説明

接着性パテ材

【課題】被着体に圧力を加えて接着させれば所定値以上の引張りせん断接着強さを有し、一方、接着材としての使用が済んだ後は、被着体より簡単に糊残りなく取り外すことができる接着性パテ材を提供する。所定の硬さがあって、手でさわってもべとつかず丸めて扱うことができる接着性パテ材を提供する。
【解決手段】シリコンオイル100重量部に対して無機粉体を22〜48重量部を混練りして得られた接着性パテ材であって、無機粉体の平均粒子径が1μm〜30μmであり、粘度X(cSt)のシリコンオイルに配合する無機粉体をY重量部とすると、Y=(−8/70)X+(220/7)・・・(1)式、より上で、Y=(13/70)X+(157/7)・・・(2)式、より下で、かつ、シリコンオイルの粘度Xが30万〜100万cStの範囲に囲まれた領域にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンコンパウンドからなる接着性パテ材に関し、詳しくは、例えば被着体にパテ材が残らないように糊残りなく簡単に剥がせる接着性パテ材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パテ材は、電線、ケーブルを貫通させた後の充填材として用いられている。また、地震、衝撃、振動などによる物品の倒壊防止用材料としての用途も広がってきた。このような用途として、特許文献1のような自己粘着性を有するシートが提案されている。
また、特許文献2に示すように、地震、衝撃、振動などによる物品の倒壊防止用材料としてシリコンガムが提案されている。
【特許文献1】特開2001−316447号公報
【特許文献2】USP6325885号公報
【0003】
しかし、特許文献1の自己粘着性を有するシートは、被着体にパテ材が残るという問題があり、一方、特許文献2のシリコンガムは、使用時にパテ状の接着材として取扱ができる利便性や使用後に簡単に剥がせ糊のあと残りもないという利点を有するが、接着強さや引張接着強さが弱く、剥離方向に力が作用する斜面等での接着性(引張りせん断接着強さ)において信頼性に欠けるという問題点を有する。
また、特許文献2のシリコンガムは、本質的に液状物質であるため、流動性があり被着体に固定できず、被着体を水平にしなければならないという問題点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のパテ材やシリコンガムの問題点を克服すべく、被着体に圧力を加えて接着させれば所定値以上の引張りせん断接着強さを有し、一方、接着材としての使用が済んだ後は、被着体より簡単に糊残りなく取り外すことができる接着性パテ材を提供することを目的とする。
また、所定の硬さがあって、手でさわってもべとつかず丸めて扱うことができる接着性パテ材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために種々の研究を重ねた結果、特定の粘度を有するシリコンオイルと特定の粒径の無機粉体を、所定の割合で配合された組成物が所望の接着性パテ材になり得ることを見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明の請求項1に記載の接着性パテ材は、シリコンオイル100重量部に対して無機粉体を22〜48重量部を混練りして得られた接着性パテ材であって、無機粉体の平均粒子径が1μm〜30μmであり、かつ、シリコンオイルの粘度Xが30万〜100万cStの範囲にあることを特徴とする。
請求項2に記載の接着性パテ材は、シリコンオイル100重量部に対して無機粉体を22〜48重量部を混練りして得られた接着性パテ材であって、無機粉体の平均粒子径が1μm〜30μmであり、
粘度X(cSt)のシリコンオイルに配合する無機粉体をY重量部とすると、
Y=(−8/70)X+(220/7)・・・(1)式
より上で、
Y=(13/70)X+(157/7)・・・(2)式
より下で、
かつ、シリコンオイルの粘度Xが30万〜100万cStの範囲に囲まれた領域にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の接着性パテ材は、被着体に圧力を加えて接着させれば所定値以上の引張りせん断接着強さを有し、一方、接着材としての使用が済んだ後は、被着体より簡単に糊残りなく取り外すことができる接着性パテ材である。
