説明

描画装置

【課題】チタニウム板の表面に高精度で描画できる描画装置を提供する。
【解決手段】チタニウム板Tiの表面に電解液を付着させるペン2と、ペン2の先端がチタニウム板Tiの表面に密着した状態でペン2をチタニウム板に対してX方向およびY方向に相対移動させるベルト機構6および載置台移動機構12と、電解液をペン2に供給するペン軸部と、ペン2内部の電解液とチタニウム板Tiとの間に交番電流を印加する交流電源8と、を備える描画装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画装置にかかり、特に、チタニウム板への正確な描画が可能な描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チタニウムまたはその合金の陽極酸化法としては、たとえば、陽極酸化処理に使用する電解浴として炭酸塩およびハロゲン化物を含有し、陽極酸化処理時にその電極側に火花放電を発生せしめてチタニウムまたはその合金の表面に結晶性酸化皮膜を形成する方法がある(特許文献1)。
【0003】
チタニウムまたはその合金の陽極酸化法としては、また、電解処理時に通電波形として断続波形を用い、火花放電電圧以上の電圧で電解処理する方法がある(特許文献2)。
【0004】
更に、表面に形成された酸化物層が一方向にのみ電流を通すチタニウムのようなバルブ金属の表面に陽極酸化皮膜を形成する方法であって、低電流密度で陽極酸化を行う第1陽極酸化工程と、高電流密度で陽極酸化を行う第2陽極酸化工程とを備えているものがある(特許文献3)。
【0005】
これらの陽極酸化処理方法は、何れも電解槽内でチタニウム又はその合金を陽極酸化処理するものであるが、近年、電解槽が不要な陽極酸化処理方法として、電解液を含浸させたブラシや筆と、模様を描こうとするチタニウム板との間に交番電流を印加し、前記ブラシや筆でチタニウム板の表面に模様を描く描画方法が提案されている。
【特許文献1】特開昭61−276996号公報
【特許文献2】特開平04−107294号公報
【特許文献3】特開2005−320623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、只単に前記ブラシや筆でチタニウム板の表面に模様を描くのでは、正確な描画は殆ど不可能である。また、交番電流を印加したブラシや筆を直接把持して描画するのでは感電の危険がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、チタニウム板の表面に高精度で描画でき、また、感電の危険もない描画装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、チタニウムまたはその合金の板材であるチタニウム板の表面に電解液を付着させるペンと、前記ペンの先端が前記チタニウム板の表面に密着した状態で前記ペンを前記チタニウム板に対して第1の方向および前記第1の方向に対して交差する第2の方向に相対移動させるペン移動手段と、前記電解液をペンに供給する電解液供給手段と、前記ペン内部の電解液と前記チタニウム板との間に電流を印加する電流印加手段と、を備える描画装置に関する。
【0009】
前記描画装置においては、前記ペンの先端を、文字や各種図形などの画像を描画しようとするチタニウム板に密着させつつ、前記電解液供給手段によって前記ペンに電解液を供給しながら前記電流印加手段で前記ペン内の電解液とチタニウム板との間に交番電流または直流電流を印加し、この状態でペン移動手段によって前記ペンを第1の方向と第2の方向との何れかまたは両方に沿って移動させることにより、前記チタニウム板の表面において、前記ペンが移動した軌跡に対応する領域が陽極酸化反応する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の描画装置において、前記ペンが、内部に電解液が収容されるペン軸部と、前記ペン軸部の先端に装着されるとともに、前記ペン軸部の内腔に連通する開口を先端に有し、加硫ゴム、熱可塑性エラストマ、および軟質樹脂からなる群から選択された軟質材料から形成され、前記開口の周縁がエッジ状とされているペン先部と、を有するものに関する。
【0011】
