説明

搬送装置、及び、画像形成装置

【課題】複数のガイド部材をつなぎ合わせて記録媒体の搬送経路を形成した場合等であって、ガイド部材に段差が形成されてしまっても、段差の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端がガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じることのない、搬送装置、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体Pとの対向面に段差を有するガイド部材19A、19Bと、その段差の位置に対して下流側の位置に配設された突出部材32を段差の高さを越えて記録媒体Pに近づく位置に移動させる移動手段31と、を備える。この突出部材32は、記録媒体Pに対向する面に、搬送方向に沿って、凸面部、境界部(凹面部)、平面部が形成されている。そして、移動手段31は、記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する直前に、突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体を搬送する搬送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成装置と、に関し、特に、搬送経路において段差を有するガイド部材が設置された搬送装置、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、記録媒体を搬送するための搬送装置において、記録媒体の搬送を案内するガイド部材(ガイド板)を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような画像形成装置では、記録媒体の後端がガイド部材等に強く突き当たって耳障りな衝撃音(このような衝突音を「後端はね音」という。)が発生する問題が知られている。
そして、このような問題を解決するために、特許文献1には、後端はね音が生じる位置に回動可能なガイド部材を設置して、記録媒体の後端がそのガイド部材に衝突する前にガイド部材を回動させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、複数のガイド部材(ガイド板)をつなぎ合わせて記録媒体の搬送経路を形成する場合に、そのつなぎ合わせの部分に段差が生じてしまい、その段差の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端がガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じていた。
特に、このような問題は、画像形成装置の小型化等を目的として、この段差の位置よりも搬送方向下流側の位置に、記録媒体を湾曲させながら搬送する搬送経路が設けられている場合には、その搬送経路によって湾曲した状態の記録媒体の後端が、段差の位置を通過した直後に、ガイド部材に非常に強く突き当たってしまうために、顕著なものとなっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、複数のガイド部材をつなぎ合わせて記録媒体の搬送経路を形成した場合等であって、ガイド部材に段差が形成されてしまっても、段差の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端がガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じることのない、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1記載の発明にかかる搬送装置は、記録媒体を搬送する搬送装置であって、記録媒体に対向して当該記録媒体の搬送を案内するとともに、記録媒体との対向面に当該記録媒体から遠ざかる方向に段差を有するガイド部材と、前記ガイド部材における前記段差の位置に対して記録媒体の搬送方向下流側の位置に配設されるとともに、前記ガイド部材の対向面から記録媒体に近づく方向に突出するように形成された突出部材と、前記突出部材を、前記段差の高さを越えて記録媒体に近づく位置と、前記段差の高さを越えずに記録媒体から遠ざかる位置と、の間で移動させる移動手段と、を備え、前記突出部材は、記録媒体に対向する面が、記録媒体の搬送方向上流側において記録媒体に近づく方向にR状に形成された凸面部と、記録媒体の搬送方向下流側において前記ガイド部材の対向面に対して平行になるように形成された平面部と、を具備するとともに、前記曲面部と前記平面部とを結ぶ境界部がなだらかな凹面で形成され、前記移動手段は、記録媒体の後端が前記段差の位置を通過する前に前記突出部材を前記遠ざかる位置から前記近づく位置に移動させるものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記移動手段は、前記突出部材における前記近づく位置を可変できるように構成されたものである。
【0008】
また、請求項3記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項2に記載の発明において、搬送される記録媒体の厚さ又は坪量を直接的又は間接的に検出する検出手段を備え、前記移動手段は、前記検出手段の検出結果に基いて、前記近づく位置を可変するものである。
