説明

搬送装置

【課題】無端チェーンに給油したオイルが、被搬送物に付着しないようにする。
【解決手段】被搬送物1の側面を支持して搬送するチェーンコンベア2を、被搬送物1の搬送経路側方に設け、チェーンコンベア2を、駆動装置3により駆動回転する無端チェーン5と、被搬送物1に対する支持側に、被搬送物1に対する接当部材6を無端チェーン5の長手方向に多数並べて無端チェーン5に取り付けて構成して、多数の接当部材6の夫々隣接するもの同士に亘って可撓性シート10を取り付けて、被搬送物1に対して無端チェーン5が露出しないように覆ってある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物の側面を支持して搬送するチェーンコンベアを、被搬送物の搬送経路側方に設け、
前記チェーンコンベア夫々を、駆動装置により駆動回転する無端チェーンと、前記被搬送物に対する支持側に、被搬送物に対する接当部材を前記無端チェーンの長手方向に多数並べて前記無端チェーンに取り付けて構成してある搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記搬送装置において、無端チェーンの長手方向に多数並べて取り付けてある接当部材は、夫々独立して無端チェーンに取り付けてあり、また、無端チェーンには摩擦抵抗を低減すべく、潤滑のために給油がなされている。
つまり、無端チェーンに対する給油がないと、潤滑が悪くなり摩擦抵抗が大きくなる。そのために、無端チェーンが過熱して伸びてしまったり、無端チェーンを摺動自在に支持するチェーンレールが、磨耗してしまう等の問題が発生し、被搬送物の搬送に悪影響をもたらすことがあり、給油は不可欠であった(周知技術で特に適切な文献が見当たらない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、給油されたチェーンコンベアによる被搬送物の搬送中に、無端チェーンからオイル粕が飛散して被搬送物に付着すると、その被搬送物を不良品として取り除く必要があり、原材料削減の観点から好ましくなかった。
【0004】
そこで原因を究明した結果、夫々独立して無端チェーンに取り付けてある接当部材間の隙間から、無端チェーンに給油したオイルが磨耗粉と共に遠心力により飛散して、被搬送物に付着することが分かった。
特に、図9に示すように、チェーンコンベアの搬送始端部や搬送終端部において、スプロケットに係合して回転する無端チェーンがスプロケットの回転方向に沿って移動方向を大きく変更するリターン箇所において、無端チェーンの長手方向に並ぶ接当部材同士の間に、大きな隙間が発生し、その隙間を通してオイル粕が遠心力により飛散して被搬送物に付着する(図9の矢印で示す)ことが明らかになった。
【0005】
従って、本発明の目的は、被搬送物の不良品発生を無くすために、上記問題点を解消し、無端チェーンに給油したオイルが、被搬送物に付着しないようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、被搬送物の側面を支持して搬送するチェーンコンベアを、被搬送物の搬送経路側方に設け、前記チェーンコンベアを、駆動装置により駆動回転する無端チェーンと、前記被搬送物に対する支持側に、被搬送物に対する接当部材を前記無端チェーンの長手方向に多数並べて前記無端チェーンに取り付けて構成してある搬送装置であって、前記多数の接当部材の夫々隣接するもの同士に亘って可撓性シートを取り付けて、前記被搬送物に対して前記無端チェーンが露出しないように覆ってあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、多数の接当部材が搬送方向に並んだ状態で一定方向に移動する搬送経路部分においてはもちろんのこと、無端チェーンが、スプロケットの回転方向に沿って移動方向を大きく変更するリターン箇所において、無端チェーンの長手方向に並ぶ接当部材同士の間に、大きな隙間が発生しても、多数の接当部材の夫々隣接するもの同士に亘って可撓性シートを取り付けて、前記被搬送物に対して前記無端チェーンが露出しないように覆ってあるために、遠心力により無端チェーンから飛散するオイル粕があっても、可撓性シートで食止められて、接当部材および接当部材が接当する被搬送物に、オイル粕が付着するのを防止できる。
従って、無端チェーンに給油したオイルが、被搬送物に付着するのを防止できることにより、オイル粕の付着した被搬送物を、不良品として廃棄したりすることをなくすことができ、廃棄ロスに基づくコストアップを防止できるようになった。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記可撓性シートは、前記無端チェーンの長手方向に一連に形成して、前記無端チェーンと前記多数の接当部材との間に取り付けてあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、一連に形成した可撓性シートを無端チェーンに取付けると共に、多数の接当部材を取り付けることにより、隣接する接当部材間に、夫々個別の可撓性シートを取り付けるのに比べて組付け作業性を向上できる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は前記被搬送物がペットボトルであり、弾性材から構成された前記接当部材が前記ペットボトルの胴部に接当するものであるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、弾性材からなる接当部材によりペットボトルの胴部に接当して、傷つけずに搬送できながら、従来装置の場合のように、ペットボトルの表面の凹凸部にオイル粕が付着して、検査装置による検出が困難な場合があっても、本発明の装置においては、搬送中におけるオイル粕の付着を未然に防止して、不良品の発生を減少できる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、各被搬送物に対する搬送方向の端部を係止可能な係止突部が、前記無端チェーンに取り付けられているところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、搬送チェーンに取り付けられた係止突部により、被搬送物を係止して搬送を確実に行え、しかも、たとえ可撓性シートが破損しても、オイル粕の被搬送物に対する付着を、係止突部により防止できる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記チェーンコンベアは、被搬送物の搬送経路の両側方に一対設けて、夫々のチェーンコンベアにおける無端チェーンに取り付けた接当部材により被搬送物を両側から挟みこんで搬送するものであるところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、被搬送物を一対のチェーンコンベアにより挟持して搬送する搬送経路で、両側方からオイル粕等の汚染物が飛散してくるのを、可撓性シートにより食い止めることができるために、被搬送物の品質を落とさずに搬送できるばかりか、被搬送物を両側面から挟持する接当部による摩擦保持力を、飛散オイルなどにより低下することなく確実に維持して搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】装置全体の側面図である。
