説明

提げ手部材の取付構造及び手提げバッグ

【課題】分離前は1つの、分離後は一対の提げ手として扱える提げ手部材の取付構造及び手提げバッグにつき、提げ手部品の管理及び相互接合のためのコストの低減を図ると共に、使い勝手や見栄えを向上する。
【解決手段】展開形状が帯状で、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線上の、中央部分を除く箇所に切込みが、必要ならば切込み間に分離用ミシン目2cが形成された提げ手部材2を備える。上記直線部分を底として溝状に形成された状態で、上記直線で区切られてなる一対の細帯状提げ手片2dの各一対の端部2eが、袋体開口端部1aの一対の対向辺1bに各別に接合されて、提げ手部材2が袋体1に取り付けられた手提げバッグ10を得る。提げ手部材2は単一部品であり、一対の細帯状提げ手片2dは、分離前、対称になっていて、上記切込み相互間を破断するだけで分離可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量が小さい割には嵩の張る物品の包装に好適な袋体に提げ手部材を取り付ける提げ手部材の取付構造、及び上記物品の包装、持ち運び等に好適な手提げバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、重量が小さい割には嵩の張る紙おむつ等の商品の包装用袋として、合成樹脂フィルム等からなる袋本体の上縁内面に、袋本体と同様の合成樹脂製フィルム等からなる帯状の一対の提げ手が、別個独立に取り付けられた包装用袋が知られている。
紙おむつのような嵩張る商品は、売価の割には保管や輸送に占めるスペースが大きくなるため、多数個の商品を一纏めに圧縮して嵩を低くした状態で包装用袋に詰めて販売するようにして省スペース化を図っている。
【0003】
圧縮状態の商品を包装した袋は、更に段ボール箱に複数個詰め込んで輸送、保管されるが、その間、段ボール箱から商品を取り出す際、一対の提げ手を一纏めに掴んで包装用袋を引っ張り出すとは限らず、片方の提げ手のみを掴んで引っ張り出すこともある。
このため、提げ手が袋本体から切れたり、提げ手と袋本体との接合が剥がれたりして、商品購入者の持ち運びに支障を来たすことがある。そこで、提げ手や袋本体の強度、あるいは提げ手と袋本体との接合強度を上げることが考えられるが、これではコストが上昇する。
【0004】
また、この種の商品が詰め込まれた包装用袋を多数個積み上げた状態で、展示、販売することがある。このような場合、商品購入者側から見て個々の提げ手が乱雑に露出して見苦しくなることが多く、また、乱雑に露出した提げ手が何かに引っ掛かって商品の積み上げ状態を崩す虞もある。
【0005】
そこで、分離させない限りは一対の提げ手を1つとして扱える(例えば把持できる)ように接合し、所望時にはその接合を容易に解除して、通常の提げ手付き包装用袋と同様な状態で提持携行ができ、また、取り出し口が袋本体の頂部に開口されていても提げ手が邪魔することなく袋本体から商品を取り出せる、等の利点をもつ提げ手付き合成樹脂製包装用袋が開発された(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2582320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術によれば上記のような利点を有するものの、提げ手は基本的には一対有しており、この一対の提げ手を1つとして扱えるようにするために熱溶着や接着により接合していた。
このため、提げ手部品は2つ必要で、かつ、後からこれら2つの提げ手部品相互を接合(相互接合)するという工程が必要となり、提げ手部品の管理及び相互接合のためのコストが余計にかかった。
【0008】
また従来技術では、以下に挙げるような問題点があった。
(1)一対の提げ手が各々別個のフィルム部材からなるためフィルム幅が狭く、このため、手で持ったときに袋全体の重さが集中して重く感じられ、また、フィルム端が手に食い込み易く、持った感触が良好とはいえなかった。
(2)一対の提げ手は、溶着された状態では中間部分で一方側に倒れて非対称になった。このため持ちにくく、外観もアンバランスとなって見栄えせず、また、提げ手に手を通すためには提げ手自体の長さを必要以上に長くする必要があった。更に、溶着部から袋本体側に延びる4本のフィルム部分(提げ手部分)に均等な力が掛かりにくく、必要以上にフィルムの厚みをもたせる必要があった。
