説明

揮散装置

【課題】 空気の流れの方向に影響されることなく、常に程よい強さの揮散物の香りを室内等に漂わせる。
【解決手段】 容器1内に吸上げ部材6を挿着する一方、容器1に受台11を介して揮散部材20を装着し、その一部に吸上げ部材6の一部を接触させる。受台11には開口部16が設けられ、この開口部16を閉塞するように揮散部材20が受台11に装着される。受台11には揮散部材20の水平方向、垂直方向および周方向への移動を規制するストッパーが設けられるとともに、揮散部材20の一部を被包するカバー23が装着される。容器1の表面に当たった空気の流れは、容器1の表面に沿ってカバー23の下端開口部に達し、受台11の開口部16を介して揮散部材20に作用する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、芳香剤等の揮散物を揮散させる揮散装置に関し、特に、所望の揮散量が得られる揮散装置に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】従来、内部に収納した芳香剤等の揮散物を揮散させ、その香りを室内等に漂わせるようになっている揮散装置にあっては、種々のタイプのものが提案されており、例えば、実開平4−104854号公報に記載されたもの等が既に知られている。
【0003】すなわち、この揮散装置(当該公報では「芳香剤用容器の芳香発散部材」という)は、芳香剤等の揮散物(以下揮散物という)を収納する容器と、容器内に立設されるとともに、容器内に収納した揮散物を吸上げる吸上げ部材(吸上げ芯体)と、吸上げ部材の上部に載置されるとともに、吸上げ部材が吸上げた揮散物を揮散させる揮散部材(濾紙状部材)と、吸上げ部材および揮散部材を保持する芯体保持具と押圧板と、容器に装着されるとともに、通気孔を有する蓋とを具えている。この場合、容器の背を高くして体裁をよくするとともに、背の高い容器であっても十分な揮散量が得られるようにするため、揮散部材をU字形状に形成して平面方向の面積を小さくするとともに、全体としての揮散面積を大きく確保している。
【0004】しかしながら、上記のように構成した従来の揮散装置にあっては、揮散部材をU字形状に保持するために吸上げ芯体と押圧部材の2つの部材を必要とするため、その部分の構造が複雑となり、製造・組立てに手間がかかり、全体としてのコストが高くなる。
【0005】また、蓋に水平方向に貫通する通孔を設け、この通孔に揮散部材の立ち上げた部分の背面側を正対させ、その正対させた部分に室内等の空気の流れを作用させているため、空気の流れが通孔から外れた場合等には揮散物の香りを室内等に十分に漂わせることが困難となる。したがって、空気の流れ方向に応じて容器の設置方向を調整しなければならない。
【0006】この発明は前記のような従来のもののもつ問題点を解決したものであって、背を高く形成して体裁をよくしても、揮散部材の揮散面積を十分に確保することができるとともに、そのような状態に揮散部材を簡単な構造で保持することができ、さらに、室内等の空気の流れに影響されることなく、室内等に程よい強さの揮散物の香りを漂わせることができる揮散装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【問題点を解決するための手段】上記の問題点を解決するためこの発明は、内部に揮散物が収納される容器と、該容器内に挿着されるとともに、容器内に収納された前記揮散物を吸上げる吸上げ部材と、前記容器に装着される受台と、該受台に周縁部の一部が起立した状態で装着されてその状態に保持されるとともに、前記吸上げ部材に接触して前記吸上げ部材が吸上げた揮散物を揮散させる揮散部材とを具えた手段を採用したものである。また、前記受台の少なくとも1箇所に上下方向に貫通する開口部を設けるとともに、該開口部を閉塞するように前記揮散部材を受台に装着した手段を採用したものであり、前記受台に、前記揮散部材の一部を被包するカバーを装着した手段を採用したものであり、前記カバーは上端が閉塞された筒状をなすとともに、閉塞された上端部には上下方向に貫通する通孔が穿設され、カバーの下端開口部を前記受台の開口部に連通させた手段を採用したものである。