説明

接着性積層体区画を取り扱うための方法

接着性積層体を取り扱う方法であり、その方法において、第1のウェブに剥離可能に接着された接着性積層体であって、複数のカットまたはパンチされた区分を備え、隣接する区分が1つ以上の連結点を介してウェブの長手方向へ互いに結合された状態にある接着性積層体を用意する。第1の支持構造、および隣接する第2の支持構造を用意する。第1のウェブは、第1の支持構造の上で導引される。第2のウェブの剥離面が第1の支持構造に対面するように第2のウェブを方向付けして、第2のウェブが第2の支持構造の上で導引される。接着性積層体の第1の区画の前端部分を第1のウェブから第2のウェブの剥離面に取り付け、接着性積層体の第1の区画が接着性積層体の第2の区画から分離されるとともに、接着性積層体の第2の区画の前縁が接着性積層体の第1の区画の後縁から離間した配置で第2のウェブに接着されるように、第2のウェブを前進させる。経皮投薬装置が、そのような方法によって作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、本明細書にその全体を援用する、2005年6月10日に出願された米国仮出願番号60/689,212の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、接着性積層体区画を取り扱うための方法に関する。一実施形態において、本発明は、経皮薬物送達パッチを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
接着性積層体区画はしばしば、より大きなマスターロールまたは「ジャンボ」から各区画を型押しするかまたはカットすることによって作製され、そのマスターロールは、個々の区画よりも数倍長いものであるが、さらには幅がより広くてもよい。マスターロールを形成するこのプロセスは、多数の個々の区画を一つずつ製造しようと試みるよりも、便利でかつ効率的となりうるが、その後の型押しまたはカットプロセスは一般に、不要材料を生じることになる。不要材料の量、およびそのような不要部の望ましくない程度は、材料の種類および作製される区画の性質に応じて異なる。
【0004】
一例として、経皮投薬装置はしばしば、接着性積層体区画を含む薬物、いわゆる「接着剤内薬物」パッチからなる。接着剤は使用時に皮膚面に接して配置され、薬物はデバイスから皮膚内に入る。そのようなデバイスは典型的には、保存する間に接着剤を保護する剥離ライナーを有しており、その剥離ライナーは典型的には、デバイスを皮膚に貼り付ける直前に取り外される。場合によっては、デバイスの接着部分よりも大きい表面積を有する剥離ライナーを使用することが望ましいが、これは、そのような剥離ライナーを使用すると、デバイスを患者にとってより扱いやすいものにすることができ、かつ/または、デバイスの保存安定性を改善できるからである。そのようなデバイスはしばしば、拡大剥離ライナーを有していると呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経皮投薬装置の典型的な製造プロセスでは、マスターロールが形成され、また、後のパッケージ化と患者への配布のために、続いて個々のデバイスをパンチまたはカットすることによって変形されるが、この製造プロセスでは、デバイスと同じ組成物を有する(すなわち薬物を含有する)、処分しなければならない不要部が残される。拡大ライナーを有する装置を製造するには、さらなる変形工程が必要となり、また付加的な不要材料が生成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
製造不要部を減らすかまたはなくす変形プロセスを用いて、マスターロールから接着性積層体区画を製造することが望ましい。また、薬物含有不要部の発生量を減らすかまたはなくす変形プロセスを用いて、経皮投薬装置を製造することが望ましい。拡大剥離ライナーを有する経皮投薬装置を効率的に製造することがさらに望ましい。
【0007】
一実施形態において、本発明は、ある接着性積層体を取り扱う方法を提供するが、その方法において、第1のウェブに剥離可能に接着された接着性積層体が用意され、その方法において、第1のウェブに剥離可能に接着された接着性積層体が用意され、複数のカットまたはパンチされた区画を備えており、隣接する区画が1つ以上の連結点を介してウェブの長手方向へ互いに結合された状態にある。第1の支持構造、および隣接する第2の支持構造が用意される。第1のウェブは、第1の支持構造の上で導引される。第2のウェブの剥離面が第1の支持構造に対面するように第2のウェブを方向付けして、第2のウェブが第2の支持構造の上で導引される。接着性積層体の第1の区画の前端部分を第1のウェブから第2のウェブの剥離面に取り付け、接着性積層体の第1の区画が接着性積層体の第2の区画から分離されるとともに、接着性積層体の第2の区画の前縁が、接着性積層体の第1の区画の後縁から離間した配置で第2のウェブに接着されるように、第2のウェブを前進させる。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、ある接着性積層体を取り扱う方法であって、第1のウェブに剥離可能に接着された接着性積層体が用意され、複数のカットまたはパンチされた区画を備えており、隣接する区画が1つ以上の連結点を介してウェブの長手方向へ互いに結合された状態にある。接着性積層体の第1の区画および接着性積層体の隣接する第2の区画の一部分が第2のウェブに移送され、次いで第2のウェブが第1のウェブに対して加速され、それによって、第1の区画が第2の区画から分離される。
【0009】
好ましい実施形態において、接着性積層体は薬物を備えている。上記の本発明の概要は、本発明の開示した実施形態のそれぞれまたは全ての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の図および詳細な説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示するものであるが、本発明を不適当に限定するものとみなされるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
これから、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照して以下により詳細に説明することにする。
【0011】
ここに挙げる図面は、本発明のいくつかの実施形態を表しているが、説明において述べるように、他の実施形態も企図される。いかなる場合も、本開示は、本発明を、限定するのではなく代表して提示するものである。本発明の原理の範囲および趣旨に含まれる多数の他の修正形態および実施形態が、当業者によって考案されうることを理解されたい。図面は縮尺通りに描かれていない場合がある。同様の参照番号が、複数の図を通じて同様の部分を示すために使用されている。
【0012】
