段205とが上記切断ステーションDに到達する際には、上記ガイド部材235、235およびカッタ237、237は上記エアシリンダ236,238によってそれぞれ退避した位置に位置している。
台木保持手段204と穂木保持手段205とが上記切断ステーションDに到達すると、上記切断位置認識ステーションCで認識した台木および穂木の接合位置に応じて、上記下側昇降手段231は上記台木の接合位置を下側のカッタ237の高さまで上昇させ、上記上側昇降手段232は上記穂木の接合位置を上側のカッタ237の高さまで上昇させる。
この状態から、最初に上記エアシリンダ236によってガイド部材235、235が前進し、台木および穂木の茎部を上記ガイド部材235、235のスリット235a、235a内に位置させる。
続いて、上記エアシリンダ238によって上記カッタ237、237が前進し、カッタ237、237がガイド部材235、235のスリット235b、235bに挿入されると、台木および穂木が上記接合位置にて切断されることとなる。
そして切断されて不要となった台木の上側部分と穂木の下側部分とは、そのまま下方に落下し、上記不要苗回収ボックス234に回収される。
このように、カッタ237、237によって茎部を切断することで、台木の接合位置は略V字型に切断され、穂木の接合位置は該V字型の切断形状に嵌合する形状に切断されることとなる。
このようにすることで、台木と穂木とを接合させた際における台木と穂木との接合面積を広くすることができ、台木と穂木との活着率を向上させることができる。
なお、上記カッタ237、237については、先端を略V字型とせず、上記スリット235b、235bの傾きに合わせた2枚の平板状のカッタを使用することも可能である。
【0033】
接合ステーションEについて説明する。接合ステーションEは上記接合位置で切断された台木と穂木とを接合し、これらの接合位置にチューブTを装着して接木を得るようになっている。
図10に示すように、接合ステーションEには上記台木保持手段204を昇降させる下側昇降手段231と、穂木保持手段205を昇降させる上側昇降手段232と、台木および穂木を接合して上記チューブTを装着する接木手段241と、該接木手段241にチューブTを供給するチューブ供給手段242とを備えている。
上記下側、上側昇降手段231、232は、上記切断位置認識ステーションCで認識した台木の接合位置および穂木の接合位置に応じて、台木保持手段204および穂木保持手段205を昇降させる。
これにより、上記切断ステーションDで切断された台木のV字型の端部に、穂木の端部が挿入され、台木と穂木とは接合した状態に保持されることとなる。
【0034】
図10、図11に示すように、上記接木手段241は、上記台木および穂木を側方より支持する支持手段243と、上記チューブを保持するチューブ保持手段244とを備えている。
上記支持手段243は上下に平行に設けられた2枚の板状の支持部材245,245と、該支持部材245,245を回転テーブルの半径方向に進退動させるエアシリンダ246とを備えており、上記支持部材245,245の先端はく字型に形成され、該く字型の部分で台木および穂木の茎部を側方から支持するようになっている。
また、上方の支持部材245は穂木を下方の支持部材245は台木をそれぞれ支持し、両支持部材245の間に台木と穂木の接合位置が位置するようになっている。
上記チューブ保持手段244は、台木および穂木を挟んで支持手段243の反対側に設けられたステー251と、該ステー251に連結されると共に上記台木および穂木を挟んだ位置に設けられた2つの保持部材252,252と、該保持部材252,252に一端が固定された一対の板ばね253,253と、該一対の板ばね253,253を閉鎖させる押圧手段254と、上記ステー251に対して進退動可能に設けられたストッパ部材255と、上記ステー251に連結されてこれらを回転テーブルの半径方向に進退動させるエアシリンダ256とを備えている。
上記一対の板ばね253,253は上記支持手段243の2枚の支持部材245,245の間隔より狭く、支持部材245,245間に出入り可能な幅となっている。
上記保持部材252,252は平行に設けられ、図11(b)に示すチューブTを台木および穂木に装着する際に、その先端が台木および穂木よりも回転軸201側に位置するようになっている。
