説明

換気調節装置

【課題】 円滑で簡単な通風調節の可能な、テント用ドアの換気調節装置を提供する。
【解決手段】 本発明の換気調節装置は、一側部がドア102を支持するためにテント101に取り付けられた支持部材111によってドア102の一側部と共に保持され、他側部がドア102と連結するための連結部材112によってドア102の他側部に保持され、防虫網131,132の上部および下部を覆う上部および下部カバー121,122と、上部および下部カバー121,122の外縁部とドア102の内縁部に設けられる複数の上部および下部カバー開閉用ジッパーチェーン115,116と、上部および下部カバー121、122を開閉させるために上部および下部カバー開閉用ジッパーチェーン115,116に各々摺動自在に設けられる上部および下部カバー開閉用ジッパースライダー123,124を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテント用ドアに関するもので、より詳細には、テント用ドアの換気調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、テントには出入用ドアが設けられており、従来のドアには蚊や蠅および各種害虫がテント内部に侵入することを防止する一方、テント内部に外部の風の流入を許容する防虫網が備わっている。
【0003】
そして、防虫網の外側には、防虫網を通じて外部の風がテント内部に流入することを遮断するためのカバーが取り付けられている。このとき、カバーは防虫網が占める面積を十分に覆うことができる程度の大きさを有する。
【0004】
また、カバーの外周縁はジッパーチェーンによりドアに連結し、ジッパーチェーンはジッパースライダーにより噛合解除または噛合しながらカバーを開閉する。ジッパースライダーとジッパーチェーンとの作用によりカバーを開閉させることによって、外部の空気が防虫網を通じてテント内部に流入することを許容したり、阻止したりすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、防虫網を覆っている従来のカバーは完全開放式、または完全閉鎖式となっている。
【0006】
すなわち、従来のドアに取り付けられているカバーは、夏季キャンプ時に害虫等の侵入を阻止して外部空気の流入を許容するためにカバーを完全に開放したり、冬季キャンプ時に外部の空気を遮断するためにカバーを完全に閉鎖したりする二つの方式のいずれかで用いられる。
【0007】
したがって、日較差が大きい春と秋のキャンプ時には、上述した二つの方式のいずれかを選択してテント内部の通風量を調節しなければならない。この場合、随時カバーを開閉しなければならないため、面倒であり使用上の不便さがあるなどの問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、円滑で簡単な通風調節の可能な、新規かつ改良されたテント用ドアの換気調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ファスナースライダーを作動させファスナーエレメントを離脱または噛合させることによって開閉が可能であり、テント内部への虫の侵入を防止する防虫網が取り付けられたドアを備えるテントに設けられる、ドアの前記防虫網を通じてテント内部に流入する空気量を調節するための換気調節装置が提供される。かかる換気調節装置は、一側部がドアを支持するためにテントに取り付けられた支持部材によってドアの一側部と共に保持され、他側部がドアと連結するための連結部材によってドアの他側部に保持され、防虫網の上部および下部をそれぞれ覆う上部カバーおよび下部カバーと、上部カバーの外縁部および下部カバーの外縁部と結合させるために、ドアの内縁部に設けられた複数の上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび下部カバー開閉用ファスナーエレメントと、上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび下部カバー開閉用ファスナーエレメントを離脱または噛合させることによって上部カバーおよび下部カバーの開閉が可能となるように、上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび下部カバー開閉用ファスナーエレメントに各々摺動自在に設けられる上部カバー開閉用ファスナースライダーおよび下部カバー開閉用ファスナースライダーとを備えることを特徴とする。
【0010】
すなわち、ファスナースライダーの作動によりファスナーエレメントを噛合させてドアを閉鎖したり、ファスナーエレメントを噛合解除させてドアを開放したりすることができ、ドアを通じて害虫がテント内部に侵入することを防止するための防虫網がドアに取り付けられているテントにおいて、一側部はテントに取り付けられる支持部材によりドアの一側部と共に縫われ、他側部は連結部材によりドアの他側部と縫われて上部と下部に区分する上部カバーおよび下部カバーを備えることにより、ドアの防虫網を通じてテント内部に流入する空気量を調節できるようにする。これにより、上部カバーの外縁部および下部カバーの外縁部とドアの内縁部に複数の上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび下部カバー開閉用ファスナーエレメントを結合した後、上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび下部カバー開閉用ファスナーエレメントを各々噛合または噛合解除する上部カバー開閉用ファスナースライダーおよび下部カバー開閉用ファスナースライダーにより上部カバーおよび下部カバーを各々閉鎖および開放することができる。
【0011】
したがって、上部カバーのみを開放すると、ドアの上部側の防虫網だけを開放して外部の空気をテント内部の上側部に流入させることができる。一方、下部カバーのみを開放すると、ドアの防虫網を下部側だけを開放して外部の空気がテント内部の下側部に流入させることができる。さらに、ドアの上部および下部の防虫網を同時に開放することによって、多量の外部空気をテント内部に流入させて換気することができる。これにより、円滑で簡単な通風調節により快適なキャンプ生活を行うことができ、プライバシーの保護が可能な構成のテントを構成することができる。