(3)一対の提げ手を1枚の袋(袋本体)に接合するには、提げ手材料のフィルムが必ず2枚必要であり、製袋機はフィルムの原反リールが2本装着する構造となる。この製袋機で包装用袋を生産する際に2本の提げ手原反が同時に使い切るという保証はなく、このため、原反の交換頻度が増えて生産性を低めていた。
【0009】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、提げ手部品の管理及び相互接合のためのコストを低減できることに加え、快適に持ちやすい等、使い勝手がよく、見栄えも向上し、また、提げ手部材の長さや厚みを低減でき、生産性も向上できて製造コストを低減できる提げ手部材の取付構造及び手提げバッグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、フィルム又はシートからなる提げ手部材を袋体に取り付ける構造において、展開形状が帯状をなし、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線上の、中央部分を除く箇所に切込みが形成されてなる提げ手部材を備え、該提げ手部材が、前記直線部分を底としてほぼV字溝状ないしU字溝状に形成された状態で、前記直線によって区切られてなる一対の帯状提げ手片の各一対の端部が、前記袋体の開口端部の一対の対向辺に各別に接合されてなることを特徴とする提げ手部材の取付構造である。
特許請求の範囲の請求項2に記載の発明は、袋体の開口端部にフィルム又はシートからなる提げ手部材が取り付けられてなる手提げバッグにおいて、前記提げ手部材は、展開形状が帯状をなし、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線上の、中央部分を除く箇所に切込みが形成されてなり、前記袋体の開口端部へは、前記直線によって区切られてなる一対の帯状提げ手片の各一対の端部が、該提げ手部材が前記直線部分を底としてほぼV字溝状ないしU字溝状に形成された状態で対向する側の面が、前記開口端部の一対の対向辺内面と各々当接する方向に捻られて該対向辺内面に各別に接合されてなることを特徴とする手提げバッグである。
特許請求の範囲の請求項3に記載の発明は、袋体の開口端部にフィルム又はシートからなる提げ手部材が取り付けられてなる手提げバッグにおいて、前記提げ手部材は、展開形状が帯状をなし、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線上の、中央部分を除く箇所に切込みが形成されてなり、前記袋体の開口端部へは、前記直線によって区切られてなる一対の帯状提げ手片の各一対の端部が、該提げ手部材が前記直線部分を底としてほぼV字溝状ないしU字溝状に形成された状態で対向する側の面が、各々垂下された状態で対向する前記開口端部の一対の対向辺内面に各別に接合されてなり、該接合は、前記開口端部の同じ対向辺に接合される2つの帯状提げ手片が、前記溝状部分を頂部として前記開口端部側に向かって末広がり形状を描くように傾斜させた状態でなされていることを特徴とする手提げバッグである。
特許請求の範囲の請求項4に記載の発明は、前記提げ手部材の前記直線上の中央部分には、分離用ミシン目又は該分離用ミシン目より長い複数の切込みからなる分離用切込み線が延出形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の手提げバッグである。
【発明の効果】
【0011】
特許請求の範囲の請求項1に記載の発明によれば、展開形状が帯状の単一部品とされた提げ手部材を備え、この提げ手部材を、分離させない限りは一対の帯状提げ手片を1つとして扱え、必要に応じて提げ手部材の切込み相互間(中央部分)を破断するだけで2つの帯状提げ手片に分離可能に構成したので、従来技術と同等の機能を有する提げ手部材の取付構造を、提げ手部品の管理及び相互接合について低いコストで実現できる。加えて一対の提げ手は、分離前において対称になっているので、使用者が快適に持ち易く、見栄えも向上し、また、提げ手部材の長さや厚みを低減できる等から製造コストを低減できるという利点もある。更に、製造時には、提げ手部材を1本のフィルムの原反リールから製造できるので、原反交換の頻度が減り、生産性を向上することができる。
