換気装置
【課題】構成機器の汎用性、及び装置全体の設計業務の汎用性を高めることにより、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を可能とした換気装置を提供すること。
【解決手段】本体1内に全熱交換装置23、給気ファン装置21、排気ファン装置22を備えた換気装置であって、本体1内の給気通路及び排気通路が全熱交換装置23の配置部分において分岐され、この分岐数に対応して全熱交換装置23が複数の全熱交換エレメント231に分割されている。そして、この全熱交換エレメント231において、給気通路側の分岐通路43を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路45を流通する室内空気とが全熱交換されるように構成されている。
【解決手段】本体1内に全熱交換装置23、給気ファン装置21、排気ファン装置22を備えた換気装置であって、本体1内の給気通路及び排気通路が全熱交換装置23の配置部分において分岐され、この分岐数に対応して全熱交換装置23が複数の全熱交換エレメント231に分割されている。そして、この全熱交換エレメント231において、給気通路側の分岐通路43を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路45を流通する室内空気とが全熱交換されるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、室内空気を室外へ排気し、この排気量に見合う室外空気を室内へ給気するいわゆる換気運転を行う換気装置に関わり、特に、換気運転時に室内空気と室外空気との間で全熱交換させる全熱交換装置を備えた換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、換気運転時に室内排気と室外空気との間で熱交換させることにより、室外に排気する室内空気から熱回収するようにした換気装置として、特許文献1に開示されているようなものが知られている。この換気装置においては、熱回収を効率よく行うために、室内空気と室外空気との間で顕熱のみならず潜熱をも熱交換させるいわゆる全熱交換エレメントが使用されている。また、特許文献1に記載された換気装置は、この装置の設置作業及び内部機器の点検などのメンテナンス作業を容易化するために、給排気ダクトの全てを換気装置の天上面などの上部に接続させることにより、換気装置の周囲に前記作業スペースをできるだけ大きく取れるように配慮されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/018361号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような換気装置は、量産品ではなく用途に応じて設計されるという、いわゆる注文生産的な面がある。このため、このような換気装置は、全熱交換エレメント、給気ファン、排気ファン、給気を加湿するための加湿器、給気を加熱又は冷却するための熱交換器等の構成機器の設計や仕様の選択をはじめ、これら構成機器を組み込むための全体設計をその都度行わなければならないという問題があり、汎用性を持たせた設計を行うことが必要とされていた。しかしながら、上記従来の換気装置では、未だこのような面について改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、このような観点に立ち、構成機器の汎用性、及び装置全体の設計業務の汎用性を高めることにより、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を可能とした換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、本体の上部外面に、室外空気を吸い込む室外吸込口、吸い込まれた室外空気を室内へ給気する室内給気口、室内空気を吸い込む室内吸込口、吸い込まれた室内空気を室外へ排気する室外排気口からなるダクト接続口が形成されるとともに、この本体内に、室外吸込口から室内給気口に至る給気通路と、室内吸込口から室外排気口に至る排気通路とが形成され、さらに、この本体内に、給気通路を流通する室外空気と排気通路を流通する室内空気とを全熱交換させる全熱交換装置と、室外空気を室内へ給気するための給気ファン装置と、室内空気を室外へ排気するための排気ファン装置とが収納された換気装置であって、給気通路及び排気通路は、全熱交換装置が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して前記全熱交換装置が複数の全熱交換エレメントに分割され、給気通路側の分岐通路を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路を流通する室内空気とが全熱交換エレメントにより全熱交換されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、給気通路及び排気通路は、全熱交換装置が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して全熱交換装置が複数の全熱交換エレメントに分割され、給気通路側の分岐通路を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路を流通する室内空気とが全熱交換エレメントにより全熱交換されるように構成されている。したがって、この分岐数を増減させることにより全熱交換可能な換気装置の容量を段階的に変化させることができる。また、全熱交換エレメントを含むその周辺を共通化すれば、分岐数の増減を容易化することができ、これにより異なる容量の機種を同一設計思想の下に系列化することができる。また、このような設計思想の共通化及び全熱交換エレメントを含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、給気ファン装置は、前記複数の給気通路側の分岐通路における全熱交換エレメントの下流側に分散配置された複数台の給気ファンから構成され、同様に、排気ファン装置は、前記複数の排気通路側の分岐通路における全熱交換エレメントの下流側に分散配置された複数台の排気ファンから構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、給気通路側の分岐通路および排気通路側の分岐通路に給気ファン、排気ファン及び全熱交換エレメントが配置されているので、これら部品の共通化により給気通路及び排気通路の分岐数に対応する容量の機種を系列化することができる。また、これら部品の共通化により、給気通路及び排気通路の分岐数の増減をより一層容易化することができる。また、これにより、より一層のコスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、本体は、外面に前記ダクト接続口が形成されたダクト接続部と、前記各分岐通路、全熱交換エレメント、給気ファン並びに排気ファンをそれぞれ一つずつ有するとともに、給気通路側の分岐通路が室外吸入口に、また、排気通路側の分岐通路が室外排気口にそれぞれ連通するようにダクト接続部の下部に接続された複数の熱交分岐ユニット部からなる熱交ユニット部と、室内空気を全熱交換エレメントへ搬送するための排気連通路、並びに、全熱交換エレメントで熱交換された室外空気を室内へ搬送するための給気連通路を有するとともに、排気連通路の一端が室内吸込口に、また、給気連通路の一端が室外給気口にそれぞれ連通するようにダクト接続部の下部に接続された連通路部と、排気連通路の他端と複数の排気通路側の分岐通路とを連絡する排気側連絡空間、並びに、給気連通路の他端と複数の給気通路側の分岐通路とを連絡する給気側連絡空間を有するように、熱交ユニット部と連通路部とにまたがってこれらの下方に接続された連絡空間部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、本体が、ダクト接続部、熱交ユニット部、連通路部、連絡空間部とに区分されるので、これら区分毎に仕様を標準化することができる。また、熱交ユニット部については、これを構成する熱交分岐ユニット部を標準化することができる。したがって、標準化された熱交分岐ユニット部の個数を決定し、熱交分岐ユニット部を一定の方向に配列することにより、換気装置の容量及び熱交ユニット部の形状寸法を容易に定めることができる。また、ダクト接続部、連通路部、及び連絡空間部の形状及び寸法を熱交ユニット部に対応させて定めれば、熱交分岐ユニット部の個数に対応した容量の換気装置を容易に設計することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、給気側連絡空間が、各熱交分岐ユニット部の給気通路側の分岐通路に対し個別に連絡される複数の分岐空間部に分岐され、各分岐空間部に加湿器と加熱又は冷却用の熱交換器とが配置されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、連絡空間部における給気側連絡空間の各分岐空間部に、加湿器と加熱又は冷却用の熱交換器とが配置されているので、これら機器を作動させることにより、室内の温度及び湿度を効率よく調節する換気運転を行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、各熱交分岐ユニット部に配置された全熱交換エレメントは、それそれ、空気通過面上における長手方向に複数に分割された、複数の分割全熱交換エレメントからなることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、前記のように熱交分岐ユニット部の個数を変更することに加え、各熱交分岐ユニット部に配置された全熱交換エレメントを構成する分割全熱交換エレメントの数を変更することにより、換気装置の容量を変更することもできる。これにより、換気装置の容量変更をきめ細かく行うことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明において、給気ファン装置及び排気ファン装置は、本体の前面又は背面からサービスできるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、給気ファン装置及び排気ファン装置は、前面又は後面から点検、交換などのサービスを行うことが可能となるので、これらサービスの容易化を図ることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5記載の発明において、複数の熱交分岐ユニット部は、それぞれ、空気通過面上における長手方向と直交する本体の一面から本体内に対し、全熱交換エレメントを構成する複数の分割全熱交換エレメントをスライド式に着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、前記複数の熱交分岐ユニット部は、それぞれ、全熱交換エレメントの空気通過面と直交する一面から、複数の分割全熱交換エレメントをスライド式に着脱可能に形成されているので、全熱交換エレメントの清掃、交換などのサービスを容易に行うことができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の発明において、ダクト接続部は、本体の最上部に配置されるとともに、室外吸込口、室内給気口、室内吸込口、及び室外排気口がダクト接続部の天面に配置されていることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、ダクト引き回しのスペースを天井裏等の本体の上部とすることができる。これにより、本体の周囲に、本体の内部に収納される装置の設置作業及び内部機器の点検などのメンテナンス作業のスペースを広く採ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、全熱交換装置が配置される部分における給気通路及び排気通路の分岐数を増減させることにより全熱交換可能な換気装置の容量を段階的に変化させることができる。また、全熱交換エレメントを含むその周辺を共通化すれば、分岐数の増減を容易化することができ、これにより異なる容量の機種を同一設計思想の下に系列化することができる。また、このような設計思想の共通化及び全熱交換エレメントを含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る換気装置の、前面側から見た外観斜視図である。