【0012】
ここで、上部カバーおよび下部カバーが固定される境界線表側および裏側には、上部カバーまたは下部カバーの開放時に、上部カバーまたは下部カバーを巻いて固定するための結束片および結束環が設けられることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、円滑で簡単な通風調節の可能なテント用ドアの換気調節装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
まず、図1〜図4に基づいて、本発明の実施形態にかかるテント用ドアの換気調節装置について詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施形態にかかるテント101は、ドア開閉用のファスナースライダーであるドア開閉用ジッパースライダー104の作動によりドア開閉用のファスナーエレメントであるドア開閉用ジッパーチェーン103を噛合または噛合解除して閉鎖または開放されるドア102を備える。また、テント101には、ドア102を通じてテント内部に害虫が侵入するのを防止するための防虫網が取り付けられている。
【0017】
さらに、テント101は、上部カバー121および下部カバー122と、カバー開閉用のファスナーエレメントである上部カバー開閉用ジッパーチェーン115および下部カバー開閉用ジッパーチェーン116と、カバー開閉用のファスナースライダーである上部カバー開閉用ジッパースライダー123および下部カバー開閉用ジッパースライダー124とを備える。
【0018】
上部カバー121および下部カバー122は、防虫網を通じてテント101内部に流入する空気量を調節するために設けられ、一側部はドア102を支持するためにテント101に取り付けられた支持部材111によってドア102の一側部と共に縫われ、他側部はドア102と連結するための連結部材112によってドア102の他側部に縫われている。このように、ドア102の防虫網を覆うカバーは、上部および下部に分離する。
【0019】
上部カバー開閉用ジッパーチェーン115および下部カバー開閉用ジッパーチェーン116は、上部および下部カバー121、122とドア102との開閉が容易になるように上部および下部カバー121、122の外縁部とドア102の内縁部に結合される。上部カバー開閉用ジッパースライダー123および下部カバー開閉用ジッパースライダー124は、上部および下部カバー開閉用ジッパーチェーン115、116の噛合および噛合解除によって上部および下部カバー121、122を閉鎖および開放するように、上部および下部カバー開閉用ジッパーチェーン115、116に各々摺動自在に設けられる。
【0020】
また、上部カバー121または下部カバー122の開放時、これらのカバーを巻いて固定するために上部および下部カバー121、122の境界線表面および裏面には、結束片113および結束環114が取り付けられている。
【0021】
次に、このような構成を有する本発明の実施形態にかかるテント用ドアの使用方法について説明する。
【0022】
まず、図1は本発明の実施形態にかかるテント用ドアの換気調節装置の構成を示している。図1では、上部および下部カバー121、122が全て閉鎖されて、上部および下部防虫網131、132を覆って通風が不可能な状態を示している。
【0023】
このように上部および下部カバー121、122が全て閉鎖された状態は、主に冬季キャンプ時に利用することで、外部の冷たい空気を遮断してテント101内部を保温できるので、テント101内部で暖かく過ごすことが可能になる。
【0024】
次に、図2は本発明の実施形態にかかるテント用ドアの換気調節装置の下部カバー122だけを開放した状態を示している。図1に示すように、連結部材112の下部に位置していた下部カバー開閉用ジッパースライダー124を支持部材111の下部まで移動させて下部カバー開閉用ジッパーチェーン116を噛合解除すると、支持部材111と連結部材112を繋ぐ、境界線の下部を占める下部カバー122を開放することができる。
【0025】
そして、下部カバー122を巻き上げて支持部材111と連結部材112との間に位置させた状態で、ドア102の境界線に設けられた結束片113と結束環114を用いて下部カバー122を結束すると、下部カバー122は巻き上がった状態で境界線上に固定させることができる。
【0026】
これにより、外部の空気は下部カバー122により開放された下部防虫網132を通じてテント101内部に流入させることができる。
【0027】
このように下部カバー122を巻き上げて下部防虫網132を開放させることによって、外部の涼しい空気をテント101内部に流入させることができ、テント101内部の上方に下部カバー122を保持されるので、テント101内部で快適に過ごすことができる。
【0028】
特に、下部防虫網132の開放は主に夏季キャンプ時、快適な睡眠を提供することができる。
【0029】
また、テント101内部で服を着替える際、従来はカバー全体を閉じなければならなかったが、本発明の実施形態では上述したように、下部カバー122だけを簡単に巻き上げた状態で服を着替えることができるので、プライバシー保護の目的も達成できる。
【0030】
そして、下部防虫網132を閉鎖させる時には、支持部材111の下側に位置した下部カバー開閉用ジッパースライダー124を連結部材112の下側部まで移動させて下部カバー開閉用ジッパーチェーン116を噛合する。このようにして境界線を中心に下側部の下部カバー122が下部防虫網132を覆って閉鎖させることができる。
【0031】
また、図3は、本発明の実施形態にかかる換気調節装置の上部カバーだけを開放した状態を示している。図3に示すように、上部カバー121だけを開放すると、テント内部の上部にあるよどんだ空気が上部防虫網131を通じて外部に排出されると共に、排出された量だけの新鮮な外部空気をテント101内部に流入させて満たすことができるので、テント101内部を換気することができる。
