説明

搬送用ベルト

【課題】作物の茎葉を挟み込んで圃場から引く抜くことが比較的容易な一対の無端帯を備えた作物収穫機を提供すること。
【解決手段】物品を挟持搬送する搬送装置に装着する一対の搬送用ベル28aに内部に空洞と該空洞内部の挟持作用面側から装着面側に伸ばして設けた突起部28aaを設け、該突起部28aaの基部を挟持作用面の中央部から偏倚させ、また突起部28aaの先端部を装着面の中央部付近に位置させ、さらに装着面内側に突起部28aaの移動範囲を規制する移動規制部28akを形成している。該突起部28aaは傾斜姿勢となるので、該突起部28aaが挟持搬送ベルト28aにかかる力に応じて移動できる範囲が広くなり、挟持する作物に応じた挟持力を細かく設定することができ、作業能率の向上や物品の破損防止効果が従来より向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で生育した作物の茎葉を引き抜いて挟持搬送を行う一対の搬送用ベルトを備えた作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
根菜などの作物を引き抜いて挟持搬送を行う搬送装置に巻き掛ける無端帯を備えた作物収穫機については、今まで数多くの特許出願がなされている。
【特許文献1】特開2006−109783号公報
【特許文献2】特開2006−320211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1、2に記載の作物収穫機は無端帯として一対の帯状のベルトを用い、該ベルトの間に作物の茎葉を挟み込んで圃場から引く抜く際に、ベルトの表面が摩耗などにより平滑化すると作物の茎葉を圃場から引き抜くことが難しくなる。
そこで、本発明の課題は、作物の茎葉を挟み込んで圃場から引く抜くことが比較的容易な一対の無端帯を備えた作物収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、内部に空洞と該空洞内部の挟持作用面側から装着面側に伸ばして設けた突起部(28aa)とを設けた物品を挟持搬送する搬送装置に装着する一対の搬送用ベルト(28a)において、突起部(28aa)の基部を挟持作用面の中央部から偏倚させた位置に設け、突起部(28aa)の先端部を装着面の中央部付近に位置させ、さらに装着面側に突起部(28aa)の移動範囲を規制する移動規制部(28ak)を形成した搬送用ベルトである。
【0005】
請求項2記載の発明は、突起部(28aa)の幅を狭持作用面のベルト幅よりも幅広に形成した請求項1記載の搬送用ベルトである。
【0006】
請求項3記載の発明は、上下方向に挟持作用面が向けられたベルト(28a)の上下方向の一端部(28as)の曲面率(Rs)を上下方向の他端部(28at)の曲面率(Rt)よりも大きく形成した請求項1又は2記載の搬送用ベルトである。
【0007】
請求項4記載の発明は、挟持作用面側の表面で、且つ突起部(28aa)の基部位置に凹部(28ac)を設け、該凹部(28ac)から挟持作用面のベルト中心線(C)に対して左右対称位置に凸部(28ab)を形成した請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送用ベルトである。
【0008】
請求項5記載の発明は、突起部(28aa)を中間部で屈曲させ、該突起部(28aa)の基部中心部と先端部とがベルト(28a)の挟持作用面の中央部にある挟持作用面のベルト中心線(C)を通るように構成した請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送用ベルトである。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、例えば、図3(a)に一対の挟持搬送ベルト28a,28aとベルト取付部材28b,28bの断面図を示すように、圃場で成長した野菜類(作物、茎葉野菜)の茎葉を挟持して引き抜くための一対のベルト28a,28aに弾性を持たせるために各ベルト28aを内部に空洞部のある中空状として、挟持搬送ベルト28aの空洞部は挟持搬送装置28の図示しないベルト支持プレートに設置したときの上下方向に幅広で、断面が略楕円形状であり、ベルト取付部材28bに接する回転体装着面(以下、支持面ということがある。)に対向して野菜の茎葉を挟持する挟持作用面側となる側面の外周部を円弧状にして中張り状とすることにより、野菜の茎葉を挟持するときにベルト28aの中央部の凹みを少なくできるので、挟持搬送ベルト28aが凹んで茎葉から離れてしまい、野菜の茎葉を脱落させてしまうことが防止され、作業能率や野菜の品質が向上する。
【0010】
また、図3(b)に図3(a)のベルト28aとベルト取付部材28bの部分拡大断面図を示すように、挟持搬送ベルト28aの空洞部は上下方向に幅広であり、該空洞部の内部の挟持作用面側から装着面側に伸ばした突起部28aaを設け、該突起部28aaの基部を挟持作用面の中央部から偏倚させた位置に設け、突起部28aaの先端部を装着面側の中央部付近に接するか、接していなくても、ほぼ装着面側の中央部付近に接するように位置させる。
【0011】
また、挟持搬送ベルト28aの装着面側は、装着面側の中央部付近には該ベルト28aが無く、ベルト取付部材28bがむき出し状になっている。従って突起部28aaの先端部が変形してもベルト28aの両端部に当たるため、該ベルト28aの両端部が突起部28aaの移動範囲を規制する移動規制部28akとなる。
【0012】
こうして、挟持搬送ベルト28aの内部の空洞に設ける突起部28aaを空洞内部の挟持作用面の中央部から偏倚させた位置に設けると共に、その先端部を装着面側の中央部付近に位置させたことによって、突起部28aaは傾斜姿勢となるので、該突起部28aaが挟持搬送ベルト28aにかかる力に応じて移動できる範囲が広くなり、挟持する物品(作物に限らず、その他の物品も挟持できる)に応じた挟持力を細かく設定することができ、作業能率の向上や物品の破損防止効果が従来より向上する。
【0013】
また、挟持搬送ベルト28aの装着面側に突起部28aaの移動を規制する移動規制部28akがあるので、突起部28aaが移動し過ぎて挟持力が強くなり過ぎたり、挟持搬送ベルト28aの取付部に乗り上げて挟持力が急激に弱まることを防止できるので、物品が破損することを防止できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、例えば、図3(b)に示すように挟持搬送ベルト28aの突起部28aaの幅Bを狭持作用面のベルト幅Cよりも大きくした。
