説明

搬送装置及び記録装置

【課題】記録媒体を搬送担持体に静電吸着した状態でインク粒子により画像形成する場合、記録媒体表面に分極された電位により画像の乱れを生じさせない。
【解決手段】記録媒体への画像記録前に除電領域で、搬送ベルト31の記録媒体との吸着領域の外側の搬送ベルト31の表面及び記録媒体の表面(記録面)を0V近傍の電位に除電する。さらに、記録媒体への画像記録後に逆電圧印加領域にて、搬送ベルト31の電極層の電極に対し、吸着力電位印加領域での印加電圧とは逆の電圧を印加して、搬送ベルト31の表面と接触する記録媒体の裏面の電位を0V近傍とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送担持体(例えば搬送ベルト)に記録媒体を吸着搬送する搬送装置及び該搬送装置により搬送される記録媒体に対して記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送手段等により搬送される記録媒体に対して記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドのコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができ、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少ない。しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易である。中でも、記録媒体の幅方向に多数の吐出口を配列したラインタイプの記録ヘッドを使用したフルライン型の装置は、記録の一層の高速化が可能である。
【0003】
ところが、フルライン型の装置において、ラインタイプの記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に多数有する装置は、最も上流側位置の記録ヘッドから最も下流側位置の記録ヘッドまでの距離が長くなる。このため、記録領域において記録媒体の含水量が上がると、記録媒体が浮き上がり、記録ヘッドから吐出されたインクが記録媒体の所望の位置に着弾せず、これが記録品位に影響を与えることも考えられる。この影響を防止するため、記録媒体が浮き上がらないように、記録媒体を搬送手段へ付勢する必要がある。
【0004】
記録媒体を搬送手段へ付勢する手段として搬送手段に電極を設け、該電極に電荷を与えて静電気力を発生させ、記録媒体を前記搬送手段に吸着させる方法が一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−284383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録品位の向上のため、記録媒体に画像を形成する画像記録手段と記録媒体搬送担持体との距離を1.0mm以下に設定し、記録に寄与するインク主滴の飛翔速度や飛翔方向に関し外部要因が影響しないよう構成して着弾位置精度の向上が図られている。
【0006】
しかしながら、記録媒体が搬送担持体に進入し、搬送担持体電極層の電極に静電吸着力を発生させる電圧印加手段により印加が行われると、記録媒体内部が分極状態となり記録媒体表面(記録面)に数百Vの電圧が誘起される。
【0007】
吐出されるインク主滴が数十ピコリットル(ピコは一兆分の一)の場合では数百V程度の電圧はあまりインク吐出に影響は無かった。ところが、記録品位向上のためインク主滴は数ピコリットルと極小となると、記録媒体表面電位により飛翔速度、飛翔方向が左右されやすく安定した記録画像を得ることが出来ない。また、記録に寄与するインク主滴のほかに微少なミスト状の小滴が発生することがあるが、その発生が多くなる虞があった。さらに、発生したミストが記録媒体表面に誘起された電圧の影響で帯電され記録方向に逆行して、記録ヘッドノズル面に付着し不吐出現象を発生させる虞もあった。
【0008】
また、最近では記録媒体の片面に対して記録を行うのみならず、記録媒体の両面に記録を行うことが要求されることが多くなってきた。
【0009】
記録媒体の両面に記録を行う場合には、まず、第一面に対して記録ヘッドによるインク吐出を行い、次に第二面に対して記録ヘッドによりインク吐出を行う。この場合、記録媒体の第一面に記録を行うと、記録媒体の含水量が増加するため、記録媒体が片面に対する記録よりも大きく膨潤し、波うち(いわゆるコックリング)が発生することがあり、記録品位に影響を与えることがある。
【0010】
ここで、上記従来技術を両面搬送にしても、当時として望まれる記録品位を十分に満たすことは可能であるが、近年はより高い記録品位が求められるようになってきている。
【0011】
仮に記録媒体を吸着させるときの帯電量(印加電圧)を低くすれば記録媒体表面に分極される電荷量も小さくなり画像の乱れも生じない。しかしながら、カール癖のある記録媒体、剛性の強い記録媒体などの様々な種類の記録媒体を安定して搬送する必要性があり、記録媒体表面の平滑性の違いを確実に静電吸着させるためには帯電量(印加電圧)を高くせざる得ない。とりわけ、上記両面印字時には記録媒体は第一面の印字により記録媒体の表面抵抗値がインクの水分により低下する。あるいは、記録媒体が膨潤し平滑性が極端にわるくなり搬送担持体と記録媒体の接触面積が低下(吸着しづらくなる)する。
