説明

搬送装置、及び液体注入方法

【課題】 培養容器と流路自身を閉鎖系構造とし、流路への細胞液や培地等を供給するための搬送装置、及び培養容器と流路内への無菌的な細胞や培地等の液体注入方法を提供する。
【解決手段】 駆動ベース27、培養容器20を保持する培養容器ベース21、そして培地や細胞用の細胞バッグ60等を保持する培地ベース32と、着脱することのできる流路40とをリフト98等で保持し、細胞培養装置へ搬送する搬送治具19を構成する。搬送治具19に設置された流路40の一部と細胞バッグ60等を清潔な空間78に入れ、そこで細胞バッグ60等を用いて細胞や培地を流路40内部に供給して、供給後に供給口89を閉じる。搬送治具19により各種ベースと流路を同時に細胞培養装置に設置する。これにより、無菌的な細胞培養を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を培養する細胞培養装置に係り、特に無菌的なクリーン度で効率よく細胞を培養する自動培養技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細胞培養の作業は限りなく除菌されたクリーンルームの中で、厳格な製造工程の下で熟練された作業者の手作業により行われていた。そのため産業化に向けて細胞を大量に培養する場合、作業者の負担の増加と作業者への教育・育成に必要な時間とコスト、人為的なミスや検体の取り違え、さらに菌などを保有するヒトによる生物学的汚染(コンタミネーション)等が生じる可能性があり、それらの対策に多くのコストを要する。そのことが細胞大量培養の産業化において大きな壁となっている。
【0003】
そのため、機器により一連の培養作業を自動化することで、それら問題点を解決させることが期待されている。そこで、現在は多関節型ロボットマニピュレータを用いて、人手の培養作業を模倣する自動化された細胞培養装置が主に開発されている。しかし、人手での培養作業は煩雑な動作によってなされているため、自動培養装置では、人手と同等もしくは単純化し、如何に無菌的に培養容器や培養液のハンドリングを実施する必要がある。
【0004】
このために、例えば特許文献1は、多関節型ロボットマニピュレータにより培養容器の搬送操作や培地交換等を処理する例を提供している。この多関節型ロボットマニピュレータにおいては、それ自身を滅菌することが可能な構成を提示している。
【0005】
また、例えば特許文献2は培養容器と流路自身を密閉系にして処理する方式を提供している。これは、軟骨細胞に高い圧力をかけて培養する装置で、培養容器や流路内を密閉系にして、培養終了後に外気に触れないよう培養容器と一部栓をした流路を取りだす方式で、無菌的に生成した軟骨組織を回収する手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−149268号公報
【特許文献2】特開2002−315566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のような自動培養装置においては、培養容器自身が開放系であるために、フタをあけて培養容器内部を開放する動作が必要となる。そのため、自動培養装置内部の清浄性を保持するため空調機器の大型化を伴う。それにより全体システムが大きくなり、コストがかかる課題がある。
【0008】
特許文献2のような自動培養装置においては、密閉系であるために、内部の無菌性を保持したまま流路を取り付け、かつ培地(培養液)や細胞(細胞懸濁液)を流路内に注入するかが課題である。また、複雑な培養作業を実施する際に、その密閉した流路を装置へ容易に設置ができ、かつ効率的に駆動力を与えるかが課題である。
【0009】
現在、ヒト細胞を使用し、培養で作成した細胞や組織をヒトへ移植する再生医療では、手術室で採取した組織を無菌処理した試験管等に入れて、内部が無菌的状態で運び出し、適正製造基準(GMP:Good Manufacturing Practice)に準拠したクリーンルーム(CPC: Cell Processing Center)内で組織から必要な細胞を単離し、目的の調整を実施して培養する。採取された細胞が製造工程内で一切の汚染なく培養するために、とりわけ厳格なレギュレーションに適合した工程、環境下で人手により製造しなければならない。細胞の培養処理を機械により自動的におこなう自動培養装置においても、その装置で製造した細胞もしくは組織は、製造工程内で一切の菌やウィルス等による生物学的汚染があってはならない。そのような状況下で、上述の開放系培養容器を使用した自動培養装置のシステムをかんがみると、自動培養装置内部を滅菌し、内部を高度なクリーン環境の保持を可能にするには、巨大な空調設備と滅菌設備を要し、その設備自身の製造コストと維持コストが必要となる。また滅菌処理の際にはモーター類の駆動系が耐えられない。
【0010】
そこで、自動培養のための培養容器自身を閉鎖系構造とし、その内部は滅菌処理可能で、外部から駆動力を供給して細胞を培養するシステムが好ましい。しかし、閉鎖系構造の培養容器で培養するためには、その内部へ無菌的に培地や細胞を入れ、培養処理を実施する機構とその制御を如何に簡略、効率化するかが課題となる。
【0011】
