説明

接着パッチ

【課題】皮膚または粘膜、および/又は創傷に付着することができ、裏当て層および皮膚または粘膜に付着するための皮膚に優しい接着剤の層を含む、生物の解剖学的表面の一部を覆うための接着パッチを提供する。
【解決手段】該接着剤は親水コロイド粒子を含み、且つ少なくともパッチの周辺に沿う接着剤層の厚さは20〜300μmであり、パッチの蒸気透過度は200〜1000g/m2であり、パッチの吸収度は40〜600g/m2/6hである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着パッチ、詳細にはヒトの解剖学的表面の一部を覆い、治癒し(healing)、治療する(treating)ためのパッチ、およびこのようなパッチを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、創傷または床ずれまたは壊れていない皮膚でさえも、その治療または予防のためのドレッシングまたはパッチは、裏当て層および接着剤層を含む。接着剤層は、多くの場合、滑らかな外観を有し、皺および多くの場合接着剤の滑りおよびドレッシングの思いがけない剥離を引き起こすドレッシング中の応力集中を避けるために縁部分で先端面取り加工される。ドレッシングの中心部分は、クッション効果および/又は吸収材効果を提供するために非常に厚くしてもよい。しかし、厚いドレッシングは、可撓性がより少なく、それが皮膚で実際に見られるのと同様に皮膚の動きを追跡することは難しい可能性がある。
【0003】
皮膚に貼り付けられる場合に極めて目立たないか、または「不可視」でさえあるドレッシングまたはパッチを有することは、多くの場合望ましい。これは、パッチが顔にまたは他の露出面上に付けられる場合が多いからである。パッチは、擦り傷、創傷、にきび、瘢痕または変色した皮膚を覆うために使用可能であり、二つの目的:皮膚におけるでこぼこを隠すこと、および/又は皮膚部位、例えば、創傷またはにきびを治療すること、を有してもよい。これらの目的のための各種の製品が知られている。これらは、通常、望ましい身体部分上に貼り付けられようとする接着パッチまたはドットの形態をとる。それらの大部分は、むしろ厚く、従ってむしろ非可撓性で、多くの場合全く可視的である。一部は局所デリバリー用の薬剤を含有する可能性がある。
【0004】
米国特許第5,785,978号には、活性成分を含む接着パッチが開示されている。パッチは閉鎖性の(occlusive)裏当てフィルムおよび接着剤層を含む。パッチの形状は、それらが上に貼り付けられる身体部分に適合される。パッチは閉鎖性であり、従って通気性でなく、如何なる吸収性要素をも含まず、従って、パッチ下の望ましくない湿気を生じることが可能であり、皮膚の炎症および持続時間の減少をもたらす。
【0005】
皮膚の治療部位を隠すことは別にして、部位を一層衛生的にする抗菌バリアを部位に提供し、汚染の危険性を減少させることは、特にヘルペス、石目または湿疹の治療において、望ましい可能性がある。
【0006】
ヘルペスの治療は、それらが唇に部分的または完全に付着しなければならず、且つすべての因子が実質的に持続時間を減少させることができる大きな動き/伸び、摩擦および高湿度にさらされるという事実のために、接着パッチの使用では例外的に困難であることが可能であり、ならびに、パッチができるだけ目立たないことは望ましい可能性がある。
【0007】
公知の製品は、それが殆ど不可視であってもよいようなやり方で所定の位置にとどまり、皮膚中に溶け込むことができる接着パッチを製造する問題に関連する問題点に、全く、対応していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,785,978号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
今、本発明のパッチが、長い持続時間を有する殆ど不可視のパッチを提供することにより上述の要求を満たすことが見出された。
【0010】
発明の概要
本発明は、皮膚または粘膜、および/又は創傷に付着することができ、裏当て層および皮膚または粘膜に付着するための皮膚に優しい接着剤の層を含む、ヒトの解剖学的表面の一部を覆うための接着パッチに関し、該接着剤は親水コロイド粒子を含む。