【0012】
また、記録媒体は放置されている環境の湿度の影響を受けやすく湿度条件により記録媒体の表面電位が変化し、吸着しづらい条件になることもある。
【0013】
そこで本発明は、片面/両面記録を行う場合において、記録媒体を搬送担持体に静電吸着する電圧の影響を受けず記録品位の向上が出来また、記録媒体も確実に搬送担持体で吸着搬送出来ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、記録媒体を吸着して搬送するために吸着層と電極層を有する搬送担持体と、前記搬送担持体の前記電極層に電圧を印加して前記搬送担持体の表面に静電吸着力を発生させる電圧印加手段と、前記搬送担持体に静電吸着された前記記録媒体の表面及び、前記搬送担持体の前記記録媒体との吸着領域の外側の表面を除電する除電手段と、を有し、前記記録媒体に画像を記録した後、該記録媒体を排出する搬送装置において、
前記記録媒体への画像記録前に前記除電手段は、前記吸着領域の外側の前記搬送担持体の表面及び前記記録媒体の記録面である表面を0V近傍の電位に除電し、
前記搬送装置は、前記記録媒体への画像記録後に前記搬送担持体の前記電極層の電極に対し、前記電圧印加手段による吸着力発生時の印加電圧とは逆の電圧を印加して、前記搬送担持体の表面と接触する前記記録媒体の裏面の電位を0V近傍とする逆電圧印加手段をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、静電吸着する電圧の影響を受けず記録品位を向上でき、また確実に搬送担持体で記録媒体の吸着搬送を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を適用した記録媒体搬送装置の一態様について詳しく説明する。尚、以下では、インクを吐出して記録を行うインクジェット方式の記録装置に用いられる記録媒体搬送装置を例示している。
【0017】
本実施形態に係る記録媒体搬送装置を備えた記録装置について図面を用いて具体的に説明する。
【0018】
まず、記録装置の全体構成を図面に沿って説明する。自動給送装置を有した記録装置は、給送部、搬送ベルト部(搬送手段、搬送装置)、該搬送ベルト部に付帯される両面搬送部、排出部、記録ヘッド部から構成されている。図1は記録装置1の全体構成を示す断面図であり、図1を用いて、給送部2、搬送ベルト部3、両面搬送部6、記録部7、排出部4の説明を順次行う。
【0019】
給送部2は、紙、布帛、フィルムなどのシート状の記録媒体としての記録媒体Pを積載する圧板21と、記録媒体Pを給送する給送回転体22とがベース20に取り付けられる構成となっている。圧板21はベース20に結合された回転軸aを中心に回転可能で、圧板バネ24により給送回転体22に付勢される。圧板21における給送回転体22と対向する部位には、記録媒体Pの重送を防止する人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離パッド25が設けられている。更に、ベース20には、記録媒体Pの一方向の角部を覆い、記録媒体Pを一枚ずつ分離するための分離爪26、圧板21と給送回転体22の当接を解除する不図示のリリースカムが設けられている。
【0020】
上記構成において、待機状態ではリリースカムが圧板21を所定位置まで押し下げている。これにより、圧板21と給送回転体22の当接は解除される。そして、この状態で搬送ローラ32の有する駆動力が、ギア等により給送回転体22及びリリースカムに伝達されると、リリースカムが圧板21から離れて該圧板21は上昇する。それから、給送回転体22と記録媒体Pが当接し、給送回転体22の回転に伴い記録媒体Pはピックアップされ、給送が開始される。記録媒体Pは、分離爪26によって一枚ずつ分離され、順次後述の搬送ベルト部3に送られる。給送回転体22は、記録媒体Pを搬送ベルト部3に送り込むまで回転した後、再び記録媒体Pと給送回転体22との当接を解除した待機状態となると、搬送ローラ32からの駆動力が切られる。
【0021】
また、給送部2には手差し給送用の給送回転体が備わる。給送回転体90は、コンピュータの記録命令信号に従って回転し、手差しトレイ91上に設置された記録媒体Pを搬送ローラ32の方向へ搬送するものである。
【0022】
搬送ベルト部3は記録媒体Pを搬送ベルト(搬送担持体)31に吸着して搬送するものである。搬送ベルト部3は、記録媒体Pを搬送する搬送ベルト31と、不図示のPEセンサとを有している。
【0023】
搬送ベルト31は記録媒体を搬送ベルト31に吸着するための吸着力発生手段36を有する。
【0024】