本発明の目的は、上記の課題を解決するため、細胞培養装置の閉鎖系流路内へ細胞液等を無菌的に供給するための搬送装置、及び無菌的な細胞液等の液体注入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明においては、培地及び細胞の複数のバッグを搬送及び着脱可能な搬送装置であって、複数のバッグと、複数のバッグの一部から培地及び細胞を供給し、複数のバッグの他の一部へ培地及び細胞を排出する第一の流路群を備える培地ベースを保持する第一の保持具と、細胞を培養する培養容器と、培養容器に培地及び細胞を供給し、培養容器から培地及び細胞を排出する第二の流路群を備える培養容器ベースを保持する第二の保持具と、第一、第二の流路群内の流路の内部における培地及び細胞の送液の量を制御するポンプ部を備える駆動ベースを保持する第三の保持具を備える構成の搬送装置を提供する。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明においては、細胞培養装置に搬送及び着脱する細胞バッグに、細胞を注入する液体注入方法であって、細胞バッグを含む複数のバッグと、複数のバッグの一部から培地及び細胞を供給し、複数のバッグの他の一部へ培地及び細胞を排出する第一の流路群を備える培地ベースと、細胞を培養する培養容器と、培養容器に培地及び細胞を供給し、培養容器から培地及び細胞を排出する第二の流路群を備える培養容器ベースと、第一、第二の流路群内の流路の内部における培地及び細胞の送液の量を制御するポンプ部を備える駆動ベースを保持する保持具を備えた搬送装置を、細胞直接処理区域近傍に搬送し、培地ベースから、流路に接続された細胞バッグを細胞直接処理区域に移動し、当該細胞直接処理区域にて、細胞バッグに細胞を注入し、細胞注入後の細胞バッグを培地ベースに設置した後、細胞培養装置に搬送する液体注入方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、培養容器と流路自身を閉鎖系構造とし、流路への細胞液や培地等を無菌的に供給するための搬送装置を提供することができる。
【0015】
また、培養容器と流路内への無菌的な細胞液や培地等の液体注入方法を提供することができる。
【0016】
さらに、細胞培養装置への閉鎖系流路の設置容易性を備え、細胞を適正製造基準レベルの無菌的なクリーン度で無菌的に効率よく培養する装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一の実施例に係る、駆動ベースを設置した自動培養装置の全体概略構成を示す図である。
【図2】第一の実施例に係る、扉を開けた自動培養装置を示す正面図である。
【図3】第一の実施例に係る、自動培養装置の内部を示す側面図である。
【図4A】第一の実施例に係る、ツメにシール機構を接続前の状態を示す構成図である。
【図4B】第一の実施例に係る、ツメにシールを接続後の状態を示す構成図である。
【図5】第一の実施例に係る、流路を駆動ベースに設置した状態を示す上面構成図である。
【図6】第一の実施例に係る、タンクの構成を示す側面図である。
【図7A】第一の実施例に係る、ポンプがシリンジと接続する前の状態を示す上面図である。
【図7B】第一の実施例に係る、ポンプがシリンジと接続した後の状態を示す上面図である。
【図7C】第一の実施例に係る、ポンプがシリンジと接続する前の状態を示す側面図である。
【図7D】第一の実施例に係る、ポンプがシリンジと接続している状態を示す側面図である。
【図7E】第一の実施例に係る、ポンプがシリンジと接続した後の状態を示す側面図である。
【図8A】第一の実施例に係る、搬送装置に載った状態で細胞バッグへ細胞懸濁液を注入していない状態を示した側面構成図である。
【図8B】第一の実施例に係る、搬送装置に載った状態で細胞バッグへ細胞懸濁液を注入している状態を示した側面構成図である。
【図8C】第一の実施例に係る、搬送装置の構成を示す構成図である。
【図8D】第一の実施例に係る、流路と駆動ベースが搬送装置に載った状態で細胞培養装置に設置する前の状態を示した側面構成図である。
【図8E】第一の実施例に係る、流路と駆動ベースが搬送装置に載った状態から細胞培養装置に設置している状態を示した側面構成図である。
【図8F】第一の実施例に係る、流路と駆動ベースが細胞培養装置に設置した後の状態を示した側面構成図である。
【図9】第一の実施例に係る、自動培養装置全体の制御の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施例について説明するが、実施例を詳細に説明する前に、本発明を概説すると以下の通りである。
【0019】
すなわち、自動培養装置の最も好適な態様においては、閉鎖系流路とその閉鎖系流路内の送液のための駆動ベースと呼ぶ機構を用いて、装置内部の冷蔵室内(4℃程度)にある細胞液や培地を、培養室内(37℃程度)で温めて、培養容器内細胞培養空間に供給する。そのため、閉鎖系流路は主に3つのモジュールから構成した。5℃で冷蔵保存が必要な細胞液や培地、洗浄液や廃液等による培地モジュールと、それら液体をポンプで培養室内へ送液して、タンクで37℃まで温めるポンプモジュール、細胞液や培地をタンクから培養容器内部の培養空間へ送り培養処理をおこなう培養容器モジュールである。培養容器モジュール周辺には顕微鏡があり、培養面の細胞を撮像できる。各モジュールは各々ベースと呼ぶ、その一部に駆動機構を有する保持具に設置する。このベースを脱着可能な搬送装置により、閉鎖系流路は一体で培養装置内部から出入できる。自動培養装置の内部は培養室と冷蔵室、その中間室からなり、各々に扉がある。冷蔵室はおよそ4℃を保持し、培養室内部は37℃、5%二酸化炭素濃度、湿度100%に近い状態を保持する。冷蔵室内に細胞懸濁液や培地、洗浄液と廃液入れ、逆止弁がついた廃液回収口を有する。全く環境の異なる培養室内部と冷蔵室内部それぞれが直接接続して結露と温度ムラが発生しないように、間に中間室を設けることで、送液用のチューブ以外はゴム栓等のシールで区域を分けられる。また中間室にはフィルタ付ファンが設けられ、自動培養装置外部の環境を保持することが可能である。これにより、同一装置内に全く異なる環境であるが細胞にとって最良の環境を設置でき、省スペース化が可能となる。
