説明

換気サポートサイクルの向上を伴う方法及び機器

呼吸の吸気サイクル中及び呼気サイクル中に患者に対して様々な圧力で空気を供給するとともに、患者の呼吸流量が閾値レベルを超えると吸気動作から呼気動作へとサイクルする人工呼吸器。閾値は、吸気の初めから吸気の終わりへ向かって概ね増大する。この増大は、吸気サイクルの全てにわたって、あるいは一部だけにわたって直線的であってもよく、また、閾値は、吸気サイクルの最初の部分の間にわたってサイクルが妨げられるように調整できる。最小レベル及び最大レベルがいずれもピーク流量の関数であってもよく、また、閾値は、経過吸気時間に応じて増大してもよい。閾値が最小レベルから最大レベルへと増大する比率は、個々の患者の必要性において調整できてもよく、また、前の呼吸から決定されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、被検者の呼吸サイクルと同期する換気支援を与えるための方法及び機器に関する。より具体的には、本発明は、人工呼吸器を同期させ、人工呼吸器の圧力応答を患者の呼吸サイクルと連動してサイクルさせるための方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
本発明は、呼吸流量がサイクルのために使用される任意の形態の換気に対して適用できるが、主に非侵襲的な圧力サポート換気において有用である。また、本発明は、特に圧力サポートの類の侵襲的な換気にも用途を見出す。本発明は、一般に睡眠時無呼吸を有さないが呼吸機能不足又は呼吸不全を伴う患者に関し、高レベル圧力サポートの存在下で最も大きな用途を見出す。その場合、換気支援は、一般的には主に夜に与えられるが、昼間のある時間中に十分に与えられてもよい。特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、呼吸の仕組みが異常であると、サイクルが顕著な問題となる。
【0003】
人工呼吸器においては、人工呼吸器が適切な換気応答を行うことができるように、患者の実際の呼吸サイクルが吸気から呼気へ又はその逆へ切り換わる時期を検出するための制御プロセスを有することがしばしば必要となる。例えば、幾つかの換気装置は、患者の呼吸サイクルの吸気部分の間にわたって適切な圧力を供給するために吸気圧力をトリガする時期を決定するためのプロセスを行う。同様に、このような装置は、患者の呼気中に適切な機械−患者応答を供給するために呼気圧力へとサイクルさせる時期を決定するためのプロセスを有している場合もある。このようなプロセスは、人工呼吸器を患者の実際の呼吸サイクルと同期させる働きをする。当業者であれば分かるように、「トリガ」は、患者の吸気を目的とする圧力レベルの開始に関連付けられる事象であり、また、「サイクル」は、患者の呼気を目的とする圧力レベルへの切り換えに関連付けられる事象である。
【0004】
例えば、二相性人工呼吸器は、患者の呼吸サイクルの吸気部分、いわゆるIPAP中に高圧レベルを供給するとともに、呼吸サイクルの呼気部分、いわゆるEPAP中に低圧レベルを供給する。従来から、切り換えは、呼吸流量又は圧力を監視し且つゼロやピーク流量のパーセンテージなどの閾値レベルを規定することによって行われる場合がある。測定された呼吸流量値が閾値を下回ると、装置はEPAPを遂行する。このような切り換えに代わる他の手段は、呼吸速度の記録及び吸気の開始からの経過時間の監視を伴っていてもよい。この場合、機械は、呼吸サイクルの吸気部分のための期待時間である時間に達した後、呼吸サイクルの呼気部分に切り換えてもよい。
【0005】
サイクルのためのこれらのプロセスの目的は、人工呼吸器をユーザにとって更に快適なものにすることである。なぜなら、呼吸事象が適切に同期されないと、装置が患者にとって非常に不快なものとなり得るからである。更に極めて重要な目的は、特に深刻な呼気流量制限を伴うCOPDにおけるガス交換を最適化して、動的過膨脹を引き起こす長い吸気時間を回避することである。サイクルのためのこの方法は、時として呼気を不適切に検出する可能性があり、それにより不適切な圧力変化をもたらす。例えば、人工呼吸器が非常に早期に呼気へとサイクルする場合には、吸気中にサポートを必要とするときに患者に対してサポートが殆ど行われない。したがって、不適切な同期化を最小限に抑えることによりこのようなプロセスを改善することが必要である。
【発明の簡単な説明】
【0006】
本発明の目的は、時間に応じて変化する可変サイクル閾値を与えることにより同期化を向上させることである。
【0007】
本発明の更なる目的は、吸気中にサイクルが進行するにつれて感度が高くなるように変化する同期呼気閾値を与えることである。
【0008】
更なる目的は、本発明の以下の説明を考慮することにより当業者には明らかとなる。
【0009】