上記保持部材252,252の先端は相互に対向するように内側に折り曲げられており、上記板ばね253,253はこの折り曲げられた保持部材252,252の先端から回転テーブルの半径方向外側に向けて設けられている。板ばね253,253の他端部は先端が自由端となっており、図11(c)に示すように通常は上記自由端が相互に離隔した開放状態を維持するようになっている。
上記押圧手段254は、上記ステー251に回転可能に設けられた一対の押圧部材254a、254aを備え、該押圧部材254a、254aは略コ字形を有すると共に、その一端同士は相互に噛合するようにして上記ステー251に回動可能に支持され、図示しない駆動手段によって同期して開閉するようになっている。
また、上記保持部材252,252には上記押圧部材254a、254aにおける他端部が通過する貫通孔252a、252aが穿設されており、押圧部材254a、254aは開閉することで貫通孔252a、252aを通過し、上記板ばね253,253を両側から押圧するようになっている。
この押圧部材254a、254aによって板ばね253,253を両側から押圧すると、板ばね253,253の自由端が相互に接触して閉鎖状態となる(図11(d)参照)。
この状態で上記チューブ供給手段242がチューブTを下降させると、チューブTのスリットが相互に接触した板ばね253,253の外側を摺接しながら下降し、板ばね253,253にチューブTが装着されることとなる。
そして、上記チューブTを板ばね253,253に装着した状態で、上記押圧部材254a、254aによる板ばね253,253の押圧を解除すると、板ばね253,253はその弾性力によってもとの形状に復帰しようとし、これにより上記チューブTはスリットが広がる方向に付勢された状態で保持される(図11(a)参照)。
上記ストッパ部材255は、上記ステー251に対して摺動自在に設けられるとともに、また上記ステー251との間にばね255aを弾装した構成を有している。
【0035】
以下、図11を用いて、上記接木手段241による台木および穂木へのチューブTの装着手順について説明する。
図11(a)は、台木保持手段204および穂木保持手段205が、台木および穂木を上記接合位置で相互に接合させ、かつ該台木および穂木を支持手段243およびチューブ保持手段244との間に位置させている状態を示している。
このとき、上記支持手段243およびチューブ保持手段244はエアシリンダ246,256によって後退位置に位置しており、またチューブ保持手段244の板ばね253,253は閉鎖状態とされて相互に接触した自由端にはチューブTが装着されている。
図11(b)は、支持手段243およびチューブ保持手段244とを相互に接近させて、台木および穂木にチューブTを装着する途中の状態を示している。
具体的には、最初に支持手段243を前進させて支持部材245の上記く字型の部分と台木および穂木とを接触させ、その後上記チューブ保持手段244を前進させる。
チューブ保持手段244が前進すると、支持手段243によって支持された台木および穂木は相対的に上記板ばね253,253間の漸減する空間をチューブTに向かって移動し、台木および穂木が板ばね253,253の間隔が台木および穂木の茎径よりも狭くなった部分に接触すると、該台木および穂木によって板ばね253,253が押し広げられ、上記チューブTのスリットが広がるようになっている。
【0036】
図11(c)は、図11(b)の状態からチューブ保持手段244をさらに前進させ、チューブTが台木および穂木に装着されて接木とされた際の図を示している。
ここでは台木および穂木により板ばね253,253を介して台木および穂木が通過できるまでスリットを押し広げて、台木および穂木をチューブT内に押し込むようになっている。
その後さらにチューブ保持手段244を前進させると、板ばね253,253の自由端がチューブTのスリットから離脱し、板ばね253,253はその弾性力によって再び開放状態となる。
そして上記板ばね253,253の自由端が離脱すると、上記チューブTは元の形状に復帰して台木および穂木を接合した状態に保持するようになり、その結果接木が得られることとなる。
このようにして接木が得られたら、それまで台木および穂木を保持していた上記台木保持手段204および穂木保持手段205の第2、第3グリッパ214、218はそれぞれ接木を開放するとともに、エアシリンダ246,256は支持手段243およびチューブ保持手段244をそれぞれ後退させ、その後接木は第1グリッパ213に把持された台木キャリア7に収容された状態で、次の検査ステーションFに搬送される。
図11(d)は上記チューブ保持手段244に新たなチューブTを装着する前の状態を示している。
