説明

換気装置

【課題】外気を暖めることにより、結露の防止、コールドドラフトの解消を図る。
【解決手段】箱状の本体の一面に外気を吸入する外気吸込口3と、他の一面に室内に外気を吹出す外気吹出口5を設け、本体の内部には、外気吸込口3から外気吹出口5に至る給気風路6と、その給気風路6内に空気を搬送するファンモーター15を備え、給気風路6内には、開口調整手段16と、給気風路6の断面積よりも小さな通過面を持つ加熱手段19を設け、この加熱手段19を運転する時には、開口調整手段16により給気風路6の開口面積を調整して、室内に供給される外気のうち、加熱手段19を通過する空気の割合を調整することによって、給気風路6を通過する空気は、加熱手段19によって暖められる量が調整されて、本体の結露防止とコールドドラフトが軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に据え付けられる換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の換気装置としては、建物内に設置され外気を外気給気口がら導入し、内蔵する熱交換素子を経て室内に供給する換気装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その換気空調装置について図10を参照しながら説明する。
【0004】
図10に示すように、換気装置本体101は、建物内の屋根裏空間または1階天井裏空間に設置され、新鮮外気を外気給気口102から導入し、内臓する熱交換素子部103を通過して室内給気口104を経て室内に供給する。一方、室内の汚れた空気は、室内排気口105から導入され、熱交換素子部103を通過し、室外排気口106を経て室外に排気される。外気給気口102から導入される新鮮外気と室内排気口105から導入される室内の汚れた空気は熱交換素子部103を経て電動機107に同一軸108にて連結された給気用ファン109と排気用ファン110により移送される構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−325535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の外気からの空気を吸込む給気機能を有する換気装置においては、外気が低温の場合本体が結露する、さらには、室内に吹出す空気が冷たくコールドドラフトを感じるという課題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、外気を暖めることにより、結露の防止、コールドドラフトの解消を図ることができる換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は、箱状の本体の一面に外気を吸入する外気吸込口と、他の一面に室内に外気を吹出す外気吹出口を設け、前記本体の内部には、前記外気吸込口から外気吹出口に至る給気風路と、その給気風路内に空気を搬送するファンモーターを備えた換気装置であって、前記給気風路内には、開口調整手段と、前記給気風路の断面積よりも小さな通過面を持つ加熱手段を設け、この加熱手段を運転する時には、前記開口調整手段により前記給気風路の開口面積を調整して、室内に供給される外気のうち、前記加熱手段を通過する空気の割合を調整することを特徴としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば箱状の本体の一面に外気を吸入する外気吸込口と、他の一面に室内に外気を吹出す外気吹出口を設け、前記本体の内部には、前記外気吸込口から外気吹出口に至る給気風路と、その給気風路内に空気を搬送するファンモーターを備えた換気装置であって、前記給気風路内には、開口調整手段と、前記給気風路の断面積よりも小さな通過面を持つ加熱手段を設け、この加熱手段を運転する時には、前記開口調整手段により前記給気風路の開口面積を調整して、室内に供給される外気のうち、前記加熱手段を通過する空気の割合を調整することにより、給気風路を通過する空気は、開口調整手段によって加熱手段を通過する量が調整されることとなり、加熱手段により暖められて本体の結露防止とコールドドラフトが軽減されるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の換気装置を示す下方斜視図
【図2】同換気装置を示す側面断面図
【図3】同換気装置の排気風路を示す部分斜視図
【図4】同換気装置の開口調整手段を示す部分斜視図
【図5】開口調整手段の斜視図
【図6】開口調整手段と過熱手段の斜視図
【図7】温度検出手段を示す部分斜視図
【図8】同換気装置のフィルター部分を示す側面断面図
【図9】フィルター枠とフィルターの斜視図
【図10】従来の熱交換形換気装置を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の換気装置は、箱状の本体の一面に外気を吸入する外気吸込口と、他の一面に室内に外気を吹出す外気吹出口を設け、前記本体の内部には、前記外気吸込口から外気吹出口に至る給気風路と、その給気風路内に空気を搬送するファンモーターを備えた換気装置であって、前記給気風路内には、開口調整手段と、前記給気風路の断面積よりも小さな通過面を持つ加熱手段を設け、この加熱手段を運転する時には、前記開口調整手段により前記給気風路の開口面積を調整して、室内に供給される外気のうち、前記加熱手段を通過する空気の割合を調整するものである。これにより、給気風路を通過する空気は、開口調整手段によって加熱手段を通過する風量が調整されることとなり、加熱手段により暖められて本体の結露防止とコールドドラフトが軽減されるという効果を奏する。
【0012】
