説明

搬送装置

【課題】単純な構造で、片持ち支持が可能な搬送装置を提供すること。
【解決手段】 ワークを搬送する搬送装置であって、前記ワークを支持するパレットと、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の一方側を下方から支持し、前記パレットを搬送する搬送ローラ部及び該搬送ローラ部を駆動させる駆動源を有するコンベアと、前記コンベアに沿って延設され、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の他方側と当接し、パレットの上下方向の振れを抑制する上下振れ抑制ガイド部材と、を備えたことを特徴とする搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置により搬送されてきたワークに対して、作業員がワークと向かい合う面だけでなく、搬送方向の前後面にも作業を行う場合がある。この場合、ワークの前後から作業するスペースを設けると、作業効率が向上する。特に、自動車やエンジンのような大きな製品の組み立て工程においては、ワークの下にコンベアがあると、ワークの前後面には手が届かないことから、この手法は有効である。
【0003】
そのため、例えば、自動車の組み立て工程では、ワークを上から吊るして搬送する方式が用いられていることが多い。しかし、この方式では、ワークの横揺れ等を防止するために大きな設備が必要となる。さらに、コンベアはワークの上方にあり、メンテナンスの際、高所での作業が伴う。
【0004】
そこで、有効な対策として、ワークを搬送方向と直交する水平方向(ワーク側面)から支持する片持ち搬送装置が考えられる。片持ち搬送装置として、例えば特許文献1及び2のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−178936号公報
【特許文献2】国際公開第2009/128128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の搬送装置は保持台の側方に設けられた上下のローラが上下それぞれのガイドレールを挟みこむことでワークを保持している。また、特許文献2の搬送装置は保持台の上下のローラがガイドレールを上下から挟みこむことでワークを保持している。
【0007】
しかし、特許文献1及び2の搬送装置ではワークが大型の重量物である場合、強度を確保するためには設備が大掛かりとなる。特に、上記搬送装置は何れも支持点の間隔を広げるためにはガイドレールを上下に広げる必要があり、上記の通りメンテナンス上、高所での作業が伴うことにもなる。
【0008】
そこで、本発明は、単純な構造で、片持ち支持が可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明によれば、ワークを搬送する搬送装置であって、前記ワークを支持するパレットと、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の一方側を下方から支持し、前記パレットを搬送する搬送ローラ部及び該搬送ローラ部を駆動させる駆動源を有するコンベアと、前記コンベアに沿って延設され、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の他方側と当接し、パレットの上下方向の振れを抑制する上下振れ抑制ガイド部材と、を備えたことを特徴とする搬送装置が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、ワークを支持するパレットを搬送する搬送装置であって、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の一方側を下方から支持し、前記パレットを搬送する搬送ローラ部及び該搬送ローラ部を駆動させる駆動源を有するコンベアと、前記コンベアに沿って延設され、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の他方側と当接し、パレットの上下方向の振れを抑制する上下振れ抑制ガイド部材と、ことを特徴とする搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、単純な構造で、片持ち支持が可能な搬送装置を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る搬送装置の斜視図。
【図2A】図1におけるパレットの説明図。
【図2B】図1におけるパレットの変形例の説明図。
