説明

換気装置

【課題】冷房を行うインテリア空間の空調機と暖房を行うペリメータ空間の空調機の無駄な負荷を低減することである。
【解決手段】外気吸込口(12)から取り込んだ室外空気OAを給気口(18)からペリメータ空間へ供給し且つ内気吸込口(16)から取り込んだインテリア空間の室内空気RAを排気口(14)から排出する換気動作と、内気吸込口(16)から取り込んだインテリア空間の室内空気RAを給気口(18)から供給する循環動作とを切り換えるための通路切換機構(19,22,23)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を換気する換気装置に関し、特に、空調負荷の低減対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内の換気を行う換気装置として、例えば特許文献1に開示されているように、室外空気を給気通路を通じて室内へ供給して、室内空気を排気通路を通じて室外へ排出するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−69125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近の大型ビル等では、同一室内において上述した換気装置が設けられると共にインテリア側とペリメータ側とでそれぞれ個別に空調機が設けられている。そして、冬場において、ペリメータ側では暖房運転を行うが、内部発熱が多いインテリア側では冷房運転を行うことが多くなっている。このように、同一室内において暖房と冷房とが行われると、冷房による冷気がペリメータ空間へ流動し暖房による暖気がインテリア空間へ流動して、それぞれインテリア空間およびペリメータ空間の冷房負荷および暖房負荷が増大してしまう。その結果、空調機において無駄なエネルギを消費してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インテリア側とペリメータ側とで個別に空調が行われる室内に対して、換気を行う動作と空調負荷の増大を抑制する動作とが切換可能な換気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の換気装置(10)は、給気口(18)をペリメータ空間に配置し、内気吸込口(16)をインテリア空間に配置するようにした。
【0007】
具体的に、第1の発明は、室外空気が取り込まれる外気吸込口(12)と、室内のインテリア空間の室内空気が取り込まれる内気吸込口(16)と、室外へ空気が排出される排気口(14)と、上記室内のペリメータ空間へ空気が供給される給気口(18)と、上記外気吸込口(12)から取り込まれた室外空気が上記給気口(18)から供給されると共に上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気が上記排気口(14)から排出される換気動作と、上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気が上記給気口(18)から供給される循環動作とを切換可能に空気通路を切り換えるための通路切換機構(19,22,23)とを備えている換気装置(10)である。
【0008】
上記第1の発明では、通路切換機構(19,22,23)で空気通路を切り換えることで換気動作と循環動作とが切り換えられる。換気動作では、室外空気OAが給気口(18)からペリメータ空間へ供給される一方、インテリア空間の室内空気RAが排気口(14)から室外へ排出される。これにより、室内の換気が行われる。循環動作では、インテリア空間の室内空気RAがペリメータ空間に供給される。つまり、インテリア空間とペリメータ空間との間で空気の循環が行われる。
【0009】
ここで、同一室内においてインテリア空間とペリメータ空間とでそれぞれ個別に空調機が設けられ、冬期に、ペリメータ側では暖房運転を行いインテリア側では冷房運転を行う場合を考える。この場合、インテリア側の空調機から吹き出した冷風がペリメータ空間へ流動し、ペリメータ側の空調機から吹き出した温風がインテリア空間へ流動することにより、インテリア側では冷房負荷が増大しペリメータ側では暖房負荷が増大してしまう。そこで、上述した循環動作が行われる。そうすると、インテリア空間の比較的高温の空気がペリメータ空間へ供給され、それに伴い、ペリメータ空間の比較的低温の空気がインテリア空間へ流動することとなる。つまり、冷房空間であるインテリア空間には低温の空気が導入され、暖房空間であるペリメータ空間には高温の空気が導入される。そのため、インテリア空間では冷房負荷の増大が抑制され、ペリメータ空間では暖房負荷の増大が抑制される。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記循環動作時に、上記外気吸込口(12)から取り込まれた室外空気が上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気と混合して上記給気口(18)から供給される換気装置(10)である。