【0009】
また、請求項4記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記検出手段によって記録媒体の厚さ又は坪量が大きいと検知された場合に、記録媒体の厚さ又は坪量が小さいと検知された場合に比べて、前記近づく位置が記録媒体により近づく位置になるように可変するものである。
【0010】
また、請求項5記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項2に記載の発明において、記録媒体の搬送速度を可変できるように構成され、前記移動手段は、記録媒体の搬送速度に応じて、前記近づく位置を可変するものである。
【0011】
また、請求項6記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項5に記載の発明において、記録媒体の搬送速度が速い場合に、記録媒体の搬送速度が遅い場合に比べて、前記近づく位置が記録媒体により近づく位置になるように可変するものである。
【0012】
また、請求項7記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記移動手段は、搬送される記録媒体の厚さ又は坪量が所定値以上の場合にのみ、記録媒体の後端が前記段差の位置を通過する前に前記突出部材を前記遠ざかる位置から前記近づく位置に移動させるものである。
【0013】
また、請求項8記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、搬送される記録媒体の搬送位置を検知する検知手段を備え、前記移動手段は、前記検知手段の検知結果に基いて、記録媒体の後端が前記段差の位置を通過する前に前記突出部材を前記遠ざかる位置から前記近づく位置に移動させるものである。
【0014】
また、請求項9記載の発明にかかる搬送装置は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記ガイド部材に対して記録媒体の搬送方向下流側の位置に、前記ガイド部材に対向する側が凸状に湾曲するように記録媒体を湾曲させながら当該記録媒体の搬送を案内する湾曲搬送ガイド部材を備えたものである。
【0015】
また、この発明の請求項10記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の搬送装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、複数のガイド部材をつなぎ合わせて記録媒体の搬送経路を形成した場合等であって、ガイド部材に段差が形成されてしまっても、段差の位置に対して搬送方向下流側の位置にガイド部材の対向面から突出する突出部材を移動可能に設けるとともに、突出部材の対向面の形状を最適化して、記録媒体の後端が段差の位置を通過する直前に突出部材を記録媒体に近づく位置に移動させている。これにより、段差の位置を記録媒体の後端が通過するときに、記録媒体の後端がガイド部材に強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合が軽減される、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置された搬送装置を示す構成図である。
【図3】図2の搬送装置において、突出部材が記録媒体に近づく位置に移動した状態を示す図である。
【図4】(A)本実施の形態における突出部材を示す拡大図と、(B)別形態の突出部材を示す拡大図と、である。
【図5】(A)ガイド部材と突出部材とを上方からみた断面図と、(B)ガイド部材と突出部材とを示す正面図と、である。
【図6】搬送する記録媒体の坪量が異なるときの、突出部材の突出量と、後端はね音の音圧レベルと、の関係を示すグラフである。
【図7】記録媒体の搬送速度が異なるときの、突出部材の突出量と、後端はね音の音圧レベルと、の関係を示すグラフである。
【図8】従来の搬送装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0019】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部(画像形成部)、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、17、18は転写部7に向けて記録媒体Pを搬送するレジストローラ(レジストローラ対)、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、を示す。
【0020】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0021】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ17、18により搬送された記録媒体P上に転写される。
【0022】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
【0023】