幅B>幅C
突起部の幅を搬送用ベルトの挟持作用面の側面幅よりも幅広に形成したことによって、挟持搬送ベルト28aは、かかる力に応じてたわみやすくなると共に、突起部28aaが該ベルト28aの中央部のたわみ量を規制することができるので、挟持搬送ベルト28aの全体に均等な挟持力が与えられて、物品を適切な力で挟持搬送することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、例えば、図5(a)、(b)にベルト取付部材28b,28bに取り付けた一対の挟持搬送ベルト28a,28aを接触させた状態の断面図を示すように、該ベルト28aの挟持作用面の上下方向の一端部28asの曲面率(Rs)を前記上下方向の他端部28atの曲面率(Rt)よりも大きく形成した例である。
曲面率(Rs)>曲面率(Rt)
とすると、挟持搬送ベルト28aの前記一端部28asと他端部28atの形状の違いから挟持搬送ベルト28aの内部の突起28aaの向きを外観から判別することができるので、挟持搬送ベルト28aのベルト取付部材28b,28bへの取り付け方やプーリ28d,28eへの装着方向を間違えることが防止でき、作物を適切な力で挟持搬送することができると共に、挟持搬送装置28の組み立てを能率的に行うことができる。
【0016】
また図5(b)に示すように、突起部28aaの基部中央部と該基部中央部に近い方のベルト28aの端部との鉛直方向の距離L1が、突起部28aaの基部中央部と該基部中央部に遠い方のベルト28aの端部との鉛直方向の距離L2より短くする。すなわち、
距離L1<距離L2
の関係を成立させると、作物を挟持したときに短い距離L1側のベルト28aの弾性は長い距離L2側のベルト28aの弾性に比べて小さいので、前記上下方向の一端部28asの曲面率(Rs)を前記上下方向の他端部28atの曲面率(Rt)よりも大きくすることで弾性変形しやすくなり、作物など挟持効果が一端部28asの曲面率(Rs)と他端部28atの曲面率(Rt)とが同一の場合に比べて高くなる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、例えば、図6の一対の挟持搬送ベルト28a,28aとベルト取付部材28b,28bの断面図に示すように、一方のベルト28aの挟持作用面側で、且つ突起部28aaの基部に対応する位置に凹部28acを形成し、該ベルト28aの挟持作用面の中心線Cに対して該凹部28abの反対側の挟持作用面に凸部28abを形成する構成を採用しても良い。
この場合は、挟持搬送ベルト28aの内部の突起部28aaの向きを外観から判別することができるので、挟持搬送ベルト28aのベルト取付部材28bへの取り付け方向やプーリ28d,28eの装着方向を間違えることが防止でき、作物を適切な力で挟持搬送することができると共に、挟持搬送装置28の組み立てを能率的に行うことができる。
【0018】
また、一対の挟持搬送ベルト28a,28aの中の一方のベルト28aの挟持作用面上の凹部に他方のベルト28aの凸部が接触することにより、該ベルト28aのたわみ量が大きくなるため、作物を常に適切な力で挟持搬送することができる。
なお、挟持搬送ベルト28aの挟持作用面上の凹部28acと凸部28abは図6に示す曲率半径の小さな凹部28acと凸部28abでなく、図6に示す突起の曲率半径より大きな曲率半径を有するなだらかな図示しない凹部と凸部でも良い。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、例えば、図7には挟持搬送ベルト28aの空洞部に設ける突起部28aaを中間部で屈曲させ、突起部28aaの基部中心部と先端部とが挟持作用面のベルト中心線Cを通るように構成した場合の搬送用ベルト断面図である。
図7に示す構成では突起部28aaの基部中心部と先端部とが中心線Cを通るような構成にしたので突起部28aaもたわみやすくなり、挟持搬送ベルト28aのたわみ量を増加させることができるので、作物を常に適切な力で挟持搬送することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、搬送用ベルト28aの内部の空洞に設ける突起部28aaを、空洞内部の挟持作用面の中央部から偏倚させた位置に設けると共に、突起部28aの先端部を装着面の中央部付近に位置させたことによって、突起部28aaは傾斜姿勢となるので、搬送用ベルト28aにかかる力に応じて突起部28aaが移動できる範囲が広くなり、物品に応じた挟持力を細かく設定することができ、作業能率の向上や物品の破損防止効果が向上する。
また、搬送ベルト突起部28aの装着面側に突起部28aaの移動を規制する移動規制部28akを設けたことによって、突起部28aaが移動し過ぎて挟持力が強くなり過ぎたり、搬送用ベルト28aの取付部に乗り上げて挟持力が急激に弱まることを防止できるので、物品が破損することが防止される。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、突起部28aaの幅を搬送用ベルト28aの挟持作用面の側面幅よりも幅広に形成したことによって、搬送用ベルト28aは、該ベルト28aに作用する力に応じてたわみやすくなると共に、突起部28aaが搬送用ベルト28aの中央部のたわみ量を規制することができるので、搬送用ベルト28aの全体に均等な挟持力が与えられて、物品を適切な力で挟持搬送することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、搬送用ベルト28aの挟持作用面の上下一端部28asの曲面率(Rs)を上下他端部28atの曲面率(Rt)よりも大きく形成したことによって、搬送用ベルト28aの内部の突起部28aaの向きを外観から判別することができるので、搬送用ベルト28aの取付方向を間違えて搬送装置28に取り付けることが防止され、物品を適切な力で挟持搬送することができると共に、搬送装置28の組み立てを能率的に行うことができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、搬送用ベルト28aの挟持作用面側で且つ突起部28aaの基部位置に凹部28acを形成し、凹部28acから挟持作用面中心の左右対称位置に凸部28abを形成したことによって、搬送用ベルト28aの内部の突起部28aaの向きを外観から判別することができるので、搬送用ベルト28aのベルト取付部材28bへの取り付け方向を間違えて搬送装置28に装着することが防止され、物品を適切な力で挟持搬送することができると共に、搬送装置28の組み立てを能率的に行うことができる。