【0011】
上記第2の発明では、循環動作において、インテリア空間の室内空気RAがペリメータ空間に供給されると共に、室外空気OAがペリメータ空間に供給される。つまり、インテリア空間とペリメータ空間との間で空気の循環が行われつつ、室外空気OAがペリメータ空間に導入されることで換気も行われる。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記外気吸込口(12)から取り込まれた室外空気と上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気との間で熱および水分の少なくとも一方を交換させる空調素子(26)を備えている換気装置(10)である。
【0013】
上記第3の発明では、例えば夏期に行う換気動作において、冷房されたインテリア空間の低温低湿度の室内空気RAと高温高湿度の室外空気OAとの間で熱および水分が交換される。つまり、高温の室外空気OAが低温の室内空気RAへ熱を付与して冷却され、高湿度の室外空気OAが低湿度の室内空気RAへ水分を付与して除湿される。こうして冷却除湿された室外空気OAがペリメータ空間へ供給される。また、冬期に行う換気動作では、インテリア空間の高温高湿度の室内空気RAと低温低湿度の室外空気OAとの間で熱および水分が交換される。つまり、低温の室外空気OAが高温の室内空気RAから熱を受けて加熱され、低湿度の室外空気OAが高湿度の室内空気RAから水分を受けて加湿される。こうして加熱加湿された室外空気OAがペリメータ空間へ供給される。なお、インテリア空間では冷房されているが、そのインテリア空間の室内空気RAは室外空気OAに比べれば高温高湿度である。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明によれば、換気動作と循環動作とを選択的に切り換え可能にした。つまり、本発明の換気装置(10)は、インテリア空間の室内空気RAを排出し室外空気OAをペリメータ空間に供給する換気動作と、インテリア空間の室内空気RAをペリメータ空間に供給する循環動作とを実行可能にした。そのため、インテリア空間の空調機が冷房運転を行いペリメータ空間の空調機が暖房運転を行う冬期において、インテリア空間の比較的高温の空気をペリメータ空間に供給し且つペリメータ空間の比較的低温の空気をインテリア空間に流動させることができる。これにより、インテリア空間の冷房負荷の増大およびペリメータ空間の暖房負荷の増大を抑制することができる。その結果、インテリア空間およびペリメータ空間の各空調機における無駄な消費エネルギの増大を抑えることができ、省エネ化を図ることができる。
【0015】
さらに、第2の発明によれば、循環動作時に室外空気OAも加えてペリメータ空間へ供給するようにした。そのため、換気を行いつつも、インテリア空間およびペリメータ空間の各空調機における負荷の増大を抑えることができる。
【0016】
また、第3の発明によれば、取り込んだ室外空気OAとインテリア空間の室内空気RAとの間で熱および水分の少なくとも一方を交換させる空調素子(26)を備えるようにした。例えば、夏期に行う換気動作の場合、空調素子(26)において冷却除湿された室外空気OAが冷房空間であるペリメータ空間へ供給される。そのため、換気を行いつつ冷房負荷を低減することができる。また、冬期に行う換気動作の場合、空調素子(26)において加熱加湿された室外空気OAが暖房空間であるペリメータ空間へ供給される。そのため、換気を行いつつ暖房負荷を低減することができる。以上により、空調機の省エネ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施形態に係る換気装置の概略構成を示す系統図である。
【図2】図2は、実施形態に係る換気装置の構成および換気動作時の空気流れを示す概略構成図である。