その後、記録媒体Pは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路Kを通過して、レジストローラ17、18の位置に達する。そして、レジストローラ17、18の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0024】
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着された記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
なお、本実施の形態における画像形成装置1は、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)が、550mm/sに設定されている。
【0025】
次に、図2〜図5にて、本実施の形態において特徴的な搬送装置30について詳述する。
図2及び図3を参照して、搬送装置30には、搬送ローラ15、16(搬送ローラ対)の位置からレジストローラ17、18(レジストローラ対)の位置に至る記録媒体P搬送経路において、記録媒体Pのオモテ面(画像形成面)側には第1ガイド板19A、第2ガイド板19B、第3ガイド板19Cがそれぞれ搬送経路に沿って設けられ、記録媒体Pのウラ面(非画像形成面)側には対向ガイド板19Dが設けられている。また、第2ガイド板19Bの位置には突出部材32が設けられ、第3ガイド板19Cの位置にはフォトセンサ40(検知手段)が設けられている。
【0026】
この搬送装置30によって、記録媒体P上に画像を形成する画像形成部としての転写部7(感光体ドラム5と転写ローラとの対向位置である。)に向けて記録媒体Pが搬送されることになる。
詳しくは、給紙部から搬送経路Kを経て搬送ローラ15、16の位置に達した記録媒体Pは、さらにガイド板19A〜19Dに案内されながら、レジストローラ17、18の位置に搬送される。そして、レジストローラ17、18の位置に搬送された記録媒体Pは、その先端が、回転駆動が停止されたレジストローラ17、18に突き当たることによってスキュー補正(斜行補正)がされた後に、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望の画像が転写されることになる。
【0027】
さらに補足的に説明すると、レジストローラ17、18は、転写部7(画像形成部)に対して記録媒体Pの搬送方向下流側に配設されたローラ対である。レジストローラ17、18は、不図示のモータによって、搬送ローラ15、16等とは独立して回転駆動・回転停止されるように構成されている。そして、このモータのオン・オフ動作によって、上述したように、回転駆動を停止した状態のレジストローラ17、18に記録媒体Pの先端が突き当ってスキュー補正・縦レジスト補正がされた後に、所定のタイミングで回転駆動を開始したレジストローラ17、18によって転写部7(画像形成部)に向けて記録媒体Pが搬送されることになる。
【0028】
ここで、第1ガイド板19A及び第2ガイド板19Bは、記録媒体Pとの対向面に、記録媒体Pから遠ざかる方向に段差を有するガイド部材である。
詳しくは、2つの第1ガイド板19A及び第2ガイド板19Bは、それぞれ板厚が1.0mmの平板であって、双方のガイド板19A、19Bをスポット溶接、カシメ等によってつなぎ合わせて1つの略平板状のガイド部材を形成している。このようなガイド部材19A、19Bは、2つのガイド板のつなぎ合わせの部分に、ガイド板19Aの板厚(1.0mmである。)分の段差が形成されている。
【0029】
このように複数のガイド板(ガイド部材)をつなぎ合わせて1つのガイド部材を一体的に形成することで、かえってガイド部材のコストを低廉化することができる。特に、大型のガイド部材を形成する場合や、比較的複雑な形状のガイド部材を形成する場合には、上述したメリットが大きくなる。
また、本実施の形態では、第2ガイド板19Bを第1ガイド板19Aよりも記録媒体Pから遠い側に配設して、双方のガイド板19A、19Bの段差を記録媒体Pから遠ざかる方向に形成しているため、記録媒体Pの先端が段差に引っ掛かってジャム(紙詰まり)が生じる不具合を抑止することができる。すなわち、段差を記録媒体Pに近づく方向に形成したとき(第2ガイド板19Bが第1ガイド板19Aよりも記録媒体Pに近い側に配設されたときである。)には、記録媒体Pの先端が段差に引っ掛かってジャム(紙詰まり)が生じやすくなる。
【0030】
また、本実施の形態における搬送装置30は、段差を有するガイド部材19A、19Bに対して下流側(記録媒体Pの搬送方向下流側である。)の位置に、段差を有するガイド部材19A、19Bに対向する側が凸状に湾曲するように記録媒体Pを湾曲させながら搬送を案内する湾曲搬送ガイド部材(湾曲搬送経路)が設置されている。本実施の形態では、主として、対向ガイド板19Dの一部と第3ガイド板19Cとが、湾曲ガイド部材として機能している。
この湾曲搬送ガイド部材19C、19Dを設けることにより、給紙部から画像形成部7への記録媒体Pの搬送経路を比較的短く形成することができるので、画像形成装置1の小型化が達成される。
【0031】