【0020】
また、ベースを搬送装置にて安全キャビネット(もしくはクリーンベンチ)近くへ移動し、内部が滅菌済みの閉鎖系流路内の空のバッグを消毒して安全キャビネット内部に入れ、細胞懸濁液(もしくは、培地や洗浄液など)をバッグ内部に注入して、注入口をシールすることで、閉鎖系流路外部の環境を問わず、閉鎖系流路内部は無菌状態を保持することができる。本発明の方式では、その閉鎖系流路をベースごと自動培養装置に入れると、駆動機構は閉鎖系流路外部に設置してあるため、自動培養装置の設置場所を問わず、閉鎖系流路内部は無菌状態を保持しながら、細胞播種、培地交換、顕微鏡観察、検査のための廃液回収といった自動細胞培養作業の実施を可能にできる。
【0021】
更なる本発明の特徴は、添付図面を用いて具体的に説明する以下の実施例によって明らかされる。ただし、本実施例は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。なお、本明細書において、上述した駆動ベースに加え、培養容器ベース、培地ベースという用語を用いるが、上述のように保持具としての機能を有するので保持ベースと総称、また、培地ベース、培養容器ベース、駆動ベースを保持する搬送装置の第一、第二、第三の保持具を纏めて保持具と呼ぶ場合がある。
【実施例1】
【0022】
図1は、第一の実施例に係る自動培養装置10の全体概略図である。図2は自動培養装置10の正面図である。図3は自動培養装置10の側面図である。図4A及び4Bは細胞培養室13と冷蔵庫14間のシール33に関する概略図である。図5は流路40の構成に関する概略図である。
図6は流路40の構成部品の一つであるタンク25に関する概略図である。図7A、7B、7C、7D、及び7Eは流路40の構成部品の一つであるポンプ23に関する概略図である。図8A,及び8Bは流路40内へ無菌的な細胞液や培地の供給に関する概略図である。図9は自動培養装置10を動作させるための回路を示すブロック図である。
【0023】
以下、順次説明するように、本実施例の自動培養装置においては、冷蔵保存が必要な細胞液や培地、洗浄液や廃液等による培地モジュール、それら液体をポンプで培養室内へ送液してタンクで温めるポンプモジュール、細胞液や培地をタンクから培養容器内部の培養空間へ送り培養処理をおこなう培養容器モジュールを備えている。各モジュールは、タンクに接続しており、基本的にモジュール同士は接続しない。これにより、モジュール単位での流路製造や、各保持ベースへの設置が可能となり、また各モジュールが独立することで流路の整理とそれに伴う誤接続防止や省スペース化が可能となる。
【0024】
<自動培養装置の構成>
図1、図2、図3及び図4A、図4Bを用いて、自動培養装置10の全体構成について説明する。自動培養装置10は基本的な構成要素として、細胞培養室13、冷蔵庫14、制御部15、中間室16によって構成されている。以下、それぞれの基本構成について説明する。
【0025】
図1に示されるように、自動培養装置10全体は細胞培養室13、冷蔵部を構成する冷蔵庫14、制御部15、中間室16の4区画によって構成されており、細胞培養室扉11と冷蔵庫扉12、中間室扉17を開けることで自動培養装置10内部とアクセスすることが可能である。細胞培養室13には、培養容器20を保持、設置する保持ベース、保持具である培養容器ベース21と、それに接続して回転する回転機構22、培養容器20内の細胞画像を撮像する顕微鏡28とそのステージ29、ポンプ23や弁24といった駆動機構を有してタンク25を含む閉鎖系構造の流路40と接続する、保持ベースとしての駆動ベース27で構成している。回転機構22は駆動ベース27の一端に固定され、回転機構22を介して培養容器ベース21と駆動ベース27は接続されている。さらに内部の駆動機構全てに接続して制御部15と配線するコネクタボード30がある。なお、制御部15とコネクタボード30間の配線は図示を省略した。細胞培養時には、細胞培養室13内部は温度37℃、湿度100%、5%二酸化炭素に近い環境を保持する。ただし、必要に応じて培養容器20を含む周辺部分だけ前述の環境を保持する構造とすることができる。冷蔵庫14には培地ベース32を入れることができ、細胞培養室13、冷蔵庫14、中間室16の3区画を独立したまま流路40のチューブ41のみ通すシール33で、細胞培養室13と冷蔵室14内部の温度を保持して結露を防止することを可能にする。中間室16にはフィルタ51付ファン50がある。フィルタ51は排気口に設置される。このファン50による気流の動きを起し湿度上昇を防止することができる。また、後で詳細に説明する中間室16の入り口には、細胞培養室13内部と冷蔵庫14内部を遮断し、培養液だけ流すシール機構が用いられる。培地ベース32は、シール33を通るチューブ41により、駆動ベース27に接続されている。
【0026】