【図3】図3は、実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
【図4】図4は、実施形態に係る換気装置の第1循環動作時の空気流れを示す概略構成図である。
【図5】図5は、実施形態に係る換気装置の第2循環動作時の空気流れを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の換気装置(10)は、大型ビル等の建物に設置され室内の換気を行う。その対象となる室内には、インテリア空間の空調を行うインテリア用空調機(1)と、ペリメータ空間の空調を行うペリメータ用空調機(2)とが設けられている。インテリア空間とペリメータ空間は同一室内の空間である。なお、上記換気装置(10)は全熱交換型の換気装置として構成されている。
【0020】
上記換気装置(10)は、図2にも示すように、熱交換ユニット(25)と、外気通路(11)と、排気通路(13)と、内気通路(15)と、給気通路(17)とを備えている。
【0021】
上記外気通路(11)は、一端が外気吸込口(12)として構成され、該外気吸込口(12)から室外空気OAが取り込まれる。外気通路(11)の他端は熱交換ユニット(25)に接続されている。排気通路(13)は、一端が排気口(14)として構成され、該排気口(14)から室外へ空気(排出空気EA)が排出される。排気通路(13)の他端は熱交換ユニット(25)に接続されている。内気通路(15)は、一端が内気吸込口(16)として構成され、該内気吸込口(16)からインテリア空間の室内空気RAが取り込まれる。内気通路(15)の他端は熱交換ユニット(25)に接続されている。給気通路(17)は、一端が給気口(18)として構成され、該給気口(18)からペリメータ空間へ空気(供給空気SA)が供給される。給気通路(17)の他端は熱交換ユニット(25)に接続されている。内気吸込口(16)はインテリア空間に開口し、給気口(18)はペリメータ空間に開口している。
【0022】
上記熱交換ユニット(25)は、ケーシング内に熱交換器(26)と第1ファン(27)と第2ファン(28)が設けられている。ケーシング内には、図示しないが、外気通路(11)から流入した室外空気OAが給気通路(17)へ流出する外気用流路と、内気通路(15)から流入した室内空気RAが排気通路(13)へ流出する内気用流路とが形成されている。
【0023】
上記熱交換器(26)は、外気通路(11)から流入した室外空気OAと内気通路(15)から流入した室内空気RAとが熱交換するものである。つまり、熱交換器(26)は、室外空気OAと室内空気RAとの間で熱および水分の少なくとも一方を交換させる空調素子を構成している。具体的に、熱交換器(26)は、図3に示すように、平板状の平板部材と波板状の波板部材とが交互に積層されることによって構成されている。熱交換器(26)は、全体として直方体状ないし四角柱状に形成されている。波板部材は、隣接する波板部材の稜線方向が互いに90°ずれる状態で積層されている。熱交換器(26)では、4側面のうち互いに対向する面同士を貫通する第1流路(26a)と第2流路(26b)が形成されている。即ち、これら流路(26a,26b)は、波板部材とそれに隣接する平板部材との間に形成される空間であり、互いに交差している。第1流路(26a)は、上述した外気用通路に連通し室外空気OAが流通する。第2流路(26b)は、上述した内気用通路に連通し室内空気RAが流通する。そして、第1流路(26a)の室外空気OAと第2流路(26b)の室内空気RAとの間で熱交換が行われる。
【0024】
上記第1ファン(27)は、上述した内気用通路に設けられ、熱交換ユニット(25)よりも排気通路(13)側に設けられている。第2ファン(28)は、上述した外気用通路に設けられ、熱交換ユニット(25)よりも給気通路(17)側に設けられている。即ち、第1ファン(27)はインテリア空間の室内空気RAを内気通路(15)へ取り込んで排気通路(13)へ送風する。第2ファン(28)は室外空気OAを外気通路(11)へ取り込んで給気通路(17)へ送風する。
【0025】
また、上記換気装置(10)は、本発明の特徴として、通路切換機構(19,22,23)を備えている。通路切換機構(19,22,23)は、換気運転(換気動作)と循環運転(循環動作)とを切り換えるためのものである。
【0026】