ここで、第1ガイド板19A及び第2ガイド板19B(ガイド部材)における段差の位置に対して下流側(記録媒体Pの搬送方向下流側である。)の位置には、第2ガイド板19B(ガイド部材)の対向面(搬送面)から記録媒体Pに近づく方向に突出するように形成された突出部材32が配設されている。この突出部材32は、記録媒体Pの後端が第1ガイド板19Aと第2ガイド板19Bとの段差を通過する前(直前のタイミングである。)に、段差の高さを越えて記録媒体Pに近づく位置に移動して、その記録媒体Pの姿勢を規制するためのものである。
なお、突出部材32は、樹脂材料等で形成することができる。また、突出部材32の対向面(搬送される記録媒体Pに対向する搬送面である。)には、記録媒体Pとの摺動抵抗を低減するために、低摩擦材料等をコーティングすることができる。
【0032】
突出部材32は、移動手段としての移動機構31の先端部に設置されていて、移動機構31(移動手段)によって段差の高さを越えずに記録媒体Pから遠ざかる位置(図2の位置である。)と、段差の高さを越えて記録媒体Pに近づく位置(図3の位置である。)と、の間で移動できるように構成されている。
詳しくは、移動機構31(移動手段)は、突出部材32を保持する保持板33、保持板33に固設されたラックギア34、ラックギアに噛合するピニオンギア35、ピニオンギア35を回転駆動するステッピングモータ46、等で構成されていて、搬送装置30の側板に図2の両矢印方向に移動可能に保持されている。そして、制御部45によって制御されたステッピングモータ46によってピニオンギア35が回転駆動されることにより、ラックギア34が図2及び図3の左右方向に移動して、突出部材32の突出量T(第2ガイド板19Bの搬送面から記録媒体Pに近づく方向に突出する長さであって、図3の符号Tで示す長さである。)が可変される。なお、本実施の形態1では、図3の状態のとき、段差t(=1.0mm)に対して、突出部材32の突出量Tが1.7mm程度になるように設定されている。
【0033】
また、図4(A)を参照して、突出部材32は、記録媒体P(その位置を通過する記録媒体Pである。)に対向する面が、上流側(記録媒体Pの搬送方向上流側である。)において記録媒体Pに近づく方向にR状に形成された凸面部32aと、下流側(記録媒体の搬送方向下流側である。)において第2ガイド板19B(ガイド部材)の対向面(搬送面)に対してほぼ平行になるように形成された平面部32cと、を具備するとともに、曲面部32aと平面部32cとを結ぶ境界部32b(凹面部)がなだらかな凹面で形成されている。すなわち、突出部材32の対向面は、記録媒体の搬送方向に沿って、凸面部32a、境界部32b(凹面部)、平面部32cが、1つの波形のように連続的になめらかに形成されている。
【0034】
そして、このように構成された搬送装置30において、記録媒体Pの後端が第1ガイド板19Aと第2ガイド板19Bとの段差の位置を通過する前(直前のタイミングである。)に、突出部材32を図2の位置(記録媒体Pから遠ざかる位置である。)から図3の位置(記録媒体Pに近づく位置である。)に移動させるように、移動機構31が制御される。
具体的に、検知手段としてのフォトセンサ40によって、記録媒体Pの先端(搬送位置)が検知されると、その情報が制御部45に送られて、記録媒体Pの搬送方向の長さから、記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する時間が算出される。そして、その算出された時間(記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する時間であって、予め算出されてデータ化されている。)よりも所定時間だけ早く、ステッピングモータ46の稼働が開始されて、突出部材32が図3の位置に移動される。
【0035】
以下、このように構成された搬送装置30における、突出部材32(移動機構31)の動作について詳述する。
まず、図2に示すように、突出部材32の位置を記録媒体Pの先端が通過するときには、突出部材32は突出量Tが第1ガイド板19Aと第2ガイド板19Bとの段差(第1ガイド板19Aの板厚1.0mmである。)を超えない位置に退避している(突出量Tがほぼ0mmになっている)。これにより、記録媒体Pの先端が突出部材32に接触してジャム(紙詰まり)が生じる不具合が抑止される。また、記録媒体Pの先端が突出部材32に接触してしまったとしても、その接触位置は曲面部32aであるために、その形状に沿って記録媒体Pの先端が案内されるため、記録媒体Pの先端が突出部材32に引っ掛かってしまうことはない。
その後、フォトセンサ40によって、記録媒体Pの先端が光学的に検知されると、その検知情報が制御部45に送られる。そして、記録媒体Pの後端が第1ガイド板19Aと第2ガイド板19Bとの段差を通過する直前に、制御部45によってステッピングモータ46が制御されて、ピニオンギア35の回転駆動によってラックギア34とともに突出部材32が図3の位置(突出部材32の突出量Tが、段差tよりも大きくなる位置である。)にスライド移動される。
【0036】
これにより、記録媒体Pの後端が第1ガイド板19Aと第2ガイド板19Bとの段差を通過するときには、図3に示すように、記録媒体Pの湾曲形状が比較的なだらかなものになって、記録媒体Pの後端が段差を通過するときに第2ガイド板19Bの側に向けて移動するエネルギーが減少されるため、段差の位置を記録媒体Pの後端が通過するときに記録媒体Pの後端が第2ガイド板19Bに強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合が軽減される。