また、所定の硬さがあって、手でさわってもべとつかず丸めて扱うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の接着性パテ材料は、シリコンオイル及び無機粉体を含有するものである。シリコンオイルは、従来公知のものを広く使用でき、例えば通常粘度が30万〜100万cSt(センチストークス)、好ましくは50万〜100万cStのものがよい。シリコンオイルの粘度が低いと流動性があり一定の形状を保ちにくい。一方、シリコンオイルの粘度が高いと流動性が失われ一定の形状を保ちやすいが、所定値を超えると、無機粉体と混合した時に硬くなりそのとり扱いが困難になる。すなわち、手で丸めたり、押し付けて被着体に感圧接着させにくくなる。
【0009】
シリコンオイルとしては、従来公知のものを広く使用でき、例えばストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
ストレートシリコーンオイルとしては、具体的にはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、環状ポリジメチルシロキサン等を例示できる。また、変性シリコーンオイルとしては、具体的にはアルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フロロ変性シリコーンオイル等を例示できる。これらシリコンオイルの中でも、ジメチルシリコーンオイルが特に好適である。
また、上記シリコンオイルは、1種単独で又は2種以上混合して使用することもできる。
【0010】
本発明で用いられる無機粉体としては、従来公知のものを広く使用できるが、中でもシリカ粉末が好ましく適用される。
また、無機粉体には他の無機粉体を混合することもできる。例えば、クレー、カオリナイト、ベントナイト、ハロイサイト、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪藻土、ゼオライト等が挙げられ、これらの中では、クレー、タルク及び炭酸カルシウムが好ましい。また、無機粉体は、1種単独で又は2種以上をシリカ粉体に混合して使用することもでいる。
【0011】
(無機粉体の配合割合)
本発明の接着性パテ材に配合されるシリコンオイル及び無機粉体の割合は、シリコンオイル100重量部に対して、無機粉体が22〜48重量部である。上記各成分をこの範囲内で配合することにより、所望の特性を有する接着性パテ材を得ることができる。すなわち、シリコンオイル100重量部に対して配合する無機粉体が22重量部未満の場合は、引張りせん断接着強さが低く、接着性パテ材の硬さも低く、手で丸めての取扱いが困難であり、接着性パテ材としての特性を有さない。
また、後述するように、無機粉体の配合割合が22重量部未満の場合は、接着パテ材が被着体から剥離する剥離形態が、「界面剥離」から「材料凝集破壊」に移行し、被着体に糊のこりが生ずる現象が発生しやすい。
一方、無機粉体の配合割合が48重量部未満を超える場合は、引張り接着強さが低くなり、また、接着性パテ材の硬さが高くなりすぎ、手で丸めての取扱いが困難になるという問題も生ずる。よって、本発明のパテ材においては、無機粉体の配合割合を22〜48重量部とした。
【0012】
(硬度)
本発明の感圧接着性パテ材の素材となる無機粉体の役割は、液体であるシリコンオイルの流動性を無くすることと、感圧接着性パテ材の硬度を与えることである。シリコンオイルの流動性を止める、即ち流動性のないパテ材とするには、シリコンオイルに特定割合以上の無機粉体を混合することが必要である。流動性をなくせる硬度は、シリコンオイルの粘度とも関連するが、シリコンオイルの粘度が低いX=30万cStの場合は、アスカー硬度でC3以上が必要である。
また無機粉体配合量が多いほど、流動性を消滅させることが出来るとともに接着性パテ材としての硬度を高くすることが出来、パテ材の粘着性を減少させて手で丸めることができるようになり、接着性パテ材の取扱い性が向上する。本発明においては、手で丸めることができる程度の硬度とは、例えばアスカー硬度でC19以上をいう。
【0013】
(無機粉体の平均粒子径)
混合する無機粉体の大きさとしては、特にその製法に限定されることはないが、平均粒子径が1μm〜30μmのものが好ましい。この平均粒子径が1μm未満の場合は、その比表面積が大きいため、シリコンオイルと無機粉体との混練り作業が粘度の上昇が大きくて難しくなり製法上困難となるからである。