【図2】同換気装置の給気通路における空気の流通経路を模式的に示した系統図である。
【図3】同換気装置の排気通路における空気の流通経路を模式的に示した系統図である。
【図4】同換気装置において、全熱交換エレメント及び加湿器の、本体からの取り出し状態を示した斜視図である。
【図5】同換気装置における分割全熱交換エレメントの斜視図である。
【図6】同換気装置の正面図であって、前面側から見た機器配置及び内部の仕切壁を模式的に示した図面である。
【図7】同換気装置の左側面図であって、左側面側から見た機器配置及び内部の仕切壁を模式的に示した図面である。
【図8】同換気装置におけるダクト接続部のケーシング構造を、前面板及び天面板を省略して模式的に示した斜視図である。
【図9】同換気装置における連通路部のケーシング構造を、前面板及び上水平仕切壁を省略して模式的に示した斜視図である。
【図10】同換気装置における熱交ユニット部の機器配置及びケーシング構造を、前面板及び上水平仕切壁を省略して模式的に示した斜視図である。
【図11】同換気装置における連絡空間部のケーシング構造を、前面板及び下水平仕切壁等を省略して模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向(又は高さ方向)をいうときは、図1に示されている方向をいうものとする。
【0025】
本実施の形態に係る換気装置は、室内の床面に設置される、いわゆる床置形である。この換気装置は、図1に示すように、前後方向の奥行き寸法が、左右方向の幅寸法より小さい直方体形状の本体1を備えている。
【0026】
本体1の上部外面、特にこの実施の形態においては天面に複数の接続口からなるダクト接続口が形成されている。このダクト接続口は、換気のために室外空気を吸い込む室外吸込口2、室外吸込口2から吸い込まれた室外空気を室内へ給気する室内給気口3、換気のために室内空気を吸い込む室内吸込口4、室内吸込口4から吸い込まれた室内空気を室外へ排気する室外排気口5からなっている。なお、図中、OAは室外吸込口2から吸い込まれる室外空気を、SAは室内給気口3から室内へ導入される給気(すなわち、室外空気)を、RAは室内吸込口4から吸い込まれる還気(すなわち、室内空気)を、EAは室外排気口5から排出される排気(すなわち、室内空気)をそれぞれ意味する。
【0027】
本体1の前面には、上前面パネル11及び下前面パネル12がそれぞれ着脱自在に取り付けられている。上前面パネル11は、これを着脱することにより内部に搭載されている機器、具体的には後述する給気ファン、排気ファン等をサービスすることできるように形成されている。また、下前面パネル12は、これを着脱することにより内部に搭載されている機器、具体的には後述する加湿器等をサービスすることできるように形成されている。なお、図示しないが、後面にも、前面と同様の着脱自在のパネルが上下に取り付けられている。
【0028】
本体1の左側面の上部には、後述する全熱交換エレメントを着脱するための上サービス蓋13,14が前後に設けられている。また、本体1の左側面下部には、後述する加湿器を着脱するための下サービス蓋15,16が前後に設けられている。また、本体1の左側面中央部には、電装品箱17が設けられている。
【0029】
本体1は、図2に示すように、室外吸込口2から室内給気口3に至る給気通路20Aを内部に形成するように構成されている。また、本体1は、図3に示すように、室内吸込口4から室外排気口5に至る排気通路20Bを内部に形成するように構成されている。
【0030】
給気通路20Aは、図2に示すように、室外吸込口2から吸い込まれた室外空気(室外空気OA)を、ダクト接続部30、熱交ユニット部40、連絡空間部50、連通路部60、ダクト接続部30、室内給気口3と循環させ、(給気SAとして)室内給気口3から室内へ給気するように形成されている。また、排気通路20Bは、図3に示すように、室内吸込口4から吸い込まれた室内空気(還気RA)を、ダクト接続部30、連通路部60、連絡空間部50、熱交ユニット部40、ダクト接続部30、室外排気口5と循環させ、(排気EAとして)室外排気口5から排気するように形成されている。
【0031】
また、図2及び図3から分かるように、本体1は、室外空気を室内へ給気するための複数の、この場合2台の給気ファン211からなる給気ファン装置21と(図2参照)、室内からの室内空気を室外へ排気するための複数の、この場合2台の排気ファンからなる排気ファン装置22を備えている(図3参照)。また、本体1は、給気通路20Aを流通して室内へ給気される室外空気と排気通路20Bを流通して室外へ排気される室内空気とを全熱交換させる全熱交換装置23を内部に備えている。さらに、この実施の形態において、本体1は、図2に示すように、全熱交換装置23で全熱交換された後の、室内に給気される室外空気を加湿するための加湿器24、及び、室内に給気される室外空気を加熱又は冷却するための熱交換器25を内部に備えている。
【0032】
ダクト接続部30は、図6から分かるように、本体1の最上部の一定高さ部分に形成されたものである。ダクト接続部30は、図8に示すように、前後面に亘る二つの仕切壁31,32と、右前部のコーナ部を仕切るL字形の仕切壁33とにより、四つの空間部35,36,37,38に仕切られている。なお、図8を含む本明細書に添付の図面は、板材を実線で(隠れた部分は破線で)示したものである。また、図8〜図11は、内部構造を理解しやすいように、適宜天面板、前面板等の外板を省略し、内部の構造を理解し易いように示した模式構造図である。
【0033】
四つの空間部35,36,37,38は、図6、図8に示すように、左から室外吸込口2に連通する空間部35、室外排気口5に連通する空間部38、室内吸込口4に連通する空間部37、室内給気口3に連通する空間部36として形成されている。また、ダクト接続部30とその下方の熱交ユニット部40及び連通路部60との間には、本体1を水平に横断する上水平仕切壁1aが設けられている。
【0034】
熱交ユニット部40は、図6に示すように、ダクト接続部30の下方の、本体1の高さ方向中央部の左側部分を成す。なお、熱交ユニット部40と、本体1の高さ方向中央部の右側部分を成す連通路部60との間には、本体1の高さ方向中間部分を左右に仕切る縦仕切壁1bが形成されている。また、熱交ユニット部40及び連通路部60の下方に位置する、本体1の下部には連絡空間部50が形成されている。なお、熱交ユニット部40及び連通路部60と連絡空間部50との間には、本体1を水平に横断する下水平仕切壁1cが形成されている。
【0035】
熱交ユニット部40は、図7及び図10に示すように、縦仕切壁41により前後に区画され、同一構造の2個の熱交分岐ユニット部40Aが前後に配置された構造となされている。2個の熱交ユニット部40は、それぞれ、内部に給気ファン装置21、排気ファン装置22、及び全熱交換装置23を備えたものであって、同一構造を成している。図10において、後部の熱交分岐ユニット部40Aは、前部の熱交分岐ユニット部40Aから理解できる部分については省略して記載されている。
【0036】
給気ファン装置21は、図7に示すように、2個の熱交分岐ユニット部40A内に1個ずつ配置された2個の給気ファン211からなる。また、排気ファン装置22は、2個の熱交分岐ユニット部40A内に1個ずつ配置された2個の排気ファン221からなる。そして、全熱交換装置23は、2個の熱交分岐ユニット部40A内に1個ずつ配置された2個の全熱交換エレメント231からなる。
【0037】
全熱交換エレメント231は、図6及び図10から分かるように、熱交分岐ユニット部40Aの中央高さ位置において、左右方向幅一杯に横たわる大きさで配置されている。また、全熱交換エレメント231は、図4及び図10に示すように、断面正方形である。そして、全熱交換エレメント231は、この正方形における対向する二つの角部が上下となり、かつ熱交分岐ユニット部40Aの前後方向の中央部に位置するように配置されている。
【0038】
熱交分岐ユニット部40Aは、図10に示すように、全熱交換エレメント231の上部の、左後側の角部を仕切る平面視L字形の仕切壁42を有している。そして、この仕切壁42の後側に、給気通路20Aを分岐する、給気通路側の分岐通路43が形成されている。この分岐通路43は、図2及び図10から分かるように、給気通路20Aの一部を成すものであって、上水平仕切り板に形成された開口部35aと、全熱交換エレメント231における、室内へ給気される室外空気の流入面とを接続している。また、分岐通路43は、このように構成されているため、上部が開口部35aを介し空間部35(図8参照)に連通され、さらに、この空間部35を介し室外吸込口2に連通されている。なお、図10においては、仮想線により開口部35aの位置が仮想的に示されている。
【0039】
また、この仕切壁42の下端右側、すなわち全熱交換エレメント231の上端角部の後側における右半分の部分に水平仕切壁44(図3及び図10参照)が形成されている。これにより、給気通路側の分岐通路43は、右側に拡大されて、全熱交換エレメント231の幅一杯に拡がるように形成されている。
【0040】
また、熱交分岐ユニット部40Aは、図10に示すように、全熱交換エレメントの231下部の、右後側の角部を仕切る平面視L字形の仕切壁46を有している。そして、この仕切壁46の後側に、排気通路20Bを分岐する、排気通路側の分岐通路45が形成されている。この分岐通路45は、図3及び図10から分かるように、排気通路20Bの一部を成すものであって、下水平仕切壁に形成された開口部45aと全熱交換エレメント231における、室外へ排気される室内空気の流入面とを接続している。また、分岐通路45は、このように構成されているため、下部が開口部45aを介し連絡空間部50の排気側連絡空間50aに連通されている。
【0041】
また、この仕切壁46の上端左側、すなわち全熱交換エレメント231の下端角部の後側における左半分の部分に水平仕切壁48(図2及び図10参照)が形成されている。これにより、排気通路側の分岐通路45は、左側に拡大されて、全熱交換エレメント231の幅一杯に拡がるように形成されている。
【0042】
そして、この仕切壁46の前側及び左側のスペースは、給気通路側の分岐通路43の一部を成し、このスペースにモータ駆動の給気ファン211が配置されている(図10参照)。また、この給気通路側の分岐通路43の下部は、それぞれ、下水平仕切壁1cに形成された開口部43aを介し連絡空間部50に連通されている。
【0043】
また、前述の平面視L字形の仕切壁42の前側及び右側のスペースは、排気通路側の分岐通路45の一部を成し、このスペースにモータ駆動の排気ファン221が配置されている(図10参照)。また、この分岐通路45の上部は、それぞれ、上水平仕切壁1aに形成された開口部38a(図8参照)を介し空間部38に連通され、さらに、この空間部38を介し室外排気口5に連通されている。
【0044】
また、熱交分岐ユニット部40Aに配設される全熱交換エレメント231は、図4及び図5に示されるように、空気通過面上における長手方向に複数に(この実施の形態においては2個に)分割されている。すなわち、全熱交換エレメント231は、2個の分割全熱交換エレメント231aからなる。そして、熱交分岐ユニット部40Aは、図4に示すように、左側面の上サービス蓋13,14を開放することにより、本体1内に対し複数の(2個の)分割全熱交換エレメント231aを枠部材232(図4参照)内からスライド式に取り出し又は収納可能に構成されている。
【0045】
分割全熱交換エレメント231aは、図5に示すように、左右の端面が正方形の四角柱状に形成されている。また、分割全熱交換エレメント231aは、並列に配置された複数の平板部材2311の間に波板部材2312,2313が挟まれたものである。これにより、波状により形成される空気通路2314,2315が平板部材2311を挟んで直交して流通するように形成されている。図5において、左右方向に通じる空気通路2314は、給気通路側の分岐通路43に通じる室外空気の流路として使用され、他方の空気通路2315は、排気通路側の分岐通路45に通じる室内空気の流路として使用される。また、このように室外空気と室内空気とが流通されることにより、平板部材2311を介して両空気間において全熱交換が行われる。
【0046】
