説明

換気棟構造及び換気屋根構造

【課題】簡単な構造で棟の十分な通気を行うことができる換気棟構造を提供すること。
【解決手段】屋内と屋外とを仕切る一対の野地板100と、一対の野地板100が対向する箇所に設けられた換気スリット101と、野地板100の上部に設けられ例えば防水性を有する透湿ルーフィング102と、この透湿ルーフィング102の上面に設けられた瓦103と、この瓦103の上面であり換気スリット101に沿って延設され、一方の側面から他方へと通気することが可能に形成された通気部材110と、この通気部材110の上面を覆い換気スリット101に跨って設けられた棟包120とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋等の棟部や屋根等における換気棟構造及び換気屋根構造に関し、特に通気効率を向上させることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の屋根等に瓦屋根構造が用いられており、この瓦屋根構造には様々な技術が用いられている。
【0003】
家屋の棟部においては、雨水等が家屋内に浸入するのを防止するため、土、なんばん、しっくい等を用いて隅瓦と垂木との隙間を固める湿式工法が従来より用いられていた。しかしながら、湿式工法では、屋内の換気を行うことが困難であるため、近年では、棟部に空気流通路換気機能持たせることで通気効率を向上させる棟構造が採用されつつある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
家屋のケラバ等においては、雪の多い地方等でケラバが雪の重みに耐えうるよう軒先下における下地枠体に金属性のものを用いることにより耐荷重を向上させる方法や、雨水等の水切機能をケラバ部材にも用いることにより、製造や施工等を容易にする方法等が採用されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2901180号明細書
【特許文献2】特許3583111号明細書
【特許文献3】特開2001−207580号公報
【特許文献4】特開2001−164718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した換気機能を有する棟構造には、次のような問題があった。すなわち、屋内から屋外への換気経路が複雑で十分な換気を行うことができなかった。また、金具類を多用した複雑な構造であるため、製造及び施工等のコストが高くなるという問題もあった。
【0007】
上述したケラバ構造には次のような問題があった。すなわち、耐荷重や水切機能を有することが可能であったとしても、ケラバにおいて野地板と屋根部材との間での通気を取ることができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構造で家屋等の屋根に十分な通気を行うことができ、さらに製造・施工コストを低減することが可能な換気屋根構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の換気棟構造及び換気屋根構造は次のように構成されている。
【0010】
互いの境界部を上方にして対向配置された一対の野地板と、この野地板上に配置された一対の屋根材と、上記一対の屋根材上に上記境界部に沿って設けられ、空気流通部材を有する下段部及び笠木を有する上段部が積層配置された一対の通気部材と、上記境界部を跨いで設けられるとともに、上記一対の通気部材上面に配置された棟包と、上記棟包側から上記上段部の笠木、上記下段部、上記屋根材、上記野地板側へ貫通して固定する固定部材と、上記野地板上に設けられた防水性シートとを備えていることを特徴とする。
【0011】
野地板と、この野地板上に配置された屋根材と、この野地板と上記屋根材との間に配置された空気流通部と、上記野地板の軒先部に設けられ、上記空気流通部と外部との空気の流通を行う空気流通部材と、上記屋根材側から上記空気流通部材、上記野地板側へ貫通して固定する固定部材とを備えていることを特徴とする。
【0012】
野地板と、この野地板上に配置された屋根材と、この野地板と上記屋根材との間に配置された空気流通部と、上記野地板の軒先部に設けられ、上記空気流通部と外部との空気の流通を行う空気流通部材と、この空気流通部材上面に設けられたのぼり部材と、こののぼり部材側から上記空気流通部材、上記野地板側へ貫通して固定する固定部材とを備えていることを特徴とする。
【0013】