また、混練り制限内での無機粉体の使用量では、流動性があり被着体に固定できず、被着体を水平にしなければならないという問題点を有する。
また、パテ性を与えるための無機粉体の配合量が増加し引張りせん断接着強さが低くなるという問題点も有する。
一方、30μmを超えるとその比表面積は小さくなるが、引張りせん断接着強さへの無機粉体量依存性は大きくなるので、少しの配合割合の変更が引張りせん断接着強さに影響する。すなわち、無機粉体の大きさは、平均粒子径が小さい場合は混練り制限内でパテ性を維持させることが困難であり、平均粒子径が大きい場合はパテ性を与えるのに無機粉体の配合量を増加させなければならず、引張りせん断接着強さが低くなる。よって、本発明では、無機粉体の大きさを1μm〜30μmとした。
【0014】
なお、本発明の接着性パテ材には、その他の特性を併せ持たせることを目的として、低粘度シリコンオイル、可塑剤、着色用の顔料や染料、香料、消泡剤、難燃剤、表面改質材、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を適宜添加することもできる。
さらに、本発明において、各種の有機及び無機の充填剤を必要に応じて添加することができる。無機物充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、無水珪酸、ガラスフレーク、カーボンブラック、珪石などが挙げられる。
これらの無機物充填剤の形状としては、粉状、鱗片状、紡錘状のものが挙げられ、そのまま使用することもできるが、予めその表面にチタン処理、シリコン処理などを施したものを用いてもよい。
また、有機物充填剤としては、れき青物、動植物繊維、合成繊維などが挙げられる。
さらに、感圧接着強さを増加させる目的をもって、各種の粘着付与剤を添加することができる。例えば、松脂、タッキファイアーとしてのロジン系エステル(エステルガム、スーパーエステル、ペンセル、ハイペール:荒川化学工業製、テスポール:日立化成ポリマー製)等を挙げることができる。
【0015】
(製造方法)
本発明の接着性パテ材は、上記各成分を所定割合で配合し、混合することにより容易に調製される。例えば上記各成分を所定割合で配合し、ニーダー等を用いて混合すればよい。得られた各パテ材について下記のようにして特性を評価を行った。
【0016】
上記方法にて、各種粘度(粘度XcSt)のシリコンオイル100重量部と各種平均粒子径の無機粉体の配合割合(Y重量部)から得られたシリコンコンパウンドを用いて引張りせん断接着強さ(kg/cm)を測定し、その結果を図1に示した。
【0017】
図1に、本願発明の範囲内において接着性パテ材を何種類か製造し、引張りせん断接着強さを測定したデータを示す。図1において、X軸は、シリコンオイルの粘度X(万cSt)であり、Y軸は、シリコンオイル100重量部に対する無機粉体配合割合(重量部)であり、各種の配合割合における引張りせん断接着強さ(kg/cm)を、該当場所に以下の記号で記したものである。
【0018】
図1中、記号○の中に数字を記入したものは本発明の範囲内のパテ材であり、○の中の数字が、
1のものは、1.0kg/cm以上1.1kg/cm未満の接着強さ、
2のものは、1.1kg/cm以上1.2kg/cm未満の接着強さ、
3のものは、1.2kg/cm以上1.3kg/cm未満の接着強さ、
4のものは、1.3kg/cm以上1.4kg/cm未満の接着強さ、
5のものは、1.4kg/cm以上1.5kg/cm未満の接着強さ、
6のものは、1.5kg/cm以上1.6kg/cm未満の接着強さ、
7のものは、1.6kg/cm以上1.7kg/cm未満の接着強さ、
8のものは、1.7kg/cm以上1.8kg/cm未満の接着強さ、
9のものは、1.8kg/cm以上の接着強さを有するパテ材である。
一方、□のものは、0.9kg/cm以上1.0kg/cm未満の接着強さを有するパテ材であり、△のものは、0.8kg/cm以上0.9kg/cm未満の接着強さを有するパテ材であり、×のものは、0.7kg/cm以上0.8kg/cm未満の接着強さを有するパテ材である。○や□などで示す1つ1つがサンプルである。
【0019】