【図2】搬送駆動部の斜視図である。
【図3】リターン箇所の平面図である。
【図4】縦断正面図である。
【図5】リターン箇所の分解斜視図である。
【図6】要部の作用説明を示す平面図である。
【図7】別実施形態の要部平面図である。
【図8】別実施形態の斜視図である。
【図9】従来例の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6に示すように、被搬送物1としてブロー成形されたペットボトル(PETボトル)を、高い位置から低い位置に(例えば2階から1階に)搬送しながら降下させるコンベアとして、ボトルをその両側から挟みこんで搬送する一対のチェーンコンベア2を設け、そのチェーンコンベア2を、ボトルの搬送経路の両側に設け、駆動モーターなどの駆動装置3とギヤ装置4により同期して互いに逆回転する2本の無端チェーン5と、ボトルに対する挟持部側に、ボトルの胴部に接当支持する接当部材としてゴム製の外観蒲鉾型で筒状のグリッパー6を、無端チェーン5の長手方向に多数並べて、無端チェーン5に付設した複数のプレート7に、夫々取り付けて構成してある。
チェーンコンベア2は、夫々樹脂レール8によりその移動経路を決めてガイドされるように支持されており、チェーンコンベア2には、無端チェーン5にシリコンオイルなどの潤滑油を供給する給油装置9を上下2箇所に配設して、全体としてPETボトルの搬送装置を構成している。
【0018】
前記チェーンコンベア2には、図2〜図5に示すように、多数のグリッパー6の夫々隣接するもの同士に亘ってゴムシートや合成樹脂シートや布などの可撓性シート10を取り付けて、特に、チェーンコンベア2の搬送始端部や搬送終端部において、スプロケット11に係合して回転する無端チェーン5がスプロケット11の回転方向に沿って移動方向を大きく変更するリターン箇所においても、無端チェーン5が径方向の外方に露出しないように覆ってある。
【0019】
つまり、無端チェーン5に給油されたオイルが、図6に示すように、無端チェーン5の磨耗粉と共にオイル粕となって、無端チェーン5の回転に伴う遠心力により隣接するグリッパー6間から飛散するのを(図6に矢印で示す)、可撓性シート10により阻止され、搬送するボトルに付着するのを防止するものである。
【0020】
前記可撓性シート10は、図5に示すように、隣接するプレート7夫々にグリッパー6と共にボルトで取り付ける取付け部12を、その両側部に設けてあり、無端チェーン5の長手方向の中央部に折り山を形成して、隣接するグリッパー6間で、無端チェーン5が径方向の外方に露出しないようにグリッパー6間の隙間変化に応じて折りたたみ自在に構成してある。
【0021】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0022】
〈1〉 前記グリッパー6は、ゴム製に限らず、シリコンゴムや軟質ポリウレタンなどの弾性樹脂であっても良い。
〈2〉 前記被搬送物1は、PETボトルに限らず、他の合成樹脂ボトルでも、ガラス瓶であっても、金属ボトルであっても良い。
〈3〉 前記可撓性シート10は、無端チェーン5の長手方向に一連に帯状に形成して、無端チェーン5と多数のグリッパー6との間に取り付けてあってもよい。
〈4〉 図7に示すように、各被搬送物1に対する搬送方向の端部を係止可能な係止突部13が、無端チェーン5に取り付けられているものでもよい。
〈5〉 本発明の搬送装置は、被搬送物を挟持搬送する一対のチェーンコンベアを設けるものに限らず、図8に示すように、被搬送物の搬送経路の一側法にのみチェーンコンベアを設けて、被搬送物の一側面を支持して搬送する搬送装置に採用することもできる。
【0023】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1 被搬送物
2 チェーンコンベア
3 駆動装置
5 無端チェーン
6 グリッパー
10 可撓性シート
13 係止突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の側面を支持して搬送するチェーンコンベアを、被搬送物の搬送経路側方に設け、
前記チェーンコンベアを、駆動装置により駆動回転する無端チェーンと、前記被搬送物に対する支持側に、被搬送物に対する接当部材を前記無端チェーンの長手方向に多数並べて前記無端チェーンに取り付けて構成してある搬送装置であって、
前記多数の接当部材の夫々隣接するもの同士に亘って可撓性シートを取り付けて、前記被搬送物に対して前記無端チェーンが露出しないように覆ってある搬送装置。
【請求項2】
前記可撓性シートは、前記無端チェーンの長手方向に一連に形成して、前記無端チェーンと前記多数の接当部材との間に取り付けてある請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記被搬送物がペットボトルであり、弾性材から構成された前記接当部材が前記ペットボトルの胴部に接当するものである請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
各被搬送物に対する搬送方向の端部を係止可能な係止突部が、前記無端チェーンに取り付けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記チェーンコンベアは、被搬送物の搬送経路の両側方に一対設けて、夫々のチェーンコンベアにおける無端チェーンに取り付けた接当部材により被搬送物を両側から挟みこんで搬送するものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−46259(P2012−46259A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187255(P2010−187255)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)