互いの境界部を上方にして対向配置された一対の野地板と、この野地板上に配置された一対の屋根材と、上記境界部に跨って配置され、上記境界部の上方から滴下する水を上記野地板上側に排水する水切り部材と、上記境界部を跨って配置された棟包と、この棟包の下面の側端側に上記境界部に沿って延設された空気流通部材と、上記棟包の下面の中心側に上記境界部に沿って延設された網状体と、上記棟包と上記空気通気部材及び上記網状体との間に設けられた防水性シートを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単な構造で家屋の屋根に十分な通気を行うことができ、さらに製造・施工コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る平棟を示す断面図。
【図2】同平棟に用いられる通気部材を示す斜視図。
【図3】同平棟に用いられる棟包を示す斜視図。
【図4】同平棟の側面を示す説明図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る屋根構造の平棟を示す断面図。
【図6】同屋根構造の軒先部を示す断面図。
【図7】同屋根構造のケラバを示す断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る平棟を示す断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る平棟を示す断面図。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る大棟を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る平棟10を示す断面図、図2は同平棟10に用いられる通気部材110を示す斜視図、図3は同平棟10に用いられる棟包120を示す斜視図、図4は同平棟10の側面を示す説明図である。なお、図1中Fは空気流通路を示している。
【0017】
平棟10は、屋内と屋外とを仕切る一対の野地板100,100と、一対の野地板100,100が対向する箇所に空間を設けることで形成されている換気スリット101と、野地板100,100の上部に設けられ例えば防水性を有する透湿ルーフィング102と、この透湿ルーフィング102の上面に設けられ例えば屋根部材である瓦103と、この瓦103の上面であり換気スリット101に沿って延設され、一方の側面から他方への通気が可能に形成された通気部材110と、この通気部材110の上面を覆い換気スリット101に跨って設けられた棟包120とを備えている。
【0018】
通気部材110は、後述する笠木114上面から例えば釘打ちすることで野地板100を釘104により貫通させて垂木(不図示)に固定させる。棟包120は棟包120側面から例えば釘104により笠木114へ釘打ちすることで通気部材110に固定される。
【0019】
図2に示すように、通気部材110は、2重構造となっており、2重構造の下段部110aは、例えば、円錐台形状の山が空気流通方向に対して千鳥格子状に配置された面材112同士の山先同士を接着させることで形成された円錐複合体113を有する中空体111により形成されている。また、上段部110bは例えば木材により形成された笠木114と中空体111とが交互に配置することにより形成されている。この下段部110aと上段部110bとは例えば接着剤等により固定されている。図2に示すように、笠木114と中空体111との幅を同じとしてもよいが、図1に示すように笠木114を中空体111より広い幅に形成してもよい。これは、笠木114の幅を広くすることにより、笠木114に接する棟包120の面積を大きくすることで、棟包120の上方からの荷重に対する強度を向上させることができるためである。
【0020】
図3に示すように棟包120は、上方から滴下した雨水等を側方、すなわち瓦103上面へ排水する山型のカバー部121と、このカバー部121の端面に設けられ鉛直方向に延び笠木114に隣接する側面カバー122と、カバー部121の端面に設けられ上段部110bの中空体111に隣接する箇所に設けられた空気の流通路を得るための流通孔123と、側面カバー122に設けられ通気部材110の下段部110aと上段部110bとの間に隣接する位置から例えば野地板100に平行に延出した水切板124とを備えている。
【0021】
このように構成された平棟10では、空気流通路Fが形成される。まず、屋内(野地板100下部)の空気は空気流通路Fに示すように、通気スリット101を通過し、棟包120下方空間へと移動する。そして、外部の空気が棟包120の一方から中空体111を通り、棟包120下方の空気と一緒に他方の中空体111を通過し外部へと排出される。
【0022】
また、図4に示すように、棟包120に設けられた側面カバー122と水切板124とにより、笠木114から屋内へ雨水等が流れ込むことは無い。また、通気部材110(中空体111)は、野地板100と平行に設けているため、斜め上方からの雨水等は中空体111へ進入せず、これにより雨水は屋内へ流れ込まない。