制御部15は他の区画から独立しており、細胞培養質13や中間室16の下方に設置される。これにより、細胞培養室13内の温度、湿度、二酸化炭素を遮断して、内部の電気機器類を保護している。制御部15には、ファン52があり吸気用フィルタ53と排気用フィルタ54で無菌的に内部の熱を外部に逃がすことを可能にする。ファン52とフィルタ53、54で制御部15の冷却部を構成していることになる。57は制御部15の制御用パネルであり、通常の操作パネル同様、各種ボタンや表示部などを備えており、制御部15の操作に用いる。制御部15は、図示を省略した処理部である中央処理部(CPU)や、制御プログラムやデータを記憶する記憶部であるメモリ等で構成されることはいうまでもない。
【0027】
図2に細胞培養室扉11、冷蔵庫扉12を開けた状態の自動培養装置10の正面からみた各要素機器の配置を示している。細胞培養室13内部の駆動ベース27を中心として、水平方向に、回転を可能とした培養容器20、垂直方向に、細胞液や培地が入った培地ベース32を設置できる冷蔵庫14により構成している。同図や図1から明らかなように、本実施例の自動培養装置10においては、駆動ベース27が設置される空間(第一空間)を第一象限とすると、第一空間と冷蔵部である冷蔵庫14とを仕切る中間室16が第四象限に、培養容器20が保持、戴置される保持部材である培養容器ベース21が第二象限、あるいは回転により第三象限に位置することになる。本実施例の配置構成により、省スペースで、各機器間距離が短い構成となり、第四象限に位置する冷蔵庫14で4℃前後に保存した培地を、第一象限に位置する駆動ベース27上のタンク25で温めて、素早く第二象限に位置する培養空間へ供給することができ、移動による細胞のダメージを最小にすることができる。
【0028】
さて、図2に見るように、細胞を撮像する顕微鏡28は正面から見て第二象限に位置する培養容器20から鉛直方向に構成している。顕微鏡28は、移動やピント合わせのためのステージ29に固定している。これらの配置に関しては、第一象限に位置する駆動ベース27を中心として、全て水平方向に配置や全て鉛直方向に配置なども可能とするが、培養する細胞に応じて最適な配置を選択することができる。冷蔵庫14は、第四象限に位置する中間室16内部にあり、シール33により各々の区間を切り離しているため、流路40内部以外は細胞培養室13と空間が分離している。この構成については図3で詳細を記載したので後で説明する。
【0029】
駆動ベース27には流路40内の送液をするポンプ23、送液の回路を切り替える弁24、培地等をためて温めや液の流れ方向を変えるタンク25といった駆動機構が配置している。これについては詳細を後述する。駆動機構を動作させるため、駆動ベース27背面にコネクタボード30があり、駆動ベース27のコネクタ31に接続できる。コネクタボード30から制御部15へ配線できる。その際、コネクタボード30は細胞培養室13内部の環境を保持したまま、コネクタ31配線を外部の制御部15と接続するため、断熱・防水構造を有している。本図で制御部15は細胞培養室13の鉛直方向に記載しているが、例えば卓上で使用する際には水平方向に設置や、余剰空間に設置してもよい。
【0030】
図3に自動培養装置10の側面からみた各要素機器の配置を示している。温度、湿度といった環境が全く異なる細胞培養室13と冷蔵庫14を同一装置内に配置して、流路40をつなげるため、中間室16とシール33を設置した。細胞培養室13は一般的に37℃、100%湿度を有しており、冷蔵庫14は一般的に内部を4〜5℃で保持しているため、細胞培養室13直近に設置すると結露を発生し、また細胞培養室13内部の温度ムラを生じる。一般的なインキュベーター(細胞培養室)や冷蔵庫は室温や室内の湿度で使用することを想定して設計している。そこで、室内の環境を保持する中間室16を冷蔵庫14と細胞培養室13の間に設けることで、急激な温度変化による結露の発生を防止する。しかし、冷蔵庫14内の培地や洗浄液、細胞懸濁液は流路40を構成するチューブ41を通して細胞培養室13内へ送液可能としたい。
【0031】
そこで、図4A、図4Bに示すようなシール33の溝42にチューブ41を通して、ツメ34にはめ込むことで冷蔵庫14、中間室16、細胞培養室13の空間を分離して、培地や洗浄液、細胞懸濁液を冷蔵庫14から細胞培養室13へ送液可能になる。ツメ34は、細胞培養装置13と中間室16を仕切る壁13Aと、冷蔵庫14と中間室16とを仕切る壁14Aにそれぞれ設けられる。
【0032】
図3において、冷蔵庫14にはその内部を冷却するための冷却器18がある。これは冷却した分の熱を冷蔵庫14外部へ排出する。中間室14内部の温度が上昇しないようにするため、ファン50で自動培養装置10外部からフィルタ51を通した空気を吸入して冷却器18に当て、またフィルタ51を通して自動培養装置10外部へ放出する構成とした。すなわち、冷却器18とファン50、更にはフィルタ51で中間室の冷却部が構成されることとなる。
【0033】
図3の矢印55で空気の流れを示した。これにより中間室16内部の気温と湿度は自動培養装置10外部と同じ状態を保持できる。制御部15内部はコンピューターや電源等発熱するものが多く存在し、内部の熱を放出しなければならない。制御部15内部にホコリが入らないように吸気用フィルタ53を通してファン52で制御部15外部の空気を入れ、また排気用フィルタ54を通して制御部15外部に戻す。空気の流れ56を図3の矢印に示した。これにより例えばクリーンルームの清浄区域で、ホコリなどをまき散らすことを防止して、清浄度を維持可能である。
【0034】
<流路と駆動ベースの構成>
