説明

搬送装置

【課題】作業者がレールを横切る際等の邪魔になり難くするとともにコストを低減する。
【解決手段】スキッドバー1,1を下流側へ移動させることにより被搬送物を上流側から下流側へ移動させる搬送ラインTLと、その左右方向の内側に、空荷のスキッドバー11,12を上流側へ移動させる返送ラインRLとを備え、スキッドバー11,12に、その搬送幅方向の内側へ突出する連動部材13,14を設けた。返送ラインRL上で一方のスキッドバー12を返送方向に駆動することにより他方のスキッドバー11も連動して押送される。搬送ラインTLと返送ラインRLとが水平方向に並設されるため、搬送装置全体の高さを低くすることができる。また、連動部材13,14により直線状返送ラインに用いられるフリクションローラ式駆動装置の個数を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状の搬送経路に沿って一対の平行なスキッドバーを往復させ、スキッドバーの下流への移動時に被搬送物を搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車組立ラインにおける車体搬送等、比較的大きな被搬送物を搬送するために用いられる搬送装置として、搬送幅方向に離間した一対の平行なスキッドバー(走行バー、被駆動ロッド等)を搬送用駆動装置により駆動して下流側へ移動させることにより、被搬送物を上流側から下流側へ移動させる直線状の搬送ラインと、被搬送物を次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバーを前記搬送ラインと干渉しない位置へ移動させた状態で、前記空荷のスキッドバーを返送用駆動装置により駆動して上流側へ移動させる、直線状の返送ラインとを備えた搬送装置がある(例えば、特許文献1〜3参照。)。
このような搬送装置は、一対の棒状のスキッドバーを用いて被搬送物を下流側へ搬送することから、被搬送物を支持するフレーム状の台車が不要になるため、搬送装置全体の構成が比較的簡素になるとともに、被搬送物を次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバーが、例えば搬送途中の被搬送物の左右両側又は下側を通って上流側へ返送されるように構成されているため、設置面積が小さくなること等の特長がある。
【0003】
【特許文献1】特開平10−119849号公報(図1−3)
【特許文献2】特許第3736140号公報(図1−2)
【特許文献3】特開2004−114772号公報(図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のような従来の搬送装置においては、搬送レール(送りレール)と返送レール(戻りレール)とが上下に位置しているか、あるいは、返送レールが搬送レールの内斜め下に配置されていることから、搬送装置全体の高さが比較的高くなるため、作業者がレール上を横切る際等に作業者の邪魔になる場合がある。
また、一対のスキッドバーが搬送幅方向に離間した別体であることから、一対のスキッドバーをそれぞれ個別に駆動する返送用駆動装置が直線状の返送ラインの全長にわたって必要になるため、コストが増大する。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、作業者がレールを横切る際等の邪魔になり難くすることができるとともに、コストを低減することができる搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送装置は、前記課題解決のために、搬送幅方向に離間した一対の平行なスキッドバーを搬送用駆動装置により駆動して下流側へ移動させることにより、被搬送物を上流側から下流側へ移動させる直線状搬送ラインと、被搬送物を次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバーを前記搬送ラインと干渉しない位置へ移動させた状態で、前記空荷のスキッドバーを返送用駆動装置により駆動して上流側へ移動させる直線状返送ラインとを有する搬送装置であって、前記搬送ラインの上流側端部と下流側端部との中間部において、前記スキッドバーをそれぞれ支持する、前記搬送ラインで使用する一対の搬送中間レール、並びに、該搬送中間レールよりも搬送幅方向内側に位置し、前記返送ラインで使用する一対の返送中間レールと、前記上流側端部において前記スキッドバーを支持する一対の上流側端部レール、並びに、該上流側端部レールを前記搬送中間レールに接続する搬送位置と前記返送中間レールに接続する返送位置とに搬送幅方向へ移動させる上流側端部レール移動装置と、前記下流側端部において前記スキッドバーを支持する一対の下流側端部レール、並びに、該下流側端部レールを前記搬送中間レールに接続する搬送位置と前記返送中間レールに接続する返送位置とに搬送幅方向へ移動させる下流側端部レール移動装置と、前記返送位置に移動した前記上流側端部レール若しくは下流側端部レール上又は前記返送中間レール上に前記一対のスキッドバーが位置した状態で、一方のスキッドバーを返送方向に駆動することにより他方のスキッドバーも連動して押送されるように、前記一対のスキッドバーに、その搬送幅方向の内側へ突出するように設けられた一対の連動部材と、前記一対のスキッドバーが前記返送中間レール上を返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方のみを駆動する中間返送用フリクションローラ式駆動装置と、前記一対のスキッドバーが前記搬送中間レール上を搬送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する中間搬送用フリクションローラ式駆動装置と、前記上流側端部レール移動装置により前記上流側端部レールとともに移動し、前記一対のスキッドバーが前記上流側端部レール上を搬送又は返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する上流側端部用フリクションローラ式駆動装置と、前記下流側端部レール移動装置により前記下流側端部レールとともに移動し、前記一対のスキッドバーが前記下流側端部レール上を搬送又は返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する下流側端部用フリクションローラ式駆動装置とを備えたものである。
【0007】
ここで、前記連動部材の一方が平面視において他方側へ開口する略コ字状の係合凹部を有するものであり、前記連動部材の他方が前記係合凹部に係合する係合凸部を有するものであると好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る搬送装置によれば、搬送幅方向に離間した一対の平行なスキッドバーを搬送用駆動装置により駆動して下流側へ移動させることにより、被搬送物を上流側から下流側へ移動させる直線状搬送ラインと、被搬送物を次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバーを前記搬送ラインと干渉しない位置へ移動させた状態で、前記空荷のスキッドバーを返送用駆動装置により駆動して上流側へ移動させる直線状返送ラインとを有する搬送装置であって、前記搬送ラインの上流側端部と下流側端部との中間部において、前記スキッドバーをそれぞれ支持する、前記搬送ラインで使用する一対の搬送中間レール、並びに、該搬送中間レールよりも搬送幅方向内側に位置し、前記返送ラインで使用する一対の返送中間レールと、前記上流側端部において前記スキッドバーを支持する一対の上流側端部レール、並びに、該上流側端部レールを前記搬送中間レールに接続する搬送位置と前記返送中間レールに接続する返送位置とに搬送幅方向へ移動させる上流側端部レール移動装置と、前記下流側端部において前記スキッドバーを支持する一対の下流側端部レール、並びに、該下流側端部レールを前記搬送中間レールに接続する搬送位置と前記返送中間レールに接続する返送位置とに搬送幅方向へ移動させる下流側端部レール移動装置と、前記返送位置に移動した前記上流側端部レール若しくは下流側端部レール上又は前記返送中間レール上に前記一対のスキッドバーが位置した状態で、一方のスキッドバーを返送方向に駆動することにより他方のスキッドバーも連動して押送されるように、前記一対のスキッドバーに、その搬送幅方向の内側へ突出するように設けられた一対の連動部材と、前記一対のスキッドバーが前記返送中間レール上を返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方のみを駆動する中間返送用フリクションローラ式駆動装置と、前記一対のスキッドバーが前記搬送中間レール上を搬送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する中間搬送用フリクションローラ式駆動装置と、前記上流側端部レール移動装置により前記上流側端部レールとともに移動し、前記一対のスキッドバーが前記上流側端部レール上を搬送又は返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する上流側端部用フリクションローラ式駆動装置と、前記下流側端部レール移動装置により前記下流側端部レールとともに移動し、前記一対のスキッドバーが前記下流側端部レール上を搬送又は返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する下流側端部用フリクションローラ式駆動装置とを備えたので、被搬送物を次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバーが、直線状搬送ラインを移動中の被搬送物の下側を通って、直線状返送ラインである搬送幅方向内側のレール上を返送されるため、搬送装置全体の設置面積を小さくすることができる。