【0023】
例えば、強風等により瓦103上の雨水が巻上げられる等により中空体111へ進入したとしても、中空体111の空気流通路F方向に円錐複合体113が千鳥格子状に配置されているため、空気は流通するが、雨水等は円錐複合体113に衝突及び付着等することにより(円錐複合体113が抵抗となるため)屋内へ流れ込むことはない。
【0024】
さらに、流通孔123を設けることにより、より多くの空気流通路Fを得ることができる。このため、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造で屋内へ排出される空気流通路Fを設けることにより、換気効率を向上しつつ製造・施工コストを低減させることができる。
【0025】
この他にも、笠木114の幅(面積)を調節することで、棟包120の上方からの強度(耐荷重等)を調整することができる。このように、笠木114の幅を変えるだけで、例えば施工時の足場広さによる棟包120での足場確保や、使用地域による積雪量等の使用状況により簡単に強度を調整できるため、製造・施工コストを低減させることができる。
【0026】
また、通気部材110を笠木114部に釘104等により釘打ちをすることで、釘104は野地板100を貫通し、垂木に強固に固定することができる。強固に固定された笠木114に棟包120を釘104等により固定させるため、棟包120を強固に固定することができる。ここで、棟包120の側面カバー122に釘打ちを行うことで、釘打ち部から笠木114へとの雨水が浸入することを防ぐことができる。なお、釘104を釘打ちした箇所からの雨水の浸入をより防ぐために、例えば防水シールを釘104の皿部に貼ってもよい。
【0027】
上述したように、本実施の形態に係る平棟10によれば、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造で屋内の空気が屋外へ排出される空気流通路Fを設けることができるため、製造・施工コストを低減し、さらに、通気効率を向上させることができる。
【0028】
図5は本発明の第2の実施の形態に係る屋根構造1の平棟10Aを示す断面図、図6は同屋根構造1の軒先部11を示す断面図、図7は同屋根構造1のケラバ12を示す断面図である。なお、図5〜7において図1〜4と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】
屋根構造1は、一対の野地板100,100の上部に設けられた透湿ルーフィング102と、この透湿ルーフィング102上の各端部に設けられた中空体111と、透湿ルーフィング102上の中空体111と中空体111との間に設けられた網状帯115と、中空体111及び網状帯115上部に設けられた瓦103と、瓦103上面であり通気スリット101に跨がって設けられた平棟10Aと、屋根下端に沿って設けられた軒先11と、屋根側端であり垂木105に沿って設けられたケラバ12とを備えている。
【0030】
平棟10Aは、中空体111及び網状帯115上部に設けられた瓦103と、瓦103上面であり換気スリット101に沿って延設された通気部材110と、通気部材110の上面に設けられた棟包120とを備えている。
【0031】
軒先11は、屋根下端に沿って中空体111と透湿ルーフィング102との間に設けられ、一方は野地板100側面を覆う形状であり、他方は端部に返し131を有する形状に形成された軒先水切130を備えており、瓦103と軒先水切130とは例えば釘104等により釘打ちすることで野地板100等に固定されている。
【0032】
ケラバ12は、屋根側端(妻側端部)であり垂木105に沿って設けられた中空体111の上面に配置されたのぼり木140と、のぼり木140と野地板100とを覆い、且つ、瓦103と中空体111及び網状帯115との間に設けられ、瓦103と中空体111及び網状帯115との間に設けられたこの端部に返し142を有するケラバ水切141とを備えている。のぼり木140は釘104等により釘打ちすることで野地板100等に固定され、ケラバ水切141はのぼり木140に釘104等により釘打ちすることにより固定される。
【0033】
このように構成された屋根構造1によれば、空気流通路Fに示すように、まず、屋内及び透湿ルーフィング102(野地板100)と瓦103との間の空気は通気スリット101を通過し、棟包120下方空間へと移動する。同様に、軒先11からも透湿ルーフィング102と瓦103との間を通り通気スリットを通過して棟包120下方空間へと移動する。そして、外部の空気が棟包120の一方から中空体111を通り、棟包120の空気と一緒に他方の中空体111を通過し外部へと排出される。
【0034】