さらに、前記受台に、前記揮散部材の水平方向、垂直方向および周方向への移動を規制し、揮散部材を受台上の所定の位置に位置決めするストッパーを設けた手段を採用したものであり、前記揮散部材は、前記受台のストッパーに係止され、水平方向、垂直方向および周方向への移動が規制される基部と、該基部の周縁部に一体に設けられ、所定の角度で起立するとともに受台のストッパーによって所定の起立角度に保持される起立部とからなる手段を採用したものであり、前記揮散部材は、平板状をなす基部と、該基部の周縁部の複数箇所に一体に設けられる基部の外形線よりも外方に突出する起立部とからなり、該起立部をその外側面が基部の外形線よりも内側に位置するように所定の角度で上方に起立させた手段を採用したものである。そして、前記容器の口部にキャップを装着するとともに、該キャップに前記受台を装着した手段を採用したものであり、前記キャップに前記吸上げ部材を挿着した手段を採用したものであり、前記キャップに保持部材を介して前記吸上げ部材を装着した手段を採用したものである。
【0008】
【作用】この発明は前記のような手段を採用したことにより、容器内に収納された揮散物は、吸上げ部材によって吸上げられて揮散部材に達し、揮散部材において室内等の空気と接触して揮散することになる。この場合、揮散部材は、周縁部の一部が起立した状態で受台に保持されているので、水平方向の面積を大きくすることなく全体としての揮散面積を大きく確保することができることになる。したがって、全体を背が高く体裁のよい形状としても、十分な揮散量が得られることになる。また、受台には上下方向に貫通する開口部が設けられ、この開口部を閉塞するように受台に揮散部材が装着されるとともに、受台には揮散部材を被包するようにカバーが装着され、カバーの開口部に受台の開口部が連通するようになっているので、室内等の空気の流れは容器の表面に沿ってカバーの開口部に導かれるとともに、カバーの開口部から受台の開口部に導かれて揮散部材に作用することになる。したがって、空気の流れの方向に影響されることなく、揮散部材に空気の流れを確実に作用させることができることになる。そして、揮散部材は、受台の上部において水平方向、垂直方向および周方向への移動が規制されるとともに、起立部が所定の起立角度に保持されているので、水平方向の面積を大きくすることなく全体としての揮散面積を大きく確保することができることになり、受台の上部に所望の揮散量が得られる状態に保持されることになる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面に示すこの発明の実施の形態について説明する。図1〜図8には、この発明による揮散装置の一実施の形態が示されていて、図1は全体を示す正面図、図2は平面図、図3は底面図、図4は図2に示すもののA−A線断面図、図5は図1に示すもののB−B線断面図、図6は組立ての手順を示す斜視図、図7はカバーを外した状態を示す斜視図、図8はカバーを示す斜視図である。
【0010】すなわち、この実施の形態に示す揮散装置は、芳香剤等の液状の揮散物(以下揮散物という)を収納する容器1と、容器1内に挿着されるとともに、容器1内に収納した揮散物を吸上げる吸上げ部材6と、容器1に装着される受台11と、受台11に装着されるとともに、一部が吸上げ部材6の一部に接触し、吸上げ部材6が吸上げた揮散物を揮散させる揮散部材20と、受台11に装着されるとともに、揮散部材20の一部を被包するカバー23とを具えている。
【0011】容器1は、上部に筒状の口部2を有する合成樹脂等から形成される壺型状をなす成形品であって、底部には載置性を考慮して所定の高さの円形の台座3が一体に設けられ、口部2外周面には後述するキャップ4を装着させるためのねじ2aが螺設されている。
【0012】容器1の口部2には上端が閉塞された筒状をなす合成樹脂等から形成される成形品であるキャップ4が装着されている。キャップ4の内周面には容器1の口部2のねじ2aと合致するねじ4aが螺設され、このねじ4aを口部2のねじ2aに螺合させることで、キャップ4が口部2に装着されるものである。
