説明

搬送用連続ベルト上の物体をコーティングするための方法

連続ベルト上の、細長部分を有する物体に、ポリマーコーティングを電気泳動塗布するための方法であって、この方法は、この物体を保持部材と係合させて位置決めする工程であって、この保持部材は、この保持部材上の保持部分が、物体の細長部分を連続ベルトに解放可能に保持するように、この連続ベルトと係合する、工程;この連続ベルトを駆動機構で搬送する工程;およびこの連続ベルト上の物体をコーティングする工程を、包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、物体をコーティングするための方法に関し、そしてより特定すると、物体をコーティングするための連続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景および考察)
製品および構成要素の製造において、種々の小型部品(例えば、ボルト、ナット、ワッシャ、ねじなど)が使用され、これらは主として、最終アセンブリにおいて、機能的役割を果たす。これらの部品を最終アセンブリのために準備するために、コーティング材料が、代表的に、この部品の少なくとも一部に沈着されて、基材を覆う。特に重要なことは、クラスAの表面(すなわち、部品が組み込まれる場合に、最終アセンブリにおいて容易に見える表面)のコーティングであり、このコーティングは、この部品に仕上げられた外観を提供し、そして/または下にある基材に、使用、磨耗および/もしくは環境条件の結果としての損傷の影響からの保護を提供する。例えば、小型部品がボルトおよび一体化ワッシャの組み合わせである場合、ボルトの頭およびワッシャの見える部分へのコーティングの沈着に、特別な注意が向けられる。
【0003】
製造産業において使用されるかなり多数の小型部品に起因して、種々のコーティング技術が、これらの部品に高速で材料を沈着させるために、開発されている。1つの公知の先行技術のコーティングシステムにおいて、小型部品は、高速コーティング(特に、電気泳動コーティング)のための大きいコンベヤベルト上に広げられ、そしてばらばらに配置される。このコンベヤベルト上にある間に、ばらばらに配置された部品は、このベルトからの力(例えば、慣性、振動などに起因する力)によって影響を受け、これによって、個々の部品は、このベルト上でランダムに動かされる。多くの例において、個々の部品は、コーティングシステムを通過する間に、互いに近く接近するかまたは係合し、その結果、コーティングが部品に塗布されて乾燥または硬化される場合に、2つ以上の部品が、係合点(「接点(touch point)」として公知)で一緒に接着し得る。これらのコーティングされた部品は、次いで、ある程度の力で互いから分離されなければならず、これは代表的に、部品または接点の周囲から、少なくともいくらかのコーティングの除去を生じる。接点はまた、部品がコンベヤの側部に接触する場合にも、形成され得る。さらに、物体またはコンベヤの側部の間で接触が全くなされない場合でさえも、接触は依然として、物体と、この物体が載っているベルトとの間に存在し、そして接点は、このベルトとの各接触点に存在する。少なくとも、接点は、仕上げられた製品において、見えない汚れを提供する。部品が腐食性材料から形成される場合、接点は、低下した外観に加えて、組み立て後の腐食の尚早な兆候を発生させる、かなり大きい機会を有する。これらの物体は、ベルト上にランダムに位置決めされるので、コーティングの前に接点の位置を予測することは、困難である。
【0004】
いくつかの状況において、美的標準および/または部品についての質の要件に起因して、消費者は、部品の特定の領域(例えば、クラスAの表面)が、接点を含まないことを要求し得る。例えば、この部品がボルトである場合、このボルトのクラスAの表面(例えば、このボルトの頭)が、接点を含まないことが要求され得、一方で、クラスAではない表面(例えば、このボルトの軸およびねじ山)は、接点を含み得る。
【0005】
上記ランダムなコーティングプロセスにおいて、小型部品は、コンベヤベルト上をランダムに移動するので、接点が起こり得る様式および場所を制御すること、または接点をクラスAではない表面に制限することは、困難である。したがって、品質の標準に適合するために、このコーティング技術を利用する供給業者は、希望に沿わない部品を選別し、そして廃棄するために、時間および費用がかかる努力を招くことが必要であることがわかり得る。
【0006】
先行技術における上記問題のいくらかに取り組むために、単回使用(single−run)の使い捨てベルトを提供することが、公知である。このベルトは、小型部品がコーティングシステムを通って移動している間に、これらの部品をこのベルトに一時的にロックする、破壊ピン(break−away pin)を使用する。これらの部品がコーティングされ、そして乾燥または硬化された後に、各部品およびそれぞれの破壊ピンをベルトから折り取ることによって、これらの部品は、このベルトから取り外される。使用済みのピンおよびベルトは、処分され、そして新たなピンおよび新たなベルトが、各引き続くコーティングの実施のために使用される。このシステムは、コーティングプロセスとのある程度の調和を提供し、そしてある程度まで、接点が現われる領域を制御するが、このシステムは、ベルトの設置および取り外し、ベルトの交換、ならびに廃棄物の管理のために、高度な操作者の管理を必要とする点で、比較的非効率的である。
【0007】
従って、先行技術における欠点を顕著に減少させ得るかまたは回避し得、コーティング効率を改善し得、同時に、厳しい機能的要件および美的品質要件に適合するコーティングされた物体を提供する、装置およびプロセスを提供することは、当該分野において歓迎される追加である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、連続ベルト上に細長部分を有する物体にポリマーコーティングを電気泳動塗布するための方法を提供する。この方法は、物体を保持部材に係合させて位置決めする工程であって、この保持部材は、この保持部材の保持部分が物体の細長部分をベルトに解放可能に保持するように、連続ベルトに係合する、工程;この連続ベルトを駆動機構で搬送する工程、およびこの連続ベルト上で物体を電気泳動コーティングする工程を包含する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、連続ベルト上で、細長部分を有する物体にポリマーコーティングを電気泳動塗布するための方法を提供する。この方法は、供給機構によって、物体を連続ベルト上に供給する工程;この物体を、保持部材に係合させて位置決めする工程であって、この保持部材は、この保持部材の保持部分がこの物体の細長部分をベルトに解放可能に保持するように、連続ベルトに係合する、工程;この連続ベルトを駆動機構で搬送する工程;物体を連続ベルト上で電気泳動コーティングする工程;物体上のコーティングを乾燥させる工程;および物体を保持部材から解放する工程を包含する。
【0010】
本発明はまた、連続ベルト上で、細長部分を有する物体のポリマーコーティングを電気泳動塗布するための方法を提供する。この方法は、供給機構によって、物体を連続ベルト上に供給する工程;物体の細長部分を、保持部材と、連続ベルトに係合する案内部材との間に位置決めする工程であって、これによって、この物体が、保持部材と案内部材との間に解放可能に保持され、この保持部材およびこの案内部材は、このベルト上に保持ユニットを形成するように位置決めされ、この案内部材は、連続ベルトに係合する基部を有し、そしてこの案内部材の基部から測定される場合に次第に減少する高さを有する傾斜部分を備え、この保持部材は、物体を案内部材と保持部材との間に解放可能に保持するためのアーム部分を備える、工程;連続ベルトを駆動機構で搬送する工程;連続ベルト上で物体を電気泳動コーティングする工程;この物体を乾燥させる工程;ならびに物体を保持ユニットから解放する工程を包含する。
【0011】
本発明は、この要旨に開示される実施形態には限定されず、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神および範囲内である改変を網羅することが、意図される。
【0012】
上記要旨、および以下の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と組み合わせて読まれると、よりよく理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
図面および本発明の説明は、本発明の明瞭な理解のために関連する要素を説明するために、明瞭にする目的で他の要素を排除することにより、単純化されていることが、理解されるべきである。当業者は、他の要素が、本発明の実施のために望ましくあり得ることを認識する。しかし、このような要素は、当該分野において周知であり、そしてこれらの要素は、本発明をよりよく理解することを促進しないので、このような要素の議論は、本明細書中には提供されない。
【0014】
発明の詳細な説明において、本発明は、特定の構成を有する物体にコーティングを沈着させるための装置の形態で、説明される。この構成がこの物体のためのサイズおよび構造的形状を与える程度まで、本発明は、このような形態の実施形態に限定されず、そしてコーティングされることが望まれるいかなるサイズ、形状、および構成の物体においても、用途を有し得ることが理解されるべきである。従って、本発明は、多くの異なる形態での実施が可能であるが、この詳細な説明および添付の図面は、本発明の例として、特定の形態のみを開示する。当業者は、本明細書に基づいて、本発明を、本明細書中に具体的に提供されない他の形態に適用することが可能である。例えば、発明の詳細な説明において、本発明は、円柱形状を有する細長部分(例えば、ボルトの軸)を有する物体(例えば、ボルト)をコーティングするための方法および装置として説明される。この形態の詳細な説明は、本発明の例示のみであり、本発明は、本明細書中に具体的には記載されない他の形状および構成の物体と共に使用され得ることが、理解されるべきである。
【0015】
また、本発明および本発明が取り付けられ得るデバイスは、通常の作動位置で本明細書中に記載および/または図示され、そして上、下、前、後、水平、近位、遠位などの用語は、参照されるデバイスまたは要素の通常の作動位置に関して使用され得る。しかし、本発明の装置は、本明細書中に記載および/または図示される以外の配向で、製造され得、保存され得、輸送され得、使用され得、そして販売され得ることが、理解される。
【0016】
操作の実施例を除いて、または他に示される場合を除いて、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分、反応条件などの量を説明する全ての数値は、全ての例において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、逆のことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、近似であり、本発明によって得られることが求められる望ましい特性に依存して、変動し得る。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限することを試みないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数を考慮して、通常の丸め技術を適用することにより、解釈されるべきである。
【0017】
本発明の広い範囲を記載する数字範囲およびパラメータは近似であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それぞれの試験方法において見出される標準偏差から必然的に生じる、特定の誤差を固有に含む。
【0018】