また、透湿ルーフィング102と瓦103との間の空気は、図7に示す空気流通路Fのように、ケラバ12に設けられた中空体111から外部へと排出される。なお、軒先11から通気スリット101へと空気が移動するとしたが、通気スリット101から軒先11へと空気が移動し、軒先11から外部へと空気が排出される場合もある。同様に、外部からケラバ12に設けられた中空体111を介し、通気スリット101へと空気が移動することもある。
【0035】
軒先11端部の野地板100は軒先水切130により覆われているため、野地板100が雨水に晒されることはなく、このため、軒先水切130と野地板100との間に雨水が進入することもない。同様にケラバ12端部の野地板100も、ケラバ水切141により覆われるため、野地板100が雨水に晒されることはなく、ケラバ水切141と野地板100との間に雨水が進入することもない。
【0036】
また、軒先水切130とケラバ水切141とにそれぞれ返し131,142を設けたことにより、万が一雨水等が浸入したとしても、返し131,142により雨水を堰き止めることができるため野地板100へ雨水が浸入することはない。
【0037】
透湿ルーフィング102(野地板100)と瓦103との間に空間を設けることにより、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造で野地板100と瓦103との間に屋内へ排出される空気流通路Fを設けることができるため、製造・施工コストを低減させながら、より通気効率を向上させることができる。
【0038】
また、軒先水切130、ケラバ水切141及びのぼり木140に釘104等により釘打ちをすることで、野地板100に釘104を貫通させ強固に固定することが可能となる。ここで、ケラバ水切141側面に釘打ちを行うことで、釘打ち部から笠木114へと雨水が浸入することを防ぐことができる。なお、釘104を釘打ちした箇所からの雨水の浸入をより防ぐために、例えば防水シールを釘104の皿部に貼ってもよい。
【0039】
上述したように、本実施の形態に係る屋根構造1によれば、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造で屋内及び野地板100と瓦103との空間空気が屋外へ排出される空気流通路Fを設けることができるため、製造・施工コストを低減し、さらに、通気効率を向上させることができる。
【0040】
図8は本発明の第3の実施の形態に係る平棟10Bを示す断面図である。なお、図8において図1〜4と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
平棟10Bは、一対の野地板100,100に設けられた換気スリット101と、野地板100,100の上部に設けられた透湿ルーフィング102と、透湿ルーフィング102上であり換気スリット101に跨って設けられ、上方から滴下した水を側方、すなわち野地板100,100上面の透湿ルーフィング102へ排水可能な山形、且つ、側面から空気の流通ができるよう形成された水切部材150と、透湿ルーフィング102の上面であり水切部材150の近傍に複数枚設けられた瓦103と、瓦103の上面であり水切部材150に跨って設けられた通気部材160と、瓦103の上面であり通気部材160に跨って設けられた棟包120とを備えている。
【0042】
通気部材160は、瓦103上であり通気スリット101に対して一対に設けられた中空体111と、この中空体111上面及び水切部材150を覆うように設けられた透湿ルーフィング102と、この透湿ルーフィング102下面であり中空体111と中空体111との間に設けられた網状帯115とを備えている。
【0043】
このように構成された平棟10Bでは、空気流通路Fが形成される。まず、屋内の空気は空気流通路Fに示すように、通気スリット101を通過し、水切部材150側面から棟包120下方空間へと移動する。そして、外部の空気が棟包120の一方から中空体111を通り、棟包120の空気と一緒に他方の中空体111を通過し外部へと排出される。
【0044】
また、棟包120に設けられた側面カバー122及び水切板124により、屋内へ雨水等が流れ込むことは無い。また、流通孔123により外部に露出した中空体111は野地板100と平行に設けているため、斜め上方からの雨水等は屋内へと流れ込まない。
【0045】
上述したように、本実施の形態に係る平棟10Bによれば、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造で屋内及び野地板100と瓦103との空間の空気が屋外へ排出される空気流通路Fを設けることができるため、製造・施工コストを低減し、さらに、通気効率を向上させることができる。
【0046】
図9は本発明の第4の実施の形態に係る平棟10Cを示す断面図である。なお、図9において図1〜4と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