具体的に、上記通路切換機構(19,22,23)は、連絡通路(19)と第1開閉ダンパ(22)と第2開閉ダンパ(23)とで構成されている。連絡通路(19)は、排気通路(13)の途中と給気通路(17)の途中とに繋がっている。つまり、排気通路(13)と給気通路(17)とが連絡通路(19)によって連通している。第1開閉ダンパ(22)は、排気通路(13)に設けられ、連絡通路(19)よりも排気口(14)側に設けられている。第2開閉ダンパ(23)は、連絡通路(19)に設けられている。これら2つの開閉ダンパ(22,23)は通路(13,19)を開放および閉鎖するためのものである。
【0027】
上述した換気運転(換気動作)では、第1開閉ダンパ(22)が開いて排気通路(13)が開放される一方、第2開閉ダンパ(23)が閉じて連絡通路(19)が閉鎖される(図2に示す状態)。また、上述した循環運転(循環動作)では、第1開閉ダンパ(22)が閉じて排気通路(13)が閉鎖される一方、第2開閉ダンパ(23)が開いて連絡通路(19)が開放される(図4および図5に示す状態)。これら換気運転および循環運転の詳細については後述する。
【0028】
なお、上記給気通路(17)には、連絡通路(19)よりも熱交換ユニット(25)側に逆流防止ダンパ(21)が設けられている。この逆流防止ダンパ(21)は、排気通路(13)から熱交換ユニット(25)側へ向かう空気の流れを防止する。
【0029】
−運転動作−
次に、上記換気装置(10)の運転動作について説明する。この換気装置(10)は、上述したように、換気運転(換気動作)と循環運転(循環動作)とを切り換えて行うように構成されている。また、循環運転は第1循環運転と第2循環運転の2種類ある。
【0030】
〈換気運転〉
換気運転は、室外空気OAを室内のペリメータ空間へ供給する一方、インテリア空間の室内空気RAを室外へ排出して、室内の換気を行う運転である。この換気運転では、図2に示すように、第1開閉ダンパ(22)が開き第2開閉ダンパ(23)が閉じられた状態で、第1ファン(27)および第2ファン(28)の双方が駆動される。
【0031】
上記の状態では、インテリア空間の室内空気RAが内気吸込口(16)から内気通路(15)へ取り込まれる一方、室外空気OAが外気吸込口(12)から外気通路(11)へ取り込まれる。内気通路(15)へ取り込まれた室内空気RAは、熱交換器(26)の第2流路(26b)へ流入する。外気通路(11)に取り込まれた室外空気OAは、熱交換器(26)の第1流路(26a)へ流入する。熱交換器(26)では、第1流路(26a)を流れる室外空気OAと第2流路(26b)を流れる室内空気RAとの間で、熱および水分の授受が行われる。そして、第1流路(26a)を流通した室外空気OAは、給気通路(17)へ流れて供給空気SAとして給気口(18)から室内のペリメータ空間へ供給される。一方、第2流路(26b)を流通した室内空気RAは、排気通路(13)へ流れて排出空気EAとして排気口(14)から室外へ排出される。以上のように、室内の換気が行われる。
【0032】
ここで、インテリア用空調機(1)およびペリメータ用空調機(2)の双方共に冷房運転を行う夏期の場合について考える。この夏期の場合、室外空気OAは比較的高温高湿度となっており、インテリア空間およびペリメータ空間の空気は冷房によって比較的低温低湿度となっている。そのため、熱交換ユニット(25)の熱交換器(26)では、高温の室外空気OAが低温の室内空気RAへ熱を付与して冷却されると共に、高湿度の室外空気OAが低湿度の室内空気RAへ水分を付与して除湿される。この結果、冷却除湿された室外空気OAが供給空気SAとしてペリメータ空間へ供給されることとなる。このため、高温高湿度の室外空気OAをそのまま供給する場合に比べて、ペリメータ空間引いてはインテリア空間における冷房負荷の増大が抑制される。
【0033】
次に、インテリア用空調機(1)が冷房運転を行いペリメータ用空調機(2)が暖房運転を行う冬期の場合について考える。この場合、インテリア用空調機(1)およびペリメータ用空調機(2)においては冷房と暖房とで運転モードを異にするが室内温度の設定値は同じ値がとられる。仮に、室内温度の設定値を異にすると、水平温度ムラが生じて快適性が低下してしまう。この冬期の場合、室外空気OAは室内空気RAに比べて低温低湿度となる。そのため、熱交換ユニット(25)の熱交換器(26)では、低温の室外空気OAが高温の室内空気RAから熱を受けて加熱されると共に、低湿度の室外空気OAが高湿度の室内空気RAから水分を受けて加湿される。この結果、加熱加湿された室外空気OAが供給空気SAとしてペリメータ空間へ供給されることとなる。このため、低温低湿度の室外空気OAをそのまま供給する場合に比べて、ペリメータ空間における暖房負荷の増大が抑制される。
