揚送研磨装置
【課題】長期間にわたって確実な研磨効果が保証され、薄い研磨布を使用しても、高い研磨効率が得られる揚送研磨装置を提供する。
【解決手段】揚送ベルト5の弛みを防止するテンションローラ6Bを所定間隔を持って備え、扉に固着した板バネ取付板の内面に又はその扉の内面に、案内レール15Eを揚送ベルト5の上昇側に付勢する板バネを案内レール15Eの各案内溝15bに対応させて案内レール15Eの長手方向に所定の間隔を持って備え、案内レール15Eに、テンションローラ6B至近位置における揚送ベルト5と案内レール15Eの案内溝15bの間を通過する球Bを介してテンションローラ6Bから受ける押圧力により案内溝15bの曲率半径が縮小するように弾性変形が可能な弾性係数を有するものを用いた。研磨布16Eは、厚みが0.2〜0.5mm程度の不織布である。
【解決手段】揚送ベルト5の弛みを防止するテンションローラ6Bを所定間隔を持って備え、扉に固着した板バネ取付板の内面に又はその扉の内面に、案内レール15Eを揚送ベルト5の上昇側に付勢する板バネを案内レール15Eの各案内溝15bに対応させて案内レール15Eの長手方向に所定の間隔を持って備え、案内レール15Eに、テンションローラ6B至近位置における揚送ベルト5と案内レール15Eの案内溝15bの間を通過する球Bを介してテンションローラ6Bから受ける押圧力により案内溝15bの曲率半径が縮小するように弾性変形が可能な弾性係数を有するものを用いた。研磨布16Eは、厚みが0.2〜0.5mm程度の不織布である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,遊技機から排出されて回収された遊技球(以下、単に球という。)を揚送ベルトで研磨布に押し付けながら揚送することにより研磨し、リサイクル補給用の上部タンクに排出する揚送研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、揚送研磨装置は、横断面コ字形の本体と、その本体の背面、すなわち、開口面に開閉自在に取付けられた扉とを有し、その本体の内部空間の下部と上部に設けられた駆動プーリと従動プーリの間に無端ベルトからなる揚送ベルトを巻回するとともに、その揚送ベルトの下降側に設けたテンションプーリにより揚送ベルトを張設し、前記本体の下部外側に前記駆動プーリに回転力を与えるためのモータを取付け、さらに、前記扉の内側に、揚送される球を1列ずつ案内する複数条の案内溝を有する案内レールと、その案内レールの表面に密着され、前記揚送ベルトの上昇側に対面する研磨布とを設けて構成されている。
【0003】
そして、モータにより回転される揚送ベルトによって球を研磨布に擦り付けながら揚送することにより球を磨くので、揚送ベルトにより揚送される球に対して研磨布を所要の圧力で押圧するため、扉の内面と案内レールとの間に弾性体を介在させていた。従来用いられていた弾性体は、一つには厚板状のスポンジゴムであり、二つには均等に分散配置されたコイルバネである。
【0004】
また、従来の研磨布は、長尺帯状のものを扉の長手方向一端側の背面に設けた第1軸にロール状に巻き取り、その研磨布の先端を扉の長手方向他端側の背面に設けた第2軸に固定して、その二つの軸間の一定長の研磨布で案内レールの表面を覆うように張設し、揚送ベルトに対向させた状態で使用していた。そして、使用面が汚れたときは、使用済みの一定長の研磨布を第2軸に巻き取るとともに、第1軸のロールから未使用の一定長の研磨布を巻き戻して再び固定していた。また、従来の揚送研磨装置においては、揚送される球に研磨布を押圧させるために弾性体のみが用いられ、揚送ベルトの上昇側を垂直面に沿って緊張状態に支持するテンションローラは、揚送ベルトの案内レールと反対側において本体に固定された軸に回転自在に支持された固定式ローラであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4183417号公報
【特許文献2】特開2003−251055号公報
【特許文献3】実開平2−25288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成の従来装置においては、図13に示すように、揚送ベルト5により研磨布16の表面を揚送される球Bには、扉8に取り付けたスポンジゴム13’の弾力による押圧力が案内レール15及び研磨布16を介して加えられるが、テンションローラ6’が固定式ローラであるため、揚送される球Bがテンションローラ6’の中心と、研磨布16のそのテンションローラの中心を通る水平線上に存在する部分との間を通過するとき、スポンジゴム13’の弾力が固定式テンションローラ6’及び揚送ベルト5から大きな反力として球Bから研磨布16に加わる。
【0007】
従来の研磨布は、一例として、綿50%、ポリエステル50%の混紡糸の織布で構成され、厚み1.7mm、幅150mm、長さ18m、質量2.5kgをロール状に巻いたものを使用していた。従って、従来の研磨布は、球から受ける圧力に十分耐える強度を有しているので、汚れた場合は、揚送研磨装置から取り外し、洗浄してリサイクルしている。また、上記のように、従来の揚送研磨装置における案内レール15は、硬質合成樹脂製の剛体である。
【0008】
しかし、従来の長尺帯状の研磨布は高価であり、洗浄も容易でなく、コストがかかるため、リサイクルコストの低減が求められていた。また、従来の揚送研磨装置における研磨布の使用高さは、床面から2.5m前後にもなっていたので、研磨布の更新及び交換には踏み台等の使用を必要とするためメンテナンスが容易でなく、時間もかかり、メンテナンスにコストがかかるので、メンテナンスコストの低減も望まれていた。さらに、研磨布の更新又は交換作業が営業終了後に制限されるなどの問題があった。加えて、最近、遊技場全体の通気性向上及び防犯対策として、揚送研磨装置の高さを低くする傾向にある。
【0009】
上記メンテナンスコストの低減を実現するため、従来の厚みが1.7mm程度の長尺帯状の織布製研磨布に代えて、厚みが0.3mm程度の安価な不織布を用いることが提案された。
しかしながら、従来の厚手の研磨布16は、その厚みとクッション性とで球Bが案内レール15の案内溝を通過する際に、その球を包み込む作用をすることにより、研磨効果を発揮しているが、その研磨布を厚手の織製研磨布に代えて薄手の不織布を用いるだけで、揚送ベルト5を緊張状態に支持するテンションローラ に固定式ローラを用い、剛性の案内レールをスポンジゴムで支持する構造を変えない場合は、揚送ベルトにより揚送される球がテンションローラ至近位置を通過する際に薄手の研磨布がその球を包み込むことはできないので、研磨効率が半減するという新たな問題が生じた。
【0010】
さらに、上記のように、従来の揚送研磨装置における案内レールは、硬質合成樹脂製の剛体であり、扉の内面に固着したスポンジゴムの内面に取付られるが、スポンジゴムは製造後一定期間は、全体的に一様の弾力性を有するので、案内レールの案内溝に沿って研磨布に形成されている溝を転動する球がテンションローラ至近位置を通過するときも、そのテンションローラから離れた位置、すなわちテンションローラ間を通過するときも、案内レールの沈み込み量(揚送ベルトからの後退量)は殆ど変わらない。
ただ、球がテンションローラ至近位置を通過するときに揚送ベルトからその球に加わる押圧力は、球がテンションローラ間を通過するときに揚送ベルトからその球に加わる押圧力よりも大きい。
【0011】
そのため、使用初期のスポンジゴムの弾性が適度である場合は、テンションローラ至近位置では球の研磨布に対する押圧力が充分であるので良く研磨されるのに対して、球がテンションローラ間を通過するときは、球の研磨布に対する押圧力が充分でないので、研磨効果が小さいという問題がある。
これに対して、使用初期のスポンジゴムの弾性が過度である場合は、揚送される球がテンションローラ至近位置で揚送ベルトと研磨布の間に詰まる虞がある。
【0012】
また、スポンジゴムは経年劣化により収縮して厚みが薄くなる。従って、使用初期のスポンジゴムの弾性が適度であっても、年月の経過とともに、揚送ベルトと案内レール間の間隔が拡大して、テンションローラ至近位置を通過する球の研磨布に対する押圧力が不充分となるので、充分な研磨効果が得られなくなる。従って、研磨性能の安定性に問題があった。