図1の結果から、引張りせん断接着強さが1kg/cm以上を示す接着性パテ材は、○の中に数値の入っている領域に示したものであり、シリコンオイルの粘度をX(cSt)、シリコンオイル100重量部に対する無機粉体の量をY(重量部)を用いて特定すると、X,Yが、図1において(1)線と(2)線の間の範囲内にあることが分かった。
この(1)線と(2)線を関係式を示すと、
(1)線の式:Y=(−8/70)X+(220/7)
(2)線の式:Y=(13/70)X+(157/7)
となる。すなわち、データを取った接着性パテ材で、引張りせん断接着強さが1kg/cm〜1.8kg/cm の範囲のものは、(1)式より上の領域で、(2)式より下の領域にあることが分かった。
【0020】
ここで、本願発明のパテ材が、引張りせん断接着強さ=1.0kg/cm以上とするのは、以下の理由からである。接着性パテ材を被着体に押しつけて被着体から容易に剥がれ落ちない範囲として、引張りせん断接着強さが少なくとも1.0kg/cm以上必要とされるからである。
また、引張りせん断接着強さ=1.8kg/cmを上限とするのは、以下の理由からである。すなわち、引張りせん断接着強さが1.8kg/cm以下であると、接着材としての使用が済んだ後、当該パテ材を被着体より簡単に糊残りなく界面剥離するために手でシートを丸める様にして取り外すことができるようになることができるからである。
引張りせん断接着強さが1.8kg/cmを超えるとと、接着性パテ材が接着材としての使用が済んだ後、当該パテ材を被着体より剥がしたときに界面に糊残りが生ずるからである。よって、引張りせん断接着強さを1.0〜1.8kg/cmとすることが望ましい。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の接着性パテ材について、実施例及び比較例によってさらに詳細に説明し、その評価を表1,表2に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
(表1,2の説明)
実施例及び比較例において、次のようにして1cm厚のパテ材を製造した。まず、閉じられた系を持つ混練機(万能混合攪拌機NDMV型:不二パウダル製)の容器(10L)に、シリコンオイル3kgと表に示す配合割合のシリカ粉体を仕込み、容器蓋で系を閉じた上で、混合を開始し、室温下で約60分間混練りを行い、粉状物を大きな粉体形状とし、これを冷ました後に容器より取り出して、表1、表2に示す種々の配合割合の接着性パテ材を得た。
【0025】
実施例及び比較例に用いたシリコンオイル及び無機粉体は以下のものである。
(1)シリコンオイル
表中番号1−1:シリコンオイルKF96H−100万cs(信越シリコーン社製)
表中番号1−2:シリコンオイルKF96H−50万cs(信越シリコーン社製)
表中番号1−3:シリコンオイルKF96H−30万cs(信越シリコーン社製)
表中番号1−4:シリコンオイルKF96H−10万cs(信越シリコーン社製)
表中番号1−5:シリコンオイルKF96H−6万cs(信越シリコーン社製)
表中番号1−6:シリコンオイルKF96H−3万cs(信越シリコーン社製)
(2)無機粉体(シリカ粉体を用いた)
表中番号2−1:ニップシルE220(平均粒子径1μmm:東ソー・シリカ工業社製)
表中番号2−2:サイリシア350(平均粒子径3.9μmm:富士シリシア化学社製)
表中番号2−3:サイリシア380(平均粒子径9μmm:富士シリシア化学社製)
表中番号2−4:ニップシルLP(平均粒子径9μmm:東ソー・シリカ工業社製)
表中番号2−5:アエロジル300(平均粒子径0.01μmm:日本アエロジル社製)
【0026】
表1、表2「性能試験値」の欄における評価法は以下のようにして行った。
(接着材の外観の状態の評価)
接着性パテ材を、一辺15mmの三角錐形状とし、それを垂直に立てたポリエチレン板上に一底辺を圧着させ、常温で24時間放置後の観測により、試験体三角錐の先端が元の位置より1mm以上移動があった(垂れ下がった)場合を「流動」と表記し、試験体三角錐の先端が最初の固定位置より動かない(垂れ下がらない)場合を「パテ」と表記した。
本発明の実施例の感圧接着性パテ材は硬度が高いので、固定位置よりの移動がなく、すべてパテ材として用いることができる。
これに対し、表2に示す比較例のものは流動性があり、パテ材として用いることができかった。
なお、「接着材の外観の状態」欄に示す値に「流」としたものは、シリコンコンパウンドが液体特性の流動性があることを示す。