【0011】
本発明の一つの目的は、非閉鎖性接着パッチ、すなわち、皮膚表面上の水分が、もし起こればパッチが分離することを引き起こすかまたはパッチ直下における細菌増殖を容易にすることさえできるであろう望ましくない水分の集積を防ぐために、パッチを通して蒸発することを可能とするものを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、優れた持続時間および治癒特性をなお提供しながら、より軽く、一層可撓性で更に目障りでないパッチを提供することである。
【0013】
本発明の更に別の目的は、顔、とりわけ唇領域における貼り付けのためのパッチを提供することである。
【0014】
本発明の更に別の目的は、ごく薄いまたはごく薄い部分を有し、皮膚中に溶け込むことができる接着パッチを提供し、それを使用者に対して極めて目立たなくすることである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、皮膚または粘膜、および/又は創傷に付着することができ、裏当て層および皮膚または粘膜に付着するための皮膚に優しい接着剤の層を含む、生物の解剖学的表面の一部を覆うための接着パッチに関し、該接着剤は親水コロイド粒子を含み、且つ少なくともパッチの周辺に沿う接着剤層の厚さは20〜300μmであり、パッチの蒸気透過度は200〜2000g/m2であり、パッチの吸収度は40〜600g/m2/6hである。
【0016】
付着表面は、好ましくは、親水コロイド粒子を含み、接着剤の厚さは30〜200μmなど、25〜150μmなど、30〜100μmなどの25〜300μmの範囲内にあり、ドレッシングシートの蒸気透過度は、24時間にわたる測定で、200〜2000g/m2など、200〜1000g/m2など、300〜800g/m2など、400〜700g/m2など、450〜650g/m2などの200〜6000g/m2である。このような厚さおよび蒸気透過度を有するドレッシングシートが非閉鎖性接着剤ドレッシングシート、すなわち、ドレッシングシートがその皮膚への付着接触を緩めるかまたはシートと皮膚の間で細菌増殖を促進することを引き起こすことができるであろう望ましくない水分の集積を防止するために、ドレッシングシートを通して例えば皮膚表面上の水分を蒸発させることを可能とするものを提供することが、見出されてきた。更に、ドレッシングシートの低い厚さは、一旦適用部位に貼り付けられると目立たない外見をもたらす。
【0017】
パッチは、好ましくは50〜400g/m2/6h、更に好ましくは60〜300g/m2/6h、最も好ましくは70〜250g/m2/6hの吸収度を有する可能性がある。吸収度は、パッチを37℃で6時間にわたり0.9M塩水中に漬け、次に、水揚げを測定することにより測定した。
【0018】
接着剤中の親水コロイドの存在は、湿性創傷治癒ならびに他の皮膚疾患にとって良好な環境を提供する。接着剤中の親水コロイドの限定量を組み込むことにより、パッチはたいていの条件下で水分を取り扱うことができる。
【0019】
本発明は、高透過性と組み合わせた限定吸収度の独特の組合せを有するパッチを開示する。この組合せは、皮膚または粘膜(例えば、唇)に貼り付けられる場合に湿性創傷治癒および長い持続時間のための最適条件を提供する。
【0020】
極めて高い透過性を有するパッチは市場で公知であり、例にはメルンリッケ(Moelnlycke)からのセーフタック(SafeTac)およびジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)からのティーレ(Tielle)がある。しかし、これらのパッチは、湿性創傷治癒を提供することができない。高吸収度を有する製品もまた公知である。このようなものの例には、従来型の親水コロイドドレッシングがある。しかし、これらのドレッシングは、それらが水分により充分に満たされるまでは極めて低い透過度を有する可能性があり、次に、透過度は上がるが、しかし、接着剤のゲル化のためにドレッシングの接着剤粘着は低下し、ドレッシングは皮膚から剥がれてしまう可能性がある。更に、これらのドレッシングはむしろ厚く、非可撓性であり、従って、例えばヘルペスの治療には適さない。
