説明

換気扇フィルタ保持枠

【課題】斜面枠部の通気口を通した換気扇へのフィルタの巻き込みを防止することができ、しかも製造された時点で補強構造を有した換気扇フィルタ保持枠を提供する。
【解決手段】各斜面枠部に通気口を複数の部分通気口に分割する仕切り枠を、基材シートと同一素材で一体的に形成したので、斜面枠部の通気口を通した換気扇へのフィルタの巻き込みを防止できる。しかも、各仕切り枠および各斜面枠部に突条の補強リブを、基材シートと同一素材で一体的に形成したので、従来のように使用時に補強用の折り曲げ片を折り曲げる煩わしさがなく、製造された時点で補強構造を有したものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気扇フィルタ保持枠、詳しくは換気扇枠の換気口を覆うフィルタを支持する換気扇フィルタ保持枠に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭の台所や飲食店の厨房では、油煙や埃などによる換気扇のファンおよびモータの汚れを防止するため、換気扇枠の換気口をフィルタにより覆うことが行われている。
フィルタを換気扇枠の換気口に装着する用具として、例えば、合成樹脂からなる矩形枠体の一方の開口部にフィルタが展張された換気扇カバーが知られている。これは、矩形状の換気扇枠の全体にキャップ状に装着することで、換気口をフィルタにより覆うものである。しかしながら、このような構造の換気扇カバーの場合、1品1サイズとなっていた。そのため、開口部のサイズに応じて、大きさが異なる換気扇カバーが必要であった。
【0003】
そこで、近年、換気扇枠の開口部のサイズに合わせてその大きさを調整可能な換気扇のフィルター保持枠が開発されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1のフィルター保持枠は、長さ方向の中間に配置されたヒンジ部を中心として線対称に折り曲げ可能な1枚の矩形状の基材シートを本体としたものである。基材シートのうち、ヒンジ部の両側部分が、中央部に通気口を有した2枚の斜面枠部となっている。使用時、換気口のサイズに応じて基材シートの屈曲角を変更し、その後、この折り曲げた基材シートを換気口に被せる。それから、フィルタを斜面枠部の上から換気扇枠に装着する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3471702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の換気扇のフィルター保持枠には、このように両斜面枠部の内側に大きな通気口が形成されている。また、基材シートを折り曲げた際にも、基材シートの棟の長さ方向の両端面に側面通気口が現出する。そのため、換気扇のファンを高速回転させた場合などには、フィルタが通気口および側面通気口を通して換気扇のファンに巻き込まれていた。その結果、フィルタおよびフィルター保持枠が破損したり、この巻き込みによる過剰トルクなどを原因として換気扇のモータが故障するなどの不具合が発生するおそれがあった。
また、特許文献1の換気扇のフィルター保持枠は、このように1枚の基材シートから製造されたものであった。そのため、低強度で変形し易く、換気扇のフィルタを換気口の上方で展張したまま保持する保持枠としての機能性に課題があった。そこで、これを解消する技術として、特許文献1には斜面枠部の外側の縁(通気口側とは反対側の縁)に、内折りして斜面枠部を補強する折り曲げ片を形成することが開示されている。しかしながら、折り曲げ片では、折り曲げに手間を要する。その結果、フィルター保持枠の強度を高める目的で折り曲げ片の形成本数を増やすほど、その折り曲げ作業に手間と間違いが生じたり、使用し難いものとなっていた。
【0006】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、各斜面枠部の通気口および側面通気口を複数に分割する仕切り枠を、合成樹脂またはアルミ箔からなる基材シートと同一素材で一体的に形成し、また各仕切り枠および各斜面枠部に突条の補強リブを、基材シートと同一素材で一体的に形成するように構成すれば、上述した問題は全て解消されることを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
