説明

接点装置

【課題】収納容器をアークの熱から保護しつつ絶縁性能を確保した接点装置を提供する。
【解決手段】接点装置は、固定端子11及び可動接触子20を収納容器10に収納してなる接点ブロック1と、可動接触子20を駆動する駆動ブロック2と、駆動ブロック2との対向面が開口した収納容器10の開口端縁に固着されて、固定端子11及び可動接触子20が収納される収納空間を封止する封止部材を構成する接合部材35と、アークを引き寄せて収納容器10と接合部材35との接合部分をアークから保護するとともに絶縁する保護部材6とを備える。保護部材6は、可動接触子20と駆動ブロック2との間に配置される絶縁部材60と、絶縁部材60において可動接触子20と対向する部位に取り付けられる金属部材61とで構成され、金属部材61において収納容器10の側壁と対向する部位には当該収納容器10側に突出する折り曲げ片61eが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー負荷用のリレーや電磁開閉器等に好適な接点装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は従来の接点装置の一例であり、固定接点11aが設けられた一対の固定端子11、及び固定接点11aに接離する可動接点(図示せず)が設けられた可動接触子20を収納容器10に収納してなる接点ブロック1と、可動接触子20が一端側に固定された可動軸21と、可動軸21の他端側に固定された可動鉄心31と、可動軸21が挿通されて可動鉄心31と対向する固定鉄心30と、固定鉄心30と可動鉄心31の間に磁気吸引力を発生させて可動鉄心31を固定鉄心30側に移動させる駆動ブロック2とを備える。また、駆動ブロック2は、コイルボビン40の軸部にコイル巻線が巻回されてなるコイル41と、コイル41を外囲する継鉄42とで構成されている。なお、上記の固定鉄心30及び可動鉄心31は、非磁性材料により有底円筒状に形成された有底筒部33に収納されている。
【0003】
この接点装置では、コイル41が励磁されると可動鉄心31が固定鉄心30側に移動することから、可動鉄心31に固定された可動軸21とともに可動接触子20が固定端子11側に移動し、可動接点が固定接点11aに接触する。逆に、コイル41が非励磁状態にされると、可動鉄心31に加えられていた固定鉄心30側への磁気吸引力が消失し、固定鉄心30と可動鉄心31の間に介装された復帰ばね32のばね力によって可動鉄心31が固定鉄心30と反対側に押圧されることから、可動軸21とともに可動接触子20が固定端子11から離れる方向に移動し、可動接点が固定接点11aから開離する。
【0004】
ところで、上記の固定端子11及び可動接触子20は、下面側が開口する矩形箱状のセラミック製の収納容器10、継鉄42に連結された固定板34及び有底筒部33で形成される密閉空間内に配置されるのであるが、この収納容器10の開口縁部には固定板34との間を接合するための接合部材35がロウ付けされている。そのため、例えば可動接点と固定接点11aとの間にアークが生じると、このアークが上記のロウ付け部分に接触することで当該ロウ付け部分が溶融し、上記の密閉空間の密閉性が確保できない場合があった。また、発生したアークが接合部材35に接触することで、図6中の矢印Aに示すように、接合部材35から固定板34、有底筒部33、可動鉄心31、可動軸21及び可動接触子20を経て固定接点11aへと繋がる電流経路が形成され、この電流経路に流れる過大電流によって発生するジュール熱により可動鉄心31や可動軸21などの可動部分が固着する可能性があった。
【0005】
そこで、アークが上記のロウ付け部分や接合部材に接触するのを防止すべく、シールド部材を設けた接点装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このシールド部材は、合成樹脂成形品からなり厚みの薄い矩形箱状の絶縁容器と、当該絶縁容器にかしめ固定される金属製のシールド用リングとで構成され、アーク発生時にはシールド用リングがアークを引き寄せることで、上記のロウ付け部分や接合部材にアークが接触するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−10056号公報(段落[0021]−段落[0023]、及び、第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1に示した接点装置