【0021】
本発明のパッチは、少なくとも12時間、更に好ましくは少なくとも24時間、とりわけ好ましくは少なくとも36時間、最も好ましくは少なくとも48時間の皮膚上における持続時間を有する可能性がある。パッチが唇領域内などの高湿度および摩擦にさらされる粘膜および他の場所に貼り付けられる場合に、持続時間は自然により短くなることができる。唇領域への貼り付けに対して、持続時間は、好ましくは少なくとも2時間、更に好ましくは少なくとも3時間、最も好ましくは少なくとも4時間である。
【0022】
驚くことに、本発明のパッチを用いることにより、薄いがしかしなお吸収性のドレッシングが、より厚い親水コロイドドレッシングを従来から選択していたであろうケースにおいて使用可能であることが示されてきた。本発明のパッチの高透過度のためにパッチは大きな量の浸出液/水分を蓄え可能でなくてもよいが、しかし、蒸発のために全体の水分取り扱い能力は高く、従って、パッチを通しての水分の流束(flux)は高い。
【0023】
ドレッシングの厚さは、多くの場合、創傷から予期される浸出液の量から選択される、すなわち、高浸出創傷に対しては厚いドレッシングである。理念は、より厚いドレッシング、より多い親水コロイド粒子およびより高い吸収度である。しかし、厚いドレッシングは、より低い透過度を有する可能性がある。高透過度を有する薄いパッチおよび厚さのために限定される親水コロイド粒子の量を用いることにより、水分は粒子により吸収され、創部をふやかすことはせず、次に、水分は蒸発の間に上部層を通して再度放出される。このように、パッチは親水コロイド粒子の吸収力よりも一段と高い量の水分を取り扱うことができる。
【0024】
極めて薄いドレッシングまたはパッチは、通常、ポリアクリレートなどの非吸収性接着剤により製造される。しかし、親水コロイド粒子の存在は、水分を吸収し、そうして創部または皮膚を乾燥しすぎでもなく湿りすぎでもなく放置することにより、湿性創傷治癒環境を提供する。吸収性粒子の不在は、皮膚のふやかしまたは創部の乾燥をもたらす可能性がある。
【0025】
用語接着剤が本明細書において用いられるが、この用語は、接着剤、シリコーンまたはゴム状物質、またはペトロラタム、および親水コロイド粒子などの接着特性を有するあらゆる物質を包含してもよいと理解される。接着剤は、それ自体公知であるあらゆる適する種類の粘着剤であってもよい。
【0026】
本発明のパッチの接着剤層の厚さは、表面にわたり実質的に一定であってもよいか、または、パッチは、より薄い周辺、すなわち先端面取り加工された縁により囲まれる、パッチの中心におけるより厚い部分を有する可能性がある。驚くべきことに、パッチに対するよりよい性能が薄い縁部分を有することにより達成されることが示されてきた。薄い周辺またはパッチは、縁部分の巻上げの危険性を減少させる。縁部分の巻上げは、持続時間低下をもたらすことが可能であり、望ましくない。更に、薄い縁部分は外から侵入してくる水にさらされることが少なく、それが最高の防水性(water-block)を得ることを可能とする。
【0027】
接着剤層の厚さが、20〜200μm、更に好ましくは25〜150μm、最も好ましくは30〜100μm、なお最も好ましくは50〜80μmであることは好ましい。
【0028】
パッチが実質的に均一な厚さを有することは、好ましい可能性がある。低い厚さのために、先端面取り加工は、良好な粘着を確保し、縁部分の巻上げを減少させるためになくてもよい。
【0029】
本発明の一つの態様において、パッチは100〜200μm厚さである。得られるパッチは、従って、折り畳みまたは皺なしで取り扱うために充分に厚いが、しかし、同時に従来型の親水コロイドドレッシングよりも著しく薄い。透過性のために、このパッチは、通常、より厚いパッチにより処理されるであろう擦り傷および創傷上における使用に適する可能性がある。または、それは、従来型の厚い親水コロイドの高い水分容量が必要でないこのような小さい創傷または皮膚損傷に適する可能性がある。本発明のパッチは、容易に皮膚の動きに追従し、更に、それは殆ど如何なる場所をも選ばず、このことは、ぴったり合った靴に置かれようとする足または足指上に貼られる場合に重要な可能性がある。