この発明は、斜面枠部の通気口を通した換気扇へのフィルタの巻き込みを防止することができ、しかも製造された時点で補強構造を有した換気扇フィルタ保持枠を提供することを目的としている。
また、この発明は、基材シートの棟の長さ方向の両端面に現出する側面通気口を通した換気扇へのフィルタの巻き込みを、換気扇枠への取り付け時に一箇所のみの簡単な曲面への貼着のみで防止することができる換気扇フィルタ保持枠を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、換気扇枠に取り付けられ、該換気扇枠の換気口を覆うフィルタを支持する換気扇フィルタ保持枠において、各一端部が第1の板状ヒンジ部により連結され、内側空間が通気口となった2つの斜面枠部と、該2つの斜面枠部の各他端部に配置され、かつ前記換気扇枠に取り付けられる2つの取り付け板片とが、それぞれ第2の板状ヒンジ部を介して、同一素材で一体的に連結された合成樹脂またはアルミ箔からなる1枚の矩形状の基材シートと、前記第1の板状ヒンジ部を棟とする三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げた前記基材シートの2つの取り付け板片を、前記換気口に前記基材シートを被せた状態で前記換気扇枠に固定する固定部材とを備え、前記各斜面枠部には、前記通気口を複数の部分通気口に分割する仕切り枠が、前記基材シートと同一素材で一体的にそれぞれ形成され、前記各仕切り枠および前記各斜面枠部には、突条の補強リブが前記基材シートと同一素材で一体的に形成された換気扇フィルタ保持枠である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、各斜面枠部に通気口を複数の部分通気口に分割する仕切り枠を、基材シートと同一素材で一体的に形成したので、斜面枠部の通気口を通した換気扇へのフィルタの巻き込みを防止することができる。しかも、各仕切り枠および各斜面枠部に突条の補強リブを、基材シートと同一素材で一体的に形成する構成を採用したので、従来品のように、使用の際に斜面枠部を補強するための折り曲げ片を折り曲げる煩わしさがなく、製造された時点で補強構造を有したものとなる。
すなわち、換気扇フィルタ保持枠の使用時には、第1の板状ヒンジ部を中心にして基材シートを三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げ、この状態の基材シートを換気口に被せるように、固定部材を用いて両取り付け板片を換気扇枠に固定するだけでよい。
【0010】
換気扇としては、各種の家庭用換気扇、各種の業務用換気扇などを採用することができる。換気扇は建物の側壁に設置されるものでもよいし、建物の天井に設置されるものでもよい。
換気扇枠の素材としては、例えば各種の合成樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABSを含むフッ素系樹脂など)、各種の金属(鉄、ステンレス、アルミニウムなど)、各種の木(杉、檜、松、桐、楠など)、各種のセラミックスなどを採用することができる。
換気扇枠の外観形状としては、換気口と正対する方向から視て、例えば円形、楕円形、四角形を含む三角形以上の多角形を採用することができる。
換気扇枠の大きさは、換気口のサイズにより適宜変更される。換気口(ファン)のサイズ(直径)は任意である。例えば一般家庭用で15cm、20cm、25cm、30cm、業務用で30cm〜60cmなどである。
【0011】
基材シートの素材としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABSを含むフッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの各種の合成樹脂を採用することができる。このうち、難燃性の合成樹脂が好ましい。また、基材シートの別の素材としては、アルミ箔(アルミニウム製のフィルム箔)を採用することができる。換気扇フィルタ支持枠の基材シート用のアルミ箔は、プレス処理によって所定形状に成形され、かつ補強されているものとする。
基材シートの厚さは、合成樹脂製のものの場合で0.5mm以上、例えば0.5mm、0.7mm、0.8mmである。また、アルミ箔製のものの場合で0.2mm以上、例えば0.25mm〜0.5mmである。