本発明では、人工呼吸器が吸気から呼気へと進むべきかどうかを決定するために、流量の指標と比較される同期閾値が計算される。好ましい実施形態において、閾値は、時間の関数であり、1つの吸気サイクル内でサイクルの初期段階中の低感度閾値からサイクルの後期段階中の更に高い感度へと変化することができる。本発明の一実施形態において、閾値には、1サイクル内の特定の時間中に呼気への移行をこのような移行が望ましくなく、又は患者の呼気への実際の進行を正確に反映する可能性が低いときに妨げるための不応期間が与えられる。本発明の更なる態様を以下の明細書で詳細に説明する。
【発明の詳細な説明】
【0010】
図1を参照すると、圧力供給装置は、サーボ制御ブロワ2と、マスク6と、ブロワ2とマスク6との間を接続するための空気供給管路8とを含んでいる。排気ガスは排気口13を介して放出される。場合によって、流量センサ4f及び/又は圧力センサ4pが利用されてもよく、その場合には、流量信号F(t)を得るために、呼吸流量図及び差圧トランスデューサ又は同様の装置を使用してマスク流量が測定されてもよく、また、圧力信号Pmask(t)を得るために、圧力トランスデューサを使用して圧力タップでマスク圧力が測定される。当業者であれば流量及び圧力の測定方法を理解していることは言うまでもないため、図1には圧力センサ4f及び流量センサ4pだけが象徴的に示されている。圧力要求信号Prequest(t)を得るために、流量信号F(t)及び圧力信号Pmask(t)はコントローラ又はマイクロプロセッサ15へ送られる。あるいは、米国特許第5,740,795号、第6,332,463号又は第6,237,593号に開示されるように、前述した流量センサや圧力センサを設けることなく、モータに供給される電流及び/又はモータの速度を監視することにより、流量信号F(t)及び圧力信号Pmask(t)がブロワモータに関して評価され、又は計算されてもよい。場合によって、ブロワモータ速度がほぼ一定に保持されてもよく、また、気流をマスクへ方向変換させ、あるいは供給することができるサーボバルブの開放を制御することによりマスク内の圧力が変化されてもよい
【0011】
コントローラ15又はプロセッサは、本明細書で詳細に説明する方法論を実行するように構成されて適合されており、また、集積チップ、メモリ及び/又は他の命令又はデータ記憶媒体を含んでいてもよい。例えば、制御方法を伴うプログラム命令が、装置のメモリ中の集積チップにコード化され、あるいは、ソフトウェアとしてロードされてもよい。
【0012】
好ましくは、装置は、一般に呼気中よりも吸気中において高い様々な圧力レベルの連続気道陽圧を供給する。しかしながら、本明細書で説明する本発明の制御原理にしたがって、他の更に快適な様々な自然患者同期圧力変化などの他のタイプの換気圧処置が機器内で実施されてもよい。
【0013】
本発明の原理にしたがって、同期閾値は、1つの吸気呼吸サイクル内で時間に応じて変化する。すなわち、閾値は、サイクル中にわたって一定のままではない。むしろ、閾値が経時的に増大し、それにより、閾値が吸気サイクル中に更に高感度となり、そのため、閾値により、結果として、吸気サイクルが呼気まで進むときに人工呼吸器がサイクルし易くなる。例えば、可変サイクル閾値は、吸気時間が経過するときに装置により連続的に計算されてもよく、また、その期間中に閾値を下回る流量降下により呼気が検出されるまで変化することができる。本発明を眺める他の方法は、吸気が進行するにつれてサイクルの開始に対して人工呼吸器の感度が益々高くなるという方法である。
【0014】
本発明の1つの実施例が図2に示されている。図中、呼気を検出するためのサイクル閾値関数(破線で示される)は、吸気の過程中に低感度から高感度へと変化される。この感度の増大は同期化を向上させる。なぜなら、そのようにサイクル中に閾値が変動すると、装置が吸気の早い段階で呼気へと誤って切り換わってしまう可能性が低いが、吸気が進むにつれて閾値により人工呼吸器が呼気へと切り換わる可能性が高くなるからである。すなわち、吸気の初期部分の間にわたってサイクルすることは難しく、吸気の後期部分の間にわたってサイクルすることは容易である。
【0015】
本実施形態において、閾値は、吸気の期待時間であることが好ましい時間Tmaxに応じて変化する。また、場合によって、閾値は、最小閾値及び/又は最大閾値の間で変化するように制限されてもよい。一実施形態において、最大閾値及び最小閾値は、ピーク流量、例えばそれぞれ50%及び10%などのある割合又はパーセンテージの前の呼吸のピーク流量の関数であってもよい。あるいは、最大閾値及び最小閾値は、流量測定に基づくゼロよりも大きい何らかの所定の固定された大きさであってもよい。臨床医又は医師がこれらのパーセンテージ又は大きさを選択してもよい。
【0016】