最初に、制御手段は支持手段243およびチューブ保持手段244を相互に離隔させて共に退避位置まで移動させる。
次に、チューブ保持手段244における上記押圧手段254が作動し、上記押圧部材254aを閉じて板ばね253,253を両側から押圧し、板ばね253,253を弾性変形させて自由端を相互に接触させる。
その後、上記チューブ供給手段242が新たなチューブTを供給することで、新たなチューブTが板ばね253,253の自由端に装着されることとなる。
【0037】
図11に示すように、上記チューブ供給手段242はチューブTを供給する供給手段261と、該供給手段261より供給されるチューブTを上記チューブ保持手段244までガイドするガイド部材262と上記チューブ保持手段244の下方に設けられてチューブTを停止させるストッパ部材263と、上記チューブTを切断するカッタ264とから構成されている。
上記供給手段261は切断されていない無端状のチューブTを下方に押し出すようになっており、このチューブTには予め上記スリットが形成されている。
上記ガイド部材262は上記供給手段261とチューブ保持手段244との間に設けられた所要の厚さを有する板状の部材であって、ガイド部材262の一端をスリットを介してチューブTの内部に挿入することで、スリットが開いた状態を維持するようになっている。
また、上記ガイド部材262の下端部は上記退避状態に位置するチューブ保持手段244の上方に隣接して設けられ、上記押圧手段254によって板ばね253,253の自由端が相互に接触した位置の接触線上に位置している。
このため、上記供給手段261によってチューブTを下方に移動させると、チューブTは上記スリットが広げられた状態を維持したまま、相互に接触した板ばね253,253の自由端に移行し、チューブTが板ばね253,253に装着される。
上記ストッパ部材263は上記退避状態に位置する上記板ばね253,253の自由端が相互に接触した位置の下方に隣接した位置に位置しており、供給されたチューブTの先端が当接してこれ以上チューブTが送られるのを阻止するようになっている。
上記カッタ264は上記チューブ保持手段244と上記ガイド部材262との間に設けられており、図示しないエアシリンダによって水平に移動することで、上記ストッパ部材263によって停止させられた上記チューブTを切断するようになっている。
【0038】
検査ステーションFについて説明する。検査ステーションFは接合ステーションEで接木した接木を画像認識により検査するようになっている。
上記検査ステーションFは上記切断位置認識ステーションCと同様、照明手段および接木太さ検出手段としての撮影手段と、撮影された画像を画像処理する画像処理手段とを備えている。
撮影手段が撮影した画像は画像処理手段に送信され、制御手段では撮影された画像から、接木における接合部分について検査を行い、接木の茎部の太さと、上記台木と穂木との接合が適切に行われているか否かを認識し、この検査結果を記憶する。
【0039】
リジェクトステーションGについて説明する。リジェクトステーションGでは上記検査ステーションFにおいて不良と判断された接木をリジェクトするようになっている。
リジェクトステーションGには上記台木保持手段204より排出された台木キャリア7を搬送する第9コンベヤ271と、該コンベヤ上を搬送された台木キャリア7ごと接木を回収するリジェクトボックス272とから構成されている。
上記検査ステーションFにおいて不良であると判断された接木は、該接木がリジェクトステーションGに到達すると、上記台木保持手段204の第2グリッパ214が台木キャリア7を解放し、図示しないプッシャなどによって台木キャリア7は載置台212より上記第9コンベヤ271に移動し、その後リジェクトボックス272に回収されるようになっている。
【0040】
接木排出ステーションHについて説明する。接木排出ステーションHは接木を上記接木排出装置5へと供給するようになっており、以下接木排出装置5と共に説明する。
図1に示すように、接木排出装置5は、接木トレイ10を搬送する接木トレイ搬送手段301と、上記接木排出ステーションHから接木を収容した台木キャリア7を受け取る接木キャリア搬送手段としての第10コンベヤ302と、台木キャリア7から接木トレイ10に接木を移し替える接木移し替え手段303と、台木キャリア7を上記台木供給装置2の第1コンベヤ12に返還する接木キャリア返還手段としての第11コンベヤ304とを備えている。