平棟10Cは、一対の野地板100,100に設けることで形成されている換気スリット101と、野地板100,100の上部に設けられた透湿ルーフィング102と、透湿ルーフィング102上であり換気スリット101に跨って設けられた水切部材150と、透湿ルーフィング102上に設けられた瓦103と、水切部材150の側部から透湿ルーフィング102と瓦103との間へ設けられた面戸部材151と、瓦103の上面であり水切部材150に跨って設けられた通気部材160と、通気部材160を覆うように設けられた冠瓦170とを備えている。
【0048】
このように構成された平棟10Cでは、空気流通路Fが形成される。まず、屋内(野地板100下部)の空気は空気流通路Fに示すように、通気スリット101を通過し、水切部材150側面から通気部材160下方空間へと移動する。そして、外部の空気が通気部材160の一方から中空体111を通り、通気部材160下面の空気と一緒に他方の中空体111を通過し外部へと排出される。
【0049】
また、冠瓦170と中空体111により斜め上方からの雨水は屋内へ流れ込まない。万が一雨水が流れ込んできたとしても、面戸部材151により瓦103と透湿ルーフィング102との間へと雨水を排出する。
【0050】
上述したように、本実施の形態に係る平棟10Cによれば、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造で屋内及び野地板100と瓦103との空間の空気が屋外へ排出される空気流通路Fを設けることができるため、製造・施工コストを低減し、さらに、通気効率を向上させることができる。
【0051】
図10は本発明の第5の実施の形態に係る大棟13を示す断面図である。なお、図10において図1〜4と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
大棟13は、一対の野地板100,100に設けられた換気スリット101と、野地板100,100の上部に設けられた透湿ルーフィング102と、透湿ルーフィング102上に設けられ水切部材150と、透湿ルーフィング102の上面であり水切部材150の近傍から野地板100の斜角に平行に複数並設され空気流通部Fを形成する流通板180と、流通板180の上面にもうけられ水平方向に配置された複数の桟木181と、この桟木181上面に設けられた桟瓦182と、換気スリット101に跨って複数の垂木支持金具183が所定間隔で配置されており、これら複数の垂木支持金具183に渡って取り付けられた垂木184と、桟瓦182の上面であり水切部材150及び垂木183に跨って設けられた通気部材160と、桟瓦182の上面であり通気部材160を覆って設けられた冠瓦170とを備えている。
【0053】
なお、流通板180を設けず桟木181下面に、桟木181を野地板100に配置させたときに野地板100の斜角と同角度となる溝を設けてもよい。
【0054】
このように構成された大棟13では、空気流通路Fが形成される。まず、屋内(野地板100下部)の空気は空気流通路Fに示すように、通気スリット101を通過し、水切部材150側面から垂木184周辺空間へと移動する。また、流通板180により桟木181、桟瓦182及び野地板100の空間の空気も垂木105周辺の空間へと移動することができる。そして、外部の空気が通気部材150の一方から中空体111を通り、垂木105周辺の空気と一緒に他方の中空体111を通過し外部へと排出される。
【0055】
また、冠瓦170と中空体111により雨水は屋内へ流れ込まない。万が一、中空体111から垂木184周辺へと雨水が浸入しても、水切部材150から透湿ルーフィング102へと雨水が排出され、流通板180と流通板180との間から外部へと排出される。
【0056】
このため、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造でより多くの空気流通路Fを設けることにより、換気効率を向上しつつ製造・施工コストを低減させることができる。
【0057】
上述したように、本実施の形態に係る大棟13によれば、止水効果等の基本的な機能を維持しつつ、簡単な構造で屋内及び野地板100と桟瓦182との空間の空気が屋外へ排出される空気流通路Fを設けることができるため、製造・施工コストを低減し、さらに、通気効率を向上させることができる。
【0058】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、透湿ルーフィング102を用いるよう説明したが、これを透湿性及び遮熱性を有するアルミシートを用いても適用できる。これにより高い遮熱性を有することが可能となる。また、網状帯115を用いると説明したが、これを必要な箇所(例えば瓦103を配置させ固定させる等)に中空体111等を用いても適用できる。さらに、瓦103及び桟瓦182ではなく他の屋根部材を用いても適用できる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