【0030】
接着剤の薄層は、これがパッチの全体厚さを減少させるので望ましい。ドレッシングまたはパッチが薄くなればなるほど、それは可撓性が増大し身体の動きに一層追随することが可能となると共に、それは更に目立たなくなる。
【0031】
ドレッシングまたはパッチは、顔または身体の他の可視または露出面における使用にとりわけ適すると共に、パッチが皮膚に溶け込み殆ど見えなくなることは、従って、望ましい可能性がある。
【0032】
パッチの減少した厚さのために、擦り傷、創傷のためおよびとりわけ露出したおよび/又は突き出た身体部分用の瘢痕化を減少させるためのパッチを製造することは可能である。パッチは第2皮膚のように作動し、容易に下にある皮膚の動きに追随することができる。
【0033】
ドレッシングシートの表面積は、例えば、10〜20cm2などの5〜25cm2、または5cm2未満などより小さく、せいぜい4cm2など、せいぜい2cm2など、1〜2cm2の範囲内など、または0.08〜1cm2などより小さく、0.1〜0.8cm2など、0.12〜5cm2などであってもよい。例えば薄膜パッチの顔適用に対して、表面積は通常5cm2未満である。
【0034】
パッチの蒸気透過度は、好ましくは300〜1100g/m2、更に好ましくは400〜850g/m2、最も好ましくは450〜750g/m2である。
【0035】
パッチは限定された吸収度と適切な透過度間で最適のバランスを有する可能性がある。これらの特性は一緒になって、接着剤および/又は非吸収性接着剤のより厚い層を有する可能性がある一般的な薄いドレッシングに較べて優れた水分取り扱い品質を有するパッチを提供する。
【0036】
本発明の一つの態様において、パッチは先端面取り加工された縁を有する可能性がある。先端面取り加工は、パッチと皮膚間のより円滑な移行を提供することが可能であり、パッチを一層不可視とする。
【0037】
パッチの外側の周辺は、好ましくは、持続時間を減少させるパッチの縁を「巻き上げる」危険性を減少させるために、米国特許第4,867,748号または米国特許第5,133,821号の開示内容と同様に先端面取り加工される。縁は、好ましくは、縁に隣接する厚さがパッチの最大厚さの約30%を超えない、更に好ましくは最大厚さの25%を超えないように先端面取り加工される。
【0038】
本発明のパッチは、驚くことに良好な耐水性を有し、縁の先端面取り加工は、更に、これらの特性を高めることができる。好ましくは、縁はほぼ50myの厚さに先端面取り加工される。表現「耐水性」とは、パッチの身体部分への貼り付け後、パッチが、入浴手洗い、水泳または発汗などの水または水分への多数回の暴露に抗する可能性として理解される。
【0039】
優れた耐水性および良好な水分取り扱い品質は、一般的に知られる製品に較べてそれがパッチに対する極端に長い持続時間を達成することを可能とする。パッチの縁を先端面取り加工により極めて低い厚さにするか、またはパッチの全体的に低い厚さを有することにより、持続時間は増大してもよい。使用の間パッチの縁の巻上げは、縁部分に沿っての露出接着剤の量に応じて決まることが可能であり、そこで、縁に沿っての接着剤層が薄いほど、より少ない巻上げが起こることができる。
【0040】
パッチは、製造の高い適応性を達成することができる1段階プロセスにより製造することが可能であり、薄い先端面取り加工は適合された中心厚さを有して製造することが可能であり、同時に、創傷またはブリスターからの浸出液を吸収する充分な能力を有する可能性がある。
【0041】
本発明のパッチの接着剤は、あらゆる適する皮膚に優しい接着剤であってもよい。接着剤は、更に、親水コロイドの粒子および/又は超吸収性粒子または繊維を含む。
【0042】
皮膚に優しい接着剤は、ヒトの皮膚に付着しようとする医薬物品製造用のそれ自体公知のあらゆる皮膚に優しい接着剤、好ましくは使用時間を長くするための親水コロイドまたは他の水分吸収性成分を含む接着剤であってもよい。接着剤は、好ましくは、米国特許第4,231,369号、第4,367,732号、第4,867,748号、および第5,714,225号に開示されているタイプのものであってもよい。とりわけ好ましいものは、米国特許第4,367,732号および第5,714,225号に開示されている接着剤である。