最大値と最小値との間で、閾値は、経過吸気時間の増加関数などの増加関数であることが好ましい。例えば、増加関数は、期待吸気時間Tmaxに対する経過吸気時間(Tinsp_elapsed)の比率(例えば、k×Tinsp_elapsed/Tmax)であってもよい。ここで、kは、感度の高速増大を必要とする患者が高速サイクルを必要とする患者のための更に速い呼気へのサイクルを行えるように更に高く調整できる予め設定された感度定数である。一実施形態において、Tmaxすなわち期待吸気時間は、前の呼吸から、例えば前の5つの正常な呼吸(例えば咳を除く)からの平均吸気時間として決定される。あるいは、Tmaxは、予め設定された最大吸気サイクル時間であってもよい。経過吸気時間Tinsp_elapsedカウンタは、呼気中に0に設定することができるとともに、吸気の初めにカウントをし始める。例えば、閾値が以下のように設定されてもよい。
Temp_Threshold=(k×Tinsp_elapsed/Tmax)×max_threshold
Temp_Threshold<min_thresholdである場合には、
閾値をmin_thresholdに設定する。
Temp_Threshold>max_thresholdである場合には、
閾値をmax_threshold に設定する。
それ以外の場合には、
閾値をTemp_Thresholdに設定する。
【0017】
吸気時間に応じてサイクル閾値を変えるために他の代わりの方式が利用されてもよい。例えば、同期閾値は、(a)期待吸気期間の最初の部分の間にわたって、例えば期待サイクル時間の約25%の間にわたって最小閾値に設定され、(b)期待吸気期間の中間部分の間(例えば期待吸気サイクル時間の次の約50%の間)にわたって最小値から最大値へと至る勾配をもって設定され、(c)期待吸気期間の最後の部分の間(例えば期待サイクル時間の最後の約25%の間)にわたって最大閾値に設定されてもよい。このような機能は、図2Bのグラフによって示される閾値乗数関数又は閾値感度関数によって実施されてもよい。図2Bの関数を利用して、サイクルのための同期閾値が以下の式によって計算されてもよい。
Threshold=Ts(t)×Peak_Flow
ここで、Ts(t)は、図2Bのグラフによって示されるような0〜1の乗数をもたらす吸気サイクル時間の閾値感度関数であり、
Peak_Flowはピーク吸気流量である。
【0018】
図2Bに示されたグラフでは、吸気サイクルの最初の部分の間にわたって乗数が0又は低い値(例えば、0.10)であってもよく、サイクルが進むにつれて、乗数が最大レベル(例えば、0.60)へ向かって勾配をもつことができる。当業者であれば、効果的なサイクル閾値を導入するために1サイクル内で経時的に閾値の感度を高めるための閾値感度関数に関して形成できる異なる形態の乗数グラフを認識できる。本発明の全ての実施形態において、閾値は、一般に、吸気の初めから吸気の最後まで増大する。一形態において、増大比率は一定である。
【0019】
図3に示される他の実施形態において、閾値は、単調増加関数として勾配をもっていてもよい。勾配は、吸気の初めに0流量で始まり、呼吸サイクルの吸気部分が進行するにつれて増大してもよい。この実施形態は、最小閾値を0に設定し且つ感度定数を1に設定することによって図2の実施形態に関して説明した式により実施されてもよい。最大閾値は、何らかの所望のパーセンテージのピーク流量に設定されてもよい。このようにすると、患者の吸気の時間が期待時間又は何らかの所定の最大時間に近づくにつれて、サイクル閾値は、勾配をもって徐々に予め設定された最大パーセンテージのピーク流量へと向かう。あるいは、図2Bの感度関数に関して、乗数のグラフは、0から始まって、更に高いレベルへと増大してもよい。時限呼吸の場合には、時限呼吸の初めに流量が一般にゼロ又は負であるため、実際の流量が0のサイクル閾値を下回ることから、このアルゴリズムが迅速なサイクルを引き起こすことは明らかである。そのため、このサイクル閾値関数は、前述したように誘発呼吸に関してのみ適用できるが、その期間中に人工呼吸器により供給される圧力サポートによって流量がかなりプラスになるようにする時間を与えることができる絶対不応期間(サイクルが起こり得る前の最小吸気時間)と組み合わせて使用されてもよい(あるいは、サイクルを、流量が下向きでのみ閾値と交差するときに行われるように制御することができる)。
【0020】
一実施形態において、不応期間は、特定の時間中に呼気へのサイクルを防止するために実施される。例えば、このような実施が図4のグラフに示されている。図4には、吸気時間の関数である不応期間を伴って一定の閾値が示されている。図示の例において、サイクル閾値は、吸気の初めに作用することができず、したがって、不応期間中にサイクルを妨げる。サイクル閾値は、人工呼吸器を適切にサイクルさせる所望のパーセンテージのピーク流量をとり得るが、不応期間中にサイクルを妨げるレベル(例えば、−4×ピーク流量)に設定される場合がある。しかしながら、不応期間の経過後、閾値は、増大して所望の作用可能な閾値レベルに戻る。例えば、閾値は、以下のように吸気サイクルにおける期待時間の最初の25%の間にわたって作用できなくなるように設定されてもよい。