また、搬送用ベルト28aの一側の凹部28acに他側の凸部28abを接触させることによって、搬送用ベルト28aのたわみ量が大きくなるため、物品を常に適切な力で挟持搬送することができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、突起部28aaの基部中心部と先端部とが挟持作用面のベルト中心線Cを通るような構成にして、突起部28aaを「く」の字形状に屈曲させたことによって、突起部28aaもたわみやすくなるので搬送用ベルト28aのたわみ量を増加させることができ、物品を常に適切な力で挟持搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施するための最良の形態の一つとして、人参等の根菜類を圃場から収穫する根菜類収穫機がある。図1に本発明を実施した根菜類収穫機の側面図を示し、図2に図1の根菜類収穫機の平面図を示す。
図1および図2に示す根菜類収穫機1は、機体を自走させる走行装置2と、搭乗した操縦者によって操作される操作具を配置した操縦部3と、圃場に植生する根菜類の茎葉部を引き起こす引起こし装置22と、挟持して後側斜め上方に搬送して引抜き収穫する収穫部4と、収穫物を収容するコンテナ49を設置可能とする収容部5と、前記収穫部4から収穫物を受け取って前記収容部5に搬送する搬送部6と、収穫物を収容したコンテナ49を複数体載置可能とする収穫物載置部7とを設けた構成としている。
【0026】
また、前記走行装置2は駆動回転する左右一対のクローラ8L,8Rを備え、前記収穫部4は機体の左右一方側に配置し、前記収穫物載置部7は機体の左右他方側に配置し且つ該収穫物載置部7を配置した側のクローラ8Rの左右外端部より収穫物載置部7の左右外端部が左右方向外側に位置する状態に配置している。そして、前記収穫物載置部7を配置した側のクローラ8Rの接地部を左右反対側のクローラ8Lの接地部より下方に位置する状態に下動可能に設けている。
【0027】
以下に、根菜類収穫機1の各部の具体的な構成を説明する。
走行装置2は、駆動回転する左右一対のクローラ8L,8Rにより構成している。このクローラ8L,8Rの駆動機構は、まず、操縦部3の操縦座席12の下側に配置したエンジンの動力が、機体前部の低位置に設けたミッションに伝動し、ミッションから左右両側に延出させた走行駆動軸が駆動回転し、この走行駆動軸の左右両外端部に取り付けた駆動スプロケット14,14が駆動回転して左右のクローラ8L,8Rが駆動される構成となっている。クローラ8L,8Rは、駆動スプロケット14,14と機体後部側の転動輪15,15、そして、その転動輪15,15と駆動スプロケット14,14との間に取り付けた転輪16,16の周りに巻き掛けて取り付けている。
【0028】
収穫部4は、根菜類の茎葉部を挟持して搬送する搬送作用部として左右挟持搬送ベルト28a,28aからなる挟持搬送装置28を備える。この左右挟持搬送ベルト28a,28aは、機体前部側の左右に軸架した左右遊動プーリ28e,28eと、機体後部側の左右に設けた左右駆動プーリ28d,28dとを巻回し、且つ、当該左右挟持搬送ベルト28a,28aの互いに左右対向する周側面が互いに圧接する状態で回転するように構成している。左右駆動プーリ28d,28dがエンジンからの動力を受けて駆動回転すると左右挟持搬送ベルト28a,28aが互いに圧接するベルト面が後方に移動するよう互い反対方向に回転して、左右のベルト28a,28aの互いに圧接するベルト面の間に、根菜の茎葉部の基部(根部の肩に近い部分)を挟持して吊り下げ状態で搬送するものとなる。
【0029】
この収穫部4の後部は機体後部側に設けた左右横軸29回りに回動自在に取り付け、そして、左右横軸29を回動支点としてフレーム40を上下方向に回動自在につなぎ、油圧シリンダ30を伸縮させることによってフレーム40と共に左右挟持搬送ベルト28a,28aの前部を上下動できる構成としている。従って、左右挟持搬送ベルト28a,28aの搬送作用部の搬送始端部を地面の高さ変動、搬送作用部が保持しようとする根菜類の茎葉部の状態に合わせて、容易に上下調節できる。
【0030】
また、収穫部4には、根菜類の茎葉部を切断して根部から取り除くために切断する切断装置31も設けている。左右挟持搬送ベルト28a,28aで根菜類を搬送する途中で根菜類の茎葉部を引継いで挟持して機体後方水平状に搬送する排葉ベルト32a,32aを、左右挟持搬送ベルト28a,28aの終端部分の下方に略水平姿勢で左右一対に設けている。また、この排葉ベルト32a,32aに茎葉部を引継ぎ搬送するときに、根菜類の根部の上端部に係合して根菜類の上昇を規制し根菜類の高さを切断装置31に対して設定高さに揃えるための位置揃えベルト33a,33aを設けている。この位置揃えベルト33a,33aの後端部後方に、切断装置の左右一対の円板状の切断刃31a,31aを配置し、挟持搬送ベルト28a,28aで搬送されてきた根菜の茎葉部の基部を切断する。切断された根菜類の根部は下方に落下し、茎葉部は排葉ベルト32a,32aで機体後方に搬送されて機体後部側の搬送部6から排出される構成である。
【0031】
搬送部6は切断装置の下方に位置し、機体の左右内側方向に根菜類を搬送する第一コンベア36と、該第一コンベア36の前側に並行するように位置して第一コンベア36の移送方向と同方向に根菜類を移送する第二コンベア37と、該第二コンベア37の搬送終端部から機体後方に向けて延びて同方向に根菜類を移送する第三コンベア38とを備えた構成としている。
なお、第一コンベア36を平坦な面を有するベルトコンベアで構成し、その移送下手側のベルト上面に下側がベルト回転方向と同方向に向って駆動回転する残葉処理ローラ39を、該ローラ前端部側が後端部側に比べて左右方向において機体内側になるように平面視傾斜状態で配置して設けている。
【0032】