では、シールド用リングにアークを引き寄せることで収納容器と接合部材のロウ付け部分や接合部材にアークが接触するのを防止しようとしたものではあるが、仮にシールド用リングが上記のロウ付け部分に接触している場合には、シールド用リングに引き寄せられたアークが上記のロウ付け部分や接合部材に接触し、その結果、上記のロウ付け部分が溶融したり、また上記の電流経路で過大電流が流れることで可動部分が固着する可能性があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、収納容器をアークの熱から保護しつつ絶縁性能を確保した接点装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の接点装置は、固定接点が設けられた固定端子、及び、固定接点に接離する可動接点が設けられた可動接触子を収納容器に収納してなる接点ブロックと、可動接点を固定接点に接触又は開離させるように可動接触子を駆動する駆動ブロックと、駆動ブロックとの対向面が開口した収納容器の開口端縁に固着されて、固定端子及び可動接触子が収納される収納空間を封止する封止部材と、可動接触子と駆動ブロックとの間に配置される絶縁部材、及び、絶縁部材において可動接触子と対向する部位に取り付けられる金属部材からなる保護部材とを備え、金属部材において収納容器の側壁と対向する部位に、当該収納容器側に突出する突出部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この接点装置において、金属部材は、可動接触子側が開口する箱状に形成され、開口端縁を収納容器の側壁に向けて折り曲げた折り曲げ片により突出部が構成されているのが好ましい。
【0011】
また、この接点装置において、折り曲げ片の端部から隣接する折り曲げ片の端部に向けて張出部が設けられているのも好ましい。
【0012】
さらに、この接点装置において、金属部材は、可動接触子側が開口する箱状に形成され、開口端縁を可動接触子と反対側に折り返した折り返し片により突出部が構成されているのも好ましい。
【0013】
また、この接点装置において、金属部材は、絶縁部材の可動接触子との対向面全体を覆う形状に形成されているのも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
収納容器をアークの熱から保護しつつ絶縁性能を確保した接点装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る接点装置の一例を示す断面図である。
【図2】同上に用いられる保護部材を示し、(a)は分解斜視図、(b)はその組付状態の要部拡大図、(c)は別の保護部材の組付状態の要部拡大図である。
【図3】(a)〜(d)は同上に用いられる保護部材のバリエーションを示す斜視図である。
【図4】同上に用いられる保護部材の別のバリエーションを示し、(a)は分解斜視図、(b)は外観斜視図である。
【図5】同上に用いられる保護部材のさらに別のバリエーションを示し、(a)は分解斜視図、(b)は外観斜視図である。
【図6】従来の接点装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る接点装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では特に断りがない限り、図1に示す向きにおいて上下左右の方向を規定する。
【0017】
本実施形態の接点装置は、図1に示すように、固定接点11aが設けられた一対の固定端子11、及び固定接点11aに接離する可動接点部(可動接点)20bが設けられた可動接触子20を収納容器10に収納してなる接点ブロック1と、可動接点部20bを固定接点11aに接触又は開離させるように可動接触子20を駆動する駆動ブロック2とを備え、これらの接点ブロック1及び駆動ブロック2は略矩形箱状に形成された器体3に収納される。
【0018】
収納容器10は、セラミックのような耐熱性材料により下面が開口する箱状に形成され、その底部の2箇所に貫通孔10a,10aが設けられている。これらの貫通孔10a,10aに一部が挿通される固定端子11,11は、例えば銅系材料等により略多段有底円筒状に形成され、下端部には固定接点11aが固着されるとともに、上端部には鍔部11bが設けられている。また、固定端子11は、その上端部が収納容器10から突出した状態で、鍔部11b付近が収納容器10にロウ付け等により気密接合される。