【0013】
扉の内面と案内レールとの間に弾性体としてコイルばねを分散配置する従来技術においては、案内レールが剛体であるため、薄手の研磨布を用いる場合は、研磨布による球包み作用が行なわれないので、前述と同様に研磨効率が低い。
【0014】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、解決しようとする課題は、スポンジゴムの経年劣化による影響を排除するとともに、長期間にわたって確実な研磨効果が保証され、薄い研磨布を使用しても、高い研磨効率が得られる揚送研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するため、本体に張設されて一定方向に回転される揚送ベルトと、前記本体に取付けられた扉の内面に設けられた案内レールと、その案内レールに案内溝を覆うように密着させて張設され、前記揚送ベルトの上昇側に対面される研磨布とを有し、回転される前記揚送ベルトと前記研磨布の間を前記案内レールの案内溝に沿って球を転動させてその球を揚送研磨する揚送研磨装置において、(a)前記揚送ベルトの上昇側の前記案内レールと反対側に前記揚送ベルトの弛みを防止するテンションローラが所定間隔を持って備えられ、(b)前記扉の内面に固着した板バネ取付板の内面に又はその扉の内面に、前記案内レールを前記揚送ベルトの上昇側に付勢する板バネが前記案内レールの各案内溝に対応させて前記案内レールの長手方向に所定の間隔を持って備えられ、(c)前記案内レールは、前記テンションローラの至近位置における揚送ベルトと案内レールの案内溝の間を通過する球を介して前記テンションローラから受ける押圧力により当該案内溝の曲率半径が縮小するように弾性変形が可能な弾性係数を有し、(d)前記研磨布は、厚みが0.2〜0.5mm程度の不織布であること、を特徴としている(請求項1)。
【0016】
本発明は、前記板バネが、横長短冊状の取付部に、その取付部の長手方向に案内レールの案内溝の間隔と等しい間隔を持ってその取付部の長手方向に対して直角な一方向又は両方向に突出するバネ片を一体に設けてなるものであることを特徴としている(請求項2)。
【0017】
本発明は、前記板バネが、それぞれのバネ片を案内レールの各案内溝に対応させて案内レールの長手方向に複数個配設してあることを特徴としている(請求項3)。
【0018】
本発明は、前記案内レールが、垂直かつ平行な複数の案内溝を有し、球がその案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過するときに、その球及び揚送ベルトの上昇側を介して前記テンションローラから受ける押圧力により前記案内溝の曲率半径が縮小する方向に変形可能な弾性を有する合成樹脂押出し成形品であることを特徴としている(請求項4)。
【0019】
本発明は、前記扉が、内側に開口する横断面凹字状に形成され、その両側の壁の対向する内面に、板バネ群の押圧力による案内レールの揚送ベルト方向の移動を、球が案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過しないときの前記案内レールの案内溝の底部から前記揚送ベルトの上昇部分までの最短距離が前記球の直径よりも所定値だけ小さい距離となるように規制する移動規制部材を備えたことを特徴としている(請求項5)。
【0020】
本発明は、さらに、揚送ベルトを研磨布方向に弾力的に押圧するテンションローラを上下方向に所定距離隔てて複数個設けたことを特徴としている(請求項6)。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、テンションローラ至近位置における揚送ベルトと案内レールの案内溝の間を球が通過する際は、その球を介してテンションローラから受ける押圧力により案内レールの当該案内溝の曲率半径が縮小するように弾性変形するため、研磨布がその球を包み込むので、転動する球の研磨効率が向上する。また、板バネのバネ片は案内溝ごとに対応して設置されるので、球がどの案内溝を通過するときも、当該案内溝において同様の包み込み効果が得られる。
【0022】
請求項2の発明によれば、板バネの取付け工数が減り、かつ、各案内溝に対応するバネ片の設置が容易である。また、板バネのメンテナンス及び交換などが容易にできる。
【0023】
請求項3の発明によれば、案内レールの弾性係数、揚送ベルトの弾性係数、板バネの設置間隔などに応じて球に対して最適な押圧力が得られる位置に板バネの設置が可能である。
【0024】
請求項4の発明によれば、案内レールが合成樹脂の押出成形品であるので、安価な量産が可能である。
【0025】
請求項5の発明によれば、球が案内レールと揚送ベルト間に進入しやすく、また、確実に揚送研磨され、案内レールと揚送ベルト間の押圧力が過大となって球の転動を妨げることが防止される。
【0026】
請求項6の発明によれば、各テンションローラの押圧力は、揚送ベルトに分散されるため、揚送ベルトと研磨布の間を揚送される球がテンションローラ至近位置を揚送されるときに、テンションローラの押圧力が球から研磨布に局所的に加わることが防止される。つまり、球の移動行程のどの位置においても、球から研磨布に均等な押圧力が加わるので、とくに研磨布が薄手の場合には、テンションローラ至近位置の局所的な早期劣化又は破損が防止され、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】揚送研磨装置の背面の扉を開放した状態の中間省略斜視図である。ただし、駆動モータ、伝動手段、揚送ベルト、研磨布及び球流入部が取り除かれている。
【図2】図1の本発明の要部を抽出して示す側面図である。
【図3】扉の分解斜視図である。
【図4】板バネの複数種類の斜視図である。
【図5】板バネの取付け態様の一例を示す斜視図である。
【図6】研磨布を固定するクランプの一例を示す揚送研磨装置の一部の背面側斜視図である。
【図7】図2の円X部の詳細断面図である。
【図8】図7のY−Y線断面図である。
【図9】作用説明図である。
【図10】ローラ取付ユニットを抽出して示す斜視図である。
【図11】同じく正面図である。
【図12】ローラ取付ユニットの本体に対する取付状態を示す正面図である。
【図13】従来の揚送研磨装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1において、1は揚送研磨装置、2は左右一対の板部材を有する横断面コ字形の本体であり、この本体2の内部空間には、図2に示すように、下部に駆動プーリ3が、上部に従動プーリ4が設けられ、それらのプーリの間に無端の揚送ベルト5が巻回されており、その揚送ベルト5は、その下降部分5dを、テンションプーリ6Aにより弾力的に押圧することにより、張設されている。また、揚送ベルト5の上昇部分5uの内側には、その上昇部分5uの弛みを防止するためのテンションローラ6Bが、上下方向に所定の間隔を持って配設されている。本体2に設けられたモータ取付台7(図1参照)に図示されていないモータが固定され、そのモータと駆動プーリ3の間に伝動ベルト(図示省略)が巻回されている。
【0029】
本体2の左右一対の板部材のうち、一方の板部材の背面端に、扉8がヒンジ9により開閉自在に取り付けられ、他方の板部材の背面端付近に設けられたフック10を扉8に設けた受け部材11に係合させることより、扉8を閉鎖状態に保持することができるようになっている。
【0030】
図3に示すように、扉8は横断面凹字形に形成され、その扉8の内面に板バネ取付板12が密着してねじ止め、その他周知の方法で固定されている。板バネ取付板12には、その長手方向に所定の間隔を持って板バネ13が固着されている。板バネ13は、基本的には、板バネ取付板12の表面から上方及び/又は下方に斜めに起立し、先端が板バネ取付板12の表面側に湾曲するバネ片13bを有するものである。
【0031】
好ましい実施の形態では、板バネ13の製造及び板バネ取付板12に対する取付けを容易にするため、図4に例示するように、横長短冊状の取付部13aに、その長手方向に所定の間隔を置いて一方側に登り傾斜して延びる複数のバネ片13bを一体に設けてなるもの(13A)、横長短冊状の取付部13aに、その長手方向に所定の間隔を置いて両側に登り傾斜して延びる所定の複数個(図示の例では4個、5個)のバネ片13bを一体に設けてなるもの(13B,13C)などを用いている。板バネ13の形状は、13A,13B,13Cに限定されるものではない。