なお、接木移し替え手段303については、台木供給装置2の台木移し替え手段13とほぼ同様の構成を有しており、また接木排出装置5と台木供給装置2とで共通する部材については、その符号に300を加算して説明する。
上記第10コンベヤ302は接木装置4の接木排出ステーションHに隣接して設けられ、接木を収容した台木キャリア7が接木排出ステーションHまで搬送されると、上記台木保持手段204の第1グリッパ213が台木キャリア7を解放し、図示しないプッシャ等によって載置台212から第10コンベヤ302へと移動するようになっている。
【0041】
上記接木トレイ搬送手段301は、2列に並行に設けられたコンベヤ301a、301bと、各コンベヤ301a、301bの下流端に設けられて接木トレイ10を昇降させるエレベータ301c、301dと、上記エレベータ301c、301d上の接木トレイ10を排出する排出コンベヤ301eとを備えている。
上記並行に設けられたコンベヤ301a、301bはそれぞれ接木トレイ10を間欠的に搬送するようになっており、本実施例ではコンベヤ301a上の接木トレイ10には上記茎部の太さが「細」と判断された接木が収容され、コンベヤ301b上の接木トレイ10には茎部の太さが「太・中」と判断された接木が収容されるようになっている。
上記エレベータ301c、301dは各コンベヤ301a、301bの下流端に設けられており、上記コンベヤ301a、301bによって全てのポケット10aに接木を収容した接木トレイ10が搬送されると、該接木トレイ10を下降させて上記排出コンベヤ301eに供給するようになっている。
例えば「細」と判断された接木が接木トレイ10のすべてのポケット10aに収容されていない状態で、「太・中」と判断された接木が他方の接木トレイ10のすべてのポケット10aに収容されると、上記エレベータ301dが該「太・中」と判断された接木を収容した接木トレイ10を下降させた後、「細」と判断された接木を収容する接木トレイ10の下方を通過させて、排出コンベヤ301eに供給するようになっている。
【0042】
上記接木移し替え手段303のフレーム323aは、2つのコンベヤ301a、301bの上方を横切るように設けられており、移動手段323は2つの接木トレイ10に接木を収容可能な範囲で移動するようになっている。また間欠移動手段321は上記台木移し替え手段13のものと同一の構成を有している。
接木移し替え手段303では、台木キャリア7内の接木を把持してこれを接木トレイ10に移動させるようになっており、台木キャリア7より接木が除去されると、空の台木キャリア7は間欠移動手段321によって第10コンベヤ302上に戻され、その後上記第11コンベヤ304に供給される。
第11コンベヤ304は第10コンベヤ302と台木供給装置2の第1コンベヤ12との間に設けられており、空の台木キャリア7を第1コンベヤ12に搬送して、台木キャリア7を再利用するようになっている。
【0043】
以下、上記構成を有する接木製造システム1の動作について説明する。
予め台木供給装置2の第1コンベヤ12に設けられたストッパ12aの上流側から上記接木排出装置5の第11コンベヤ304にかけて、複数の空の台木キャリア7を載置する。
一方、上記穂木供給装置3の第1コンベヤ112に設けられたストッパ112aの上流側から第8コンベヤ163にかけて、複数の空の穂木キャリア9を載置する。
この状態から、人手により上記台木供給装置2に台木を収容した台木トレイ6を供給し、上記穂木供給装置3に穂木を収容した穂木トレイ8を供給する。
【0044】
台木供給装置2では、上記台木トレイ搬送手段11のコンベヤ11bが台木トレイ6を間欠的に上記台木移し替え手段13へと搬送し、また第1コンベヤ12では、上記ストッパ12aにより空の台木キャリア7が台木移し替え手段13に供給される。
上記台木移し替え手段13は、移動手段23およびグリッパ22を制御して、台木トレイ6から1本ずつ台木を把持し、これを第1コンベヤ12上の空の台木キャリア7へと移し替える。
台木キャリア7に台木が収容されると、台木移し替え手段13は間欠搬送手段21を作動させて、該台木キャリア7を第1コンベヤ12を介して台木検査手段14に供給する。
台木検査手段14では、台木キャリア7の識別情報媒体を読み取ると共に上記撮影手段33によって台木を撮影し、該台木キャリア7に収容された台木が「太・中・細・処理不能」のいずれに該当するかが認識される。
【0045】