【0019】
可動接触子20は、例えば銅系材料等により平板状に形成され、固定接点11aと接離する間隔を有して左右両端部に可動接点部20bが設けられている。また、可動接触子20の中央部には挿通孔20aが設けられており、絶縁材料により略丸棒状に形成された可動軸21の上端部が挿通孔20aに挿通され且つかしめられることで、可動軸21に可動接触子20が結合されている。なお、可動接触子20は、後述する接圧ばね22によって可動接点部20bが固定接点11aに接触する向き(上向き)に弾性力が加えられている。
【0020】
可動軸21の中間部には、その全周を覆う形で固定鉄心30が配置されている。固定鉄心30は、径方向に突出する鍔部30bを上端部に有する略円柱状に形成され、その断面略中央には、可動軸21が挿通される挿通孔30aが上下方向(軸方向)に沿って設けられている。この固定鉄心30は、後述する固定板34の挿通孔34aに挿通させた状態で上端部が固着され、下端部は後述する可動鉄心31の上端部と対向するように配置される。
【0021】
ここにおいて、固定鉄心30の鍔部30bには、可動鉄心31が固定鉄心30に当たることで発生する振動を吸収するシリコンゴム等の弾性材料からなる衝撃吸収体(図示せず)が取り付けられ、さらに衝撃吸収体の上側には略矩形平板状のキャップ36が取り付けられている。このキャップ36は、板状の金属部材を加工することで扁平な有底角筒状に形成されており、底板の中央に設けられた挿通孔36bに可動軸21が挿通された状態で固定板34の上面に接合されることで、後述する有底筒部33との間で固定鉄心30を固定し、固定鉄心30が外れるのを防いでいる。なお、キャップ36の上記角筒部分は、後述する絶縁部材60の底部に設けた係合凹部60fと係合する係合凸部36aを構成している。
【0022】
可動軸21の下部には、その全周を覆う形で可動鉄心31が取り付けられている。可動鉄心31は略円柱状に形成され、その断面略中央には、可動軸21が挿通される挿通孔31aが上下方向(軸方向)に沿って設けられている。この可動鉄心31は、その上端部が固定鉄心30の下端部と対向しており、下端部には挿通孔31aよりも大きい内径を有した凹部31bが設けられている。また、この可動鉄心31は、その外周面が有底筒部33の内周面に摺動する摺動面となっている。
【0023】
有底筒部33は、非磁性材料により有底円筒状に形成され、その底部側(図1中の下側)に可動鉄心31が収納されるとともに、この可動鉄心31と対向する固定鉄心30が開口部側(図1中の上側)に収納される。
【0024】
固定鉄心30の挿通孔30aには、可動軸21に外挿される形で復帰ばね32が設けられている。復帰ばね32は、その下端部が可動鉄心31の上端面に当接するとともに、上端部が衝撃吸収体(図示せず)に設けられた挿通孔を通ってキャップ36の底部に当接している。そして、この復帰ばね32が可動鉄心31とキャップ36との間に圧縮状態で配置されることで、可動鉄心31には固定鉄心30から離れる方向(下方向)の弾性力が加えられる。このとき同時に、可動鉄心31に固着された可動軸21にも下方向に弾性力が加えられる。
【0025】
固定板34は、鉄等の磁性金属材料により略矩形板状に形成され、後述する継鉄42に連結されて固定鉄心30及び可動鉄心31とともに磁気回路を形成する。この固定板34には、固定鉄心30の上端部が挿通される挿通孔34aが略中央に設けられ、挿通孔34a付近が有底筒部33に気密接合される。また、固定板34と可動接触子20との間には、圧縮コイルばねからなる接圧ばね22が可動軸21に外挿された状態で配置されており、可動接点部20bが固定接点11aに接触する方向(上方向)の弾性力を可動接触子20に加えている。
【0026】
上記の収納容器10と固定板34との間には、図1に示すように接合部材35が配置される。この接合部材35は、金属材料により両端部に開口を有する筒状に形成され、上端部側の開口の内周縁が収納容器10の内周面よりも内側に位置するようになっている。この接合部材35は、その上端部が収納容器10の開口端部に気密接合されるとともに、下端部が固定板34に気密接合される。そして、この接合部材35が収納容器10及び固定板34に気密接合されることによって、固定接点11a及び可動接点部20b並びに固定鉄心30及び可動鉄心31を収容するための気密空間を形成し、水素を主体とするガスが、例えば2気圧程度でもってこの気密空間に気密封止される。ここに、本実施形態では、上記の有底筒部33、固定板34及び接合部材35により封止部材が構成されている。