また、収容部5のコンテナ49の交換作業と第三コンベア38で搬送される根菜類から不良品を取り除く選別作業を行う作業者が機体上に搭乗するための搭乗部25を設けている。搭乗部25には、作業者が機体上に容易に搭乗し作業が行えるようシート27を設けている。更に、搭乗部25の左右方向機体外側部に機体前部から機体後部にわたってコンテナ49を前後一列に複数載置できる収穫物載置部7を設けていて、この載置部7上に収穫物で満杯のコンテナ49を載置しながら収穫作業を進めることで能率よく作業が行えるものとなる。この収穫物載置部7は、機体内側に回動可能に取り付けて折畳み可能な構造等にすることで機体内側に収納可能に設けている。
【0033】
左右挟持搬送ベルト28a,28aの前側には、前後方向に突出する多数のラグ34aを縦引起しケース34bに沿って上下方向に周回させて茎葉部を引起す縦引起し装置34と、左右方向に突出する多数のラグ35aを横引起しケース35bに沿って上下方向に周回させて茎葉部を引起す横引起し装置35と、茎葉を分草する分草具61とを設けている。
【0034】
掘り起こし刃Dは前後方向に伸びるアーム部50と、アーム部50の前部より屈曲して下方に伸びる掘り起し部51と、アーム部50の前部より上方に設ける支持板52とから構成され、アーム部50は設定軌跡で上下方向に揺動する揺動アーム53に取り付ける構成としている。そして、掘り起こし刃Dは左右挟持搬送ベルト28a,28aの搬送始端側の下方で、かつ、搬送始端部Sの左右両側に一対設けている。そして、根菜類の根部の周囲の土を掘り起こす掘り起こし部51の下部は上部よりも機体内側の位置に入り込む構成としている。
【0035】
従来の挟持搬送ベルトはスポンジ状のベルトを用いているため、耐久性がなく頻繁に交換する必要があるため、コスト高になっている。
そこで、図3(a)に一対の挟持搬送ベルト28a,28aとベルト取付部材28b,28bの断面図を示すように、圃場で成長した野菜類(作物、茎葉野菜)の茎葉を挟持して引き抜くための一対のベルト28a,28aに弾性を持たせるために各ベルト28aを内部に空洞部のある中空状とした。挟持搬送ベルト28aの空洞部は挟持搬送装置28に設置したときの上下方向に幅広で、断面が略楕円形状であり、ベルト取付部材28b,28bに接する装着面(以下、支持面ということがある。)に対向して野菜の茎葉を挟持する挟持作用面側となる側面の外周部を円弧状にして中張り状とすることにより、野菜の茎葉を挟持するときにベルト28aの中央部の凹みを少なくできるので、挟持搬送ベルト28aが凹んで茎葉から離れてしまい、野菜の茎葉を脱落させてしまうことが防止され、作業能率や野菜の品質が向上する。
【0036】
また、図3(b)に図3(a)のベルト28aとベルト取付部材28b,28bの部分拡大断面図を示すように、挟持搬送ベルト28aの空洞部は、その挟持作用面の中央部(挟持搬送装置28に設置したときの上下方向の中心部を通る中心線C上)を他の部分より高くし、該空洞部の内部の挟持作用面側から装着面側に伸ばした突起部28aaを設け、該突起部ベルト28aの基部を挟持作用面の前記中央部(中心線C上)から偏倚させた位置に設け、突起部28aaの先端部を装着面側の中央部付近に接するか、接していなくても、ほぼ装着面側の中央部付近に接するように位置させる。
【0037】
また、挟持搬送ベルト28aの装着面側は、装着面側の中央部付近には該ベルト28aが無く、ベルト取付部材28bがむき出し状になっている。従って突起部28aaの先端部が変形してもベルト28aの装着面側の両側の取付端部(移動規制部)28akに接触するため、該ベルト28aの両側の取付端部28akが突起部28aaの移動範囲を規制する移動規制部として機能する。
【0038】
こうして、挟持搬送ベルト28aの内部の空洞に設ける突起部28aaを、空洞内部の挟持作用面の中央部から偏倚させた位置に設けると共に、その先端部を装着面側の中央部付近に位置させたことによって、突起部28aaは水平方向に対して傾斜姿勢となるので、該突起部28aaが挟持搬送ベルト28aにかかる力に応じて移動できる範囲が広くなり、挟持する物品(作物に限らないで、その他の物品も挟持できる)に応じた挟持力を細かく設定することができ、作業能率の向上や物品の破損防止効果が従来より向上する。
【0039】
また、挟持搬送ベルト28aの装着面側に突起部28aaの移動を規制するベルト両端部が移動規制部28akとなるので、突起部28aaが移動し過ぎて挟持力が強くなり過ぎたり、挟持搬送ベルト28aの取付部に乗り上げて挟持力が急激に弱まることを防止できるので、物品が破損することが防止できる。
【0040】
また前記突起部28aaの先端部は挟持搬送ベルト28aの空洞部の挟持作用面の中央部(挟持搬送装置28に設置したときの上下方向の中心部を通る中心線C上)に位置するようにしたので、挟持搬送ベルト28aをベルト取付部材28bに取り付ける際、挟持搬送ベルト28aの装着面の一側の取付端部28ak(移動規制部)と他側の取付端部(移動規制部)28akとを前記中心線Cからほぼ同じ距離に配置することができるので、挟持搬送ベルト28aを形成用の金型から取り外す際、両側の取付端部28ak,28akを同程度動かして挟持搬送ベルト28aを取り外すことができて、型から抜き取り易くなる。
前記突起部28aaの先端は丸みを持たせ、ベルト取付部材28bに接着させていないので、ベルト取付部材28bの装着面上をスライドしやすく、挟持搬送ベルト28aが変形しやすくなる。
【0041】
さらに、挟持搬送ベルト28aの空洞部の前記挟持作用面の中央部(挟持搬送装置28に設置したときの上下方向の中心部を通る中心線C上)を他の部分より高くすることで、たわみ量を多くとることができ、また空洞部の前記挟持作用面の中央部がたわんだとき、突起部28aaの基部がベルト28aの装着面側の両端部の移動規制部28akに乗り上げることがないので、たわみ量を多くとることができる。また、空洞部の前記挟持作用面の中央部がたわんだとき、突起部28aaの先端部はたわみ始めた時点でベルト取付部材28bの平坦部(挟持搬送ベルト28aの取付端部の移動規制部28ak,28akの間の空間部)に当たりながらスライドするので、挟持搬送ベルト28aが弾性変形し易くなり、挟持物の形状や量に適した形状に変形することができ、挟持物を壊して価値を損ねてしまうことや、挟持搬送ベルト28aが挟持物を落下させたり、挟持し損なうことが防止され、挟持物の価値の維持や作業能率の向上を図ることができる。