【図3】搬送方向から見たときの本発明の第1実施形態に係る搬送装置の説明図。
【図4A】本発明の第3実施形態に係るパレットを示す図。
【図4B】本発明の第3実施形態に係るパレットを示す図。
【図4C】本発明の第3実施形態に係るパレットを示す図。
【図5】搬送方向から見たときの本発明の第4実施形態に係る搬送装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図1乃至5を参照しながら説明する。なお、これらの図面は概略図であり、図中x軸は搬送方向、y軸は搬送方向から見たときの左右方向(搬送方向と直交する水平方向)、z軸は上下方向を示す。
【0014】
<第1実施形態>
<全体構成>
図1は本発明の第1実施形態に係る搬送装置1の斜視図である。搬送装置1はワークWを支持するパレット2、パレット2を搬送するためのコンベア3、コンベア3に沿って延設されパレット2の上下方向の振れを抑制する上下振れ抑制ガイド部材4、及びコンベア3と上下振れ抑制ガイド部材4との間にコンベア3に沿って延設される水平ガイドレール5を備える。
【0015】
<パレットの構成>
図2Aを参照しながらパレット2の構成について説明する。図2Aはパレット全体の下方からの斜視図である。パレット2は水平(xy平面)の板状の本体部材21と、本体部材21の搬送方向左側(y方向)の一端に取り付けられたワークWを支持するための支持部材22により構成される。
【0016】
図2Aに示すように、本体部材21には、上下振れ抑制ガイド部材4と当接するための円柱形状の被ガイドローラR1が、支持部材22が取り付けられている部分21aと反対側の(搬送方向右側の)端部21b付近に2か所取り付けられる。本体部材21には、被ガイドローラR1を取り付けるための垂直方向(z方向)の貫通孔23が設けられており、被ガイドローラR1の回転軸が搬送方向に対して左右方向(y方向)となるように、被ガイドローラR1が貫通孔23にセットされる。この状態で、先端におねじ部を有する軸部材S1が、パレット2の搬送方向右側の端部21bから貫通孔231及び被ガイドローラR1の軸心上に設けられた貫通孔に挿通され、パレット2に設けられためねじ部232においておねじ部と螺合する。本実施形態ではパレット2の搬送方向はxの正方向であるため、軸部材S1は右ねじであるが、搬送方向が逆の場合、ねじの緩みを防止するため、逆ねじであることが望ましい。また、本実施形態では被ガイドローラR1は、搬送方向に離間して2か所配置されているが、1か所または3か所以上でもよい。
【0017】
被ガイドローラR1の取り付け部の構成として、上記構成の他、図2Bに示すような構成もある。図2Bは、図2Aの変形例であり、パレット2におけるローラ取り付け部の上方からの斜視図である。本体部材21の端部21bを切り欠き、ローラ収納部25を設ける。このローラ収納部25に対して搬送方向左側(y方向)に本体部材21を垂直方向(z方向)に貫通する貫通孔26を設ける。さらに、ローラ収納部25と貫通孔26の間の本体部材21上面をy方向の半円筒状に切り欠き、下側軸支部271を設ける。さらに、下側軸支部271の左右両側(搬送方向の前後両側)には、後述するローラ固定部材を取り付けるため、本体部材21の上面から下方に向かってめねじ部281が設けられる。
【0018】
一方、被ガイドローラR1は、被ガイドローラアセンブリASに組み込まれている。被ガイドローラアセンブリASは、y方向を軸としたシャフトS2と、シャフトS2の搬送方向左側の一端に取り付けられたシャフトS2と同軸の円筒状の被ガイドローラR1と、(y方向の)他端に取り付けられたシャフトと同軸の円筒状のストッパStとを有する。被ガイドローラアセンブリASは、シャフトS2が本体部材21の下側軸支部271に当接し、被ガイドローラR1はローラ収納部25に、ストッパStは貫通孔26に位置するように本体部材21にセットする。
【0019】
図2Bに示すような構成では、ローラR1をパレット2の端部21bよりも搬送方向右側に設ける構成も可能となるため、パレット2及び上下振れ抑制ガイド部材4の小型化が図れる。
【0020】
被ガイドローラアセンブリASが本体部材21にセットされた状態で、これを固定するためにローラ固定部材29を取り付ける。ローラ固定部材29は、下面がy方向の半円筒状に切り欠かれた、上側軸支部272が設けられており、セットされたシャフトS2に当接する。さらに、上側軸支部272がセットされたシャフトS2に当接した状態で、ローラ固定部材29は、本体部材21のそれぞれのめねじ部281と同軸になる2つの貫通孔282が設けられている。この状態で、ボルト283がローラ固定部材29の上から差し込まれ、それぞれの貫通孔282を貫通し、本体部材21のめねじ部281と嵌合し、被ガイドローラアセンブリASが固定され、被ガイドローラR1が取り付けられる。