なお、分割全熱交換エレメント231aの平板部材2311は、例えば紙などの透湿性の材料で構成されている。これにより、空気通路2314を流通する室外空気と空気通路2315を流通する室内空気との間で、熱と水分が移動するいわゆる全熱交換が行われている。
【0047】
熱交ユニット部40は、以上のように構成されていることにより、全熱交換装置23が配置されている部分において、すなわち、全熱交換エレメント231において、給気通路側の分岐通路43を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路45を流通する室内空気とが全熱交換されるように構成されている。
【0048】
連絡空間部50は、図6及び図7に示すように、下水平仕切壁1cを介し、本体1における熱交ユニット部40及び連通路部60の下方に位置し、本体1の下部を成す。
連絡空間部50は、図6及び図11から分かるように、底部に前後中央部を境にして2個のドレンパン51が併設されている。また、ドレンパン51の上部は、図11に示すように、段状仕切壁52により左右に分割されている。上方から見た段状仕切壁52の右後側のL字形部分は、平面視L字型の縦仕切壁54と水平仕切壁55とにより高さ方向の上半分に仕切られた空間部に形成されている。この空間部は、排気通路20Bの一部を成すこのであって、排気側連絡空間50aを形成する。また、この排気側空間部50a以外の空間部は、給気側連絡空間50bを成す。
【0049】
排気側連絡空間50aは、下水平仕切壁1cに形成された開口部45a(図10、図11参照)を介し、各熱交分岐ユニット部40Aの排気通路側の分岐通路45の下方部に連通されている。なお、図11においては開口部45aの位置を示すために、開口部45aが、仮想線により仮想的に示されている。また、排気側連絡空間50aは、下水平仕切壁1cに形成された開口部63a(図9参照)を介し、連通路部60の排気連通路63に連通されている。
【0050】
連絡空間部50における給気側連絡空間50bは、段状仕切壁52の右側と段状仕切壁52の左側の空間部から成る。
段状仕切壁52の右側は、図11に示すように、段状仕切壁52の右側前部と排気側連絡空間50aの下方部とが段状に一体に連通された段状空間部501bである。この段状空間部501bは、下水平仕切壁1cに形成された開口部62a(図9参照)を介し、連通路部60の給気連通路62に連通されている。
【0051】
段状仕切壁52の左側の空間部は、前後方向の中央部、すなわち、前後のドレンパン51の境界部に左右方向に延びる縦仕切壁53が設けられ、この縦仕切壁53により、前後2個の分岐空間部502bに分割されている(図3、図10参照)。この2個の分岐空間部502bは、以下に述べるような構造を備えたものであって、同一仕様に構成されている。
【0052】
分岐空間部502bは、図2に示すように、それぞれ前後に仕切る内部仕切壁56を有し、この内部仕切壁56の上方部を前面側に傾斜させることにより給気ファン211の出口に開口された開口部43a(図10参照)からの室外空気を分岐空間部502bにおける内部仕切壁56の背部に導入するように形成されている。また、内部仕切壁56の背部には、図2に示すように、室内に給気される室外空気を加熱又冷却する熱交換器25が配置されている。この熱交換器25は、冷水又は温水を通水する水用熱交換器である。また、この加熱又冷却用の熱交換器25は、内部仕切壁56に設けられた開口部(図示省略)に面して設けられており、熱交換器25を通過した空気がこの内部仕切壁56の前側に流通するように形成されている。また、内部仕切壁56の前側の空間部は、段状仕切壁52の下方の段部に設けられた開口部57を介し段状空間部501bに連通している。
【0053】
また、図2に示すように、内部仕切壁56の前側には、熱交換器25を通過した空気を加湿するための加湿器24が配置されている。
なお、図11においては、連絡空間部50のケーシング構造を理解しやすくするために、前面板、下水平仕切壁1c、内部仕切壁56、熱交換器25、加湿器24等を省略している。
【0054】
加湿器24は、図4に示すように、複数の(この場合4個の)分割加湿器24aにより構成されている。そして、加湿器24は、本体1の側面に形成された下サービス蓋15、16を開くと、スライド式に着脱可能にこの下サービス蓋15、16の内部に収納されている。
【0055】
次に、連通路部60は、図3から分かるように、ダクト接続部30の下方の、本体1の高さ方向中央の右側部分を成す。
また、連通路部60は、図2、図3及び図9から分かるように前後に仕切る縦仕切壁61により前後に仕切られている。この縦仕切壁61の前側は、全熱交換装置23で熱交換された室外空気を室内へ搬送するための給気連通路62を成す。また、縦仕切壁61の後側は、室内空気を全熱交換装置23へ搬送するための排気連通路63を成す。
【0056】
給気連通路62の上部は、図8及び図9から分かるように、上水平仕切壁1aに形成された開口部36aを介しダクト接続部30の空間部36に連通されている。なお、この空間部36は、前述のように室内給気口3に連通している。また、給気連通路62の下部は、前述ように下水平仕切壁1cに形成された開口部62aを介し連絡空間部50の給気側連絡空間50bを構成する段状空間部501bに連通されている。
【0057】
排気連通路63の上部は、図8及び図9から分かるように、上水平仕切壁1aに形成された開口部37aを介し、ダクト接続部30の空間部37に連通されている。なお、この空間部37は、前述のように室内吸込口4に連通している。また、排気連通路63の下部は、前述のように下水平仕切壁1cに形成された開口部63aを介し連絡空間部50の排気側連絡空間50aの右側上面部に連通されている。
【0058】
以上のように構成された本実施の形態に係る換気装置の作用について記載する。
先ず、本実施の形態に係る換気装置における換気運転について説明する。換気運転を行うに当たり、熱交分岐ユニット部40Aにおける給気通路側の分岐通路43に配置された給気ファン211、及び、熱交分岐ユニット部40Aにおける排気通路側の分岐通路45に配置された排気ファン221を運転する。これにより、図2に示すように、室外空気が室外吸込口2から吸い込まれる。この室外空気は、ダクト接続部30における空間部35、上水平仕切壁1aに形成された開口部35a、熱交分岐ユニット部40Aにおける仕切壁42背部の給気通路側の分岐通路43を介して、全熱交換エレメント231に導かれる。この室外空気は、この全熱交換エレメント231において室外に排気される室内空気と全熱交換される。
【0059】
室内へ供給される室外空気は、全熱交換エレメント231において排気される室内空気と全熱交換されることにより、一般的な使用の場合、夏季においては冷却及び減湿され、冬季においては加熱及び加湿される。全熱交換エレメント231においてこのような熱交換が行われることにより、排気から熱を回収することでき経済的な換気運転を行うことができる。また、夏季等において、全熱交換エレメント231通過後の、室内へ給気される室外空気の温度及び湿度を減少させたいときは、給気側連絡空間50bの分岐空間部502bに配置された熱交換器25に冷水を流通させることにより、全熱交換エレメント231通過後の室外空気の温度及び湿度を調整することができる。また、冬季等において、全熱交換エレメント231通過後の、室内へ給気される室外空気の温度及び湿度を増加させたいときは、給気側連絡空間50bの分岐空間部502bに配置された熱交換器25に温水を流通させるとともに、加湿器24を作動させることにより、全熱交換エレメント231通過後の室外空気の温度及び湿度を調整することができる。
【0060】
全熱交換エレメント231において全熱交換された室外空気は、給気側連絡空間50bの分岐空間部502bに搬送され、この分岐空間部502bにおいて前述のように熱交換器25及び加湿器24を通過した後、段状空間部501bを経由して連通路部60の給気連通路62に搬送される。そして、給気連通路62に搬送された室外空気は、ダクト接続部30の空間部36及び室内給気口3を介して室内へ給気される。
【0061】
上記のように室内へ給気される室外空気と全熱交換される室内空気は、図3に示すように、室内吸込口4から吸い込まれ、ダクト接続部30の空間部37、上水平仕切壁1aの開口部37a、連通路部60の排気連通路63、下水平仕切壁1cの開口部45a、及び連絡空間部50の排気側連絡空間50aを経由して全熱交換エレメント231に搬送される。また、この全熱交換エレメント231で室外空気と全熱交換されて、潜熱エネルギー及び顕熱エネルギーが回収された後、排気通路側の分岐通路45、上水平仕切壁1aの開口部38a、及び室外排気口5から室外へ排気される。
【0062】
次に、このような熱交換作用を行う換気装置に収納された機器のサービスについて説明する。
全熱交換エレメント231は、長期使用により空気通路2314,2315に塵埃が付着することがある。この場合には、複数の(この場合2個の)分割全熱交換エレメント231aからなる全熱交換エレメント231を取り出して清掃される。この場合、前述の図4のように、本体1の左側面の上サービス蓋13,14を開放することにより、枠部材232から分割全熱交換エレメント231aがスライド式に取り出し、清掃後スライド式に収納することができる。
【0063】
また、加湿器24についても長期使用によりエレメントを交換する必要が生ずる場合がある。この場合は、図4に示すように、下サービス蓋15,16を開放することにより、加湿器24を構成する複数の(この場合4個の)分割加湿器24aがスライド式に着脱することができる。なお。これら分割加湿器24aは、下前面パネル12を取り外してサービスすることも可能になっている。
【0064】
また、給気ファン装置21を構成する給気ファン211、及び排気ファン装置22を構成する排気ファン221をサービスする場合は、上前面パネル11又は不図示の上背面パネルをサービスすることもできる。
【0065】
次に、このように構成された換気装置の容量の変更について述べる。
上記記載の換気装置において、各部の構成を標準化したものとしておく。そして、異なる容量の換気装置を受注し、これを設計するときは、まず、全熱交換装置23が配置される部分における分岐数、全熱交換装置23を構成する分割全熱交換エレメント231aの個数、又は分割全熱交換エレメント231aの容量を変更するとともに、これに見合うように他の部分を設定することにより対応するようにする。こうすると、設計思想の共通化及び全熱交換エレメント231を含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0066】
例えば、1.5倍の熱交換容量の換気装置を受注した場合には、熱交分岐ユニット部40Aの仕様を標準化しておき、その仕様を変更しないで熱交ユニット部40における熱交分岐ユニット部40Aの個数を3個にする。また、この分岐個数に合わせて連絡空間部50の分岐空間部502bを3個にする。従って、ダクト接続部30、連絡空間部50、及び連通路部60の前後方向の寸法を略1.5倍として、熱交ユニット部40に対する相互接続を前述の場合と同様に維持されるようにすることにより、容易に1.5倍の容量の換気装置を得ることができる。また、これと同様に、熱交分岐ユニット部40Aの個数を4個にするとともに、連絡空間部50の分岐空間部502bを4個にすることにより、上述の実施の形態の場合の2倍とすることができる。なお、以上のように換気装置の容量を増大させたい場合、ダクト接続口の形状を平面視円形から長方形に変更すれば、換気風量の増大に合わせてダクト接続口の寸法を大きくすることが容易になる。
【0067】
また、例えば、約半分の容量の換気装置を受注したときは次のように行う。
このときには、熱交ユニット部40における熱交分岐ユニット部40A及び分岐空間部502bの個数をそれぞれ1個にすることで可能となる。しかし、この場合には本体の前後方向の寸法が小さくなり強度的に無理な構造体となることもあり得る。このような場合の対応として、熱交分岐ユニット部40Aの個数を2個のままとする。そして、熱交分岐ユニット部40Aの個数を半分にすることに代えて、全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aの個数を1個にするとともに、給気ファン211及び排気ファン221の回転数を変更して風量を低下させるようにする。また、この場合、加湿器24及び熱交換器25は、約半分の能力となるように調整すればよい。