【0043】
本発明のパッチは、本発明の一つの態様において、単相(mono-phase)接着剤、すなわち、一つの接着剤成分から作製される形態をとるか、または本発明の別の態様により、例えば、米国特許第5,714,225号に開示される一般タイプの2ゾーン接着剤、すなわち、最大厚さを有するパッチの接着剤面積の一部またはすべてが1タイプを超える接着剤により構成される形態をとることができる。
【0044】
親水コロイド粒子の粒径は、親水コロイド粒子のサイズよりも薄い接着剤層を製造することが難しいので、接着剤層の厚さに影響を与える。
【0045】
従来型の親水コロイドの物理的形態は、一般的に約60〜100μmの比較的粗く不規則な粒子であり、粒子は乾燥粉末の形態をとる。より微細な粒子を得るために、親水コロイドは粉砕しおよび/又は篩いにかけることができる。
【0046】
本発明のパッチ用の適する親水コロイドには、単一または多モノマーから製造される合成ポリマー、自然発生親水性ポリマーまたは化学的に改質された自然発生親水性ポリマーが挙げられる。親水コロイドポリマーは線状であるかまたは架橋してもよい。これには、CMCなどのセルロース誘導体、キトサン、ペクチン、グアールガム、でんぷんまたはデキストリン、コラーゲンおよびゼラチン等の天然のまたは化学的に改質された天然のポリマー、およびポリアクリル酸、ポリビニルアルコール/アセテート、ポリヒドロキシ・アルキル・アクリレートおよびメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン・スルホン酸、ポリビニルピリリドン(pyrilidone)、ポリグリコール、コポリマー、このようなもののグラフト重合体、このようなもののコポリマーまたは組成物等の合成ポリマーが挙げられる。
【0047】
本発明の好ましい態様において、親水コロイド粒子は、実質的に125μm未満、更に好ましくは100μm未満、とりわけ好ましくは75μm未満、最も好ましくは50μm未満にある平均粒径を有する。
【0048】
接着剤層は、幾何パターンまたはランダム・パターンなどのパターンの形態をとることができるか、または、接着剤層は接着剤を全く持たない面の形態で、例えばパッチの中心部でより大きな中断部を含むことができる。
【0049】
接着剤層は中断されないことが好ましい。中断されない層は、皺が少ないこと、より良い不可視性および皮膚へのより良い溶け込みなどのいくつかの利点を提供する。接着剤により被覆されない裏当て層は、更に非透明であり従って一層可視的であってもよい。更に、パターンはパッチが除去される時に皮膚上に印を残すことができる。
【0050】
接着パッチは20g/m2〜100g/m2の平らな連続層状態にしてもよい。
【0051】
本発明のパッチは、傷口、グレース(graces)および擦り傷、瘢痕、皺、または皮膚の失色などを覆うために適する。パッチが目立たず不快感を引き起こすことなく唇または唇ゾーンに貼り付けることができるので、パッチはとりわけヘルペス治療に適する可能性がある。
【0052】
裏当て層が、使用者が入浴中の時、またはその面が偶発的に濡れる場合に、およびとりわけ接着剤が水吸収性である場合に、接着剤を悪影響から保護する実質的に水を通さない膜であることは適する。
【0053】
裏当て層はあらゆる不透水性層であってもよいか、または、膜は創傷ドレッシングの製造で用いるそれ自体公知のあらゆる適する材料、例えば、発泡体、不織層またはポリウレタン、ポリエチレン、ポリエステルまたはポリアミド・フィルムからなることができる。本発明により、医用ドレッシングを製造する場合に通常用いられるものよりも薄い裏当て層または膜の使用で、弾性率が減少するので、改善された伸縮性および順応性が同時に得られることが実際上見出されてきた。
【0054】
裏当て層は、好ましくは、保存中ならびに使用中に接着剤を保護する弾性、可撓性および非粘着性膜であってもよい。
【0055】
不透水性だが蒸気透過性層または膜は、好ましくは、低摩擦可撓性ポリマーフィルムであり、貼り付け面における望ましくない応力の危険性を減少させる。