【0013】キャップ4の閉塞されている上端部には、そこを上下方向に貫通する孔4bが穿設され、この孔4b内に後述する吸上げ部材6の上端部が挿通するようになっている。キャップ4の外周面には軸方向に延びる複数本の溝5aからなるローレット5が設けられ、このローレット5によってキャップ4を口部2に着脱しやすくするとともに、キャップ4に装着される受台11の周方向への移動を規制するようになっている。
【0014】吸上げ部材6は、棒状をなすフェルト状のものであって、容器1内に挿着した際に、下端部が容器1内の底部に接触した状態で上端部が容器1の口部2から所定の長さ突出するように、容器1の全高よりもやや長く形成されている。
【0015】吸上げ部材6は、容器1の口部2に合成樹脂等から形成される成形品である保持部材7を介して挿着されている。保持部材7は、容器1の口部2内周側に外周側が嵌合される筒状の外筒8と、外筒8の内側に位置する外筒8よりも小径かつ長い内筒9と、外筒8の上端部と内筒9の上端部との間を全周に渡って一体に連結する環状の連結部材10とからなるものであって、内筒9の内周側に吸上げ部材6が挿着されるようになっている。
【0016】外筒8の上端部外周側には径方向外方に環状に張り出る鍔8aが一体に設けられ、この鍔8aを容器1の口部2上端面に係止させることで、保持部材7の容器1内への過剰な挿入が防止されるものである。
【0017】内筒9には、その下端から上方に向かって所定の位置まで内外を貫通する所定の幅の切欠部9aが設けられている。この切欠部9aによって吸上げ部材6を挿着する際に内筒9を拡径させることができるので、吸上げ部材6の挿着が容易となるものである。
【0018】内筒9の内周面の切欠部9aの縁部には、径方向内方に突出する突起(図示せず)が切欠部9aに沿って所定の高さで一体に設けられている。この突起を吸上げ部材6の外周面に当接させることで、内筒9の内周側に吸上げ部材6を保持することができるとともに、吸上げ部材6の挿着位置を任意の位置に調整することが可能となるものである。
【0019】受台11は合成樹脂等から形成される成形品であって、キャップ4の外周側に嵌合される上端が閉塞された筒状をなす内枠12と、内枠12の外側に所定の間隔をおいて位置する環状の外枠13と、内枠12と外枠13との間を放射状に連結する棒状の連結部材14とを具えている。
【0020】内枠12の閉塞されている上端部には上下方向に貫通する孔12aが穿設され、この孔12a内を保持部材7に装着した吸上げ部材6の上端部が挿通するようになっている。内枠12の内周面には周方向に向かって所定の間隔ごとに軸線方向に延びる突起(図示せず)が所定の高さで一体に形成され、この突起をキャップ4外周面のローレット5の溝5aに嵌合させることで、内枠12がキャップ4の外周面に固定され、周方向への移動が規制されるものである。
【0021】外枠13の外周面には、上下面および周面が開口する凹部13aが所定の間隔ごとに複数箇所に設けられている。各凹部13aの上面開口部の周方向の一端には、他端方向に延びる突片13bが所定の長さで一体に設けられるとともに、各凹部13aの下面側開口部の他端には、一端方向に延びる突片13cが所定の長さで一体に設けられ、上側の突片13bの下面側には下方に突出する突起13dが一体に設けられている。そして、このように各凹部13aの上下面開口部に所定の長さの突片13b、13cを設けることによって、各突片13b、13c間で後述するカバー23の突起23bを係合させる係合部15が形成されるものである。
【0022】内枠12と外枠13と隣接する連結部材14、14とによって囲まれる部分には、上下方向に貫通する扇形の開口部16がそれぞれ設けられ、この開口部16を介して後述する揮散部材20に室内等の空気の流れが作用するようになっている。
【0023】複数の開口部16のうち一つおきごとの開口部16には、円弧状の位置決め部材17が架設されている。各位置決め部材17の両端部には、位置決めストッパー18、18がそれぞれ上方に突出した状態で一体に設けられ、この位置決めストッパー18、18によって後述する揮散部材20の水平方向への移動が規制されるようになっている。
【0024】各位置決めストッパー18の内周面には径方向内方に突出する突起18aがそれぞれ一体に設けられ、この突起18aによって後述する揮散部材20の垂直方向への移動が規制されるようになっている。