具体的に、本願発明者が実験をおこなったところ、図8に示す従来の搬送装置130(第2ガイド板119Bの位置に突出部材32が設置されていないものである。)において、記録媒体Pの後端が第1ガイド板19Aと第2ガイド板119Bとの段差(図8の破線で囲んだ部分である。)を通過するときに生じる「後端はね音」の音圧レベル(図8に示す位置(対向ガイド板19Dから30mm離れた位置である。)に設置されたマイク140で測定されたものである。)は約91dB(デシベル)であった。図8に示すように、従来の搬送装置130では、記録媒体Pの後端が段差を通過するときに記録媒体Pが大きく湾曲してしまい、第2ガイド板119Bの側に向けて移動するエネルギーも大きくなるため、段差の位置を記録媒体Pの後端が通過するときに記録媒体Pの後端が第2ガイド板119Bに強く突き当たって大きな「後端はね音」が生じてしまう。
これに対して、本実施の形態における搬送装置30において、同じ位置に設置されたマイク140によって測定された「後端はね音」の音圧レベルは約80dB(デシベル)であって、上述した従来のものよりも、約11dB(デシベル)の消音効果があることが確認された。
【0037】
ここで、図3の状態の後に、記録媒体Pの後端は突出部材32の位置を通過することになるが、そのとき記録媒体Pの後端は突出部材32の対向面(凸面部32a、境界部32b、平面部32cが、1つの波形のように連続的になめらかに形成され搬送面である。)に沿ってなだらかに案内されることになるため、そのときに「後端はね音」が生じることはない。
なお、本願発明者が、本実施の形態における突出部材32(図4(A)に示すものである。)の代わりに、図4(B)に示すように対向面がR状の凸面部のみで形成された突出部材320を搬送装置30に設置して、上述した「後端はね音」の測定をおこなったところ、記録媒体Pの後端が段差を通過するときに生じる「後端はね音」の音圧レベルは本実施の形態のものと同様に約80dB(デシベル)であったものの、その後に記録媒体Pの後端が図4(B)の破線で囲んだ位置を通過するタイミングで約78dB(デシベル)の衝突音が確認された。このような2次的な衝突音(後端はね音)の発生を防止するためにも、突出部材32の対向面(搬送面)の形状を本実施の形態のもののように最適化することが重要となる。
【0038】
ここで、図5に示すように、本実施の形態では、1つの突出部材が幅方向(図5の左右方向であって、図2及び図3の紙面垂直方向である。)にわたって形成されているのではなく、複数の突出部材32(本実施の形態では5つの突出部材32である。)が幅方向に分割して形成されている。詳しくは、移動機構31の保持板33上に、複数の突出部材32が互いに間隔を空けて幅方向に並設されている。
また、第2ガイド板19B(ガイド部材)は、このような複数の突出部材32に対応する位置に、複数の突出部材32の移動(図5(A)の上下方向の移動である。)を可能にするための複数の開口が形成されている。
このように、複数の突出部材32を幅方向に分割して形成することで、第2ガイド板19Bの開口も幅方向に分割して形成されることになるので、記録媒体Pの先端が第2ガイド部材19Bの開口の位置を通過するとき(図2の状態である。)に、記録媒体Pの先端(先端における幅方向両端部の角部である。)が第2ガイド部材19Bの開口に引っ掛かってジャム(紙詰まり)が生じる不具合や搬送性が低下する不具合が抑止される。すなわち、1つの突出部材32を幅方向にわたって形成する場合には、第2ガイド板19Bの開口も幅方向にわたって1つ形成されることになるので、記録媒体Pの先端が第2ガイド部材19Bの開口の位置を通過するときに、記録媒体Pの先端(先端における幅方向両端部の角部である。)が第2ガイド部材19Bの開口に引っ掛かってジャム(紙詰まり)が生じたり搬送性が低下したりする可能性が高くなってしまう。
なお、このような効果を確実なものにするため、第2ガイド板19Bに形成する複数の開口(複数の突出部材32)は、装置本体1で搬送可能な種々のサイズの記録媒体Pにおける幅方向両端部の角部の位置に対して、いずれのものとも重ならないようにレイアウトされることが好ましい。
【0039】
また、本実施の形態における搬送装置30において、移動機構31(移動手段)は、突出部材32における突出量T(搬送される記録媒体Pに近づく位置)を可変できるように構成されている。
詳しくは、図2を参照して、装置本体1の搬送経路中には、搬送(通紙)される記録媒体Pの厚さを検出する検出手段としての紙厚センサ47が設置されている。この紙厚センサ47は、給紙部を含めた給紙部から突出部材32の位置に至る記録媒体Pの搬送経路中に設置されていて、記録媒体Pの紙厚を光学的に直接的に検出するものである。
そして、移動機構31(移動手段)は、紙厚センサ47(検出手段)の検出結果に基いて、突出部材32における突出量T(搬送される記録媒体Pに近づく位置)を可変できるように構成されている。具体的に、紙厚センサ47によって記録媒体Pの厚さが大きいと検知された場合には、記録媒体Pの厚さが小さいと検知された場合に比べて、突出部材32における突出量Tが大きくなるように(搬送される記録媒体Pに近づく位置が、記録媒体Pにより近づく位置になるように)可変制御される。