【0034】
〈第1循環運転〉
第1循環運転は、インテリア空間の室内空気RAをペリメータ空間へ供給する運転である。つまり、第1循環運転はペリメータ空間とインテリア空間との間で空気を循環させる運転である。この第1循環運転では、図4に示すように、第1開閉ダンパ(22)が閉じられ第2開閉ダンパ(23)が開いた状態で、第1ファン(27)のみが駆動される。即ち、第2ファン(28)は停止状態となる。
【0035】
上記の状態では、上述した換気運転と同様に、インテリア空間の室内空気RAが内気吸込口(16)から内気通路(15)へ取り込まれ熱交換器(26)の第2流路(26b)へ流入する。一方、室外空気OAは第2ファン(28)が停止しているため外気通路(11)へは取り込まれない。そのため、熱交換器(26)において室内空気RAは熱および水分の授受を行うことなく第2流路(26b)を流通する。第2流路(26b)を流通した室内空気RAは排気通路(13)へ流れる。排気通路(13)へ流れた室内空気RAは、連絡通路(19)を通じて給気通路(17)へ流れ、供給空気SAとして給気口(18)から室内のペリメータ空間へ供給される。なお、逆流防止ダンパ(21)が設けられているため、給気通路(17)へ流れた室内空気RAが熱交換ユニット(25)へ流れることはない。以上のように、インテリア空間の室内空気RAがペリメータ空間へ供給される。
【0036】
ここで、冬期の場合、上述したようにインテリア用空調機(1)は冷房運転を行いペリメータ用空調機(2)は暖房運転を行う。この状態では、インテリア用空調機(1)から吹き出した冷風がペリメータ空間へ流動し、ペリメータ用空調機(2)から吹き出した温風がインテリア空間へ流動することも少なくない。そうなると、インテリア空間の冷房負荷およびペリメータ空間の暖房負荷がそれぞれ増大し、各空調機(1,2)の消費エネルギが無駄に嵩むこととなる。そこで、このような場合は、換気が全くまたはそれほど必要でないことを条件に、上述した第1循環運転が行われる。これにより、インテリア空間の比較的高温の室内空気RAがペリメータ空間へ供給される。また、これに伴い、ペリメータ空間の比較的低温の空気がインテリア空間へ流動する。そのため、ペリメータ空間では高温の空気が供給されるため暖房負荷の増大が抑制され、インテリア空間では低温の空気が供給されるため冷房負荷の増大が抑制される。つまり、各空調機(1,2)における空調負荷の増大が抑えられる。
【0037】
〈第2循環運転〉
第2循環運転は、インテリア空間の室内空気RAに加え室外空気OAもペリメータ空間へ供給する運転である。つまり、第2循環運転は、第1循環運転において室外空気OAをペリメータ空間へ供給するようにしたものである。この第2循環運転では、図5に示すように、第1開閉ダンパ(22)が閉じられ第2開閉ダンパ(23)が開いた状態で、第1ファン(27)および第2ファン(28)の双方が駆動される。
【0038】
上記の状態では、インテリア空間の室内空気RAが内気吸込口(16)から内気通路(15)へ取り込まれ熱交換器(26)の第2流路(26b)へ流入する。一方、室外空気OAは、外気吸込口(12)から外気通路(11)へ取り込まれ熱交換器(26)の第1流路(26a)へ流入する。熱交換器(26)では、換気運転と同様に、第1流路(26a)を流れる室外空気OAと第2流路(26b)を流れる室内空気RAとの間で熱および水分の授受が行われる。そして、第1流路(26a)を流通した室外空気OAは給気通路(17)へ流れ、第2流路(26b)を流通した室内空気RAは排気通路(13)へ流れる。排気通路(13)へ流れた室内空気RAは、連絡通路(19)を通じて給気通路(17)へ流れて室外空気OAと混合する。混合した空気(室外空気OAおよび室内空気RA)は、供給空気SAとして給気口(18)から室内のペリメータ空間へ供給される。以上のように、室外空気OAとインテリア空間の室内空気Rがペリメータ空間へ供給される。
【0039】
この第2循環運転は、冬期の場合であって換気が必要なときに行われる。つまり、この第2循環運転では室外空気OAがペリメータ空間に供給されることで換気が行われる。これにより、室内の換気を行いつつ、インテリア用空調機(1)およびペリメータ用空調機(2)において空調負荷の増大を抑えることができる。
【0040】
−実施形態の効果−
