説明

揮発性有機化合物回収装置

【課題】揮発性有機化合物回収装置において、処理対象ガスの処理量及び揮発性有機化合物の脱着効率を低下させることなく脱着ガスの使用量を低減させる。
【解決手段】複数の吸着剤12を有する吸着ユニット1と、処理対象ガスXを吸着剤12に供給する場合に各吸着剤12が並列に配列される並列流路を形成し、脱着ガスYを吸着剤12に供給する場合に各吸着剤12が直列に配列される直列流路を形成する流路切替手段2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を脱着ガスを用いて脱着して回収する揮発性有機化合物回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、揮発性有機化合物回収装置では、VOC(揮発性有機化合物)を含む処理対象ガスを吸着剤に供給することによって吸着剤で処理対象ガスに含まれるVOCを吸着し、VOCを吸着した吸着剤に吸着剤を加熱する脱着ガスを供給することによってVOCを吸着剤から脱着して回収している(特許文献1〜3参照)。
【0003】
このような揮発性有機化合物回収装置においては、吸着剤が所定の容量を持つ吸着塔の内部に充填されており、この吸着塔に処理対象ガス及び脱着ガスを供給することによって吸着剤に処理対象ガス及び脱着ガスが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−050379号公報
【特許文献2】特開2007−069156号公報
【特許文献3】特開平08−281044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸着剤に供給される流体の流速が一定の閾値を超えると吸着剤が振動する等の悪影響が生じるため、吸着塔の流体の流れ方向に対する断面積は、供給される流体の流量を考慮して流体の流速が上記閾値を超えないように設定されている。
そして、通常は、揮発性有機化合物回収装置が求められる処理対象ガスの処理量を達成可能とするために、処理対象ガスの供給流量が予め決められた上で、吸着塔の断面積が設定される。
【0006】
一方で、脱着ガスの吸着剤における流速が遅い場合には、吸着剤の全体を均等に脱着ガスが通過せずに吸着剤の温度分布にばらつきが生じて脱着効率が低下する。また、脱着ガスの吸着剤における流速が遅い場合には、VOC濃度の高い脱着ガスが吸着剤の周辺に滞留して吸着剤からのVOCの脱着を妨げるため、同じく脱着効率が低下する。
VOCの吸着速度と脱着速度との違いから、本来であれば吸着剤に供給する脱着ガスの流量は処理対象ガスの流量に対して極めて少量に抑えることができる。しかしながら、脱着ガスの吸着剤における流速が遅いと上述のように脱着効率の低下を招くことから、従来の揮発性有機化合物回収装置では、吸着剤における脱着ガスの流速を確保する必要がある。そして、吸着塔の流体の流れ方向に対する断面積が大量に供給される処理対象ガスの供給量に応じて設定されているため、吸着剤における脱着ガスの流速を確保するためには、大量の脱着ガスを吸着塔に供給する必要がある。
ただし、脱着ガスとしては蒸気等の有限のガスが用いられるため、工場等におけるエネルギ効率を考慮すると、脱着ガスの使用量はできるだけ抑制することが好ましい。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、揮発性有機化合物回収装置において、処理対象ガスの処理量及び揮発性有機化合物の脱着効率を低下させることなく脱着ガスの使用量を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を脱着ガスを用いて脱着して回収する揮発性有機化合物回収装置であって、複数の上記吸着剤を有する吸着ユニットと、上記処理対象ガスを上記吸着剤に供給する場合に各吸着剤が並列に配列される並列流路を形成し、上記脱着ガスを上記吸着剤に供給する場合に各吸着剤が直列に配列される直列流路を形成する流路切替手段とを備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記吸着ユニットが、各上記吸着剤を収容する収容容器を複数備えるという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記流路切替手段が、上記各吸着剤を並列に接続する並列接続配管と、上記各吸着剤に直列に接続する直列接続配管と、上記並列接続配管途中及び上記直列接続配管途中の少なくともいずれかに設置される開閉弁とを備えるという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記吸着ユニットを複数備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の吸着剤を備える吸着ユニットを備え、処理対象ガスを吸着剤に供給する場合には各吸着剤が並列に配列される並列流路が形成され、脱着ガスを吸着剤に供給する場合に各吸着剤が直列に配列される直列流路が形成される。