前記描画装置においては、チタニウム板上でペンを移動させると、ペン軸部に収容されている電解液がチタニウム板に少量付着するが、ペン先部の開口の周縁がエッジとされているため、チタニウム板におけるペン先が接触している部分よりも外側は、ペン先が接触している部分に対して電気的に絶縁される。したがって、ペン先の内側における電解液が接触している部分のみが発色するので滲みの無い線が描ける。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の描画装置において、前記ペン先部の内腔が、円筒面または先端に向かって縮小する縮小面であるものに関する。
【0013】
前記描画装置においては、チタニウム板における電解液が接触している部分において電解反応が生起し、その結果気泡が発生し、ペン軸部の内壁に吸着される。しかしながら、ペン先部の内腔が、円筒面または先端に向かって縮小する縮小面である故に、ペン先部の内腔が、先端に向かって拡大する拡大面であるものと比較してペン軸部の内径を大きく取ることができるから、ペン軸部の内壁に吸着された気泡によって電流の流れが阻害されることが効果的に抑止される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の描画装置において、前記ペンにおけるペン軸部が電解液供給手段としての電解液貯留部であるものに関する。
【0015】
前記描画装置においては、ペンにおけるペン先部をチタニウム板に押圧しつつ、前記第1の方向と第2の方向との何れかまたは両方に沿って移動させることにより、ペン軸部内部の電解液がチタニウム板表面に向かって流出してチタニウム板表面に付着し、次いで電解液が付着した領域が陽極酸化処理されて前記チタニウム板の表面に画像が形成される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか1項に記載の描画装置において、前記ペンのペン先部をチタニウム板に押圧すると開成し、前記ペン先部への押圧力が除去されると閉止する出口弁が前記ペン軸部の内部に設けられているものに関する。
【0017】
前記描画装置においては、ペンのペン先部をチタニウム板に押圧するとペン軸部内部の出口弁が開成し、ペンを移動させることにより、電解液が流出してチタニウム板に付着する。一方、ペン先部への押圧力を除去すると前記出口弁が閉止し、電解液の流出が停止する。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の描画装置において、電解液に交番電流を印加する交番電流印加手段としての交番電流印加電極がペン軸部内部に設けられているものに関する。
【0019】
前記描画装置においては、チタニウム板と前記交番電流印加電極とを交流電源に接続し、交番電流を印加することにより、電解液に交番電流が印加される。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の描画装置において、前記ペン軸部が金属性材料から形成され、交番電流が印加されるものに関する。
【0021】
前記描画装置においては、ペン軸部そのものが交番電流印加電極として機能する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、ペンが移動すると同時にチタニウム板における電解液が付着した領域が陽極酸化されて画像が形成されるから、チタニウム板の表面に高精度で描画でき、また、ペンを直接把持する必要がないから感電の危険もない描画装置が提供される。
【0023】
請求項2の発明によれば、画像の滲みが効果的に防止できる描画装置が提供される。
【0024】
請求項3の発明によれば、長時間の描画においても陽極酸化処理で生じた気泡による電流の流れの阻害が生じて画像が途切れることが効果的に抑止できる描画装置が提供される。
【0025】
請求項4の発明によれば、ペンとは別に電解液貯留部を設ける必要がないから、ペンとは別に電解液貯留部を設けた形態の描画装置に比較して構成の単純な描画装置が提供される。
【0026】
請求項5の発明によれば、ペンの先端をチタニウム板から離したときの電解液の流出が防止できる描画装置が提供される。
【0027】
請求項6の発明によれば、ペン軸部の材質としてアクリル樹脂などの透明絶縁性材料を使用できるから、画像形成中にペンに触れても感電の危険がなく、安全性の高い描画装置が提供される。
【0028】