また、本明細書中に記載されるあらゆる数字範囲は、その範囲内に含まれる全ての部分範囲を包含することが意図されることが、理解されるべきである。例えば、「1〜10」という範囲は、記載される最小値1と、記載される最大値10との間(1と10とを含む)の全ての部分範囲(すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する)を包含することが意図される。
【0019】
本発明は、物体に、代表的には電気泳動コーティング技術によって、コーティングを沈着させるための方法および装置に関する。 本明細書中において使用される場合、語句基材に「に沈着させる」とは、この基材の表面の上方または上であるが必ずしも隣接せずに沈着または提供されることを意味する。例えば、コーティングは、基材に直接沈着され得るか、または1つ以上の他のコーティングが、コーティングと基材との間に塗布され得る。
【0020】
本明細書中において使用される場合、用語「物体」とは、コーティングされ得る全ての物品(特に、細長部分を有するもの)を包含するように意味する。用語「物体」は、小型部品(例えば、ファスナー、ナット、ボルト、ねじ、ピン、釘、クリップ、ボタン、および小さいサイズのプレス加工品、鋳造品、針金製品、金物類など)を包含するように意味する。
【0021】
本明細書中において使用される場合、用語「細長部分」とは、物体の端部から直接または間接的に延びる、物体の横側の側壁として定義される。例えば、物体がボルトである場合、細長部分は、ボルトの頭から延びるボルトの軸であり得る。物体は、1つより多くの細長部分を有し得ることが企図される。
【0022】
説明の目的のみで、本発明の範囲を限定することを意図せずに、物体および細長部分は、それぞれボルトおよびボルト軸として説明される。
【0023】
以下に詳細に記載されるように、図面は、物体(例えば、ボルト)を、始点から目的地点まで、またはコーティングシステムを通って始点へと戻る連続経路内で、搬送するために使用され得る、連続コンベヤベルト装置を図示する。以下の議論において、このコーティングシステムは、電気泳動コーティングシステムであり得る。このベルト装置は、ベルトを用いた移動のために物体が解放可能に固定される、可動ベルトを備え得る。このベルトは、一連のベルトセグメントから形成され得、これらのベルトセグメントは、連結デバイスによって互いに固定され、所望の長さの連続ベルトを形成する。これらのベルトセグメントは、任意の望ましい長さのものであり得、そしてベルトを形成するベルトセグメントは、必ずしも均一な長さである必要はない。多数のクリップアセンブリが、ベルトに固定され得、そして必要とされる場合に必要とされる位置で、物体を受け、保持し、搬送し、そして解放するように働き得る。これらのクリップアセンブリは、例えば、ボルトの軸(これは、クラスA表面ではない)に接触し得る。この実施形態において、ボルトAのクラスA表面(ボルトの軸を含む)は、ベルト装置のいずれかの部分と接触する必要がない。従って、このベルト装置によって、このボルトのクラスA表面上に接点が作製されない。ベルトの移動、および従って、このベルトに取り付けられた物体の移動は、駆動システムによって制御され得る。この駆動システムは、公知の連続ベルトコンベヤシステムを駆動するための任意の公知のシステムであり得るか、または図に示される型のものであり得る。物体は、公知の先行技術の供給システムのいずれかを使用して供給され得、そしてクリップアセンブリに挿入され得る。適切な供給システムが、図に示される。物体は、反らせ板ガイドによって、クリップから解放され得る。この反らせ板ガイドは、コーティングシステム内の望ましい目的地点に位置し得る。スクレーパステーションが、ベルト装置の一部として使用され得、そしてコーティングシステムによって必要とされる場合に電気接地能力を維持する目的で、ベルトの側部から異物を除去するように機能する。
【0024】
本明細書中に記載される実施形態は、1つ以上の理由により、ステンレス鋼または他の適切な金属代用品から構成され得る。これらの理由としては、以下が上げられる:第一に、化学物質、過剰の熱、または他の有害な条件もしくは要素(これは、他の材料の型を劣化または破壊する)に曝露される場所で、この装置がコーティングシステムにおいて使用され得ること;第二に、剛性を提供するため;ならびに/または第三に、耐久性のため。他の材料は、コーティングシステムの要件によって決定される場合に、使用され得る。
【0025】
ここで図面を参照すると、図1〜図7は、本発明のシステムおよび方法において使用される、連続ベルト10の実施形態を図示する。連続ベルト10は、1つ以上の物体20を、コーティングプロセスによる引き続く処理(以下に記載される)のために、解放可能に保持する。ベルト10は、ベルトストリップ14を備え、これは、連続的である。すなわち、ベルトストリップは、駆動機構(以下に記載される)に配置される場合に、無限ループを形成するように、端と端とが固定されるか、または固定され得る。ベルトストリップ14には、少なくとも1つの保持部材12が取り付けられ得る。ベルト10は、物体の連続的なコーティングに関連する温度および条件に耐えるために、当該分野において公知の任意の耐久性材料から形成され得る。代表的に、ベルト10は、耐腐食性の伝導性材料(例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼)から形成される。ベルト10は、水平な構成で示されているが、他の構成(例えば、垂直構成または角度を有する構成)が使用され得ること、およびこのような改変は、本発明の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。
【0026】
保持部材12は、ベルト10に配置され得、そして保持部分16を備え得る。この保持部分は、開位置において、物体20をベルト10に保持するために、物体20に対して圧力を付与し得る。保持部材12は、物体20をベルト10に保持することを補助するための、任意のサイズまたは形状であり得る。例えば、保持部材12は、延長されたアーム部分の形態の保持部分16を有する、ばね付勢されたクリップ型の保持部材であり得、このアーム部分は、物体20がベルト10上で適切に配向される場合に、物体20の細長部分21を覆うように位置決め可能であり得る。保持部材12は、物体20をベルト10にしっかりと保持する、任意の弾性材料から形成され得る。本発明の特定の実施形態において、保持部材12は、可撓性の耐腐食性伝導性材料(例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼)から形成され得る。保持部材12は、当該分野において公知である任意の様式によって、ベルト10に固定され得る。例えば、保持部材12は、基部プレート11を備え得、この基部プレートは、ストリップ14を通って延びるファスナー13によって、ベルト10のストリップ14に固定される。任意の適切なファスナー13(例えば、リベット、ボルト、ねじなど)が、保持部材12をベルト20に固定するために使用され得る。
【0027】
保持部分16は、物体20をベルト10に解放可能に保持することを補助する、任意のサイズまたは形状であり得る。例えば、図1〜図4に図示されるように、保持部分16は、「引き伸ばされたS字」の一般形状の延長されたアーム部分の形態であり得、このアーム部分は、一端において、基部プレートに取り付けられ得、そして他端において物体20を覆って延びるように位置決め可能であり得る。保持部分16は、くぼんだサドル部分19を備え得、このサドル部分は、物体20をベルト10に解放可能に保持することを補助するために、物体20の細長部分21の外側表面を受けるような形状にされ得、そしてこの外側表面と嵌合する構成であり得る。サドル部分19は、物体20をベルト10に解放可能に保持するための任意の形状または構成であり得るが、サドル部分19は、図示されるように、円柱形状の細長部分(例えば、ボルトの頭)を保持するための、凸状の円弧形状の部材であり得る。物体20を保持部分16に保持するように係合させて位置決めすることを補助するために、保持部分16は、上向きに曲がった部分17をさらに備え得る。この上向きに曲がった部分は、以下に詳細に記載されるように、保持部分16を、閉位置から、物体20の外側表面を覆う開位置へと持ち上げるように働く。保持部分16は、物体20をベルト10に解放可能に保持するために適切な、任意の材料から形成され得る。代表的に、保持部分16は、保持部材12を形成する材料と適合性の材料から形成される。本発明の特定の実施形態において、保持部分16は、可撓性の耐腐食性伝導性材料(例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼)から形成される。保持部材16は、任意の適切な厚さであり得るが、保持部材16がステンレス鋼から形成される場合、保持部分16は、0.50mm〜0.70mmの厚さであり得る。
【0028】
図5〜図7に図示される、本発明の別の実施形態において、保持部材12は、矩形のパネル部分であり得、このパネル部分は、物体20をベルト10に保持することを補助する、保持部分16を備える。図示されるように、保持部分16は、物体20をベルト10に解放可能に保持するための可撓性アーム部分の形態であり得、このアーム部分は、保持部材12から延び、そしてこの保持部材12と一体的である。この実施形態において、保持部材12は、ファスナー13を、保持部材12の脚部およびベルト10に通すことによって、ベルト10に固定され得る。
【0029】
1つより多くの保持部分16が、保持部材12に備えられ得ることが、企図される。保持部分16が、物体20を保持するための1つより多くの端部(例えば、2つ以上の分岐端部分を有するフォーク型またはプロングを有する端部であり、物体20の細長部分21を覆って延びる)を備え得ることもまた、企図される。
【0030】
ベルト10は、ベルト10と係合する少なくとも1つの案内部材22を、更に備え得る。案内部材22が存在する場合、保持部材12は、物体20、より具体的には、細長部分21を、保持部材と案内部材との間に解放可能に保持するように、案内部材22に対して位置決め可能である。この形態で、保持部材12および案内部材22は、保持ユニットまたはクリップアセンブリ30を形成する。案内部材22は、物体20を案内部材と保持部材12との間に解放可能に保持することを補助するための、任意のサイズまたは形状であり得、そしてその目的のために適切な任意の材料から形成され得る。代表的に、案内部材22は、保持部材12を形成する材料と適合性の材料から形成される。本発明の特定の実施形態において、案内部材22は、耐腐食性の伝導性材料(例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼)から形成される。案内部材22は、当該分野において公知である任意の固定様式によって、ベルト10のストリップ部分14に固定され得る。例えば、案内部材22は、ベルト10のストリップ14に、ストリップ14を通って延びるファスナー(図示せず)によって固定される基部26を有し得る。任意の適切なファスナー(例えば、リベット、ボルト、ねじなど)が、案内部材22をベルト10に固定するために使用され得る。
【0031】
図1〜図7に図示されるように、案内部材22は、1つ以上の傾斜部材の形態であり得、この傾斜部材の少なくとも一部は、その基部から測定される場合に、次第に減少する高さを有する。任意の数の傾斜部材が使用され得るが、案内部材22は、1つの傾斜部材を備え得る。例えば、図示されるように、案内部材22は、1対の円弧状の傾斜部材の形態(図1〜図4)、または1対のくさび形本体の形態(図5〜図7)であり得、案内部材22の少なくとも一部が、基部26から測定される場合に次第に減少する高さを有する、傾斜部分24を備える。案内部材22の傾斜部分24は、物体20を保持部材12と案内部材22との間に案内および/または保持することを補助するように、種々の配向であり得る。図1〜図4に示される1つの実施形態において、傾斜部材は、下向きに傾斜する円弧状の斜面の形状であり得、この斜面は、保持部材12に最も近いサドル部23の位置で、わずかに上向きに曲がっている。図5から図7に図示される別の実施形態において、傾斜部材は、くさび形状の部材22であり得、保持ユニット30を形成する保持部材12の最も近くに、最大高さを有する。