【0042】
また、さらに図3(b)に示すように挟持搬送ベルト28aの突起部28aaの幅Bを狭持作用面の側面の幅Cよりも大きくした。
幅B>幅C
突起部28aaの幅Bを挟持搬送ベルト28aの挟持作用面の側面の幅Cよりも幅広に形成したことによって、挟持搬送ベルト28aは、該ベルト28aに作用する力に応じてたわみやすくなると共に、突起部28aaが該ベルト28aの中央部のたわみ量を規制することができるので、挟持搬送ベルト28aの全体に均等な挟持力が与えられて、作物(物品)を適切な力で挟持搬送することができる。
【0043】
図4には図3に示す挟持搬送ベルト28aの変形例を示す。この場合は突起部28aaで区分される短辺側のベルト28aの挟持作用面のベルト厚Taを突起部28aaで区分される長辺側のベルト28aの挟持作用面のベルト厚Tbより小さくする。
ベルト厚Ta<ベルト厚Tb
【0044】
図4に示すベルト厚の関係を有する挟持搬送ベルト28aを用いると、比較的たわみ易いベルト厚Taの部分が短辺側にあり、比較的たわみ難いベルト厚Tbの部分が長辺側にあるので挟持作用面のベルト28aが全体に均一にたわむことになり、挟持力の偏りにより挟持力が強過ぎて挟持物が破損することや、挟持力が弱過ぎて挟持物が落下してしまうことが防止されるので、挟持物の搬送が安定すると共に、挟持物が破損して価値を失ってしまうことを防止できる。
【0045】
また、図5(a)、図5(b)には、ベルト取付部材28b,28bに取り付けた一対の挟持搬送ベルト28a,28aを接触させた状態の断面図を示すが、該ベルト28aの挟持作用面の上下方向の一端部28asの曲面率(Rs)を前記上下方向の他端部28atの曲面率(Rt)よりも大きく形成させた例である。
曲面率(Rs)>曲面率(Rt)
とすると、挟持搬送ベルト28aの前記一端部28asと他端部28atの形状の違いから挟持搬送ベルト28aの内部の突起28aaの向きを外観から判別することができるので、挟持搬送ベルト28aのプーリ28d又は28eへの取り付け方向を間違えることが防止でき、作物を適切な力で挟持搬送することができると共に、挟持搬送装置28の組み立てを能率的に行うことができる。
【0046】
また図5(b)に示すように、突起部28aaの基部中央部と該基部中央部に近い方の挟持搬送ベルト28aの端部との鉛直方向の距離L1を、突起部28aaの基部中央部と該基部中央部に遠い方の挟持搬送ベルト28aの端部との鉛直方向の距離L2より短くする。すなわち、
距離L1<距離L2
の関係を成立させると、作物を挟持したときに短い距離L1側の挟持搬送ベルト28aの弾性は長い距離L2側の挟持搬送ベルト28aの弾性に比べて小さいので、前記上下方向の一端部28asの曲面率(Rs)を前記上下方向の他端部28atの曲面率(Rt)よりも大きくすることで弾性変形しやすくなり、作物など挟持効果が一端部28asの曲面率(Rs)と他端部28atの曲面率(Rt)とが同一の場合に比べて高くなる。
【0047】
また、図5に示すように、一対の挟持搬送ベルト28a,28aで作物(品物)を挟持するときには各挟持搬送ベルト28aの突起部28aaが互いに180度回転した位置関係(図5(a))またはミラー対称位置関係(図5(b))にあるので、各突起部28aaに基づく挟持搬送ベルト28aのたわみ量の違いにより挟持搬送ベルト28aの挟持力をアップさせることができる。
【0048】
次に、図6の一対の挟持搬送ベルト28a,28aとベルト取付部材28b,28bの断面図に示すように、一方の挟持搬送ベルト28aの挟持作用面側で、且つ突起部28aaの基部に対応する位置に凹部28acを形成し、該挟持搬送ベルト28aの挟持作用面の中心線Cに対して凹部28acの反対側の挟持作用面に凸部28abを形成する構成を採用しても良い。
【0049】
図6に示す構成では挟持搬送ベルト28aの一方の端部から凹部28ac間での距離L1とベルト28aの他方の端部から凸部28abでの距離L2とを同じとする。
この場合は、挟持搬送ベルト28aの内部の突起部28aaの向きを外観から判別することができるので、挟持搬送ベルト28aのベルト取付部材28bへの取り付け方向を間違えることが防止でき、作物を適切な力で挟持搬送することができると共に、挟持搬送装置28の組み立てを能率的に行うことができる。
【0050】
また、一対の挟持搬送ベルト28a,28aの中の一方の挟持搬送ベルト28aの挟持作用面上の凹部28acに他方の挟持搬送ベルト28aの凸部28abが接触することにより、該挟持搬送ベルト28aのたわみ量が大きくなるため、作物を常に適切な力で挟持搬送することができるので、挟持力が強過ぎて挟持物が破損することや、挟持力が弱過ぎて挟持物が落下してしまうことが防止されるので、挟持物の搬送が安定すると共に、挟持物が破損して価値を失ってしまうことを防止できる。
なお、挟持搬送ベルト28aの挟持作用面上の凹部28acと凸部28abは図6に示す曲率半径の小さなものではなく、図6に示す突起の曲率半径より大きな曲率半径を有するなだらかな凹部28acと凸部28abでも良い。
【0051】
さらに各挟持搬送ベルト28aの挟持作用面上の凹部28acと凸部28abはそれぞれ1以上設けても良く、また各挟持搬送ベルト28aの挟持作用面上の凹部28acと凸部28abを交互に設けても良く、さらに各挟持搬送ベルト28aには前記凹部28acと凸部28abを同数形成すると作物の挟持搬送力が強くなるので、作物の引抜ミスや挟持搬送中の落下が防止され、作業能率が向上し、落下による作物の傷付きが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、引抜ミスによって圃場に残された作物を収穫作業後に作業者が手作業で回収する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
これら挟持作用面上の凹部28acと凸部28abを有する挟持搬送ベルト28aはベルト中心線Cを中心に対称的に形成すると、挟持搬送装置28に装着する一対の挟持搬送ベルト28a,28aを共用化できる。
【0052】
さらに、図7には挟持搬送ベルト28aの空洞部に設ける突起部28aaの先端部を正面(背面)断面視において基部の直下(中心線C上)に配置することによって、突起部28aaを中間部で屈曲させ、断面視で「く」字状に構成した場合の搬送用ベルトの断面図である。
【0053】