【0009】
その上、上流側端部レール移動装置及び下流側端部レール移動装置により、一対の上流側端部レール及び下流側端部レールを、搬送中間レールに接続する搬送位置と返送中間レールに接続する返送位置とに搬送幅方向へ移動させる構成であり、直線状搬送ラインと直線状返送ラインとが水平方向に並設されることから、搬送装置全体の高さを低くすることができるため、作業者がレール上を横切る際等に作業者の邪魔になり難く、作業性及び安全性が向上する。
その上さらに、返送位置に移動した上流側端部レール若しくは下流側端部レール上又は返送中間レール上に一対の空荷のスキッドバーが位置した状態では、一方のスキッドバーを返送方向に駆動することにより、連動部材を介して他方のスキッドバーも連動して押送されることから、直線状返送ラインに用いられるフリクションローラ式駆動装置の個数を減らすことができるため、コストを低減することができる。
【0010】
また、前記連動部材の一方が平面視において他方側へ開口する略コ字状の係合凹部を有するものであり、前記連動部材の他方が前記係合凹部に係合する係合凸部を有するものであると、前記効果に加え、直線状返送ライン上に一対の空荷のスキッドバーが位置した状態で前記係合凹部と前記係合凸部とが係合し、前記スキッドバーが搬送方向及び返送方向の両方向に連動するため、一方のスキッドバーを返送方向に駆動すると他方のスキッドバーが同期して確実に押送されるとともに、試運転や調整作業等の際に行われる搬送方向への移動にも対応することができる。
その上、平面視において他方側へ開口する略コ字状の係合凹部は板部材に容易に形成することができるとともに、この係合凹部に係合する係合凸部も容易に形成することができるため、上記のような試運転等の際に好適なものでありながら連動部材のコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、直線状搬送ラインTLでスキッドバー11,12が移動する搬送方向を前(図中矢印A参照。)とし、左右は前方に向かっていうものとする。
図1〜図5は本発明の実施の形態に係る搬送装置の構成を示す概略図であり、図1は全体構成を示す平面図、図2は上流側端部の構成を示す平面図、図3は上流側端部を後方から見た図、図4は下流側端部の構成を示す平面図、図5は中間部の構成を示す平面図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る搬送装置は、左右方向(搬送幅方向)に離間した平行な左右一対のスキッドバー11,12を搬送用駆動装置により駆動して下流側へ(図中矢印A参照。)移動させることにより、スキッドバー11,12の上面に固定した受け具11A,12A(図3参照。)により支持された被搬送物W(図2及び図5参照。)を上流側から下流側へ移動させる直線状搬送ラインTLと、被搬送物Wを次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバー11,12を、左右方向の内側へ移動させて直線状搬送ラインTLと干渉しないようにした状態で、空荷のスキッドバー11,12を返送用駆動装置により駆動して上流側へ(図中矢印B参照。)移動させる直線状返送ラインRLとを有するものである。
なお、搬送装置の上流側端部Uへの被搬送物W(図2参照。)の供給(前工程からの受け取り)及び搬送装置の下流側端部Dからの被搬送物Wの排出(次工程への受け渡し)は、昇降装置に取り付けられたスライドフォーク装置又は昇降機能を持ったオーバーヘッドトラバーサ等により行われる。
【0013】
図1及び図5に示すように、搬送ラインTLの上流側端部Uと下流側端部Dとの中間部Mには、スキッドバー11,12を支持する例えばローラコンベアであり、搬送ラインTLで使用される左右一対の搬送中間レール2,2、及び、搬送中間レール2,2よりも左右方向内側に位置し、スキッドバー11,12を支持する例えばローラコンベアであり、返送ラインRLで使用される左右一対の返送中間レール3,3が敷設される。
【0014】
また、図1〜図3に示すように、上流側端部Uには、スキッドバー11,12を支持する例えばローラコンベアであり、搬送ラインTL及び返送ラインRLで使用される左右一対の上流側端部レール1,1が、ガイド部材25,26によりガイドされて左右方向へ移動可能に支持されており、上流側端部レール1,1は、上流側端部レール移動装置5により駆動されて中間部Mの搬送中間レール2,2に接続する搬送位置と中間部Mの返送中間レール3,3に接続する返送位置とに移動する。