【0032】
そして、これらの板バネ13A,13B,13C(板バネを総体として指称するときは符号13を用いる。)は、1種類又は複数種類の混合を所定の間隔を持って取付けられている。その場合、上下に隣接する板バネは、一方の板バネのバネ片と他方の板バネのバネ片がそれぞれの先端部の湾曲面において後述される案内レール15の底面に各案内溝15bの下側において当接するように配設される。
【0033】
また、板バネ13が案内レール15に適切な押圧力を与えるため、必要に応じて、一つの板バネのバネ片13bが他の板バネのバネ片13bの間に入り組むように、板バネの固着位置が設定される。図5に示す例では、最下位に板バネ13Aが固着され、その上側に板バネ13Cが一部入り組んで固着され、それらの上側に、いずれも他のテンションローラと位置的に対応するように所定の間隔を持って板バネ13Bと13Cが一部入り組んで固着されている。
【0034】
板バネ取付板12の表面の下端部には、図3、5に示すように、球導入ブロック14が固着されている。この球導入ブロック14は、本体2の球流入口Iから揚送ベルト5の上昇部分5uと下部搬送ガイドGの間に流入した球を後述される案内レール15Eの各案内溝15bに円滑に導入するためものである。
球導入ブロック14は、耐衝撃性に優れた合成樹脂で成形され、板バネ取付板12の表面に密着してねじ止めされる両側の固着部14aと、それらの固着部14aの間に隣接して形成された所定数の球導入溝14bとを一体に有する。各球導入溝14bの境界には堤部(ランド)14cが形成され、各ランド14cの頂面と固着部14aの表面は共通の平面上に存在している。また、球導入溝14bは球が導入され易いように下端部側がわずかに深くなるように湾曲されている。そして、球導入ブロック14の上端面は、案内レール15の下端面と密着できるように形成されている。
【0035】
上記案内レール15Eは、ナイロンなどの所要の弾性係数を有する合成樹脂で帯板状に成形され、平坦な背面を板バネ取付板12の全ての板バネ13A,13B,13Cの表面に当接して取付けられる。案内レール15Eは、その表面の両側に平坦な研磨布固定面15aを有し、その間に案内レールの全長に渡って垂直かつ平行に延びる断面形状が全て同一寸法の円弧状の案内溝15bが形成されている。研磨布固定面15a及び案内溝15bはいずれも平行であるので、押出成形が可能であり、安価に製造できる。
【0036】
案内レール15Eの研磨布固定面15a及び案内溝15bの横断面形状と数は、球導入ブロック14の固着部14a及び球導入溝14bの横断面形状と数と一致している。従って、案内レール15Eの下端面を球導入ブロック14の上端面に密着させて板バネ取付板12の表面に固着したときは、球導入ブロック14の固着部14aと球導入溝14b及び案内レール15Eの研磨布固定面15aと案内溝15bがそれぞれ上下方向に連続する。
【0037】
案内レール15Eを板バネ取付板12に取付ける場合に、板バネ13が板バネ取付板12の下端部まで配置されていると、球が下部搬送ガイドGから球導入ブロック14を経て案内レール15Eに進入するたびに、球から受ける押圧力により案内レールの下端部が球導入ブロック14に対して、従ってまた、下部搬送ガイドGに対しても、前後方向(案内レールの面に対して直交する方向)に微小移動して球導入ブロック14の上端部と案内レール15Eの下端部の間に段差が生じる虞がある。
【0038】
そこで、好ましい実施の形態においては、図3及び図5に示すように、最下位の板バネ13Aと球導入ブロック14の間に板バネを設けない空間部を設け、その空間部に、沈み防止ブロック15Bを設けてある。沈み防止ブロック15Bは、ウレタン樹脂等で成形され、案内レール15Eの下端面を球導入ブロック14の上端面に当接し、かつ、案内レール15Eの背面全体を全ての板バネ13A,13B,・・・に当接した場合に、その案内レール15Eの背面下部と板バネ取付板12の表面との間に形成される空間を埋め尽くす形状と厚みを有する。そして、沈み防止ブロック15Bは、案内レール15Eの下端部とともに、板バネ取付板11に固着される。沈み防止ブロック15Bは、図3に示すように、案内レール15Eの下端部の背面に予め固着しても良いし、図5に示すように、板バネ取付板12に予め固着しておいても良い。
【0039】
案内レール15Eを板バネ13に当接した後、図8、9に示すように、扉8の両側の側壁8aの内面に移動規制部材18を固着して、案内レール15Eが板バネ13の押圧力により揚送ベルト5の上昇側に最も接近できる距離z(最接近距離)を規制している。移動規制部材18は、案内レール15Eが移動規制部材18に止められたとき、案内溝15bと球導入ブロック14の球導入溝14bを段差なく連続させる。従って、球が円滑に揚送される。
【0040】
図3の16Eは、研磨布である。この研磨布は、例えばパルプ55%、PET(ポリテレフタル酸エチレン)45%を原料とする厚さが一例として0.3〜0.5mm程度の薄手の不織布を、一例として、幅160mm、長さ1.7m程度の帯状に切断して構成されている。そして、扉8の上下に設けた研磨布固定手段であるクランプ17を操作して、例えば、図6に例示するような、クランプ17のハンドルレバー17aにより回転されるカム17bと扉8の間に研磨布16Eの上端部及び下端部を挟持して、研磨布16Eを緊張させた状態で固定している。
【0041】
案内レール15Eは、扉8が閉鎖状態にあるときは、案内溝15bが揚送ベルト5の上昇部分(5u)に対向するように固着されている。そして、案内レール15Eの表面にその全体を被覆するように研磨布16Eが装着される。そのとき、研磨布16Eの幅方向両端部は球導入ブロック14の固着部14aと案内レール15Eの研磨布固定面15aを覆っている。
【0042】
案内レール15Eの表面を被覆する研磨布16Eは、揚送ベルト5と案内レール15Eの案内溝15bの間を通過する球から受ける押圧力により、図8に示すように、各案内溝15bに沿って変形してその案内溝15bに密着される。
【0043】
上記最接近距離zは、図9(a)に示すように、案内レール15Eの案内溝15bのテンションローラ6Bに最も近い位置(テンションローラ至近位置)を球Bが通過していないときの案内溝15bの底部からそのテンションローラ6Bに当接している揚送ベルト5までの距離xが、球Bの半径(1/2)dよりも所定値yだけ小さな距離となるように設定されている。所定値yは球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときに案内レール15Eがその球から受ける押圧力によりテンションローラ6Bから後退する距離である。所定値yは、球の直径d、案内溝15bの曲率半径r、研磨布の厚みtを考慮して、球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときに案内レール15Eがその球から受ける押圧力によりテンションローラ6Bから後退したときに、その球Bが通過する案内溝15bの曲率半径rが図9(b)に示すように研磨布16Eが球Bを包み込むことができる曲率半径r’に縮小するように設定される。
【0044】
図9(a)に示す例では、d=11.0mm、r=6.5mm、t=0.3mmである場合に、x=d−y=11.0−2.0=9.0mm、y=2.0mm、z=4.8mmである。従って、また、球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときは、図9(b)に示すように、最接近距離z=6.8mm、案内溝15bの曲率半径r’=5.5+0.3=5.8mm、又はr’<5.8mmとなる。
【0045】
そして、本発明における案内レール15Eは、上記のように、球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときに案内レール15Eがその球から受ける押圧力によりテンションローラ6Bから所定値y後退するときに、案内溝15bの曲率半径rが縮小することができる弾性係数を有する。