つまり、本発明によれば、処理対象ガスを吸着剤に供給する場合には、処理対象ガスが複数の吸着剤に対して並列に供給される。このため、処理対象ガスが複数の吸着剤に対して分配されるため、各吸着剤に供給される処理対象ガスの流量が減少し、各吸着剤における処理対象ガスの流速を低減させることができる。また、複数の吸着剤にて同時に処理対象ガスから揮発性有機化合物が吸着されるため、大量の処理対象ガスを処理することができる。よって、本発明によれば、処理対象ガスの処理量を確保しながら各吸着剤における処理対象ガスの流速を低減させることができる。
一方で、本発明によれば、脱着ガスを吸着剤に供給する場合には、脱着ガスが直列に配列される。このため、処理対象ガスを吸着剤に供給する場合と比較して吸着ユニットにおける流路の断面積が小さくなり、脱着ガスの流量を低減させた場合であっても、各吸着剤における脱着ガスの流速を十分に確保することが可能となる。よって、本発明によれば、各吸着剤における脱着ガスの流速を確保して脱着効率を確保しながら、脱着ガスの流量を低減させることができる。
したがって、本発明によれば、揮発性有機化合物回収装置において、処理対象ガスの処理量及び揮発性有機化合物の脱着効率を低下させることなく脱着ガスの使用量を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態におけるVOC回収装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるVOC回収装置での吸着工程を説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるVOC回収装置での脱着工程を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるVOC回収装置の変形例を示す模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態におけるVOC回収装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る揮発性有機化合物回収装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のVOC(揮発性有機化合物)回収装置Aの構成を示す模式図である。
この図に示すように、本実施形態のVOC回収装置A1は、吸着ユニット1と、流路切替機構2とを備えている。
【0017】
吸着ユニット1は、2つの収容容器11(11a,11b)と、各収容容器11a,11b内に収容される吸着剤12(12a,12b)とを備えている。
【0018】
収容容器11は、上述のように吸着剤12を内部に収容すると共に下部及び上部から内部に流体が供給可能に構成された円筒形状の容器である。また、収容容器11は、下部から供給されて吸着剤を通過した流体を上部から排出し、上部から供給されて吸着剤を通過した流体を下部から排出可能に構成されている。
【0019】
これらの収容容器11の流体の流れ方向における断面積は、上記流体として供給されるVOC含有ガスX(処理対象ガス)の流速が、吸着剤12の振動等の不具合が発生しないように設定された許容値を超えないように設定されている。
なお、本実施形態のVOC回収装置A1においては、2つの収容容器11が設置されており、外部より供給されるVOC含有ガスXは、2つの収容容器11に均等に分配されて供給される。このため、各収容容器11に供給されるVOC含有ガスXの流量は、外部から本実施形態のVOC回収装置A1に供給されるVOC含有ガスXの流量の半分となる。そして、各収容容器11の上記断面積は、外部から本実施形態のVOC回収装置A1に供給される全体量の半分の流量のVOC含有ガスXが、上記許容値の流速を超えないように設定される。よって、外部から供給されるVOC回収ガスXの流量が同一であるならば、本実施形態のVOC回収装置A1が備える各収容容器11の上記断面積は、従来のVOC回収装置が備える収容容器の断面積の半分程度となる。
【0020】
吸着剤12は、活性炭等によって形成されており、収容容器11の中段に配置されており、収容容器11の流体の流れ方向の断面全体に充填されて配置されている。
この吸着剤12は、供給されるVOC含有ガスXに含まれるVOCを吸着し、VOC含有ガスXを処理ガスZとする。
【0021】
流路切替機構2は、上記収容容器11に接続される配管21の開閉を制御することによって、収容容器11に供給される流体(VOC含有ガスX、脱着ガスY)の切替えを行うと共に、上記収容容器11を含む流体の流路形状の切替えを行うものであり、上記配管21と、該配管21途中に設置される開閉弁22と、該開閉弁22の開閉を制御する不図示の制御部とを備えている。
【0022】