搬送ベルト31は、駆動ローラ34によって駆動され、駆動ローラ34、従動ローラである搬送ローラ32及び圧力ローラ35に掛け回されている。尚、搬送ローラ32、駆動ローラ34は、プラテン30に回動可能に取り付けられている。圧力ローラ35は一端がプラテン30に揺動可能に付けられたアーム50の他端に回動可能に付けられ、アーム50がバネ51によって押圧されることで搬送ベルト31に張力(2.0kgf)を付加している。また、プラテン30は搬送ベルト31の下方(搬送ベルト31を挟んで記録ヘッドと反対側)に位置し、搬送ベルト31の下方への変位を規制する役目をしている。
【0025】
搬送ローラ32と対向する位置には、搬送ベルト31と従動するピンチローラ33が当接して設けられている。ピンチローラ33は図示しないバネによって搬送ベルト31に圧接されることで、記録媒体Pを記録ヘッド部へと導く。
【0026】
記録媒体Pが搬送されてくる搬送ベルト部3の入口には、記録媒体Pをガイドする上ガイド27及び下ガイド28が配設されている。また、上ガイド27には記録媒体Pの先端、後端検出をPEセンサ(不図示)に伝えるPEセンサレバー23が設けられている。
【0027】
上記構成において、搬送ベルト部3に送られた記録媒体Pは上ガイド27及び下ガイド28に案内されて、搬送ローラ32とピンチローラ33とのローラ対に送られる。このとき、搬送されてきた記録媒体Pの先端をPEセンサレバー23で検知して記録媒体Pの記録位置を求めている。また、記録媒体Pはモータによって搬送ローラ32を介して搬送ベルト31が回転することで搬送される。
【0028】
また、搬送ローラ32の記録媒体搬送方向における下流側には、画像情報に基づいて画像を形成する記録部7が設けられている。
【0029】
ピンチローラ33近傍でピンチローラ33の搬送方向下流には、搬送ベルト31の表面層に対して記録媒体を静電吸着するための電圧を印加する電圧印加手段としての給電ブラシ52が配置されている。
【0030】
給電ブラシ52近傍からその搬送方向下流の記録部7までの間には、搬送ベルト31に吸着保持された記録媒体Pの表面(記録媒体の記録面)及び、記録媒体吸着領域の外側の搬送ベルト31の表面を非接触で除電する除電手段としての除電部材95が配置されている。除電部材95は、搬送ベルト31の幅以上に搬送ベルト31の搬送方向と直交する方向に沿ってライン状に配置されている。
【0031】
更に、記録部7から駆動ローラ34までの間に、搬送ベルト31の表面に対して、静電吸着力を発生させた電圧の逆電圧を印加する逆電圧印加手段として給電ブラシ96が配置されている。この設置により、記録部7で画像形成された記録媒体を搬送ベルト31より容易に剥離し、排出部4に導くことを可能にしている。
【0032】
尚、記録媒体Pを吸着し保持しつつ移動する搬送ベルト31は、約0.1mm〜0.2mm位の厚みのポリエチレン、ポリカーボネートなどの合成樹脂からできており、無端ベルト形状を成している。
【0033】
搬送ベルト31は、電極板36a及びアース板36bからなる櫛歯状の異極性の電極による吸着力発生手段36と、ベース層36cと、表面層(吸着層)36dとで構成されており(図3)、互いの層は接着剤もしくは熱溶着等の手段により接合されている。
【0034】
ここで吸着力発生手段36について説明する。図2に示すように、吸着力発生手段36は、導電性の金属から成る異極性の電極(電極板36a、アース板36b)を交互に配置して構成される。図3に示すようにそれぞれの歯が独立して櫛歯状を成し、ベルト搬送方向と直交する方向で向かい合うように搬送ベルト31に複数設置されている。搬送ベルト31の幅方向両側端には、それぞれパターンを露出した被給電部である端子36a’、36b’がベルト移動方向で各電極36a、36bの幅よりも長い距離を有して設けられている。それぞれに所定の圧力で接触する導電性の給電ブラシ52(図1)が設けられ、不図示の高圧電源によって電極板36aの端子36a’には正または負の電圧が印加され、アース板36bの端子36b’はアース(グラウンド0V)に落とされている。
【0035】
給電ブラシ52に約0.5kV〜10kVの電圧を印加させることにより、各記録ヘッド7の下方の記録位置で搬送ベルト31に吸着力を発生させる。尚、給電ブラシ52は所定の高電圧を発生する高圧電源(不図示)に接続されており給電ブラシ52の長さ分の接触時間だけ給電が行われる。電極板36aに電圧が与えられると電気力が電極板36aからアース板36bの方向に発生し、電気力線が形成される。そして、電極板36aとアース板36bとの間の電位差により搬送ベルト31の上方位置に吸着力が発生し、記録媒体Pの記録面には、電極板36aに与えられた電圧と同極性の電荷(表面電位)が発生する。記録媒体Pの吸着力としては、電極板36aとアース板36bとの間の導電金属がない部分が最も低い領域となる。
【0036】