図5、図6、及び図7A−7Eを用いて、本実施例の細胞培養装置における流路40の構成とその駆動方法について説明する。図5は流路40とタンク25と駆動ベース27の全体構成を示した概略図である。図6はタンク25の構成を示した正面図である。図7Aはシリンジ43とポンプ23が分離した状態の上面図を示し、図7Bはシリンジ43とポンプ23が一体になった状態の上面図を示し、図7Cはシリンジ43とポンプ23が分離した状態の側面図を示し、図7Dはシリンジ43をポンプ23にセットしている状態の側面図を示し、図7Eはシリンジ43とポンプ23が一体でシリンジポンプ44となった状態の側面図を示している。シリンジ43は同一軸上を並進することができる。なお、本実施例において、駆動用のポンプとしてシリンジポンプを用いて説明するが、駆動用のポンプとして、チューブポンプなどの他のポンプを用いることもできる。
【0035】
まず、図5の概略図にて閉鎖系構造の流路40の構成について説明する。流路40は、タンク25を中心に、交換可能な、チューブ41、培養容器20、シリンジ43、フィルタ45、タンク25へのフィッティング46、それぞれ液体挿入用のバッグとして機能する細胞バッグ60、培地バッグ61、洗浄液バッグ62、廃液バッグ63、回収バッグ64から構成している。その流路40は駆動機構である流れの方向を変える弁24、送液を行うポンプ23、第二象限に位置する水平方向から、第三象限に位置する垂直方向へ回転軸22aの周りで回転して、培養容器20内の気泡を排除する回転機構22と接続することで、培養容器20内へ細胞液や培地の送液による細胞播種と培地交換、洗浄液による流路洗浄をおこなうことが可能になる。ここで、培養容器20が設置される保持ベースとしての培養容器ベース21の第二象限から第三象限への回転軸22aの周りでの回転とは、図2に見る水平位置から培養容器ベース21を回転機構22により、反時計方向回りに下方に回転させることで実現できる。
【0036】
駆動機構は駆動ベース27に配置しており、湿度等にさらすことのできない配線や機構は全て駆動ベース27内部に入れて、高湿度環境に設置できる。制御部15と接続するため、駆動ベース27には防水対応のコネクタ31があり、駆動ベース27を自動培養装置10内部へ設置した際にこのコネクタ31と接続することで、駆動機構を動作させることができる。
【0037】
流路40の配置については、タンク25を中心として、培養容器20へ送液する第2のモジュールである培養容器モジュール35、冷蔵庫14内の培地類をタンク25へ送液する第1のモジュールである培地モジュール36、流路40内部の送液をするため気体の流れ(方向、流速)を制御する第3のモジュールであるポンプモジュール37、の独立した3つのモジュールに分けられる。このモジュール化により、駆動機構の最適な配置と流路の設置容易性を向上できる。なお、本実施例において、タンク25から第1、第2、第3モジュール各々に接続されたチューブ41を用いて形成される流路40を、それぞれ第1、第2、第3の流路群と呼ぶ場合がある。なお、第1、第2、第3の流路群を構成するチューブ41の途中には、それぞれ弁24からなる第1、第2、第3の弁群が駆動ベース27上に形成されている。
【0038】
図6により、本実施例の第1、第2、第3の各モジュールの中心に設置されるタンク25の構成について説明する。タンク25には培養容器20に対して、注入タンク65と廃液タンク66がある。また、高さに応じて役割の異なるフィッティング46がある。下から第1のフィッティング67、第2のフィッティング68、第3のフィッティング69に分かれている。第1のフィッティング67は注入タンク65側が培養容器20への送液口、廃液タンク66側は廃液バッグ63や回収バッグ64への送液口である。第2のフィッティング68は注入タンク65側が培地モジュール36から送られた細胞懸濁液や培地、洗浄液を注入タンク65内部への注入口で、廃液タンク66側が培養容器20からの廃液を廃液タンク65内部への注入口である。タンク25内に入りうる液体は全てこの第2のフィッティング68に到達しない容量とする。第3のフィッティング69はポンプモジュール37と接続し流路40内送液のための気流制御に使用する。タンク25には送液時、壁面に細胞が残存しないようテーパー47がある。この傾きにより、細胞懸濁液内の細胞のタンク25内残存を防止することができる。細胞播種や培地交換の培養容器20内部へ液体を送液する際には、一度このタンク25内で周辺温度まで温めることが可能である。ヒータを注入タンク65に設置することも可能である。
【0039】
図7A〜図7Eにより、シリンジポンプ44を例示してポンプについて構成を説明する。シリンジポンプ44はモーター70、ボールねじ71、エンコーダ72、駆動台73、シリンジストッパ74、留め具75により図7A、7Cの状態で構成している。シリンジ43内部の気体の流れを一方にする弁76を接続したシリンジ43を2本対向でシリンジストッパ74と駆動台73に設置する。留め具75を引き上げ、図7Dのように回転させて、図7B、7Eのようにシリンジ43を固定する。モーター70の回転により、ボールねじ71で駆動台73が左右に移動することで、常に片側が吸引、一方が吐出の繰り返しが可能となり、層流に近い状態で連続送液を可能とする。ポンプモジュール37の弁24の配置方法でタンク25への気体の吐出、吸引を切り替えることが可能である。閉鎖系状態を保持したまま、シリンジポンプ44を駆動することができる。エンコーダ72による精密制御が可能なため、正確に必要量を送液できる。
<培養容器への細胞懸濁液もしくは培地の注入に関する一連の動作>