【0056】
不透水性膜として用いるとりわけ適する材料は、ポリウレタンフィルムである。好ましい低摩擦フィルム材料は、米国特許第5,643,187号に開示されている。
【0057】
裏当て層は、意図された用途に適する厚さを有する可能性がある。パッチが「不可視」顔パッチ用に望まれる場合、やや薄めの膜が適切であるであろう。裏当て層は30μm未満の厚さを有することが好ましい。
【0058】
この膜の好ましい厚さは、20μm未満、更に好ましくは約12〜18μm、例えば約15μmであることが可能であり、従って、医用ドレッシングを製造する場合に通常用いられる膜に較べて有意な弾性率の減少をもたらす。弾性率が減少するので、改善された伸縮性および順応性が同時に得られる。
【0059】
好ましい態様により、裏当て層は低表面摩擦を示す膜である。更に、表面は不透明であることが可能であり、反射は皮膚の反射に近く、従ってパッチが皮膚の色および反射と調和し、より見えなくすることを可能とする。
【0060】
裏当て層は適する色、例えば、肌色に着色してもよいか、または、それは装飾品を担持することも可能である。裏当て層は、意図された用途に応じて、透明、半透明、不透明または非透明であってもよい。
【0061】
視覚的に皮膚に溶け込み不可視になることができるために、パッチが皮膚のそれに近くある反射率を有することは望ましい。反射率が、5未満、更に好ましくは4.5〜1間、とりわけ好ましくは4〜1.5間にあることは好ましい。反射率はBYK−ガードナー(Gardner)からのMicro-TRI-gloss装置を用いて測定し、ASTM・D523規格を参照して測定される。測定角度は60°である。反射率のより高い値で、製品の光沢はより高くなる。
【0062】
本発明のパッチは、好ましくは、破れた皮膚を有する皮膚面に貼られる場合に感染を引き起こす危険性を避けるために滅菌してもよい。
【0063】
パッチが、破れていない皮膚に、例えば、瘢痕などの皮膚の不揃いを隠すため顔部分上に貼られる場合、パッチが滅菌されるかどうかは重要なことでない。
【0064】
擦り傷に対する予防および保護は、また、本発明の態様として考慮してもよい。
【0065】
本発明のパッチは、任意に、貼り付けの前または間に除去されようとする1以上の剥離ライナーまたはカバーフィルムにより部分的にまたは完全に覆われる。
【0066】
保護カバーまたは剥離ライナーは、例えば、シリコーン処理紙であってもよい。それはパッチと同じ輪郭を有する必要はない、例えば多くのパッチは保護カバーのより大きなシートに接着してもよい。保護カバーは、本発明のパッチの使用の間は存在せず、従って、本発明の本質的な部分ではない。
【0067】
更に、本発明のパッチは、接着剤層に触ることなくパッチを皮膚に貼り付けるためのそれ自体公知の1以上の「ノンタッチ」グリップ(複数を含む)を含むことができる。このようなノンタッチグリップは、パッチの貼り付け後は存在しない。より大きなパッチのため、2または3または4個でさえ「ノンタッチ」グリップを有することが好ましい。
【0068】
本発明のパッチは、更に、1以上のカバー層を含むことができる。カバー層は保存の間パッチを保護し、パッチの簡単な貼り付けを助けることができる。カバー層は貼り付けの間または後で除去される。
【0069】
好ましくは、本発明のすべての態様において、パッチは、その一つの表面に適用される接着剤を有する裏当て層の形態で提供される。パッチの付着表面は、医薬活性物質を含むことができる。例えば、皮膚軟化薬、または例えば乾癬、湿疹、カラス、膜、コーンまたはブリスターの形成を治療するかまたは予防するためのレチノイドがある。