さらに、図1及び図4に示すように、下流側端部Dには、スキッドバー11,12を支持する例えばローラコンベアであり、搬送ラインTL及び返送ラインRLで使用される左右一対の下流側端部レール4,4が、ガイド部材25,26によりガイドされて左右方向へ移動可能に支持されており、下流側端部レール4,4は、下流側端部レール移動装置6により駆動されて中間部Mの搬送中間レール2,2に接続する搬送位置と中間部Mの返送中間レール3,3に接続する返送位置とに移動する。
【0015】
次に、上流側端部Uに設置された上流側端部レール移動装置5及び上流側端部用フリクションローラ式駆動装置7について説明する。
図2及び図3に示すように、ガイド部材25によりガイドされて左右方向へ移動可能な左側の上流側端部レール1は、上流側端部レール移動装置5である後側のエアシリンダ21及び前側のエアシリンダ22により駆動され、図1及び図5に示す中間部Mの左側の搬送中間レール2に接続する搬送位置と左側の返送中間レール3に接続する返送位置とに移動する(前記搬送位置から前記返送位置への移動は図中矢印C参照。)。
また、図2及び図3に示すように、ガイド部材26によりガイドされて左右方向へ移動可能な右側の上流側端部レール1は、上流側端部レール移動装置5である後側のエアシリンダ23及び前側のエアシリンダ24により駆動され、図1及び図5に示す中間部Mの右側の搬送中間レール2に接続する搬送位置と右側の返送中間レール3に接続する返送位置とに移動する(前記搬送位置から前記返送位置への移動は図中矢印D参照。)。
【0016】
図2に示すように、左側の上流側端部レール1には、その前側に、上流側端部用フリクションローラ式駆動装置7であるフリクションローラ式駆動装置15のフリクションローラ15Aとガイドローラ17とが対向するように左右に付設されるとともに、左側の上流側端部レール1の後側には、左右のガイドローラ18,18が対向するように付設されており、これらのフリクションローラ15A(フリクションローラ式駆動装置15)及びガイドローラ17並びにガイドローラ18,18は、前記上流側端部レール移動装置5(エアシリンダ21及び22)により左側の上流側端部レール1とともに移動する。
また、右側の上流側端部レール1には、その前側に、上流側端部用フリクションローラ式駆動装置7であるフリクションローラ式駆動装置16のフリクションローラ16Aとガイドローラ19とが対向するように左右に付設されるとともに、右側の上流側端部レール1の後側には、左右のガイドローラ20,20が対向するように付設されており、これらのフリクションローラ16A(フリクションローラ式駆動装置16)及びガイドローラ19並びにガイドローラ20,20は、前記上流側端部レール移動装置5(エアシリンダ23及び24)により右側の上流側端部レール1とともに移動する。
【0017】
したがって、一対の上流側端部レール1,1が、搬送ラインTL上、すなわち中間部Mの搬送中間レール2,2に接続する搬送位置にある状態で、スキッドバー11,12の側面に圧接されたフリクションローラ15A,16Aをフリクションローラ式駆動装置15,16により回転させて搬送方向Aに駆動することにより、スキッドバー11,12は下流側へ移動するため、搬送中間レール2,2上へ受け渡される。
また、一対の上流側端部レール1,1が、返送ラインRL上、すなわち中間部Mの返送中間レール3,3に接続する返送位置にある状態で、返送中間レール3,3側から受け渡されたスキッドバー11,12の側面にフリクションローラ15A,16Aを圧接し、フリクションローラ式駆動装置15,16によりフリクションローラ15A,16Aを前記回転と逆方向に回転させることにより、スキッドバー11,12は上流側へ移動する。
【0018】
次に、図4を参照して下流側端部Dに設置された下流側端部レール移動装置6及び下流側端部用フリクションローラ式駆動装置10について説明するが、これらの構成及び動作はそれぞれ上述の上流側端部レール移動装置5及び上流側端部用フリクションローラ式駆動装置7と同様であるため、対応する部材等には同一符号を付しており、これらについての詳細説明は省略する。
すなわち、下流側端部レール移動装置6は、上流側端部レール移動装置5と同様にエアシリンダ21及び22並びに23及び24により構成され、その動作も上流側端部レール移動装置5と同様であり、下流側端部レール4,4を中間部Mの搬送中間レール2,2に接続する搬送位置と中間部Mの返送中間レール3,3に接続する返送位置とに移動させることができる。
【0019】