記録部7の記録媒体搬送方向下流側に、吸着電圧の逆電圧を印加する給電ブラシ96が配置されている。搬送ベルト31と接触する記録媒体Pの吸着面(裏面)と搬送ベルト31の吸着層36dとにエレクレット現象により残留している電位を、吸着力発生時の逆電圧を印加することによりキャンセルして0V近傍にする。これにより、搬送ベルト31から記録媒体Pを剥離するとき物理的分離機能を付加することなく自然に分離して排出することが出来る。尚、給電ブラシ96は所定の高電圧が発生する高圧電源(不図示)に接続されており給電ブラシ96の長さ分の接触時間だけ給電が行われる。しかし、逆電圧印加範囲が長すぎると、逆電圧にて搬送ベルト31表面層の電荷がキャンセルされた後にも逆電圧が電荷注入されてしまい、結果、記録媒体Pが搬送ベルト31に再吸着してしまう。そのため、給電ブラシ96の長さは搬送ベルト31の電極端子36a’、36b’の幅と同じ程度が好ましい。
【0037】
また、搬送ベルト部3にはクリーニングローラ対38が備わる。クリーニングローラ対38は搬送ベルト31に挟圧して設けられる。これは、搬送ベルト31に付着したインク等の汚れを除去するためにインクを吸収することが可能で、且つ耐久において劣化を防止するために気孔径の小さい(10μm〜30μmが好ましい)連胞のスポンジで形成されている。
【0038】
搬送ベルト31がクリーニングローラ対38で清掃された後、摩擦帯電、剥離帯電等により発生した搬送ベルト31表面層の電荷が、除電ブラシ37によって完全に除去(除電)される。
【0039】
両面搬送部6は、搬送ベルト31により第一面を表面に向けて搬送された記録媒体Pを裏返し、第一面の裏面である第二面を表面にして、搬送ベルト31に再び供給するものである。
【0040】
具体的には、両面搬送部6は次のように記録媒体Pを裏返す。まず、片面(第一面)の記録が完了した記録媒体Pを排出側に搬送し、記録媒体Pの後端が排出ローラ41、拍車42のニップ部に来たとき、排出ローラ41を逆転して記録媒体Pを逆搬送する。記録媒体Pは、図1における搬送ベルト部3の下部に配置された両面搬送路に導き入れられ、両面搬送路内の複数の送りローラにより搬送された後、再び搬送ローラ32とピンチローラ33との間を通して搬送ベルト上に記録媒体Pを供給する。これにより、記録媒体Pに最初に記録を行った面(第一面)と反対側の面(第二面)を表面とし、記録部7の方に向けることができ、両面の記録が可能になる。
【0041】
記録手段としての記録部7は、記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に複数のノズルが配列されたラインタイプのインクジェット記録ヘッドが用いられる。記録媒体Pの搬送方向上流側か記録ヘッド7K(黒)、記録ヘッド7C(シアン)、記録ヘッド7M(マゼンタ)、記録ヘッド7Y(イエロー)の順に所定間隔で配置され、各記録ヘッド7K、7C、7M、7Yはヘッドホルダ7aに取り付けられている。この記録ヘッドは、ヒータ等によりインクに熱を与えることが可能となっている。そして、この熱によりインクは膜沸騰し、この膜沸騰による気泡の成長又は収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッドのノズルからインク滴が吐出されて記録媒体P上に画像が形成される。
【0042】
記録部7は、一端が軸71によって回動可能に固定され、他端に形成された突出部7Bとレール72とが係合し、記録ヘッドのノズル面と記録媒体Pとの距離(紙間)が規定されるようになっている。
【0043】
排出部4は、排出ローラ41と拍車42とによって構成される。記録部7で記録された記録媒体Pは、排出ローラ41と拍車42とに挟まれ搬送されて排出トレイ43に排出される。排出ローラ41は、不図示の伝達手段によって駆動ローラ34の回転力によって駆動される。尚、拍車42とは、記録後の記録面を転走するため、記録媒体との接触面積が小さく、記録後の記録面に接触しても該記録媒体の記録像を乱すことがないように構成した回転体である。
【0044】
図3に示すように、プラテン30には、各記録ヘッド7K,7C,7M,7Yに対向する位置に凸部30aが配置され、かつノズル列方向(搬送方向と直交した方向)に各記録ヘッドノズル面(フェース面)と平行に延びている。対向する面30bは予め定められた幅(ベルト搬送方向の幅)を用いる平面であり、各記録ヘッドノズル面に対向した凸部30aは互いに同一平面上に位置している。
【0045】
充分な吸引力を得るために凸部30aは導電性を有する材料からなる。搬送ベルト31と摺動する面30bには、テフロン(登録商標)フィルム又は高分子量ポリエチレンフィルムなどの低摩擦層30c(厚さ:100μm、摩擦係数0.2)が全面に構成されている。このようにして、記録媒体搬送時における搬送ベルト31とプラテン30との摩擦の低減と搬送ベルト回転時の回転負荷の安定化を行うことにより、搬送ベルト31での搬送精度を確保している。
【0046】
電極板36a及びアース板36bからなる櫛歯状電極構造の吸着力発生装置36はベース層36c及び吸着層(表面層)36dとから構成されており、各層は接着もしくは熱溶着等によって互いに接合されている。
【0047】