10,10A〜10C…平棟、13…大棟、100…野地板、101…換気スリット、102…透湿ルーフィング、103…瓦、104…釘、110…通気部材、111…中空体、114…笠木、120…棟包、122…側面カバー、124…水平水切板、F…空気流通路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの境界部を上方にして対向配置された一対の野地板と、
この野地板上に配置された一対の屋根材と、
上記一対の屋根材上に上記境界部に沿って設けられ、空気流通部材を有する下段部及び笠木を有する上段部が積層配置された一対の通気部材と、
上記境界部を跨いで設けられるとともに、上記一対の通気部材上面に配置された棟包と、
上記棟包側から上記上段部の笠木、上記下段部、上記屋根材、上記野地板側へ貫通して固定する固定部材と、
上記野地板上に設けられた防水性シートとを備えていることを特徴とする換気棟構造。
【請求項2】
上記棟包は、上記支持部材側面を覆う側面カバー部を有し、
上記カバー部側から上記上段部の笠木側へ貫通して固定する側面固定部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の換気棟構造。
【請求項3】
上記上段部は、上記笠木と上記空気流通部材とが上記境界部に沿って交互に配置され、
上記側面カバー部は、上記空気流通部材において開口していることを特徴とする請求項1に記載の換気棟構造。
【請求項4】
上記野地板と上記屋根材との間には、外部へと空気を流通させる空気流通部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の換気棟構造。
【請求項5】
上記空気流通部材は、上記上段部と上記下段部の積層方向に延設された柱体が千鳥状に配置された中空体であることを特徴とする請求項1に記載の換気棟構造。
【請求項6】
野地板と、
この野地板上に配置された屋根材と、
この野地板と上記屋根材との間に配置された空気流通部と、
上記野地板の軒先部に設けられ、上記空気流通部と外部との空気の流通を行う空気流通部材と、
上記屋根材側から上記空気流通部材、上記野地板側へ貫通して固定する固定部材とを備えていることを特徴とする換気屋根構造。
【請求項7】
上記空気流通部材は、上記上段部と上記下段部の積層方向に延設された柱体が千鳥状に配置された中空体であることを特徴とする請求項5に記載の換気屋根構造。
【請求項8】
野地板と、
この野地板上に配置された屋根材と、
この野地板と上記屋根材との間に配置された空気流通部と、
上記野地板の軒先部に設けられ、上記空気流通部と外部との空気の流通を行う空気流通部材と、
この空気流通部材上面に設けられたのぼり部材と、
こののぼり部材側から上記空気流通部材、上記野地板側へ貫通して固定する固定部材とを備えていることを特徴とする換気屋根構造。
【請求項9】
上記空気流通部材は、上記上段部と上記下段部の積層方向に延設された柱体が千鳥状に配置された中空体であることを特徴とする請求項8に記載の換気屋根構造。
【請求項10】
互いの境界部を上方にして対向配置された一対の野地板と、
この野地板上に配置された一対の屋根材と、
上記境界部に跨って配置され、上記境界部の上方から滴下する水を上記野地板上側に排水する水切り部材と、
上記境界部を跨って配置された棟包と、
この棟包の下面の側端側に上記境界部に沿って延設された空気流通部材と、
上記棟包の下面の中心側に上記境界部に沿って延設された網状体と、
上記棟包と上記空気通気部材及び上記網状体との間に設けられた防水性シートを備えていることを特徴とする換気棟構造。
【請求項11】
上記空気流通部材は、上記上段部と上記下段部の積層方向に延設された柱体が千鳥状に配置された中空体であることを特徴とする請求項10に記載の換気棟構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−87618(P2012−87618A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23519(P2012−23519)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2006−263443(P2006−263443)の分割
【原出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【出願人】(503341996)エバー株式会社 (36)