insp_elapsed<0.25×Tmaxの場合には、
Threshold=−4×ピーク流量
それ以外の場合には、
Threshold=0.25×ピーク流量
【0021】
同様に、このような不応期間は、図3及び図4に開示された先の実施形態の増加関数において導入されてもよい。例えば、図5のサイクル閾値によって示されるように、最小閾値と最大閾値との間に制限される増加関数は、吸気の初期の部分の間に不応期間を有しており、その後にのみ有効となる。
【0022】
先に説明した実施の様々な態様は、人工呼吸器を同期化させるための他の動的閾値を形成するために組み合わされてもよい。1つのこのような組み合わせが図6に示されている。グラフにおいては、サイクルの最初の時間帯の間にわたって不応期間が実施される。サイクルの次の時間帯(A)では、最小閾値が適用される。その次の時間帯(B)では、閾値が勾配をもって最小閾値から第2段閾値へと向かう。第2段閾値は、4番目の期間(C)の間にわたって適用される。最後に、最終期間Dにおいて、閾値は、第2段閾値から最大値の増加関数である。
【0023】
時限呼吸と誘発呼吸の呼吸メカニズムは異なっている。時限呼吸では、呼吸の開始時に呼吸流量がかなりマイナスとなる場合があり、呼吸の開始後にしばらくの間だけ患者の努力が起こる場合があり、あるいは、全く起こらない場合がある。低圧サポートレベルでは、特にサイクル閾値が固定された値である場合、又は最大比率のピーク流量及び何らかの固定された最小(プラス)サイクル閾値である場合に、早いサイクルが起こる場合がある。自発呼吸期間中に圧力サポートレベルが非常に低い場合がある圧力サポートサーボ人工呼吸器の場合には、誘発呼吸から時限呼吸への移行後の最初の呼吸又は2つの呼吸が比較的効果がなく早期サイクルが起こらなかった場合よりも確かに効果が少ない場合があるという結果になる可能性がある。このため、また、他の理由により、時限呼吸及び誘発呼吸において異なるサイクル閾値アルゴリズムを有することに利点がある。
【0024】
ある状況下においては、一般に時限呼吸中、特定の割合の吸気において適度にマイナスのサイクル閾値を有することに利点がある。このことは、患者の努力によって吸気を終わらせることができるが、吸気が積極的に終わらないことを意味している。マイナスのサイクル閾値の期間の終わりには、サイクル閾値が更にプラスの値に向かって急に又は滑らかに変化し得る。
【0025】
サイクル閾値は、吸気時間の一部又は全部の間にわたって、何らかの所定の一定値と例えば(瞬間)ピーク呼吸流量などの呼吸流量の何らかの関数との両方から成る関数であってもよい。
【0026】
好ましい実施形態では、これらの多くの特徴が組み合わされることにより、時限呼吸中のサイクルアルゴリズムが以下のようになる。
【0027】
最大吸気時間TiMaxが存在し、この最大吸気時間では、任意の他の状態に関係なくサイクルが起こる。TiMaxは、時限呼吸にとって妥当な値に設定される。例えば、時限呼吸期間(バックアップレートの逆数)がTTotTimedである場合には、TiMaxは、対象患者における妥当な吸気部分(一般には、0.25〜0.4)にTTotTimedを乗じた値に等しい。
【0028】
[0,TiMax/6)の吸気時間においては、サイクルが起こり得ない。
【0029】
[TiMax/6,TiMax/3)の吸気時間においては、サイクル閾値がある小さいマイナスの値QCycMin、例えば−0.1l/sとなる。
【0030】
QPeak(Ti)は吸気時間Tiにおける瞬間ピーク流量を示すものとする。
【0031】
QPeakPos(Ti)=max(瞬間ピーク流量QPeak(Ti),0)であるとする。
【0032】
[TiMax/3,TiMax×2/3)の吸気時間Tiにおいて、サイクル閾値QCycは、この吸気時間間隔の開始時における値QCycMinとこの吸気時間間隔の終了時におけるQPeakPos(Ti)の割合FCycに等しい閾値との間での補間によって、特に以下によって与えられる。
QCyc=(Ti−TiMax/3)/(TiMax×2/3−TiMax/3)×(FCyc×QPeakPos(Ti)−QCycMin)+QCycMin
【0033】
[TiMax×2/3,TiMax)の吸気時間Tiにおいて、サイクル閾値QCycはQPeakPos(Ti)の割合FCycによって与えられる。
【0034】
この開示全体に記載される様々な実施形態に関して本発明を説明してきたが、これらの実施形態が本発明の様々な原理の適用の単なる例示であることは言うまでもない。本明細書で議論された本発明の例示的な実施形態に加え、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、多数の変更が成されてもよく、また、他の構成が案出されてもよい。例えば、この開示では、サイクル閾値が一般に図式的に示されているが、吸気のためのトリガ閾値として同様の閾値が実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の方法を実施するための好ましい人工呼吸器の構造を示している。