搬送ベルト31の吸着層36dに、電気抵抗率1011〜1017Ωcm、誘電率4.5以下の高絶縁材料が使用されている。しかし、このように高抵抗率、低誘電率の絶縁部材を搬送ベルト31の吸着層36dに使用する場合は誘電分極した分子の緩和時間が長い、所謂エレクトレット現象を呈する。結果、搬送ベルト31に吸着保持された記録媒体が印加電圧切断後もそのまま吸着保持された状態となる。そのため、画像印字後に記録媒体を搬送ベルト31より剥離することが困難となるという課題がある。
【0048】
本発明者は、上記装置構成に対し、電気抵抗率1011〜1017Ωcm、誘電率4.5以下の高絶縁材料を搬送ベルトの吸着層36dに採用するものの、その上で本発明の手法をとることで、記録後の記録媒体の搬送ベルト31からのスムーズな剥離を実現した。さらに、記録媒体を搬送ベルト31に静電吸着する印加電圧に影響されない、高品位な画像形成と、搬送ベルト31上の記録媒体の搬送安定化も実現している。
【0049】
(第一の実施例)
図4を用いて、本発明の第一の実施例に係る搬送ベルト上の記録媒体の電圧構成について更に詳しく説明する。
【0050】
本発明者は搬送担持体である搬送ベルト31上の記録媒体Pの電位量を下記のように4ブロックに分けて考察した。
【0051】
1.吸着力電位印加領域(図1の押圧ローラであるピンチローラ33から、除電器である除電部材95まで:搬送担持体の電極部印加電圧:ON領域)
この領域では記録媒体が搬送担持体に進入する。そして搬送担持体電極層の電極(36a,36b)に静電吸着力を発生させる電圧印加手段(給電ブラシ52)により電圧印加が行われる。その結果、搬送担持体と記録媒体の裏面(吸着面)とは均一に吸着されるが、それと同時に記録媒体内部が分極状態となり記録媒体の表面(記録面)に電圧が誘起される。
【0052】
また、実際の搬送担持体の幅は搬送可能な記録媒体幅より大きめに構成されているため、記録媒体吸着領域外は電圧印加手段により印加された電位がそのまま搬送担持体の吸着層(表面層)に残留している。
【0053】
2.除電(荷電粒子発生)領域(除電部材95から記録部7の直前:搬送担持体の電極部印加電圧:OFF領域)
この領域では、記録媒体吸着領域外の搬送担持体の表面及び記録媒体の表面(記録媒体の記録面)の電位がイオンなどの荷電粒子吸着によりキャンセルされる。この除電は、搬送担持体の幅と同程度の長さを持つライン状に配置された非接触方式の除電部材95により行われる。このとき、記録媒体搬送担持体吸着層は電気抵抗率が1011〜1017Ωcm、誘電率が4.5以下の高絶縁材料で構成されている。そのため、誘電分極した分子の緩和時間が長いエレクトレット化により搬送担持体に記録媒体Pの吸着搬送に必要な電位が残留していることを本発明者は実験により確認している。
【0054】
本発明者が非接触式の除電部材95を用いたのは、コスト面、装置構成から考えると除電ブラシのような接触式の方が良いが接触式では次の事情があるからである。すなわち、記録媒体の面を擦るため紙粉が発生し、その紙粉が記録印字ヘッドノズル面に付着し不吐出現象を発生させる問題が懸念される。さらに、記録媒体吸着領域外の搬送担持体の表面及び記録媒体P表面(記録媒体の記録面)の電位を減衰させるのではなく極力0Vに短時間でしたいためイオンなどの荷電粒子吸着をもちいた。
【0055】
3.印字領域(記録部7における複数の記録ヘッド直下:搬送担持体の電極部印加電圧:OFF領域)
この領域では、本発明者の実験によると記録媒体表面電位がイオンなどの荷電粒子吸着により0V近傍となる。結果、記録印字に寄与するインク主滴の飛翔速度、飛翔方向に影響を受けさせない着弾位置精度が得られた。また、記録に寄与するインク主滴の他に微少なミスト状の小滴の発生が多くなり、発生したミストが、記録媒体表面に誘起された電圧の影響で帯電され記録方向に逆行することが無くなった。その結果、前記ミストが記録ヘッドノズル面に付着し不吐出現象を発生させるという問題も無くなり高品位な画質を十分に満たすことが可能となった。
【0056】
また、記録媒体搬送担持体の吸着層には上記エレクトレット化により記録媒体の吸着搬送に必要な電位が残留している。したがって、更なる記録品位の向上のため、記録媒体に画像を形成する画像記録手段と記録媒体搬送担持体との距離を1mm以下での記録媒体Pの搬送が達成できた。
【0057】
4.逆電位印加領域(記録部7の直後の給電ブラシ96から駆動ローラ34まで:搬送担持体の電極部印加電圧:ON領域)
この領域では、給電ブラシ96で搬送担持体電極層の電極(36a,36b)に吸着力発生時の逆電圧が印加される。これにより、記録媒体の裏面(吸着面)に残留している電位がキャンセルされて0V近傍となる。この結果、搬送担持体から記録媒体を剥離するとき分離機能を付加することなく自然に分離して排出する事が出来た。
【0058】
記録媒体Pの剛性の強い物は逆電圧を印加しなくても剥離できるが、普通紙(60g/m2〜90g/m2)のようにあまり記録媒体の剛性の強く無い物は自然剥離が出来ず搬送担持体に吸着されたままとなり排紙不良となる。
【0059】
このため、搬送担持体の吸着層に配置されている電極に記録媒体吸着時の印加電圧とは逆の極性の電圧を、記録媒体の剥離の際に印加することにより本発明の目的を達成した。