図7に示す構成では突起部28aaの先端部を正面(背面)断面視において基部の直下(中心線C上)に配置し、さらに突起部28aaの先端部はベルト取付部材28bに当接するように形成したので、突起部28aaの基部とベルト取付部材28bへの当接面との間で、突起部28aaもたわみや易くなるので挟持搬送ベルト28aのたわみ量を増加させることができるので、物品を常に適切な力で挟持搬送することができる。
このとき、図7に示すように、挟持搬送ベルト28aの挟持作用面側の空洞部内における突起部28aaの基部と両端の内面との間の距離L3はそれぞれ等しくし、またベルト28aの装着面側の両端の内面と突起部28aaの先端部のベルト取付部材28bへの当接面との距離L4を同じにすることで挟持搬送ベルト28aの挟持力が良くなる効果がある。
【0054】
挟持搬送ベルト28aが挟持物により押圧される際、突起部28aaが最初からベルト取付部材28bに当接していると、初期状態では突起部28aaがベルト取付部材28bから離間しているよりも早期に強い挟持力をかけることができる。なお、早期に強い挟持力が必要なのは、本実施例であれば、圃場から作物を引き抜くときや、引き抜いた作物を搬送するときである。逆に、初期状態では突起部28aaがベルト取付部材28bから離間しており、挟持力がゆっくりとかかるようにしている。即ち、一定以上の力がかかるまでは弱い挟持力が発生した方がいいのは、作物の茎葉部と果肉部とを切断刃31aの位置にあわせるための肩揃え装置(図示せず)に挟持搬送装置28から作物を引き継ぐときである。挟持力が弱いことにより、作物は肩揃え装置に接触するまで(茎葉部が千切れてしまうような)強い抵抗をうけることなく持ち上げられるので、切断刃31aは茎葉部と果肉部とを適切な位置で切断することができる。
【0055】
また、前記断面「く」字状の突起部28aaの基部をベルト28aの挟持作用面側の中心線C上に設けることで、ベルト28aのたわみがベルト28aの挟持作用面全体で均等になり、さらにベルト28aの取り付け方向を特定する必要がなくなるので、挟持搬送ベルト28a,28aを搬送装置28に組み付ける際に、挟持搬送ベルト28a,28aの取付方向を間違えてしまうミスが防止され、組立作業やベルト交換作業の能率が向上する。
【0056】
さらに、断面「く」字状の突起部28aaを空洞部内に複数個設けると、挟持搬送ベルト28aの弾性が向上するので、挟持物の形状や量に適した形状に変形することができ、挟持物を壊して価値を損ねてしまうことや、挟持搬送ベルト28aが挟持物を落下させたり、挟持し損なうことが防止され、挟持物の価値の維持や作業能率の向上を図ることができる。
【0057】
図8には、挟持搬送装置28のベルト取付部材28bに、挟持搬送ベルト28aの空洞内に断面「く」の字状突起部28aaを並列に2個設けた場合の挟持搬送装置28の断面図を示す。断面「く」の字状突起部28aaを並列に配置することで、一対のベルト28aの一方のベルト28aの作用面側に凸部28abを設け、他方のベルト28aの作用面側の前記凸部28abに対応する箇所に凹部28acを取り付けた。前記一対のベルト28aの各作用面側に凸部28abと凹部28acを設けたので互いにしっかり食い込み易く、作物の挟持力が従来より向上し、作物の引抜ミスや挟持搬送中の落下が防止され、作業能率が向上し、落下による作物の傷付きが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、引抜ミスによって圃場に残された作物を収穫作業後に作業者が手作業で回収する作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0058】
また、図9(a)には挟持搬送ベルト28aの空洞内に並列状に2個設けた断面「く」の字状突起部28aaの断面「く」の字部分が互いに向き合う方向に設けた場合の挟持搬送装置28の断面図を示す。
また、図9(a)に示す断面「く」の字状突起部28aaの基部中央部とベルト28aの両側面部の空洞部内壁面との間の各距離L1、L3と2つの断面「く」の字状突起部28aaの基部間の距離L2を等しくすることで、ベルト28aの取付方向を特定する必要がなくなり、挟持搬送ベルト28a,28aを搬送装置28に組み付ける際に取付方向を間違えてしまうミスが防止され、組立作業やベルト交換作業の能率が向上する。
【0059】
また、前記の距離L1、L2、L3を略同じにすることにより、突起部28aaが空洞部を3つに仕切ってできる空間部がほぼ同じ大きさとなり挟持搬送ベルト28aを金型K1,K2から抜き取り易くなるので、前記両側面部の空洞部内壁面が金型K1,K2に擦れて傷付いてしまうことや、突起部28aaが折れたりすることが防止され、挟持搬送ベルト28aの品質を高めることができる効果がある。
距離L1=距離L2=距離L3
【0060】
さらに図9(b)には、空洞内に断面「く」の字状突起部28aaを並列に2個設けた挟持搬送ベルト28aの成形用の金型K1,K2の断面図を示す。
上記構成により、作物の挟持搬送時に挟持搬送ベルト28aの空洞が圧縮されて断面「く」の字状突起部28aaが強く折れ曲がると、突起部28aaの先端部同士がぶつかり、反発力が強くなるので、作物の挟持搬送力を強くする(図10(b)参照)。
また、距離L1≧距離L2、距離L3≧距離L2とすると、断面「く」の字状突起部28aaのたわみ量を確保することができる。
【0061】
さらに、図10(a)に示す挟持搬送ベルト28aの断面図のように突起部28aaの基部中央部とベルト28aのベルト取付部材28bへの装着部の先端部(移動規制部相当)との間の距離L4と、断面「く」の字状突起部28aaの基部中央部から折曲部までの距離L5と、断面「く」の字状突起部28aaの折曲部から先端部までの距離L6と、2つの突起部28aaの基部同士の間隔(距離)L7との間に、
距離L4≧距離L7
2×距離L4+距離L7≧2×距離L6
なる関係を成立させると、断面「く」の字状突起部28aaの折曲突起部28aaの先端部同士が図10(b)に示すようにぶつかるようになるため、それらの反発力が強くなり作物の挟持搬送力を強くする。
【0062】
また、図10(c)に示すように突起部28aaが完全に折れ曲がっても突起部28aaがベルト28aの両側の移動規制部28akの間に収まり、挟持搬送ベルト28aが挟持物を挟持する際にたわんで変形することのできる距離が大きくなるため、挟持物が大きくても、あるいは挟持物の量が多くても確実に掴んで適切な挟持力で挟持することができ、挟持物を落下させたり、挟持し損なうことが防止され、挟持物の価値の維持や作業能率の向上を図ることができる。