図1に示す実施形態において、本発明で使用するのに好適な装置100の全体的なレイアウトが示されている。第1のウェブ115が支持ロール110上で支持されている。第1のウェブ115は、支持ロール110と直接接触しないように方向付けられた第1のウェブ剥離面116を特徴としている。Aと記された矢印は、第1のウェブが支持ロール110の上を前進されるときの、その第1のウェブの運動を示している。第1のウェブ115が支持ロール110に向かって前進されるときにその第1のウェブ115を案内するのを支援するために、リボンガイド120を所望により含めてもよい。一実施形態において、リボンガイド120は、ウェブの1つ以上のリボンまたはストランドを、各リボンをさらに独立して扱うことができるように、ウェブの横方向または横断方向に(すなわち、ウェブの長手方向つまり「機械」方向Aに垂直に)広げている。第2のウェブ135が、ノーズバー130によって支持されている。第2のウェブ135は、第2のウェブ剥離面136を特徴としており、その第2のウェブ剥離面136は、第2のウェブ135がノーズバー130に巻き付けられているところで支持ロール110に対面するように方向付けられている。Bと記された矢印は、第2のウェブがノーズバー130の上で前進されるときの、その第2のウェブの運動を示している。図4から7にさらに詳細に示すように、第1のウェブは、部分的に変形された接着性積層体シートを有する入側材料であり、その粘着積層体シートは第1のウェブに剥離可能に接着されている。接着性積層体シートの区画またはパッチは、ノーズバー130の近くで第2のウェブ135へ移送され、第1のウェブは除去されるが、破棄されるかまたは再利用されてもよい。第2のウェブ135へ移送された区画またはパッチは、離間した方式で配置されており、その方式は、他の状況では本明細書において「孤立配置」加工プロセスと呼ばれる。第2のウェブ135は、典型的には最終製品ライナーとして働き、また、典型的にはさらなる変形を受けて、保護剥離ライナーを有する個々のパッチ形状物品を作製する。図示していないが、容易に理解されるべきこととして、巻取りロール、テンションバーなどのような従来のウェブの取扱い手段は一般に、両方のウェブが支持ロール110またはノーズバー130の上を通る前または後にそのウェブを取り扱うために使用される。
【0013】
接着性積層体は一般に、接着層と基材層とを有する2つ以上の層状構造として特徴付けられる。接着層は、連続的であっても非連続的であってもよいが、好ましくは連続的である。基材は、一般には連続的であるが、穿孔されていても、割れ目を有していてもよい。一実施形態において、接着層および基材層は連続的である。
【0014】
接着層は一般に、本方法によって作製される物品の望ましい最終用途に従って選択される。好適な接着剤の例には、アクリレート、シリコーン、ポリイソブチレン、合成ゴム、天然ゴム、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。好適な接着剤についてのさらなる説明は、米国特許第5,656,286号(ミランダ(Miranda)ら)、米国特許第4,693,776号(クランペ(Krampe)ら)、米国特許第5,223,261号(ネルソン(Nelson)ら)、および米国特許第5,380,760号(ウェンデル(Wendel)ら)に見出すことができ、これらの開示内容は本明細書に引用して援用する。
【0015】
基材フィルムとして有用となりうる従来のテープ基材としての軟質フィルムの典型例には、ポリプロピレン;ポリエチレン、特に低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、および高密度ポリエチレン;ポリ塩化ビニル;ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート);ポリ塩化ビニリデン;エチレン−ビニルアセテート(EVA)コポリマー;ポリウレタン;酢酸セルロース;ならびにエチルセルロースなどのポリマーフィルムでできたものが挙げられる。米国特許第5,783,269号(ハイルマン(Heilmann)ら)に記載されたものなど、共押出し多層高分子フィルムもまた好適であり、その米国特許第5,783,269号の開示内容は本願に引用して援用する。ポリエチレンテレフタレート−アルミニウム−ポリエチレン複合材およびポリエチレンテレフタレート−EVA複合材など、層をなした基材もまた好適である。3M(商標)1777 Foam Tapeおよび3M(商標)1779 Foam Tapeに用いられている独立気泡ポリオレフィンフィルムなどのフォームテープ基材もまた好適である。ポリエチレン、ポリエチレンブレンド、およびポリプロピレンが、好ましい高分子フィルムである。ポリエチレンおよびポリエチレンブレンドが、最も好ましい高分子フィルムである。一実施形態において、基材フィルムは半透明または透明である。また、粘着付与剤、可塑剤、着色剤、および酸化防止剤などの添加剤を基材フィルムに添加してもよい。最終用途製品が皮膚に接着される医学または薬学用途には特に、軟質の基材フィルムを使用すると望ましいことがある。一実施形態において、本方法は、薄いポリエチレン基材など、小さな個々のパッチ形状区画では取扱いが一般に困難である非常に軟質な基材を有する接着性積層体の孤立配置変形に対し、特定の有用性を見出すものである。
【0016】
一実施形態において、基材フィルムの厚さは10μmを超え、しばしば20μmを超え、ときには40μmを超える。別の実施形態において、基材フィルムの厚さは2mm未満であり、しばしば1mm未満であり、ときには150μm未満である。
【0017】
第1および第2のウェブ115、135は、剥離面を有するいかなる従来のフィルムであってもよい。「剥離面」という語は、接着性積層体を過度に変形させることなく接着層を除去できる表面として、本明細書において広義に用いられている。ウェブは、接着性積層体の担体として働くことを意図したものであり、また一般には、通常の製造プロセス(例えば、巻取り、コーティング、乾燥など)における取扱いが可能となるのに十分な強度を有するフィルムとなるものである。剥離面を有する好適なウェブには、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレン加工紙などの既知のシート材料を備える従来の剥離ライナーが挙げられる。好適な剥離面は、接着剤およびウェブ材料の性質を考慮して当業者が容易に決定できるものである。剥離面は、低表面エネルギーコーティング(例えばフルオロポリマーおよび/またはシリコーン系コーティング)を有していてもよく、また低表面エネルギーを本質的に有していてもよい。剥離面は一般に滑らかであってもよく、また、表面組織を有して、例えば接着剤とウェブとの接触面積を減じてもよい。ウェブは、連続的であっても穿孔されていてもよいが、好ましくは連続的である。支持ロール110は、被動ロールと遊びロールとを有する任意の好適なウェブ取扱いロールであってもよい。接着性積層体の不要部分を誤って第2のウェブに移送する可能性を最小にするために、比較的大きな直径を有するロールを使用することが望ましい場合がある。第1の支持構造として支持ロール110を使用しているところを図1に示すが、第1のウェブを適切に支持するように働く固定バーまたは1つ以上のローラーおよび/もしくはバーの組み合わせなど、他の任意の好適な第1の支持構造が、第1のウェブ115を支持するために使用されてもよい。同様に、支持ロール160が、第2のウェブを取り扱うための第2の支持構造として使用されてもよい。
【0018】