以上の各部の構成に基づき、本実施例の自動培養装置の一連の細胞培養動作の一例について説明する。細胞懸濁液もしくは培地をシリンジポンプ44でタンク25の注入タンク65側へ送液する。所定量入ったらフィルタ45から気体を通してチューブ41内の液体を排除したり、また逆向きに送り液体を原点位置まで戻す処理を施して、次回も正確に送液を可能とする。注入タンク65で細胞懸濁液もしくは培地を温める。弁24を介して、シリンジポンプ44で培養容器20へ送液する。その際、培養容器20内の気体や廃液はタンク25内の廃液タンク66側に送られる。ポンプモジュール37の弁24を切り替え、廃液を廃液バッグ63もしくは回収バック64に送る。ポンプモジュール37の弁24を切り替え、洗浄バッグ62内の洗浄液をタンク25の注入タンク65側へ送液する。所定量入ったらフィルタ45から気体を通してチューブ41内の液体を排除したり、また逆向きに送り液体を原点位置まで戻す処理を施して、次回も正確に送液を可能とする。弁24を介して、培養容器20へ洗浄液を送液しないようタンク25内の廃液タンク66側に送る。ポンプモジュール37の弁24を切り替え、廃液を廃液バッグ66に送る。以上の動作を培養期間中、所定の回数繰り返す。流路40内部特に培養容器モジュール35では一方通行で液が流れる。それにより、廃液が培養容器20内の培養空間と培地バッグ61類の回路に戻らずに細胞には常に清潔で新鮮な培地が供給されるため、菌等が入らず清浄環境を保持することを可能にする。
【0040】
<閉鎖系流路内部への液体注入>
図8A〜図8Fを用いて、本実施例における、閉鎖系流路内部への液体注入方法の具体例を説明する。具体的には、一例として、閉鎖系構造を有した流路40内へ細胞懸濁液48の無菌的な注入方法について説明する。細胞懸濁液48以外の液体についても同様の注入法を利用することが出来る。
【0041】
図8Aは流路40内部に細胞懸濁液48を注入していない駆動ベース27と培地ベース32の状態を示し、図8Bは流路40の細胞バッグ60内部に細胞懸濁液48を注入している状態を示す。そして、図8Cにおいて、本実施例に係る搬送装置である、複数の保持具を備える搬送治具19の構成を示し、図8D,8E,8Fにおいて、搬送治具19をもちいて、自動培養装置10へ流路40等の設置方法について説明する。なお、図8Dは自動培養装置10に流路40等を設置する前の状態を示し、図8Eは自動培養装置10に流路40等を設置している状態を示し、図8Fは自動培養装置109に流路40を含む保持ベース等設置した後の状態を示す。
【0042】
まず、各要素の構成について図8Aから説明する。図5の説明で詳述した流路40が設置されている培養容器ベース21、駆動ベース27、培地ベース32は自動培養装置10に設置する前は本実施例に係る搬送治具19に設置している。なお、図示の関係上、培養容器ベース21は図示が省略されている。この搬送治具19は培養容器ベース21、駆動ベース27、培地ベース32を自動培養装置10内部に設置、或いは、取出をすることが可能で、設置後には搬送治具19だけ取り出すことが可能である。培地ベース32の内部には空の細胞バッグ60が入っている。例えば細胞培養用クリーンルーム(CPC)内部であると、これら搬送治具19はクラス10,000の空間77に置ける。適正製造基準(GMP)においては、細胞直接処理区域は安全キャビネット79(クリーンベンチを含む)内部のクラス100の空間78のみである。そこで、エタノール等で入念な消毒処理した、細胞バッグ60のみを安全キャビネット79内部に入れる。なお、200は、クラス10,000の空間77の床面を示している。
【0043】
図8Bに示すように、安全キャビネット79内で処理した細胞懸濁液48をシリンジ等により、細胞バッグ60の中に注入口89から注入する。注入後、細胞バッグ60の注入口89は、シールして流路40の閉鎖系を保持する。細胞懸濁液48が入った細胞バッグ60をクラス100空間78の外に出し、クラス10,000空間77の培地ベース32の中に入れる。本実施例の構成により、事前に流路40は滅菌処理により、クラス100空間78を保持しているため、流路40は、図8Aのようにクラス10,000空間77で存在しても、その内部はクラス100空間78を保持できる。この後、自動培養装置10内へ設置をしても、駆動機構は流路40内部とは接続しないため、自動培養装置10の設置空間に関わらず、閉鎖系構造の流路40内部は常にクラス100空間78を保持することが可能である。
【0044】
図8Cの(a)、(b)は本実施例の複数の保持具を備える搬送治具19の詳細構成を示している。図8Cの(a)は側面図、図8Cの(b)上面図を示している。それ自身駆動ベース保持する第三の保持具であるリフト98は、固定部である搬送治具側ピン90、培養容器ベース保持する第二の保持具92、培地ベースを保持する第一の保持具93を備えており、それぞれに上述した駆動ベース27、培養容器ベース21、培地ベース32が設置可能である。リフト98は上下駆動機構として機能するハンドル99により上下の移動方向96へ動作可能である。搬送治具19には重心安定部として機能するカウンターウェイト97を設置し、リフト98に重量物を設置した際に静止時、移動時の安定性保持が可能である。ハンドル99に替え、モータ等の電動の上下駆動機構を採用することも可能である。
【0045】
