説明

搬送装置

【課題】通常運転時の搬送装置の占有空間を小さくしつつ清掃の容易性を高める。
【解決手段】物品を所定の搬送方向に搬送するコンベア10と、コンベア10の下方に配置され、コンベア10から滴り落ちる液体を回収するドレンパン30と、ドレンパン30を支持する支持機構50、60とを備える。ドレンパン30は、コンベア10の下方において搬送方向に沿った第1端31と、コンベア10の側部の下方において搬送方向に沿った第2端32とを有する。支持機構は、ドレンパン30の第1端31を支持する第1支持部50と、ドレンパン30の第2端32を支持する第2支持部60とを有する。第1支持部50は、第1端31を所定高さに支持し、第2支持部60は、第2端32を第1高さ及び第2高さのいずれかで支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送装置に係り、特に清掃の容易性を考慮した搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
瓶、缶、PETボトル等の容器を搬送するコンベアでは、搬送面の表面に潤滑材が塗布されうる。また、洗浄された容器の表面には水が残っている場合がある。また、冷却された内容物が充填された容器の表面は結露しうる。このような潤滑剤や水等の液体がコンベアから滴り落ちて床面等を汚すことを防止するために、コンベアの下方には、液体を回収するためのドレンパンが配置されることが多い。搬送装置を清浄に保つためには、ドレンパンを定期的に清掃する必要がある。ドレンパンを清掃するためには、搬送装置を停止させ分解することが一般的である。
【0003】
特許文献1には、清掃の容易性を考慮したコンベア装置が開示されている。特許文献1に開示されたコンベア装置において、コンベアから滴り落ちる液体が付着しうる天井部材は、その上の構造体との間に開放された空間が確保されるように固定的に配置されている。作業者は、その空間に腕を入れて天井部材を清掃することができる。
【特許文献1】特開平10−226415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたコンベア装置では、天井部材をその上の構造体から十分に離して固定配置することによって天井部材の清掃のための空間が確保されている。しかしながら、このような構造では、潤滑剤等の液体で汚れた天井部材の上面がコンベア装置の外部から必然的に見えるために美観を損なう。また、作業者がコンベア装置の側方から天井部材の奥の方まで腕を入れること、更には奥方の状態の観察を可能にするためには、その分だけ天井部材をその上の構造体から離して低い位置に配置する必要がある。特許文献1に開示された構造では、天井部材が常時低い位置に配置されることになるので、コンベア装置の下方の空間が狭くなり、コンベア装置の下方を作業者が通り抜けることを困難にする。
【0005】
特許文献1には、更に、ごみ受けの高さを調整する機構が開示されているが、その機構は、ごみ受けを上下方向に平行移動させることができるに過ぎない。
【0006】
本発明は、上記の課題認識を基礎としてなされたものであり、例えば、通常運転時の搬送装置の占有空間を小さくしつつ清掃の容易性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は、物品を所定の搬送方向に搬送するコンベアと、前記コンベアの下方に配置され、前記コンベアから滴り落ちる液体を回収するドレンパンと、前記ドレンパンを支持する支持機構とを備える。前記ドレンパンは、前記コンベアの下方において前記搬送方向に沿った第1端と、前記コンベアの側部の下方において前記搬送方向に沿った第2端とを有する。前記支持機構は、前記ドレンパンの前記第1端を支持する第1支持部と、前記ドレンパンの前記第2端を支持する第2支持部とを有する。前記第1支持部は、前記第1端を所定高さに支持し、前記第2支持部は、前記第2端を少なくとも第1高さ及び第2高さのいずれかで支持するように構成される。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記ドレンパンは、前記第2端の近傍に廃液口を有し、前記搬送装置は、前記廃液口を通して排出される液体を回収する樋を更に備えることが好ましい。前記樋は、前記第2端が前記第1高さ及び前記第2高さのいずれの高さで支持されている場合においても、前記廃液口を通して排出される液体を回収することができるように配置されることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記第1支持部は、前記ドレンパンの前記第1端をしゅう動自在に支持し、前記ドレンパンは、係合部を有し、前記第2支持部は、前記係合部をガイドするガイド部材を含むことが好ましい。前記ガイド部材は、前記第2端を前記第1高さで支持する第1支持個所及び前記第2端を前記第2高さで支持する第2支持個所を有することが好ましい。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記搬送装置は、前記ドレンパンを2組備えうる。各ドレンパンの第1端は、前記コンベアの中央部の下方において前記第1支持部によって支持されうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば、通常運転時の搬送装置の占有空間を小さくしつつ清掃の容易性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明の好適な実施形態の搬送装置の構成を概略的に示す図である。搬送装置100は、例えば、瓶、缶、PETボトル等の容器に代表される物品1を搬送するように構成されうる。なお、図1及び図2には、搬送対象の物品1の一例として瓶が示されている。
【0014】
搬送装置100は、物品を所定の搬送方向に搬送するコンベア10を有する。コンベア10は、例えば、テーブルトップチェーン式の無端コンベアとして構成されうる。コンベア10の側方には、物品1をガイドするガイド部材20が配置されている。コンベア10の下方には、コンベア10から滴り落ちる液体(例えば、水、潤滑材)90を回収するドレンパン30が配置されている。図1及び図2に示す構成例では、搬送方向を基準として左右に2分割された2組(2列)のドレンパン30が配置されている。各ドレンパン30は、コンベア10の中央の下方において搬送方向に沿った第1端31と、コンベア10の側部の下方において搬送方向に沿った第2端32とを有する。なお、ドレンパンを左右に2分割しない構成例においては、例えば、ドレンパンの第1端は、コンベア10の一方の側部の下方において搬送方向に沿って延び、ドレンパンの第2端は、コンベア10の他方の側部の下方において搬送方向に沿って延びる。