また、下流側端部用フリクションローラ式駆動装置10は、上流側端部用フリクションローラ式駆動装置7と同様にフリクションローラ式駆動装置15及び16により構成され、その動作も上流側端部用フリクションローラ式駆動装置7と同様であり、下流側端部レール4,4が、搬送ラインTL上、すなわち中間部Mの搬送中間レール2,2に接続する搬送位置にある状態で、スキッドバー11,12の側面に圧接されたフリクションローラ15A,16Aをフリクションローラ式駆動装置15,16により回転させて下流側へ移動させることができるとともに、図4に示す下流側端部レール4,4が返送ラインRL上、すなわち中間部Mの返送中間レール3,3に接続する返送位置にある状態で、スキッドバー11,12の側面に圧接されたフリクションローラ15A,16Aをフリクションローラ式駆動装置15,16により前記回転と逆方向に回転させて上流側へ移動させることができる。
【0020】
次に、中間搬送用フリクションローラ式駆動装置8について説明する。
図5に示すように、左側の搬送中間レール2には、その後側に、中間搬送用フリクションローラ式駆動装置8であるフリクションローラ式駆動装置27のフリクションローラ27Aとガイドローラ33とが対向するように左右に付設されるとともに、左側の搬送中間レール2の前側には、中間搬送用フリクションローラ式駆動装置8であるフリクションローラ式駆動装置28のフリクションローラ28Aとガイドローラ34とが対向するように左右に付設される。
また、右側の搬送中間レール2には、その後側に、中間搬送用フリクションローラ式駆動装置8であるフリクションローラ式駆動装置29のフリクションローラ29Aとガイドローラ35とが対向するように左右に付設されるとともに、右側の搬送中間レール2の前側には、中間搬送用フリクションローラ式駆動装置8であるフリクションローラ式駆動装置30のフリクションローラ30Aとガイドローラ36とが対向するように左右に付設される。
【0021】
したがって、上流側端部Uから受け渡された搬送ラインTL上のスキッドバー11に対し、その側面に圧接されたフリクションローラ27A,28Aをフリクションローラ式駆動装置27,28により回転させて搬送方向Aに駆動することにより、また、上流側端部Uから受け渡された搬送ラインTL上のスキッドバー12に対し、その側面に圧接されたフリクションローラ29A,30Aをフリクションローラ式駆動装置29,30により回転させて搬送方向Aに駆動することにより、スキッドバー11,12は下流側へ移動するため、下流側端部Dの下流側端部レール4,4上へ受け渡される。
【0022】
次に、返送ラインRLにおけるスキッドバー11,12の連動及び中間返送用フリクションローラ式駆動装置9について説明する。
図3及び図5に示すように、左右一対のスキッドバー11,12には、左右方向の内側へ突出して対向する連動部材13,14が前後方向の3箇所に設けられており、右側のスキッドバー12の連動部材14には、平面視において左側へ開口する略コ字状の係合凹部14Aが形成され、左側のスキッドバー11の連動部材13には、スキッドバー11,12が返送ラインRL上にある場合に係合凹部14Aに係合する係合凸部13Aが形成されている。
なお、スキッドバー11,12の側面にはフリクションローラ及びガイドローラが接触することから、連動部材13,14はスキッドバー11,12の上面に取り付けられて左右方向の内側へ突出する例えば略水平の板材であるが、係合凸部13Aの前後面には縦板13B,13Bが取り付けられているため、仮に連動部材13,14の高さ方向にずれが生じたとしても、連動部材13と連動部材14とが外れることがない。
【0023】
このようにスキッドバー11,12には前記連動部材13,14が設けられていることから、図5に示す中間部Mの返送中間レール3,3上にあるスキッドバー11,12に対しては、一方のスキッドバー(例えば右側のスキッドバー12)を返送方向Bに駆動することにより他方のスキッドバー(例えば左側のスキッドバー11)も同方向に移動するため、返送中間レール3,3上のスキッドバー11,12を上流側へ移動させる中間返送用フリクションローラ式駆動装置9は、スキッドバー11,12の一方のみを駆動すればよい。
【0024】
よって、図5に示すように、右側の返送中間レール3の後側に、中間返送用フリクションローラ式駆動装置9であるフリクションローラ式駆動装置31のフリクションローラ31Aとガイドローラ37とを対向させて左右に付設し、右側の返送中間レール3の前側に、中間返送用フリクションローラ式駆動装置9であるフリクションローラ式駆動装置32のフリクションローラ32Aとガイドローラ38とを対向させて左右に付設しており、左側の返送中間レール3には中間返送用フリクションローラ式駆動装置9を付設していない。
このような構成により、下流側端部Dから受け渡された返送ラインRL上の一対のスキッドバー11,12の一方のスキッドバー12に対し、その側面に圧接されたフリクションローラ31A,32Aをフリクションローラ式駆動装置31,32により回転させて返送方向Bに駆動することにより、一対のスキッドバー11,12の両方が上流側へ移動するため、上流側端部Uの上流側端部レール1,1上へ受け渡すことができる。