ノーズバー130は、ある形状および配置を有する任意の好適なウェブ取扱い構造であってもよいが、その形状および配置とは、第2のウェブを支持ロールに非常に接近させ、さらにまた、接着性積層体の区画を第1のウェブから第2のウェブへ移送させることができるような方式で第2のウェブを支持ロールから離れて前進させるというものである。支持ロールに対するノーズバーの向きは、図1に示す引取り角度145を特徴としてもよい。引取り角度145は、接着性積層体の区画が移送される点における第1のウェブの運動方向(図1において接線150で表す)と、第2のウェブ135が支持ロール110から離れて移動するときのその第2のウェブ135の前進方向との間の角度である。接線150は、接着性積層体の区画が第1のウェブから除去される点で引かれている。好適な引取り角度は、多数の要因によって変化しうるものであり、その要因には、例えば、接着性積層体、第1のウェブおよび第2のウェブの材料の種類および厚さ、ならびに、接着性積層体の区画、支持ロール、およびノーズバーの形状および寸法が挙げられる。引取り角度は、一般には0度と120度の間、多くの場合は10度と90度の間、またときには20度と60度の間である。ノーズバーを使用しているところを図1に示しているが、第2のウェブを適切に支持するように働くと共に、第2のウェブを第1のウェブに対して望み通りに配置するローラーまたは1つ以上のローラーおよび/もしくはバーの組み合わせなど、他の任意の好適な第2の支持構造が、第2のウェブ135を支持するために使用されてもよい。別の実施形態を図2および3に示す。図2において、ノーズバー155は第1のウェブ115を支持するために使用されており、支持ローラー160は第2のウェブ135を支持するために使用されている。移送された接着性積層体の区画を第2のウェブに付着させるのを補助するために、アイロニングロール170が所望により使用されてもよい。引取り角度164を画定するために、接線162が使用されて第2のウェブ135の前進運動の方向が画定されている。図3において、ノーズバー180は第1のウェブを支持するために使用されており、ノーズバー190は第2のウェブを支持するために使用されている。図示のように、この実施形態における引取り角度は0度である。
【0019】
図4A、4B、および4Cは、図1で200と記された領域の詳細図を示し、本発明の方法の様々な段階を示している。図4Aに示すように、第1のウェブ215は、支持ロール210に沿って、Aと記された矢印の方向に前進する。接着性積層体245は基材246を備えており、また、接着剤247は、第1のウェブ215が支持ロール210に沿って前進される前、最初は第1のウェブ215に接着されている。接着性積層体245の前縁が示されているが、その前縁は、第1のウェブ215から分離されており、また、ノーズバー230によって支持されている第2のウェブ235の剥離面236に取付けられている。接着性積層体245は、接着パッチの形状を有する区画へとカットまたはパンチされており、その接着性積層体の隣接する区画は、1つ以上の連結点255を介してウェブの長手方向へ互いに結合された状態にある。
【0020】
第1のウェブに接着された接着性積層体がカットまたはパンチされる区画は、一般に接着パッチの形状をしたものであり、また、例えば、円形、楕円形、正方形、方形、丸みのある縁部を有する方形、または他のいかなる形状であってもよい。一実施形態において、区画は、例えば環形状のパッチを形成するように、または、その開示内容を本願に引用して援用する米国特許出願公報第2004−0219195号(ハート(Hart)ら)に記載されているような、複数の小さな貫通孔を有するパッチを形成するように、間隙または孔を有してもよい。これらの区画は、たとえば、接着性積層体がその厚さすべてにわたってカットされるように、ただしウェブはその厚さすべてにわたってカットされないように、深さを制御したパンチを接着性積層体に行うことによって作製することができる。したがって、カットされた接着性積層体の形状は、ウェブ上の定位置で維持される。「カット」および「パンチ」という語は、そのような区画された接着性積層体をウェブ上に製造できるいかなる好適なプロセスをも含むことを意図したものである。好適な方法の例には、回転ダイまたはスチールルールダイなどを用いたダイカットと、ナイフ、刃、レーザー、またはウォータージェットを用いた、パターンまたは輪郭に沿った型押し、パンチ、およびカットとが挙げられる。
【0021】
連結点とは、接着性積層体の隣接するパッチ形状区画の間の、区画が連結している状態にある小さな領域を表す。これらは、パッチ形状区画の縁部に沿った1つ以上の点が、接着性積層体の厚さにわたって完全にカットされないように、たとえば1つ以上の刻み目をカットダイ内に用意することによって作ることができる。一実施形態において、連結点は、隣接するパッチを連結する縁部に沿った、穿孔された領域として存在してもよい。連結点に残る連結された材料は、基材および/または接着剤であってもよい。一実施形態において、1つ以上の連結点の連結される材料は、基材および接着剤であり、すなわち、カットまたはパンチされていない接着性積層体の厚さのすべてを有する小さな区画である。連結点は比較的小さいことが一般に望ましい。連結点は、典型的には2.0mm未満、しばしば1.0mm未満、ときには0.5mm未満の厚さをウェブの横断方向に有する。一実施形態において、連結点は、隣接するパッチ形状区画の縁部に沿って、横断方向に対称的に整列されている。たとえば、隣接するパッチ形状区画を連結するために用いられる1個の連結点は一般に、隣接するパッチ縁部の中央に配置され、隣接するパッチ形状区画を連結するために用いられる2つの連結点は一般に、隣接するパッチ縁部の中央の両側で等しい距離に配置され、隣接するパッチ形状区画を連結するために用いられる3つの連結点は一般に、1つの連結点を中央に、他の2つを中央点の両側で等しい距離にして配置される、などである。
【0022】
支持ロールとノーズバーとの間の間隙または間隔は、支持ロールとノーズバーとの間の最も接近した距離として定義される。この間隔は変動してもよいが、一般には、接着性積層体の支持されない長い部分が生じるのを回避するように選択される。一実施形態において、その間隔は、パッチ形状区画の縦方向寸法に対して選択され、また、パッチ形状区画の縦方向寸法の0.5倍未満、しばしば0.2倍未満、ときには0.1倍未満であってもよい。一実施形態において、その間隔は、パッチ形状区画の縦方向寸法の0.01倍超、ときには0.05倍超であってもよい。
【0023】