この案内溝15bの曲率半径rが縮小することにより、図9(b)に示すように、研磨布16Eが球Bの球面のほぼ半分を包み込むので、案内溝15b内を転動する球はその球面の全面が効率良く研磨されることとなる。
【0046】
板バネ13は、各案内溝15bごとに配設されているので、他の案内溝15b内を転動する球についても同様の作用効果が得られる。ただし、同一のテンションローラ6Bの至近位置の隣接する案内溝15bを球が同時に通過するときは、研磨布の包み込み作用が不十分になることも考えられるが、そのような通過態様は稀であり、球の揚送速度は案内溝ごとに多少異なるため、上側のテンションローラ6Bの至近位置を通過するときには、若干の時間的ずれが生じるので、球が案内レールの上端部に到達するまでには、所望の研磨効果が得られる。
【0047】
上記板バネ13は、各テンションローラ6Bの至近位置に一列又は複数列が設けられる。そして、板バネ13の上下方向の間隔は、球が揚送ベルトの上昇部分を通過する間に所要の研磨効果が得られるように設定されることは当然であるが、案内レールの短小化傾向と板バネ設置スペースの確保が可能な範囲との折り合いにより、決定可能である。
【0048】
揚送ベルト5の上昇部分5uの板バネ13と反対側に設置されて、揚送ベルト5の上昇部分5uを案内レール15E方向に付勢するテンションローラ6Bは、固定式ローラでもよい良いが、本発明の好ましい実施の形態においては、図2に示すように、揚送ベルト5の上昇部分5uの背面に、従来の固定式ローラに代えて、揚送ベルトを案内レール方向に弾力的に押圧する可動式ローラからなるテンションローラ6Bが、揚送ベルト5の長手方向に隔てて複数個設けられている。テンションローラ6Bは、等間隔に配設して、揚送ベルトの上昇部分5uのいずれの部分からも、揚送ベルト5と研磨布16Eの間を揚送される球に均等な摩擦力が作用するようにすることが望ましい。
【0049】
上記のような揚送ベルト(5u)を案内レール方向に弾力的に押圧する可動式テンションローラ6Bを扉8に取り付けるための構造は、とくに限定されないが、本発明の好ましい実施の形態は、図10,11,12に示すように、本体2に取り付けられるブラケット61と、そのブラケットに取り付けられた支持軸62に一端側においてその支持軸の中心を回転自在に支持されたホルダ63と、ブラケット61とホルダ63との間に設けられ、ホルダ63に常に一定方向の回転力を加える付勢部材、例えばコイルバネ64等とからローラ取付ユニット65を構成し、ホルダ63の他端側に支持した軸66にテンションローラ17を回転自在に保持している。
【0050】
そして、図12に示すように、ローラ取付ユニット65を本体2の左右両板2a,2bの間に挿入し、ブラケット61の両側部に設けてあるネジ孔を本体の各板2a,2bに設けてある透孔と合致させ、板2a,2bの外側からその透孔にビス67を貫通し、ブラケット61のネジ孔にねじ込むことにより、ローラ取付ユニット65を取り付けている。本体2の透孔は、従来の固定式ローラの支軸にネジをねじ込むために使用されていたものを利用している。従って、従来装置に新たな加工をすることなく、ローラ取付ユニット65を取り付けることができるので、コスト上昇を抑えることができる。
【0051】
図示された好ましい実施の形態では、ホルダ63の支持軸62がテンションローラ6Bの支持軸66よりも下側においてブラケット61に取り付けられている。これにより、テンションローラ6Bが搬送される球の流れに逆らわない揺動運動をすることができるので、可動部への負荷も小さくなり、耐久性が得られる。
【0052】
また、好ましい実施の形態においては、図10に示すように、ホルダ63のテンションローラ6Bを支持する側をテンションローラ6Bよりも僅かに上方に延長するとともに、ブラケット61の上端部の揚送ベルトの上昇側部分から遠い位置にストッパ68を設けて、揚送される球によりテンションローラ6Bが押されたときの、テンションローラ6Bの支持軸62を中心とする揺動範囲を規制している。
【0053】
このストッパ68により、テンションローラ6Bが揚送される球により押されて所定位置より案内レール15Eから遠ざかる位置まで行き過ぎると、球が案内レール案内レール15Eの溝15bを乗り上げて噛み込んでしまう虞があるが、ストッパ68により揺動範囲が規制されるので、球Bが案内レール15Eの溝15bから乗り上げることが防止される。
【0054】
ローラ取付ユニット65の付勢部材には、コイルバネ64以外の周知品を用いることができるが、その付勢部材の押圧力を的確に設定できれば、あるいは、調整可能にすれば、揚送ベルト5から揚送される球Bを介して研磨布16Eに加わる力の均等化効果及び研磨性能の適正化のためには、ローラ取付ユニット65を設けるのみで十分である。
【0055】
上記の実施の形態においては、板バネ13を扉8とは別の板バネ取付板12に取付けたが、板バネを扉8に直接取付けるようにしてもよい。板バネ取付板12に取付ける場合は、板バネの取付、メンテナンス及び交換が容易にできる利点がある。
【符号の説明】
【0056】
1 揚送研磨装置
2 本体
3 駆動プーリ
4 従動プーリ
5 揚送ベルト
5u 上昇部分
5d 下降部分
8 扉
12 板バネ取付板
13,13A,13B,13C 板バネ
15E 案内レール
15b 案内溝
16E 研磨布
17 固定手段
6B テンションローラ
18 移動規制部材
20 ホルダ
21 付勢部材(コイルバネ)
22 ローラ取付ユニット
25 ストッパ
P 遊技球(パチンコ球)
【技術分野】
【0001】
本発明は,遊技機から排出されて回収された遊技球(以下、単に球という。)を揚送ベルトで研磨布に押し付けながら揚送することにより研磨し、リサイクル補給用の上部タンクに排出する揚送研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、揚送研磨装置は、横断面コ字形の本体と、その本体の背面、すなわち、開口面に開閉自在に取付けられた扉とを有し、その本体の内部空間の下部と上部に設けられた駆動プーリと従動プーリの間に無端ベルトからなる揚送ベルトを巻回するとともに、その揚送ベルトの下降側に設けたテンションプーリにより揚送ベルトを張設し、前記本体の下部外側に前記駆動プーリに回転力を与えるためのモータを取付け、さらに、前記扉の内側に、揚送される球を1列ずつ案内する複数条の案内溝を有する案内レールと、その案内レールの表面に密着され、前記揚送ベルトの上昇側に対面する研磨布とを設けて構成されている。
【0003】
そして、モータにより回転される揚送ベルトによって球を研磨布に擦り付けながら揚送することにより球を磨くので、揚送ベルトにより揚送される球に対して研磨布を所要の圧力で押圧するため、扉の内面と案内レールとの間に弾性体を介在させていた。従来用いられていた弾性体は、一つには厚板状のスポンジゴムであり、二つには均等に分散配置されたコイルバネである。
【0004】
また、従来の研磨布は、長尺帯状のものを扉の長手方向一端側の背面に設けた第1軸にロール状に巻き取り、その研磨布の先端を扉の長手方向他端側の背面に設けた第2軸に固定して、その二つの軸間の一定長の研磨布で案内レールの表面を覆うように張設し、揚送ベルトに対向させた状態で使用していた。そして、使用面が汚れたときは、使用済みの一定長の研磨布を第2軸に巻き取るとともに、第1軸のロールから未使用の一定長の研磨布を巻き戻して再び固定していた。また、従来の揚送研磨装置においては、揚送される球に研磨布を押圧させるために弾性体のみが用いられ、揚送ベルトの上昇側を垂直面に沿って緊張状態に支持するテンションローラは、揚送ベルトの案内レールと反対側において本体に固定された軸に回転自在に支持された固定式ローラであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4183417号公報
【特許文献2】特開2003−251055号公報