【0025】
なお、連動部材13,14はスキッドバー11,12の前後方向の3箇所ではなく、1箇所、2箇所又は4箇所以上に設けてもよく、このような連動部材13,14の個数は、スキッドバー11,12の長さ等に応じて適宜選択することができる。
また、連動部材13,14は、係合凸部13Aと係合凹部14Aとを形成した構成に限定されるものではなく、例えば一方をピン、他方を穴とする構成や、一方が他方を後押しするようにそれぞれ横設された部材(例えば棒状体、板状体、ブラケット等)としてもよい。
【0026】
ただし、連動部材13,14を係合凸部13Aと係合凹部14Aとが係合する構成又はピンと穴とが係合する構成等、直線状返送ラインRL上に一対の空荷のスキッドバー11,12が位置した状態で、該スキッドバー11,12が搬送方向A及び返送方向Bの両方向に連動する構成とすれば、一方のスキッドバーを返送方向Bに駆動すると他方のスキッドバーが同期して確実に押送されるとともに、試運転や調整作業等の際に行われる搬送方向Aへの移動にも対応することができる。
さらに、本実施の形態のような係合凸部13Aと係合凹部14Aとを係合させる構成によれば、平面視において他方側へ開口する略コ字状の係合凹部14Aは板部材に容易に形成することができるとともに、この係合凹部14Aに係合する係合凸部13Aも容易に形成することができるため、上記のような試運転等の際に好適なものでありながら連動部材13,14のコストを低減することができる。
【0027】
以上の説明においては、図2に示す上流側端部Uの上流側端部レール1,1上のスキッドバー11,12に対しては、その両方を上流側端部用フリクションローラ式駆動装置7(フリクションローラ式駆動装置15,16)が駆動し、図5に示す中間部Mの搬送中間レール2,2上のスキッドバー11,12に対しては、その両方を中間搬送用フリクションローラ式駆動装置8(フリクションローラ式駆動装置27〜30)が駆動し、図4に示す下流側端部Dの下流側端部レール4,4上のスキッドバー11,12に対しては、その両方を下流側端部用フリクションローラ式駆動装置10(フリクションローラ式駆動装置15,16)が駆動する構成を説明したが、搬送ラインTL上のスキッドバー11,12には被搬送物Wが載っているため、必ずしもスキッドバー11,12の両方を駆動する必要はなく、スキッドバー11,12の一方のみを駆動するようにフリクションローラ式駆動装置をレールに付設してもよい。
このように構成しても、前記のとおり返送ラインRL上のスキッドバー11,12は連動部材13,14により連動するため、上流側端部Uの上流側端部レール1,1上のスキッドバー11,12及び下流側端部Dの下流側端部レール4,4上のスキッドバー11,12も、中間部Mの返送中間レール3,3上のスキッドバー11,12と同様に、スキッドバー11,12の一方のみを駆動するフリクションローラ式駆動装置により返送することができる。
【0028】
以上のような構成の搬送装置によれば、被搬送物Wを次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバー11,12が、直線状搬送ラインTLを移動中の被搬送物Wの下側を通って、直線状返送ラインRLである左右方向内側のレール上を返送されるため、搬送装置全体の設置面積を小さくすることができる。
その上、上流側端部レール移動装置5及び下流側端部レール移動装置6により、一対の上流側端部レール1,1及び下流側端部レール4,4を、搬送中間レール2,2に接続する搬送位置と返送中間レール3,3に接続する返送位置とに左右方向へ移動させる構成であり、直線状搬送ラインTLと直線状返送ラインRLとが水平方向に並設されることから、搬送装置全体の高さを低くすることができるため、作業者がレール上を横切る際等に作業者の邪魔になり難く、作業性及び安全性が向上する。
その上さらに、返送位置に移動した上流側端部レール1,1若しくは下流側端部レール4,4上又は返送中間レール3,3上に一対の空荷のスキッドバー11,12が位置した状態では、一方のスキッドバー12を返送方向Bに駆動することにより、連動部材13,14を介して他方のスキッドバー11も連動して押送されることから、直線状返送ラインRLに用いられるフリクションローラ式駆動装置の個数を減らすことができるため、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る搬送装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】上流側端部の構成を示す平面図である。
【図3】上流側端部を後方から見た図である。
【図4】下流側端部の構成を示す平面図である。