【0032】
案内部材22の各傾斜部材は、円弧状であっても、くさび形状であっても、他の形状であっても、物体20を保持部材12と係合させるように効果的に案内するための、任意の適切な厚さ(xとして示される)を有し得る。物体20が溝付きまたはねじ切りされた細長部材(例えば、ボルトのねじ切りされた軸)を備える本発明の特定の実施形態において、各傾斜部材の厚さxは、細長部分21の個々のねじ山2つを分ける距離より小さくあり得、その結果、物体20が案内部材22上に位置決めされる場合、物体20が保持部材12と案内部材22との間に解放可能に保持されると、各傾斜部分の少なくとも一部が、細長部材21のねじ山の間に保持されて、さらなる保持力を提供し得る。
【0033】
案内部材は、くぼんだサドル部分23をさらに備え得、このサドル部分は、物体20をベルト10に解放可能に保持することを補助するために、物体20の細長部分21の外側表面を受けるような形状にされ得、そしてこの外側表面と嵌合する構成であり得る。サドル部分23は、物体20をベルト10にしっかりと保持するための任意の形状または構成であり得るが、サドル部分23は、保持されるべき物体20の細長部分21が円筒形の細長部分(例えば、ボルトの軸)である場合、図示されるように、凹状の円弧形状の部材であり得る。
【0034】
本発明の特定の実施形態において、図1および図5に図示されるように、ベルト10は、複数の保持部材12および複数の案内部材22を備え得、各保持部材12は、ベルト10に沿って位置する複数の保持ユニット30を形成するように、各それぞれの案内部材22に対して位置決めされる。この形態で、各それぞれの保持ユニット30は、物体20を解放可能に保持するように位置決めされる。代表的に、物体20が不均一な形状である場合、各保持ユニット30は、隣接する保持ユニットと同じ横方向で、各それぞれの物体20を解放可能に保持するように、位置決めされ得る。例えば、図示されるように、物体20がねじ切りされたボルトである場合、各ボルトの軸は、各それぞれボルトの各頭が、ベルト10の同じ側に位置するように、保持ユニット30内に保持され得る。この様式で、本発明のプロセスによって、コーティングが、物体20のクラスAの表面に、より容易に沈着され得る。
【0035】
本発明のベルト10は、コーティングのために、種々の物体を解放可能に保持するために使用され得ることが、企図される。たとえば、種々のサイズおよび形状の物体が、ベルト10によって、解放可能に保持され得ることが企図される。これらの物体は、例えば、小型部品(例えば、ファスナー、ナット、ボルト、ねじ、ピン、釘、クリップ、ボタン、および小さいサイズのプレス加工品、鋳造品、ワイヤ製品、金物類など)である。説明されるように、本発明の特定の実施形態において、ベルト10、およびより具体的には、保持部材12、および必要に応じて、案内部材22は、物体20を、物体のクラスAではない表面である細長部分21に沿った地点で保持して、コーティングされる物体のクラスA表面のコーティングに傷を付けるか、または損傷することを回避するために、使用され得る。
【0036】
本発明の実施形態において、ベルトの構成要素(例えば、保持部材12、保持部分16、および案内部材22)のうちの1つ以上は、容易な交換のために、取り外し可能であり得ることが企図される。ベルトの構成要素は、一連の異なるサイズの物体(例えば、異なる直径、長さなどを有するもの)をコーティングするために、1つのベルト10が製造ラインにおいて使用され得るように、様々なサイズの物体を解放可能に保持するために、調節可能かつ位置決め可能であり得ることもまた、企図される。この形態で、種々のサイズの物体(例えば、様々な直径または長さのボルト)または全く異なる物体(例えば、ボルトでの運転の直後にねじでの運転)での運転の間でのベルトの交換は、減少し得るかまたは実質的に排除され得る。例えば、案内部材22は、ベルト10に取り外し可能またはスライド可能に係合し得、その結果、例えば、円弧状の傾斜部材またはくさび形状の部材が、異なるサイズの物体を受けるために、横方向にか、並列方向にか、または方向の組み合わせで、独立して調節され得る。ベルト10の構成要素が調節され得る様式は、当業者に公知である種々の方法によって達成され得、この方法は、例えば、種々の距離また配置で構成要素を受けるように位置決めされた、ベルト10のストリップ14を通る、複数の予め穿孔された穴(図示せず)を介する。これらの構成要素は、適切なサイズの物体に対応する予め穿孔された穴に螺合係合することによって、ベルト10に固定され得る。さらに、ストリップ14に取り付けられた軌道(図示せず)が、これらの構成要素がこの軌道に沿った様々な位置でベルト10にスライド可能に取り付けられ、そしてロックされることを可能にし得る。
【0037】
図1、図4および図7に最もよく図示されるように、物体20をコーティングするためのプロセスが電気泳動コーティングプロセスである場合、本発明のベルト10は、ベルト10に配置された少なくとも1つの電気接地部材28を備え得、そして代表的に、ベルト10に沿って位置決めされた複数の接地部材28を備え、プロセス中に電気回路を満足に接地することを確実にする。使用される場合、電気接地部材28は、ベルト10のストリップ14の、保持部材12および案内部材22のうちの一方または両方の正反対の面に位置決めされ得る。本発明の特定の実施形態において、図に図示されるように、接地部材28は、各々が、導電性のプレートまたは棒であり得、これは、ベルト10のストリップ14の片面に固定され、そして保持部材12および案内部材22の一方または両方の正反対に位置決めされ、そして保持部材12および/または案内部材22をベルト20に固定するために使用されるものと同じファスナー13(例えば、リベット)によって、適所に保持され得る。ファスナー13もまた、導電性材料(例えば、ステンレス鋼またはアルミニウム)から形成され得、これによって、ベルト10が駆動機構によって搬送される際に、接地部材28は、以下に記載されるように、コーティングシステムの少なくとも1つの構成要素(例えば、駆動機構)に接触し、ベルト10を電気的に接地する。
【0038】
ここで図9Aおよび図9Bを参照すると、本発明の連続ベルト10は、連続コーティングシステム50において使用され得る。このシステムは、必要に応じた前処理ユニット70、コーティングユニット74、リンスユニット76、および乾燥ユニット80を通して無限システムとして搬送するための、連続ベルト10と作動的に係合する駆動機構またはシステム60、82を備え得る。本発明において使用されるコーティングシステム50は、当業者に公知である伝導性物体をコーティングするための任意の電気泳動コーティングシステムであり得、そして例えば、電着コーティングシステムまたはプロセスを含み得る。任意の連続電気泳動コーティングシステムが、本発明において使用され得るが、説明の目的のみで、いずれの特定の実施形態にも限定することを意図せずに、連続システム50は、金属物体をコーティングするための電着コーティングシステムの形態で、記載および図示される。
【0039】
物体20は、連続ベルト10上に手で供給され得るが、本発明の連続コーティングシステム50は、代表的に、コーティングされるべき物体を受け、配向し、そして供給するための、物体供給機構52を備える。供給機構52は、代表的に、物体20の多量の充填物を受けるためのホッパ54、およびホッパ54から流れる列でベルト10の取り上げ地点へと物体を輸送するための1つ以上のコンベヤ56、59(以下に詳細に記載される)を備える。コンベヤ56、59は、任意の従来の型のもの(例えば、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ、プラットフォームコンベヤ、重力コンベヤなどであるが、これらに限定されない)であり得る。供給機構52はまた、物体を同じ一般的な方向に配向させるための従来の保存デバイス58を備え得、その結果、これらの物体は、コンベヤ56から連続ベルト10へと、同じ横方向で輸送され得る。本発明において使用される供給機構52は、当該分野において周知のものであり得るか、または種々の従来のホッパ、選別構成要素、および搬送構成要素から組み立てられ得る。例えば、コーティングされるべき物体20が、ねじ切りされたボルトである場合、適切なボルトホッパ、ボルト選別器およびボルトコンベヤ機構が、Spectrum Sutomation Company,Livonia,Michiganから市販されている。種々の物体供給機構(例えば、ボルト、ねじ、ナット、およびワッシャの供給機構)が、本発明において使用され得ることが、企図される。
【0040】
供給機構52、およびより具体的には、コンベヤ59は、当業者に周知の方法によって、複数の物体20を、連続ベルト10上に、ベルト10の取り上げ地点まで流れる列として供給し得る。具体的には、以下に詳細に議論されるように、コンベヤ59上の各物体20の経路は、ベルト10上の各保持部材12、または必要に応じて、存在する場合、案内部材22とほぼ整列して係合している経路に沿っている。
【0041】
図8a〜図8dに最もよく図示されるように、連続ベルト10が案内部材22を備える場合、案内部材22は、供給機構52から、そして特に、コンベヤ59から、物体20を受けるように位置決めされ、物体20を保持部材12のほうへと案内し得る。上で議論されたように、案内部材22は、例えば、1対の円弧状傾斜部材またはくさび形状の部材を備え得、これは、基部26から測定される場合に次第に減少する高さを有する、傾斜部分24を備える。物体20は、供給機構52から送達され得、そして案内部材22上に位置決めされ、その結果、案内部材22の傾斜部分24が、物体20を、閉位置または部分的に閉じた位置にある保持部材12の方へと運ぶことを補助する(図8a、図8b)。物体20の細長部分がねじ切りされている場合、円弧状の傾斜部材またはくさび形状の部材の形態の案内部材22は、各々、細長部分のねじ山の間に少なくとも部分的に保持され、物体20とのさらなる保持力を提供し得る。図8cに図示されるように、物体20が案内部材22に沿って運ばれると、物体20は、閉位置または部分的に閉じた位置にある保持部材12の保持部分16と接触する。物体20が可撓性保持部分16と接触する力は、物体20を受けるために、保持部分16を(矢印の方向に)開かせる。保持部分16の上向きに曲がった端部分17は、動かされた物体20が保持部分16を強制的に開くための、さらなる表面積を提供し得る。この様式で、保持部材12および保持部分16は、強制的に開位置にされ、その結果、保持部分16が、ばねクリップの様式で物体20を覆って延び、物体20をベルト10に解放可能に保持する(図8d)。保持部分16がサドル部分19を備える場合、保持部分16は、物体20の細長部分21の外側表面がサドル部分19の嵌合構成と整列するまで、物体20上に持ち上げられ得る。類似の様式で、案内部材22は、サドル部分23を備え得、このサドル部分は、物体20をベルト10に保持することを補助するために、物体20の細長部分21の外側表面の形状であり得、そしてこの外側部分と嵌合する構成であり得る。
【0042】
代表的に、本発明は、連続ベルト10に沿って位置決めされた、複数の保持部材12および複数の案内部材22を備え、各保持部材12は、複数の保持ユニット30を形成するように、各それぞれの案内部材22に対して位置決めされる。この形態で、各保持ユニット30は、物体20が供給機構52から供給されるにつれて、上で議論されたように、物体20を受けて保持するように、ベルト10に沿って位置決めされる。
【0043】
図9Aおよび図9Bを再度参照すると、自動コンベヤ59は、供給機構52の一部として使用されて、先に説明されたように、隣接する保持ユニット30と同じ横方向で、各物体20を各それぞれの保持ユニット30と係合させるように位置決めし得る。例えば、物体20がねじ切りされたボルトである場合、各ボルトは、各それぞれのボルトの各頭がベルト00の同じ側に位置決めされるように、保持ユニット30内に保持される。ベルト10および供給機構52は、失敗した物体が収集ユニット(図示せず)に落下し、そして設置されたベルトの空隙を離れて供給機構52に戻されて再利用されるように、協働するように配置され得る(システムを停止させない)。