【0025】各連結部材14にはそれぞれ角度調整ストッパー19が上方に突出した状態で一体に設けられ、この角度調整ストッパー19によって後述する揮散部材20の周方向への移動が規制されるとともに、後述する揮散部材20の起立部22の起立角度が所定の角度に保たれるものである。
【0026】揮散部材20は、受台11の上部に載置される略円板状をなすフェルト状のものであって、略円板状の基部21と、この基部21の周縁部の3箇所に一体に設けられる基部21の外形線よりも外方に突出する扇形状の起立部22とからなるものである。各起立部22は、その周方向の端面に沿って基部21の周縁部の一部に設けた切欠きによって周方向の端面が基部21から切り離されるとともに、この状態で外側の面が基部21の外形線よりも内側に位置するように上方に所定の角度で立ち上げられたものである。したがって、水平方向の面積を大きくすることなく、全体としての揮散面積を大きく確保することが可能となるものである。なお、起立部22は3箇所以上に設けてもよいものである。
【0027】揮散部材20は、受台11の上部に載置した際、基部21の下面が各連結部材14の上面に当接し、基部21の周面が位置決めストッパー18の内面に当接し、基部21の上面が位置決めストッパー18の内周面の突起18aの下面に当接し、基部21の周方向の端面が角度調整ストッパー19の周方向の端面に当接し、起立部22の背面が角度調整ストッパー19の内面に当接することで、受台11の上部の所定の位置に保持されるものである。
【0028】このように、揮散部材20の基部21および起立部22を受台11の各部に当接させることで、揮散部材20の水平方向、垂直方向および周方向への移動が規制されるとともに、起立部22の起立角度が所定の角度に保たれるものである。したがって、揮散部材20の水平方向の面積を大きくすることなく全体としての揮散面積を大きくすることができるので、容器1の背を高くして体裁をよくしても十分な揮散量が得られることになる。
【0029】カバー23は、上端が閉塞された略傘状をなす合成樹脂等から形成される成形品であって、閉塞されている上端部には、そこを上下方向に貫通する所定の長さの通孔23aが複数箇所(この実施の形態では3箇所)に設けられ、内周面には、周方向に向かって所定の間隔ごとに径方向内方に突出する突起23bが一体に設けられている。なお、通孔23aを3箇所以上に設けてもよいものである。
【0030】そして、突起23bを受台11の係合部15の両突片13b、13c間に位置し、カバー23全体を周方向に回動させ、受台11の上側の突片13bの下面側の突起13dに突起23bの端面を当接させることで、カバー23が受台11に固定されるものである。
【0031】そして、上記のように構成した複数の部材からなる揮散装置を一体に組み立てるには、まず、容器1内に揮散物を所定量充填するとともに、容器1の口部2に保持部材7を介して吸上げ部材6を挿着し、吸上げ部材6の一端部を容器1内の揮散物に接触させ、他端部を容器1の口部2から容器1外に所定の長さ突出させる。
【0032】そして、容器1の口部2にキャップ4を螺着し、キャップ4の中心部の孔4b内に吸上げ部材6の上端部を挿通させ、キャップ4の外周側に受台11の内枠12を嵌合させて受台11をキャップ4に装着し、受台11の上部に揮散部材20を位置し、揮散部材20の各部を受台11の各部に当接させ、揮散部材20を受台11の上部の所定の位置に位置決めする。
【0033】そして、受台11を被包するようにカバー23を位置し、カバー23の内面側の突起23bを受台11の外枠13の凹部13aの突片13b、13c間に位置し、カバー23全体を所定の角度回動させ、突起23bの端面を上側の突片13bの下面側の突起13dに当接させる。このようにして、複数の部材からなる揮散装置が一体に組み立てられるものである。
【0034】そして、上記のようにして組み立てた揮散装置を室内等の所定の位置に設置すると、容器1内に収納した揮散物が吸上げ部材6で吸上げられて揮散部材20に達し、揮散部材20において室内等の空気と接触して揮散し、揮散物の程よい香りが室内等に漂うものである。