次に、図8D〜図8Fを用い、搬送治具19で自動培養装置10へ流路40等を設置する方法について説明する。図8Dに示すように、図8Bで説明した処理後の状態にあり、細胞培養装置10の設置面となる床面200上に位置する搬送治具19は、培養容器ベース21、駆動ベース27、培地ベース32と流路40が設置されており、自動培養装置10内部に挿入可能な高さへハンドル99等の高さ調整機構で調整する。一方、自動培養装置10には、細胞培養室13内へ駆動ベース27挿入時に、案内部として位置調整をする駆動ベースガイド94と装置側ピン91があり、冷蔵庫14内へ培地ベース32挿入時に、案内部として位置調整をする駆動ベースガイド95がある。
【0046】
図8Eのように搬送治具19を自動培養装置10へ挿入した際に、案内部である駆動ベースガイド94と培地ベースガイド95により、位置調整がなされる。このとき、培養容器ベース21が回転機構22に設置するための位置調整も同時になされる。培養容器ベースを保持する第二の保持具92と、図1に示した培養容器ベースツメ100が分離する状態、ピン90が駆動ベース27と分離してピン91と接続する状態、培地ベースを保持する第一の保持具93が培地ベース32と分離する状態になるまで、ハンドル99で、駆動ベース27を保持する第三の保持具であるリフト98を移動方向96へ動作させる。その後、第一、第二、第三の保持具を備えた搬送治具19を自動培養装置10から取り出すと、図8Fのように培養容器ベース21は回転機構22へ、駆動ベース27は細胞培養室13内部へ、培地ベース32は冷蔵庫14内部へ、同時に設置する。この際に、シール33はツメ34(図4A参照)に設置する。その後、細胞培養室扉11と冷蔵庫扉12、中間室扉17を閉じて自動培養処理をおこなう。自動培養処理終了後、図8F,8E,8Dの順に処理をすると自動培養装置11から培養容器ベース21、駆動ベース27、培地ベース32を対応する保持具で保持した搬送治具19で取り出すことができる。
【0047】
<自動培養装置の回路構成>
図9は、本実施例における自動培養装置10における内部機器を制御するための制御パネル(制御部)57の制御系回路の一構成を示すブロック図である。
【0048】
自動培養装置10の制御系回路は、内部バスに接続された、データや指示を入力するための入力部(キーボード、マウス等)81と、自動培養装置10の各動作を制御する中央処理部(CPU)等で構成される制御処理部82と、制御の状況をユーザに示す表示部80と、プログラムやパラメータ等を格納するROM85と、一時的にデータや処理結果を格納するRAM86と、キャッシュ等の動作を行うためのメモリ83と、滅菌処理、ヒータ、ファン、二酸化炭素供給、水供給等の処理をおこない、それらを検出するセンサの出力を利用した自動培養装置10の環境保持装置87と、回転機構22や駆動ベース27等の駆動部、冷蔵庫14内の環境を制御する冷蔵庫制御88、更には上位装置等との通信を行うインタフェースとなる通信部84を備えている。図9に示す通り、駆動部には回転機構22や駆動ベース27を含んでいる。
【0049】
この制御系回路の動作の一例を説明すると、ユーザが入力部81や通信部84から処理するべき培養工程を指示すると、制御処理部82は、ROM85に格納された培養準備プログラムに従って、環境保持装置87の滅菌機能で自動培養装置10の内部を滅菌し、処理終了後に培養環境保持処理を進め、温度37℃、5%二酸化炭素濃度、湿度100%、清潔環境野とし、同時に冷蔵庫制御88をおこなう。そして、制御部82は、ROM85に格納された自動培養プログラムに従って、駆動ベース27のセットを位置センサで感知し、コネクタ31の設置を感知したら、回転機構22、駆動ベース27等の駆動部により、培養容器20での細胞培養処理を実施する。随時、表示部80と通信部84でその処理状況をユーザに示すことができる。細胞培養処理が終了したら、表示部80と通信部84で終了をユーザに示し、駆動ベース27の脱着を感知したら、制御処理部82は、ROM85に格納された終了プログラムに従い、終了処理をおこなう。以上により、自動培養装置10による一連の細胞培養処理を実現することが可能となる。
【0050】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。先にも述べた様に、駆動用ポンプとしてシリンジポンプに代えて、チューブポンプを用いる等、種々の変形が可能である。また、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。
【0051】
また、上述した自動培養装置の制御機構の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いし、それらの一部又は全部を処理部であるCPUで実行するプログラムを作成することによりソフトウェアで実現しても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
10 自動培養装置
11 細胞培養室扉
12 冷蔵庫扉
13 細胞培養室
14 冷蔵庫
15 制御部
16 中間室
17 中間室扉
18 冷却器
19 搬送治具
20 培養容器
21 培養容器ベース
22 回転機構
23 ポンプ
24 弁
25 タンク
27 駆動ベース
28 顕微鏡
29 ステージ
30 コネクタボード
31 コネクタ
32 培地ベース
33 シール
34 ツメ
35 培養容器モジュール(第2のモジュール)
36 培地モジュール(第1のモジュール)
37 ポンプモジュール(第3のモジュール)
40 流路
41 チューブ
42 溝
43 シリンジ
44 シリンジポンプ
45 フィルタ
46 フィッティング
47 テーパー
48 細胞懸濁液
50 ファン(中間室)