特許請求の範囲の請求項2に記載の発明によれば、提げ手部材を、展開形状が帯状の単一部品とし、分離させない限りは一対の帯状提げ手片を1つとして扱え、必要に応じて提げ手部材の切込み相互間を破断するだけで2つの帯状提げ手片に分離可能に構成したので、従来技術と同等の機能を有する手提げバッグを、提げ手部品の管理及び相互接合について低コストにて得られる利点がある。また帯状提げ手片の各端部を、帯状提げ手片が引っ張られた際に加わる後述引裂き力が小さくなる方向に捻って袋体開口端部の対向辺内面に接合したので、手提げバッグの引っ張り出し時等において帯状提げ手片が破断、変形しにくいという利点もある。加えて一対の提げ手は、分離前において対称になっているので、使用者が快適に持ち易く、見栄えも向上し、また、提げ手部材の長さや厚みを低減できる等から製造コスト(本手提げバッグを商品の包装用袋として用いる場合には包装コスト)を低減できるという利点もある。更に、製造時には、提げ手部材を1本のフィルムの原反リールから製造できるので、原反交換の頻度が減り、生産性を向上することができる。
特許請求の範囲の請求項3に記載の発明によれば、提げ手部材を、展開形状が帯状の単一部品とし、分離させない限りは一対の帯状提げ手片を1つとして扱え、必要に応じて提げ手部材の切込み相互間を破断するだけで2つの帯状提げ手片に分離可能に構成したので、従来技術と同等の機能を有する手提げバッグを、提げ手部品の管理及び相互接合について低コストにて得られる利点がある。また帯状提げ手片の各端部を、各々垂下された状態で対向する袋体開口端部の一対の対向辺内面に接合したので、手提げバッグの引っ張り出し時等において帯状提げ手片が破断、変形しにくいという利点もある。加えて一対の提げ手は、分離前において対称になっているので、使用者が快適に持ち易く、見栄えも向上し、また、提げ手部材の長さや厚みを低減できる等から製造コストを低減できるという利点もある。また、製造時には、提げ手部材を1本のフィルムの原反リールから製造できるので、原反交換の頻度が減り、生産性を向上することができる。更に、袋体開口端部の同じ対向辺に接合される2つの帯状提げ手片を、頂部から袋体開口端部側に向かって末広がり形状を描くように傾斜させた状態で同袋体開口端部に接合したので、接合箇所に無理な力をかけずに持つことができ、したがって、必要以上に帯状提げ手片の厚みや幅を大きくしないで済むという利点がある。
特許請求の範囲の請求項4に記載の発明によれば、提げ手部材の中央部分に分離用ミシン目又は分離用切込み線を延出形成したので、同提げ手部材を容易に2つの帯状提げ手片に分離できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による手提げバッグの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】同図中の提げ手部材の展開形状の第1例を示す図である。
【図3】同上提げ手部材の袋体への接合直前の形態の一例を示す斜視図である。
【図4】同上提げ手部材の袋体への接合後の形態の一例を示す斜視図である。
【図5】提げ手部材の袋体への接合後の形態を図4とは異なる方向から示す斜視図である。
【図6】提げ手部材の展開形状の第2例を示す図である。
【図7】本発明による手提げバッグの第2実施形態の要部を示す斜視図である。
【図8】従来技術、本発明の第1実施形態及び第2実施形態を比較説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明による手提げバッグ(提げ手部材の取付構造を含む。)の第1実施形態を示す斜視図である。
図示するように第1実施形態は、袋体1の開口端部1aにフィルム又はシートからなる提げ手部材2が取り付けられてなる手提げバッグ10において、提げ手部材2が以下のように構成され、またこの提げ手部材2が袋体1に以下のように取り付けられてなるものである。
【0014】
まず、提げ手部材2について図2を参照して説明する。
提げ手部材2は、1本の原反リールから繰り出されたフィルム又はシートを切断して形成されたものであり、展開形状が比較的太い帯状をなし、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線2a上の、中央部分を除く箇所に切込み2bが形成されてなる。第1実施形態では、上記直線2a上の中央部分に分離用ミシン目2cが延出形成されている。分離用ミシン目2cは、これを境に相反する方向(図示上下方向)に引っ張ることにより容易に破断可能な程度にミシン目切込みの幅や間隔等が設定されている。
この分離用ミシン目2cより長い数個の切込みからなる分離用切込み線を分離用ミシン目2cに代えて形成してもよい。
【0015】
そしてこの提げ手部材2は、袋体1の開口端部(以下、袋体開口端部とも記す。)1aへ図3〜図5に示すように接合されている。