【特許文献3】実開平2−25288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成の従来装置においては、図13に示すように、揚送ベルト5により研磨布16の表面を揚送される球Bには、扉8に取り付けたスポンジゴム13’の弾力による押圧力が案内レール15及び研磨布16を介して加えられるが、テンションローラ6’が固定式ローラであるため、揚送される球Bがテンションローラ6’の中心と、研磨布16のそのテンションローラの中心を通る水平線上に存在する部分との間を通過するとき、スポンジゴム13’の弾力が固定式テンションローラ6’及び揚送ベルト5から大きな反力として球Bから研磨布16に加わる。
【0007】
従来の研磨布は、一例として、綿50%、ポリエステル50%の混紡糸の織布で構成され、厚み1.7mm、幅150mm、長さ18m、質量2.5kgをロール状に巻いたものを使用していた。従って、従来の研磨布は、球から受ける圧力に十分耐える強度を有しているので、汚れた場合は、揚送研磨装置から取り外し、洗浄してリサイクルしている。また、上記のように、従来の揚送研磨装置における案内レール15は、硬質合成樹脂製の剛体である。
【0008】
しかし、従来の長尺帯状の研磨布は高価であり、洗浄も容易でなく、コストがかかるため、リサイクルコストの低減が求められていた。また、従来の揚送研磨装置における研磨布の使用高さは、床面から2.5m前後にもなっていたので、研磨布の更新及び交換には踏み台等の使用を必要とするためメンテナンスが容易でなく、時間もかかり、メンテナンスにコストがかかるので、メンテナンスコストの低減も望まれていた。さらに、研磨布の更新又は交換作業が営業終了後に制限されるなどの問題があった。加えて、最近、遊技場全体の通気性向上及び防犯対策として、揚送研磨装置の高さを低くする傾向にある。
【0009】
上記メンテナンスコストの低減を実現するため、従来の厚みが1.7mm程度の長尺帯状の織布製研磨布に代えて、厚みが0.3mm程度の安価な不織布を用いることが提案された。
しかしながら、従来の厚手の研磨布16は、その厚みとクッション性とで球Bが案内レール15の案内溝を通過する際に、その球を包み込む作用をすることにより、研磨効果を発揮しているが、その研磨布を厚手の織製研磨布に代えて薄手の不織布を用いるだけで、揚送ベルト5を緊張状態に支持するテンションローラ に固定式ローラを用い、剛性の案内レールをスポンジゴムで支持する構造を変えない場合は、揚送ベルトにより揚送される球がテンションローラ至近位置を通過する際に薄手の研磨布がその球を包み込むことはできないので、研磨効率が半減するという新たな問題が生じた。
【0010】
さらに、上記のように、従来の揚送研磨装置における案内レールは、硬質合成樹脂製の剛体であり、扉の内面に固着したスポンジゴムの内面に取付られるが、スポンジゴムは製造後一定期間は、全体的に一様の弾力性を有するので、案内レールの案内溝に沿って研磨布に形成されている溝を転動する球がテンションローラ至近位置を通過するときも、そのテンションローラから離れた位置、すなわちテンションローラ間を通過するときも、案内レールの沈み込み量(揚送ベルトからの後退量)は殆ど変わらない。
ただ、球がテンションローラ至近位置を通過するときに揚送ベルトからその球に加わる押圧力は、球がテンションローラ間を通過するときに揚送ベルトからその球に加わる押圧力よりも大きい。
【0011】
そのため、使用初期のスポンジゴムの弾性が適度である場合は、テンションローラ至近位置では球の研磨布に対する押圧力が充分であるので良く研磨されるのに対して、球がテンションローラ間を通過するときは、球の研磨布に対する押圧力が充分でないので、研磨効果が小さいという問題がある。
これに対して、使用初期のスポンジゴムの弾性が過度である場合は、揚送される球がテンションローラ至近位置で揚送ベルトと研磨布の間に詰まる虞がある。
【0012】
また、スポンジゴムは経年劣化により収縮して厚みが薄くなる。従って、使用初期のスポンジゴムの弾性が適度であっても、年月の経過とともに、揚送ベルトと案内レール間の間隔が拡大して、テンションローラ至近位置を通過する球の研磨布に対する押圧力が不充分となるので、充分な研磨効果が得られなくなる。従って、研磨性能の安定性に問題があった。
【0013】
扉の内面と案内レールとの間に弾性体としてコイルばねを分散配置する従来技術においては、案内レールが剛体であるため、薄手の研磨布を用いる場合は、研磨布による球包み作用が行なわれないので、前述と同様に研磨効率が低い。
【0014】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、解決しようとする課題は、スポンジゴムの経年劣化による影響を排除するとともに、長期間にわたって確実な研磨効果が保証され、薄い研磨布を使用しても、高い研磨効率が得られる揚送研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するため、本体に張設されて一定方向に回転される揚送ベルトと、前記本体に取付けられた扉の内面に設けられた案内レールと、その案内レールに案内溝を覆うように密着させて張設され、前記揚送ベルトの上昇側に対面される研磨布とを有し、回転される前記揚送ベルトと前記研磨布の間を前記案内レールの案内溝に沿って球を転動させてその球を揚送研磨する揚送研磨装置において、(a)前記揚送ベルトの上昇側の前記案内レールと反対側に前記揚送ベルトの弛みを防止するテンションローラが所定間隔を持って備えられ、(b)前記扉の内面に固着した板バネ取付板の内面に又はその扉の内面に、前記案内レールを前記揚送ベルトの上昇側に付勢する板バネが前記案内レールの各案内溝に対応させて前記案内レールの長手方向に所定の間隔を持って備えられ、(c)前記案内レールは、前記テンションローラの至近位置における揚送ベルトと案内レールの案内溝の間を通過する球を介して前記テンションローラから受ける押圧力により当該案内溝の曲率半径が縮小するように弾性変形が可能な弾性係数を有し、(d)前記研磨布は、厚みが0.2〜0.5mm程度の不織布であること、を特徴としている(請求項1)。
【0016】
本発明は、前記板バネが、横長短冊状の取付部に、その取付部の長手方向に案内レールの案内溝の間隔と等しい間隔を持ってその取付部の長手方向に対して直角な一方向又は両方向に突出するバネ片を一体に設けてなるものであることを特徴としている(請求項2)。
【0017】
本発明は、前記板バネが、それぞれのバネ片を案内レールの各案内溝に対応させて案内レールの長手方向に複数個配設してあることを特徴としている(請求項3)。
【0018】
本発明は、前記案内レールが、垂直かつ平行な複数の案内溝を有し、球がその案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過するときに、その球及び揚送ベルトの上昇側を介して前記テンションローラから受ける押圧力により前記案内溝の曲率半径が縮小する方向に変形可能な弾性を有する合成樹脂押出し成形品であることを特徴としている(請求項4)。
【0019】
本発明は、前記扉が、内側に開口する横断面凹字状に形成され、その両側の壁の対向する内面に、板バネ群の押圧力による案内レールの揚送ベルト方向の移動を、球が案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過しないときの前記案内レールの案内溝の底部から前記揚送ベルトの上昇部分までの最短距離が前記球の直径よりも所定値だけ小さい距離となるように規制する移動規制部材を備えたことを特徴としている(請求項5)。
【0020】
本発明は、さらに、揚送ベルトを研磨布方向に弾力的に押圧するテンションローラを上下方向に所定距離隔てて複数個設けたことを特徴としている(請求項6)。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、テンションローラ至近位置における揚送ベルトと案内レールの案内溝の間を球が通過する際は、その球を介してテンションローラから受ける押圧力により案内レールの当該案内溝の曲率半径が縮小するように弾性変形するため、研磨布がその球を包み込むので、転動する球の研磨効率が向上する。また、板バネのバネ片は案内溝ごとに対応して設置されるので、球がどの案内溝を通過するときも、当該案内溝において同様の包み込み効果が得られる。
【0022】
請求項2の発明によれば、板バネの取付け工数が減り、かつ、各案内溝に対応するバネ片の設置が容易である。また、板バネのメンテナンス及び交換などが容易にできる。