【0044】
物体20が供給機構52から連続ベルト10上の保持ユニット30を用いて解放可能に保持されるように供給されると、保持された物体は、駆動機構60および/または82によって駆動されるベルト10の経路に沿って移動する。駆動機構60、82は、当業者に公知である任意の手段(例えば、従来のラックおよびピニオンの係合、または以下に記載される平行移動配置)によって、連続ベルト20と作動的に係合し、ベルト10、および従って、物体20の移動を提供し得る。駆動機構60、82によって搬送される場合のベルト10の速度は、物体20が供給機構52のコンベヤ59から供給される速度と作動的に関連する速度であり得る。コーティングシステム50を通るベルト10の移動の速度は、任意の速度であり得るが、連続ラインでの製造は、1分間あたり約18.75フィート(1分間あたり5.75メートル)であり得る。従って、各物体20を、中心間を約1.5インチ(3.8cm)離して位置決めすることによって、1分間あたり約150個の物体が、コーティングシステム50を通って移動することが可能になる。
【0045】
上で議論されたように、物体20をコーティングするためのプロセスが電気泳動コーティングプロセス(例えば、電着コーティングプロセス)である場合、本発明のベルト10は、少なくとも1つの電気接地部材28、代表的には複数の電気接地部材28を備え得、この電気接地部材は、プロセス中の電気回路を満足に接地することを確実にするように、ベルト10上に位置決めされる。従って、駆動機構60、82がベルト10を搬送する際に、ベルト10の片側に位置決めされた導電性材料から形成された接地部材28は、コーティングシステム50の少なくとも1つの構成要素(例えば、それ自体が接地された駆動機構60、82、ベルトガイド(以下に記載される)、またはスクレーパアセンブリ(以下に記載される)の一部)の上に載り、そして接触し得る。
【0046】
基材の表面にコーティングを沈着させる前に、基材の表面を徹底的に洗浄し、そして/またはグリースを除去することによって、異物を金属表面から除去することが必要であり得る。この点に関して、任意の前処理ユニット70は、コーティングのために物体20の表面を準備するクリーニングシステムを備え得る。基材の表面は、当該分野において公知の任意の物理的手段または化学的手段(例えば、表面を機械的にすり減らすこと、または代表的であるように、当業者に周知である市販のアルカリ性クリーニング剤もしくは酸性クリーニング剤(例えば、メタケイ酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム)を用いるクリーニング/洗浄)によって、クリーニングされ得る。適切なクリーニング剤の非限定的な例としては、CHEMKLEEN(登録商標)163ホスフェートクリーナーおよびCHEMKLEEN(登録商標)177ホスフェートクリーナーが挙げられ、これらの両方は、Pittsburgh,PennsylvaniaのPPG Industries,Inc.から市販されている。
【0047】
クリーニング工程に続いて、またはクリーニング工程の代わりに、基材の表面は、あらゆる残留物を除去するために、水(代表的には、脱イオン水)でリンスされ得る。必要に応じて、金属表面は、アルカリ性のクリーナーでのクリーニングの後に、酸の水溶液でリンスされ得る。リンス溶液の例としては、マイルドな酸性クリーナーまたは強酸性クリーナー(例えば、市販されていて例えば金属前処理プロセスにおいて従来使用されている、希硝酸溶液)が挙げられる。金属基材は、エアナイフを使用して空気乾燥され得るか、基板を高温に短時間曝露することによって水を除去することによってか、または基材をスキージーロールの間に通すことによって、乾燥され得る。
【0048】
必要に応じて、リン酸ベースの前処理コーティングまたは二次加工コーティングが、金属基材に塗布され得る。適切なリン酸二次加工コーティング組成物としては、当該分野において公知のもの(例えば、必要に応じてニッケル、鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウムまたはコバルトで修飾された、リン酸亜鉛)が挙げられる。有用なリン酸化組成物は、米国特許第4,793,867号、同第5,588,989号、同第4,941,930号、同第5,238,503号、および同第5,653,790号に記載されている。
【0049】
乾燥/予熱機構が、物体20がコーティングのためにコーティングユニット74に充填される前に前処理ユニット70を通過する際に、物体20を乾燥および/または予熱するために使用され得る。当業者に公知の任意の乾燥および/または予熱方法(例えば、赤外線、電子線、化学線、対流、誘導、およびこれらの組み合わせ)が、前処理ユニット70において使用され得る。前処理ユニット70はまた、図示されるように、使用されるクリーニング溶液に依存して、フードを備えられ得る。
【0050】
任意の前処理段階に続いて、コーティングユニット74に入る前および/またはコーティングユニット74内にある間に、物体20は、導体72によって荷電され得る。電流が、1つの極性で導体72から電着浴へ、そして逆の極性で伝導性ベルト10へ、そしてこれによって物体20へと印加される。本発明のプロセスにおいて、物体20は、水性電着コーティング組成物中に浸漬される、電極および対電極を備える電気回路において、電極(代表的にはカソード)として働く。
【0051】
一般に、電着可能なコーティングを沈着させるプロセスにおいて、電着可能な組成物の水性分散物が、導電性のアノード及びカソードと接触させて配置される。アノードとカソードとの間での電流の追加の際に、電着可能な組成物の接着性フィルムが、組成物がアノードで電着可能であるかカソードで電着可能であるかに依存してアノードまたはカソードのいずれかとして働く基材上に、実質的に連続的な様式で沈着する。任意の適切な電圧が、電荷伝導性ベルト10に対して使用され得るが、使用される電圧は、コーティングされるべき物体20のサイズおよび形状、ならびに塗布されるコーティング材料に依存し得る。電着は、通常、1ボルト〜7,000ボルトの範囲、代表的には50ボルトと500ボルトとの間の一定の電圧で、実施される。電流密度は、通常、1平方フィートあたり約1.0アンペアと15アンペアとの間(1平方メートルあたり10.8アンペア〜161.5アンペア)である。使用されるコーティング材料がアニオン性である場合、ベルト10は、アニオン性の電荷を供給され、一方で、使用されるコーティングがカチオン性である場合、ベルト10は、カチオン性の電荷を供給される。
【0052】
コーティングユニットは、電着可能なコーティング材料を含有し得、このような材料を、保存ユニット(例えば、親タンク(mother tank))から引き出し、そしてベルト10に解放可能に保持された物体20の全てまたは一部をコーティングするように位置決めされる。コーティングシステム50はまた、再循環システムを使用し得、この際循環システムは、コーティングユニット74および保存ユニットが、流体連絡することを可能にする。任意の電着コーティングユニット(例えば、電着タンクなど)が、本発明の連続コーティングシステム50において使用され得る。図示されるように、コーティングユニット74は、電着タンクを備える。
【0053】
電着浴組成物は、本発明の方法における1つの実施形態として、タンク内で使用され得、そして水性媒体中に分散した樹脂層を含有し得る。樹脂層は、フィルム形成有機成分を含有し、この有機成分は、アニオン性電着コーティング組成物、または代表的であるように、カチオン性電着コーティング組成物を含有し得る。ポリマー性の電着可能なコーティング組成物は、代表的に、活性水素基を含有するイオン性樹脂、およびこのイオン性樹脂の活性水素と反応する官能基を有する硬化剤を含有する。
【0054】
本明細書中で使用される場合、用語「反応性」とは、適切な反応条件下で別の官能基と共有結合を形成する、官能基をいう。
【0055】
アニオン性電着可能コーティング組成物の非限定的な例としては、ゲル化していない水分散性の電着可能アニオン性フィルム形成樹脂を含有するものが挙げられる。アニオン性電着コーティング組成物において使用するために適切な、フィルム形成樹脂の例は、塩基に可溶化されたカルボン酸含有ポリマーであり、例えば、乾燥油また半乾燥脂肪酸エステルとジカルボン酸または無水物との反応生成物または付加体;および脂肪酸エステルと、不飽和酸または無水物と、ポリオールとさらに反応する任意のさらなる不飽和修飾材料との反応生成物である。不飽和カルボン酸と、ヒドロキシアルキルエステル不飽和カルボン酸と、少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーとの、少なくとも部分的に中和されたインターポリマーもまた適切である。なお別の適切な電着可能アニオン性樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル(すなわち、アルキド樹脂およびアミン−アルデヒド樹脂を含有するビヒクル)を含有する。なお別のアニオン性電着可能樹脂組成物は、樹脂性ポリオールの混合エステルを含有する。これらの組成物は、米国特許第3,749,657号の第9欄第1行目〜第75行目、および第10欄第1行目〜第13行目に詳細に記載されている。他の酸官能性ポリマー(例えば、当業者に周知であるような、リン酸化ポリエポキシドまたはリン酸化アクリルポリマー)もまた、使用され得る。
【0056】
「ゲル化していない」とは、ポリマーが、実質的に自由に架橋し、そして適切な溶媒中に溶解される場合に、固有粘度を有することを意味する。ポリマーの固有粘度は、分子量の指標である。他方で、ゲル化したポリマーは、本質的に固有に高い分子量であるので、高すぎて測定できない固有粘度を有する。
【0057】
カチオン性樹脂に関して、広範な種々のカチオン性ポリマーが公知であり、そしてそのポリマーが「水に分散可能である」(すなわち、水に可溶化されるか、分散されるか、または乳化されるように適合される)限り、本発明の組成物において使用され得る。水分散性樹脂は、本質的にカチオン性である。すなわち、このポリマーは、正電荷を付与するためのカチオン性官能基を含む。代表的に、カチオン性樹脂はまた、活性水素基を含む。
【0058】
適切なカチオン性樹脂の例としては、第三級スルホニウム塩基含有樹脂、および第四級ホスホニウム塩基含有樹脂(例えば、それぞれ、米国特許第3,793,278号および同第3,984,922号に記載されるもの)のような、オニウム塩基含有樹脂が挙げられる。他の適切なオニウム塩基含有樹脂としては、第四級アンモニウム塩基含有樹脂(例えば、有機ポリエポキシドを、第三級アミン塩と反応させることから形成されるもの)が挙げられる。このような樹脂は、米国特許第3,962,165号;同第3,975,346号;および同第4,001,101号に記載される。また、アミン塩の基を含有する樹脂(例えば、ポリエポキシドと、第一級アミンもしくは第二級アミンとの酸可溶化反応生成物(例えば、米国特許第3,663,389号;同第3,984,299号;同第3,947,338号;および同第3,947,339号に記載されるもの))も適切である。
【0059】
通常、上記の塩基含有樹脂は、ブロック化されたイソシアネート硬化剤と組み合わせて使用される。イソシアネートは、米国特許第3,984,299号に記載されるように完全にブロック化され得るか、または、イソシアネートは、米国特許第3,947,338号に記載されるように、部分的にブロック化されて、樹脂骨格と反応され得る。
【0060】