【0015】
各ドレンパン30は、第1支持部50と第2支持部60とを含む支持機構によって支持される。第1支持部50は、ドレンパン30の第1端31を所定高さに支持し、第2支持部60は、ドレンパン30の第2端32を少なくとも第1高さ及び第2高さを含む複数の高さのいずれかで支持する。図示の例では、第2支持部60は、ドレンパン30の第2端32を第1高さ及び第2高さのいずれかで支持するように構成されている。
【0016】
ドレンパン30とその隣のドレンパン30とが対向する部分の上方には、分離版40、80が配置され、ドレンパン30とドレンパン30との隙間にコンベア10から液体が滴り落ちることが防止されている。
【0017】
各ドレンパン30は、第2端32の近傍に廃液口36を有する。廃液口36の下方には、廃液口36を通して排出される液体を回収する樋70が配置されている。ここで、樋70は、ドレンパン30の第2端32が第1高さ及び第2高さのいずれの高さで支持されている場合においても、廃液口36を通して排出される液体を回収することができるように配置されている。
【0018】
図3は、第2支持部60によってドレンパン30の第2端32が第1高さに支持された状態を示す図である。搬送装置100の通常運転時は、ドレンパン30は、図3に示すように支持される。図4は、第2支持部60によってドレンパン30の第2端32が第2高さに支持された状態を示す図である。搬送装置100の清掃時、特に、ドレンパン30の清掃時は、ドレンパン30は、図4に示すように支持される。ここで、第2端32が第1高さに支持された状態(図3)においては、ドレンパン30は、コンベア10から滴り落ちる液体を廃液口36に向けて流すように側方に向かって低くなるようにやや傾斜している。第2端32が第2高さに支持された状態(図4)においては、ドレンパン30とコンベア10との間の空間に作業者が手を入れることができるように、ドレンパン30の傾斜が更に大きくなる。
【0019】
このように、通常の運転時は傾斜を小さくし、清掃作業時は傾斜を大きくする構成、或いは、ドレンパン30の第2端の高さを調整可能な構成によれば、通常運転時における搬送装置100の占有空間を小さくし、また、ドレンパン30の汚れを外部から見えにくくし美観を高めることができる。占有空間の縮小は、例えば、搬送装置100の下方を作業者が通り抜けるようにレイアウトされた工場において作業者の移動を容易にすることに寄与する。また、清掃作業時においては、ドレンパン30の傾斜を大きくすることにより、清掃作業時に使用される水や洗剤の排出を効率化するとともに作業性を向上させることができる他、ドレンパン30の奥方の観察或いは確認を容易にすることができる。
【0020】
第1支持部50は、ドレンパン30の第1端31をしゅう動自在に支持する構成を有しうる。ドレンパン30は、係合部34を有し、第2支持部60は、ドレンパン30の係合部34をガイドするガイド溝62を有するガイド部材として構成されうる。図3に示すように、第2支持部60は、ガイド溝62の一端(第1支持個所)において、ドレンパン30の第2端32が第1高さになるように第2端32を支持する。また、図4に示すように、第2支持部60は、ガイド溝62の他端(第2支持個所)において、ドレンパン30の第2端32が第2高さになるように第2端32を支持する。第1支持部50がドレンパン30の第1端31をしゅう動自在に支持する構成は、構造の単純化に寄与し、第2支持部60がドレンパン30の係合部34をガイドする構成は、ドレンパン30の脱落或いは手前側(コンベア10の側方側)への滑り落ちを防止することに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施形態の搬送装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の搬送装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】通常の運転時の搬送装置の状態を示す図である。
【図4】清掃作業時の搬送装置の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 物品
10 コンベア
20 ガイド部材
30 ドレンパン
31 第1端
32 第2端
34 係合部
36 排出口
40 分離版
50 第1支持部
60 第2四時部
62 ガイド溝
70 樋
80 分離版
90 液体或いは汚れ
100 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を所定の搬送方向に搬送するコンベアと、
前記コンベアの下方に配置され、前記コンベアから滴り落ちる液体を回収するドレンパンと、
前記ドレンパンを支持する支持機構とを備え、
前記ドレンパンは、前記コンベアの下方において前記搬送方向に沿った第1端と、前記コンベアの側部の下方において前記搬送方向に沿った第2端とを有し、
前記支持機構は、前記ドレンパンの前記第1端を支持する第1支持部と、前記ドレンパンの前記第2端を支持する第2支持部とを有し、前記第1支持部は、前記第1端を所定高さに支持し、前記第2支持部は、前記第2端を少なくとも第1高さ及び第2高さのいずれかで支持するように構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記ドレンパンは、前記第2端の近傍に廃液口を有し、前記搬送装置は、前記廃液口を通して排出される液体を回収する樋を更に備え、前記樋は、前記第2端が前記第1高さ及び前記第2高さのいずれの高さで支持されている場合においても、前記廃液口を通して排出される液体を回収することができるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1支持部は、前記ドレンパンの前記第1端をしゅう動自在に支持し、前記ドレンパンは、係合部を有し、前記第2支持部は、前記係合部をガイドするガイド部材を含み、前記ガイド部材は、前記第2端を前記第1高さで支持する第1支持個所及び前記第2端を前記第2高さで支持する第2支持個所を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ドレンパンを2組備え、各ドレンパンの第1端が前記コンベアの中央部の下方において前記第1支持部によって支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−82917(P2006−82917A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268642(P2004−268642)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)