【0023】
請求項3の発明によれば、案内レールの弾性係数、揚送ベルトの弾性係数、板バネの設置間隔などに応じて球に対して最適な押圧力が得られる位置に板バネの設置が可能である。
【0024】
請求項4の発明によれば、案内レールが合成樹脂の押出成形品であるので、安価な量産が可能である。
【0025】
請求項5の発明によれば、球が案内レールと揚送ベルト間に進入しやすく、また、確実に揚送研磨され、案内レールと揚送ベルト間の押圧力が過大となって球の転動を妨げることが防止される。
【0026】
請求項6の発明によれば、各テンションローラの押圧力は、揚送ベルトに分散されるため、揚送ベルトと研磨布の間を揚送される球がテンションローラ至近位置を揚送されるときに、テンションローラの押圧力が球から研磨布に局所的に加わることが防止される。つまり、球の移動行程のどの位置においても、球から研磨布に均等な押圧力が加わるので、とくに研磨布が薄手の場合には、テンションローラ至近位置の局所的な早期劣化又は破損が防止され、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】揚送研磨装置の背面の扉を開放した状態の中間省略斜視図である。ただし、駆動モータ、伝動手段、揚送ベルト、研磨布及び球流入部が取り除かれている。
【図2】図1の本発明の要部を抽出して示す側面図である。
【図3】扉の分解斜視図である。
【図4】板バネの複数種類の斜視図である。
【図5】板バネの取付け態様の一例を示す斜視図である。
【図6】研磨布を固定するクランプの一例を示す揚送研磨装置の一部の背面側斜視図である。
【図7】図2の円X部の詳細断面図である。
【図8】図7のY−Y線断面図である。
【図9】作用説明図である。
【図10】ローラ取付ユニットを抽出して示す斜視図である。
【図11】同じく正面図である。
【図12】ローラ取付ユニットの本体に対する取付状態を示す正面図である。
【図13】従来の揚送研磨装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1において、1は揚送研磨装置、2は左右一対の板部材を有する横断面コ字形の本体であり、この本体2の内部空間には、図2に示すように、下部に駆動プーリ3が、上部に従動プーリ4が設けられ、それらのプーリの間に無端の揚送ベルト5が巻回されており、その揚送ベルト5は、その下降部分5dを、テンションプーリ6Aにより弾力的に押圧することにより、張設されている。また、揚送ベルト5の上昇部分5uの内側には、その上昇部分5uの弛みを防止するためのテンションローラ6Bが、上下方向に所定の間隔を持って配設されている。本体2に設けられたモータ取付台7(図1参照)に図示されていないモータが固定され、そのモータと駆動プーリ3の間に伝動ベルト(図示省略)が巻回されている。
【0029】
本体2の左右一対の板部材のうち、一方の板部材の背面端に、扉8がヒンジ9により開閉自在に取り付けられ、他方の板部材の背面端付近に設けられたフック10を扉8に設けた受け部材11に係合させることより、扉8を閉鎖状態に保持することができるようになっている。
【0030】
図3に示すように、扉8は横断面凹字形に形成され、その扉8の内面に板バネ取付板12が密着してねじ止め、その他周知の方法で固定されている。板バネ取付板12には、その長手方向に所定の間隔を持って板バネ13が固着されている。板バネ13は、基本的には、板バネ取付板12の表面から上方及び/又は下方に斜めに起立し、先端が板バネ取付板12の表面側に湾曲するバネ片13bを有するものである。
【0031】
好ましい実施の形態では、板バネ13の製造及び板バネ取付板12に対する取付けを容易にするため、図4に例示するように、横長短冊状の取付部13aに、その長手方向に所定の間隔を置いて一方側に登り傾斜して延びる複数のバネ片13bを一体に設けてなるもの(13A)、横長短冊状の取付部13aに、その長手方向に所定の間隔を置いて両側に登り傾斜して延びる所定の複数個(図示の例では4個、5個)のバネ片13bを一体に設けてなるもの(13B,13C)などを用いている。板バネ13の形状は、13A,13B,13Cに限定されるものではない。
【0032】
そして、これらの板バネ13A,13B,13C(板バネを総体として指称するときは符号13を用いる。)は、1種類又は複数種類の混合を所定の間隔を持って取付けられている。その場合、上下に隣接する板バネは、一方の板バネのバネ片と他方の板バネのバネ片がそれぞれの先端部の湾曲面において後述される案内レール15の底面に各案内溝15bの下側において当接するように配設される。
【0033】
また、板バネ13が案内レール15に適切な押圧力を与えるため、必要に応じて、一つの板バネのバネ片13bが他の板バネのバネ片13bの間に入り組むように、板バネの固着位置が設定される。図5に示す例では、最下位に板バネ13Aが固着され、その上側に板バネ13Cが一部入り組んで固着され、それらの上側に、いずれも他のテンションローラと位置的に対応するように所定の間隔を持って板バネ13Bと13Cが一部入り組んで固着されている。
【0034】
板バネ取付板12の表面の下端部には、図3、5に示すように、球導入ブロック14が固着されている。この球導入ブロック14は、本体2の球流入口Iから揚送ベルト5の上昇部分5uと下部搬送ガイドGの間に流入した球を後述される案内レール15Eの各案内溝15bに円滑に導入するためものである。
球導入ブロック14は、耐衝撃性に優れた合成樹脂で成形され、板バネ取付板12の表面に密着してねじ止めされる両側の固着部14aと、それらの固着部14aの間に隣接して形成された所定数の球導入溝14bとを一体に有する。各球導入溝14bの境界には堤部(ランド)14cが形成され、各ランド14cの頂面と固着部14aの表面は共通の平面上に存在している。また、球導入溝14bは球が導入され易いように下端部側がわずかに深くなるように湾曲されている。そして、球導入ブロック14の上端面は、案内レール15の下端面と密着できるように形成されている。
【0035】
上記案内レール15Eは、ナイロンなどの所要の弾性係数を有する合成樹脂で帯板状に成形され、平坦な背面を板バネ取付板12の全ての板バネ13A,13B,13Cの表面に当接して取付けられる。案内レール15Eは、その表面の両側に平坦な研磨布固定面15aを有し、その間に案内レールの全長に渡って垂直かつ平行に延びる断面形状が全て同一寸法の円弧状の案内溝15bが形成されている。研磨布固定面15a及び案内溝15bはいずれも平行であるので、押出成形が可能であり、安価に製造できる。
【0036】
案内レール15Eの研磨布固定面15a及び案内溝15bの横断面形状と数は、球導入ブロック14の固着部14a及び球導入溝14bの横断面形状と数と一致している。従って、案内レール15Eの下端面を球導入ブロック14の上端面に密着させて板バネ取付板12の表面に固着したときは、球導入ブロック14の固着部14aと球導入溝14b及び案内レール15Eの研磨布固定面15aと案内溝15bがそれぞれ上下方向に連続する。
【0037】
案内レール15Eを板バネ取付板12に取付ける場合に、板バネ13が板バネ取付板12の下端部まで配置されていると、球が下部搬送ガイドGから球導入ブロック14を経て案内レール15Eに進入するたびに、球から受ける押圧力により案内レールの下端部が球導入ブロック14に対して、従ってまた、下部搬送ガイドGに対しても、前後方向(案内レールの面に対して直交する方向)に微小移動して球導入ブロック14の上端部と案内レール15Eの下端部の間に段差が生じる虞がある。
【0038】
そこで、好ましい実施の形態においては、図3及び図5に示すように、最下位の板バネ13Aと球導入ブロック14の間に板バネを設けない空間部を設け、その空間部に、沈み防止ブロック15Bを設けてある。沈み防止ブロック15Bは、ウレタン樹脂等で成形され、案内レール15Eの下端面を球導入ブロック14の上端面に当接し、かつ、案内レール15Eの背面全体を全ての板バネ13A,13B,・・・に当接した場合に、その案内レール15Eの背面下部と板バネ取付板12の表面との間に形成される空間を埋め尽くす形状と厚みを有する。そして、沈み防止ブロック15Bは、案内レール15Eの下端部とともに、板バネ取付板11に固着される。沈み防止ブロック15Bは、図3に示すように、案内レール15Eの下端部の背面に予め固着しても良いし、図5に示すように、板バネ取付板12に予め固着しておいても良い。