また、米国特許第4,134,866号およびDE−OS第2,707,405号に記載されるような一成分の組成物も、カチオン性樹脂として使用され得る。エポキシ−アミン反応生成物に加えて、樹脂はまた、米国特許第3,455,806号および同第3,928,157号に記載されるようなカチオン性のアクリル性樹脂からも選択され得る。また、欧州特許出願第12463号に記載されるような、エステル交換を介して硬化するカチオン樹脂も使用され得る。さらに、米国特許第4,134,932号に記載されるような、Mannich塩基から調製されるカチオン性組成物が使用され得る。また、第一級アミン基および/または第二級アミン基を含有する、正に帯電した樹脂も、本発明の電着可能なコーティング組成物において有用である。このような樹脂は、米国特許第3,663,389号;同第3,947,339号;および同第4,115,900号に記載される。米国特許第3,947,339号は、過剰量のポリアミンを反応混合物から真空ストリップ(vacuum strip)した、ジエチレントリアミンもしくはトリエチレンテトラアミンのようなポリアミンのポリケチミン誘導体を記載する。このような生成物は、米国特許第3,663,389号および同第4,116,900号に記載される。
【0061】
本発明の一実施形態において、本発明において有用な電着可能なコーティング組成物中に包含するのに適したカチオン性樹脂は、オニウム塩の基を含有するアクリル性樹脂である。
【0062】
上記のカチオン性樹脂は、代表的には、組成物の総重量に基づいて、1〜60重量%、好ましくは、5〜25重量%の量で、電着可能なコーティング組成物中に存在する。
【0063】
先に議論されたように、本発明の方法において有用な電着可能なコーティング組成物は、代表的には、イオン性樹脂の活性水素基と反応性の官能基を含む硬化剤を、さらに含有する。
【0064】
アニオン性の電着のための好ましい硬化剤であるアミノプラスト樹脂は、アミンもしくはアミドとアルデヒドとの縮合生成物である。適切なアミンもしくはアミドの例は、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素および類似の化合物である。一般に、使用されるアルデヒドは、ホルムアルデヒドであるが、生成物は、アセトアルデヒドおよびフルフラールのような他のアルデヒドからも作製され得る。縮合生成物は、使用される特定のアルデヒドに依存して、メチロール基または類似のアルキロール基を含有する。好ましくは、これらのメチロール基は、アルコールとの反応によってエーテル化される。使用される種々のアルコールとしては、1〜4個の炭素原子を含有する一価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−ブタノール)が挙げられ、メタノールが好ましい。アミノプラスト樹脂は、商品名CYMELの下で、American Cyanamid Co.から、そして、商品名RESIMENEの下で、Monsanto Chemical Co.から市販されている。
【0065】
アミノプラスト硬化剤は、代表的には、電着浴中の樹脂固形物の総重量に基づいて、約5重量%〜約60重量%、好ましくは、約20重量%〜約40重量%の範囲の量で、活性水素を含有するアニオン性の電着可能な樹脂と組み合わせて利用される。
【0066】
カチオン性の電着可能なコーティング組成物のためにもっとも頻繁に使用され得る硬化剤は、ブロック化された有機ポリイソシアネートである。ポリイソシアネートは、米国特許第3,984,299号、第1欄、第1行〜第68行、第2欄および第3欄、第1行〜第15行に記載されるように、完全にブロック化されていても、米国特許第3,947,338号、第2欄、第65行〜第68行、第3欄および第4欄、第1行〜第30行に記載されるように部分的にブロック化されて、ポリマー骨格と反応させられてもよい。「ブロック化される」とは、イソシアネート基が化合物と反応させられて、その結果として、得られるブロック化イソシアネート基が、周囲温度においては活性水素に対して安定であるが、上昇した温度(通常は、90℃と200℃との間)においては、フィルム形成ポリマー中の活性水素と反応性となることを意味する。
【0067】
適切なポリイソシアネートとしては、脂環式ポリイソシアネートを含めて、芳香族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる;代表的な例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、2,4−もしくは2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)(これらの混合物を含む)、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリメチレンポリフェニルイソシアネートとの混合物が挙げられる。トリイソシアネートのようなより高次のポリイソシアネートが使用され得る。例としては、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートが挙げられる。ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンのようなポリオールとのイソシアネートプレポリマー、ならびに、ポリカプロラクトンジオールおよびポリカプロラクトントリオール(NCO/OH当量比は、1よりも大きい)のようなポリマー性ポリオールとのイソシアネートプレポリマーもまた使用され得る。
【0068】
ポリイソシアネート硬化剤は、代表的には、組成物中に存在する総樹脂固形物の重量に基づいて、1重量%〜65重量%の範囲の量で、好ましくは、5重量%〜45重量%の範囲の量で、カチオン性樹脂と組み合わせて利用される。
【0069】
本発明の水性組成物は、水性分散剤の形状である。用語「分散剤」とは、樹脂が、分散相中にあり、そして、水が、連続相中にある、2相のトランスコーティング(transcoating)、半透明もしくは不透明な樹脂系であると考えられる。樹脂相の平均粒径は、一般に、1.0未満であり、通常は、0.5ミクロン未満であり、そして、0.15ミクロン未満でもあり得る。
【0070】
水性媒体中の樹脂相の濃度は、水性分散剤の総重量に基づいて、少なくとも1重量%であり、通常は、約2重量%〜約60重量%である。本発明の組成物が、樹脂濃縮物の形状である場合、これらは、一般に、水性分散剤の重量に基づいて、約20重量%〜約60重量%の樹脂固形物含量を有する。
【0071】
本発明において有用な電着浴は、代表的には、以下の2つの構成要素として提供される:(1)一般に、活性水素を含有するイオン性の電着可能な樹脂(すなわち、主要なフィルム形成ポリマー)と、硬化剤と、任意のさらなる水に分散可能な非色素性の成分とを含有する、透明な樹脂供給;および(2)一般に、1以上の色素と、主要なフィルム形成ポリマーと同じであっても異なっていてもよい、水に分散可能な粉砕された樹脂と、必要に応じて、湿潤補助物質もしくは分散補助物質のような添加物とを含有する、色素ペースト。電着浴の構成要素(1)および(2)は、水と、通常は、合体溶媒(coalescing solvent)とを含有する水性媒体中に分散される。
【0072】
本発明の電着浴は、電着浴の総重量に基づいて、通常は、約5重量%〜25重量%の範囲内の樹脂および色素固形物の含量を有する。
【0073】
水に加えて、水性媒体もまた、合体溶媒を含有し得る。有用な合体溶媒としては、炭化水素、アルコール、エステル、エーテルおよびケトンが挙げられる。好ましい合体溶媒としては、アルコール、ポリオールおよびケトンが挙げられる。特定の合体溶媒としては、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、イソホロン、2−メトキシペンタノン、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール、ならびに、エチレングリコールのモノエチルエーテル、モノブチルエーテルおよびモノヘキシルエーテルが挙げられる。合体溶媒の量は、水性媒体の総重量に基づいて、一般に、使用される場合、約0.01重量%〜25重量%であり、代表的には、約0.05重量%〜約5重量%であり得る。
【0074】
上述のように、色素組成物と、所望される場合、界面活性剤、湿潤剤もしくは触媒のような種々の添加物が、分散剤中に含められ得る。色素組成物は、色素(例えば、酸化鉄、クロム酸ストロンチウム、カーボンブラック、炭塵、二酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、ならびに、着色料(color pigment)(例えば、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローなど))を含有する、従来のタイプのものであり得る。
【0075】
分散剤の色素含量は、通常、色素対樹脂の比として表される。本発明の実施において、色素が使用される場合、色素対樹脂の比は、通常、約0.02〜1:1の範囲内である。上に述べられる他の添加物は、通常、樹脂固形物の重量に基づいて、約0.01重量%〜3重量%の量で、分散剤中にある。
【0076】
ベルト10がコーティングユニット74を通して運ばれるにつれて、ポリマー組成物は、2つの電極の間に電流が流れるにつれて、物体20のクラスA表面に、実質的に連続的なコーティングとして沈着される。上記のように、例として、物体20が、図示されるようなねじ切りされたボルト、および必要に応じて一体的なワッシャである場合、ベルト10上の各それぞれの保持ユニット30は、各それぞれのねじ切りされたボルトを、同じ横方向に解放可能に保持するように位置決めされ得る。その結果として、各ボルトは、各ボルトの頭がベルト10の同じ側に来るように、ベルト10上で位置決めされる。この様式で、ボルトおよびワッシャのクラスAの表面は、コーティングユニット74内のコーティング材料によって、より容易にコーティングされる。ベルト10が、ボルトを任意の前処理ユニット70からコーティングユニット74へと運ぶ際に、ベルト10は、例えば、水平位置から、角度の付いた位置または垂直位置へと回転し得るか、あるいは水平位置から、角度の付いた位置へと回転し得、その結果、電着材料は、ボルトおよびワッシャ上に実質的により容易に沈着し得るか、またはこのサブアセンブリのクラスAの表面全体を完全に覆い得る。
【0077】
コーティングユニット74はまた、物体20がコーティング後にベルト10によって運びされられる際に、コーティング材料の浪費を防ぐために、過剰のコーティング材料を、物体20の外側表面から収集するためのレザバとして働き得る。この様式で、電気泳動コーティングは、種々の要因(例えば、ベルト10の速度、コーティング材料の組成、コーティングユニット74の温度など)に基づく所望の厚さまで、物体20に沈着され得る。代表的に、コーティングユニット74およびコーティング材料の温度は、例えば、31.1℃〜33.3℃の範囲に維持される。コーティングユニットを通るコーティングの時間は、かなり変動し得、そして電圧、コーティング材料の温度および組成、所望のフィルムの厚さなどに依存し得る。代表的なコーティング時間は、20秒間であり、そして例えば、10秒間〜60秒間の範囲であり得る。
【0078】
過剰のコーティング材料は、1つ以上のリンスユニット76によって、コーティングされた物体からリンスされ得る。このリンスユニットはコーティングユニット74の下流に位置決めされる。エアナイフ(図示せず)が、物体から過剰のリンス水を除去するために使用され得る。リンスユニット76は、過剰の材料を再使用のために親タンクに戻すための、リサイクルシステムを備え得る。限外濾過システム78からの脱イオン水および/または透過物は、物体20から過剰の材料をリンスするために使用され得る。リンス水は、濾過され得、そしてコーティングシステム50から排出され得るか、または閉じた非汚染システムを提供するために、再使用のためにこのシステムを通して戻してリサイクルされ得る。
【0079】
