説明

換気装置を備えた車両シート

本発明は、ファンを備えた車両シートに関する。前記ファンは、外気が車両シートの面(4)から吸い込まれ得るように、ラジアルファン(8)として換気層(7)内に埋設されている。
(図1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の換気装置を備えた車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両乗員の快適性を向上させるための暖房手段及び換気装置を備えた車両シートを提供することが、先行技術より周知である。
【0003】
たとえば、車両乗員が望む要求に従って、前記車両乗員が接触する車両シートの領域の温度を制御するために、車両シート、特に背もたれを通じて暖かい空気を導くことが知られている。
【0004】
この目的のために、通常、ファンを用いて車両シートの背面から空気が吸い込まれ、車両シート及び/又は背もたれに設けられた通気道及び空気案内層を介してシート内に押し込まれる。この種の装置が、たとえば特許文献1より知られている。
【0005】
この装置においては、ファンが、背もたれの背面の上縁と下縁とに位置する開口部を通じ、空気案内層及び通気道を通じて空気を吸い込む。
【0006】
車両シートの後ろの領域内には、しばしば、たとえば後部シートに隣り合う暖かい前部の仕切りによって生じる、滞留する暖かい空気がある。先に記述した装置の場合には、前記暖かい空気がファンによって吸い込まれる。滞留する空気の温度によっては、所望の換気効果が全く発生しないか又は後に少々発生するだけである。したがって、冷たい空気と暖かい空気とを混合させるには、複雑な技術を使用しなければならず、これは、換気効率を減少させる。
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第10319148B3号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ここを出発点として、車両シートのより効果的な換気を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0010】
したがって、本発明の特徴は、ラジアルファンを車両シートの換気層内に直接組み込むことであり、ラジアルファン用の空気吸込み開口部は、車両シートの端面、即ちそれぞれ車両乗員に面した表面に開口しているとともに、空気吸込み開口部は、着座者との接触領域の実質的に外側、即ち実質的に車両シートの側方の縁に配置される。
【0011】
車両シートを換気するためのこの種の装置が、車両シートの背もたれ領域及びシートクッション領域の両方に使用され得る。
【0012】
理想的には、換気層の空気出口開口部は、それぞれ反対面に、即ちシート面の下側に又は背もたれの背面のいずれかに配置される。
【0013】
本発明による解決方法は、余分の通気道又はさらなる開口部を背もたれの張力調整部品に設ける必要がないので、特に費用対効果の高いものとなる。さらに、車両シートの設計も、シート領域及び背もたれ領域の両方に使用され得る、このような配置構成によって損なわれることがない。
【0014】
車両シートカバーを介して、前側にある外気が車両シートの特定の領域内に直接かつ素早く案内され得るので、車両シートの空調の快適性が大幅に増加する。
【0015】
換気層内で直接ラジアルファンを使用するので、ラジアルファンで空気を直接偏向させ、端部側で換気を換気層内に送ることにより、不必要な損失を回避することができ、したがって、より大きい換気効率で操作が行われ得る。これはつまり、同じ換気効果を得るために必要な、ファン装置の数が少なくなる又はファンが小型化されることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に例示されている例示的な実施形態を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。
【0017】
参照符号1は、車両シートのシートクッション領域又は背もたれ領域のいずれかを断面で図示している。
【0018】
前記領域は、本体2、クッション又は、たとえばシートカバー3によって覆われる取付け部としてのシートメタルシェルを備えたスプリングコアを包含する。
【0019】
車両乗員Sが、端面4、即ち、シート面上か背もたれ面に対して座っているか又は寄り掛かっている。
【0020】
空気吸込み開口部5が、一般的に車両シートの側縁にあるとともに、車両乗員Sにより端面4内で占有されない領域内に配置される。
【0021】
必要に応じて、通気性のある不織布又は穿孔されたフォームインサート材が、必要に応じて組み込まれた発熱体を有して、シートカバー3の下に隣接して配置される。
【0022】
この層6と本体2との間には、ラバーニット、ゴム素材のヘアクロス(ラバライズドヘアー)などから構成された換気層7がある。
【0023】
ラバーニット又は同様のものが、空気吸込み開口部5の領域にさらに設けられ、この箇所に通気性のある構造を有するシートカバー3がさらにかけられる。
【0024】
ラジアルファン8が、空気吸込み開口部5の下部でありかつ換気層7内に配置される。
【0025】
図1に例示されている矢印を参照して分かるように、ラジアルファン8は、前側にある空気を空気吸込み開口部5を介して吸い込み、この吸い込まれた外気を、換気層7を通じて、端面4の反対側にある、車両シートの区間1の表面に開口している空気出口開口部9に導く。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】車両シートの表面を示す概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートを換気するために、前記車両シート内に組み込まれた少なくとも1つの換気層(7)に接続された、少なくとも1つのファン装置を備えた前記車両シートであって、
前記ファン装置は、ラジアルファン(8)として前記換気層(7)内に埋設されており、その空気吸込み開口部(5)が、着座者(S)と端面との接触領域の実質的に外側の箇所において、前記着座者(S)に面する前記車両シートの前記端面(4)に開口していることを特徴とする車両シート。
【請求項2】
前記面が、前記車両シートのシート面及び/又は背もたれ面である請求項1に記載の車両シート。
【請求項3】
前記換気層(7)の空気出口開口部(9)が、前記端面(4)の反対側の面に開口している請求項1または2に記載の車両シート。

【図1】
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【公表番号】特表2008−528363(P2008−528363A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552524(P2007−552524)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013723
【国際公開番号】WO2006/079399
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】