【0012】
基材シートは、2つの斜面枠部と、2つの取り付け板片と、1つの第1の板状ヒンジ部と、2つの第2の板状ヒンジ部とから構成されている。これら7つのシート構成部品は、同一素材で一体的に連結されている。これらのシート構成部品を有した基材シートの製造方法としては、例えば真空成形、圧空成形、プレス成形、射出成形などを採用することができる。
また、基材シートの各斜面枠部の一端部のうち、棟の長さ方向の両端部分には、基材シートを三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げた際に、基材シートの棟の長さ方向の両端面に現出する、側面視して三角形状の側面通気口を分割するための側面用仕切り枠を配設してもよい。側面用仕切り枠の形状は任意であり、その形成本数も任意である。このように、両側面用仕切り枠を基材シートに形成した場合には、両側面通気口からのフィルタの換気扇への巻き込みを防止することができる。また、両側面用仕切り枠に前記補強リブを形成した場合には、両側面用仕切り枠を補強することができる。
【0013】
2つの斜面枠部の外観形状は、例えば矩形枠形状(正方形状、長方形状、台形枠形状を含む)などを採用することができる。また、両斜面枠部は、異なる形状でもよいが同一形状の方が好ましい。両斜面枠部のサイズも、異なるサイズでもよいものの、同一サイズの方が好ましい。
第1の板状ヒンジ部および第2の板状ヒンジ部は、基材シートの一端から他端まで連続的に薄肉化(合成樹脂製の場合で厚さ0.5〜1mm、アルミ箔製の場合で厚さ0.1mm程度)された1本筋の折り曲げ部(溝)または平行な2本筋以上の折り曲げ部を有している。折り曲げ部の断面形状はU字形状、V字形状などである。「板状ヒンジ部」とは、このように基材シートの一部を薄肉化することで形成され、かつ基材シートと同一素材で一体的に形成されたヒンジ部である。
第1の板状ヒンジ部の幅が小さければ、基材シートの折り曲げ形状は三角屋根形状となる。また、第1の板状ヒンジ部の幅が大きければ、基材シートの折り曲げ形状は台形屋根形状となる。
【0014】
2つの取り付け板の形状は、例えば矩形枠形状などを採用することができる。両取り付け板の形状は、異なる形状でもよいが同一形状の方が好ましい。両取り付け板のサイズも、異なるサイズでもよいが同一サイズの方が好ましい。
換気扇枠の表面(露出面)における両取り付け板の取り付け位置は、例えば換気扇枠のうち、換気口を中心とした両側部分を採用することができる。この部分は、例えば、換気口が形成された枠板(前板)のうちで、換気口の中心線を中心とした線対称の部分である。その他、換気扇枠の外周枠板のうち、換気口の中心線を中心とした線対称の部分などでもよい。
固定部材としては、例えば両面テープ、接着剤などを採用することができる。取り付け板片における固定部材の設置位置は、一般的に取り付け板片の裏面である。ただし、取り付け板片は第2のヒンジ部により折り曲げ自在であることから、取り付け板片の表面に固定部材を設置してもよい。
【0015】
仕切り枠の形状としては、例えば直線形状、十字形状、V字形状、U字形状を採用することができる。その他、任意形状でもよい。
補強リブは、基材シートの一端から他端までには達しない連続する突条部である。
各仕切り枠および各斜面枠部において、補強リブが形成される部分(領域)は任意である。また、補強リブの形成本数は1本でも2本以上でもよい。補強リブは、直線状のリブでも曲線状のリブでもよい。補強リブの突出方向は、基材シートの表側でも裏側でもよい。
補強リブの断面形状としては、例えばU字形状、V字形状などを採用することができる。
