説明

搬送装置

【課題】 搬送経路内が真空の状態で用いられても振動フィーダの振動のバランスを良好に維持して、被搬送物の搬送を円滑に行い得る搬送装置の提供。
【解決手段】 ホッパーから供給された被搬送物を真空状態で処理可能な処理装置側へ搬送するための筒状のトラフと、該トラフをその一方側である処理装置側と該処理装置側の反対側である他方側に往復振動させる振動フィーダと、該振動フィーダの振動を吸収するための弾性復元力を有して、前記トラフの一端側と処理装置を接続する第一ベローズとを備え、該第一ベローズの弾性復元力に等しい弾性復元力を有する第二ベローズが設けられ、該第二ベローズの一端部は前記トラフの他端側に接続され、該第二ベローズの他端部は、位置決めされた支持部材に固定されている構成の搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動フィーダによって、ホッパーから供給された被搬送物を処理装置側へ搬送するよう構成された搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホッパーから供給された被搬送物を振動フィーダの振動搬送によって処理装置側へ搬送するよう構成された搬送装置として、下記特許文献1に示す技術が提案されている。
この搬送装置は、振動フィーダにトラフを備え、トラフの搬送面は囲繞体で囲繞されて囲繞体の内部と外部とが遮断されている。ホッパーと囲繞体の入口側内部、囲繞体の出口側内部と処理装置とは、ベローズ(伸縮継手)を介して連通接続され、ベローズにより振動フィーダの水平方向の力を打ち消すよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−219864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、処理装置の内部を真空にして用いる場合では、搬送装置において被搬送物の搬送経路内が真空になる。そうなると、搬送装置全体が処理装置側へ引かれ、引かれる力に応じた分だけトラフが正規位置から偏移してしまう。このような状態で振動フィーダを駆動すると、振動フィーダの振動のバランスが崩れ、被搬送物の搬送が円滑に行われない。
【0005】
そこで本発明は、搬送経路内が真空の状態で用いられても振動フィーダの振動のバランスを良好に維持して、被搬送物の搬送を円滑に行い得る搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送装置は、ホッパーから供給された被搬送物を真空状態で処理可能な処理装置側へ搬送するための筒状のトラフと、該トラフをその一方側である処理装置側と該処理装置側の反対側である他方側に往復振動させる振動フィーダと、該振動フィーダの振動を吸収するための弾性復元力を有して、前記トラフの一端側と処理装置を接続する第一ベローズとを備え、該第一ベローズの弾性復元力に等しい弾性復元力を有する第二ベローズが設けられ、該第二ベローズの一端部は前記トラフの他端側に接続され、該第二ベローズの他端部は、位置決めされた支持部材に固定されていることを特徴としている。
【0007】
上記構成において、処理装置内を真空にすることで、第一ベローズが処理装置側へ縮む方向に弾性変形するような、トラフを処理装置側へ引く方向の力が発生するものの、第一ベローズの弾性復元力と等しい弾性復元力を有する第二ベローズの他端部が支持部材に固定されていてトラフを処理装置側へ引く方向の力を弾性復元力によって相殺する。このため、処理装置内が真空になってもトラフに偏移がなく、したがって振動フィーダの振動のバランスが崩れることを抑制し、ホッパーからトラフ内に供給された被搬送物は、トラフの往復振動により処理装置側へ円滑に搬送される。
【0008】
また、第二ベローズとして第一ベローズと同様の構成のものを用いることにより、トラフを処理装置側へ引く方向の力に対抗するような特別な弾性体を設計する手間を必要とすることなく、振動フィーダの振動のバランスが崩れることを抑制して、ホッパーからトラフ内に供給された被搬送物を、トラフの往復振動により処理装置側へ円滑に搬送させられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の搬送装置では、処理装置内を真空にすることでトラフを処理装置側へ引く方向の力を、第一ベローズと等しい弾性復元力を有する第二ベローズによって相殺するから、振動フィーダの振動のバランスを良好に維持して、被搬送物の搬送を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示す搬送装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図1の側面図に基づいて、本発明の実施形態に係る搬送装置1の構成を説明する。