配管21は、収容容器11に供給される流体あるいは収容容器11から排出される流体の流路となるものであり、VOC含有ガスXを外部から引き込む配管21aと、該配管21aと収容容器11aの下部とを接続する配管21bと、配管21aと収容容器11bの下部とを接続する配管21cと、開閉弁22a,22bよりも収容容器11側において配管21bと配管21cとを接続する配管21dと、収容容器11aの上部に接続される配管21eと、収容容器11bの上部に接続される配管21fと、配管21e及び配管21fと接続されると共に外部に処理ガスZを排出する配管21gと、収容容器11bの上部に接続されると共に外部から脱着ガスYを収容容器11bの上部に供給する配管21hと、収容容器11aの上部に接続されると共に外部に脱着ガスYを排出する配管21iとによって構成されている。
【0023】
開閉弁22は、配管21の開閉を行うものであり、配管21bの途中部位に設置される開閉弁22aと、配管21cの途中部位に設置される開閉弁22bと、配管21eの途中部位に設置される開閉弁22cと、配管21fの途中部位に設置される開閉弁22dと、配管21hの途中部位に設置される開閉弁22eと、配管21iの途中部位に設置される開閉弁22fとによって構成されている。
【0024】
そして、本実施形態のVOC回収装置A1においては、不図示の制御部によって、図2に示すように、開閉弁22a,22b,22c,22dが開放され、開閉弁22e,22fが閉鎖されることで、配管21aから引き込まれるVOC含有ガスXが、配管21b,21cを介して収容容器11a,11bに略均等に分配され、収容容器11a,11bから配管21e,21fを介して排出される処理ガスZが配管21gを介して外部に排出される。つまり、本実施形態のVOC回収装置A1においては、VOC含有ガスXを収容容器11に収容された吸着剤12に供給する場合には、図2に示すように、開閉弁22a,22b,22c,22dを開放し、開閉弁22e,22fを閉鎖することによって、収容容器11a,11b(すなわち吸着剤12a,12b)が並列に配列された並列流路が形成される。
なお、本実施形態のVOC回収装置A1においては、配管21a,21b,21c,21e,21f,21gによって上記並列流路が形成される。つまり、本実施形態のVOC回収装置A1においては、本発明における並列接続配管が、配管21a,21b,21c,21e,21f,21gによって構成されている。
【0025】
また、本実施形態のVOC回収装置A1においては、不図示の制御部によって、図3に示すように、開閉弁22a,22b,22c,22dが閉鎖され、開閉弁22e,22fが開放されることで、配管21hから収容容器11bの上部に脱着ガスYが供給され、収容容器11bの上部に供給された脱着ガスYが収容容器11bの下部から排出されて配管21c,21d、21bを介して収容容器11aの下部に供給され、収容容器11aの下部に供給された脱着ガスYが収容容器aの上部から配管21iを介して外部に排出される。つまり、本実施形態のVOC回収装置A1においては、脱着ガスYを収容容器11に収容された吸着剤12に供給する場合には、図3に示すように、開閉弁22a,22b,22c,22dを閉鎖し、開閉弁22e,22fを開放することによって、収容容器11a,11b(すなわち吸着剤12a,12b)が直列に配列された直列流路が形成される。
なお、本実施形態のVOC回収装置A1においては、配管21b,21c,21d,21e,21h,21iによって上記直列流路が形成される。つまり、本実施形態のVOC回収装置A1においては、本発明における直列接続配管が、配管21b,21c,21d,21e,21h,21iによって構成されている。
【0026】
また、本実施形態のVOC回収装置A1において処理対象とされるVOC含有ガスXは、VOCを含むガスであり、必要に応じて空気が混合される。
また、本実施形態のVOC回収装置A1において用いられる脱着ガスYは、吸着剤12をVOC脱着が可能な温度まで加温可能なガスであり、例えば蒸気である。
【0027】
以上のような構成を有する本実施形態のVOC回収装置A1では、吸着工程と脱着工程とが繰り返されることによってVOC含有ガスXに含まれるVOCが回収される。
【0028】
吸着工程は、吸着剤12に対してVOC含有ガスXを供給することによって吸着剤12によってVOCを吸着する工程である。そして、当該吸着工程の場合(すなわちVOC含有ガスXを吸着剤12に供給する場合)には、図2に示すように、収容容器11a,11b(すなわち吸着剤12a,12b)が並列に配列された並列流路が形成される。
【0029】
このような並列流路が形成されると、VOC含有ガスXが収容容器11aと収容容器11bとに均等に分配されて供給される。収容容器11aに供給されたVOC含有ガスXは、吸着剤12aに供給されることで含有するVOCが吸着されて除去されることによって処理ガスZとされて収容容器11aから排出される。また、収容容器11bに供給されたVOC含有ガスXは、吸着剤12bに供給されることで含有するVOCが吸着されて除去されることによって処理ガスZとされて収容容器11bから排出される。
そして、収容容器11a,11bから排出された処理ガスZは集められて外部に排出される。