【0027】
次に、駆動ブロック2について説明する。この駆動ブロック2は、コイルボビン40の軸部にコイル巻線が巻回されてなるコイル41と、コイル41を外囲する継鉄42とを備える。継鉄42は、中央片及び両対向片で略U字状に形成され、その中央片に有底筒部33を挿通させる貫通孔42aが設けられている。この継鉄42は、固定鉄心30及び可動鉄心31並びに固定板34とともに磁気回路を形成する。
【0028】
ここで、可動接触子20と固定板34との間には、固定接点11aと可動接点部20bとの間に発生するアークから、収納容器10と接合部材35との接合部分を保護するとともに絶縁する保護部材6が配置されている(図1参照)。以下、保護部材6について具体的に説明する。
【0029】
保護部材6は、例えばセラミックや合成樹脂等の絶縁材料からなる絶縁部材60と、鉄等の金属材料からなる一対の金属部材61とで構成される。絶縁部材60は、図2(a)に示すように横長の略矩形板状に形成された本体部60aを有し、この本体部60aの上面には略矩形状の突台部60bが一体に設けられている。突台部60bの略中央には、可動軸21が挿通される挿通孔60cが設けられており、この挿通孔60cの周りには、接圧ばね22の下端部が当接するとともにその一部が収納される収納凹部60eが設けられている。また、突台部60bの左右方向両側には、金属部材61に設けられた後述の係合突起61c,61cが挿入される係合孔60d,60dが設けられている。さらに、本体部60aの下面には、キャップ36の係合凸部36aと係合する略矩形状の係合凹部60fが凹設されている(図1参照)。
【0030】
一方、各金属部材61は、絶縁部材60の突台部60bと対向する1辺を除いた3辺に上方に突出する突壁61aが設けられた略矩形箱状に形成され、残りの1辺からは絶縁部材60側に突出する一対の係合突起61c,61cが設けられている。また、各突壁61aには、その開口端部を下側、すなわち可動接触子20と反対側に折り返して形成された折り返し片61bがそれぞれ設けられている。そして、各金属部材61に設けた係合突起61c,61cをそれぞれ対応する係合孔60d,60dに挿入することで、各金属部材61が絶縁部材60に取り付けられ、保護部材6が組み立てられる。なお、絶縁部材60に両金属部材61,61を取り付けた状態では、可動接触子20と対向する絶縁部材60の略全体が金属部材61によって覆われており、その結果、アークが絶縁部材60に接触するのを効果的に抑えることができる。
【0031】
ここで、図2(b)は保護部材6を本接点装置に組み付けた状態を示す要部拡大図であり、この状態では、折り返し片61bによって収納容器10の側壁と金属部材61の突壁61aとの間に隙間が形成され、この隙間によって金属部材61が収納容器10と接合部材35の接合部分に接触しないようになっている。その結果、金属部材61に引き寄せられたアークが上記の接合部分に伝わるのを防止できるので、上記の接合部分がアークによって溶融するのを抑えることができ、また図6中の矢印Aに示すような電流経路が形成されないので、可動鉄心31や可動軸21などの可動部分が固着するのを抑えることができる。また、例えば板厚の薄い金属材料で金属部材61を形成した場合でも、本例のように折り返し片61bを設けることでアークが接触しやすい端部の板厚を厚くすることができ、その結果、コストアップを抑えつつ耐アーク性能を高めることができる。ここに、上記の折り返し片61bは、図2(b)に示すように、組付状態において収納容器10と接合部材35との接合部分に接触しない寸法に設定されており、本例ではこの折り返し片61bにより突出部が構成されている。
【0032】
次に、保護部材6の他のバリエーションについて、図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図2(a)で説明した保護部材6と同様の構成については説明を省略する。図3(a)は、上記の折り返し片61bの代わりに折り曲げ片61eを設けたものであり、各突壁61aの開口端部を収納容器10の側壁に向けて略直角に折り曲げることで形成される。そして、この保護部材6を本接点装置に組み付けた状態では、折り曲げ片61eによって金属部材61の突壁61aと収納容器10の側壁との間に隙間が形成され(図1参照)、この隙間によって金属部材61が収納容器10と接合部材35の接合部分に接触しないようになっている。ここに本例では、上記の折り曲げ片61eにより突出部が構成されており、同様に金属部材61に引き寄せられたアークが上記の接合部分に伝わるのを防止できるので、上記の接合部分がアークによって溶融するのを抑えることができ、また図6中の矢印Aに示すような電流経路が形成されないので、可動鉄心31や可動軸21などの可動部分が固着するのを抑えることができる。