【0027】
(接着材の硬さの評価)
JIS−K−6253 タイプAデュロメーター硬度の系列測定法であるアスカーゴム硬度計C型(高分子計器製)にて、定圧荷重器(CL−150:高分子計器製)を用いて実施例のパテ材及び比較例を測定した。
本発明の実施例のパテ材は、C15以上の硬度があり、流動性がないのですべてパテ材として用いることができる。
これに対し、表2に示す比較例のものは一部にC23の値を示すものもあるが、硬度が低く流動状態となるものもあり、パテ材として用いることができないものがあった。
【0028】
(引張りせん断接着強さの評価)
引張りせん断接着強さ試験(JIS−K−6850)に準拠し、幅25mm厚さ2mmの2枚の鉄板間の、12.5mmのオーバーラップ部分にパテ材を接着材として挟み込み、所定の圧力で一定時間押さえた後、両鉄板を上下に引っ張って、パテ材が鉄板から剥離されるまでの引張せん断接着強さを測定した。
剥離した時の荷重を接着面積で割って、kg/cmで表示した。このさい荷重速度は毎分200kgとした。
【0029】
(剥離場所)SかBか
上記「引張りせん断接着強さ」試験における破断時の破断形態を目視により観察し次のように分類した。すなわち、表1中の「剥離場所」の欄に示す記号の意味は、
S:界面剥離(非着体に対する糊残りが少ない)
B:材料凝集破壊(非着体に対する糊残りが多い)
を示すものである。
記号Sの場合は、被着体とパテ材との界面で剥離する様相を呈し、パテ材を剥がした後被着体に対する糊残りが少なく、本願発明の目的からすると好ましい状態を示すものである。記号Bの場合は、パテ材の引張りせん断接着強さが強すぎて、被着体からパテ材を剥がすとパテ材中での凝集破壊を呈し被着体への糊残りが多く、本願発明の目的からすると好ましい状態を示すものではない。この結果、本発明の実施例の接着性パテ材は、破断箇所がS(界面剥離)であり、糊残りが少なく、接着性パテ材として用いることができる。これに対し、比較例のものは、B(材料凝集破壊)であり糊残りが多く、接着性パテ材として好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の接着性パテ材は、被着体に圧力を加えて接着させれば所定値範囲の引張りせん断接着強さを有し、一方、接着材としての使用が済んだ後は、被着体より簡単に糊残りなく取り外すことができ、産業上の利用性が高い。
また、所定の硬さがあって、手でさわってもべとつかず丸めて扱うことができ、極めて有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】各種粘度のシリコンオイル100重量部と各種平均粒子径の無機粉体の配合割合から得られたシリコンコンパウンドを用いて引張りせん断接着強さを測定した結果を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンオイル100重量部に対して無機粉体を22〜48重量部を混練りして得られた接着性パテ材であって、
無機粉体の平均粒子径が1μm〜30μmであり、
かつ、シリコンオイルの粘度Xが30万〜100万cStの範囲にあることを特徴とする剥離性に優れた接着性パテ材。
【請求項2】
シリコンオイル100重量部に対して無機粉体を22〜48重量部を混練りして得られた接着性パテ材であって、
無機粉体の平均粒子径が1μm〜30μmであり、
粘度X(cSt)のシリコンオイルに配合する無機粉体をY重量部とすると、
Y=(−8/70)X+(220/7)・・・(1)式
より上で、
Y=(13/70)X+(157/7)・・・(2)式
より下で、
かつ、シリコンオイルの粘度Xが30万〜100万cStの範囲に囲まれた領域にあることを特徴とする剥離性に優れた接着性パテ材。

【図1】
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【公開番号】特開2007−262242(P2007−262242A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89491(P2006−89491)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(506104943)有限会社ポリシス研究所 (5)
【Fターム(参考)】