搬送装置1は、振動フィーダ2とトラフ3とを有する。振動フィーダ2は、基台Gに、立設した脚部材23,24によって支持されている。振動フィーダ2は振動部21と振動発生部22とから構成され、振動部21が前側(一方側)の脚部材23の上端部に支持され、振動発生部22が後側(他方側)の脚部材24によって支持されている。
【0012】
トラフ3は水平軸Hを軸心とする筒状に形成され、振動フィーダ2の振動部21に一体的に取付けられている。トラフ3の上方にはホッパー8が配置され、被搬送物Sはホッパー8からトラフ3に落下供給される。ホッパー8はその下部に、トラフ3の上部に挿入される供給口部80を有する。
振動フィーダ2は、ホッパー8の供給口部80からトラフ3に供給された被搬送物Sを、トラフ3の前側(一方側)に配置した処理装置9へ搬送するために、トラフ3を前側と処理装置9側の反対側である後側(他方側)とに往復振動させる。
【0013】
搬送装置1は、水平軸Hを軸心とする第一ベローズ4および第二ベローズ5を有する。第一ベローズ4は、振動フィーダ2の振動を吸収するための弾性復元力を有して、トラフ3の前部31と処理装置9の入口部90とを接続する構成である。
トラフ3の前側部分は第一ベローズ4の内部を挿通し、トラフ3の前端部は処理装置9の内部に開放されている。
【0014】
第一ベローズ4は、ステンレス製の伸縮継手であり、前後両端部にフランジ40,41を有し、フランジ40,41の間が伸縮部42とされている。前部のフランジ40が処理装置9の入口部90に連結され、後部のフランジ41がトラフ3の前側途中部分に形成したフランジ310に連結されている。
【0015】
第二ベローズ5は、処理装置9側へトラフ3が引かれる方向の力を弾性復元力によって相殺するための部材である。処理装置9側へトラフ3が引かれる方向の力は、処理装置9の内部を真空にすることにより発生する。
第二ベローズ5の弾性復元力は、第一ベローズ4の弾性復元力に等しく設定されている。第二ベローズ5は、第一ベローズ4と同様の構成を有する。すなわち第二ベローズ5は、ステンレス製の伸縮継手であり、前後両端部にフランジ50,51を有し、フランジ50,51の間が伸縮部52とされている。
【0016】
トラフ3の後部32は第二ベローズ5の内部を挿通しており、トラフ3の後端部が第二ベローズ5の後端部のフランジ51と同一鉛直面にある。第二ベローズ5の前端部のフランジ50が、トラフ3の後側途中部分に形成したフランジ311に連結されている。
【0017】
搬送装置1は、第二ベローズ5の後端部分を位置決め固定することで、不動に支持する支持部材6を有する。支持部材6は上下方向に沿う柱部材60と、梁部材61とから正面視して門型形状に形成されている。柱部材60は左右一対で設けられ(図では一方のみ表れている)、それぞれ基台Gに立設固定されている。梁部材61は左右両側の柱部材60の上部に架渡すように配置されている。第二ベローズ5の後端部のフランジ51が、梁部材61に設けたフランジ62に連結されている。
【0018】
符号33は、鉛直軸Vを軸心としてトラフ3の上部に立設された供給管部材を示している。供給管部材33の上端部にはフランジ330が形成されている。供給管部材33の内部をホッパー8の供給口部80が挿通している。
符号7は、第三ベローズを示している。第三ベローズ7は鉛直軸Vを軸心とし、下端部および上端部にフランジ70,71を有し、フランジ70,71の間が伸縮部72とされている。下端部のフランジ70は供給管部材33のフランジ330に連結されている。上端部のフランジ71はホッパー8のフランジ81に連結されている。
【0019】
上記構成の搬送装置1では、処理装置9の内部を真空にして被搬送物Sを処理する。そうすると搬送装置1のトラフ3の内部も真空になる。したがって、真空の程度に応じた分の力が搬送装置1を処理装置9側へ引く力として発生している。また、ホッパー8から自由落下で、被搬送物Sが供給口部80から、トラフ3内に供給され、トラフ3内に供給された被搬送物Sは、振動フィーダ2の駆動によりトラフ3が水平方向(前後方向)へ往復振動することで、順次処理装置9側に搬送され、供給口部80から処理装置9に供給される。
【0020】