図4Bは、第2のウェブ235に沿って第2のウェブ235の運動方向(Bと記された矢印で示す)に前進されている接着性積層体245を示す。この前進は、第1のウェブ215と第2のウェブ235の双方を、それぞれ、AおよびBと記された矢印の方向に適切な距離だけ移動させることによって得られる。一実施形態において、第1のウェブ215および第2のウェブ235は、プロセスのこの部分の間、実質的に同じ速度で移動される。図4Cは、接着性積層体245から分離されかつ第2のウェブ235に沿って前進されているパッチ形状区画265を示す。この分離および前進は、たとえば、第2のウェブ235の運動を継続する一方で第1のウェブ215の運動をしばらく停止することによって得ることができる。パッチ形状区画265は、第2のウェブ235に接着されているため、接着性積層体245の残りから引っ張られ分離される。しかしながら、第1のウェブ215と第2のウェブ235との間に運動の差速をもたらすことによって同じ結果を得ることができるため、第1のウェブ215の運動を停止する必要はない。具体的には、第1のウェブ215が第2のウェブ235よりも低速で前進する場合、パッチ形状区画265は、接着性積層体245の残りから引っ張られ、それによって、連結点255を切断する力が加えられる。一実施形態において、第2のウェブは、ノーズバーの上で連続的な運動で(すなわち停止することなく)、より好ましくは実質的に一定の速度で前進される。一実施形態において、第1のウェブは一定の速度で前進され、第2のウェブは、パッチ形状区画を分離するために、断続的に加速および減速される。第2のウェブは、概ね階段状の方式で加速されてもよく、すなわち、第1のウェブより速い速度に急激に加速されて迅速に分離を発生させる。分離の後、第2のウェブは、パッチ形状区画の所望の間隔が第2のウェブ上に得られるように、所与の期間にわたってより速い速度に維持されてもよい。たとえば、第2のウェブは、所与の期間にわたって、均一でより速い速度に維持され、次いで、第1のウェブと実質的に同じ速度へと階段状の方式で減速されてもよい。別の実施形態において、第2のウェブは、パッチ形状区画の所望の間隔を第2のウェブ上にもたらすような方式で、第1のウェブの速度と一致するように徐々に減速されてもよい。
【0024】
あるいは、第2のウェブは一定の速度に維持されてもよく、また、第1のウェブは、パッチ形状区画を分離するために、断続的に加速および減速される。
【0025】
より概括的には、分離は、第2のウェブを第1のウェブに対して加速することによって促進される。理解されたいこととして、この相対的な加速は、上述した組み合わせを含めて、ただし他のいかなる速度の組み合わせをも含めて、第1および第2のウェブの様々な組み合わせによって達成することができる。たとえば、両方のウェブが、2つのウェブの間の所望の相対運動をもたらし続ける一方で、絶えず変化する速度の所定パターンで動作してもよい。
【0026】
一実施形態において、2つのウェブは、パッチ形状区画が第1のウェブから第2のウェブに移送される間、実質的に同じ速度で移動される。「実質的に同じ速度」という語は、2つのウェブ間の速度のわずかな変動および差異が、2つのウェブの速度が同一であるプロセスと比較しても、プロセスの何らかの変化をもたらさない限り、それらのわずかな変動および差異をも包含するものと理解されるべきである。たとえば、このように速度を一致させるのは、パッチ形状区画が両方のウェブに接触している間、そのパッチ形状区画の不可逆性の変形を生じ得るいかなる延伸力および引張り力をも最小にすることを意図したものである。理論に束縛されるものではないが、間隙にまたがるパッチ形状区画は、第2のウェブ上のパッチ形状区画が分離される(すなわち、区画の前縁が第2のウェブの上へと滑り落ち、一方でその前方のパッチ形状区画が分離される)間、第1のウェブと接触している区画の部分の接着性によって定位置に保持される。図2に示すような任意選択によるアイロニングロール170が、分離される前の先行するパッチ形状区画と接触するように、配置されてもよい。これによって、パッチ形状区画と第2のウェブとの間の接着力を分離の前に増加し、それによって、先行する区画を接着性積層体の残りから分離するのを容易にすることができる。
【0027】
図5は、上述のプロセスを繰り返して第2のパッチまたは区画365が接着性積層体245から分離された結果を示す。2つのウェブの運動の相対速度を調整することによって、第2のウェブ上のパッチ形状区画365、265の間隔は、所望のいかなる距離にも調整することができる。離間した区画同士の間の距離は、ウェブ速度の適切な調整によって、所望のいかなる構成においても、一定に保持するかまたは変動させることができる。このプロセスは、任意の複数回繰り返されてもよい。結果として生じた、離間したパッチを有するウェブは、後に使用するために、たとえば大きなロールに巻き付けることによって保管されてもよく、また、さらに変形されて直接個々の接着パッチにされてもよい。図6に示すように、第2のウェブ235はカットまたはパンチされて、薬物送達デバイス605を切り離しており、その薬物送達デバイス605は、剥離ライナー675に接着された接着パッチ665で構成されている。図示のように、剥離ライナー675は、接着パッチよりも面積が大きく、すなわち拡大ライナーとなっている。さらに、図7は前述の工程を繰り返した結果を示す。
【0028】
図8および9は、一実施形態における接着性積層体の配置を示し、その配置は、接着性積層体の接着された連続層を有する第1のウェブで開始し、第2のウェブ上に離間した配列で接着された個々のパッチで終了している。図8は、接着性積層体を備える入側ウェブ800を示し、その接着性積層体は、剥離面を有する第1のウェブに接着されている。接着性積層体は、カットまたはパンチされたパッチ形状区画810を備えており、そのパッチ形状区画810は、接着性積層体の隣接する区画をウェブの長手方向に互いに連結する1つ以上の連結点820を有している。図示のように、接着性積層体およびウェブは、線825に沿って4つの個々のリボン830へとカットされており、そのリボン830はさらに加工されてもよい。個々のリボンの数は変更されてもよく、また典型的には1本と10本の間となるが、このプロセスは、いかなる数の個々のリボンにも等しく適用することができる。
【0029】
図9は、第1のウェブ902に接着された接着性積層体で構成される材料の1個のリボン900を示す。接着性積層体は、パッチ形状区画905へとカットされており、そのパッチ形状区画905はここでは、丸みのあるコーナーを有する方形の区画として示されている。これらのパッチ形状区画905は、ウェブの長手方向(矢印Cで示す)に1つ以上の連結点915によって連結されている。この入側リボン900は、前述した第1の支持構造(ここでは図示せず)によって支持されている。パッチ形状区画905は、第2のウェブ935に移送されるが、その第2のウェブは、前述した第2の支持構造(ここでは図示せず)によって支持されている。2つのウェブの運動の相対速度は、1つ以上の連結点915が切断され、かつ移送されたパッチ925が離間された配置であるように調整される。残りの接着性積層体材料(または不要材料)945は、支持ローラーから除去されるとき第1のウェブと共に残り、また、必要に応じて再利用または処分されてもよい。
【0030】
別の実施形態を図10および11に示すが、ここでリボン830は、接着性積層体と第1のウェブ800の双方を貫いて、パッチ形状区画810の外縁部に沿ってダイカットすることによって作製される。入側ウェブ800は、隣接するパッチを連結する横断線に沿ってカットされないが、接着性積層体は、1つ以上の連結点820を除いて、隣接するパッチを連結する横断線に沿ってカットされる。リボン間にある、接着性積層体および入側ウェブのストランドは除去され、また、必要に応じて再利用または処分されてもよい。次いで、個々のリボン900が、パッチ形状区画905を第2のウェブ935に移動させることによって、また、前述したように、隣接するパッチ925を分離し離間することによって、さらに変形される。第1のウェブ902は除去されるが、必要に応じて再利用または処分されてもよい。丸みのあるコーナーを有する方形パッチ形状区画の寸法および間隔は、図12に示すように、パッチ長さ952と、パッチ幅954と、コーナー半径956または他の好適な曲率と、連結点間隔958、960と、隣接するリボン間のレーン間隔962とを特徴としてもよい。