【図5】中間部の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0030】
A 搬送方向
B 返送方向
U 上流側端部
D 下流側端部
M 中間部
TL 直線状搬送ライン
RL 直線状返送ライン
W 被搬送物
1 上流側端部レール
2 搬送中間レール
3 返送中間レール
4 下流側端部レール
5 上流側端部レール移動装置
6 下流側端部レール移動装置
7 上流側端部用フリクションローラ式駆動装置
8 中間搬送用フリクションローラ式駆動装置
9 中間返送用フリクションローラ式駆動装置
10 下流側端部用フリクションローラ式駆動装置
11,12 スキッドバー
11A,12A 受け具
13,14 連動部材
13A 係合凸部
13B 縦板
14A 係合凹部
15,16 フリクションローラ式駆動装置
15A,16A フリクションローラ
17,18,19,20 ガイドローラ
21,22,23,24 エアシリンダ
25,26 ガイド部材
27,28,29,30,31,32 フリクションローラ式駆動装置
27A,28A,29A,30A,31A,32A フリクションローラ
33,34,35,36,37,38 ガイドローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送幅方向に離間した一対の平行なスキッドバーを搬送用駆動装置により駆動して下流側へ移動させることにより、被搬送物を上流側から下流側へ移動させる直線状搬送ラインと、被搬送物を次工程へ受け渡した後の空荷のスキッドバーを前記搬送ラインと干渉しない位置へ移動させた状態で、前記空荷のスキッドバーを返送用駆動装置により駆動して上流側へ移動させる直線状返送ラインとを有する搬送装置であって、
前記搬送ラインの上流側端部と下流側端部との中間部において、前記スキッドバーをそれぞれ支持する、前記搬送ラインで使用する一対の搬送中間レール、並びに、該搬送中間レールよりも搬送幅方向内側に位置し、前記返送ラインで使用する一対の返送中間レールと、
前記上流側端部において前記スキッドバーを支持する一対の上流側端部レール、並びに、該上流側端部レールを前記搬送中間レールに接続する搬送位置と前記返送中間レールに接続する返送位置とに搬送幅方向へ移動させる上流側端部レール移動装置と、
前記下流側端部において前記スキッドバーを支持する一対の下流側端部レール、並びに、該下流側端部レールを前記搬送中間レールに接続する搬送位置と前記返送中間レールに接続する返送位置とに搬送幅方向へ移動させる下流側端部レール移動装置と、
前記返送位置に移動した前記上流側端部レール若しくは下流側端部レール上又は前記返送中間レール上に前記一対のスキッドバーが位置した状態で、一方のスキッドバーを返送方向に駆動することにより他方のスキッドバーも連動して押送されるように、前記一対のスキッドバーに、その搬送幅方向の内側へ突出するように設けられた一対の連動部材と、
前記一対のスキッドバーが前記返送中間レール上を返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方のみを駆動する中間返送用フリクションローラ式駆動装置と、
前記一対のスキッドバーが前記搬送中間レール上を搬送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する中間搬送用フリクションローラ式駆動装置と、
前記上流側端部レール移動装置により前記上流側端部レールとともに移動し、前記一対のスキッドバーが前記上流側端部レール上を搬送又は返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する上流側端部用フリクションローラ式駆動装置と、
前記下流側端部レール移動装置により前記下流側端部レールとともに移動し、前記一対のスキッドバーが前記下流側端部レール上を搬送又は返送される際に、前記一対のスキッドバーの一方又は両方を駆動する下流側端部用フリクションローラ式駆動装置と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記連動部材の一方が平面視において他方側へ開口する略コ字状の係合凹部を有するものであり、前記連動部材の他方が前記係合凹部に係合する係合凸部を有するものである請求項1記載の搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−126600(P2009−126600A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300475(P2007−300475)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】