【0068】
さらに、多種の容量を容易に可能とする方法として次のようにしてもよい。上記実施の形態のものに加えて、各熱交分岐ユニット部40Aに収納される分割全熱交換エレメント231aを3個として、上述のものよりも容量を大きくしたものもの、並びに、分割全熱交換エレメント231aを1個として、上述のように容量を半分にしたものを標準化しておき、これらを適宜選択できるようにしていてもよい。このようにしておくと、熱交ユニット部40における熱交分岐ユニット部40Aの個数の変更と、全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aの個数の変更をミックスさせることにより、容量の変更をきめ細かく容易に変更することができる。なお、このような標準化において全熱交換エレメント231、給気ファン211、排気ファン221等の部品の共通化及びこれら部品の取り付け構造の共通化を行えば、コストも軽減される。
【0069】
本実施の形態に係る換気装置は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
(1)給気通路20A及び排気通路20Bは、全熱交換装置23が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して全熱交換装置23が複数の全熱交換エレメント231に分割されている。したがって、この分岐数を増減させることにより全熱交換可能な換気装置の容量を段階的に変化させることができる。また、全熱交換エレメント231を含むその周辺を共通化すると、分岐数の増減を容易化することができ、これにより異なる容量の機種を同一設計思想の下に系列化することができる。また、このような設計思想の共通化及び全熱交換エレメント231を含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0070】
(2)給気ファン装置21は、2個の給気通路側の分岐通路43における全熱交換エレメント231の下流側に分散配置された2台の給気ファン211から構成され、同様に、排気ファン装置22は、2個の排気通路側の分岐通路45における全熱交換エレメント231の下流側に分散配置された2台の排気ファン221から構成されている。したがって、給気通路側の分岐通路43および排気通路側の分岐通路45に給気ファン211、排気ファン221及び全熱交換エレメント231が配置されているので、これら部品の共通化により給気通路20A及び排気通路20Bの分岐数に対応する容量の機種を系列化することができる。また、これら部品の共通化により、給気通路20A及び排気通路20Bの分岐数の増減をより一層容易化することができる。また、これにより、より一層のコスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0071】
(3)本体1が、ダクト接続部30、熱交ユニット部40、連通路部60、連絡空間部50とに区分されるので、これら区分毎に仕様を標準化することができる。また、熱交ユニット部40については、これを構成する熱交分岐ユニット部40Aを標準化することができる。したがって、熱交分岐ユニット部40Aの個数を決定し、熱交分岐ユニット部40Aを一定の方向に配列することにより、換気装置の容量及び熱交ユニット部40の形状寸法を定めることができる。また、ダクト接続部30、連通路部60、及び連絡空間部50の形状及び寸法を熱交ユニット部40に対応させて定めれば、熱交分岐ユニット部40Aの個数に対応した容量の換気装置を容易に設計することができる。
【0072】
(4)連絡空間部50における給気側連絡空間50bの各分岐空間部502bに、加湿器24と加熱又は冷却用の熱交換器25とが配置されているので、これら機器を作動させることにより、室内の温度及び湿度を効率よく調節する換気運転を行うことができる。
【0073】
(5)熱交分岐ユニット部40Aの個数を変更することに加え、各熱交分岐ユニット部40Aに配置された全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aの数を変更することにより、換気装置の容量を変更することもできる。これにより、換気装置の容量変更をきめ細かく行うことができる。
【0074】
(6)給気ファン装置21及び排気ファン装置22は、前面又は後面から点検、交換などのサービスを行うことが可能となるので、これら装置のサービスを容易化することができる。
【0075】
(7)複数の熱交分岐ユニット部40Aは、それぞれ、全熱交換エレメント231の空気通過面と直交する一面から、複数の分割全熱交換エレメント231aをスライド式に着脱可能に形成されているので、全熱交換エレメント231の清掃、交換などのサービスを容易に行うことができる。
【0076】
(8)ダクト接続部30は、本体1の最上部に配置されるとともに、室外吸込口2、室内給気口3、室内吸込口4、及び室外排気口5が当該ダクト接続部30の天面に配置されているので、ダクト引き回しスペースを天井裏等の本体1の上部とすることができる。これにより、本体1の周囲に、本体1の内部に収納される装置の点検、搬入スペースを広く採ることができる。
【0077】
(変形例)
上記実施の形態において以下のように変更することもできる。
・本発明の換気装置は、上記実施形態に限定されることなく、以下の変形例も可能である。なお、以下の変形例は、異なる変形例同士を互いに組み合わせてもよい。
【0078】
・前記実施の形態においては、全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aを2個とした例を記載していたが、これに限定されるものではない。前述のように、異なる容量の換気装置の設計のために分割全熱交換エレメント231aを1個あるいは3個以上の適宜の数としてもよい。
【0079】
・給気ファン装置21及び排気ファン装置22は、回転数可変形のファン装置としてもよい。この場合には、全熱交換装置23の容量変更に合わせて適宜の風量の選定が容易になる。
【0080】
・ダクト接続口は、本体1の天面に4個配置されていたが、本体1の周囲側部にアフターサービス及び機器搬入に必要な作業スペースを確保できればよく、本体1上部のダクト接続部30の側部の設けるようにしてのよい。
【0081】
・各部の仕切壁の構造、例えば、熱交分岐ユニット部40Aにおける仕切壁42,46、水平仕切壁44,48、連絡空間部50における段状仕切壁52、縦仕切壁53、54、水平仕切壁55、内部仕切壁56等は、この換気装置の機能を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【0082】
・加湿器24は、特に仕様が限定されるものではない。
・熱交換器25は、前記実施の形態においては冷水又は温水を通水させる水用熱交換器とされているが、ヒートポンプ式の冷凍装置の室内熱交換器であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…本体、2…室外吸込口、3…室内給気口、4…室内吸込口、5…室外排気口、20A…給気通路、20B…排気通路、21…給気ファン装置、22…排気ファン装置、23…全熱交換装置、24…加湿器、25…熱交換器、30…ダクト接続部、40…熱交ユニット部、40A…熱交分岐ユニット部、43…(排気通路側の)分岐通路、45…(給気通路側の)分岐通路、50…連絡空間部、50a…排気連絡空間、50b…給気連絡空間、60…連通路部、62…給気連通路、63…排気連通路、211…給気ファン、221…排気ファン、231…全熱交換エレメント、231a…分割全熱交換エレメント、502b…分岐空間部。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、室内空気を室外へ排気し、この排気量に見合う室外空気を室内へ給気するいわゆる換気運転を行う換気装置に関わり、特に、換気運転時に室内空気と室外空気との間で全熱交換させる全熱交換装置を備えた換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、換気運転時に室内排気と室外空気との間で熱交換させることにより、室外に排気する室内空気から熱回収するようにした換気装置として、特許文献1に開示されているようなものが知られている。この換気装置においては、熱回収を効率よく行うために、室内空気と室外空気との間で顕熱のみならず潜熱をも熱交換させるいわゆる全熱交換エレメントが使用されている。また、特許文献1に記載された換気装置は、この装置の設置作業及び内部機器の点検などのメンテナンス作業を容易化するために、給排気ダクトの全てを換気装置の天上面などの上部に接続させることにより、換気装置の周囲に前記作業スペースをできるだけ大きく取れるように配慮されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/018361号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような換気装置は、量産品ではなく用途に応じて設計されるという、いわゆる注文生産的な面がある。このため、このような換気装置は、全熱交換エレメント、給気ファン、排気ファン、給気を加湿するための加湿器、給気を加熱又は冷却するための熱交換器等の構成機器の設計や仕様の選択をはじめ、これら構成機器を組み込むための全体設計をその都度行わなければならないという問題があり、汎用性を持たせた設計を行うことが必要とされていた。しかしながら、上記従来の換気装置では、未だこのような面について改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、このような観点に立ち、構成機器の汎用性、及び装置全体の設計業務の汎用性を高めることにより、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を可能とした換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、本体の上部外面に、室外空気を吸い込む室外吸込口、吸い込まれた室外空気を室内へ給気する室内給気口、室内空気を吸い込む室内吸込口、吸い込まれた室内空気を室外へ排気する室外排気口からなるダクト接続口が形成されるとともに、この本体内に、室外吸込口から室内給気口に至る給気通路と、室内吸込口から室外排気口に至る排気通路とが形成され、さらに、この本体内に、給気通路を流通する室外空気と排気通路を流通する室内空気とを全熱交換させる全熱交換装置と、室外空気を室内へ給気するための給気ファン装置と、室内空気を室外へ排気するための排気ファン装置とが収納された換気装置であって、給気通路及び排気通路は、全熱交換装置が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して前記全熱交換装置が複数の全熱交換エレメントに分割され、給気通路側の分岐通路を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路を流通する室内空気とが全熱交換エレメントにより全熱交換されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、給気通路及び排気通路は、全熱交換装置が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して全熱交換装置が複数の全熱交換エレメントに分割され、給気通路側の分岐通路を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路を流通する室内空気とが全熱交換エレメントにより全熱交換されるように構成されている。したがって、この分岐数を増減させることにより全熱交換可能な換気装置の容量を段階的に変化させることができる。また、全熱交換エレメントを含むその周辺を共通化すれば、分岐数の増減を容易化することができ、これにより異なる容量の機種を同一設計思想の下に系列化することができる。