【0021】
被水平ガイドローラR2の取り付けについて、再び図2Aを参照する。本体部材21は水平ガイドレール5を両側面から挟む位置に被水平ガイドローラR2が取り付けられる。そのため、本体部材21にはそれぞれの被水平ガイドローラR2の回転軸となる位置に下面から鉛直方向にめねじ穴24が設けられている。被水平ガイドローラR2が所定の位置にセットされた状態で、先端におねじ部を有する軸部材S3が被水平ガイドローラR2に設けられた貫通孔に挿通され、めねじ穴24に螺合される。この状態で軸部材S3の頭が被水平ガイドローラR2の落下を防止している。この被水平ガイドローラR2は、水平ガイドレール5を挟む位置にもう一つ設けられ、1対の組として用いる。なお、本実施形態では搬送方向はxの正方向であるため、軸部材S3の緩み防止のため、上記1対の組において搬送方向右側(被ガイドローラR1側)は右ねじであるが、搬送方向左側(ワークW側:図中右側)は逆ねじとなる。本実施形態においては、被水平ガイドローラR2の組が搬送方向に離間して2対配置されているが、1対または3対以上でもよい。あるいは、本体部材21側に、先端におねじ部を有するスタッドを設け、被水平ガイドローラR2を挿通させた状態で、ナット等を螺合してもよい。
【0022】
支持部材22は、ワークWを置くための凹部221が本体部材21よりも搬送方向左側(図2A中右奥側)に設けられている。したがって、本実施形態では、パレット2は支持部材22を介してワークWを片持ち支持していることになる。これにより、ワークWの支持部を1か所にできるため、パレット2及び搬送装置1を小型化できる。
【0023】
なお、支持部材22は本体部材21と一体であってもよい。さらに、ワークWの固定方法については、本実施形態の他、ワークWに設けられた凹(凸)部と係合する凸(凹)部を支持部材22に設けてもよく、また、締結によりワークWを固定してもよい。
【0024】
<コンベアの構成>
図1に示す通り、本実施形態では、コンベア3は搬送方向に等間隔で配置された複数の搬送ローラ部31を有する1列のローラコンベアである。搬送ローラ部31の間隔はパレット2の搬送方向の長さの1/2より短く、パレット2は少なくとも2つ搬送ローラ部31と接するように搬送されている。そのため、複数の搬送ローラ部31のうち1つが故障しても、隣の搬送ローラ部31が駆動できれば、パレット2の搬送は可能である。さらに、それぞれの搬送ローラ部31について部品交換が可能であることから、メンテナンスもしやすい。
【0025】
次に図3を参照する。図3は搬送方向から見たときの本発明の第1実施形態に係る搬送装置の説明図である。コンベア3は、パレット2における搬送方向xと直交する方向yの一方側(本実施形態では搬送方向左側(図3中右側))を下方から支持し、パレット2を搬送する搬送ローラ部31及び搬送ローラ部31を駆動させる駆動源としてモータMを有する。具体的な構成としては、プーリー32がモータM及び搬送ローラ部31の軸に巻きつけられており、モータMは、プーリー32を介して搬送ローラ部31を駆動する。本実施形態では1つのモータMで複数の搬送ローラ部31を駆動し、これを1ユニットとすると、このユニットを複数備える。例えば、各々のモータMが5つの搬送ローラ部31を駆動し、そのユニットが10個あれば、搬送ローラ部31は50個あることになる。なお、上記の各ユニットはそれぞれ搬送ローラ部31の数が異なっていてもよく、1つのモータMにつき、1つの搬送ローラ部31を駆動してもよく、また、駆動源はモータの他にエンジン等でもよく、搬送ローラ部31の駆動はプーリーの代わりにギアを介してもよい。
【0026】
そのため、本実施形態では、ユニット毎の速度調整が可能で、各パレットの間隔を適切に保ちながら各パレットの速度が区間(ユニット)によって異なるように制御することができる。
【0027】
<上下振れ抑制ガイド部材の構成>