【0033】
また、図3(b)は、図3(a)で説明した金属部材61に対して、1つの折り曲げ片61eの端部から隣接する各折り曲げ片61e,61eの端部に向けて張出部61f,61fが設けられている。その結果、隣接する折り曲げ片61e,61eの端部間に形成される隙間を張出部61fで塞ぐことができるので、アークが隙間を通って上記の接合部分に接触するのを抑えることができ、図3(a)で説明した保護部材6に比べて耐アーク性能及び絶縁性能を向上させることができる。また同様に、金属部材61に引き寄せられたアークが上記の接合部分に伝わるのを防止できるので、上記の接合部分がアークによって溶融するのを抑えることができ、さらに図6中の矢印Aに示すような電流経路が形成されないので、可動鉄心31や可動軸21などの可動部分が固着するのを抑えることができる。
【0034】
さらに、図3(c)は、図3(b)に示す金属部材61に対して、突壁61aが設けられていない残りの1辺(絶縁部材60の突台部60bに対向する1辺)にも突壁61h,61hが設けられており、その結果、アークが絶縁部材60に接触するのをさらに抑えることができる。また同様に、金属部材61に引き寄せられたアークが上記の接合部分に伝わるのを防止できるので、上記の接合部分がアークによって溶融するのを抑えることができ、さらに図6中の矢印Aに示すような電流経路が形成されないので、可動鉄心31や可動軸21などの可動部分が固着するのを抑えることができる。
【0035】
なお、これまでは、折り返し片61bや折り曲げ片61eを各突壁61aの全長に亘って設けた場合について説明したが、組付状態において収納容器10の側壁と金属部材61の突壁61aとの間に隙間が設けられるようになっていればよく、例えば図3(d)に示すように各突壁61aの一部に折り曲げ片61gが設けられていてもよい。また、図示は省略しているが、各突壁の一部に折り返し片が設けられていてもよい。さらに、突出部の形状は上記の折り返し片61bや折り曲げ片61eに限定されるものではなく、図2(c)に示すような突起61dであってもよく、同様に突起61dによって金属部材61が収納容器10と接合部材35との接合部分に接触しないことから、上記の接合部分がアークによって溶融するのを抑えることができ、また図6中の矢印Aに示すような電流経路が形成されないので、可動鉄心31や可動軸21などの可動部分が固着するのを抑えることができる。
【0036】
また、図2及び図3に示す保護部材6は、金属部材61が2個1組の場合について説明したが、例えば図4及び図5に示すように1つの金属部材61であってもよい。以下、具体的に説明する。
【0037】
図4に示す保護部材6は、絶縁材料からなる絶縁部材60と、金属材料からなる金属部材61とで構成される。絶縁部材60は、図4(a)に示すように横長の略矩形板状に形成された本体部60aを有し、この本体部60aの上面には円形の突台部60bが一体に設けられている。突台部60bの略中央には、可動軸21が挿通される挿通孔60cが設けられており、この挿通孔60cの周りには、接圧ばね22の下端部が当接するとともにその一部が収納される収納凹部60eが設けられている。また、本体部60aの下面には、キャップ36の係合凸部36aと係合する略矩形状の係合凹部60fが凹設されている(図1参照)。
【0038】
一方、金属部材61は、上面(可動接触子20側)が開口する横長の矩形箱状に形成され、上方に突設された4つの突壁61aにはそれぞれ折り返し片61bが設けられており、突出部を構成している。また、金属部材61の主片中央には、上記の突台部60bと略同寸法に設定された円形の挿通孔61jが設けられており、この挿通孔61jに突台部60bを挿通させることで金属部材61が絶縁部材60に取り付けられ、保護部材6が組み立てられる(図4(b)参照)。
【0039】