【0060】
また、前述した実施例においては、搬送担持体として、無端形状のベルト部材を例示したが、これに限るものではない。例えば、ドラム形状のものとしてもよい。
【0061】
また、前述した実施例では定型紙(カット紙)を用いる場合で説明したが、本発明は定型紙に限定されることなくロール形態の用紙の連続搬送においても同様の効果を得ることが出来るものである。
【0062】
また、前述した実施例においては、異なる色のインクで記録する複数個の記録ヘッドを用いるカラー記録用のインクジェット両面記録装置の場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば本発明は、1個の記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置、或いは同一色彩で濃度の異なるインクで記録する複数の記録ヘッドを用いる階調記録用のインクジェット記録装置などに適用できる。つまり本発明は、記録ヘッドの数には関係なく同様に適用ができ、同様の作用効果を達成し得るものである。
【0063】
さらに、記録手段(記録ヘッド)としては、記録ヘッドとインクタンクを一体化したカートリッジタイプのもの、或いは記録ヘッドとインクタンクを別体としこれらをインク供給チューブで接続する構成のものなどが適用される。したがって本発明は、記録手段及びインクタンクの構成がどのようなものであっても、それぞれ同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
【0064】
尚、本発明をインクジェット記録装置に適用する場合には、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体や、ヒータ等の電気熱変換体などを用いる記録手段が使用可能である。中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置において本発明は優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるからである。
【0065】
さらに、記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する方向に移動させつつ記録を行う所謂シリアルタイプの記録装置に対しても、本発明は有効に適用できる。あるいは、記録ヘッドが記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録装置の場合、そのような記録ヘッドは、複数の記録ヘッドの組合せによって、その長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドのいずれであれば良い。
【0066】
加えて、前述したシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、或いは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いた装置に本発明は有効である。あるいは、記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0067】
さらに、前述したインクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末装置として用いられるものがある。その他には、キャリッジに記録ヘッド以外のスキャナ等を装着することが可能なインクジェット入出力装置、リーダ等と組み合わせた複写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態をとるもの等であっても良い。
【0068】
(第二の実施例)
図5および図6を用いて、本発明の第二の実施例について説明する。ここでは、これまでの説明とは異なる点を説明する。
【0069】
両面に記録を行う記録媒体Pを搬送ベルト31に対して吸着する場合、記録媒体Pの第一面を記録し排出する場合と、第一面の記録が終わった後に両面搬送部6で搬送して第二面を記録し排出する場合には、逆印加電圧値を変える必要があることを発明者は発見した。
【0070】
第二面に対して記録を行う際には、記録媒体Pにインク滴が既に打ち込まれており、記録媒体Pの水分量(含水量)が変わっている。含水量が増加すると、記録媒体Pの表面抵抗値が低下する。
【0071】
本発明者の実験では、
1.画像を構成する平均インク打ち込み量0%の記録媒体の表面抵抗値:1011Ωcm程度
2.画像を構成する平均インク打ち込み量25%の記録媒体の表面抵抗値:1010Ωcm程度
3.画像を構成する平均インク打ち込み量50%の記録媒体の表面抵抗値:109Ωcm程度
4.画像を構成する平均インク打ち込み量75%の記録媒体の表面抵抗値:108Ωcm程度
5.画像を構成する平均インク打ち込み量100%の記録媒体の表面抵抗値:107Ωcm程度