上下振れ抑制ガイド部材4は、コンベア3に沿って延設され、パレット2における搬送方向xと直交する方向yの他方側(本実施形態では搬送方向右側(図3中左側))と当接することで、パレット2の上下方向の振れを抑制する。図3にある通り、本実施形態では、上下振れ抑制ガイド部材4は溝41を有するレールであり、被ガイドローラR1と当接する上側ガイド部421及び下側ガイド部422を備える。上下振れ抑制ガイド部材4に対して、パレット2の被ガイドローラR1を含む一部が溝41に水平方向に差し込まれる。すなわち、上下振れ抑制ガイド部材4の溝41に対して、被ガイドローラR1を含むパレット2の一部が水平方向に差し込まれ、被ガイドローラR1の上端が上側ガイド部421に対向(当接)し、被ガイドローラR1の下端が下側ガイド部422に対向(当接)する。なお、本実施形態では図3からわかるように、被ガイドローラR1の直径Dよりも溝41の幅Hは大きい。したがって、被ガイドローラR1が上側及び下側ガイド部421及び422に同時に当接することはない。
【0028】
ここで、上下振れ抑制ガイド部材4の、パレット2及びコンベア3との関係について、図3中GはワークWとパレット2からなる搬送体の重心であり、平面視(図3中では搬送方向下流側からの正面視)において、コンベア3の位置よりも一方側におけるパレット2の外方(図3中右側)にある。そのため、パレット2を上側ガイド部421に当接させることで、搬送体の転倒を防止している。
【0029】
また、コンベア3には、ワークWとパレット2からなる搬送体の重量、及び上下振れ抑制ガイド部材4がパレット2を下方向に押す力が加わり、コンベア3のローラ部31とパレット2との間の摩擦力を最大限に利用して、コンベア3はパレット2を駆動できる。
【0030】
本実施形態では図3のように、ワークWを搭載しているときは、被ガイドローラR1は上下振れ抑制ガイド部材4の上側ガイド部421に当接する。一方、図示はされていないが、ワークWを搭載せず、パレット2の重心がコンベア3と上下振れ抑制ガイド部材4の間にあるときは、被ガイドローラR1は上下振れ抑制ガイド部材4の下側ガイド部422に当接する。このとき、上下振れ抑制ガイド部材4に接して被ガイドローラR1を転動させることでパレット2を搬送するための抵抗を減少させている。さらに、上記の通りパレット2に備えられた被ガイドローラR1は搬送方向に離間して2か所配置されている(すなわち2点支持である)ため、1個の場合(1点支持)と比べて、パレット2の前端及び後端での上下方向のガタつきを抑制できる。
【0031】
なお、搬送装置1上でパレット2に常にワークWが搭載されている場合、あるいはワークWが搭載されていない状態であってもパレット2の重心がコンベア3よりも図中右側(外方)にある場合は、下側ガイド部422は不要になる。
【0032】
<水平ガイドレールの構成>
水平ガイドレール5は、コンベア3と上下振れ抑制ガイド部材4との間に、コンベア3に沿って延設され、両側面はパレット2の裏面に備えられた1対の被水平ガイドローラR2に挟まれる構造となる。
【0033】
そのため、パレット2の水平面上での回転(搬送方向における蛇行)が規制され、直進安定性が向上する。また、上記の1対の被水平ガイドローラR2が搬送方向に沿って前後に2組設けられているため、直進安定性がさらに向上することになる。また、水平ガイドレール5に接して被水平ガイドローラR2を転動させることでパレット2を搬送するための抵抗を減少させている。なお、本実施形態では搬送装置1側に水平ガイドレール5、パレット2側に被水平ガイドローラR2を設けたが、逆に搬送装置1側に被水平ガイドローラR2を搬送方向に2列配列し、パレット2の底面に搬送方向に沿って直線状の凸部を設けてもよい。この構成においては搬送装置1の2列の被水平ガイドローラがパレット2の上記凸部を挟むことになる。
【0034】
<動作例>
係る構成からなる搬送装置1では、1列のローラコンベア3がパレット2を下から支持している。パレット2とワークWからなる搬送体の重心Gはコンベア3上になく、そのため、コンベア3に対して重心Gと反対側からパレット2を上下振れ抑制ガイド部材4に当接させることで、パレット2及びワークWの転倒落下を防止している。ゆえに、ワークW(支持部材22)は片側からのみ支持されており、いわゆる片持ち支持されていることになる。本実施形態により、単純な構造で、片持ち支持が可能な搬送装置を提供される。また、ワークW(又はパレット2)の大きさや重量が変わった場合でも、本実施形態に係る搬送装置1では、設備を大掛かりに変更する必要はなく、単に、上下振れ抑制ガイド部材4とローラコンベア3との間の距離を変えたり、ローラコンベア3のモータMを変えたりするだけでよい。
【0035】
<第2実施形態:パレットの停止方法>