処理装置9の内部を真空にして被搬送物Sを処理すると、搬送装置1のトラフ3の内部も真空になる。したがって、真空の程度に応じた分の力が搬送装置1を処理装置9側へ引く力として発生している。
しかしながら、この処理装置9は第二ベローズ5を有し、第二ベローズ5の前端部分がトラフ3の後部に接続され、第二ベローズ5の後端部分は支持部材6に不動に支持されている。この構成により、第二ベローズ5はその弾性復元力により前記力に抵抗している。つまり第二ベローズ5の弾性復元力は前記力を相殺する方向に働いている。このため、真空の程度に応じた分の力が搬送装置1を処理装置9側へ引く力として発生していても、搬送装置1には、該力が働いていない状態と看做すことができる。
【0021】
処理装置9の内部を真空にすると搬送装置1のトラフ3の内部も真空になり、真空の程度に応じた分の力が搬送装置1を処理装置9側へ引く力として発生すると、第一ベローズ4のみでは、該力に応じた分だけ第一ベローズ4が縮むことになり、第一ベローズ4が縮んだ状態では振動フィーダ2の振動のバランスが崩れ、被搬送物Sの搬送が円滑に行われなくなる。
しかしながら、この実施形態の搬送装置1では、第二ベローズ5がその弾性復元力により前記力を相殺するから、前記力によるトラフ3の偏移がなく、したがって振動フィーダ2の振動のバランスを良好に保つことができ、被搬送物Sの搬送を円滑に行うことができる。
【0022】
また、第二ベローズ5として第一ベローズ4と同様の構成のベローズを用いているから、前記力を相殺することが可能な弾性復元力を有するベローズを特別に設計する必要がなく、製造コストも最小限に抑えることができる。
【0023】
上記実施形態では、処理装置9の内部を真空にすることに伴って生じる、トラフ3を処理装置9側へ引く力をベローズを用いて相殺するよう構成したが、これに限定されず、第二ベローズ5の代わりに、第二ベローズ5(第一ベローズ4)と等しい弾性復元力を有するバネを用いることができ、この場合も上記実施形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0024】
なお真空とは、それに近い状態、あるいは外気圧に対してトラフ3の内部が減圧された状態も含む概念である。すなわち、トラフ3を処理装置9側へ引く力は、処理装置9の内部が真空の状態で発生するが、真空でなくともそれに近い状態、あるいは真空状態に到達するまで外気圧に対してトラフ3の内部が減圧された状態であっても、トラフ3は処理装置9側へ引かれる力を受けることが考えられる。このような、外気圧に対してトラフ3の内部が減圧された状態において、第一ベローズ4が縮もうとする力を第二ベローズ5が、その弾性復元力により相殺する。よってトラフ3の偏移がなく、振動フィーダ2の振動のバランスを良好に保つことができ、被搬送物Sの搬送を円滑に行うことができる。
また、弾性復元力は全く等しくなくとも良い。
【0025】
また、第二ベローズ5やこれに代わるバネを、支持部材60とトラフ3とを接続するよう設ける代わりに、第一ベローズ4と処理装置9の入口部90の間に、前記力に対抗するようトラフ3を後方へ押すバネを設けるようにして、前記力を相殺するよう構成することもできる。
【符号の説明】
【0026】
1…搬送装置、2…振動フィーダ、3…トラフ、4…第一ベローズ、5…第二ベローズ、6…支持部材、9…処理装置、S…被搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパーから供給された被搬送物を真空状態で処理可能な処理装置側へ搬送するための筒状のトラフと、該トラフをその一方側である処理装置側と該処理装置側の反対側である他方側に振動させる振動フィーダと、該振動フィーダの水平方向の力を吸収可能な弾性復元力を有して、前記トラフの一端側と処理装置を接続する第一ベローズとを備え、
該第一ベローズの弾性復元力に等しい弾性復元力を有する第二ベローズが設けられ、該第二ベローズの一端部は前記トラフの他端側に接続され、該第二ベローズの他端部は、位置決めされた支持部材に固定されていることを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−131953(P2011−131953A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290668(P2009−290668)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】