【図2】1サイクル内で時間に伴って変化する呼気同期閾値の一実施形態のグラフである。
【図2B】呼気同期閾値を1サイクル内で時間と共に変化させるための感度関数のグラフである。
【図3】1サイクル内で時間に伴って変化する呼気同期閾値の他の実施形態のグラフである。
【図4】1サイクル内に不応期間を含む呼気同期閾値の一実施形態のグラフである。
【図5】1サイクル内で時間に伴って変化し且つ不応期間を含む呼気同期閾値の一実施形態のグラフである。
【図6】1サイクル内で時間に伴って変化する呼気同期閾値の他の実施形態のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸の吸気サイクル中及び呼気サイクル中に患者に対して様々な圧力で空気を供給するとともに、患者の呼吸流量が閾値レベルを超えると吸気動作から呼気動作へとサイクルする人工呼吸器において、閾値が吸気の初めから吸気の終わりへ向かって概ね増大することを特徴とする人工呼吸器。
【請求項2】
閾値が、吸気サイクルの少なくとも一部の間にわたって直線的に増大する、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項3】
吸気サイクルの最初の部分の間にわたってサイクルが妨げられる、請求項2に記載の人工呼吸器。
【請求項4】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大し、これらの両方のレベルがピーク流量の関数である、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項5】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大し、これらの各レベルがピーク流量の対応するパーセンテージである、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項6】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大し、これらの各レベルが、ゼロレベルを上回る対応する所定の大きさである、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項7】
閾値が、経過吸気時間に応じて、最小レベルから最大レベルへと増大する、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項8】
閾値が、経過吸気時間及び期待最大吸気時間の両方に応じて、最小レベルから最大レベルへと増大する、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項9】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大する比率が、個々の患者の必要性において調整できる、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項10】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大する比率が、前の呼吸から決定される、請求項1に記載の人工呼吸器。
【請求項11】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大する比率が、所定数の前の正常な呼吸の平均吸気時間に基づいている、請求項10に記載の人工呼吸器。
【請求項12】
呼吸の吸気サイクル中及び呼気サイクル中に患者に対して様々な圧力で空気を供給するとともに、患者の呼吸流量が閾値レベルを超えると吸気動作から呼気動作へとサイクルする人工呼吸器を作動させる方法において、閾値が吸気の初めから吸気の終わりへ向かって概ね増大することを特徴とする方法。
【請求項13】
閾値が、吸気サイクルの少なくとも一部の間にわたって直線的に増大する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
吸気サイクルの最初の部分の間にわたってサイクルが妨げられる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大し、これらの両方のレベルがピーク流量の関数である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大し、これらの各レベルがピーク流量の対応するパーセンテージである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大し、これらの各レベルが、ゼロレベルを上回る対応する所定の大きさである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