【0031】
さらなる別の実施形態を図13および14に示す。パッチ形状区画が、ウェブの長手方向にパッチ形状区画と接触するだけでなく、ウェブの横断方向にもパッチ形状区画と接触する(すなわち、隣接するリボン内のパッチ形状区画と接触する)という点を除いて、入側ウェブ800は、図8に示す方式と類似した方式で加工される。この構成によって、パッチに変換されない接着性積層体の量が減少する。このことは、図8の実施形態で説明したように、パッチ形状区画810をダイカットし、ライナーカット線825を別個にカットすることによってなされてもよいが、パッチ形状区画810とライナーカット線825の双方を1個のダイでダイカットすることによって、より好都合に達成される。パッチ形状区画810は、接着性積層体のみを貫いてダイカットされており、ライナーカット線825は、接着性積層体と入側ウェブ800の双方を貫いてダイカットされている。このようにして作製された個々のリボン830は、図9に示す実施形態で説明した方式と同じ方式でさらに変形することができ、それによって、図14に示すように、第2のウェブ935の上の離間されたパッチ925と、小さな連結されていない接着性積層体片を有する第1のウェブ902とが製作される。一実施形態において、回転ダイの機械加工された表面に薄いシリコンフォーム製のインサートを接着された回転ダイを使用することが好ましい。このフォームは、接着性積層体の基材へのわずかな圧力を、その基材がカットされているときに保持するが、シリコンフォームの剥離特性により、三角形形状の不要片がダイキャビティ内に蓄積することが防止される。図13では並んだ配列で示されているが、隣接するリボン内のパッチは、互いに対して千鳥状となっていてもよい。たとえば、パッチの配置は、パッチの長さの2分の1だけ互いに対して移動させて、あるリボン上の小さな三角形片が、図15に示すように、別の小さな三角形片と接触するのではなく、隣接するパッチの平坦な側部と接触するようにしてもよい。そのような配列は、たとえば、ダイカットを相対的に容易にする上で有利となることがある。
【0032】
さらなる別の実施形態を図16〜20に示す。図16に示す装置は、第1のウェブ115が第1のノーズバー180および第2のノーズバー181によって支持されていることを除き、図3に示す装置と類似している。第3のノーズバー190が、第2のウェブ135を支持するために使用されている。第1のウェブ115は、接着性積層体の区画が第2のウェブ135へ移動する点の以前で、まず第1のノーズバー180に巻き付き、その後に第2のノーズバー181に巻き付いて、S字型の経路をたどっている。この装置は、前述した方式と同じ方式で操作されてもよいが、この配置を、図17〜19に示す接着性積層体と共に使用すると有利となることがある。
【0033】
図17の接着性積層体は、図14に示す接着性積層体と類似しており、1つ以上の連結点915によって連結されたパッチ形状区画905を有する個々のリボン900を有している。パッチ形状区画905の曲線状前縁917、またはその一部分は、前記の実施形態で説明したように、接着性積層体を貫いて、ただし剥離ライナーを貫かずにダイカットされている。パッチ形状区画905の曲線状後縁916は、接着性積層体と剥離ライナーの双方を完全に貫いてカットされている。ダイカットのパターンを図18により詳細に示す。直線状の波線は、連結点915を表しており、その連結点915において、接着性積層体は、完全にではないが部分的にカットされており、したがって、隣接するパッチ形状区画同士を弱く連結することが可能となっている。曲線状の破線は、パッチ形状区画の曲線状前縁917を表しており、この曲線状前縁917において、接着性積層体は完全に貫いてカットされているが、剥離ライナーはカットされていない。実線は、パッチ形状区画の曲線状後縁916ならびにリボンの縁部を表しており、これらの縁部において、接着性積層体および剥離ライナーは、完全に貫いてカットされる。
【0034】
図17〜18のウェブが第1のノーズバー180に巻き付くと、図16に小さなタブ182として示す小さな三角形区画918は、ノーズバーから離れて延びる。その小さな三角形区画918は次いで、第2のノーズバー181によって後方に押され、したがって、ウェブは、第2のノーズバー181を回って移送点へと移るとき図19のように見える。図19に示すように、小さな三角形区画918の前端部分は、ウェブの下方に折りたたまれている。これによって、小さな三角形区画が移送の間にパッチ形状区画に接着され残り有る可能性がなくなる。このことは、接着材が非常に強力であり、したがって、小さな三角形区画が、その領域において接着性積層体を貫いて完全にカットされたにもかかわらず、移送されたパッチ形状区画に再度接着しうるという可能性が高いとき、特に好ましいものとなりうる。三角形区画をノーズバー181に対して再び折り返すと、三角形区画が定位置に押さえ付けられ、また、三角形区画が偶然に、移送されるパッチ形状区画に接着することが、完全になくならないとしても非常に生じがたくなる。図20は、図16〜19に示すウェブの斜視図を示すものであるが、どのようにして、三角形区画918が、第1のノーズバー180に巻き付くとき、ウェブの主部分から離れて折れ曲がるかを、また、どのようにして、第2のノーズバー(図示せず)が三角形区画を再び押さえ付けるかを、より分かりやすく示している。さらなる別の実施形態を図21に示す。パッチ形状区画を有する接着性積層体は、図13に関連して説明した方式と類似した方式で作製されてもよい。しかしながら、図13に示すように、基材および接着層はパッチ形状区画810へとカットされ、剥離ライナーはパッチ形状区画810の縁部にライナーカット線825を有しており、したがって、4つのパッチ形状区画810の幅を有するウェブは、4つのリボンへと(2つの縁部またはウィードストリップ(weed strips)に沿って)分離することができるが、一方、図21の実施形態において、剥離ライナーは、ウェブ全部を最終的に7つのリボンへと((2つの縁部またはウィードストリップ(weed strips)に沿って)分離することができるように離間されたライナーカット線826を有している。図20のライナーカット線826はパッチ形状区画810の縁部と接触していないので、これらのカット線は、パッチ形状区画810を形成するために作られたカット線とは独立して作ることが必要である。たとえば、ライナーカット線826が第2のライナー上に作られる一方で、接着性積層体内へのパッチ形状区画の部分的なダイカットは、第1のライナー上で実施されてもよい。次いで、接着性積層体を第2のライナーに移送させて、図21に示すような配置を得ることができる。次いでリボンは、図示のように、4つの製品リボン831と3つの廃棄リボン832とが得られるように分離されてもよい。各廃棄リボン832は、接着性積層体の小さな廃棄部分833を保持し、その廃棄部分833は次いで、好都合に取り扱うことができる。製品リボン831は、先の実施形態において説明した方式と同じ方式でさらに加工して、個々に配置されたパッチを剥離ライナー上に用意することができる。
【0035】