また、このような設計思想の共通化及び全熱交換エレメントを含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、給気ファン装置は、前記複数の給気通路側の分岐通路における全熱交換エレメントの下流側に分散配置された複数台の給気ファンから構成され、同様に、排気ファン装置は、前記複数の排気通路側の分岐通路における全熱交換エレメントの下流側に分散配置された複数台の排気ファンから構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、給気通路側の分岐通路および排気通路側の分岐通路に給気ファン、排気ファン及び全熱交換エレメントが配置されているので、これら部品の共通化により給気通路及び排気通路の分岐数に対応する容量の機種を系列化することができる。また、これら部品の共通化により、給気通路及び排気通路の分岐数の増減をより一層容易化することができる。また、これにより、より一層のコスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、本体は、外面に前記ダクト接続口が形成されたダクト接続部と、前記各分岐通路、全熱交換エレメント、給気ファン並びに排気ファンをそれぞれ一つずつ有するとともに、給気通路側の分岐通路が室外吸入口に、また、排気通路側の分岐通路が室外排気口にそれぞれ連通するようにダクト接続部の下部に接続された複数の熱交分岐ユニット部からなる熱交ユニット部と、室内空気を全熱交換エレメントへ搬送するための排気連通路、並びに、全熱交換エレメントで熱交換された室外空気を室内へ搬送するための給気連通路を有するとともに、排気連通路の一端が室内吸込口に、また、給気連通路の一端が室外給気口にそれぞれ連通するようにダクト接続部の下部に接続された連通路部と、排気連通路の他端と複数の排気通路側の分岐通路とを連絡する排気側連絡空間、並びに、給気連通路の他端と複数の給気通路側の分岐通路とを連絡する給気側連絡空間を有するように、熱交ユニット部と連通路部とにまたがってこれらの下方に接続された連絡空間部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、本体が、ダクト接続部、熱交ユニット部、連通路部、連絡空間部とに区分されるので、これら区分毎に仕様を標準化することができる。また、熱交ユニット部については、これを構成する熱交分岐ユニット部を標準化することができる。したがって、標準化された熱交分岐ユニット部の個数を決定し、熱交分岐ユニット部を一定の方向に配列することにより、換気装置の容量及び熱交ユニット部の形状寸法を容易に定めることができる。また、ダクト接続部、連通路部、及び連絡空間部の形状及び寸法を熱交ユニット部に対応させて定めれば、熱交分岐ユニット部の個数に対応した容量の換気装置を容易に設計することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、給気側連絡空間が、各熱交分岐ユニット部の給気通路側の分岐通路に対し個別に連絡される複数の分岐空間部に分岐され、各分岐空間部に加湿器と加熱又は冷却用の熱交換器とが配置されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、連絡空間部における給気側連絡空間の各分岐空間部に、加湿器と加熱又は冷却用の熱交換器とが配置されているので、これら機器を作動させることにより、室内の温度及び湿度を効率よく調節する換気運転を行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、各熱交分岐ユニット部に配置された全熱交換エレメントは、それそれ、空気通過面上における長手方向に複数に分割された、複数の分割全熱交換エレメントからなることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、前記のように熱交分岐ユニット部の個数を変更することに加え、各熱交分岐ユニット部に配置された全熱交換エレメントを構成する分割全熱交換エレメントの数を変更することにより、換気装置の容量を変更することもできる。これにより、換気装置の容量変更をきめ細かく行うことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明において、給気ファン装置及び排気ファン装置は、本体の前面又は背面からサービスできるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、給気ファン装置及び排気ファン装置は、前面又は後面から点検、交換などのサービスを行うことが可能となるので、これらサービスの容易化を図ることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5記載の発明において、複数の熱交分岐ユニット部は、それぞれ、空気通過面上における長手方向と直交する本体の一面から本体内に対し、全熱交換エレメントを構成する複数の分割全熱交換エレメントをスライド式に着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、前記複数の熱交分岐ユニット部は、それぞれ、全熱交換エレメントの空気通過面と直交する一面から、複数の分割全熱交換エレメントをスライド式に着脱可能に形成されているので、全熱交換エレメントの清掃、交換などのサービスを容易に行うことができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の発明において、ダクト接続部は、本体の最上部に配置されるとともに、室外吸込口、室内給気口、室内吸込口、及び室外排気口がダクト接続部の天面に配置されていることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、ダクト引き回しのスペースを天井裏等の本体の上部とすることができる。これにより、本体の周囲に、本体の内部に収納される装置の設置作業及び内部機器の点検などのメンテナンス作業のスペースを広く採ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、全熱交換装置が配置される部分における給気通路及び排気通路の分岐数を増減させることにより全熱交換可能な換気装置の容量を段階的に変化させることができる。また、全熱交換エレメントを含むその周辺を共通化すれば、分岐数の増減を容易化することができ、これにより異なる容量の機種を同一設計思想の下に系列化することができる。また、このような設計思想の共通化及び全熱交換エレメントを含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る換気装置の、前面側から見た外観斜視図である。
【図2】同換気装置の給気通路における空気の流通経路を模式的に示した系統図である。
【図3】同換気装置の排気通路における空気の流通経路を模式的に示した系統図である。
【図4】同換気装置において、全熱交換エレメント及び加湿器の、本体からの取り出し状態を示した斜視図である。
【図5】同換気装置における分割全熱交換エレメントの斜視図である。
【図6】同換気装置の正面図であって、前面側から見た機器配置及び内部の仕切壁を模式的に示した図面である。
【図7】同換気装置の左側面図であって、左側面側から見た機器配置及び内部の仕切壁を模式的に示した図面である。
【図8】同換気装置におけるダクト接続部のケーシング構造を、前面板及び天面板を省略して模式的に示した斜視図である。
【図9】同換気装置における連通路部のケーシング構造を、前面板及び上水平仕切壁を省略して模式的に示した斜視図である。
【図10】同換気装置における熱交ユニット部の機器配置及びケーシング構造を、前面板及び上水平仕切壁を省略して模式的に示した斜視図である。
【図11】同換気装置における連絡空間部のケーシング構造を、前面板及び下水平仕切壁等を省略して模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向(又は高さ方向)をいうときは、図1に示されている方向をいうものとする。
【0025】
本実施の形態に係る換気装置は、室内の床面に設置される、いわゆる床置形である。この換気装置は、図1に示すように、前後方向の奥行き寸法が、左右方向の幅寸法より小さい直方体形状の本体1を備えている。
【0026】
本体1の上部外面、特にこの実施の形態においては天面に複数の接続口からなるダクト接続口が形成されている。このダクト接続口は、換気のために室外空気を吸い込む室外吸込口2、室外吸込口2から吸い込まれた室外空気を室内へ給気する室内給気口3、換気のために室内空気を吸い込む室内吸込口4、室内吸込口4から吸い込まれた室内空気を室外へ排気する室外排気口5からなっている。なお、図中、OAは室外吸込口2から吸い込まれる室外空気を、SAは室内給気口3から室内へ導入される給気(すなわち、室外空気)を、RAは室内吸込口4から吸い込まれる還気(すなわち、室内空気)を、EAは室外排気口5から排出される排気(すなわち、室内空気)をそれぞれ意味する。
【0027】
本体1の前面には、上前面パネル11及び下前面パネル12がそれぞれ着脱自在に取り付けられている。上前面パネル11は、これを着脱することにより内部に搭載されている機器、具体的には後述する給気ファン、排気ファン等をサービスすることできるように形成されている。また、下前面パネル12は、これを着脱することにより内部に搭載されている機器、具体的には後述する加湿器等をサービスすることできるように形成されている。なお、図示しないが、後面にも、前面と同様の着脱自在のパネルが上下に取り付けられている。
【0028】
本体1の左側面の上部には、後述する全熱交換エレメントを着脱するための上サービス蓋13,14が前後に設けられている。また、本体1の左側面下部には、後述する加湿器を着脱するための下サービス蓋15,16が前後に設けられている。また、本体1の左側面中央部には、電装品箱17が設けられている。
【0029】
本体1は、図2に示すように、室外吸込口2から室内給気口3に至る給気通路20Aを内部に形成するように構成されている。また、本体1は、図3に示すように、室内吸込口4から室外排気口5に至る排気通路20Bを内部に形成するように構成されている。
【0030】
給気通路20Aは、図2に示すように、室外吸込口2から吸い込まれた室外空気(室外空気OA)を、ダクト接続部30、熱交ユニット部40、連絡空間部50、連通路部60、ダクト接続部30、室内給気口3と循環させ、(給気SAとして)室内給気口3から室内へ給気するように形成されている。また、排気通路20Bは、図3に示すように、室内吸込口4から吸い込まれた室内空気(還気RA)を、ダクト接続部30、連通路部60、連絡空間部50、熱交ユニット部40、ダクト接続部30、室外排気口5と循環させ、(排気EAとして)室外排気口5から排気するように形成されている。
【0031】
また、図2及び図3から分かるように、本体1は、室外空気を室内へ給気するための複数の、この場合2台の給気ファン211からなる給気ファン装置21と(図2参照)、室内からの室内空気を室外へ排気するための複数の、この場合2台の排気ファンからなる排気ファン装置22を備えている(図3参照)。また、本体1は、給気通路20Aを流通して室内へ給気される室外空気と排気通路20Bを流通して室外へ排気される室内空気とを全熱交換させる全熱交換装置23を内部に備えている。さらに、この実施の形態において、本体1は、図2に示すように、全熱交換装置23で全熱交換された後の、室内に給気される室外空気を加湿するための加湿器24、及び、室内に給気される室外空気を加熱又は冷却するための熱交換器25を内部に備えている。
【0032】
ダクト接続部30は、図6から分かるように、本体1の最上部の一定高さ部分に形成されたものである。ダクト接続部30は、図8に示すように、前後面に亘る二つの仕切壁31,32と、右前部のコーナ部を仕切るL字形の仕切壁33とにより、四つの空間部35,36,37,38に仕切られている。なお、図8を含む本明細書に添付の図面は、板材を実線で(隠れた部分は破線で)示したものである。また、図8〜図11は、内部構造を理解しやすいように、適宜天面板、前面板等の外板を省略し、内部の構造を理解し易いように示した模式構造図である。
【0033】
四つの空間部35,36,37,38は、図6、図8に示すように、左から室外吸込口2に連通する空間部35、室外排気口5に連通する空間部38、室内吸込口4に連通する空間部37、室内給気口3に連通する空間部36として形成されている。また、ダクト接続部30とその下方の熱交ユニット部40及び連通路部60との間には、本体1を水平に横断する上水平仕切壁1aが設けられている。
【0034】