【0039】
案内レール15Eを板バネ13に当接した後、図8、9に示すように、扉8の両側の側壁8aの内面に移動規制部材18を固着して、案内レール15Eが板バネ13の押圧力により揚送ベルト5の上昇側に最も接近できる距離z(最接近距離)を規制している。移動規制部材18は、案内レール15Eが移動規制部材18に止められたとき、案内溝15bと球導入ブロック14の球導入溝14bを段差なく連続させる。従って、球が円滑に揚送される。
【0040】
図3の16Eは、研磨布である。この研磨布は、例えばパルプ55%、PET(ポリテレフタル酸エチレン)45%を原料とする厚さが一例として0.3〜0.5mm程度の薄手の不織布を、一例として、幅160mm、長さ1.7m程度の帯状に切断して構成されている。そして、扉8の上下に設けた研磨布固定手段であるクランプ17を操作して、例えば、図6に例示するような、クランプ17のハンドルレバー17aにより回転されるカム17bと扉8の間に研磨布16Eの上端部及び下端部を挟持して、研磨布16Eを緊張させた状態で固定している。
【0041】
案内レール15Eは、扉8が閉鎖状態にあるときは、案内溝15bが揚送ベルト5の上昇部分(5u)に対向するように固着されている。そして、案内レール15Eの表面にその全体を被覆するように研磨布16Eが装着される。そのとき、研磨布16Eの幅方向両端部は球導入ブロック14の固着部14aと案内レール15Eの研磨布固定面15aを覆っている。
【0042】
案内レール15Eの表面を被覆する研磨布16Eは、揚送ベルト5と案内レール15Eの案内溝15bの間を通過する球から受ける押圧力により、図8に示すように、各案内溝15bに沿って変形してその案内溝15bに密着される。
【0043】
上記最接近距離zは、図9(a)に示すように、案内レール15Eの案内溝15bのテンションローラ6Bに最も近い位置(テンションローラ至近位置)を球Bが通過していないときの案内溝15bの底部からそのテンションローラ6Bに当接している揚送ベルト5までの距離xが、球Bの半径(1/2)dよりも所定値yだけ小さな距離となるように設定されている。所定値yは球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときに案内レール15Eがその球から受ける押圧力によりテンションローラ6Bから後退する距離である。所定値yは、球の直径d、案内溝15bの曲率半径r、研磨布の厚みtを考慮して、球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときに案内レール15Eがその球から受ける押圧力によりテンションローラ6Bから後退したときに、その球Bが通過する案内溝15bの曲率半径rが図9(b)に示すように研磨布16Eが球Bを包み込むことができる曲率半径r’に縮小するように設定される。
【0044】
図9(a)に示す例では、d=11.0mm、r=6.5mm、t=0.3mmである場合に、x=d−y=11.0−2.0=9.0mm、y=2.0mm、z=4.8mmである。従って、また、球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときは、図9(b)に示すように、最接近距離z=6.8mm、案内溝15bの曲率半径r’=5.5+0.3=5.8mm、又はr’<5.8mmとなる。
【0045】
そして、本発明における案内レール15Eは、上記のように、球Bが案内溝15bのテンションローラ至近位置を通過するときに案内レール15Eがその球から受ける押圧力によりテンションローラ6Bから所定値y後退するときに、案内溝15bの曲率半径rが縮小することができる弾性係数を有する。
この案内溝15bの曲率半径rが縮小することにより、図9(b)に示すように、研磨布16Eが球Bの球面のほぼ半分を包み込むので、案内溝15b内を転動する球はその球面の全面が効率良く研磨されることとなる。
【0046】
板バネ13は、各案内溝15bごとに配設されているので、他の案内溝15b内を転動する球についても同様の作用効果が得られる。ただし、同一のテンションローラ6Bの至近位置の隣接する案内溝15bを球が同時に通過するときは、研磨布の包み込み作用が不十分になることも考えられるが、そのような通過態様は稀であり、球の揚送速度は案内溝ごとに多少異なるため、上側のテンションローラ6Bの至近位置を通過するときには、若干の時間的ずれが生じるので、球が案内レールの上端部に到達するまでには、所望の研磨効果が得られる。
【0047】
上記板バネ13は、各テンションローラ6Bの至近位置に一列又は複数列が設けられる。そして、板バネ13の上下方向の間隔は、球が揚送ベルトの上昇部分を通過する間に所要の研磨効果が得られるように設定されることは当然であるが、案内レールの短小化傾向と板バネ設置スペースの確保が可能な範囲との折り合いにより、決定可能である。
【0048】
揚送ベルト5の上昇部分5uの板バネ13と反対側に設置されて、揚送ベルト5の上昇部分5uを案内レール15E方向に付勢するテンションローラ6Bは、固定式ローラでもよい良いが、本発明の好ましい実施の形態においては、図2に示すように、揚送ベルト5の上昇部分5uの背面に、従来の固定式ローラに代えて、揚送ベルトを案内レール方向に弾力的に押圧する可動式ローラからなるテンションローラ6Bが、揚送ベルト5の長手方向に隔てて複数個設けられている。テンションローラ6Bは、等間隔に配設して、揚送ベルトの上昇部分5uのいずれの部分からも、揚送ベルト5と研磨布16Eの間を揚送される球に均等な摩擦力が作用するようにすることが望ましい。
【0049】
上記のような揚送ベルト(5u)を案内レール方向に弾力的に押圧する可動式テンションローラ6Bを扉8に取り付けるための構造は、とくに限定されないが、本発明の好ましい実施の形態は、図10,11,12に示すように、本体2に取り付けられるブラケット61と、そのブラケットに取り付けられた支持軸62に一端側においてその支持軸の中心を回転自在に支持されたホルダ63と、ブラケット61とホルダ63との間に設けられ、ホルダ63に常に一定方向の回転力を加える付勢部材、例えばコイルバネ64等とからローラ取付ユニット65を構成し、ホルダ63の他端側に支持した軸66にテンションローラ17を回転自在に保持している。
【0050】
そして、図12に示すように、ローラ取付ユニット65を本体2の左右両板2a,2bの間に挿入し、ブラケット61の両側部に設けてあるネジ孔を本体の各板2a,2bに設けてある透孔と合致させ、板2a,2bの外側からその透孔にビス67を貫通し、ブラケット61のネジ孔にねじ込むことにより、ローラ取付ユニット65を取り付けている。本体2の透孔は、従来の固定式ローラの支軸にネジをねじ込むために使用されていたものを利用している。従って、従来装置に新たな加工をすることなく、ローラ取付ユニット65を取り付けることができるので、コスト上昇を抑えることができる。
【0051】
図示された好ましい実施の形態では、ホルダ63の支持軸62がテンションローラ6Bの支持軸66よりも下側においてブラケット61に取り付けられている。これにより、テンションローラ6Bが搬送される球の流れに逆らわない揺動運動をすることができるので、可動部への負荷も小さくなり、耐久性が得られる。
【0052】
また、好ましい実施の形態においては、図10に示すように、ホルダ63のテンションローラ6Bを支持する側をテンションローラ6Bよりも僅かに上方に延長するとともに、ブラケット61の上端部の揚送ベルトの上昇側部分から遠い位置にストッパ68を設けて、揚送される球によりテンションローラ6Bが押されたときの、テンションローラ6Bの支持軸62を中心とする揺動範囲を規制している。
【0053】
このストッパ68により、テンションローラ6Bが揚送される球により押されて所定位置より案内レール15Eから遠ざかる位置まで行き過ぎると、球が案内レール案内レール15Eの溝15bを乗り上げて噛み込んでしまう虞があるが、ストッパ68により揺動範囲が規制されるので、球Bが案内レール15Eの溝15bから乗り上げることが防止される。
【0054】