利用可能な医薬薬剤の例には、成長ホルモン、または、薬剤が創傷上でその効能を発揮してもよい創傷における局部適用に適切である形態においてこのような活性物質の組み込みを引き起こすTGF、FGF、PDGF、EGF、IGF−1、IGF−2、コロニー刺激因子、形質転換成長因子、および神経刺激成長因子などのポリペプチド成長因子などのサイトカイン、静菌性または殺菌性化合物、例えば、ヨウ素、ヨードポピドン複合体、クロラミン、クロルヘキシジン、スルファジジン、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、硫酸銀、チオ硫酸ナトリウム銀または塩化銀などの銀塩、亜鉛またはその塩、メトロニダゾール、サルファ剤、およびペニシリンなどの他の薬剤、組織治癒促進剤、例えばRGDトリペプチドなど、タンパク質、タウリンなどのアミノ酸、アスコルビン酸などのビタミン、創部洗浄用の酵素、例えばペプシン、およびトリプシンなど、例えば癌組織中へのドレッシングの外科的挿入で用いるプロティナーゼ阻害剤、および/又は任意に局所適用用に用いられる他の治療剤、NSAIDS、リドカインまたはキンコカインなどの鎮痛剤、皮膚軟化薬、レチノイドまたは冷却効果を有する薬剤が挙げられる。
【0070】
その目立たない外見および担体システムにより提供される簡単な貼り付けのため、本発明のパッチは、接着剤中に含有されるかまたはそこに適用されようとする、このような目的のためにそれら自体公知の薬剤によるヘルペス、にきび、およびこぶの治療用などの顔用途に有利に使用可能である。ヘルペス治療用の適する抗ウイルス性薬剤は、例えば、アシクロビルまたはペンシクロビルを含むことができる。アゼライン酸またはイソトレチノインは、にきび治療用の薬剤中に使用可能である。こぶの治療に関して、ポドフィロトキシンなどの分裂抑制剤は適用可能である。こぶおよび/又はうおのめは、サリチル酸系薬剤により治療してもよい。にきび、擦り傷または創傷の治療用のパッチは、例えば、防腐剤/抗生物質、ビタミン化合物または他の創傷治癒薬物を含むことができる。
【0071】
上述の医薬活性物質は、付着性皮膜の完成後ドレッシングシートの付着表面に適用してもよいか、または、それらは裏当て層上へのその被覆の前に接着剤中に混合してもよい。
【0072】
本発明の一つの態様において、薬剤は貼り付け前にパッチに適用してもよい。ゲルまたはクリームの量は、治療部位への貼り付けの前にパッチの中心部に適用してもよい。ヘルペスの治療において、アシクロビル含有クリームまたはゾビール(Zovir)などのゲルをヘルペス部位への貼り付けの前に適用することは有利であってもよい。
【0073】
パッチは薬剤を収容するための1以上の空洞を含むことができる。空洞はドーム型部分またはギザギザの形態にしてもよい。
【0074】
パッチは吸収性パッドを含むことができる。吸収性パッドは、ガーゼ、アルギン酸塩、親水コロイド、発泡体、または超吸収装置などのあらゆる適する吸収性材料であってもよい。本発明の一つの態様において、パッドは接着剤を含む。接着剤は、パッチ上のと同じ接着剤であってもよいか、または、それは異なる接着剤、例えば更に吸収性の接着剤であってもよい。
【実施例】
【0075】
実施例1
本発明によるパッチの反射率を測定した。試験を、BYK−ガードナーからのMicro-TRI-gloss装置を用いて行った。反射率をASTM・D523規格を参照して測定する。角度は60°であった。より高い値で、製品の光沢がより高くなる。
【0076】
試験皮膚、本発明によるパッチおよび競争業者の製品「T−ゾーン(zone)」について、3人に関する4測定値を得た。T−ゾーン・パッチはブロディー&ストーン(Brodie & Stone plc)からのものであり、にきび治療用の製品であって、ポリアクリレート接着剤により被覆された上部フィルムを含む。製品は、更に、ティー・ツリー油の形態をとる防腐剤を含む。反射率試験の結果を以下の表1に示す。
【0077】
結果から見られるように、本発明のパッチの反射率は、皮膚の反射率に極めて近くあり、従って、パッチの不可視性に貢献する。競争業者の製品、T−ゾーンは、一段と高い反射率を有し、従って一層可視性であり、目立たない外見には好ましくはいないであろう。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例2
臨床調査を、ビスペベルグ(Bispebjerg)病院、皮膚−性病学部門、創傷治癒センターで行ってきた。口唇ヘルペスを有する85人が調査を終えた。患者にはウイルスの発生の間本発明のパッチが提供され、患者は質問表に記入した。質問表からの結果を以下に示す。
【0080】