次に、パレット2の停止方法について説明する。上下振れ抑制ガイド部材4の近傍には第1と第2のセンサ(反射センサ:不図示)が設けられている。一方、パレット2側には、ドグ(不図示)が設けられている。第1のセンサがパレット2(ワークW)を感知するとパレット2の減速が始まり、第2のセンサがドグを検知してパレット2を停止させる。 本実施形態においては、モータ制御による停止方法としているが、ストッパ方式を用いても問題はない。
【0036】
<第3実施形態:パレットの構成のバリエーション>
図4A〜図4Cは本発明の第3実施形態に係るパレットを示す図である。本実施形態においては、パレット2について様々なバリエーションが考えられる。図4A〜図4Cを参照しながらその例を説明する。以下のパレットも上記のものと同様、本体部材21と、搬送方向左側(図4A〜図4C中右側)に設けられワークWを支持するための支持部材22とで構成される。
【0037】
図4Aのパレット2では、支持部材22が本体部材21において搬送方向左側(図中右側)に設けられ、支持部材22(ワークW)はリフトLにより上下動可能である。これにより、作業者は作業しやすい位置までワークWを昇降させ、位置調整することで、ワークWの上面における作業が容易になる。
【0038】
仕組みは、様々なものが知られているが、その一例として、ラック・ピニオン方式がある。支持部材22に上下方向のラック(リフトL)を2列設け、一方には本体部材21に設けられたモータLMの軸に取り付けられた第1のギアを、もう一方には、第1のギアと噛み合う第2のギア(カウンタギア)を噛み合わせる。そのほかに、ワークWの上下方向の駆動方法については、油圧ピストン、リフトモータLMの代わりに手でハンドルを回して駆動させる等何れの方法でもよい。
【0039】
図4Bの例では、支持部材22は本体部材21に対して上下方向(z方向)を軸として回転可能に支持する回転機構Pとを備える。このように回転させることで、作業者はワークWの搬送方向前後面及び左右両側面に対して作業しやすくなる。
【0040】
具体的な構成の一例として、本体部材21上の搬送方向左側(図4B中右側)に上下方向を軸としたモータを有する回転機構Pが設けられており、このモータの軸と棒状の支持部材22が同軸となるように支持部材22が取り付けられる。支持部材22の中途部には、支持部材22と同軸に円盤状のストッパ222が設けられる。一方、ワークWには支持部材22が挿通される孔が設けられている。このワークWの孔に支持部材22を挿通させることで、ワークWがストッパ222に着座し、z方向の位置決めがなされる。さらに支持部材22(またはストッパ222)には、凸部(キー)が設けられており、このキーがワークWの孔に設けられた凹部(キー溝)と係合することにより、ワークWが支持部材22に対して回転することを防止している。すなわちモータにより駆動される回転部材22に追随してワークWが回転する。ここで、凹部及び凸部の形成は、支持部材22とワークWとで逆にしても良い。
【0041】
なお、上記実施形態の他、本体部材21に取り付け孔を有するターンテーブルを設け、支持部材22をターンテーブルに差し込む等の構成も考えられる。また、駆動方法はモータに限らず、直接作業者がワークWを回転させてもよい。
【0042】
図4Cの例では、支持部材22は本体部材21に対して搬送方向(x方向)を軸として回転可能である。このように回転させることで、作業者は搬送方向前後面に対して作業しやすくなるだけでなく、上図における上面が回転により作業者正面になるためこの面に対しても作業性が向上する。
【0043】
具体的には、本体部材21上の搬送方向左側(図4C中右側)に搬送方向を軸としたモータを有する回転機構(回動機構)Pが設けられており、このモータの軸に対して支持部材22が同軸となるように支持部材22が固定される。図4Cの例では、支持部材22は2つの板材が直交するように(L字断面となるように)接合されており、回転(回動)の前後(上図及び下図)何れの場合においても下からワークWを支持している。なお、ワークWが何れの状態においても支持部材22に固定できるのであれば、この形状に限らず、例えば締結によりワークWを支持部材22に固定してもよい。また、駆動方法はモータに限らず、直接作業者がワークWを回転させてもよい。
【0044】
<第4実施形態>
図5は本発明の第2実施形態に係る搬送装置1を搬送方向下流側から見た図である。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、被ガイドローラR1がパレット2になく、上下振れ抑制ガイド部材4に上側ローラR11、下側ローラR12が設けられているところにある。この構成においては、それぞれのローラR11、R12は搬送方向に沿って等間隔に複数個設けられており、それぞれの間隔はパレット2の搬送方向の長さの1/2より短い。そのため、パレット2は、上下それぞれ少なくとも2つずつのローラR11、R12に接しており、x方向におけるガタつきが抑制される。