そして、台木キャリア7が台木選別手段15まで搬送されると、上記台木検査手段14による検査結果に応じて、「太・中・細」と判断された台木を収容した台木キャリア7はその太さに応じて第2〜第4コンベヤ41〜43に移動し、「処理不能」と判断された台木を収容した台木キャリア7は第5コンベヤ44に移動する。
これにより、第2〜第4コンベヤ41〜43における上記ストッパ41a〜43cの上流側にはそれぞれ「太・中・細」と判断された台木を収容した台木キャリア7が貯留され、第2〜第4コンベヤ41〜43に貯留される台木キャリア7の個数を記憶する。
また第5コンベヤ44に搬送された「処理不能」と判断された台木を収容した台木キャリア7は、第5コンベヤ44の下流端から順次貯留され、人手によって回収された後、人手により「処理不能」と判断された穂木と接木される。
【0046】
一方、穂木供給装置3でも、上記穂木移し替え手段113によって穂木が1本ずつ穂木トレイ8から空の穂木キャリア9に移し替えられ、その後穂木キャリア9に収容された穂木は上記穂木検査手段114にて「太・中・細・処理不能」のいずれに該当するかが認識される。
続いて、穂木選別手段115では、上記穂木検査手段114によって「太・中・細」と判断された穂木を収容した穂木キャリア9は、その太さに応じてそれぞれ第2〜第4コンベヤ141〜143に移動し、制御手段は第2〜第4コンベヤ41〜43に貯留された台木キャリア7の個数を記憶する。
一方、「処理不能」と判断された穂木を収容した穂木キャリア9は第5コンベヤ144に移動し、台木供給装置2における第5コンベヤ44上の台木キャリア7と同様人手によって回収され、その後「処理不能」と判断された台木と接木される。
【0047】
そして、制御手段は台木選別手段15の第2〜第4コンベヤ41〜43に貯留した台木キャリア7の個数と、穂木選別手段115の第2〜第4コンベヤ141〜143に貯留した穂木キャリア9の個数とを常時比較するようになっている。
そして、例えば「太」と判断された台木を収容した台木キャリア7と、「太」と判断された穂木を収容した穂木キャリア9がそれぞれ所定の個数ずつ第2コンベヤ41,141に貯留されると、上記ストッパ41a、141aが作動して、同数の台木キャリア7および穂木キャリア9が第6コンベヤ45,145に供給される。
これにより、第6コンベヤ45に供給された台木キャリア7は台木回転手段16に移動し、台木キャリア7は該台木回転手段16において所要の角度に回転された後に、上記接木装置4の台木供給ステーションAに供給される。
一方、第6コンベヤ145に供給された穂木キャリア9は穂木回転手段116で回転させられた後、上記穂木切断手段117によって穂木が切断され、切断された穂木は上記接木装置4の穂木供給ステーションBに供給される。
以上のように、同等の太さの台木および穂木が同時に同じ本数だけ接木装置4に供給されるようになっているので、接木装置4の穂木供給ステーションBにおいて、台木保持手段204が保持する台木と、穂木保持手段205が保持する穂木の茎部は同等の太さとなっている。
また、穂木切断手段117で切断された穂木の不要部分は、図6(d)に示すように穂木キャリア返還手段118に搬送され、穂木キャリア9から培土ごと穂木を除去して、該穂木を培土回収ボックス164に回収する。一方、横転していた空の穂木キャリア9は再び倒立させられた後、第8コンベヤ163上を搬送されて再び上記第1コンベヤ112に供給される。
【0048】
接木装置4では、上記台木供給ステーションAにおいて台木キャリア7ごと台木を台木保持手段204によって保持し、穂木供給ステーションBでは切断された穂木が穂木保持手段205によって保持され、これら台木および穂木は順次以下の作業ステーションC〜Hにて各作業が行われる。
切断位置認識ステーションCでは、台木および穂木を撮影して、台木と穂木とを接合する接合位置を認識する。ここでは例えば子葉から5〜10mm上方を接合位置として認識するようになっている。
切断ステーションDでは、上記切断位置認識ステーションCで認識した接合位置で台木および穂木の切断を行う。このとき、切断手段233のカッタ237、237は、その先端が略V字型を有しているため、台木の先端は該V字型に切断され、穂木の先端は該V字型に合致する形状に切断される。
接合ステーションEでは、上記台木および穂木を上記接合位置で相互に当接させ、その後接合した台木および穂木にチューブTを装着する。このとき、接木手段の支持手段243とチューブ保持手段244とを相互に接近させることで、チューブTのスリット内に台木と穂木とを押し込み、接木が得られるようになっている。