請求項7の発明によれば、ペン軸部とは別に交番電流印加電極を設ける必要がないから、請求項6の発明に比較して構成が簡略化された描画装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施形態1に係る描画装置の一例について構成を示す平面図および正面図である。
【図2】図2は、図1に示す描画装置の備えるペンの一例を示す側面図および前記ペンの軸線に沿って切断した断面を示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示す描画装置の備えるペンの別の例について軸線に沿って切断した断面を示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示す描画装置の備えるペンの更に別の例について軸線に沿って切断した断面を示す断面図である。
【図5】図5は、図1に示す描画装置においてペンおよびチタニウム板に印加される交番電流の波形の一例を示す波形図である。
【図6】図6は、図1に示す描画装置において文字「山」を描くところを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.実施形態1
【0031】
以下、本発明に係る描画装置の一例について説明する。
【0032】
図1において(A)に平面図を、(B)に正面図を示すように、実施形態1に係る描画装置1は、内部に電解液が貯留されたペン2と、ペン2を垂直に保持するペン保持部材4と、ペン保持部材4を図1におけるX方向に移動させるベルト機構6と、ペン2で描画しようとするチタニウム板Tiが載置され、X方向に対して直交するY方向に移動可能な載置台10と、載置台10をY方向に移動させる載置台移動機構12と、ベルト機構6が支持されている垂直部14Aと載置台移動機構12が装着されている水平部14Bとを有する基台14と、載置台上のチタニウム板Tiとペン2の内部において頂部から下端部に向かって延在する棒状電極26に交番電流を印加する交流電源8とを備える。ベルト機構6、および載置台移動機構12は本発明におけるペン移動手段に相当し、交流電源8および棒状電極26は本発明における交番電流印加手段に相当する。また、X方向およびY方向は夫々本発明における第1の方向および第2の方向に相当する。
【0033】
ペン2は、図2の(A)に側面図を、(B)に長手方向に沿った断面図を示すように、全体として略円筒状であって内部に電解液が収容されるペン軸部22と、ペン軸部22の下端に嵌装されたペン先部24と、ペン軸部22の内部に設けられ、ペン2の上端から下端に向かって延在する棒状電極26とを備える。
【0034】
ペン軸部22は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透明樹脂、および各種ガラスや石英などの無機透明材料から形成される。但し、ペン軸部22を金属性材料から形成し、交流電源装置16に直接接続すれば、ペン軸部22そのものを交番電流印加電極として機能させることができるから、棒状電極26を省略できる。
【0035】
ペン先部24は、図2の(B)に示すように、先端開口に向かって縮小する外面が外側に膨出した凸面状の回転体であって、先端には開口24A(先端開口)が設けられている。開口24Aの周縁24Bはエッジ状に形成されているが、曲率半径が1mm以下であれば必ずしもエッジ状でなくてもよい。ペン先部24の内腔24Cは、円筒面とされている。
【0036】
ペン先部24は、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体などの加硫ゴム、ポリオレフィン系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、ポリウレタン系エラストマなどの熱可塑性エラストマ、軟質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などの軟質樹脂を包含する軟質材料から形成される。
【0037】
ペン先部24は、図3に示すように、内腔24Cの壁面が先端に向かって縮小するとともに、外側に向かって膨出する凹面状であってもよい。
【0038】