【0032】
特に、上述したように上部カバー121の開放によって、テント101内部から食物の悪臭やタバコの煙を排出することができる等の優れた機能を発揮する。
【0033】
上部カバー121の開放は、図1に示すように、連結部材112の上側に位置した上部カバー開閉用ジッパースライダー123を支持部材111の上側部まで移動させて上部カバー開閉用ジッパーチェーン115を噛合解除する。このようにして支持部材111と連結部材112を繋ぐ境界線の上側部に該当する上部カバー121を開放させることができる。
【0034】
そして、上部カバー121を巻き下げて支持部材111と連結部材112との間に位置させた後、ドア102の境界線に設けられた結束片113と結束環114を用いて上部カバー121を結束することにより、上部カバー121を巻いた状態で境界線上に保持させることができる。
【0035】
したがって、上部カバー121を巻くことにより、上部防虫網131を通じてテント101内部の空気と外部の空気を流通できるようにすることができる。
【0036】
また、上部防虫網131の閉鎖時には、支持部材111の上側部に位置した上部カバー開閉用ジッパースライダー123を連結部材112の上側まで移動させて、上部カバー開閉用ジッパーチェーン115を噛合する。これにより境界線に対して上側の上部カバー121が上部防虫網131を覆って閉鎖する。
【0037】
上述したように、上部および下部カバー121、122を交互に開放して上部および下部防虫網131、132を通じて換気させる作用は、主に日較差が大きい春や秋のキャンプ時に有用に用いることができ、冬季にも換気の目的のために一時的に用いることができる。
【0038】
一方、図4は本発明の実施形態にかかるテント用ドアの換気調節装置の上部および下部カバー121,122を同時に開放した状態を示している。このように、上部および下部カバー121、122を全て開放すると、外部の空気を大量に流入させることができ、テント101内部の気温と外部の気温とがほぼ同様になるので、主に暑い夏季に使用するのが有効である。
【0039】
そして、上述したように、上部および下部カバー121、122を全て開放および閉鎖させる作用は、上述した上部カバー121の開放および閉鎖作用と下部カバー122の開放および閉鎖作用と同一な過程を経て行えばよい。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、テント用ドアに適用可能であり、特に、テント用ドアの換気調節装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態にかかるテント用ドアの換気調節装置の構成を示す側面図である。
【図2】図1に示すテント用ドアの換気調節装置の下部カバーだけを開放した状態を示す側面図である。
【図3】図1に示すテント用ドアの換気調節装置の上部カバーだけを開放した状態を示す側面図である。
【図4】図1に示すテント用ドアの換気調節装置の上部および下部カバーを全て開放した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0043】
101 テント
102 ドア
103 ドア開閉用ジッパーチェーン
104 ドア開閉用ジッパースライダー
111 支持部材
112 連結部材
113 結束片
114 結束環
115 上部カバー開閉用ジッパーチェーン
116 下部カバー開閉用ジッパーチェーン
121 上部カバー
122 下部カバー
123 上部カバー開閉用ジッパースライダー
124 下部カバー開閉用ジッパースライダー
131 上部防虫網
132 下部防虫網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナースライダーを作動させファスナーエレメントを離脱または噛合させることによって開閉が可能であり、テント内部への虫の侵入を防止する防虫網が取り付けられたドアを備えるテントに設けられる、前記ドアの前記防虫網を通じて前記テント内部に流入する空気量を調節するための換気調節装置であって、
一側部が前記ドアを支持するために前記テントに取り付けられた支持部材によって前記ドアの一側部と共に保持され、他側部が前記ドアと連結するための連結部材によってドアの他側部に保持され、前記防虫網の上部および下部をそれぞれ覆う上部カバーおよび下部カバーと、
前記上部カバーの外縁部および前記下部カバーの外縁部と結合させるために、前記ドアの内縁部に設けられた複数の上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび下部カバー開閉用ファスナーエレメントと、
前記上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび前記下部カバー開閉用ファスナーエレメントを離脱または噛合させることによって前記上部カバーおよび前記下部カバーの開閉が可能となるように、前記上部カバー開閉用ファスナーエレメントおよび前記下部カバー開閉用ファスナーエレメントに各々摺動自在に設けられる上部カバー開閉用ファスナースライダーおよび下部カバー開閉用ファスナースライダーと、
を備えることを特徴とする、換気調節装置。
【請求項2】
前記上部カバーおよび前記下部カバーが固定される境界線表側および裏側には、前記上部カバーまたは前記下部カバーを巻いて固定するための結束片および結束環が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の換気調節装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−291822(P2007−291822A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156437(P2006−156437)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(501205197)
【Fターム(参考)】