【0040】
なお、本実施の形態では、上述した可変制御をおこなう際に、紙厚センサ47によって直接的に検出される記録媒体Pの紙厚(厚さ)に基いておこなったが、検出手段によって直接的に検出される記録媒体Pの坪量に基いて上述した可変制御をおこなうこともできるし、検出手段によって間接的に検出される記録媒体Pの厚さ又は坪量に基いて上述した可変制御をおこなうこともできる。これは、記録媒体Pの厚さと坪量とには相関関係があるためである。また、記録媒体Pの厚さ又は坪量を間接的に検出する検出手段としては、ユーザーが装置本体1の操作パネル(不図示である。)に入力した記録媒体Pについての情報等に基いて間接的に検知するものを用いることもできる。
【0041】
そして、このような可変制御をおこなうことにより、厚さや坪量が異なる種々の記録媒体Pに対して、「後端はね音」の発生を確実かつ効率的に低減することができる。
図6は、搬送される記録媒体Pの坪量が異なるときの、突出部材32の突出量T(図3の状態における突出量Tである。)と、後端はね音の音圧レベル(図8等で説明した測定方法で測定されたものである。)と、の関係を示すグラフである。図6において、グラフS1は坪量が360g/m2の記録媒体Pを通紙したときの実験結果であり、グラフS2は坪量が208g/m2の記録媒体Pを通紙したときの実験結果であり、グラフS3は坪量が128g/m2の記録媒体Pを通紙したときの実験結果である。図6の実験結果から、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が大きくなるほど、「後端はね音」の程度が全体的に悪化することがわかる。これは、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が大きくなるほど、記録媒体Pの剛性が高くなって、記録媒体Pの後端が段差を通過した直後に第2ガイド板19Bの側に向けて移動するエネルギーが大きくなるためである。そして、図6の実験結果から、突出部材32の突出量Tを段差t(1.0mm)より大きく設定することにより「後端はね音」の程度を小さくすることができて、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が大きくなるほど突出量Tを大きくしたときの消音効果が大きくなることがわかる。これは、記録媒体Pの坪量(又は厚さ)が変化すると、記録媒体Pの剛性も変化するため、記録媒体Pの湾曲形状をなだらかにするための適正な突出量Tが変化するためと考えられる。
本実施の形態では、このような実験結果に基いて、紙厚センサ47によって検出された記録媒体Pの厚さ(坪量)の大きさに応じて突出部材32の突出量Tを可変しているため、厚さや坪量が異なる種々の記録媒体Pに対して「後端はね音」の発生を確実かつ効率的に低減することができる。
【0042】
また、本実施の形態において、紙厚センサ47(検出手段)によって検出された記録媒体Pの厚さ(坪量)の大きさに応じた突出量Tの可変制御をおこなう場合に、移動機構31(移動手段)は、搬送される記録媒体Pの厚さ(坪量)が所定値以上のときにのみ、記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する直前に突出部材32を図3の位置に移動させる制御をおこなうことができる。
具体的に、紙厚センサ47(検出手段)によって検出された記録媒体Pの厚さが坪量208g/m2以上に相当するものである場合にのみ、記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する直前に突出部材32を図3の位置に移動させる。これに対して、紙厚センサ47(検出手段)によって検出された記録媒体Pの厚さが坪量208g/m2未満に相当するものである場合(薄紙が通紙される場合である。)には、記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する直前であっても突出部材32を図2の位置に退避させたままにする(突出部材32の移動はおこなわない)。
これは、図6の実験結果から、厚さ(坪量)の小さな記録媒体Pが通紙される場合には、記録媒体Pの剛性も低くて、記録媒体Pの後端が段差を通過した直後に第2ガイド板19Bの側に向けて移動するエネルギーが小さいため、発生する「後端はね音」が小さいためである。そのため、このような場合には、突出部材32の移動制御をおこなわない方が、装置本体1の省エネルギー化や移動機構31の機械的な長寿命化を達成できることになる。
【0043】
なお、本実施の形態では、紙厚センサ47(検出手段)によって検出される記録媒体Pの紙厚や坪量に基いて突出部材32の突出量Tの可変制御をおこなったが、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)が可変される画像形成装置においては、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)に応じて、突出部材32における突出量T(搬送される記録媒体Pに近づく位置)を可変できるように構成することもできる。具体的に、記録媒体Pの搬送速度が速い場合には、記録媒体Pの搬送速度が遅い場合に比べて、突出部材32における突出量Tが大きくなるように(搬送される記録媒体Pに近づく位置が、記録媒体Pにより近づく位置になるように)可変制御することができる。