補強リブの長さ方向は、補強リブが形成される仕切り枠の長さ方向または斜面枠部の補強リブが形成される枠部分の長さ方向とした方が補強効果が高まるために好ましい。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、前記各斜面枠部の一端部のうち、前記棟の長さ方向の両端部分には、前記基材シートを三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げた際に前記基材シートの棟の長さ方向の両端面に現出する側面通気口を複数の部分側面通気口に分割する側面巻き込み防止枠が、前記基材シートと同一素材で一体的にそれぞれ形成された請求項1に記載の換気扇フィルタ保持枠である。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、換気扇フィルタ保持枠の使用時において、第1の板状ヒンジ部を中心にして基材シートを三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げることで、基材シートの棟の長さ方向の両端面に、側面視して三角形状の側面通気口が現出する。これらの側面通気口が、両側面巻き込み防止枠によって複数の部分側面通気口に分割される。その結果、両側面通気口を通して発生するフィルタの換気扇への巻き込みを防止することができる。
【0018】
しかも、使用時、側面巻き込み防止枠を、各斜面枠部の一端部のうち、棟の長さ方向の両端部分にそれぞれ配置したことで、各斜面枠部の一端部のうち、棟の長さ方向の両端部分には、この棟の長さ方向の両端部分と両側面巻き込み防止枠とから仮想の補強構造枠体が現出する。これにより、単なる羽根形状の折り曲げ片を斜面枠部に形成しただけの従来品では得られない高い強度を、各斜面枠部の一端部のうち、棟の長さ方向の両端部分に付与することができる。
【0019】
側面巻き込み防止枠は、基材シートに形成された前記側面用仕切り枠の一種で、板状ヒンジ部により連結された2つ以上の部分側面巻き込み防止枠から構成されている。
各部分側面巻き込み防止枠には、補強リブを基材シートと同一素材で一体的に形成してもよい。補強リブの長さ方向は、部分側面巻き込み防止枠の長さ方向とした方が、補強効果が高まるために好ましい。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、各斜面枠部に通気口を複数の部分通気口に分割する仕切り枠を、基材シートと同一素材で一体的に形成したので、斜面枠部の通気口を通した換気扇へのフィルタの巻き込みを防止することができる。しかも、各仕切り枠および各斜面枠部に突条の補強リブを、基材シートと同一素材で一体的に形成する構成を採用したので、従来品のように、使用の際に斜面枠部を補強する折り曲げ片を折り曲げる煩わしさがなく、製造された時点で補強構造を有したものとなる。
【0021】
特に、請求項2に記載の発明によれば、使用時に、第1の板状ヒンジ部を中心にして基材シートを三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げた際に、基材シートの棟の長さ方向の両端面に現出した側面通気口を、側面巻き込み防止枠により複数の部分側面通気口に分割する。これにより、両側面通気口を通して、フィルタが換気扇に巻き込まれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施例1に係る換気扇フィルタ保持枠の使用状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例1に係る換気扇フィルタ保持枠の平面図である。
【図3】この発明の実施例1に係る換気扇フィルタ保持枠の斜視図である。
【図4】この発明の実施例1に係る別の態様の換気扇フィルタ保持枠の平面図である。
【図5】この発明の実施例1に係るまた別の態様の換気扇フィルタ保持枠の平面図である。
【図6】この発明の実施例1に係るさらに別の態様の換気扇フィルタ保持枠の平面図である。
【図7】この発明の実施例1に係る換気扇フィルタ保持枠の別の使用状態を示す斜視図である。
【図8】(a)は、この発明の実施例2に係る換気扇フィルタ保持枠の使用状態を示す斜視図である。(b)は、この発明の実施例2に係る換気扇フィルタ保持枠の一部を構成する側面巻き込み防止枠の組み立て前の状態を示す要部拡大平面図である。
【図9】この発明の実施例2に係る換気扇フィルタ保持枠の別の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、換気口が多孔質板により被覆されずに露出した家庭用の換気扇枠にフィルタを取り付ける換気扇フィルタ保持枠を例とする。
【実施例】
【0024】