ペン軸部22の先端部には図4に示すように出口弁28を設けることができる。出口弁28は、下方に向かって縮小する円錐状の弁体28Aと、弁体28Aから下方に延在し、先端が球体28Cとされている探針28Bと、弁体28Aを上下方向に案内する案内部28Dおよび28Eと、案内部28Dおよび28Eのうち上方に位置する案内部28Dと弁体28Aとの間に介装され、弁体28Aを下方に付勢する付勢バネ28Fとを備える。案内部28Dおよび28Eのうち下方に位置する案内部28Eの上面は、弁体28Aの円錐面が当接すると弁体28Aと協働して流路を閉止するように形成されている。なお、探針28Bは、ペン2がチタニウム板Tiから離れると球体28Cがペン先部24の開口24Aから突出するように長さが設定されている。
【0039】
ベルト機構6は、図1の(A)および(B)に示すように、ベルト6Aと、ベルト6Aが張架されるローラ6B、6Cと、ローラ6Bを回転駆動するモータ6Dとを備える。ローラ6B、6Cは基台14における垂直部14Aに軸支され、モータ6Dは垂直部14Aに固定されている。ペン保持部材4には固定ブロック4Aが設けられ、ベルト6Aは、1箇所において固定ブロック4Aに固定されている。
【0040】
載置台移動機構12は、図1の(A)および(B)に示すように、載置台10がY方向に移動可能に嵌装されるガイド部12Aと、ガイド部12Aに嵌装された載置台10をY方向に移動させるボール螺子12Bと、ボール螺子12Bを回転させるモータ12Cとを備える。
【0041】
描画装置1で画像を描画できるチタニウム板Tiとしては、純チタニウムの板材およびシート材のほか、各種チタニウム合金の板材およびシート材が挙げられる。
【0042】
交流電源8で発生させる交番電流としては、通常の正弦波電流のほか、矩形波電流、および台形波電流も挙げられる。更に、正弦波電流、矩形は電流、または台形波電流に直流を重畳したものも前記交番電流に包含される。但し、正弦波電流、矩形は電流、または台形波電流に直流を重畳する場合には、図5に示すようにチタニウム板Tiが正になる時間が負になる時間よりも長くなるように直流電圧を設定することが好ましい。交流電源8としては、スライダック(登録商標)のほか、各種スイッチング素子を用いた変換回路などの可変電圧電源が好ましい。なお、チタニウム板Tiと棒状電極26とに印加する電流は直流であってもよいが、このときはチタニウム板Tiに正の電圧が印加されるようにする。また、電源としては、交流電源8に代えて電圧が可変できる直流電源を使用する。
【0043】
また、ペン2で使用される電解液としては、交流電流を印加する場合は燐酸・過酸化水素1重量%水溶液が一般的であり、直流電流を印加するときは燐酸水素ナトリウム水溶液などが一般的であるが、交番電流や直流電流を印加したときに有毒ガスが生じないようなものであれば、どのような電解液も使用される。
【0044】
以下、描画装置1の作用について説明する。
【0045】
先ず、ペン2の先端をチタニウム板Tiに押圧する。そして、ペン軸部22に電解液を注入し、チタニウム板Tiと棒状電極26とを交流電源8に接続する。この時点では交流電源8はoffとしておく。次いでベルト機構6および載置台移動機構12を起動してペン2のX方向およびY方向への移動を開始し、交流電源8をonにしてペン軸部22内部の電解液とチタニウム板Tiとへの交番電流の印加を開始する。
【0046】
ペン先部24は、上述のように開口24Aの周縁24Bがエッジ状に形成され、しかも内腔24Cの壁面が円筒面上、または先端に向かって縮小し、且つ外側に向かって膨出する凹面状に形成されているから、チタニウム板Tiにおける開口24Aが当接する部分の外側の領域は、開口24Aの接する部分の内側の領域から電気的に絶縁される。したがって、付着領域からの滲み出しも生じない。したがって、開口24Aの周縁24Bの外側で陽極酸化反応が生起して画像が滲むことが抑止される。
【0047】
一方、開口24Aの内側の領域では陽極酸化反応により発生した水素の気泡がペン軸部22の内壁に付着するが、ペン軸部22の内径を大きくとれば、付着した気泡が電流の流れを阻害し、画像が途中で途切れることが抑止される。また、電解液として燐酸・過酸化水素1重量%水溶液のように過酸化水素のような消泡剤を配合したものを使用すれば、発生した水素は消泡剤と反応して水になるから、気泡の発生が防止される。また、描画精度に影響を与えない程度にペン先部24を加振したり、ペン軸部22およびペン先部24の材質として気泡の付着しないものを選択したり、ペン軸部22の内壁面およびペン先部24の内腔24Cに気泡が付着しにくいようなコーティングを施したりすることによっても、ペン軸部22の内壁やペン先部24の内腔24Cに気泡が付着するのを防止することができる。