一実施形態において、作製される接着性積層体パッチは、薬物を含んでいてもよい。好適な経皮薬物送達用具には、米国特許第4,834,979号(ゲール(Gale))に記載のものなど、ゲル化されたまたは液体の貯蔵部、いわゆる「貯蔵部」パッチ;米国特許第6,004,578号(リー(Lee)ら)に記載のものなど、隣接する接着層によって皮膚に取り付けられるマトリックス貯蔵部を含む装置、いわゆる「マトリックス」パッチ;米国特許第6,365,178号(ベンカテーシュワラン(Venkateshwaran)ら)、米国特許第6,024,976号(ミランダ(Miranda)ら)、および米国特許第6,149,935号(チャン(Chiang)ら)に記載のものなど、感圧性接着剤貯蔵部を備える装置、いわゆる「接着剤内薬物」パッチが挙げられ、これらの特許の開示内容は、本願に引用して援用される。「貯蔵部」という語は、本明細書において、薬物を収容しかつ上述のように液体、固体、接着剤、または他のいかなる好適な形態であってもよいパッチ部分を表すために用いられている。
【0036】
デバイスが送達関係の状態にある時間の長さは典型的には、例えば12時間から14日という長時間である。ある実施形態において、貯蔵部が送達関係の状態にある時間の長さは、約1日(すなわち、毎日の投与)、約3日から4日(週2回の投与)、または約7日(毎週の投与)である。
【0037】
一実施形態において、貯蔵部は、薬効剤に加えて、他の添加剤または賦形剤を含有してもよい。そのような添加剤には、皮膚浸透助剤(すなわち、皮膚全体へのまたは皮膚内への薬物の浸透率を増加させる物質)または可溶化剤(すなわち、薬物を効果的に可溶化する物質)として薬物送達システムにおいて使用できる、製薬上許容できる材料が挙げられる。皮膚浸透助剤として使用される好適な材料には、イソステアリン酸、オクタン酸、およびオレイン酸などのC8〜C20脂肪酸;オレイルアルコールおよびラウリルアルコールなどのC8〜C20脂肪族アルコール;オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、およびラウリン酸メチルなどのC8〜C20脂肪酸の低級アルキルエステル;C6〜C8二塩基酸のアジピン酸ジイソプロピルなどのジ(低級)アルキルエステル;グリセリルモノラウレートなどのC8〜C20脂肪酸のモノグリセリド;テトラグリコール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);テトラエチレングリコール(エタノール、2,2’−(オキシビス(エチレンオキシ)ジグリコール);C6〜C8アルキルピロリドンカルボキシレート;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)−エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;N,N−ジメチルドデシルアミン−N−オキシド、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。また、ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル、ポリエチレンオキシドジメチルエーテル、グリセロール、およびN−メチルピロリドンも好適である。テルペン類は医薬賦形剤の他の有用な部類であり、このテルペン類には、ピネン、d−リモネン、カレン、テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルベオール、カルボン、プレゴン、ピペリトン、メントン、メントール、ネオメントール、チモール、カンファー、ボルネオール、シトラール、イオノン、およびシネオールが単独でまたは任意の組み合わせで含まれる。他の添加剤の例には、粘着付与剤、可塑剤、および酸化防止剤が挙げられる。
【0038】
貯蔵部に含めることができる例示的な薬効剤(「薬物」とも呼ばれる)は、皮膚に投与されると局所的または全身的な効果を生じることが可能である。一部の例には、クロニジン、エストラジオール、ニコチン、ニトログリセリン、スコポラミン、およびフェンタニールが挙げられ、これらは経皮デバイスの形態で市販されている。他の例には、ステロイド性(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン)および非ステロイド性(例えば、ナプロキセン、ピロキシカム)の双方の抗炎症薬;静菌剤(例えば、クロルヘキシジン、ヘキシルレゾルシノール);抗菌物質(例えば、ペニシリン(ペニシリンVなど)、セファロスポリン(セファレキシンなど)、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、スルファチアゾール、ニトロフラントイン、およびキノロン(ノルフロキサシン、フルメキン、およびイバフロキサシンなど));抗原虫薬(例えばメトロニダゾール);抗カビ物質(例えばナイスタチン);冠血管拡張剤;カルシウムチャネル遮断薬(例えばニフェジピン、ジルチアゼム);気管支拡張薬(例えばテオフィリン、ピルブテロール、サルメテロール、イソプロテレノール);コラゲナーゼ阻害物質、蛋白質分解酵素抑制剤、エラスターゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えばA64077)、およびアンギオテンシン変換酵素酵素阻害剤(例えばカプトプリル、リシノプリル);その他の抗高血圧症薬(例えばプロプラノロール);ロイコトリエン拮抗薬(例えばICI204,219);抗潰瘍性大腸炎剤(H2拮抗薬);ステロイドホルモン(例えばプロゲステロン、テストステロン、エストラジオール);抗ウイルス物質および/または免疫賦活剤(例えば、1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、およびアシクロビル);局所麻酔薬(例えばベンゾカイン、プロポフォール);強心薬(例えばジギタリス、ジゴキシン);鎮咳剤(例えばコデイン、デキストロメトルファン);抗ヒスタミン剤(例えばジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、テルフェナジン);麻薬性鎮痛剤(例えばモルヒネ、ブプレノルフィン);ペプチドホルモン(例えば、ヒトまたは動物の成長ホルモン、LHRH);心臓作用性の製品(例えばインスリン);酵素(例えば抗歯垢性の酵素、リゾチーム、デキストラナーゼ);制吐薬;抗痙攣薬(例えばカルバマゼピン);免疫抑制薬(例えばシクロスポリン);精神病治療薬(例えばジアゼパム);鎮静剤(例えばフェノバルビタール);抗凝血剤(例えばヘパリン);鎮痛剤(例えばアセトアミノフェン);抗偏頭痛剤(例えば、エルゴタミン、メラトニン、スマトリプタン);不整脈治療薬(例えばフレカイニド);制吐薬(例えばメトクロプラミド、オンダンセトロン);抗癌剤(例えばメトトレキサート);不安薬などの神経系の薬剤;止血剤;肥満防止剤;など、ならびに薬剤として許容される塩およびそのエステルが挙げられる。治療有効量をなす薬物の量は、当業者であれば、特定の薬物、特定の担体、および所望の治療効果を十分に考慮して容易に決定することができる。一般に、デバイスは、選択した量の薬物を皮膚を介して送達するのに好適な寸法を有するパッチの形態をとる。
【0039】
一般に、デバイスは、約1cm2を超え、ときには約5cm2を超える表面積を有する。一般に、デバイスは、約100cm2未満、ときには約40cm2未満の表面積を有する。一実施形態において、デバイスは、保管のために、箔で裏打ちされたパウチに個々にパッケージ化される。一実施形態において、デバイスは、別法として、分配装置と共に使用するのに好適な、巻かれたもしくは重ねられた形態で提供されてもよい。