であった。記録媒体Pへの記録量が多くなり、記録媒体Pに打ち込まれるインク滴の平均打ち込み量が増加すると、それに比例して、インク内の水分により記録媒体Pの含水量が増加し、記録媒体Pが搬送ベルト31に吸着しづらくなる。
【0072】
このため、図6に示すように、記録装置1内の制御部100にインク滴の打ち込み量(記録量)を算出するドットカウント部103を配設する。そして、第一面の記録を行ったときのドットカウント部103から得られた情報に基づき、搬送ベルト31に記録媒体Pの吸着面(裏面)と搬送ベルト31の吸着力をキャンセルする逆印加電圧を変え、第二面の記録後の排出を行うことにした。
【0073】
第二面の記録媒体Pの表面抵抗値は上記したように、画像を構成するインク打ち込み量により低下しており、搬送担持体電極部の印加電圧:OFFの領域では、記録媒体P吸着面(裏面)と搬送ベルト31の吸着層36dにエレクレット現象により残留している電位は、減衰する。
【0074】
画像を構成するインク打ち込み量0%と同等の電圧を印加すると、残留電荷より逆電荷の方が高くなり次の記録媒体Pの吸着力印加電圧が相殺され低くなってしまう結果、記録媒体Pの搬送ベルト31に対する吸着力が減少してしまう問題が発生する。このため、第一面記録時の、ヘッド制御部に伝送した記録量に対応して逆印加電圧を変える。
【0075】
この結果、第二面の記録を行う場合にも、第一面の記録を行う場合と同様に、安定して記録媒体Pを搬送ベルト31に吸着、剥離することができる。
【0076】
ここで、両面搬送装置及び記録装置の制御部について説明する。図6に示すように、記録装置1の制御部100は、パーソナルコンピュータからの画像情報を処理する画像処理部102と、画像処理部102の情報に基づいて記録部7の駆動制御等を行うヘッド制御部101とを有する。また、画像処理部102は、ヘッド制御部101に伝送された、記録媒体に記録する記録量(即ち、画像を形成するためのドット)をカウントするドットカウント部103と、両面搬送部6内に蓄えられた複数枚の記録媒体それぞれの前記記録量を含む情報を記憶することができるページメモリ(記憶手段)104とを有する。
【0077】
(第三の実施例)
図7を用いて、本発明の第三の実施例について説明する。ここでは、これまでの説明とは異なる点を説明する。
【0078】
以下に説明する実施例は、前述した第一の実施例および第二の実施例の両方もしくはいずれか一方に追加することが可能である。
【0079】
具体的に説明すると、本実施例の記録装置は、前述した第一および第二の実施例の両方もしくは一方の構成に加えて、記録部7の記録媒体搬送方向下流に記録媒体搬送担持体の表面近傍の湿度を検出する湿度検出手段(不図示)が設置されている。
【0080】
大気中の湿度に応じて記録媒体Pの水分量が増加すると記録媒体Pの表面抵抗値が低下することを発明者は発見した。
【0081】
本発明者の実験では、記録媒体中の含水分量は湿度:55〜65%RHで5〜7%であるが、冬場は20〜40%RHでは記録媒体中の水分量は大気中に放出される。また、夏場は80〜90%RHでは記録媒体中の水分量は大気中の湿度を吸収して増加する。また、実験により記録媒体の表面抵抗値は、
1.20〜40%RH時の記録媒体の表面抵抗値:1014Ωcm程度
2.55〜65%RH時の記録媒体の表面抵抗値:1011Ωcm程度
3.80〜90%RH時の記録媒体の表面抵抗値:108Ωcm程度
であった。
【0082】
図7の吸着力電位印加領域では記録媒体搬送担持体に一定の電位が印加されるが、各環境にさらされた記録媒体の表面抵抗値は上記のように変化している。このため、逆電位印加領域で搬送担持体に一定の電位を与えると、20〜40%RHの環境にさらされた記録媒体は表面抵抗値が高いため電位がキャンセルされきらず搬送担持体が分離できない。また、80〜90%RHの環境にさらされた記録媒体は表面抵抗値が低いために電位が徐々に減衰してきて、逆電位が電位をキャンセルする以上にある結果、逆に電荷が印加されてしまう現象となる。
【0083】
そこで本発明者は、記録媒体の表面電位に見合った逆電位を搬送担持体に与えることにより記録媒体搬送担持体の電位をキャンセルするよう、記録手段の下流側の搬送担持体近傍の湿度を検出する検出手段を設置した。これにより、検知湿度に見合った逆電位を印加することにより電位をキャンセルし、搬送担持体から記録媒体Pを剥離するとき分離機能を付加することなく自然に分離して排出する事が出来た。
【0084】
具体的には、まず、搬送担持体の表面近傍における不図示の湿度検出手段(湿度センサ)が、搬送担持体の表面近傍の湿度を検知する。次に、記録装置に備わる不図示の制御手段は、湿度センサに検知された湿度を信号化した検知信号を取得し、該検知信号に基づいて記録媒体の含水量を判断する。そして制御手段は、前記含水量の変化に応じて搬送担持体に対して印加する逆印加電圧量を決定する。
【0085】
ここで、制御手段は検知湿度に基づいて印加電圧を決定することとしたが、これに限るものではない。例えば、制御手段が記録ヘッドからのインク打ち込み量を算出することで、記録媒体の含水量の変化を把握してこれに基づいて印加電圧を決定することとしてもよい。あるいは、検知湿度とインク打ち込み量の両方のデータを取得して、これに基づいて印加電圧を決定することとしてもよい。