また接合ステーションEでは、台木および穂木から接木を得たら、上記台木保持手段204の第2グリッパ214と、上記穂木保持手段205の第3グリッパ218とは、それまで把持していた台木および穂木を解放し、台木キャリア7を台木保持手段204の第1グリッパ213によって把持した状態で、上記検査ステーションFへと搬送する。
【0049】
検査ステーションFでは、接合ステーションEで得られた接木を撮影して、茎部の太さと接合位置における台木と穂木との接合状態を検査し、該接木の良否を判定する。
そしてリジェクトステーションGでは、検査ステーションFで不良と判定された接木を台木ごと排出して、リジェクトボックス272に回収するようになっており、良品と判定された接木はそのまま次の接木排出ステーションHまで搬送される。
【0050】
接木排出装置5では、上記接木排出ステーションHから接木が台木キャリア7に収容された状態で排出され、この台木キャリア7は第10コンベヤ302によって接木移し替え手段303へと搬送される。
接木移し替え手段303では、上記接木装置4の検査ステーションFでの検査結果に応じて、「太・中」と判断された接木を接木トレイ搬送手段301の一方のコンベヤ301a上の接木トレイ10へと移し替え、「細」と判断された接木を他方のコンベヤ301b上の接木トレイ10へと移し替える。
そして例えば「太・中」と判断された接木が接木トレイ10のすべてのポケット10aに収容されると、コンベヤ301aは該接木トレイ10をエレベータ301cに搬送し、エレベータ301cは該接木トレイ10を下降させてから排出コンベヤ301eによって後工程へと排出するようになっている。
一方、空となった台木キャリア7は、その後第11コンベヤ304によって上記台木供給装置2の第1コンベヤ12へと搬送され、再び使用されることとなる。
【0051】
以上のように、本実施例における接木製造システム1によれば、上記接木装置4の接木手段241によって、台木および穂木に可撓性を有するチューブを装着して接木を製造するため、容易に接木を製造することができる。
つまり、連続状に形成されたチューブTを所要長さに切断したものを使用するだけであるので、特許文献1におけるクリップに比べ、安価に接木を行うことができる。
また、上記チューブTによって台木と穂木とを囲繞するように保持するため、台木と穂木とを折れないように保持することができ、特許文献2のように接着剤で接合する場合に比べて、確実に接木を行うことができるようになっている。
【0052】
また、本実施例における接木製造システム1によれば、上記台木供給装置2の台木検査手段14および穂木供給装置3の穂木検査手段114によって台木および穂木の茎部の太さ検査し、これを台木選別手段15および穂木選別手段115によって茎部の太さに応じて選別するようになっている。
このため、接木装置4には同等の太さの台木および穂木が供給されることとなり、接木装置4では同等の太さの台木と穂木とを接合することができることから、台木と穂木とが確実に固定され、茎部の太さが異なることによる折れや生育不良といった問題が発生するのを抑えることができ、歩留まりを向上させることができる。
また「処理不能」と判断された台木および穂木については、台木選別手段15および穂木選別手段115によって別途第6コンベヤ45,145に集積されるので、これらの台木および穂木を人手で接木することができる。
さらに、台木移し替え手段13によって複数の台木を収容した台木トレイ6から1本の台木を収容する台木キャリア7に台木を移し替え、穂木移し替え手段によって複数の穂木を収容した穂木トレイ8から1本の穂木を収容する穂木キャリア9に穂木を移し替えるようになっており、大量の台木および穂木を処理することが可能となっている。
そして、接木排出装置5では、接木装置4に設けられた検査ステーションFで接木の太さを検査し、太さに応じて異なる接木トレイ10に収容するようになっていることから、品質の違いを後工程の管理に役立てることが可能となる。
【0053】
なお、上記実施例ではトマトの苗を接木しているが、その他のナスやキュウリなどの苗についても上記接木製造システム1により接木することが可能となっている。
また、上記接木装置4の検査ステーションFでは、接木の茎部の太さについて検査を行っているが、この接木の茎部の太さについては特に検査しなくてもよい。この場合、上記接木移し替え手段303では、上記台木検査手段14、穂木検査手段114での検査結果を用いて接木の茎部の太さを認識し、該茎部の太さに応じて各接木トレイ10に選別するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施例にかかる接木製造システムの構成図。