閾値が、経過吸気時間に応じて、最小レベルから最大レベルへと増大する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
閾値が、経過吸気時間及び期待最大吸気時間の両方に応じて、最小レベルから最大レベルへと増大する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大する比率が、個々の患者の必要性において調整できる、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大する比率が、前の呼吸から決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
閾値が最小レベルから最大レベルへと増大する比率が、所定数の前の正常な呼吸の平均吸気時間に基づいている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
呼吸の吸気サイクル中及び呼気サイクル中に患者に対して様々な圧力で空気を供給するとともに、患者の呼吸流量に応じて吸気動作から呼気動作へとサイクルする人工呼吸器において、吸気が進行するにつれてサイクルの開始に対して人工呼吸器の感度が益々高くなることを特徴とする人工呼吸器。
【請求項24】
感度が、吸気サイクルの少なくとも一部の間にわたって直線的に高くなる、請求項23に記載の人工呼吸器。
【請求項25】
吸気サイクルの最初の部分の間にわたってサイクルが妨げられる、請求項24に記載の人工呼吸器。
【請求項26】
感度がピーク流量に応じて高くなる、請求項23に記載の人工呼吸器。
【請求項27】
感度が経過吸気時間に応じて高くなる、請求項23に記載の人工呼吸器。
【請求項28】
感度が、経過吸気時間及び期待最大吸気時間の両方に応じて高くなる、請求項23に記載の人工呼吸器。
【請求項29】
感度が高くなる比率が、個々の患者の必要性において調整できる、請求項23に記載の人工呼吸器。
【請求項30】
感度が高くなる比率が、前の呼吸から決定される、請求項23に記載の人工呼吸器。
【請求項31】
感度が高くなる比率が、所定数の前の正常な呼吸の平均吸気時間に基づいている、請求項30に記載の人工呼吸器。
【請求項32】
呼吸の吸気サイクル中及び呼気サイクル中に患者に対して様々な圧力で空気を供給するとともに、患者の呼吸流量に応じて吸気動作から呼気動作へとサイクルする人工呼吸器を作動させる方法において、吸気が進行するにつれてサイクルの開始に対して人工呼吸器の感度が益々高くなることを特徴とする方法。
【請求項33】
感度が、吸気サイクルの少なくとも一部の間にわたって直線的に高くなる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
吸気サイクルの最初の部分の間にわたってサイクルが妨げられる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
感度がピーク流量に応じて高くなる、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
感度が経過吸気時間に応じて高くなる、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
感度が、経過吸気時間及び期待最大吸気時間の両方に応じて高くなる、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
感度が高くなる比率が、個々の患者の必要性において調整できる、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
感度が高くなる比率が、前の呼吸から決定される、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
感度が高くなる比率が、所定数の前の正常な呼吸の平均吸気時間に基づいている、請求項32に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−503278(P2008−503278A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516889(P2007−516889)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000895
【国際公開番号】WO2006/000017
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(500046450)レスメド リミテッド (192)