【0040】
一実施形態において、剥離ライナーは、デバイスの接着部分の領域と同じ形状および寸法のものである。接着部分をライナーから取り外すのを容易にするために、1つ以上のカット線または裂け目を剥離ライナー内に有すると、望ましいことがある。
【0041】
一実施形態において、剥離ライナーは、デバイスの接着部分よりも大きな面積を有し、それによって拡大ライナーを提供する。剥離ライナーがデバイスの接着部分の余白を越えて延びる距離は、任意の好適な距離とすることができ、また多数の要因に依存していてもよく、その要因には、例えば、パッチの接着部分の寸法、利用する接着剤、基材、およびライナーの種類、ならびにパッチを使用する患者群が挙げられる。一実施形態において、剥離ライナーの面積は、デバイスの接着部分の面積の約10倍以下、ときに約2.5倍以下、しばしば1.5倍以下であってもよい。ライナーが延びる距離は、パッチの周辺部の周りで均一であってもよく、また、たとえば、より小さな円形パッチを方形形状の拡大ライナー上に用意することによって、変動してもよい。
【実施例】
【0042】
拡大ライナーを有する経皮パッチを、以下のようにして作製した。剥離ライナー上の、フェンタニールを含有する接着性積層体を、米国特許出願公報第2002/0119187A1(カンター(Cantor)ら)の実施例12の一般的手順に従って作製した。接着剤内薬物層を、約5.72cm(2.25インチ)の幅で、127μm(5.0ミル)厚の第1のシリコーン剥離コーティングされたポリエステルウェブにコーティングし、約63.5μm(2.5ミル)の厚さへとオーブン乾燥し、ポリエチレンテレフタラート(PET)/エチレンビニルアセテートの51μm(2.0ミル)厚の積層フィルム(ミネソタ州セントポールのスリーエム(3M)社のScotchpak(商標)9732)へと積層して、シリコーンコーティングされたウェブ上に接着性積層体を作製し、巻いてロールストックにした。
【0043】
シリコーンコーティングされたウェブ上の接着性積層体を、図2、10、11、および12に示す一般的なプロセスに従って変形した。接着性積層体をダイカットして、パッチ形状区画の2つの製品リボンとしたが、そのパッチ形状区画は、各リボン内の隣接するパッチを連結する連結点を有するものであった。材料の残る3つのストランド(1つの中央ストランドと2つのロールストック縁部)は、差動巻取り機を使用してスプールに巻き付け廃棄した。各リボンのパッチ形状区画は、2.05cm(0.806インチ)の幅954、2.86cm(1.125インチ)の長さ952、および0.635cm(0.250インチ)の半径956を有していた。711cm(0.280インチ)および1.34cm(0.526インチ)の2つの連結点間隔958、960を有していた。各連結点は、約406μm(16ミル)幅であった。2つのリボンの間のレーン間隔962は、0.315cm(0.124インチ)であった。
【0044】
2つのリボンを、ウェブ交差(または横断)方向に3.444cm(1.356インチ)の中心間距離に、リボンガイドを使用して互いから、後の第2のウェブ上への配置に備えた。リボンは、図2に示すように、ノーズバー155の上で引張られ、接着性積層体のパッチ形状区画は、支持ロール160によって支持される127μm(5ミル)厚の、第2のシリコーンコーティングされたポリエステルウェブへ移送された。ノーズバーと支持ロールとの間の最も接近する間隔は約1020μm(40ミル)であり、引取り角度は約37度であった。パッチが長手方向に離間されている間にノーズバーの上に懸かる接着性積層体の長さは、約0.5cm(0.2インチ)であった。第2のウェブは連続的な速度で前進され、第1のウェブは断続的な運動で移動された。第1のウェブの断続的な運動は、4.128cm(1.625インチ)のダウンウェブ中心間間隔でパッチを配置するようにプログラムされていた。移送されたパッチは次いで、第2のウェブにアイロニングロール170によって完全に積層されたが、そのアイロニングロール170の後には、ゴムロールと金属ロールとからなるニップが続き、そのニップもまた、第2のウェブを引張り、第2のウェブの連続的な運動を制御していた。
【0045】
次いで、第2のウェブはカットされて、方形のライナー形状を生じたが、そのライナー形状は、3.810cm(1.500インチ)の長さおよび2.809cm(1.106インチ)の幅、ならびに1.016cm(0.400インチ)のコーナー半径を有していた。ライナーは、移送されるパッチよりも大きく、したがって、経皮投薬装置に拡大ライナーが設けられていた。移送された接着性積層体パッチは、第2のライナー内の前もって配置されたダイカット線と位置合わせされ、その結果、各最終デバイスは、ライナー全体に延びるライナー分割線を有し、パッチの取外しが容易となった。変形プロセスは、廃棄された2つの縁部を除いて、最終デバイスに変形される入側接着性積層体の約87%の歩留りを有していた。
【0046】
本発明について、そのいくつかの実施形態に関連して説明した。上記の詳細な説明および実施例は、理解を明確にするためにのみ示されたものであり、不必要な限定がそれらから解釈されるべきではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の変更が、説明した実施形態に対してなされうることが、当業者には理解されよう。したがって、本発明の範囲は、本明細書において説明した構成および構造の厳密な細部に限定されるべきではなく、むしろ、特許請求の範囲の文言によって限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ウェブ取扱い装置の概略横断面図。
【図2】ウェブ取扱い装置の概略横断面図。
【図3】ウェブ取扱い装置の概略横断面図。
【図4A】接着性積層体が第1のウェブから第2のウェブに移送される領域における、図1の詳細部分の概略横断面図。
【図4B】図4Aと同様の概略横断面図であるが、ここで、接着性積層体は図4Aよりもさらに前進されている。
【図4C】図4A〜4Bと同様の概略横断面図であるが、ここで、接着性積層体のある区画がその接着性積層体から分離されており、かつ第2のウェブ上でさらに前進されている。
【図5】図4A〜4Bと同様の概略横断面図であるが、ここで、複数のパッチが接着性積層体から分離されている。
【図6】図4A〜4Bと同様の概略横断面図であるが、ここで、完成したデバイスが第2のウェブから分離されている。
【図7】図6と同様の概略横断面図であるが、ここで、複数の完成したデバイスが第2のウェブから分離されている。
【図8】4つのリボンの概略平面図であり、その4つのリボンは、パッチの形状の部分的なカット線を有する全幅ウェブからカットされる。
【図9】図8と同様の1個のリボンの概略平面図であり、その1個のリボンから、個々のパッチが分離され、第2のウェブ上に離間される。
【図10】4つのリボンの概略平面図であり、その4つのリボンは、パッチの形状の部分的なカット線を有する全幅ウェブからカットされる。
【図11】図10と同様の1個のリボンの概略平面図であり、その1個のリボンから、個々のパッチが分離され、第2のウェブ上に離間される。
【図12】2つのリボンの詳細部分の概略平面図である。