図1において、10はこの発明の実施例1に係る換気扇フィルタ保持枠で、この換気扇フィルタ保持枠10は、正面視して正方形状の家庭用の換気扇の換気扇枠11に取り付けられ、換気扇枠11の換気口12を覆う周囲にゴム紐の弾力性を付加した難燃性の合成樹脂繊維からなる不織布製のフィルタ13を支持するものである。換気扇フィルタ保持枠10は、換気扇枠11の1辺(25〜40cm)より横方向の長さが長い平面視して矩形状の基材シート14と、これを三角屋根形状(台形屋根形状)に折り曲げた状態で換気扇枠11に固定する両面テープ(固定部材)15とを備えている。
図2および図3に示すように、基材シート14は、難燃性の合成樹脂(難燃性ポリプロピレンなど)からなる厚さ0.5mm、長さ44cm、幅27cmの薄板である。基材シート14には、2つの斜面枠部16と、1つの第1の板状ヒンジ部17と、2つの取り付け板片18と、2つの第2の板状ヒンジ部19と、2つの側面巻き込み防止枠20とが真空成形されている。真空成形されたこれらの部品は、当然ながら基材シート14と同一素材で一体的に連結されている。
【0025】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
両斜面枠部16は、基材シート14の長さ方向(シート長さ方向)の両側部に配置されている。両斜面枠部16には、内側空間に換気扇枠11の換気口12と連通可能な通気口21がそれぞれ形成されている。両斜面枠部16は平面視して同一台形の枠部材で、補強を目的として外周縁部を残した略全域が、均一な高さでシート表面側へ隆起している。また、両通気口21の形状も両斜面枠部16と同様の台形である。
【0026】
両斜面枠部16には、その下底側の枠部16aの長さ方向の中間部と、下底側の枠部16aより短尺な上底側の枠部16bの長さ方向の中間部とが、シート長さ方向に長い1本の直線状の仕切り枠22によりそれぞれ連結されている。両仕切り枠22は、通気口21を2つの部分通気口23に均等に分割する部材で、基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。両部分通気口23は、平面視して仕切り枠22を中心線とした線対称の形状となっている。なお、直線状の仕切り枠22に代えて、例えば通気口21を4つに分割する十字形状の仕切枠22A(図4)や、通気口21を3つに分割するV字形状の仕切り枠22B(図5)を採用してもよい。なお、仕切枠22Aには、シート長さ方向の枠部分に補強リブ24が形成されている。また、仕切り枠22Bには補強リブ24が形成されていないものの、これを形成してもよい。
【0027】
両斜面枠部16のうち、シート幅方向の両側の枠部分16cと仕切り枠22とには、両枠部分16cの長さ方向および仕切り枠22の長さ方向へ長い補強リブ24が、基材シート14と同一素材で一体的に、かつシート裏側への突出状態で1本ずつ形成されている。両斜面枠部16のシート幅方向の両側部には、平面視して直角三角形状の一対の膨出部16dが、基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。また、両斜面枠部16は、それぞれの上底側の枠部分が第1の板状ヒンジ部17により連結されている。
【0028】
第1の板状ヒンジ部17は、基材シート14の長さ方向の中間部(使用時に基材シート14を三角屋根形状に折り曲げた際の棟の部分)に配置されている。第1の板状ヒンジ部17は、基材シート14の幅方向(シート幅方向)へ長い短冊状の部材で、平行な2本筋の断面U字形状の折り曲げ部31が、そのシート長さ方向の両辺に形成されている。第1の板状ヒンジ部17のうち、両折り曲げ部31の間には、シート表側へ突出したシート幅方向へ長い1本の補強リブ24が、第1の板状ヒンジ部17の略全長にわたって、基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。両斜面枠部16の下底側の枠部分には、第2の板状ヒンジ部19を介して、2つの取り付け板片18が、この下底側の枠部分の外側(通気口21側とは反対側)の辺の全長にわたって連結されている。
【0029】
両取り付け板片18は、基材シート14の長さ方向の両端部に配置されている。両取り付け板片18は、シート幅方向に長い短冊形状の板材である。
また、両第2の板状ヒンジ部19は、基材シート14の長さ方向の両端部付近に配置されている。両第2の板状ヒンジ部19は、シート幅方向に長い1本筋の薄肉な断面U字形状の折り曲げ部からなる。