コーティングされ、そして必要に応じてリンスされた物体20は、次いで、乾燥ユニット80を通して移動し、物体20上に沈着したコーティングを乾燥させ得る。本明細書中で使用される場合、用語「乾燥」、「乾燥した」、または「乾燥させる」は、乾燥と硬化との両方を包含することが意図される。1つの実施形態において、電着されるコーティングは、実質的に全ての溶媒および/または水を、周囲温度での蒸発または高温(例えば、150°F〜800°F(82℃〜426℃))での強制的な乾燥のいずれかによって、コーティングから引き離すことによって、乾燥される。用語「乾燥した」はまた、例えば、電解コーティングされた基材を、共反応性(co−reactive)フィルム成分を架橋させるために充分な熱条件に曝露することによって、「硬化された」ことを包含することが意図される。
【0080】
また、本明細書中で使用される場合、用語「硬化」は、組成物に関連して使用される場合(例えば、「硬化した組成物」)、組成物のあらゆる架橋可能または共反応性の成分が、少なくとも部分的に架橋または共反応したことを意味するべきである。本発明の特定の実施形態において、架橋可能な成分の架橋密度(すなわち、架橋の程度)は、完全な架橋の5%〜100%の範囲である。他の実施形態において、架橋密度は、完全架橋の35%〜85%の範囲である。他の実施形態において、架橋密度は、完全架橋の50%〜85%の範囲である。当業者は、架橋の存在および程度(すなわち、架橋密度)は、種々の方法(例えば、窒素下で実施される、Polymer Laboratories MK III DMTA分析器を用いる動機械的熱分析(DMTA))によって決定され得ることを理解する。この方法は、コーティングまたはポリマーの自由フィルムのガラス転移温度および架橋密度を決定する。硬化した材料のこれらの物理的特性は、架橋ネットワークの構造に関連する。
【0081】
この方法によれば、分析されるべきサンプルの長さ、幅および厚さが最初に測定され、このサンプルは、Polymer Laboratories MK III DMTA装置にしっかりと設置され、そして寸法測定値が、この装置に入力される。熱走査が、3℃/分の加熱速度、1Hzの周波数、120%のひずみ、および0.01Nの静止力で実行され、そしてサンプルの測定が、2秒ごとに行われる。サンプルの変形の様式、ガラス転移温度、および架橋密度が、この方法に従って決定され得る。より高い架橋密度は、コーティング中のより高い架橋の程度を示す。
【0082】
一般に、本発明の方法において有用な電着可能コーティング組成物は、0.1ミル〜1.0ミル(2.54マイクロメートル〜25.4マイクロメートル)の範囲の乾燥フィルム厚さ(代表的には、0.6ミル〜0.8ミル(15.24マイクロメートル〜20.32マイクロメートル))を有する実質的に連続的なコーティングが、物体20のクラスAの表面上に形成されるような条件下で塗布される。
【0083】
塗布されたコーティングを乾燥させる分野の当業者に公知である任意の方法(例えば、赤外線、電子線、化学線、対流、誘導、およびこれらの組み合わせ)が、使用され得る。例えば、連続システム50の乾燥ユニット80は、赤外放射線と対流との組み合わせによって、コーティングに対する熱処理を使用し得る。本発明の1つの実施形態において、コーティングが電着によって塗布された後に、このコーティングは、通常は加熱によって、90℃〜430℃の範囲の高温で、60秒間〜1200秒間の範囲の期間にわたって、硬化される。あるいは、コーティングは、当該分野において周知であるように、赤外線硬化技術を使用して、代表的には45秒間〜240秒間の範囲の期間にわたって、または300°F〜550°F(149℃〜288℃)の範囲のピーク金属温度を得るために充分な時間にわたって、硬化され得る。非金属基材(例えば、伝導性非金属基材)については、これらの時間および温度は、少なくとも部分的には、使用される特定の基材材料に依存して調節され得る。
【0084】
本発明の1つの実施形態において、冷却ユニット77(例えば、冷蔵ユニット、冷却器、または一連の送風機77)が、乾燥ユニット80の後に位置決めされて、乾燥ユニット80を出る物体20の温度を、取り扱いおよび輸送のために低下させ得る。送風機77が使用される場合、空気が、任意の適切な速度および温度で、物体20にわたって吹き付けられ得る(例えば、周囲温度で16000ft/分〜18,000ft/分(81m/s〜91m/s)の範囲であり得る)。代表的に、送風機77は、物体20の表面温度を、140°F(60℃)未満まで低下させる。効率のために、送風機77からの排気は、リンスユニット76の後でありかつ乾燥ユニット80の前に使用され得、過剰のリンス水を、リンス後であって物体20が乾燥ユニット80を通して輸送される前に、物体20から除去することを補助する。
【0085】
乾燥ユニット80を出て任意の冷却ユニット77を通過した後に、物体20は、手動手段または自動手段によって、ベルト10から取り外され得る。適切な解放手段としては、重力に駆動される手段が挙げられ、ここで、ベルト10が分配ホイール(図示せず)上を運ばれる際に、ベルト10のこのホイールの周囲での動きが、重力の補助により、各物体20を各保持部材12から解放するように働き、その結果、保持部材12および保持部分16は、それらの閉位置または部分的に閉じた位置に戻る。別の実施形態において、以下に詳細に記載されるように、物体20は、ベルト10が戻った後に、反らせ板ガイドによってベルト10から解放され得る。次いで、解放されたコーティングされた物体20は、充填またはさらなる処理のために、容器84に貯められ得る。連続ベルト10の連続的な搬送性は、別の物体20を解放可能な保持およびコーティングのために受けるために、閉じたかまたは部分的に閉じた保持部材12を、供給機構52に戻す。
【0086】
上記コーティングシステム50は、物体20に単一のコーティングを塗布するように記載されたが、1つより多くのコーティングが、物体20に沈着され得ることが企図される。例えば、2層以上のコーティングが、さらなるコーティングユニットおよび乾燥ユニットを上記コーティングシステム50に追加することによって、またはコーティングされた物体をコーティングシステム50にさらに1回以上通すことによって、または物体20をコーティングシステム50(電着である場合)と1つ以上の非電着コーティングシステム(コーティングシステム50の前か後のいずれか)との組み合わせに通すことによって、物体20に沈着され得る。従って、上記コーティングシステム50の説明は、コーティングシステム50を使用する方法のほんの例示であり、そして本発明の範囲を限定することを意図されない。
【0087】
図10A〜図15は、本発明の別の実施形態(ベルト200)を示す。図10Aおよび図10Bは、標準的な長さのベルトセグメント201を図示する。ベルトセグメント201は、互いに接続されて、ベルト290(図15を参照のこと)を形成し得る。このベルトセグメントは、ベルト10のベルトストリップ14と同様に、ベルト200によって、物体20(例えば、ボルト)を、始点から目的地点まで搬送するために使用され得る。各セグメント201は、均一な長さ、幅および厚さを有するステンレス鋼または別の耐腐食性伝導性材料から構築され得る、バンドであり得る。図示されるように、ベルトセグメント201は、等しく間隔を空けた16個の一連の窓開口部210を規定し得る。窓210は、以下の目的のうちの1つ以上で働き得る:1)ベルト290のねじれおよび曲がり可撓性を最大にして、コーティングシステムを通るベルト290のより容易な経路決めを可能にすること;2)ベルト290の表面の量を最小にして、ベルト290を冷却するために必要とされる時間を短縮すること;3)流体および空気がベルト290を通過して、ベルト290に固定された物体20のコーティング、リンスおよび冷却を補助することを可能にすること;ならびに4)コーティングシステムの回転駆動歯の歯がベルト290に係合し、そして連続ベルト200の運動を行うための手段を提供すること。窓210の間の固体の表面は、7セットの、等しく間隔を空けた2つのクリアランス穴211であり得、これは、クリップアセンブリ202を適切なファスナーでベルト290に取り付けることを可能にする。各ベルトセグメント201の各端部には、2つの穴292が形成され得、これらの穴の形状は、半円形であり、そして開端部を有する。穴292は、2つのベルトセグメント201が、クリップアセンブリ202、ラグ203、ベルトジョイント204、および2つの共通なべ頭Phillips小ねじ296a(鋸歯状ワッシャ296b)を使用して、一緒に接合されることを可能にする。ベルトセグメント201は、所望の長さのベルト200を作製し、そして最終的に、コーティングシステムによって必要とされるような閉ループまたは連続ベルトを形成するように、一緒に接合され得る。
【0088】
図10Aを再度参照すると、ベルト装置200は、クリップアセンブリ202を備え得、このクリップアセンブリは、ステンレス鋼または他の耐腐食性伝導性材料から構築され得る。クリップアセンブリ200は、物体20(例えば、ボルト)を、コーティングシステムによって必要とされるように、受け、保持し、運び、そして解放するように、機能し得る。クリップアセンブリ202は、クリアランス穴212を規定し、これらのクリアランス穴は、ベルトセグメント201のクリアランス穴211と整列し得る。クリップアセンブリ202およびベルトセグメント201は、対称的な設計であり得、従って、互いに固定されることに関して、誤りにくい。一旦、クリップ202がベルトセグメント201と整列させられると、2つのねじきりされた穴203aを有するラグ203が、ベルトセグメント201のクリアランス穴211と、クリップ202がベルトセグメント201に接する側の反対側で整列させられ得る。対応するクリアランス穴204aを有するベルトジョイント204が、クリップ202の内側で、サドル214の間に配置され得、そしてクリアランス穴212と整列させられ得る。ベルトジョイント204は、4つの一体的なタブ298および300を有し得、これらのタブは、ジョイント204の下側表面から下方に突出して、ジョイント204の本体に凹部を形成する。この凹部は、ベルトジョイント204がクリップ202の上に嵌ることを可能にし、そして任意の2つの窓210の間の小さいストリップ金属が、ベルトセグメント201の下側とラグ203の底部と同一面で、取り付けを作製する。次いで、ベルトセグメント201、クリップ202、ラグ203、およびベルトジョイント204は、例えば、ベルトジョイント204のクリアランス穴204aを通し、クリアランス穴212および211を通し、そして最後にラグ203のねじ切りされた穴203aに締められる、2つの共通なべ頭Phillips小ねじ296a(鋸歯状ワッシャ296b)を使用して、一緒に固定され得る。この手順は、クリップ202をベルトセグメント201の残りの部分に追加するため、および隣接するベルトセグメント201を互いに接合する多面に繰り返され得る。
【0089】
図10Aおよび図15を参照すると、クリップアセンブリ202は、2つの垂直サドルまたは案内部材214、および付勢前の保持部材213を備え得、この保持部材自体は、保持部分またはアーム部分であり得、これは、物体20をベルトセグメント201に保持するための保持ユニットとして、いっしょに働き得る。電力または手動で操作される供給システム(図15に示されるものに類似のもの)が、例えば、ボルト20をベルトアセンブリ200に提供するために使用され得る。各ボルト20が付勢前の保持部材213と接触すると、ボルト20の力は、保持部材213を開かせる。すなわち、保持部材213は、ベルトセグメント201のほうへと下方に押され得、これによって、ボルト20が、クリップ202に入り得、そしてサドル214に載り得る。保持部材213がその付勢前の状態に戻ると、この部材の湾曲した形状および上向きに曲がった端部302は、ボルト20の細長部分の湾曲した形状にぴったり合い、そしてボルト20をサドル214に押し付けて保持するために充分な力を提供し、コーティングシステムを通すボルト20の搬送を可能にする。クリップ202の設計は、ボルト20の接触点を最小にして、最適なコーティングプロセスへのボルト20の最大の曝露を可能にする。
【0090】