94%は、パッチが発生の間格別にまたは極めて弾力性/可撓性であった(皮膚の動きに追随した)と答えた。
91%はパッチが発生の間身に付けるのは格別に快適であったと答えた。
85%はパッチが発生を和らげたと言った。
88%はパッチが発生をより見難くしたと言った。
81%はヘルペスが堅い外皮を形成しなかったと言い、これらの内86%はこれが利点であることを見出した。
79%はそれらが薬局/ドラッグストアから入手できる場合パッチを買いたいとの興味があったであろう。
87%はパッチが従来型の治療に較べて発生に対処し/耐えることをより容易にすることを見出した。
65%はパッチが発生の治癒時間を減少させたことを見出した。
【0081】
本発明のパッチが、従来型のヘルペス治療に較べて、減少した治癒時間、および発生の間のより高い快適さを提供することが、本研究から結論付けられる。
【0082】
実施例3
アシクロビル含有クリームによる口唇ヘルペスの治療、と本発明のパッチによる治療間の比較である。研究を、ビスペベルグ病院、皮膚−性病学部門、創傷治癒センターにより行った。結果を表2に示す。
【0083】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のパッチによる治療はブリスターの形成を抑え、堅い外皮の形成を防止する。堅い外皮の不在は、治癒時間を減少させ、患者にとっての不便さをより少なくするように見える。2次感染は避けられ、このことはまた治癒時間を減少させるために寄与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物の解剖学的表面の一部を覆うための接着パッチであって;該パッチは、皮膚または粘膜、および/又は創傷に付着する(adhere)ことができ;裏当て(backing)層および皮膚または粘膜に付着するための皮膚に優しい(skin-friendly)接着剤の層を含み;該接着剤は親水コロイド粒子を含み、少なくともパッチの周辺に沿う接着剤層の厚さは20〜300μmであり;パッチの蒸気透過度は200〜1000g/m2であり、パッチの吸収度は40〜600g/m2/6hである接着パッチ。
【請求項2】
パッチが実質的に均一な厚さを有する請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
パッチの吸収度が50〜400g/m2/6hである請求項1または2に記載のパッチ。
【請求項4】
接着剤層の厚さが30〜200μmである請求項1〜3のいずれかに記載のパッチ。
【請求項5】
パッチの蒸気透過度が、300〜800g/m2である請求項1〜4のいずれかに記載のパッチ。
【請求項6】
親水コロイド粒子が実質的に125μm未満であるサイズを有する請求項1〜5のいずれかに記載のパッチ。
【請求項7】
親水コロイド粒子が実質的に50μm未満であるサイズを有する請求項1〜6のいずれかに記載のパッチ。
【請求項8】
パッチが5未満の反射率を有する請求項1〜7のいずれかに記載のパッチ。
【請求項9】
裏当て層がポリウレタンフィルムである請求項1〜8のいずれかに記載のパッチ。
【請求項10】
裏当て層が30μm未満の厚さを有する請求項1〜9のいずれかに記載のパッチ。
【請求項11】
接着剤層が中断されない(uninterrupted)請求項1〜10のいずれかに記載のパッチ。
【請求項12】
パッチが吸収性パッドを含む請求項1〜11のいずれかに記載のパッチ。
【請求項13】
パッチが1以上の空洞(cavities)を含む請求項1〜12のいずれかに記載のパッチ。
【請求項14】
パッチが更に1以上の活性成分を含む請求項1〜13のいずれかに記載のパッチ。

【公開番号】特開2012−35111(P2012−35111A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−242998(P2011−242998)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2006−540179(P2006−540179)の分割
【原出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)