本実施形態では、換気運転(換気動作)と循環運転(循環動作)とを選択的に切り換え可能にした。つまり、本実施形態の換気装置(10)では、インテリア空間の室内空気RAを排出し室外空気OAをペリメータ空間に供給する換気運転と、インテリア空間の室内空気RAをペリメータ空間に供給する循環運転とを実行可能にした。そのため、インテリア用空調機(1)が冷房運転を行いペリメータ用空調機(2)が暖房運転を行う冬期において、インテリア空間の比較的高温の空気をペリメータ空間に供給し且つペリメータ空間の比較的低温の空気をインテリア空間に流動させることができる。これにより、インテリア空間の冷房負荷およびペリメータ空間の暖房負荷の増大を抑制することができる。その結果、各空調機(1,2)における無駄な消費エネルギの増大を抑えることができ、省エネ化を図ることができる。
【0041】
さらに、本実施形態の換気装置(10)では第2循環動作を実行可能にした。つまり、インテリア空間の室内空気RAに加え室外空気OAもペリメータ空間に供給するようにした。そのため、換気を行いつつも、各空調機(1,2)における負荷の増大を抑えることができる。
【0042】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0043】
例えば、上記実施形態において、第2循環動作を省略するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態において、熱交換器(26)を省略するようにしてもよいし、熱交換器(26)が室外空気OAと室内空気RAの間で顕熱のみを熱交換させるものであってもよい。
【0045】
また、上記実施形態において、熱交換器(26)がロータ式の熱交換器であってもよい。その場合、例えば、表面に吸着剤が担持された吸着ロータを用いることができる。
【0046】
また、熱交換器(26)としては表面に吸着剤が担持された吸着素子(上述の吸着ロータも含む)であってもよい。その場合、吸着素子としては、流通する空気を室外空気OAと室内空気RAの間で切り換える一対の吸着熱交換器を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、室内を換気する換気装置について有用である。
【符号の説明】
【0048】
10 換気装置
12 外気吸込口
14 排気口
16 内気吸込口
18 給気口
19 連絡通路(通路切換機構)
22 第1開閉ダンパ(通路切換機構)
23 第2開閉ダンパ(通路切換機構)
26 熱交換器(空調素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外空気が取り込まれる外気吸込口(12)と、
室内のインテリア空間の室内空気が取り込まれる内気吸込口(16)と、
室外へ空気が排出される排気口(14)と、
上記室内のペリメータ空間へ空気が供給される給気口(18)と、
上記外気吸込口(12)から取り込まれた室外空気が上記給気口(18)から供給されると共に上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気が上記排気口(14)から排出される換気動作と、上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気が上記給気口(18)から供給される循環動作とを切換可能に空気通路を切り換えるための通路切換機構(19,22,23)とを備えている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記循環動作時に、上記外気吸込口(12)から取り込まれた室外空気が上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気と混合して上記給気口(18)から供給される
ことを特徴とする換気装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記外気吸込口(12)から取り込まれた室外空気と上記内気吸込口(16)から取り込まれた室内空気との間で熱および水分の少なくとも一方を交換させる空調素子(26)を備えている
ことを特徴とする換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−7345(P2011−7345A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148296(P2009−148296)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)