これは、記録媒体Pの搬送速度が速くなるほど、記録媒体Pの後端が段差を通過した直後に第2ガイド板19Bの側に向けて移動するエネルギーが大きくなって、「後端はね音」の程度が大きくなるためである。
図7は、搬送される記録媒体Pの搬送速度が異なるときの、突出部材32の突出量T(図3の状態における突出量Tである。)と、後端はね音の音圧レベル(図8等で説明した測定方法で測定されたものである。)と、の関係を示すグラフである。図7において、グラフQ1は記録媒体Pの搬送速度が550mm/sのときの実験結果であり、グラフQ2は記録媒体Pの搬送速度が250mm/sのときの実験結果である。図7の実験結果から、記録媒体Pの搬送速度が速くなるほど、「後端はね音」の程度が全体的に悪化することがわかる。そして、記録媒体Pの搬送速度が速くなるほど、突出部材32の突出量Tを大きく設定することで、記録媒体Pの搬送速度が遅いときに生じる「後端はね音」の程度と同等に「後端はね音」を低減することができる。
所定の画像形成装置において、記録媒体Pの搬送速度(プロセス線速)が可変される場合としては、通常の搬送速度で記録媒体Pが通紙される「通常モード」に加えて、定着装置20においておこなわれる定着工程において定着画像の定着性を確保するために通常の搬送速度よりも遅い搬送速度で記録媒体Pが通紙される「低速モード」が選択可能な場合等がある。そして、記録媒体Pの搬送速度の検出は、ユーザーが装置本体1の操作パネル(不図示である。)に入力した「通常モード」や「低速モード」についての情報に基いて間接的におこなってもよいし、図2に示す駆動モータ48(搬送ローラ15、16を回転駆動する速度可変型の駆動モータである。)の入力電流の変化等から直接的におこなってもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態においては、複数のガイド板19A、19B(ガイド部材)をつなぎ合わせて記録媒体Pの搬送経路を形成した場合であって、ガイド部材19A、19Bに段差が形成されてしまっても、段差の位置に対して搬送方向下流側の位置に第2ガイド板19B(ガイド部材)の対向面から突出する突出部材32を移動可能に設けるとともに、突出部材32の対向面の形状を最適化して、記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する直前に突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させている。これにより、段差の位置を記録媒体Pの後端が通過するときに、記録媒体Pの後端が第2ガイド板19Bに強く突き当たって「後端はね音」が生じる不具合を軽減することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置である。)に設置される搬送装置であって、段差を有するガイド部材が設置された搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、レジストローラ17、18に対して搬送方向上流側の位置に配設された搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の位置に設置された搬送装置であっても、段差を有するガイド部材が設置された搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、段差を有するガイド部材19A、19Bの搬送方向下流側に湾曲搬送ガイド部材19C、19D(湾曲搬送経路)が形成された搬送装置30に対して本発明を適用したが、段差を有するガイド部材19A、19Bの搬送方向下流側に湾曲搬送ガイド部材(湾曲搬送経路)が形成されていない搬送経路であっても、記録媒体の後端が段差を通過するときに記録部材の後端がガイド部材に衝突してしまう搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、段差を有するガイド部材19A、19Bが直線状の搬送経路となっている搬送装置30に対して本発明を適用したが、段差を有するガイド部材が曲線状の搬送経路(湾曲搬送経路)となっている搬送経路であっても、記録媒体の後端が段差を通過するときに記録部材の後端がガイド部材に衝突してしまう搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、レジストローラ17、18の近傍配設されたフォトセンサ40によって、記録媒体Pの先端を光学的に検知したタイミングをトリガーとして、予め求められた記録媒体Pの後端が段差の位置を通過する直前のタイミングによって突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させている。