【0030】
前記2つの側面巻き込み防止枠20は、基材シート14の長さ方向の中間部のうち、シート幅方向の両端部分に配置されている。両側面巻き込み防止枠20は、両斜面枠部16の対峙する膨出部16dの間に架け渡されたシート長さ方向に長く、かつ略V字形状に折れ曲がる帯形状の部材である(図1)。
両側面巻き込み防止枠20は、第3の板状ヒンジ部25により各一端部が連結された同一長さの2つの部分側面巻き込み防止枠30を有している。各部分側面巻き込み防止枠30には、シート長さ方向へ延びる補強リブ24が、基材シート14の表面側へ突出状態で、かつ基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。
なお、シート長さ方向に長い直線的な側面巻き込み防止枠20に代えて、長さ方向の中間部が平面視してくの字形状に外方へせり出した側面巻き込み防止枠20Aを採用してもよい(図6)。このように構成にすれば、基材シート14を折り曲げた際、両側面巻き込み防止枠20の場合よりその長さ方向の中間部が外方へせり出した分だけ換気口12からのフィルタ13の離間距離が長くなる。そのため、フィルタ13の換気扇への巻き込み防止効果が高まる。
【0031】
第3の板状ヒンジ部25は、前記第1の板状ヒンジ部17と同一幅を有する平面視して略正方形状の部材である。第3の板状ヒンジ部25は、平行な2本筋の断面U字形状の折り曲げ部25aが、そのシート長さ方向の両辺に形成されている。第3の板状ヒンジ部25のうち、両折り曲げ部25aの間には、シート表側へ突出した1本の短尺な補強リブ24が、基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。
両部分側面巻き込み防止枠30の他端部は、1本筋の断面U字形状の折り曲げ部である2つの第4の板状ヒンジ部26を介して、対応する膨出部16dに連結されている。各第4の板状ヒンジ部26は、シート表側へ突出している。
また、基材シート14の長さ方向の中間部のうち、そのシート幅方向の両端部分には、両斜面枠部16と側面巻き込み防止枠20との間に、平面視して横長なホームベース形状(五角形)の切欠部27がそれぞれ形成されている。
【0032】
次に、図1〜図3および図7を参照して、この発明の実施例1に係る換気扇フィルタ保持枠10の使用方法を説明する。
図1に示すように、換気扇フィルタ保持枠10を使用する際には、まず第1の板状ヒンジ部17、具体的には第1の板状ヒンジ部17の2本の平行な折り曲げ部31を中心にして、基材シート14を三角屋根形状に折り曲げる。このとき、側面巻き込み防止枠20が第3の板状ヒンジ部25および第4の板状ヒンジ部26を介して、逆三角形状(V字形状)に折り曲がる。しかも、基材シート14の長さ方向の中間部のうち、シート幅方向の両端面(棟の長さ方向の両端面)には、側面視して三角形状の側面通気口32がそれぞれ現出する。両側面通気口32は、両側面巻き込み防止枠20により2つの部分側面通気口32aに分割される。その結果、換気扇のファン33を高速回転させた際、両側面通気口32を通して発生するフィルタ13の換気扇への巻き込みを防止することができる。
【0033】
しかも、使用時には、逆折れした側面巻き込み防止枠20を、両斜面枠部16の一端部のうち、シート幅方向の両端部分にそれぞれ配置したことで、これらの部分には、両斜面枠部16と両側面巻き込み防止枠20とから、側面視して矩形状の仮想の補強構造枠体Aが現出する。その結果、単なる羽根形状の折り曲げ片を斜面枠部16に形成したのみの従来品では得られない高い強度を、両斜面枠部16の上底側の枠部分のうち、長さ方向の両端部分に付与することができる。
その後、2つの第2の板状ヒンジ部19を介して、両取り付け板片18をそれぞれ内折り(側面巻き込み防止枠20の折り曲げ方向への折り)する。次に、これらの取り付け板片18を、換気扇枠11の外周枠板11aのうち、換気口12の中心線を中心とした線対称の部分に、各両面テープ15により固定(接着)する。その後、換気扇フィルタ保持枠10の上から、フィルタ13を換気扇枠11に被せる。
【0034】