【0035】上記のように構成したこの実施の形態による揮散装置にあっては、受台11に上下方向に貫通する開口部16を設けるとともに、その開口部16を閉塞するように受台11に揮散部材20を装着し、受台11に上端が閉塞された筒状をなすカバー23を装着するようにしたので、カバー23の下端開口部および受台11の開口部16を介して室内等の空気の流れが揮散部材20に作用し、揮散物の香りは、カバー23の上端部の通孔23aおよびカバー23の下端開口部を介して室内等に漂うことになる。
【0036】したがって、例えば、室内等の空気の流れが水平方向の場合には、容器1の表面に当たった空気は容器1の表面に沿ってカバー23の下端開口部に達し、受台11の開口部を介して揮散部材20に作用する。また、空気の流れが垂直方向の場合には、容器1の表面に沿ってカバー23の下端開口部に達し、又はカバー23の通孔23aから揮散部材20に直接作用することになる。したがって、室内等の空気の流れの方向に影響されることなく、常に、揮散部材20に空気の流れを作用させることができるので、容器1の設置方向に神経を使う必要がなく、設置方向を調整する必要もなくなる。
【0037】また、揮散部材20の水平方向、垂直方向および周方向への移動を規制するストッパー18、18a、19および揮散部材20の起立部22を所定の起立角度に保持するストッパー19を受台11に設けたことにより、揮散部材20を受台11の上部に、起立部22が所定の角度で起立した状態に保持することができることになる。したがって、揮散部材20の水平方向の面積を大きくすることなく全体としての揮散面積を大きく確保することができることになる。また、起立部22は、基部21の周縁部の3箇所に設けられているので、室内等の空気の流れが何れの方向であっても、何れかの起立部22の背面側が空気の流れにほぼ正対することになるので、空気の流れに影響されることなく常に程よい強さの揮散物の香りを室内等に漂わせることができることになる。
【0038】さらに、吸上げ部材6の挿着位置を調整できるようにしたので、吸上げ部材6の容器1に対する挿着位置を調整することによって、吸上げ部材6と揮散部材20との接触圧を所望の値に設定することができることになる。したがって、接触圧が強すぎて揮散量が多くなりすぎたり、接触圧が弱すぎて揮散量が少なくなりすぎたりするようなことはなく、常に程よい強さの揮散物の香りを室内等に漂わせることができることになる。
【0039】そして、容器1を壺型状に形成するとともに、カバー23を傘型状に形成したことにより、全体を電気スタンド型状とすることができることになる。したがって、体裁がよくなり、室内等に設置した場合に回りの置物等との調和が取れ、設置箇所が限定されるようなこともなくなる。また、このように容器1の背を高く形成して体裁をよくしても、揮散部材20を基部21と基部21に対して所定の角度で立ち上がる起立部22とで構成したので、揮散部材20の水平方向の面積を大きくすることなく全体としての揮散面積を大きく確保することができ、十分な揮散量が得られることになる。
【0040】
【発明の効果】この発明は前記のように構成したことにより、以下のような効果を奏することになる。容器内に収納された揮散物は、吸上げ部材で吸上げられて揮散部材に達し、揮散部材で室内等の空気と接触して揮散することになる。この場合、揮散部材は、周縁部の一部が起立した状態で受台に保持されているので、水平方向の面積を大きくすることなく、全体としての揮散面積を大きく確保することができることになる。したがって、容器の背を高くして体裁をよくしても十分な揮散量が得られることになる。
【0041】また、受台に上下方向に貫通する開口部を設けるとともに、その開口部を閉塞するように受台に揮散部材を装着し、揮散部材の一部を被包するように受台にカバーを装着するとともに、カバーの下端開口部を受台の開口部に連通させたことにより、室内等の空気の流れが何れの方向であっても、空気の流れを容器の表面に沿ってカバーの開口部に導くことができるとともに、カバーの開口部を介して受台の開口部に導くことができることになる。したがって、空気の流れの方向に影響されることなく、揮散部材に室内等の空気の流れを作用させることができるので、常に程よい強さの揮散物の香りを室内等に常に漂わせることができることになる。