【0063】
また、図11(a)に示す挟持搬送ベルト28aの断面図のように断面「く」の字状突起部28aaの先端部がベルト28aの空洞部から幅L5だけ飛び出す形状にすると、該ベルト28aをベルト取付部材28bへ接着させるときに突起部28aaの先端部同士を当てて貼り付けることができ、突起部28aaが一緒にベルト取付部材28bへ接着するおそれが少ない。
【0064】
図12(a)に示す挟持搬送ベルト28aの断面図に示す例のように断面「く」の字状突起部28aaの折曲部を背中合わせに挟持搬送ベルト28aの空洞部内に2つ配置した形状としても良い。
このとき突起部28aaの基部から突起部28aaの折曲部までの距離L7と一対の突起部28aaの基部間の距離L8との間に
2×距離7≦距離L8
なる関係が成立することが、突起部28aaが十分にたわむためには必要であり、突起部28aaがたわんだときには図12(b)に示すように突起部28aaの先端部が挟持搬送ベルト28aの両端のベルト取付部材28bへの装着部の先端部(移動規制部)28akに当接することになり、挟持搬送ベルト28aの空洞が圧縮されたときに突起部28aaの折曲部同士がぶつかり、反発力を強くなるので、作物の挟持搬送力が強くなり、作物の引抜ミスや挟持搬送中の落下が防止され、作業能率が向上し、落下による作物の傷付きが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、引抜ミスによって圃場に残された作物を収穫作業後に作業者が手作業で回収する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される作用効果がある。
【0065】
図13(a)に一対の挟持搬送ベルト28a,28aをベルト取付部材28bへ接着した状態の断面図を示すが、一方の挟持搬送ベルト28aの作用面側には凸部28abを設け、該挟持搬送ベルト28aに対向する位置に配置される他方の挟持搬送ベルト28aの作用面側には前記凸部28abをはめ込むことができる凹部28acを設けている。そのため一対の挟持搬送ベルト28a,28aによる作物の挟持力が強い。
また、前記他方の挟持搬送ベルト28aの作用面側に設けた凹部28acに対向する挟持搬送ベルト28aの空洞部内面には凸部28afを形成しているので凹部28acを形成した挟持搬送ベルト28aの強度が損なわれることはない。
【0066】
図13(b)の挟持搬送ベルト28aの断面図に示すように前記作用面側に凹部28acを設けた挟持搬送ベルト28aの該凹部28acに対向する挟持搬送ベルト28aの空洞部内面に突起部28aaの基部を配置すると、挟持搬送ベルト28aは、肉厚が極端に薄くならず強度的な心配はない。
【0067】
図14には、挟持搬送装置28のベルト取付部材28bに、挟持搬送ベルト28aの空洞内に傾斜状の突起部28aaを設けた場合の挟持搬送装置28の断面図を示し、ベルト作用面側に段差を設け、厚みの厚い部分28adと薄い部分28aeを設けて相対する挟持搬送ベルト28a,28aと交互に組み合わせる構成例を示し、この場合は作物の挟持力を向上させることができる。
【0068】
このとき挟持搬送ベルト28aの作用面側の厚みの厚い部分28adの挟持搬送ベルト28aの一端部と突起部28aaの基部中央部との距離L8が挟持搬送ベルト28aの作用面側の薄い部分28aeの挟持搬送ベルト28aの他端部と突起部28aaの基部中央部との距離L9より長い方とする
距離L8≧距離L9
ことで、挟持搬送ベルト28aの作用面側の屈曲部分から突起部28aaの基部(挟持搬送作用面)側にかけて最も強い挟持力がかかり、作物の引抜ミスや挟持搬送中の落下が防止され、作業能率が向上し、落下による作物の傷付きが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、引抜ミスによって圃場に残された作物を収穫作業後に作業者が手作業で回収する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される効果がある。
【0069】
図15には一対の挟持搬送ベルト28aをベルト取付部材28bへ接着した状態の断面図を示すが、一対の挟持搬送ベルト28aの空洞部には作用面側から支持面側に向けて垂直に伸びる突起部28aaを設け、該突起部28aaの先端はベルト取付部材28bの支持面との間に距離L10を設けることで、挟持搬送ベルト28aがたわむと突起部28aaの先端がベルト取付部材28bへ当たるため、挟持搬送ベルト28aがたわみ過ぎることが防止されるので、適切な挟持力で挟持物を挟持することができ、挟持力が強過ぎて挟持物が破損することや、挟持力が弱過ぎて挟持物が落下してしまうことが防止されるので、挟持物の搬送が安定すると共に、挟持物が破損して価値を失ってしまうことを防止できる。
【0070】
また、突起部28aaは挟持搬送ベルト28aの作用面側の中間部の弾力の弱い箇所を補うことができる。さらに、一対の挟持搬送ベルト28a,28aの互いに接触する作用面側を上下方向に互いにずらせて配置することで、一方のベルト28aの作用面側の強度の弱い部分(突起部28aaの基部がない部分)が相手側のベルト28aの作用面側の強度の強い部分(突起部28aaの基部がある部分)が当たるので作物挟持力がアップする。
【0071】
図16には一対の挟持搬送ベルト28a,28aを図示しないベルト取付部材28bへ接着した状態の断面図を示すが、一対のベルト28a,28aのうちの一方のベルト28aの作用面側に凹部28acと凸部28abをそれぞれ設け、他方のベルト28aの作用面側に前記一方のベルト28aの作用面側の凸部28abに対応する位置に凹部28acを設け、前記一方のベルト28aの作用面側の凹部28acに対応する位置に凸部28abを設けている。そして前記二つのベルト28aの作用面側同士を接触させたとき、一対のベルト表面の内の一方のベルトの凸部28abが他方のベルトの凹部28acに嵌るが、前記一方のベルトの凸部28abと他方のベルトの凹部28acとの間に多少隙間を設けた構成とすることで、作物を一対のベルト28aの間で挟持するときに面圧を保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、根菜類などの作物を機械力により収穫できる機械であるので、農作業を重労働から解放する農作業機として産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態の作物収穫機の側面図である。