ローラ取付ユニット65の付勢部材には、コイルバネ64以外の周知品を用いることができるが、その付勢部材の押圧力を的確に設定できれば、あるいは、調整可能にすれば、揚送ベルト5から揚送される球Bを介して研磨布16Eに加わる力の均等化効果及び研磨性能の適正化のためには、ローラ取付ユニット65を設けるのみで十分である。
【0055】
上記の実施の形態においては、板バネ13を扉8とは別の板バネ取付板12に取付けたが、板バネを扉8に直接取付けるようにしてもよい。板バネ取付板12に取付ける場合は、板バネの取付、メンテナンス及び交換が容易にできる利点がある。
【符号の説明】
【0056】
1 揚送研磨装置
2 本体
3 駆動プーリ
4 従動プーリ
5 揚送ベルト
5u 上昇部分
5d 下降部分
8 扉
12 板バネ取付板
13,13A,13B,13C 板バネ
15E 案内レール
15b 案内溝
16E 研磨布
17 固定手段
6B テンションローラ
18 移動規制部材
20 ホルダ
21 付勢部材(コイルバネ)
22 ローラ取付ユニット
25 ストッパ
P 遊技球(パチンコ球)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に張設されて一定方向に回転される揚送ベルトと、前記本体に取付けられた扉の内面に取付けられた案内レールと、その案内レールに案内溝を覆うように密着させて張設され、前記揚送ベルトの上昇側に対面される研磨布とを有し、回転される前記揚送ベルトと前記研磨布の間を前記案内レールの案内溝に沿って球を転動させてその球を揚送研磨する揚送研磨装置において、
前記揚送ベルトの上昇側の前記案内レールと反対側に前記揚送ベルトの弛みを防止するテンションローラが所定間隔を持って備えられ、
前記扉の内面に固着した板バネ取付板の内面に又はその扉の内面に、前記案内レールを前記揚送ベルトの上昇側に付勢する板バネが前記案内レールの各案内溝に対応させて前記案内レールの長手方向に所定の間隔を持って備えられ、
前記案内レールは、前記テンションローラの至近位置における揚送ベルトと案内レールの案内溝の間を通過する球を介して前記テンションローラから受ける押圧力により当該案内溝の曲率半径が縮小するように弾性変形が可能な弾性係数を有し、
前記研磨布は、厚みが0.2〜0.5mm程度の不織布である、
ことを特徴とする揚送研磨装置。
【請求項2】
前記板バネが、横長短冊状の取付部に、その取付部の長手方向に案内レールの案内溝の間隔と等しい間隔を持ってその取付部の長手方向に対して直角な一方向又は両方向に突出するバネ片を一体に設けてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項3】
前記板バネが、それぞれのバネ片を案内レールの各案内溝に対応させて案内レールの長手方向に複数個配設してあることを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項4】
前記案内レールが、垂直かつ平行な複数の案内溝を有し、球がその案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過するときに、その球及び揚送ベルトの上昇側を介して前記テンションローラから受ける押圧力により前記案内溝の曲率半径が縮小する方向に変形可能な弾性を有する合成樹脂押出し成形品であることを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項5】
前記扉が、内側に開口する横断面凹字状に形成され、その両側の壁の対向する内面に、板バネ群の押圧力による案内レールの揚送ベルト方向の移動を、球が案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過しないときの前記案内レールの案内溝の底部から前記揚送ベルトの上昇部分までの最短距離が前記球の直径よりも所定値だけ小さい距離となるように規制する移動規制部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項6】
揚送ベルトを研磨布方向に弾力的に押圧するテンションローラを上下方向に所定距離隔てて複数個設けたことを特徴する請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項1】
本体に張設されて一定方向に回転される揚送ベルトと、前記本体に取付けられた扉の内面に取付けられた案内レールと、その案内レールに案内溝を覆うように密着させて張設され、前記揚送ベルトの上昇側に対面される研磨布とを有し、回転される前記揚送ベルトと前記研磨布の間を前記案内レールの案内溝に沿って球を転動させてその球を揚送研磨する揚送研磨装置において、
前記揚送ベルトの上昇側の前記案内レールと反対側に前記揚送ベルトの弛みを防止するテンションローラが所定間隔を持って備えられ、
前記扉の内面に固着した板バネ取付板の内面に又はその扉の内面に、前記案内レールを前記揚送ベルトの上昇側に付勢する板バネが前記案内レールの各案内溝に対応させて前記案内レールの長手方向に所定の間隔を持って備えられ、
前記案内レールは、前記テンションローラの至近位置における揚送ベルトと案内レールの案内溝の間を通過する球を介して前記テンションローラから受ける押圧力により当該案内溝の曲率半径が縮小するように弾性変形が可能な弾性係数を有し、
前記研磨布は、厚みが0.2〜0.5mm程度の不織布である、
ことを特徴とする揚送研磨装置。
【請求項2】
前記板バネが、横長短冊状の取付部に、その取付部の長手方向に案内レールの案内溝の間隔と等しい間隔を持ってその取付部の長手方向に対して直角な一方向又は両方向に突出するバネ片を一体に設けてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項3】
前記板バネが、それぞれのバネ片を案内レールの各案内溝に対応させて案内レールの長手方向に複数個配設してあることを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項4】
前記案内レールが、垂直かつ平行な複数の案内溝を有し、球がその案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過するときに、その球及び揚送ベルトの上昇側を介して前記テンションローラから受ける押圧力により前記案内溝の曲率半径が縮小する方向に変形可能な弾性を有する合成樹脂押出し成形品であることを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項5】
前記扉が、内側に開口する横断面凹字状に形成され、その両側の壁の対向する内面に、板バネ群の押圧力による案内レールの揚送ベルト方向の移動を、球が案内レールの案内溝のテンションローラ至近位置を通過しないときの前記案内レールの案内溝の底部から前記揚送ベルトの上昇部分までの最短距離が前記球の直径よりも所定値だけ小さい距離となるように規制する移動規制部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項6】
揚送ベルトを研磨布方向に弾力的に押圧するテンションローラを上下方向に所定距離隔てて複数個設けたことを特徴する請求項1に記載の揚送研磨装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−100985(P2012−100985A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253865(P2010−253865)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000146663)株式会社新興製作所 (60)
【出願人】(000127628)株式会社エース電研 (339)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000146663)株式会社新興製作所 (60)
【出願人】(000127628)株式会社エース電研 (339)
【Fターム(参考)】
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