熱交ユニット部40は、図6に示すように、ダクト接続部30の下方の、本体1の高さ方向中央部の左側部分を成す。なお、熱交ユニット部40と、本体1の高さ方向中央部の右側部分を成す連通路部60との間には、本体1の高さ方向中間部分を左右に仕切る縦仕切壁1bが形成されている。また、熱交ユニット部40及び連通路部60の下方に位置する、本体1の下部には連絡空間部50が形成されている。なお、熱交ユニット部40及び連通路部60と連絡空間部50との間には、本体1を水平に横断する下水平仕切壁1cが形成されている。
【0035】
熱交ユニット部40は、図7及び図10に示すように、縦仕切壁41により前後に区画され、同一構造の2個の熱交分岐ユニット部40Aが前後に配置された構造となされている。2個の熱交ユニット部40は、それぞれ、内部に給気ファン装置21、排気ファン装置22、及び全熱交換装置23を備えたものであって、同一構造を成している。図10において、後部の熱交分岐ユニット部40Aは、前部の熱交分岐ユニット部40Aから理解できる部分については省略して記載されている。
【0036】
給気ファン装置21は、図7に示すように、2個の熱交分岐ユニット部40A内に1個ずつ配置された2個の給気ファン211からなる。また、排気ファン装置22は、2個の熱交分岐ユニット部40A内に1個ずつ配置された2個の排気ファン221からなる。そして、全熱交換装置23は、2個の熱交分岐ユニット部40A内に1個ずつ配置された2個の全熱交換エレメント231からなる。
【0037】
全熱交換エレメント231は、図6及び図10から分かるように、熱交分岐ユニット部40Aの中央高さ位置において、左右方向幅一杯に横たわる大きさで配置されている。また、全熱交換エレメント231は、図4及び図10に示すように、断面正方形である。そして、全熱交換エレメント231は、この正方形における対向する二つの角部が上下となり、かつ熱交分岐ユニット部40Aの前後方向の中央部に位置するように配置されている。
【0038】
熱交分岐ユニット部40Aは、図10に示すように、全熱交換エレメント231の上部の、左後側の角部を仕切る平面視L字形の仕切壁42を有している。そして、この仕切壁42の後側に、給気通路20Aを分岐する、給気通路側の分岐通路43が形成されている。この分岐通路43は、図2及び図10から分かるように、給気通路20Aの一部を成すものであって、上水平仕切り板に形成された開口部35aと、全熱交換エレメント231における、室内へ給気される室外空気の流入面とを接続している。また、分岐通路43は、このように構成されているため、上部が開口部35aを介し空間部35(図8参照)に連通され、さらに、この空間部35を介し室外吸込口2に連通されている。なお、図10においては、仮想線により開口部35aの位置が仮想的に示されている。
【0039】
また、この仕切壁42の下端右側、すなわち全熱交換エレメント231の上端角部の後側における右半分の部分に水平仕切壁44(図3及び図10参照)が形成されている。これにより、給気通路側の分岐通路43は、右側に拡大されて、全熱交換エレメント231の幅一杯に拡がるように形成されている。
【0040】
また、熱交分岐ユニット部40Aは、図10に示すように、全熱交換エレメントの231下部の、右後側の角部を仕切る平面視L字形の仕切壁46を有している。そして、この仕切壁46の後側に、排気通路20Bを分岐する、排気通路側の分岐通路45が形成されている。この分岐通路45は、図3及び図10から分かるように、排気通路20Bの一部を成すものであって、下水平仕切壁に形成された開口部45aと全熱交換エレメント231における、室外へ排気される室内空気の流入面とを接続している。また、分岐通路45は、このように構成されているため、下部が開口部45aを介し連絡空間部50の排気側連絡空間50aに連通されている。
【0041】
また、この仕切壁46の上端左側、すなわち全熱交換エレメント231の下端角部の後側における左半分の部分に水平仕切壁48(図2及び図10参照)が形成されている。これにより、排気通路側の分岐通路45は、左側に拡大されて、全熱交換エレメント231の幅一杯に拡がるように形成されている。
【0042】
そして、この仕切壁46の前側及び左側のスペースは、給気通路側の分岐通路43の一部を成し、このスペースにモータ駆動の給気ファン211が配置されている(図10参照)。また、この給気通路側の分岐通路43の下部は、それぞれ、下水平仕切壁1cに形成された開口部43aを介し連絡空間部50に連通されている。
【0043】
また、前述の平面視L字形の仕切壁42の前側及び右側のスペースは、排気通路側の分岐通路45の一部を成し、このスペースにモータ駆動の排気ファン221が配置されている(図10参照)。また、この分岐通路45の上部は、それぞれ、上水平仕切壁1aに形成された開口部38a(図8参照)を介し空間部38に連通され、さらに、この空間部38を介し室外排気口5に連通されている。
【0044】
また、熱交分岐ユニット部40Aに配設される全熱交換エレメント231は、図4及び図5に示されるように、空気通過面上における長手方向に複数に(この実施の形態においては2個に)分割されている。すなわち、全熱交換エレメント231は、2個の分割全熱交換エレメント231aからなる。そして、熱交分岐ユニット部40Aは、図4に示すように、左側面の上サービス蓋13,14を開放することにより、本体1内に対し複数の(2個の)分割全熱交換エレメント231aを枠部材232(図4参照)内からスライド式に取り出し又は収納可能に構成されている。
【0045】
分割全熱交換エレメント231aは、図5に示すように、左右の端面が正方形の四角柱状に形成されている。また、分割全熱交換エレメント231aは、並列に配置された複数の平板部材2311の間に波板部材2312,2313が挟まれたものである。これにより、波状により形成される空気通路2314,2315が平板部材2311を挟んで直交して流通するように形成されている。図5において、左右方向に通じる空気通路2314は、給気通路側の分岐通路43に通じる室外空気の流路として使用され、他方の空気通路2315は、排気通路側の分岐通路45に通じる室内空気の流路として使用される。また、このように室外空気と室内空気とが流通されることにより、平板部材2311を介して両空気間において全熱交換が行われる。
【0046】
なお、分割全熱交換エレメント231aの平板部材2311は、例えば紙などの透湿性の材料で構成されている。これにより、空気通路2314を流通する室外空気と空気通路2315を流通する室内空気との間で、熱と水分が移動するいわゆる全熱交換が行われている。
【0047】
熱交ユニット部40は、以上のように構成されていることにより、全熱交換装置23が配置されている部分において、すなわち、全熱交換エレメント231において、給気通路側の分岐通路43を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路45を流通する室内空気とが全熱交換されるように構成されている。
【0048】
連絡空間部50は、図6及び図7に示すように、下水平仕切壁1cを介し、本体1における熱交ユニット部40及び連通路部60の下方に位置し、本体1の下部を成す。
連絡空間部50は、図6及び図11から分かるように、底部に前後中央部を境にして2個のドレンパン51が併設されている。また、ドレンパン51の上部は、図11に示すように、段状仕切壁52により左右に分割されている。上方から見た段状仕切壁52の右後側のL字形部分は、平面視L字型の縦仕切壁54と水平仕切壁55とにより高さ方向の上半分に仕切られた空間部に形成されている。この空間部は、排気通路20Bの一部を成すこのであって、排気側連絡空間50aを形成する。また、この排気側空間部50a以外の空間部は、給気側連絡空間50bを成す。
【0049】
排気側連絡空間50aは、下水平仕切壁1cに形成された開口部45a(図10、図11参照)を介し、各熱交分岐ユニット部40Aの排気通路側の分岐通路45の下方部に連通されている。なお、図11においては開口部45aの位置を示すために、開口部45aが、仮想線により仮想的に示されている。また、排気側連絡空間50aは、下水平仕切壁1cに形成された開口部63a(図9参照)を介し、連通路部60の排気連通路63に連通されている。
【0050】
連絡空間部50における給気側連絡空間50bは、段状仕切壁52の右側と段状仕切壁52の左側の空間部から成る。
段状仕切壁52の右側は、図11に示すように、段状仕切壁52の右側前部と排気側連絡空間50aの下方部とが段状に一体に連通された段状空間部501bである。この段状空間部501bは、下水平仕切壁1cに形成された開口部62a(図9参照)を介し、連通路部60の給気連通路62に連通されている。
【0051】
段状仕切壁52の左側の空間部は、前後方向の中央部、すなわち、前後のドレンパン51の境界部に左右方向に延びる縦仕切壁53が設けられ、この縦仕切壁53により、前後2個の分岐空間部502bに分割されている(図3、図10参照)。この2個の分岐空間部502bは、以下に述べるような構造を備えたものであって、同一仕様に構成されている。
【0052】
分岐空間部502bは、図2に示すように、それぞれ前後に仕切る内部仕切壁56を有し、この内部仕切壁56の上方部を前面側に傾斜させることにより給気ファン211の出口に開口された開口部43a(図10参照)からの室外空気を分岐空間部502bにおける内部仕切壁56の背部に導入するように形成されている。また、内部仕切壁56の背部には、図2に示すように、室内に給気される室外空気を加熱又冷却する熱交換器25が配置されている。この熱交換器25は、冷水又は温水を通水する水用熱交換器である。また、この加熱又冷却用の熱交換器25は、内部仕切壁56に設けられた開口部(図示省略)に面して設けられており、熱交換器25を通過した空気がこの内部仕切壁56の前側に流通するように形成されている。また、内部仕切壁56の前側の空間部は、段状仕切壁52の下方の段部に設けられた開口部57を介し段状空間部501bに連通している。
【0053】
また、図2に示すように、内部仕切壁56の前側には、熱交換器25を通過した空気を加湿するための加湿器24が配置されている。
なお、図11においては、連絡空間部50のケーシング構造を理解しやすくするために、前面板、下水平仕切壁1c、内部仕切壁56、熱交換器25、加湿器24等を省略している。
【0054】
加湿器24は、図4に示すように、複数の(この場合4個の)分割加湿器24aにより構成されている。そして、加湿器24は、本体1の側面に形成された下サービス蓋15、16を開くと、スライド式に着脱可能にこの下サービス蓋15、16の内部に収納されている。
【0055】
次に、連通路部60は、図3から分かるように、ダクト接続部30の下方の、本体1の高さ方向中央の右側部分を成す。
また、連通路部60は、図2、図3及び図9から分かるように前後に仕切る縦仕切壁61により前後に仕切られている。この縦仕切壁61の前側は、全熱交換装置23で熱交換された室外空気を室内へ搬送するための給気連通路62を成す。また、縦仕切壁61の後側は、室内空気を全熱交換装置23へ搬送するための排気連通路63を成す。
【0056】
給気連通路62の上部は、図8及び図9から分かるように、上水平仕切壁1aに形成された開口部36aを介しダクト接続部30の空間部36に連通されている。なお、この空間部36は、前述のように室内給気口3に連通している。また、給気連通路62の下部は、前述ように下水平仕切壁1cに形成された開口部62aを介し連絡空間部50の給気側連絡空間50bを構成する段状空間部501bに連通されている。
【0057】
排気連通路63の上部は、図8及び図9から分かるように、上水平仕切壁1aに形成された開口部37aを介し、ダクト接続部30の空間部37に連通されている。なお、この空間部37は、前述のように室内吸込口4に連通している。また、排気連通路63の下部は、前述のように下水平仕切壁1cに形成された開口部63aを介し連絡空間部50の排気側連絡空間50aの右側上面部に連通されている。
【0058】
以上のように構成された本実施の形態に係る換気装置の作用について記載する。