また、図5に示す保護部材6は、絶縁部材60と金属部材61とで構成される。なお、絶縁部材60については図4で説明した絶縁部材60と同様であり、ここでは説明を省略する。金属部材61は、上面(可動接触子20側)が開口する横長の矩形箱状に形成され、上方に突設された4つの突壁61aにはそれぞれ折り返し片61bが設けられており、突出部を構成している。また、金属部材61の主片中央には略矩形状の挿通孔61kが設けられており、この挿通孔61kの左右方向における開口端縁には、上方に突出する突壁61m,61mが設けられている。そして、挿通孔61kに突台部60bを挿通させることで金属部材61が絶縁部材60に取り付けられ、保護部材6が組み立てられる(図5(b)参照)。なおこの場合、突壁61m,61mを設けているため、図4に示す保護部材6に比べて絶縁部材60にアークが接触するのを効果的に抑えることができる。
【0040】
而して、本実施形態によれば、上述したように、突出部(折り返し片61b、折り曲げ片61e,61g及び突起61d)によって金属部材61が収納容器10と接合部材35との接合部分に接触しないことから、金属部材61に引き寄せられたアークが上記の接合部分に伝わるのを防止できる。その結果、上記の接合部分がアークによって溶融するのを抑えることができるとともに、可動鉄心31や可動軸21などの可動部分が固着するのを抑えることができる。また、絶縁部材60と金属部材61の2部品で保護部材6を構成しているので、絶縁部材のみで保護部材を構成した場合に比べて絶縁部材の材料選択の幅を拡げることができ、その結果、設計の自由度を高めることができる。さらに、本実施形態のように各突壁61aに折り返し片61bや折り曲げ片61eを設けることで突出部を構成した場合、簡単な構成で突出部を形成することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、金属部材61を折り曲げ加工により形成しているが、例えば絞り加工であってもよく、この場合も上述した効果と同様の効果を得ることができる。また、図4及び図5では突出部が折り返し片61bである場合について説明したが、折り曲げ片61e,61gや突起61dであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 接点ブロック
2 駆動ブロック
6 保護部材
10 収納容器
11 固定端子
20 可動接触子
35 接合部材
60 絶縁部材
61 金属部材
61e 折り曲げ片(突出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点が設けられた固定端子、及び、前記固定接点に接離する可動接点が設けられた可動接触子を収納容器に収納してなる接点ブロックと、
前記可動接点を前記固定接点に接触又は開離させるように前記可動接触子を駆動する駆動ブロックと、
前記駆動ブロックとの対向面が開口した前記収納容器の開口端縁に固着されて、前記固定端子及び前記可動接触子が収納される収納空間を封止する封止部材と、
前記可動接触子と前記駆動ブロックとの間に配置される絶縁部材、及び、前記絶縁部材において前記可動接触子と対向する部位に取り付けられる金属部材からなる保護部材とを備え、
前記金属部材において前記収納容器の側壁と対向する部位に、当該収納容器側に突出する突出部が設けられていることを特徴とする接点装置。
【請求項2】
前記金属部材は、前記可動接触子側が開口する箱状に形成され、開口端縁を前記収納容器の側壁に向けて折り曲げた折り曲げ片により前記突出部が構成されていることを特徴とする請求項1記載の接点装置。
【請求項3】
前記折り曲げ片の端部から隣接する前記折り曲げ片の端部に向けて張出部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の接点装置。
【請求項4】
前記金属部材は、前記可動接触子側が開口する箱状に形成され、開口端縁を前記可動接触子と反対側に折り返した折り返し片により前記突出部が構成されていることを特徴とする請求項1記載の接点装置。
【請求項5】
前記金属部材は、前記絶縁部材の前記可動接触子との対向面全体を覆う形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の接点装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−59630(P2012−59630A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203514(P2010−203514)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】