すなわち提げ手部材2は、図2に示す直線2a部分を底としてほぼV字溝状ないしU字溝状(以下、溝状と略記する。)に形成された状態で、上記直線2aによって区切られてなる一対の細帯状提げ手片2dの各一対の端部2eが、袋体開口端部1aの一対の対向辺1bに各別に接合される。
上記各一対の端部2eは、各々一定間隔置いて袋体開口端部1aの各対向辺1b、通常、袋体1の、面積の広い前後壁面1c側の各対向辺1bに接合される。
なお、上記接合には、熱溶着等、公知の手段が用いられる。図4中、2fは端部2eの開口端部1aへの接合箇所を示す。
【0016】
一対の細帯状提げ手片2dの各一対の端部2eは、帯状をなす提げ手部材2が上記のように溝状に形成された状態で対向する側の面2gが、袋体開口端部1aの一対の対向辺内面1dに当接する方向(順方向)に半周程度捻られて、同対向辺内面1dと接合される。 細帯状提げ手片2dの各端部2eは、袋体開口端部1aの対向辺内面1dに接合するためには半周程度捻らなければならない。各端部2eを上記順方向に捻った状態で対向辺内面1dに接合した場合には、細帯状提げ手片2dが引っ張られた際に同細帯状提げ手片2dにその幅方向側から加わる引裂き力は小さい。
しかし、これとは逆の方向に捻った状態で対向辺内面1dに接合すると、上記引裂き力は細帯状提げ手片2dに大きく加わる。このため、本手提げバッグ10の引き提げ使用時や引っ張り出し時等において細帯状提げ手片2dが破断したり変形する虞があり、これをなくすためである。
【0017】
ここで、提げ手部材2は、合成樹脂製のフィルム又はシートにより形成されているが、袋体1は提げ手部材2を接合でき、かつ必要な強度を有していれば、特にその材質を問わない。袋体1を、提げ手部材2と同じ合成樹脂、例えばポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂製のフィルム又はシートで形成するようにすれば、これら袋体1及び提げ手部材2の製造が容易になり、全体の材料コストを低減できる。
なお提げ手部材2は、袋体1へは上記のように捻った状態で接合するので、可撓性を有する合成樹脂材が好ましい。
【0018】
袋体1の形態は図示するような長方体に限らない。例えば、図示長方体を折り畳みしやすいように折り目を入れたり、側壁部1eにマチを形成して折り畳み時の形態の割には嵩の張る物品、ここでは商品を収容可能にしてもよい。また、袋体1の頂部に開口する取出し口1fに蓋を形成して収容した商品を保護するようにしたり、底部1gや開口端部1aを補強する等、様々な形態を採り得る。
また、袋体1を透明又は半透明に形成して、収容された商品を外部から見えるようにしてもよい。
更に、提げ手部材2や袋体1に、収容された商品の説明、広告、あるいは模様、キャラクタ等を印刷してもよい。
【0019】
以上述べたように第1実施形態では、提げ手部材2を、展開形状が帯状の単一部品とした。そして、この提げ手部材2を構成する一対の細帯状提げ手片2dの各一対の端部2eを、袋体開口端部1aの一対の対向辺1bに各別に接合して手提げバッグ10を構成した。
【0020】
すなわち、第1実施形態においても、提げ手部材2は、分離させない限り2つの細帯状提げ手片2d(提げ手)を1つとして扱える(例えば把持できる)。そして、所望時には提げ手部材12の切込み2b相互間(中央部分)を破断して、第1実施形態では分離用ミシン目2cが形成されているのでこの分離用ミシン目2cで分離して、通常の手提げバッグ10と同様に、2つの細帯状提げ手片2dが別個独立した状態で提持携行できる。また、袋体1の頂部に取出し口1fが開口していても2つの細帯状提げ手片2dが邪魔することなく袋体1から物品を取り出せるという、従来技術と同様の利点をもつ。
【0021】
しかし従来技術では、提げ手部品は2つ必要で、かつ、この2つの提げ手部品を接合するという後工程が必要となり、提げ手部品の管理及び相互接合のためのコストを要する。 これに対して第1実施形態では、提げ手部品としては切込み2b及び分離用ミシン目2cが形成された、展開形状が帯状の単一の部品、つまり提げ手部材2のみを必要とするに過ぎない。また後工程も無用であり、したがって、部品管理や2つの提げ手部品である一対の細帯状提げ手片2dの相互接合のためのコストがかからないという利点がある。
【0022】
更に第1実施形態では、一対の細帯状提げ手片2dの分離は分離用ミシン目2cを破断するだけで行えるので、一対の提げ手の分離を熱溶着や接着による接合状態の解除により行う従来技術に比べて分離が簡単である。