図11Aおよび図11Bを参照すると、コーティングシステム50を通って移動する際にベルト200を補助するために、任意の数の標準的なベルトガイド206またはそのバリエーションが、その経路に沿って使用され得る。基本的なベルトガイド206は、図11Bに提供されるように使用され得るか、または別のアセンブリと組み合わせて使用され得るか、またはその設計が、コーティングシステムとともに機能することを可能にするように別のアセンブリに組み込まれ得る。ベルトガイドクランプ205は、基本的なベルトガイド206の設計が新たな設計にどのように組み込まれ得るかの1つの例である。ベルトガイドは、一般に、耐久性および剛性の目的で、工具鋼から構築されるが、他の材料が使用され得る。ベルトガイド206は、いくらか「C」字型であり、端部に、ベルトセグメント201を収容するための凹部を有する。ベルトセグメント201は、図12Aおよび図12Bに示されるように、クリップ202がガイド206の外側に来る様式で、ガイド206を通って移動する。ピン215は、ガイド206に設置されて、ベルトセグメント201がガイド206を通って移動する際にベルトセグメントの引きずりおよび磨耗を減少させる。ピン215は、カーバイドまたは耐磨耗材料から作製され得、この材料は、ベルトセグメント201の縁部の摩擦に耐え得る。ガイド206の上端部306および下端部308は、ある角度で切断されて、ベルト装置200によって搬送される物体(例えば、図12Aおよび図12Bに示される、代表的な1/2インチの直径および4インチの長さの、粗いねじ山を有する六角ボルト、ならびに専用のワッシャ)の制限されない通過を可能にし得る。
【0091】
図12Aおよび図12Bを参照すると、ベルト装置200は、スクレーパアセンブリ208を備え得、このスクレーパアセンブリは、工具鋼から作製され得る。スクレーパアセンブリ208は、2つのスクレーパ218を使用し得、これらのスクレーパは、ベルトセグメントがコーティングシステム50を通って移動する際に、各ベルトセグメント201の縁部と連続的に接触する。接地リード線が、スクレーパ218に直接取り付けられて、スクレーパ216があらゆる異物(コーティングプロセスの結果として蓄積する)をベルトセグメント201から除去する際に、連続的な電気接地を確実にし得る。ベルトガイド206は、ベルトセグメント201がスクレーパ218によって付与される圧力下で外れたり曲がったりしないことを確実にするように、ストリッパアセンブリ208に固定され得る。
【0092】
ここで図13Aおよび図13Bを参照すると、反らせ板ガイド209は、保持部材213の交差部材片を、低い角度の引き込み部の使用によって捕捉するように働く。この結果として、物体20に対する力が解放され、物体20がサドル214から脱係合し、そしてベルト装置200から落下して完成部品ビンまたは他の収集デバイスに入ることを可能にする。
【0093】
図14および図16は、ベルト装置10またはベルト装置200のいずれかの運動を制御するために使用され得る、駆動システム200を示す。しかし、これらの図において、駆動システム400は、駆動ベルト装置200として説明される。広くいえば、駆動システム400は、支持体401、駆動ホイール402、ボルト供給システム404、ベルト引張システム406、および反らせ板ステーション408を備え得る。
【0094】
駆動ホイール402は、支持体401に対する制限された平行移動および回転のために、支持体401上の適切な支持体424上に設置され得る。ホイール402は、任意の適切なモータによって、回転させられ得る。ホイール402が平行移動する能力は、ベルト装置200に対する張力を調節することを可能にし、そしてベルトの破壊および詰まりの検出を可能にする。駆動ホイール402によって規定される歯410は、ベルトセグメント201の窓210に係合して、ベルト装置200およびそこに解放可能に固定されたボルト20の運動を提供する。
【0095】
図14、図15、図16および図17を参照すると、供給システム404は、物体20(例えば、ボルト20)を、ベルト200に、供給斜面412に沿って供給する。この供給斜面は、支持体401に設置され、そしてそれ自体は、任意の適切な公知の様式で、物体20を供給される。物体20は、斜面412からクリップアセンブリ202へと、回転案内ホイール414の歯416およびガイド420によって案内され得る。この回転案内ホイールは、任意の適切な様式で支持体401に設置され得る適切な支持体418を使用して、回転のために設置され得る。このガイドもまた、支持体401に設置され得る。ばね付勢された旋回タング422が、支持体420に設置され得、そしてボルトがクリップアセンブリ202に供給される際に、物体20を保持部材213に押し込むことを補助し得る。
【0096】
ベルト引張システム406は、当該分野において公知である任意の適切なベルト引張器であり得る。好ましくは、ベルト引張器406は、ドイツのFesto AG&Co.によって製造される、空気式作動システムである。ベルト引張器406は、空気圧シリンダによってホイール402の平行移動可能な支持体424に対して制御された力を付与することによって、よりよい作動を提供するように、駆動ホイール402の位置を調節し得る。ベルト引張器406はまた、ベルトの破壊および詰まりを検出する。ベルトの詰まりが起こると、ベルトは、支持体424およびホイール402を、引張器406の空気圧シリンダに逆らって引張器406のほうへと平行移動させる傾向がある。ベルトの破壊が起こると、引張器460の空気圧シリンダは、支持体424およびホイール402を、引張器406から離れるように押し得る。いずれの場合においても、ホイール402および支持体424の異常な移動を検出するため、およびコーティングシステムおよび駆動システム400の作動を停止させるためのセンサが提供され得る。
【0097】
図13A、図13B、図14、図19、図20および図21を参照すると、反らせ板ステーション408は、物体20を保持部材アセンブリ202から取り外すために、支持体401に設置され得る。上記のように、物体20は、ベルトセグメント201が反らせ板209を通過するにつれて、反らせ板209の斜面219によって、保持部材アセンブリ202から押され得る。
【0098】
所望であれば、システム400は、図22に示される接合ユニット500を備え得る。接合ユニット500は、交換クリップ202をベルトセグメント201上で整列させるため、および2つのベルトセグメント201をクリップ202を使用して互いに接合するために、使用され得る。接合ユニット500は、基部502および割り出し器(indexer)504を備え得る。プレート506は、支持体401に設置され得、そして基部502は、プレート506に設置され得る。割り出し器504は、基部502に対して制限された水平運動のために、任意の適切な様式で、基部502にばねで設置され得る。好ましくは、ポスト(図示せず)が、基部502の後表面に規定され、この周囲またはこの内部に、ばねが設置され得る。このばねは、割り出し器504を基部502から離すように付勢し得る。従って、割り出し器504は、ばねの力に逆らって、対面するベルトセグメント201のほうへと移動し得、次いで、任意の適切な配置を使用して適所にロックされ得る。例えば、とめねじ(図示せず)が、接合ユニット500の後表面を通して提供され得、この留めねじは、回転される場合に、割り出し器504を適所にロックする。割り出し器504は、3つのラグ位置合わせ506、508および510を規定し得、これらの各々は、ラグ203を受けるような形状にされる。位置合わせ506および510は、ベルトセグメント201にすでに適所に設置されたラグ203を受けるために使用される。位置合わせ508は、セグメント201に設置されるラグ203を受けるため(クリップ202がセグメント201上で交換される場合)、または1対の隣接するセグメント201を受けるため(クリップ202が2つのセグメント201を接合するために使用される場合)に使用され、クリップ202を、1つのセグメントまたは1対の隣接するセグメント201に設置し得る。従って、設置されたラグ203を位置合わせ506および/または510に挿入することによって、位置合わせ508に挿入されるラグ203が、適切に整列することを可能にし、そして対応するクリップ202が、適切な位置に設置されたことを確実にする。
【0099】
本発明は、領域(例えば、物体のクラスAの表面)が、高速で、種々のコーティングプロセスを介してコーティングされることを可能にし、同時に、これらの物体を、この物体のAクラスではない表面上の1つ以上の地点で固定された位置で解放可能に保持することによって、これらのコーティングされた表面が、傷つく危険性を減少させる。その結果、クラスA表面に沈着するコーティングは、先行技術のコーティング技術よりも均一であり、そしてより少ない欠陥を含む。
【0100】
本発明の特定の実施形態が、説明の目的で上に記載されたが、本発明の細部の多数のバリエーションが、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、本発明の連続ベルトの1つの実施形態の斜視図であり、ねじ切りされたボルトおよびワッシャの形態の物体を、解放可能に保持している。
【図2】図2は、図1に図示されるような連続ベルトの上平面図である。
【図3】図3は、図1に図示されるような連続ベルトの側面立面図である。
【図4】図4は、図1に図示されるような連続ベルトの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の連続ベルトの第二の実施形態の斜視図であり、ねじ切りされたボルトおよびワッシャの形態の物体を、解放可能に保持している。
【図6】図6は、図5に図示される連続ベルトの上平面図である。
【図7】図7は、図5に図示されるような連続ベルトの側面立面図である。
【図8】図8a〜図8dは、図1の連続ベルトへの物体の解放可能な保持を図示する、一連の側面立面図である。
【図9A】図9Aは、本発明のコーティングシステムの概略側面立面図である。
【図9B】図9Bは、本発明のコーティングシステムの上平面図である。
【図10A】図10Aは、本発明の連続ベルトの別の実施形態の、部分的に分解された斜視図であり、ねじ切りされたボルトおよびワッシャの形態の物体を、解放可能に保持している。
【図10B】図10Bは、図10Aに示される装置のベルトセグメントの上平面図である。
【図11A】図11Aは、コーティングシステムのためのクランプの斜視図である。
【図11B】図11Bは、コーティングシステムの代替のクランプの斜視図である。
【図12A】図12Aは、本発明によって提供されるベルト装置のための、スクレーパシステムの斜視図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示される装置の側面立面図である。
【図13A】図13Aは、本発明によって提供されるベルト装置によって搬送される物体を取り外すための、反らせ板の斜視図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示される反らせ板の側面立面図である。
【図14】図14は、本発明によって提供されるベルト装置のための、駆動システムおよび供給システムの斜視図である。
【図15】図15は、図14に示される供給システムの斜視図である。
【図16】図16は、駆動システムおよび供給システムの斜視図である。
【図17】図17は、駆動システムおよび供給システムの斜視図である。
【図18】図18は、供給システムの一部の上平面図である。
【図19】図19は、図10Aに示されるベルト装置、駆動システム、供給システム、スクレーパステーションおよび反らせ板ステーションの斜視図である。
【図20】図20は、反らせ板ステーションの一部の斜視図である。
【図21】図21は、図10Aに示されるベルト装置、駆動システム、供給システム、スクレーパステーションおよび反らせ板ステーションの斜視図である。