先ず、本実施の形態に係る換気装置における換気運転について説明する。換気運転を行うに当たり、熱交分岐ユニット部40Aにおける給気通路側の分岐通路43に配置された給気ファン211、及び、熱交分岐ユニット部40Aにおける排気通路側の分岐通路45に配置された排気ファン221を運転する。これにより、図2に示すように、室外空気が室外吸込口2から吸い込まれる。この室外空気は、ダクト接続部30における空間部35、上水平仕切壁1aに形成された開口部35a、熱交分岐ユニット部40Aにおける仕切壁42背部の給気通路側の分岐通路43を介して、全熱交換エレメント231に導かれる。この室外空気は、この全熱交換エレメント231において室外に排気される室内空気と全熱交換される。
【0059】
室内へ供給される室外空気は、全熱交換エレメント231において排気される室内空気と全熱交換されることにより、一般的な使用の場合、夏季においては冷却及び減湿され、冬季においては加熱及び加湿される。全熱交換エレメント231においてこのような熱交換が行われることにより、排気から熱を回収することでき経済的な換気運転を行うことができる。また、夏季等において、全熱交換エレメント231通過後の、室内へ給気される室外空気の温度及び湿度を減少させたいときは、給気側連絡空間50bの分岐空間部502bに配置された熱交換器25に冷水を流通させることにより、全熱交換エレメント231通過後の室外空気の温度及び湿度を調整することができる。また、冬季等において、全熱交換エレメント231通過後の、室内へ給気される室外空気の温度及び湿度を増加させたいときは、給気側連絡空間50bの分岐空間部502bに配置された熱交換器25に温水を流通させるとともに、加湿器24を作動させることにより、全熱交換エレメント231通過後の室外空気の温度及び湿度を調整することができる。
【0060】
全熱交換エレメント231において全熱交換された室外空気は、給気側連絡空間50bの分岐空間部502bに搬送され、この分岐空間部502bにおいて前述のように熱交換器25及び加湿器24を通過した後、段状空間部501bを経由して連通路部60の給気連通路62に搬送される。そして、給気連通路62に搬送された室外空気は、ダクト接続部30の空間部36及び室内給気口3を介して室内へ給気される。
【0061】
上記のように室内へ給気される室外空気と全熱交換される室内空気は、図3に示すように、室内吸込口4から吸い込まれ、ダクト接続部30の空間部37、上水平仕切壁1aの開口部37a、連通路部60の排気連通路63、下水平仕切壁1cの開口部45a、及び連絡空間部50の排気側連絡空間50aを経由して全熱交換エレメント231に搬送される。また、この全熱交換エレメント231で室外空気と全熱交換されて、潜熱エネルギー及び顕熱エネルギーが回収された後、排気通路側の分岐通路45、上水平仕切壁1aの開口部38a、及び室外排気口5から室外へ排気される。
【0062】
次に、このような熱交換作用を行う換気装置に収納された機器のサービスについて説明する。
全熱交換エレメント231は、長期使用により空気通路2314,2315に塵埃が付着することがある。この場合には、複数の(この場合2個の)分割全熱交換エレメント231aからなる全熱交換エレメント231を取り出して清掃される。この場合、前述の図4のように、本体1の左側面の上サービス蓋13,14を開放することにより、枠部材232から分割全熱交換エレメント231aがスライド式に取り出し、清掃後スライド式に収納することができる。
【0063】
また、加湿器24についても長期使用によりエレメントを交換する必要が生ずる場合がある。この場合は、図4に示すように、下サービス蓋15,16を開放することにより、加湿器24を構成する複数の(この場合4個の)分割加湿器24aがスライド式に着脱することができる。なお。これら分割加湿器24aは、下前面パネル12を取り外してサービスすることも可能になっている。
【0064】
また、給気ファン装置21を構成する給気ファン211、及び排気ファン装置22を構成する排気ファン221をサービスする場合は、上前面パネル11又は不図示の上背面パネルをサービスすることもできる。
【0065】
次に、このように構成された換気装置の容量の変更について述べる。
上記記載の換気装置において、各部の構成を標準化したものとしておく。そして、異なる容量の換気装置を受注し、これを設計するときは、まず、全熱交換装置23が配置される部分における分岐数、全熱交換装置23を構成する分割全熱交換エレメント231aの個数、又は分割全熱交換エレメント231aの容量を変更するとともに、これに見合うように他の部分を設定することにより対応するようにする。こうすると、設計思想の共通化及び全熱交換エレメント231を含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0066】
例えば、1.5倍の熱交換容量の換気装置を受注した場合には、熱交分岐ユニット部40Aの仕様を標準化しておき、その仕様を変更しないで熱交ユニット部40における熱交分岐ユニット部40Aの個数を3個にする。また、この分岐個数に合わせて連絡空間部50の分岐空間部502bを3個にする。従って、ダクト接続部30、連絡空間部50、及び連通路部60の前後方向の寸法を略1.5倍として、熱交ユニット部40に対する相互接続を前述の場合と同様に維持されるようにすることにより、容易に1.5倍の容量の換気装置を得ることができる。また、これと同様に、熱交分岐ユニット部40Aの個数を4個にするとともに、連絡空間部50の分岐空間部502bを4個にすることにより、上述の実施の形態の場合の2倍とすることができる。なお、以上のように換気装置の容量を増大させたい場合、ダクト接続口の形状を平面視円形から長方形に変更すれば、換気風量の増大に合わせてダクト接続口の寸法を大きくすることが容易になる。
【0067】
また、例えば、約半分の容量の換気装置を受注したときは次のように行う。
このときには、熱交ユニット部40における熱交分岐ユニット部40A及び分岐空間部502bの個数をそれぞれ1個にすることで可能となる。しかし、この場合には本体の前後方向の寸法が小さくなり強度的に無理な構造体となることもあり得る。このような場合の対応として、熱交分岐ユニット部40Aの個数を2個のままとする。そして、熱交分岐ユニット部40Aの個数を半分にすることに代えて、全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aの個数を1個にするとともに、給気ファン211及び排気ファン221の回転数を変更して風量を低下させるようにする。また、この場合、加湿器24及び熱交換器25は、約半分の能力となるように調整すればよい。
【0068】
さらに、多種の容量を容易に可能とする方法として次のようにしてもよい。上記実施の形態のものに加えて、各熱交分岐ユニット部40Aに収納される分割全熱交換エレメント231aを3個として、上述のものよりも容量を大きくしたものもの、並びに、分割全熱交換エレメント231aを1個として、上述のように容量を半分にしたものを標準化しておき、これらを適宜選択できるようにしていてもよい。このようにしておくと、熱交ユニット部40における熱交分岐ユニット部40Aの個数の変更と、全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aの個数の変更をミックスさせることにより、容量の変更をきめ細かく容易に変更することができる。なお、このような標準化において全熱交換エレメント231、給気ファン211、排気ファン221等の部品の共通化及びこれら部品の取り付け構造の共通化を行えば、コストも軽減される。
【0069】
本実施の形態に係る換気装置は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
(1)給気通路20A及び排気通路20Bは、全熱交換装置23が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して全熱交換装置23が複数の全熱交換エレメント231に分割されている。したがって、この分岐数を増減させることにより全熱交換可能な換気装置の容量を段階的に変化させることができる。また、全熱交換エレメント231を含むその周辺を共通化すると、分岐数の増減を容易化することができ、これにより異なる容量の機種を同一設計思想の下に系列化することができる。また、このような設計思想の共通化及び全熱交換エレメント231を含む部品の共通化により、コスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0070】
(2)給気ファン装置21は、2個の給気通路側の分岐通路43における全熱交換エレメント231の下流側に分散配置された2台の給気ファン211から構成され、同様に、排気ファン装置22は、2個の排気通路側の分岐通路45における全熱交換エレメント231の下流側に分散配置された2台の排気ファン221から構成されている。したがって、給気通路側の分岐通路43および排気通路側の分岐通路45に給気ファン211、排気ファン221及び全熱交換エレメント231が配置されているので、これら部品の共通化により給気通路20A及び排気通路20Bの分岐数に対応する容量の機種を系列化することができる。また、これら部品の共通化により、給気通路20A及び排気通路20Bの分岐数の増減をより一層容易化することができる。また、これにより、より一層のコスト軽減を行うと共に、納期の短縮を行うことができる。
【0071】
(3)本体1が、ダクト接続部30、熱交ユニット部40、連通路部60、連絡空間部50とに区分されるので、これら区分毎に仕様を標準化することができる。また、熱交ユニット部40については、これを構成する熱交分岐ユニット部40Aを標準化することができる。したがって、熱交分岐ユニット部40Aの個数を決定し、熱交分岐ユニット部40Aを一定の方向に配列することにより、換気装置の容量及び熱交ユニット部40の形状寸法を定めることができる。また、ダクト接続部30、連通路部60、及び連絡空間部50の形状及び寸法を熱交ユニット部40に対応させて定めれば、熱交分岐ユニット部40Aの個数に対応した容量の換気装置を容易に設計することができる。
【0072】
(4)連絡空間部50における給気側連絡空間50bの各分岐空間部502bに、加湿器24と加熱又は冷却用の熱交換器25とが配置されているので、これら機器を作動させることにより、室内の温度及び湿度を効率よく調節する換気運転を行うことができる。
【0073】
(5)熱交分岐ユニット部40Aの個数を変更することに加え、各熱交分岐ユニット部40Aに配置された全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aの数を変更することにより、換気装置の容量を変更することもできる。これにより、換気装置の容量変更をきめ細かく行うことができる。
【0074】
(6)給気ファン装置21及び排気ファン装置22は、前面又は後面から点検、交換などのサービスを行うことが可能となるので、これら装置のサービスを容易化することができる。
【0075】
(7)複数の熱交分岐ユニット部40Aは、それぞれ、全熱交換エレメント231の空気通過面と直交する一面から、複数の分割全熱交換エレメント231aをスライド式に着脱可能に形成されているので、全熱交換エレメント231の清掃、交換などのサービスを容易に行うことができる。
【0076】
(8)ダクト接続部30は、本体1の最上部に配置されるとともに、室外吸込口2、室内給気口3、室内吸込口4、及び室外排気口5が当該ダクト接続部30の天面に配置されているので、ダクト引き回しスペースを天井裏等の本体1の上部とすることができる。これにより、本体1の周囲に、本体1の内部に収納される装置の点検、搬入スペースを広く採ることができる。
【0077】
(変形例)
上記実施の形態において以下のように変更することもできる。
・本発明の換気装置は、上記実施形態に限定されることなく、以下の変形例も可能である。なお、以下の変形例は、異なる変形例同士を互いに組み合わせてもよい。
【0078】
・前記実施の形態においては、全熱交換エレメント231を構成する分割全熱交換エレメント231aを2個とした例を記載していたが、これに限定されるものではない。前述のように、異なる容量の換気装置の設計のために分割全熱交換エレメント231aを1個あるいは3個以上の適宜の数としてもよい。
【0079】
・給気ファン装置21及び排気ファン装置22は、回転数可変形のファン装置としてもよい。この場合には、全熱交換装置23の容量変更に合わせて適宜の風量の選定が容易になる。
【0080】