第1実施形態は、主として重量が小さい割には嵩の張る物品を収容する手提げバッグ10に係るものであり、提げ手部材2である2つの細帯状提げ手片2dが上記のように簡易に構成されていてもその強度は足り、したがって、全体としてコストパフォーマンスの高い手提げバッグ10を提供できる。
【0023】
また第1実施形態では、帯状をなす提げ手部材2が上記のように溝状に形成された状態で対向する側の面2gが、袋体開口端部1aの対向辺内面1dに当接するように順方向に細帯状提げ手片2dの端部2eを半周程度捻り、同対向辺内面1dと接合するように構成されている。
これによれば、上記順方向とは逆の方向に捻った状態で細帯状提げ手片2dの端部2eを対向辺内面1dに接合する場合に比べて、細帯状提げ手片2dが引っ張られた際に同細帯状提げ手片2dにその幅方向側から加わる引裂き力は小さい。したがって、本手提げバッグ10の引き提げ使用時や引っ張り出し時等において細帯状提げ手片2dが破断、変形しにくいという利点がある。
【0024】
加えて、一対の細帯状提げ手片2dは、分離前において提げ手部材2の図2に示す直線2a上の中央部分を境に対称に開いている(図5参照)。したがって、従来技術に比べて、手で持ったときに重く感じられることがなく、また、一対の細帯状提げ手片2dが手に食い込み難く、使用者が快適に持ちやすい等、使い勝手がよく、外観もバランスがとれて見栄えも向上する。
【0025】
特に、図5に示すように、手を通すために必要な一対の細帯状提げ手片2d自体の長さを必要以上に長くする必要がなくなる(従来技術に比べて80%程度の長さで済む)。また、提げ手部材2の上記直線2a上の中央部分、換言すれば一対の細帯状提げ手片2dの連結部分から袋体1側に延びる4本の細帯状提げ手片2d部分に均等な力が掛かり易く、必要以上に提げ手部材2の厚みをもたせる必要がない。つまり、このように細帯状提げ手部材2dの長さや厚みを低減できるので、製造コスト(本手提げバッグ10を商品の包装用袋として用いる場合には包装コスト)を低減できるという利点もある。
前述したような、原反の交換頻度が増えて生産性を低めるという従来技術における問題も生じなく、この点からも製造コストの低減を図り得る。
【0026】
なお、図2に示した例では、提げ手部材2の切込み2bを単なる直線状としたが、これのみに限定されないことは勿論である。
図6に例示するように、直線状の切込み2bの分離用ミシン目2cとのつながり部分に各々丸穴61を穿設した形状としてもよい。これによれば、提げ手部材2に形成された直線状の切込み2bが意に反して分離用ミシン目2c側に侵入して行くことを、丸穴61部分において阻止できるという利点がある。
【0027】
また、提げ手部材2を袋体開口端部1aへ接合する形態も、図1、図4及び図5に示した第1実施形態に限定されることはなく、例えば、図7に示すような形態(第2実施形態)であってもよい。
すなわち、一対の細帯状提げ手片2dの各一対の端部2eが、提げ手部材2が図2に示す直線2a部分を底として溝状に形成された状態で対向する側の面2gが、各々捻られることなく、そのまま垂下された状態で対向する袋体開口端部1aの一対の対向辺内面71に各別に接合される。そして、袋体開口端部1aの同じ対向辺71に接合される2つの細帯状提げ手片2dが、上記溝状部分を頂部として袋体開口端部1a側に向かって末広がり形状(両方向矢印ア参照)を描くように傾斜させた状態で上記接合がなされる、という形態であってもよい。
【0028】
以下に、従来技術における提げ手、本発明の第1実施形態及び第2実施形態における細帯状提げ手片2dの分離前の状態を図8に例示し、比較説明する。
図8中、(a)は従来技術による提げ手付き包装用袋81の形態(従来形態)、(b)は本発明の第1実施形態、(c)は同第2実施形態を示す。
従来形態(a)によれば、袋本体82に取り付けられた一対の提げ手83が中間部分で一方側(図中、左側)に倒れて非対称になっていて、持ちにくく、外観もアンバランスとなって見栄えがしない。また、提げ手83に手を通すためには提げ手83自体の長さを必要以上に長くする必要があることが分かる。
【0029】
これに対して、本発明の第1実施形態(b)及び第2実施形態(c)では、いずれも一対の細帯状提げ手片2dが提げ手部材2の図2に示す直線2a上の中央部分を境に対称に開いている。したがって、この第1、第2実施形態(b)、(c)によれば、従来形態(a)に比べて、持ちやすい等、使い勝手がよくなり、外観もバランスがとれて見栄えも向上する。