51 フィルタ(中間室)
52 ファン(制御部)
53 吸気用フィルタ
54 排気用フィルタ
55 空気の流れ(中間室)
56 空気の流れ(制御部)
57 制御パネル(制御部)
60 細胞バッグ
61 培地バッグ
62 洗浄液バッグ
63 廃液バッグ
64 回収バッグ
65 注入タンク
66 廃液タンク
67 第1のフィッティング
68 第2のフィッティング
69 第3のフィッティング
70 モーター
71 ボールねじ
72 エンコーダ
73 駆動台
74 シリンジストッパ
75 留め具
76 弁
77 クラス10,000の空間
78 クラス100の空間
79 安全キャビネット
80 表示部
81 入力部
82 制御処理部
83 メモリ
84 通信部
85 ROM
86 RAM
87 環境保持装置
88 冷蔵庫制御
89 注入口
90 ピン(搬送治具側)
91 ピン(細胞培養装置側)
92 培養容器ベース保持具
93 培地ベース保持具
94 駆動ベースガイド
95 培地ベースガイド
96 移動方向(上下)
97 カウンターウェイト(おもり)
98 リフト
99 ハンドル
100 培養容器ベースツメ
200 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養装置に培地及び細胞の複数のバッグを搬送及び着脱可能な搬送装置であって、
前記複数のバッグと、前記複数のバッグの一部から前記培地及び細胞を供給し、前記複数のバッグの他の一部へ前記培地及び細胞を排出する第一の流路群を備える培地ベースを保持する第一の保持具と、
前記細胞を培養する培養容器と、前記培養容器に前記培地及び細胞を供給し、前記培養容器から前記培地及び細胞を排出する第二の流路群を備える培養容器ベースを保持する第二の保持具と、
前記第一、第二の流路群内の流路の内部における前記培地及び細胞の送液の量を制御するポンプ部を備える駆動ベースを保持する第三の保持具と、を備える
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第三の保持具は、前記駆動ベースが保持される位置を固定する固定部を有する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第一、第三の保持具は、前記細胞培養装置内に形成された案内部に沿って、前記細胞培養装置への前記培地ベース及び前記駆動ベースの着脱を行う形状を有する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第一、第二及び第三の保持具と、当該搬送装置の接地面との間の距離を変化させる駆動機構を更に備え、
前記駆動機構は、
当該搬送装置が前記細胞培養装置内に挿入された場合、前記接地面との間の距離を変化させ、前記第一、第二及び第三の保持具から、前記培地ベース、前記培養容器ベース、前記駆動ベースを取り外し、前記細胞培養装置内に設置させる
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送装置であって、
当該搬送装置の立脚を安定させる重心安定部を有する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第二の保持具は前記回転機構を介して第三の保持具に接続されている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
細胞培養装置に搬送する細胞バッグに細胞液を注入する液体注入方法であって、
前記細胞バッグを含む複数のバッグと、前記複数のバッグの一部から前記培地及び細胞を供給し、前記複数のバッグの他の一部へ前記培地及び細胞を排出する第一の流路群を備える培地ベースと、前記細胞を培養する培養容器と、前記培養容器に前記培地及び細胞を供給し、前記培養容器から前記培地及び細胞を排出する第二の流路群を備える培養容器ベースと、前記第一、第二の流路群内の流路の内部における前記培地及び細胞の送液の量を制御するポンプ部を備える駆動ベースを保持する保持具を備えた搬送装置を、細胞直接処理区域近傍に搬送し、
前記培地ベースから、前記流路に接続された前記細胞バッグを前記細胞直接処理区域に移動し、前記細胞直接処理区域にて、前記細胞バッグに前記細胞を注入し、
前記細胞を注入後の前記細胞バッグを前記培地ベースに設置した後、前記細胞培養装置に搬送する、
ことを特徴とする液体注入方法。
【請求項8】
請求項7に記載の液体注入方法であって、
前記細胞バッグは、前記細胞を注入する注入口を備え、当該注入口を介して前記細胞を注入する
ことを特徴とする液体注入方法。
【請求項9】
請求項7に記載の液体注入方法であって、
前記搬送装置を前記細胞培養装置に搬送した後、前記保持具から、前記培地ベース、前記培養容器ベース、及び前記駆動ベースを取り外し、前記細胞培養装置内に設置する
ことを特徴とする液体注入方法。
【請求項10】
請求項7に記載の液体注入方法であって、
前記細胞直接処理区域はクラス100空間であり、前記細胞培養装置が設置される場所は、10000空間である
ことを特徴とする液体注入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−217436(P2012−217436A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89325(P2011−89325)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】