【図13】4つのリボンの概略平面図であり、その4つのリボンは、パッチの形状の部分的なカット線を有する全幅ウェブからカットされる。
【図14】図13と同様の1個のリボンの概略平面図であり、その1個のリボンから、個々のパッチが分離され、第2のウェブ上に離間される。
【図15】4つのリボンの概略平面図であり、その4つのリボンは、パッチの形状の部分的なカット線を有する全幅ウェブからカットされる。
【図16】ウェブ取扱い装置の概略横断面図。
【図17】パッチの1個のリボンの概略平面図。
【図18】図16のリボンの詳細部分の概略平面図。
【図19】移送工程の直前の図16のリボンの詳細部分の概略平面図。
【図20】三角形区画がウェブから離れて折られるときの、図17〜19のリボンの一部分の斜視図。
【図21】本発明の別の実施形態の概略平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性積層体を取り扱う方法であって、
第1のウェブに剥離可能に接着された接着性積層体であって、複数のカットまたはパンチされた区画を備え、隣接する該区画が1つ以上の連結点を介して前記ウェブの長手方向へ互いに結合された状態にある接着性積層体を用意することと、
第1の支持構造を用意することと、
前記第1のウェブを前記第1の支持構造の上で導引することと、
第2の支持構造を前記第1の支持構造に隣接させて用意することと、
剥離面を有する第2のウェブを用意することと、
前記第2のウェブの前記剥離面が前記第1の支持構造に対面するように前記第2のウェブを方向付けして、前記第2のウェブを前記第2の支持構造の上で導引することと、
接着性積層体の第1の区画の前端部分を前記第1のウェブから前記第2のウェブの前記剥離面に取り付けることと、
前記接着性積層体の前記第1の区画が接着性積層体の第2の区画から分離されるとともに、接着性積層体の該第2の区画の前縁が前記接着性積層体の前記第1の区画の後縁から離間した配置で前記第2のウェブに接着されるように、前記第2のウェブを前進させることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の支持構造はノーズバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の支持構造は支持ロールである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の支持構造はノーズバーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の支持構造は支持ロールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の支持構造と前記第2の支持構造との間の間隙は、前記接着性積層体のカットまたはパンチされた1個の区画の長さ以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記前進させる工程が繰り返され、それによって、前記第2のウェブに接着された接着性積層体の複数の離間した区画が形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
接着性積層体を取り扱う方法であって、
第1のウェブに剥離可能に接着された接着性積層体であって、複数のカットまたはパンチされた区画を備え、隣接する該区画が1つ以上の連結点を介して前記ウェブの長手方向へ互いに結合された状態にある接着性積層体を用意することと、
接着性積層体の第1の区画と接着性積層体の隣接する第2の区画の一部分とを、第2のウェブに移送することと、
前記第2のウェブを前記第1のウェブに対して加速させ、それによって前記第1の区画を前記第2の区画から分離することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記加速させる工程が繰り返され、それによって、前記第2のウェブに接着された接着性積層体の離間した区画が形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
接着性積層体が薬物を備えている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のウェブと前記第2のウェブとの一方は、連続的な運動で移動する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のウェブと前記第2のウェブとの一方または双方は、断続的な運動で移動する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のウェブは、前記接着性積層体の前記第1の区画を接着性積層体の前記第2の区画から分離する工程の間、前記第1のウェブよりも速い速度で前進させられる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2のウェブは、前記第2のウェブを前記第1のウェブに対して加速する工程の前に、実質的に同じ速度で移動する、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のウェブの速度は、前記第2のウェブを前記第1のウェブに対して加速するために減じられる、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
接着性積層体の前記カットまたはパンチされた区画は、接着パッチの形状を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のウェブは、接着性積層体の前記第2の区画から分離される工程の前に、前記第2のウェブに実質的完全に接着される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のウェブを接着性積層体の任意区画の周りでカットまたはパンチし、それによって、拡大ライナーを有する接着パッチを形成する工程をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
接着性積層体の前記カットまたはパンチされたパッチ形状区画の間の薬物含有不要部は、接着性積層体の前記パッチ形状区画が前記第2のウェブに移送されるときに、前記第1のウェブ上に残存する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記連結点は約1.0mm未満の厚さを有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20の方法のいずれか一つによって作製された経皮投薬装置。
【請求項22】
請求項1〜20の方法のいずれか一つによって作製された接着パッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2008−543768(P2008−543768A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515930(P2008−515930)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/022340
【国際公開番号】WO2006/135696
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】