・ダクト接続口は、本体1の天面に4個配置されていたが、本体1の周囲側部にアフターサービス及び機器搬入に必要な作業スペースを確保できればよく、本体1上部のダクト接続部30の側部の設けるようにしてのよい。
【0081】
・各部の仕切壁の構造、例えば、熱交分岐ユニット部40Aにおける仕切壁42,46、水平仕切壁44,48、連絡空間部50における段状仕切壁52、縦仕切壁53、54、水平仕切壁55、内部仕切壁56等は、この換気装置の機能を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【0082】
・加湿器24は、特に仕様が限定されるものではない。
・熱交換器25は、前記実施の形態においては冷水又は温水を通水させる水用熱交換器とされているが、ヒートポンプ式の冷凍装置の室内熱交換器であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…本体、2…室外吸込口、3…室内給気口、4…室内吸込口、5…室外排気口、20A…給気通路、20B…排気通路、21…給気ファン装置、22…排気ファン装置、23…全熱交換装置、24…加湿器、25…熱交換器、30…ダクト接続部、40…熱交ユニット部、40A…熱交分岐ユニット部、43…(排気通路側の)分岐通路、45…(給気通路側の)分岐通路、50…連絡空間部、50a…排気連絡空間、50b…給気連絡空間、60…連通路部、62…給気連通路、63…排気連通路、211…給気ファン、221…排気ファン、231…全熱交換エレメント、231a…分割全熱交換エレメント、502b…分岐空間部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(1)の上部外面に、室外空気を吸い込む室外吸込口(2)、吸い込まれた室外空気を室内へ給気する室内給気口(3)、室内空気を吸い込む室内吸込口(5)、吸い込まれた室内空気を室外へ排気する室外排気口(6)からなるダクト接続口が形成されるとともに、この本体(1)内に、室外吸込口(2)から室内給気口(3)に至る給気通路(20A)と、室内吸込口(4)から室外排気口(5)に至る排気通路(20B)とが形成され、さらに、この本体(1)内に、給気通路(20A)を流通する室外空気と排気通路(20B)を流通する室内空気とを全熱交換させる全熱交換装置(23)と、室外空気を室内へ給気するための給気ファン装置(21)と、室内空気を室外へ排気するための排気ファン装置(22)とが収納された換気装置であって、
給気通路(20A)及び排気通路(20B)は、全熱交換装置(23)が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して前記全熱交換装置(23)が複数の全熱交換エレメント(231)に分割され、給気通路側の分岐通路(43)を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路(45)を流通する室内空気とが全熱交換エレメント(231)により全熱交換されるように構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
請求項1記載の換気装置において、
給気ファン装置(21)は、前記複数の給気通路側の分岐通路(43)における全熱交換エレメント(231)の下流側に分散配置された複数台の給気ファン(211)から構成され、同様に、排気ファン装置(22)は、前記複数の排気通路側の分岐通路(45)における全熱交換エレメント(231)の下流側に分散配置された複数台の排気ファン(221)から構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項3】
請求項2記載の換気装置において、
本体(1)は、外面に前記ダクト接続口が形成されたダクト接続部(30)と、前記各分岐通路(43,45)、全熱交換エレメント(231)、給気ファン(211)並びに排気ファン(221)をそれぞれ一つずつ有するとともに、給気通路側の分岐通路(43)が室外吸入口(2)に、排気通路側の分岐通路(45)が室外排気口(6)にそれぞれ連通するようにダクト接続部(30)の下部に接続された複数の熱交分岐ユニット部(40A)からなる熱交ユニット部(40)と、室内空気を搬送する排気連通路(63)、並びに、室外空気を搬送する給気連通路(62)を有するとともに、排気連通路(63)の一端が室内吸込口(4)に、給気連通路(62)の一端が室外給気口(3)にそれぞれ連通するようにダクト接続部(30)の下部に接続された連通路部(60)と、排気連通路(63)の他端と複数の排気通路側の分岐通路(45)とを連絡する排気側連絡空間(50a)、並びに、給気連通路(62)の他端と複数の給気通路側の分岐通路(43)とを連絡する給気側連絡空間(50b)を有するように、熱交ユニット部(40)と連通路部(60)とにまたがってこれらの下方に接続された連絡空間部(50)とを備えている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項4】
請求項3記載の換気装置において、
給気側連絡空間(50b)が、各熱交分岐ユニット部(40A)の給気通路側の分岐通路(43)に対し個別に連絡される複数の分岐空間部(502b)に分岐され、各分岐空間部(502b)に加湿器(24)と加熱又は冷却用の熱交換器(25)とが配置されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の換気装置において、
各熱交分岐ユニット部(40A)に配置された全熱交換エレメント(231)は、それそれ、空気通過面上における長手方向に複数に分割された、複数の分割全熱交換エレメント(231a)からなる
ことを特徴とする換気装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の換気装置において、
給気ファン装置(21)及び排気ファン装置(22)は、本体(1)の前面又は背面からサービスできるように構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項7】
請求項5記載の換気装置において、
複数の熱交分岐ユニット部(40A)は、それぞれ、空気通過面上における長手方向と直交する本体(1)の一面から本体内に対し、全熱交換エレメント(231)を構成する複数の分割全熱交換エレメント(231a)をスライド式に着脱可能に構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の換気装置において、
ダクト接続部(30)は、本体(1)の最上部に配置されるとともに、室外吸込口(2)、室内給気口(3)、室内吸込口(4)、及び室外排気口(5)がダクト接続部(30)の天面に配置されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項1】
本体(1)の上部外面に、室外空気を吸い込む室外吸込口(2)、吸い込まれた室外空気を室内へ給気する室内給気口(3)、室内空気を吸い込む室内吸込口(5)、吸い込まれた室内空気を室外へ排気する室外排気口(6)からなるダクト接続口が形成されるとともに、この本体(1)内に、室外吸込口(2)から室内給気口(3)に至る給気通路(20A)と、室内吸込口(4)から室外排気口(5)に至る排気通路(20B)とが形成され、さらに、この本体(1)内に、給気通路(20A)を流通する室外空気と排気通路(20B)を流通する室内空気とを全熱交換させる全熱交換装置(23)と、室外空気を室内へ給気するための給気ファン装置(21)と、室内空気を室外へ排気するための排気ファン装置(22)とが収納された換気装置であって、
給気通路(20A)及び排気通路(20B)は、全熱交換装置(23)が配置される部分においてそれぞれ分岐され、この分岐数に対応して前記全熱交換装置(23)が複数の全熱交換エレメント(231)に分割され、給気通路側の分岐通路(43)を流通する室外空気と排気通路側の分岐通路(45)を流通する室内空気とが全熱交換エレメント(231)により全熱交換されるように構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
請求項1記載の換気装置において、
給気ファン装置(21)は、前記複数の給気通路側の分岐通路(43)における全熱交換エレメント(231)の下流側に分散配置された複数台の給気ファン(211)から構成され、同様に、排気ファン装置(22)は、前記複数の排気通路側の分岐通路(45)における全熱交換エレメント(231)の下流側に分散配置された複数台の排気ファン(221)から構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項3】
請求項2記載の換気装置において、
本体(1)は、外面に前記ダクト接続口が形成されたダクト接続部(30)と、前記各分岐通路(43,45)、全熱交換エレメント(231)、給気ファン(211)並びに排気ファン(221)をそれぞれ一つずつ有するとともに、給気通路側の分岐通路(43)が室外吸入口(2)に、排気通路側の分岐通路(45)が室外排気口(6)にそれぞれ連通するようにダクト接続部(30)の下部に接続された複数の熱交分岐ユニット部(40A)からなる熱交ユニット部(40)と、室内空気を搬送する排気連通路(63)、並びに、室外空気を搬送する給気連通路(62)を有するとともに、排気連通路(63)の一端が室内吸込口(4)に、給気連通路(62)の一端が室外給気口(3)にそれぞれ連通するようにダクト接続部(30)の下部に接続された連通路部(60)と、排気連通路(63)の他端と複数の排気通路側の分岐通路(45)とを連絡する排気側連絡空間(50a)、並びに、給気連通路(62)の他端と複数の給気通路側の分岐通路(43)とを連絡する給気側連絡空間(50b)を有するように、熱交ユニット部(40)と連通路部(60)とにまたがってこれらの下方に接続された連絡空間部(50)とを備えている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項4】
請求項3記載の換気装置において、
給気側連絡空間(50b)が、各熱交分岐ユニット部(40A)の給気通路側の分岐通路(43)に対し個別に連絡される複数の分岐空間部(502b)に分岐され、各分岐空間部(502b)に加湿器(24)と加熱又は冷却用の熱交換器(25)とが配置されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の換気装置において、
各熱交分岐ユニット部(40A)に配置された全熱交換エレメント(231)は、それそれ、空気通過面上における長手方向に複数に分割された、複数の分割全熱交換エレメント(231a)からなる
ことを特徴とする換気装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の換気装置において、
給気ファン装置(21)及び排気ファン装置(22)は、本体(1)の前面又は背面からサービスできるように構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項7】
請求項5記載の換気装置において、
複数の熱交分岐ユニット部(40A)は、それぞれ、空気通過面上における長手方向と直交する本体(1)の一面から本体内に対し、全熱交換エレメント(231)を構成する複数の分割全熱交換エレメント(231a)をスライド式に着脱可能に構成されている
ことを特徴とする換気装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の換気装置において、
ダクト接続部(30)は、本体(1)の最上部に配置されるとともに、室外吸込口(2)、室内給気口(3)、室内吸込口(4)、及び室外排気口(5)がダクト接続部(30)の天面に配置されている
ことを特徴とする換気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−96629(P2013−96629A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239343(P2011−239343)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
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