【0042】さらに、受台に、揮散部材の水平方向、垂直方向および周方向への移動を規制するとともに、揮散部材の起立部を所定の起立角度に保持するストッパーを設けたことにより、揮散部材の水平方向の面積を大きくすることなく、全体としての揮散面積を大きく確保することができることになる。したがって、容器の背を高くして体裁をよくしても、十分な揮散量が得られることになる。また、揮散部材の起立部を所定の角度に保持するには、揮散部材を受台に装着して揮散部材の各部を受台のストッパーに係止させるだけで足りるので、揮散部材を保持する部分の構造が簡単になるとともに、組立ても簡単となり、製造コストを低減させることもできることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明による揮散装置の一実施の形態の全体を示す正面図である。
【図2】図1に示すものの平面図である。
【図3】図1に示すものの底面図である。
【図4】図2に示すもののA−A線断面図である。
【図5】図1に示すもののB−B線断面図である。
【図6】組立ての手順を示す斜視図である。
【図7】カバーを外した状態を示す斜視図である。
【図8】カバーを示す斜視図である。
【符号の説明】
1……容器
2……口部
2a、4a……ねじ
3……台座
4……キャップ
4b、12a……孔
5……ローレット
5a……溝
6……吸上げ部材
7……保持部材
8……外筒
8a……鍔
9……内筒
9a……切欠部
10……連結部材
11……受台
12……内枠
13……外枠
13a……凹部
13b、13c……突片
13d、18a、23b……突起
14……連結部材
15……係合部
16……開口部
17……位置決め部材
18……位置決めストッパー
19……角度調整ストッパー
20……揮散部材
21……基部
22……起立部
23……カバー
23a……通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に揮散物が収納される容器と、該容器内に挿着されるとともに、容器内に収納された前記揮散物を吸上げる吸上げ部材と、前記容器に装着される受台と、該受台に周縁部の一部が起立した状態で装着されてその状態に保持されるとともに、前記吸上げ部材に接触して前記吸上げ部材が吸上げた揮散物を揮散させる揮散部材とを具えたことを特徴とする揮散装置。
【請求項2】 前記受台の少なくとも1箇所に上下方向に貫通する開口部を設けるとともに、該開口部を閉塞するように前記揮散部材を受台に装着した請求項1記載の揮散装置。
【請求項3】 前記受台に、前記揮散部材の一部を被包するカバーを装着した請求項1および2記載の揮散装置。
【請求項4】 前記カバーは上端が閉塞された筒状をなすとともに、閉塞された上端部には上下方向に貫通する通孔が穿設され、カバーの下端開口部を前記受台の開口部に連通させた請求項1〜3記載の揮散装置。
【請求項5】 前記受台に、前記揮散部材の水平方向、垂直方向および周方向への移動を規制し、揮散部材を受台上の所定の位置に位置決めするストッパーを設けた請求項1〜4記載の揮散装置。
【請求項6】 前記揮散部材は、前記受台のストッパーに係止され、水平方向、垂直方向および周方向への移動が規制される基部と、該基部の周縁部に一体に設けられ、所定の角度で起立するとともに受台のストッパーによって所定の起立角度に保持される起立部とからなる請求項1〜5記載の揮散装置。
【請求項7】 前記揮散部材は、平板状をなす基部と、該基部の周縁部の複数箇所に一体に設けられる基部の外形線よりも外方に突出する起立部とからなり、該起立部をその外側面が基部の外形線よりも内側に位置するように所定の角度で上方に起立させた請求項1〜6記載の揮散装置。
【請求項8】 前記容器の口部にキャップを装着するとともに、該キャップに前記受台を装着した請求項1〜7記載の揮散装置。
【請求項9】 前記キャップに前記吸上げ部材を挿着した請求項1〜8記載の揮散装置。
【請求項10】 前記キャップに保持部材を介して前記吸上げ部材を装着した請求項1〜9記載の揮散装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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