【0030】
脱着工程は、吸着剤12に対して脱着ガスYを供給することによって吸着剤12に吸着されたVOCを脱着して回収する工程であり、吸着工程後に行われる。そして、当該脱着工程の場合(すなわち脱着ガスYを吸着剤12に供給)には、図3に示すように、収容容器11a,11b(すなわち吸着剤12a,12b)が直列に配列された直列流路が形成される。
【0031】
このような直列流路が形成されると、脱着ガスYが収容容器11bの上部に供給される。収容容器11bの上部に供給された脱着ガスYは、吸着剤12bに供給されることで吸着剤12bを加温してVOCを脱着し、VOCを含んだ状態で収容容器11bの下部から排出される。収容容器11bの下部から排出された脱着ガスYは収容容器11aの下部に供給される。そして、収容容器11aの下部に供給された脱着ガスYは、吸着剤12aに供給されることで吸着剤12aを加温してVOCを脱着し、当該VOCを含んだ状態で収容容器11aの上部から排出される。
そして、VOCを含んだ状態の脱着ガスYが排出されることによって最終的にVOC含有ガスXに含まれるVOCの回収が完了する。
【0032】
以上のような本実施形態のVOC回収装置A1によれば、複数の吸着剤12を備える吸着ユニット1を備え、VOC含有ガスXを吸着剤12に供給する場合には各吸着剤12が並列に配列される並列流路が形成され、脱着ガスYを吸着剤12に供給する場合に各吸着剤12が直列に配列される直列流路が形成される。
つまり、本実施形態のVOC回収装置A1によれば、VOC含有ガスXを吸着剤12に供給する場合には、VOC含有ガスXが複数の吸着剤12に対して並列に供給される。このため、VOC含有ガスXが複数の吸着剤12に対して分配されるため、各吸着剤12に供給されるVOC含有ガスXの流量が減少し、各吸着剤12におけるVOC含有ガスXの流速を低減させることができる。また、複数の吸着剤12にて同時にVOC含有ガスXからVOCが吸着されるため、大量のVOC含有ガスXを処理することができる。よって、本実施形態のVOC回収装置A1によれば、VOC含有ガスXの処理量を確保しながら各吸着剤12におけるVOC含有ガスXの流速を低減させることができる。
一方で、本実施形態のVOC回収装置A1によれば、脱着ガスYを吸着剤12に供給する場合には、脱着ガスYが直列に配列される。このため、VOC含有ガスXを吸着剤12に供給する場合と比較して吸着ユニット1における流路の断面積が小さくなり、脱着ガスYの流量を低減させた場合であっても、各吸着剤12における脱着ガスYの流速を十分に確保することが可能となる。よって、本実施形態のVOC回収装置A1によれば、各吸着剤12における脱着ガスYの流速を確保して脱着効率を確保しながら、脱着ガスYの流量を低減させることができる。
したがって、本実施形態のVOC回収装置A1によれば、VOC含有ガスXの処理量及びVOCの脱着効率を低下させることなく脱着ガスYの使用量を低減させることが可能となる。
【0033】
なお、本実施形態のVOC回収装置A1においては、吸着ユニット1が2つの収容容器11a,11bを備える構成を有している。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、図4に示すように、1つの収容容器13の内部を下部で接続される2つの領域13a,13bに分け、各領域13a,13bに吸着剤12a,12bを配置するようにしても良い。なお、この場合には、領域13aが収容容器11aとして機能し、領域13bが収容容器11bとして機能する。また、配管21bと配管21cとが単一の配管として一体化され、開放弁22aと開放弁22bとが単一の開放弁として一体化される。
ただし、本実施形態のVOC回収装置A1のように、複数の収容容器11を備える構成を採用することによって、各収容容器11に求められる耐圧性能を低くすることができるため、VOC回収装置A1の設計が容易となる。
【0034】
なお、本実施形態のVOC回収装置A1において、配管21bと配管21cとを単一の配管として一体化し、開放弁22aと開放弁22bとを単一の開放弁として一体化することも可能である。
【0035】
また、本実施形態のVOC回収装置A1においては、並列流路を形成した場合に、配管21bと配管21cとの両方にVOC含有ガスXが流れて収容容器11に供給されるため、配管21dにおけるVOC含有ガスXの流れを無視できるものとし、配管21dに開閉弁22を設置しないことによって開閉弁22の設置数を削減する構成を採用している。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、配管21dに開閉弁2を設置し、並列流路を形成する場合に21dを閉鎖するようにしても良い。
【0036】
なお、本実施形態において示す配管21及び開閉弁22の配置方法は一例であり、上記並列流路及び直列流路を形成可能な配置方法であれば任意である。