また、前記加熱手段を運転する時には、前記加熱手段停止時よりも前記ファンモーターの回転数を小さくする構成としてもよい。これにより、加熱手段停止時よりも少ない風量が加熱手段を通過し、小風量を加熱することとなるので、より一層本体の結露防止とコールドドラフトが軽減されるという効果を奏する。
【0013】
また、前記外気吸込口に温度検出手段を設ける構成としてもよい。これにより、外気の温度を検出することとなるので、外気の温度が低いときのみに加熱手段を稼動することができるため、省エネ運転ができるという効果を奏する。
【0014】
また、前記外気吸込口と前記開口調整手段の間にフィルターを配置した構成としてもよい。これにより、外気からの塵埃を捕集することができることとなるので、加熱手段および本体内部のファンモーターを塵埃から保護することができるという効果を奏する。
【0015】
また、前記加熱手段にPTCヒーターを用いる構成としてもよい。これにより、PTC素子の通過風速によりヒーターの出力が変化することとなるので、故障等の理由でファンの送風が止まった場合、ヒーターの出力が上がらないため安全性が向上することができるという効果を奏する。
【0016】
また、前記本体内に室内の空気を室外へ排気する排気風路を設け、さらに、前記給気風路と前記排気風路を通過する空気の熱交換を行う熱交換素子を備え、前記加熱手段は、前記給気風路の前記熱交換素子の上流側に設けたことにより、熱交換素子における結露、さらには熱交換素子における凍結を防止する熱交換型の換気装置が得られる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1に示すように、換気装置1は、箱状の本体の下面に排気吸込口8を備え、側面に、外気吸込口3、外気吹出口5、排気口9が設けられている。図2、図3に示すように、換気装置1の内部には、外気吸込口3から外気吹出口5に至る給気風路6と、排気吸込口8から排気口9に至る排気風路10を備えている。給気風路6においては、新鮮な室外の空気を、換気装置1の本体側面2の外気吸込口3から吸込み、換気装置1本体の内部に配置した熱交換素子4を通って、外気吹出口5から室内に吹出す。一方、排気風路10では、室内の汚れた空気は、換気装置1の本体下面に設置したパネル7の排気吸込口8より吸込まれ、換気装置1本体の内部に配置した熱交換素子4を通って、排気口9から室外に吹出す。このとき、給気風路6と排気風路10は、熱交換素子4において交差する。そして、熱交換素子4は、給気風路6と排気風路10を通過する室内外の空気の熱量を交換する機能を有している。
【0019】
図2に示すように、室内用ファン11は、給気風路6内に設けられ、室外用ファン12は、排気風路10内に設けられる。そして、室内用ファン11と室外用ファン12は、電動機13に同一軸14にて連結されてファンモーター15を構成している。外気吸込口3から導入される新鮮な空気と排気吸込口8から排気される汚れた空気は、ファンモーター15により、それぞれ給気風路6と排気風路10を流れる。このとき熱交換素子4は空気の流れに対して、室内用ファン11と室外用ファン12の上流側に位置している。
【0020】
また、図4に示すように、換気装置1内部の外気吸込口3と熱交換素子4の間には、開口調整手段16が設けられている。図5に示すように、この開口調整手段16は、ダンパーモーター17の制御により、風向面に対してスライド式に開閉するダンパー18を有している。図6に示すように、この開口調整手段16の上流または下流には、加熱手段19が設けられている。この加熱手段19は、給気風路6の通風方向に開口を設けた角柱型の筒状の枠体20の内部にヒーター素子を設けたものである。そして、この枠体20の通風路断面積は、給気風路6の断面積よりも小さな通過面を持っている。ここで、給気風路6の断面積とは、ダンパー18を全開にしたときの開口調整手段16の開口面積である。
【0021】
すなわち、加熱手段19を運転させる時には、ダンパー18をスライドさせて給気風路6の開口面積を調整して、給気風路6を通過する空気の多くが加熱手段19を通過するようにしている。
【0022】
また、加熱手段19運転時には、加熱手段19停止時よりも、ファンモーター15の回転数を小さくする制御する構成とした。
【0023】
また、図7に示すように、外気吸込口3の近傍に外気温度を検知する温度検出手段21を設けて構成されている。
【0024】
また、図8および図9に示すように、外気吸込口3と開口調整手段16もしくは加熱手段19の間に、着脱可能な様に取っ手22を有し給気風路6に開口を形成し構成されたフィルター枠23に収納されたフィルター24を配置した構成となる。
【0025】
また、加熱手段19としてPTCヒーターを用いている。
【0026】
このような構成による換気装置1の動作について説明する。
【0027】
外気温度の高い夏期、あるいは中間期においては、換気装置1は、通常運転、すなわち、ダンパー18を全開にして、熱交換素子4では、給気風路6を通過する空気と排気風路10を通過する空気との熱交換が行われている。
【0028】