このように、両斜面枠部16に通気口21を2つの部分通気口23に分割する仕切り枠22を、基材シート14と同一素材で一体的に形成するように構成したので、両斜面枠部16の通気口21を通した換気扇へのフィルタ13の巻き込みを防止することができる。しかも、両仕切り枠22および両斜面枠部16には、それぞれ補強リブ24が、基材シート14と同一素材で一体的に形成されているので、従来品のように、使用の際に斜面枠部16を補強する折り曲げ片を折り曲げる煩わしさがなく、製造された時点で補強構造を有した換気扇フィルタ保持枠10を得ることができる。
【0035】
また、図7に示すように、実施例1の換気扇フィルタ保持枠10は、大型の換気扇の換気扇枠11にも使用することができる。この場合には、基材シート14を三角屋根形状に折り曲げたのち、両取り付け板片18を外折り(側面巻き込み防止枠20の折り曲げ方向とは反対方向への折り)し、換気扇枠11のうち、換気口12が形成された枠板(前板)11bのうちで、換気口12の中心線を中心とした線対称の部分に、各両面テープ15を用いて固定する。このように、実施例1の換気扇フィルタ保持枠10は、サイズが異なる換気扇であっても使用することができる。
【0036】
次に、図8(a),(b)および図9を参照して、この発明の実施例2に係る換気扇用フィルタ保持枠を説明する。
図8(a)に示すように、実施例2の換気扇用フィルタ保持枠10Aの特徴は、実施例1の第1の板状ヒンジ部17に代えて長さが短い第1の板状ヒンジ部17Aを採用し、かつ実施例1の両斜面枠部16に代えて、上底側の枠部16bの長さが短い両斜面枠部16Aを採用するとともに、実施例1の側面巻き込み防止枠20に代えて、4段式の逆さピラミッド形状の側面巻き込み防止枠20Bを採用した点である。第1の板状ヒンジ部17Aを短尺化したことで、両側面通気口32の開口面積を実施例1のものに比べて大きくすることができる。これにより、基板シート14のうち、両側面通気口32の棟側の形成部分に、組み立て前の1枚のシートに展開された側面巻き込み防止枠20Bを形成することができる(図8(b))。
【0037】
側面巻き込み防止枠20Bは、両斜面枠部16の対峙する小型の膨出部16dの間に架け渡されたシート長さ方向に長い略矩形状のシート片40を本体とする。このシート片40は、基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。シート片40には、その両長辺からの切り込み方向を交互に変更しながら、シート長さ方向へ所定ピッチで6本のスリットSが、シート幅方向と平行にそれぞれ形成されている。これにより、シート片40には、シート長さ方向の両端部から中央へ向かって順次、2つの第1の部分側面巻き込み防止枠30Aと、2つの第2の部分側面巻き込み防止枠30Bと、2つの第3の部分側面巻き込み防止枠30Cと、1つの第4の部分側面巻き込み防止枠30Dとが形成される。また、第1〜第4の部分側面巻き込み防止枠30A〜30Dには、それぞれシート幅方向へ長い補強リブ24が、基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。
【0038】
各第1の部分側面巻き込み防止枠30Aと各第2の部分側面巻き込み防止枠30Bとは、折り曲げ線を介して、第1の連結枠41により連結されている。また、各第2の部分側面巻き込み防止枠30Bと各第3の部分側面巻き込み防止枠30Cとは、折り曲げ線を介して、2つの第2の連結枠42により連結されている。さらに、各第3の部分側面巻き込み防止枠30Cと第4の部分側面巻き込み防止枠30Dとは、折り曲げ線を介して、長尺な1つの第3の連結枠43により連結されている。なお、第4の側面巻き込み防止枠30Dの先端には、折り曲げ線を介して、短尺な板片の取り付け板片18Aが連結されている。また、第1〜第3の連結枠41〜43および取り付け板片18Aは、基材シート14と同一素材で一体的に形成されている。
【0039】
次に、図8および図9を参照して、この発明の実施例2に係る換気扇用フィルタ保持枠10Aの使用方法を説明する。
図8(a),(b)に示すように、実施例2に係る換気扇用フィルタ保持枠10Aの使用時には、第1〜第4の部分側面巻き込み防止枠30A〜30Dを、第1〜第3の連結枠41〜43との折り曲げ線を中心とし、かつシート表側およびシート裏側への折り曲げ方向を交互に変更しながら折り曲げる。これにより、4段式の逆さピラミッド形状の側面巻き込み防止枠20Bが組み立てられる。組み立て後、2つの短尺な両面テープ15を使用し、換気扇枠11の外周枠板11aのうち、取り付け板片18の取り付け位置とは直角に配置された部分に、取り付け板片18Aを固定する。