また、手を通すために必要な細帯状提げ手片2d自体の長さを必要以上に長くする必要がなくなることが分かる。発明者らの試作によれば、細帯状提げ手片2dの長さを、第1実施形態(b)では2割程度、第2実施形態(c)では3割程度、従来形態(a)による提げ手83長さに比べて短くしても、使い勝手がよくなるとの結果が得られた。
紙おむつを包装する袋の上面は凹型に凹んでいるのが一般的であるので、提げ手83が短くても手を通すことができる。したがって、本発明の第1実施形態(b)及び第2実施形態(c)に係る手提げバッグを、紙おむつを包装する提げ手付き包装用袋に適用した場合に、提げ手としての機能を損なうことなく細帯状提げ手片2d(提げ手83)を短くできる。
【0030】
更に、第2実施形態(c)では、袋体開口端部1aの同じ対向辺に接合される2つの細帯状提げ手片2dを、頂部から袋体開口端部1a側に向かって末広がり形状(両方向矢印ア参照)を描くように傾斜させた状態で同袋体開口端部1aに接合した。これによれば、接合箇所2fに無理な力をかけずに持つことができ、したがって、必要以上に細帯状提げ手片2dの厚みや幅を大きくしないで済み、この点からも製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0031】
1:袋体、1a:開口端部、2:提げ手部材、2a:直線、2b:切込み、2c:分離用ミシン目、2d:細帯状提げ手片、2e:端部、1b:対向辺、10:手提げバッグ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム又はシートからなる提げ手部材を袋体に取り付ける構造において、
展開形状が帯状をなし、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線上の、中央部分を除く箇所に切込みが形成されてなる提げ手部材を備え、
該提げ手部材が、前記直線部分を底としてほぼV字溝状ないしU字溝状に形成された状態で、前記直線によって区切られてなる一対の帯状提げ手片の各一対の端部が、前記袋体の開口端部の一対の対向辺に各別に接合されてなることを特徴とする提げ手部材の取付構造。
【請求項2】
袋体の開口端部にフィルム又はシートからなる提げ手部材が取り付けられてなる手提げバッグにおいて、
前記提げ手部材は、
展開形状が帯状をなし、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線上の、中央部分を除く箇所に切込みが形成されてなり、
前記袋体の開口端部へは、前記直線によって区切られてなる一対の帯状提げ手片の各一対の端部が、該提げ手部材が前記直線部分を底としてほぼV字溝状ないしU字溝状に形成された状態で対向する側の面が、前記開口端部の一対の対向辺内面と各々当接する方向に捻られて該対向辺内面に各別に接合されてなることを特徴とする手提げバッグ。
【請求項3】
袋体の開口端部にフィルム又はシートからなる提げ手部材が取り付けられてなる手提げバッグにおいて、
前記提げ手部材は、
展開形状が帯状をなし、その長手方向両端の短手方向中央どうしを結ぶ直線上の、中央部分を除く箇所に切込みが形成されてなり、
前記袋体の開口端部へは、前記直線によって区切られてなる一対の帯状提げ手片の各一対の端部が、該提げ手部材が前記直線部分を底としてほぼV字溝状ないしU字溝状に形成された状態で対向する側の面が、各々垂下された状態で対向する前記開口端部の一対の対向辺内面に各別に接合されてなり、
該接合は、前記開口端部の同じ対向辺に接合される2つの帯状提げ手片が、前記溝状部分を頂部として前記開口端部側に向かって末広がり形状を描くように傾斜させた状態でなされていることを特徴とする手提げバッグ。
【請求項4】
前記提げ手部材の前記直線上の中央部分には、分離用ミシン目又は該分離用ミシン目より長い複数の切込みからなる分離用切込み線が延出形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の手提げバッグ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−241455(P2010−241455A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90993(P2009−90993)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000103932)オリオン機械工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】