【図22】図22は、図14に示される接合ユニットの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続ベルト上の、細長部分を有する物体に、ポリマーコーティングを電気泳動塗布するための方法であって、該方法は、
該物体を保持部材と係合させて位置決めする工程であって、該保持部材は、該保持部材の保持部分が、該物体の該細長部分を該ベルトに解放可能に保持するように、該連続ベルトと係合する、工程;
該連続ベルトを駆動機構で搬送する工程;および
該連続ベルト上の該物体を、電気泳動コーティングする工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記位置決めする工程が、前記物体を、前記保持部材と、前記連続ベルトと係合する案内部材との間に位置決めする工程をさらに包含し、これによって、該物体は、該保持部材と該案内部材との間に解放可能に保持される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置決めする工程が、前記案内部材の傾斜部分に押し付けて前記物体を位置決めする工程を包含し、各案内部材は、該案内部材の基部から測定される場合に次第に減少する高さを有し、そして該案内部材のそれぞれの前記保持部材に最も近い位置で最大高さを有する、傾斜部分を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記位置決めする工程が、前記物体の前記細長部分を、前記案内部材と前記保持部材とのうちの少なくとも一方のサドル部分に位置決めする工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングする工程の後に、前記物体を前記保持部材から解放する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記位置決めする工程が、複数の物体を複数の案内部材および複数の保持部材と係合させて位置決めする工程をさらに包含し、各保持部材は、該ベルトに沿って位置する複数の保持ユニットを形成するように、各それぞれの案内部材に対して位置決めされ、各それぞれの保持ユニットは、それぞれの物体を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記物体を、同じ横方向で解放可能に保持する工程をさらに包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各保持ユニットは、前記物体の円筒形細長部分を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各保持ユニットは、ボルトの軸部分の少なくとも一部分を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各保持ユニットが、前記軸部分のねじ切りされた部分の少なくとも一部を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記位置決めする工程が、前記物体を前記案内部材の傾斜部分に押し付けて位置決めする工程をさらに包含し、該傾斜部分は、該案内部材の基部から測定される場合に次第に減少する高さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記案内部材が、前記保持部材に最も近い位置において最大高さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記案内部材が、サドル部分を備え、該サドル部分は、前記物体の前記細長部分の外側表面に適合するような形状にされている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記位置決めする工程が、前記物体を前記保持部材と前記案内部材との間に解放可能に保持するように、前記保持部分のアーム部分を位置決めする工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記アーム部分が、可撓性金属部材である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記物体を前記保持部材と前記案内部材との間に解放可能に保持するように、前記アーム部分を調節する工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アーム部分が、サドル部分を備え、該サドル部分は、前記物体の前記細長部分の外側表面に適合する形状を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記物体を解放可能に保持するように、前記保持部材を調節する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記連続ベルト上に位置する少なくとも1つの電気接地部材との電気的接触を確立する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記電気的接触が、前記ベルト上の、間隔を空けた複数の接地部材となされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
供給機構によって、前記物体を前記連続ベルト上に供給する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記供給機構が、供給されるべき物体を受けるためのホッパを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記供給機構が、前記供給機構と作動的に係合する選別器を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記供給機構が、ボルト供給機構、ナット供給機構、およびワッシャ供給機構から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記供給機構が、ボルト供給機構を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記位置決めする工程の前に、前記物体を前処理する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記コーティングする工程の後に、前記物体を乾燥させる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記コーティングする工程の後に、前記物体上のコーティングを硬化させる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
連続ベルト上で、細長部分を有する物体にポリマーコーティングを電気泳動塗布するための方法であって、該方法は、
供給機構によって、該物体を該連続ベルト上に供給する工程;
該物体を保持部材に係合させて位置決めする工程であって、該保持部材は、該保持部材上の保持部分が、該物体の該細長部分を該ベルトに解放可能に保持するように、該連続ベルトに係合する、工程;
該ベルトを駆動機構で搬送する工程;
該連続ベルト上で、該物体を電気泳動コーティングする工程;
該物体上のコーティングを乾燥させる工程;および
該物体を該保持部材から解放する工程、
を包含する、方法。
【請求項30】
前記位置決めする工程が、前記物体を、前記保持部材と、前記連続ベルトと係合する案内部材との間に位置決めする工程をさらに包含し、これによって、該物体が、該保持部材と該案内部材との間に解放可能に保持される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記位置決めする工程が、前記物体を前記保持部材と前記案内部材との間に解放可能に保持するように、前記保持部分のアーム部分を位置決めする工程をさらに包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記位置決めする工程が、前記案内部材の傾斜部分に押し付けて前記物体を位置決めする工程を包含し、該案内部材は、該案内部材の基部から測定される場合に次第に減少する高さを有し、そしてそれぞれの前記保持部材に最も近い位置で最大高さを有する、傾斜部分を備える、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記位置決めする工程が、前記物体の前記細長部分を、前記案内部材および前記保持部材のうちの少なくとも一方のサドル部分に位置決めする工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記位置決めする工程が、複数の物体を、複数のガイド部材および複数の保持部材に係合させて位置決めする工程をさらに包含し、各保持部材が、前記ベルトに沿って位置する複数の保持ユニットを形成するように、各それぞれの案内部材に対して位置決めされ、各それぞれの保持ユニットは、それぞれの物体を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記物体を、同じ横方向に解放可能に保持されるように位置決めする工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
各保持ユニットが、前記物体の円筒形の細長部分を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
各保持ユニットが、ボルトの軸部分の少なくとも一部を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
各保持ユニットが、前記軸部分のねじ切りされた部分の少なくとも一部を解放可能に保持するように位置決めされる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記連続ベルト上に位置決めされた少なくとも1つの電気接地部材と電気的接触を確立する工程をさらに包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
電気的接触が、前記ベルト上の複数の接地部材となされる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記コーティングする工程の後に、前記コーティングされた物体を加熱することによって、該物体上で前記コーティングが硬化される、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
連続ベルト上で、細長部分を有する物体にポリマーコーティングを電気泳動塗布するための方法であって、該方法は、
供給機構によって、該物体を該連続ベルト上に供給する工程;
該物体の該細長部分を、保持部材と、該連続ベルトと係合する案内部材との間に位置決めする工程であって、これによって、該物体が、該保持部材と該案内部材との間に解放可能に保持され、該保持部材および該案内部材は、該ベルト上に保持ユニットを形成するように位置決めされ、該案内部材は、基部を有し、該基部は、該連続ベルトと係合し、そして該案内部材は、傾斜部分を備え、該傾斜部分は、該案内部材の基部から測定される場合に、次第に減少する高さを有し、該保持部材は、該物体を、該案内部材と該保持部材との間に解放可能に保持するためのアーム部分を有する、工程;
該連続ベルトを駆動機構で搬送する工程;
該連続ベルト上で該物体を電気泳動コーティングする工程;
該物体を乾燥させる工程;ならびに
該物体を該保持機構から解放する工程、
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2008−510068(P2008−510068A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525830(P2007−525830)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/028757
【国際公開番号】WO2006/020878
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)