また、図9に示すように、実施例2の換気扇フィルタ保持枠10Aは、大型の換気扇の換気扇枠11にも使用することができる。この場合には、基材シート14を三角屋根形状に折り曲げたのち、両取り付け板片18を外折りし、換気扇枠11のうち、換気口12が形成された枠板11bのうちで、換気口12の中心線を中心とした線対称の部分に、各両面テープ15を用いて固定する。このように、実施例2の換気扇フィルタ保持枠10Aは、サイズが異なる換気扇であっても使用することができる。
【0040】
このように、実施例1の側面巻き込み防止枠20に代えて、4段式の逆さピラミッド形状の側面巻き込み防止枠20Bを採用したことで、各側面通気口32の高さ方向の全長にわたって各側面通気口32を3つに分割する梁が形成され、フィルタ13の巻き込み防止効果が高まるという効果が得られる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と略同じであるため、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明の換気扇フィルタ保持枠は、換気扇枠の換気口が多孔質板により覆われていない家庭用または業務用の換気扇用のものとして有用である。
【符号の説明】
【0042】
10、10A 換気扇フィルタ保持枠、
11 換気扇枠、
12 換気口、
13 フィルタ、
14 基材シート、
15 両面テープ(固定部材)、
16、16A 斜面枠部、
17、17A 第1の板状ヒンジ部、
18、18A 取り付け板片、
19 第2の板状ヒンジ部、
20、20A、20B 側面巻き込み防止枠、
21 通気口、
22,22A,22B 仕切り枠、
23 部分通気口、
24 補強リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気扇枠に取り付けられ、該換気扇枠の換気口を覆うフィルタを支持する換気扇フィルタ保持枠において、
各一端部が第1の板状ヒンジ部により連結され、内側空間が通気口となった2つの斜面枠部と、該2つの斜面枠部の各他端部に配置され、かつ前記換気扇枠に取り付けられる2つの取り付け板片とが、それぞれ第2の板状ヒンジ部を介して、同一素材で一体的に連結された合成樹脂またはアルミ箔からなる1枚の矩形状の基材シートと、
前記第1の板状ヒンジ部を棟とする三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げた前記基材シートの2つの取り付け板片を、前記換気口に前記基材シートを被せた状態で前記換気扇枠に固定する固定部材とを備え、
前記各斜面枠部には、前記通気口を複数の部分通気口に分割する仕切り枠が、前記基材シートと同一素材で一体的にそれぞれ形成され、
前記各仕切り枠および前記各斜面枠部には、突条の補強リブが前記基材シートと同一素材で一体的に形成された換気扇フィルタ保持枠。
【請求項2】
前記各斜面枠部の一端部のうち、前記棟の長さ方向の両端部分には、前記基材シートを三角屋根形状または台形屋根形状に折り曲げた際に前記基材シートの棟の長さ方向の両端面に現出する側面通気口を複数の部分側面通気口に分割する側面巻き込み防止枠が、前記基材シートと同一素材で一体的にそれぞれ形成された請求項1に記載の換気扇フィルタ保持枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−47417(P2012−47417A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190882(P2010−190882)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【特許番号】特許第4672089号(P4672089)
【特許公報発行日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(396003319)カースル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】