【0048】
描画装置1でチタニウム板Tiにたとえば文字「山」を描くときは、たとえば、図6に示すように、ペン2をベルト機構6によってX軸方向に往復動させつつ、載置台移動機構12によって図6における上方から下方に向かってY軸方向に移動させるとともに、ペン2が文字「山」の縦棒および横棒の占める領域を通過するときのみ交流電源8をonにしてペン2とチタニウム板Tiとに交番電流を印加することにより、チタニウム板Tiに文字「山」を描くことができる。なお、図6において黒色に塗りつぶされた領域は既に文字が描かれた領域を、二点鎖線で囲まれた領域はこれから文字を描く領域を示す。
【0049】
このように、描画装置1においてはコンピュータからの入力にしたがってベルト機構6および載置台移動機構12を駆動しつつ、ペン2によってチタニウム板Tiに所定のパターンで電解液を付着させることにより、チタニウム板の表面に所定の画像を自動的に高精度で描画でき、また、オペレータがペン2を直接握る必要がないから、感電の危険もない。
【0050】
なお、本実施形態においては、ペン2のX方向の移動はペン保持部材4をベルト機構6で移動させることにより行い、Y方向の移動は、チタニウム板Tiを載置した載置台10を載置台移動機構12によって移動することにより行うが、ペン2をX方向およびY方向に移動させる機構は上記機構には限定されない。
【符号の説明】
【0051】
1 描画装置
2 ペン
4 ペン保持部材
4A 固定ブロック
6 ベルト機構
6A ベルト
6B ローラ
6C ローラ
6D モータ
8 交流電源
10 載置台
12 載置台移動機構
12A ガイド部
12B ボール螺子
12C モータ
14 基台
14A 垂直部
14B 水平部
16 交流電源装置
22 ペン軸部
24 ペン先部
24A 開口
24B 周縁
24C 内腔
26 交番電流印加電極
28 出口弁
28A 弁体
28B 探針
28C 球体
28D 案内部
28E 案内部
28F 付勢バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタニウムまたはその合金の板材であるチタニウム板の表面に電解液を付着させるペンと、
前記ペンの先端が前記チタニウム板の表面に密着した状態で前記ペンを前記チタニウム板に対して第1の方向および前記第1の方向に対して交差する第2の方向に相対移動させるペン移動手段と、
前記電解液をペンに供給する電解液供給手段と、
前記ペン内部の電解液と前記チタニウム板との間に電流を印加する電流印加手段と、
を備える描画装置。
【請求項2】
前記ペンは、内部に電解液が収容されるペン軸部と、前記ペン軸部の先端に装着されるとともに、前記ペン軸部の内腔に連通する開口を先端に有し、加硫ゴム、熱可塑性エラストマ、および軟質樹脂からなる群から選択された軟質材料から形成され、前記開口の周縁がエッジ状とされているペン先部と、を有する請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記ペン先部の内腔は、円筒面または先端に向かって縮小する縮小面である請求項2に記載の描画装置。
【請求項4】
前記ペンにおけるペン軸部は、電解液供給手段としての電解液貯留部である請求項2または3に記載の描画装置。
【請求項5】
前記ペンのペン先部をチタニウム板に押圧すると開き、前記ペン先部への押圧力が除去されると閉じる出口弁が前記ペン軸部の内部に設けられている請求項2〜4の何れか1項に記載の描画装置。
【請求項6】
電解液に交番電流を印加する交番電流印加手段としての交番電流印加電極がペン軸部内部に設けられている請求項1〜5の何れか1項に記載の描画装置。
【請求項7】
前記ペン軸部は金属性材料から形成され、交番電流が印加される請求項1〜5の何れか1項に記載の描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−185111(P2010−185111A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30261(P2009−30261)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)