【0086】
なお、記録媒体両面に記録を行う場合は、湿度の影響度とインクの打ち込み量とを加算して逆電位印加領域での印加電圧を決めることが好ましい。これにより片面記録時/両面記録時において本発明の目的が達成する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態による記録装置の全体説明図。
【図2】本発明の記録装置に使用される搬送ベルトの構成を示す上面図。
【図3】本発明の記録装置に使用されるプラテンの構成を示す断面図。
【図4】第一の実施例による、搬送ベルト上の記録媒体の電圧推移を示すグラフ。
【図5】第二の実施例による、搬送ベルト上の記録媒体の電圧推移を示すグラフ。
【図6】第二の実施例で使用される制御手段を説明する図。
【図7】第三の実施例による、搬送ベルト上の記録媒体の電圧推移を示すグラフ。
【符号の説明】
【0088】
P 記録媒体
1 記録装置
3 搬送ベルト部(搬送手段、搬送装置)
4 両面搬送部(両面搬送部)
7 記録部(記録手段)
31 搬送ベルト(搬送担持体)
36 吸着力発生手段(吸着力発生手段)
36a 電極板(電極)
36b アース板(電極)
52 給電ブラシ(電圧印加手段)
95 除電部材(除電手段)
96 給電ブラシ(逆電圧印加手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を吸着して搬送するために吸着層と電極層を有する搬送担持体と、前記搬送担持体の前記電極層に電圧を印加して前記搬送担持体の表面に静電吸着力を発生させる電圧印加手段と、前記搬送担持体に静電吸着された前記記録媒体の表面及び、前記搬送担持体の前記記録媒体との吸着領域の外側の表面を除電する除電手段と、を有し、前記記録媒体に画像を記録した後、該記録媒体を排出する搬送装置において、
前記記録媒体への画像記録前に前記除電手段は、前記吸着領域の外側の前記搬送担持体の表面及び前記記録媒体の記録面である表面を0V近傍の電位に除電し、
前記搬送装置は、前記記録媒体への画像記録後に前記搬送担持体の前記電極層の電極に対し、前記電圧印加手段による吸着力発生時の印加電圧とは逆の電圧を印加して、前記搬送担持体の表面と接触する前記記録媒体の裏面の電位を0V近傍とする逆電圧印加手段をさらに有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
第一面を表面にして搬送された前記記録媒体を裏返して、該記録媒体を再び前記搬送担持体に供給して第二面を表面にして搬送する両面搬送手段と、前記記録媒体に記録した記録量を記憶する記憶手段とをさらに有し、
前記逆電圧印加手段は、前記記憶手段に記憶された前記第一面への前記記録量に基づいて前記逆の電圧を変化させて印加することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記両面搬送手段は複数枚の前記記録媒体を蓄えることが可能であり、前記記憶手段は、前記複数枚の前記記録媒体それぞれの前記記録量を記憶することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送装置は、前記搬送担持体の表面近傍の湿度を検出する湿度検出手段をさらに有し、
前記逆電圧印加手段は、前記湿度検出手段により検出された値に基づいて前記逆の電圧を変化させて印加することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送担持体の前記吸着層は電気抵抗率が1011〜1017Ωcm、誘電率が4.5以下である高絶縁材料で構成され、かつ、誘電分極した分子の緩和時間が長いエレクトレット化により前記搬送担持体に前記記録媒体の吸着搬送に必要な電位を残留させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送担持体はつなぎ目のない無端形状のベルト部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送担持体の前記電極層は、異極性の櫛歯状の電極を交互に配置して構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記除電手段より記録媒体搬送方向下流側に配置され、前記搬送担持体に静電吸着されている前記記録媒体に画像を記録する記録手段と、
を有する記録装置。
【請求項9】
前記記録手段は、前記記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−120334(P2010−120334A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297966(P2008−297966)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】