【図2】図1の作物収穫機の上面図である。
【図3】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図(図3(a))、ベルトの拡大断面図(図3(b))である。
【0074】
28ab ベルト両端部
【図4】図3のベルトの変形例の断面図である。
【図5】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図である。
【図6】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図である。
【図7】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図である。
【図8】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図である。
【図9】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図(図9(a))、ベルトの成形用の金型の断面図(図9(b))である。
【図10】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図(図10(a))、突起部が完全に折れ曲がった状態の断面図(図9(b))、ベルトの半分折れ曲がった状態の断面図(図9(c))である。
【図11】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図(図11(a))、該ベルトをプーリに接着させた状態の断面図(図11(c))である。
【図12】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図(図12(a))、該ベルトをプーリに接着させた状態の断面図(図12(b))である。
【図13】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図(図13(a))、他の実施例のベルトの断面図(図13(b))である。
【図14】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図である。
【図15】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図である。
【図16】図1の作物収穫機の一実施例のベルトの断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 作物収穫機 2 走行装置
3 操縦部 4 収穫部
5 収容部 6 搬送部
7 収穫物載置部 8(8L,8R) クローラ
12 操縦座席 14 駆動スプロケット
15 転動輪 16 転輪
22 引起装置 25 搭乗部
27 シート 28 挟持搬送装置
28a 挟持搬送ベルト
28b ベルト取付部材
28aa ベルト突起部
28ab ベルト挟持作用面の凸部
28ac ベルト挟持作用面の凹部
28ad ベルト挟持作用面の厚みの厚い部分
28ae ベルト挟持作用面の薄い部分
28af ベルト挟持作用面の凸部
28ak ベルト挟持作用面の位置規制部
28as ベルト挟持作用面の上下方向の一端部
28at ベルト挟持作用面の上下方向の他端部
28d 左右駆動プーリ
28e 左右遊動プーリ
29 左右横軸 30 油圧シリンダ
31a 切断刃 32a 排葉ベルト
33a 位置揃ベルト 34 縦引起装置
34a 引起ラグ 34b 縦引起しケース
35 横引起装置 35a 引起ラグ
35b ケース 36 第1コンベア
37 第2コンベア 38 第3コンベア
39 残葉処理ローラ 40 フレーム
49 収納コンテナ 50 アーム部
51 掘り起こし部 52 支持板
53 揺動アーム 61 分草具
D 掘り起こし刃 S 搬送始端部
K1,K2 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞と該空洞内部の挟持作用面側から装着面側に伸ばして設けた突起部(28aa)とを設けた物品を挟持搬送する搬送装置に装着する一対の搬送用ベルト(28a)において、
突起部(28aa)の基部を挟持作用面の中央部から偏倚させた位置に設け、突起部(28aa)の先端部を装着面の中央部付近に位置させ、さらに装着面側に突起部(28aa)の移動範囲を規制する移動規制部(28ak)を形成したことを特徴とする搬送用ベルト。
【請求項2】
突起部(28aa)の幅を狭持作用面のベルト幅よりも幅広に形成したことを特徴とする請求項1記載の搬送用ベルト。
【請求項3】
上下方向に挟持作用面が向けられたベルト(28a)の上下方向の一端部(28as)の曲面率(Rs)を上下方向の他端部(28at)の曲面率(Rt)よりも大きく形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の搬送用ベルト。
【請求項4】
挟持作用面側の表面で、且つ突起部(28aa)の基部位置に凹部(28ac)を設け、該凹部(28ac)から挟持作用面のベルト中心線(C)に対して左右対称位置に凸部(28ab)を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送用ベルト。
【請求項5】
突起部(28aa)を中間部で屈曲させ、該突起部(28aa)の基部中心部と先端部とがベルト(28a)の挟持作用面の中央部にあるベルト中心線(C)を通るように構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送用ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−284873(P2009−284873A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143474(P2008−143474)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】