一方、冬期で外気温度が低いときには、加熱手段19によって、給気風路6を通す空気を暖めてから熱交換素子4に流入させる。つまり、給気した外気を暖めることによって、室内空気と熱交換するときに結露が発生しにくくなるのである。ここで、冬期においては、住宅の自然換気回数が増え、換気回数を減少できるため、機械による換気量を小さく抑えることが可能である。換気量を少なくすると、給気風路6の断面積を小さくすることができる。従って、加熱手段19の風路の通過面積を給気風路6の断面積に対して小さくしてある。そして、開口調整手段16によって給気風路6を通過する空気のうち、加熱手段19を通過する空気の量を制御することが可能になる。すなわち、冬期においても外気温度が比較的高い場合には、ダンパー18の開度を大きくして加熱手段19を通過しない外気があっても、熱交換素子4においては結露しにくくなる。外気温度が低い場合には、ダンパー18の開度を絞って給気風路6を通過する空気がほとんど加熱手段19を通過するようにする。このようにして給気風路6を通過する空気を暖めて熱交換素子4においては結露しにくくする。さらに、外気温度が低いときは、ダンパー18の開度を制御するとともに、ファンモーター15の回転数を抑えることで換気量を小さく抑えて加熱手段19を空気が通過するようにすることにより、より熱交換素子4を結露しにくくする。
【0029】
また、外気吸込口3に外気温度を検知する温度検出手段21を設けたことで、熱交換素子4自体が、室内外の熱交換により結露や凍結しない設定温度で、温度検出手段21が検知し、加熱手段19を動作し空気を暖める。
【0030】
また、給気風路6の最上流に設けたフィルター24で、外気吸込口3から導入される新鮮空気と一緒に侵入する塵埃や虫を防止し、加熱手段19やファンモーター15への異物の侵入を防いでいる。さらにフィルター24はフィルター枠23に収納されて、上下方向に取っ手22により換気装置1より着脱可能でお手入れできる。
【0031】
上記のとおり、換気装置1は、内部に、ダンパーモーター17の制御によりスライド式に開閉するダンパー18を有した開口調整手段16を設け、この開口調整手段16に給気風路6の断面積よりも小さな通過面を持ち、空気を暖める加熱手段19を有する。このような構成により、給気風路6を通過する空気は、開口調整手段16によって加熱手段19を通過することとなり、加熱手段19により暖められることとなるので、本体の結露防止とコールドドラフトが軽減できる。
【0032】
また、加熱手段19運転時には、加熱手段19停止時よりも、ファンモーター15の回転数を小さくする制御する構成とすることにより加熱手段19停止時よりも少ない風量が加熱手段19を通過し、小風量を加熱することとなるので、より一層本体の結露防止とコールドドラフトが軽減できる。
【0033】
また、外気吸込口3と開口調整手段16もしくは加熱手段19の間に、フィルター24を配置したことにより、外気からの塵埃を捕集することができることとなるので、加熱手段19および本体内部のファンモーター15を塵埃から保護することができる。
【0034】
また、加熱手段19にPTCヒーターを用いるため、PTC素子の通過風速によりヒーターの出力が変化することとなるので、故障等の理由でファンの送風が止まった場合、ヒーターの出力が上がらないため安全性が向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明にかかる換気装置は、給気風路を通過する空気は、開口調整手段によって加熱手段を通過することとなり、加熱手段により暖めを可能とするものであるので、ビルや工場に使用される産業用の換気装置等として有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 換気装置
2 本体側面
3 外気吸込口
4 熱交換素子
5 外気吹出口
6 給気風路
7 パネル
8 排気吸込口
9 排気口
10 排気風路
11 室内用ファン
12 室外用ファン
13 電動機
14 同一軸
15 ファンモーター
16 開口調整手段
17 ダンパーモーター
18 ダンパー
19 加熱手段
20 枠体
21 温度検出手段
22 取っ手
23 フィルター枠
24 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の本体の一面に外気を吸入する外気吸込口と、他の一面に室内に外気を吹出す外気吹出口を設け、
前記本体の内部には、前記外気吸込口から外気吹出口に至る給気風路と、その給気風路内に空気を搬送するファンモーターを備えた換気装置であって、
前記給気風路内には、開口調整手段と、前記給気風路の断面積よりも小さな通過面を持つ加熱手段を設け、
この加熱手段を運転する時には、前記開口調整手段により前記給気風路の開口面積を調整して、室内に供給される外気のうち、前記加熱手段を通過する空気の割合を調整することを特徴とする換気装置。
【請求項2】
前記加熱手段を運転する時には、前記加熱手段停止時よりも前記ファンモーターの回転数を小さくすることを特徴とする請求項1記載の換気装置。
【請求項3】
前記外気吸込口に温度検出手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記外気吸込口と前記開口調整手段の間にフィルターを配置した請求項1から3いずれかひとつに記載の換気装置。
【請求項5】
前記加熱手段にPTCヒーターを用いた請求項1から4いずれかひとつに記載の換気装置。
【請求項6】
前記本体には、室内の空気を吸入する室内吸込口と、室内から吸い込んだ空気を室外へ排出する室外排気口を設け、
前記本体の内部には、前記室内吸込口から前記室外排気口に至る排気風路と、この排気風路内に排気空気を搬送するファンモーターと、
前記給気風路と前記排気風路を通過する空気の熱交換を行う熱交換素子を備え、
前記加熱手段は、前記給気風路の前記熱交換素子の上流側に設けた請求項1から5いずれかひとつに記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−104656(P2013−104656A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251329(P2011−251329)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)