これに対して、記録媒体Pを検知するフォトセンサを突出部材32よりも上流側(記録媒体Pの搬送方向上流側である。)に配設して、記録媒体Pの先端を光学的に検知してから所定時間(フォトセンサの位置から突出部材32の位置に至る搬送距離と、記録媒体Pの搬送速度と、から算出される時間+αである。)が経過した後に、突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させることもできる。
さらには、記録媒体Pを検知するフォトセンサを給紙部の位置に配設して、給紙部における給紙動作が開始されてから所定時間(給紙部の位置から制動板31の位置に至る搬送距離と、記録媒体Pの搬送速度と、から算出される時間+αである。)が経過した後に、突出部材32を記録媒体Pに近づく位置に移動させることもできる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
15、16 搬送ローラ、
17、18 レジストローラ、
19A 第1ガイド板(ガイド部材)、
19B 第2ガイド板(ガイド部材)、
19C 第3ガイド板(湾曲搬送ガイド部材)、
19D 対向ガイド板(湾曲搬送ガイド部材)、
30 搬送装置、
31 移動機構(移動手段)、
32 突出部材、
32a 凸面部、 32b 境界部(凹面部)、 32c 平面部、
33 保持板、 34 ラックギア、 35 ピニオンギア、
40 フォトセンサ(検知手段)、
47 紙厚センサ(検出手段)、 P 記録媒体。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2007−276951号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送装置であって、
記録媒体に対向して当該記録媒体の搬送を案内するとともに、記録媒体との対向面に当該記録媒体から遠ざかる方向に段差を有するガイド部材と、
前記ガイド部材における前記段差の位置に対して記録媒体の搬送方向下流側の位置に配設されるとともに、前記ガイド部材の対向面から記録媒体に近づく方向に突出するように形成された突出部材と、
前記突出部材を、前記段差の高さを越えて記録媒体に近づく位置と、前記段差の高さを越えずに記録媒体から遠ざかる位置と、の間で移動させる移動手段と、
を備え、
前記突出部材は、記録媒体に対向する面が、記録媒体の搬送方向上流側において記録媒体に近づく方向にR状に形成された凸面部と、記録媒体の搬送方向下流側において前記ガイド部材の対向面に対して平行になるように形成された平面部と、を具備するとともに、前記曲面部と前記平面部とを結ぶ境界部がなだらかな凹面で形成され、
前記移動手段は、記録媒体の後端が前記段差の位置を通過する前に前記突出部材を前記遠ざかる位置から前記近づく位置に移動させることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記突出部材における前記近づく位置を可変できるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
搬送される記録媒体の厚さ又は坪量を直接的又は間接的に検出する検出手段を備え、
前記移動手段は、前記検出手段の検出結果に基いて、前記近づく位置を可変することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記検出手段によって記録媒体の厚さ又は坪量が大きいと検知された場合に、記録媒体の厚さ又は坪量が小さいと検知された場合に比べて、前記近づく位置が記録媒体により近づく位置になるように可変することを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
記録媒体の搬送速度を可変できるように構成され、
前記移動手段は、記録媒体の搬送速度に応じて、前記近づく位置を可変することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項6】
記録媒体の搬送速度が速い場合に、記録媒体の搬送速度が遅い場合に比べて、前記近づく位置が記録媒体により近づく位置になるように可変することを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記移動手段は、搬送される記録媒体の厚さ又は坪量が所定値以上の場合にのみ、記録媒体の後端が前記段差の位置を通過する前に前記突出部材を前記遠ざかる位置から前記近づく位置に移動させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項8】
搬送される記録媒体の搬送位置を検知する検知手段を備え、
前記移動手段は、前記検知手段の検知結果に基いて、記録媒体の後端が前記段差の位置を通過する前に前記突出部材を前記遠ざかる位置から前記近づく位置に移動させることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項9】
前記ガイド部材に対して記録媒体の搬送方向下流側の位置に、前記ガイド部材に対向する側が凸状に湾曲するように記録媒体を湾曲させながら当該記録媒体の搬送を案内する湾曲搬送ガイド部材を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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