【図2】台木トレイについての平面図および側面図。
【図3】台木キャリアについての平面図および側面図。
【図4】台木移し替え手段についての側面図。
【図5】台木検査手段についての側面図。
【図6】穂木供給装置における第7コンベヤでの各状態を示し、(a)は穂木キャリアが穂木回転手段によって回転させられた状態を、(b)は穂木キャリアが横転させられた状態を、(c)は穂木切断手段によって穂木を切断する状態を、(d)は穂木キャリア返還手段において穂木キャリアから培土を抜きとる状態をそれぞれ示している。
【図7】接木装置の切断ステーションにおける断面図
【図8】切断手段についての側面図。
【図9】切断手段をカッタの移動方向から見た図。
【図10】接木装置の接合ステーションにおける断面図。
【図11】接木手段によるチューブを台木および穂木に装着する手順を示した図。
【符号の説明】
【0055】
1 接木製造システム 2 台木供給装置
3 穂木供給装置 4 接木装置
5 接木排出装置 7 台木キャリア
9 穂木キャリア 13 台木移し替え手段
14 台木検査手段 15 台木選別手段
113 穂木移し替え手段 114 穂木検査手段
115 穂木選別手段 233 切断手段
241 接木手段 A 台木供給ステーション
B 穂木供給ステーション C 切断位置認識ステーション
D 切断ステーション E 接合ステーション
F 接木検査ステーション G リジェクトステーション
H 接木排出ステーション T チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台木および穂木の切断した茎部の端部同士を相互に接合した状態で、台木と穂木との接合位置の周囲に茎部の軸心と同一方向にスリットの形成された可撓性を有するチューブを装着して接木を製造する接木装置であって、
該接木装置は、台木を保持する台木保持手段と、穂木を保持する穂木保持手段と、上記チューブを保持するチューブ保持手段とを備え、
上記台木保持手段および穂木保持手段は台木の茎部の端部と穂木の茎部の端部とを相互に接合させた状態で台木および穂木をそれぞれ保持するとともに、上記チューブ保持手段は接合された台木および穂木に上記スリットが向くようにチューブを保持し、
接合された台木および穂木にチューブ保持手段を相対的に接近させると、台木および穂木の接合部分がスリットの間からチューブ内に挿入されるとともに、上記チューブ保持手段によるチューブの保持が解除され、台木と穂木との接合部分の周囲にチューブが装着されて台木と穂木とが接合した状態に保持されることを特徴とする接木装置。
【請求項2】
上記チューブ保持手段は、台木と穂木とを挟んだ位置に対向して設けられるとともに一方が自由端とされた2枚の板状部材を備え、
上記2枚の板状部材の自由端が上記チューブのスリットを広げる方向に付勢しながらチューブを保持することを特徴とする請求項1に記載の接木装置。
【請求項3】
上記2枚の板状部材は自然状態において上記自由端が相互に離隔した状態に維持される2枚の板ばねであって、また上記チューブ保持手段は、上記2枚の板ばねを外側から押圧して、該板ばねの自由端を近接または接触させる押圧手段を備え、
上記板ばねの自由端によって上記チューブを保持する際、該押圧手段は上記板ばねを押圧して上記板状部材の自由端を近接または接触させ、上記板ばねの自由端にチューブが装着されたら、押圧手段は板ばねへの押圧を解除し、上記板ばねは弾性力によってスリットを広げる方向に付勢しながらチューブを保持することを特徴とする請求項2に記載の接木装置。
【請求項4】
上記チューブは連続状に形成されており、チューブの一端を上記チューブ保持手段に供給するチューブ供給手段と、チューブを所定長さに切断するチューブ切断手段とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の接木装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−295408(P2008−295408A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147148(P2007−147148)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)