例えば、配管21を収容容器11bの下部に接続、配管21を配管21eと配管21fとを接続、配管21iが収容容器21aの下方に接続されるように配管21及び開閉弁22を配置しても良い。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、蒸気第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0038】
図5は、本実施形態のVOC回収装置A2の模式図である。この図に示すように、本実施形態のVOC回収装置A2は、4つの収容容器11(11a,11b,11c,11d)と、各収容容器11に収容される吸着剤12(12a,12b,12c,12d)とを備えている。
【0039】
このVOC回収装置A2は、収容容器11を接続する配管23として、上記並列流路を形成する並列接続配管として機能する配管23a〜23iと、上記直列流路を形成する直列接続配管として機能する配管23b〜23e,23k〜23oとを備えている。また、配管23の開閉を制御する開閉弁24として、配管23b〜23i,23m〜23oの途中部位に設置される開閉弁24a〜24kを備えている。
【0040】
そして、本実施形態のVOC回収装置A2においては、吸着工程を行う場合(吸着剤12にVOC含有ガスXを供給する場合)には、開閉弁24a〜24hを開放し、開閉弁24i〜24kを閉鎖することによって並列流路が形成され、4つの収容容器11(すなわち4つの吸着剤12)にVOC含有ガスXが分配されて供給される。
【0041】
また、本実施形態のVOC回収装置A2においては、脱着工程を行う場合(吸着剤12に脱着ガスYを供給する場合)には、開閉弁24a〜24hを閉鎖し、開閉弁24i〜24kを開放することによって直列流路が形成され、脱着ガスが全ての収容容器11に順次供給される。
【0042】
このような本実施形態のVOC回収装置A2によれば、吸着ユニット2が4つの収容容器11を備えている。このため、各収容容器11が直列に配列された場合における吸着ユニット2の流路断面を、上記第1実施形態よりもさらに小さくすることができる。
したがって、本実施形態のVOC回収装置A2によれば、各収容容器11における脱着ガスYの流速をより少ない流量で確保することが可能となる、上記第1実施形態よりもさらに脱着ガスYの使用量を低減させることが可能となる。
【0043】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、単一の吸着ユニット1を備える構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のユニット1を備える構成を採用しても良い。
このような構成を採用することによって、一方の吸着ユニット1において吸着工程を行い、残りの吸着ユニット1において脱着工程を行うことによって、VOC含有ガスXからのVOCの回収を連続的に行うことが可能となる。
【0045】
また、上記実施形態においては、吸着ユニット1が備える収容容器11の数が、2つあるいは4つである構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、収容容器11の数が3つあるいは5つ以上であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
A1,A2……VOC回収装置(揮発性有機化合物回収装置)、1……吸着ユニット、11,13……収容容器、12……吸着剤、2……流路切替機構、21,23……配管、22,24……開放弁、X……VOC含有ガス(処理対象ガス)、Y……脱着ガス、Z……処理ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を脱着ガスを用いて脱着して回収する揮発性有機化合物回収装置であって、
複数の前記吸着剤を有する吸着ユニットと、
前記処理対象ガスを前記吸着剤に供給する場合に各吸着剤が並列に配列される並列流路を形成し、前記脱着ガスを前記吸着剤に供給する場合に各吸着剤が直列に配列される直列流路を形成する流路切替手段と
を備えることを特徴とする揮発性有機化合物回収装置。
【請求項2】
前記吸着ユニットは、各前記吸着剤を収容する収容容器を複数備えることを特徴とする請求項1記載の揮発性有機化合物回収装置。
【請求項3】
前記流路切替手段は、
前記各吸着剤を並列に接続する並列接続配管と、
前記各吸着剤に直列に接続する直列接続配管と、
前記並列接続配管途中及び前記直列接続配管途中の少なくともいずれかに設置される開閉弁と
を備える請求項1または2記載の揮発性有機化合物回収装置。
【請求項4】
前記吸着ユニットを複数備えることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の揮発性有機化合物回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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