【0045】
本実施形態により、上側ローラR11または下側ローラR12が、パレット2と当接しながら転動するため、パレット2を搬送する際の抵抗を減少させることができる。さらにパレット2には上下振れ抑制ガイド部材4と当接させるためのローラが不要であり、パレット2の構造をシンプルにできる。
【0046】
なお、本実施形態において、パレット2は、ワークWの支持方法について上記実施形態3と同様のバリエーション(図4A〜図4C)を適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送装置であって、
前記ワークを支持するパレットと、
前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の一方側を下方から支持し、前記パレットを搬送する搬送ローラ部及び該搬送ローラ部を駆動させる駆動源を有するコンベアと、
前記コンベアに沿って延設され、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の他方側と当接し、パレットの上下方向の振れを抑制する上下振れ抑制ガイド部材と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記ワークと前記パレットからなる搬送体の重心が、平面視において、前記コンベアの位置よりも前記一方側におけるパレットの外方にあることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記上下振れ抑制ガイド部材は、前記パレットの一部が水平方向に差し込まれる溝を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記パレットは前記他方側に被ガイドローラを備え、
前記上下振れ抑制ガイド部材は、前記被ガイドローラと当接する少なくとも一つのガイド部を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記コンベアと前記上下振れ抑制ガイド部材との間に、前記コンベアに沿って延設される水平ガイドレールを備え、
前記パレットは、その裏面に、前記水平ガイドレールを両側面から挟む1対の被水平ガイドローラを備えた
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記パレットは、前記ワークを片持ち支持することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記パレットは、
前記他方側が前記上下振れ抑制ガイド部材に当接され、前記一方側が前記コンベアに下方から支持される本体部材と、
前記ワークを支持する支持部材と、
前記本体部材に設けられ、前記支持部材を前記本体部材に対して回転可能に支持する回転機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
ワークを支持するパレットを搬送する搬送装置であって、
前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の一方側を下方から支持し、前記パレットを搬送する搬送ローラ部及び該搬送ローラ部を駆動させる駆動源を有するコンベアと、
前記コンベアに沿って延設され、前記パレットにおける搬送方向と直交する方向の他方側と当接し、パレットの上下方向の振れを抑制する上下振れ抑制ガイド部材と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
前記上下振れ抑制ガイド部材は、前記パレットの前記他方側の上面及び下面にそれぞれ当接する上側ローラ及び下側ローラを備えたことを特徴とする請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記コンベアと前記上下振れ抑制ガイド部材との間に、前記コンベアに沿って延設される水平ガイドレールを備え、
前記パレットは、その裏面に、前記水平ガイドレールを両側面から挟む1対の被水平ガイドローラを備えた
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記パレットは、
前記他方側が前記上下振れ抑制ガイド部材に当接され、前記一方側が前記コンベアに下方から支持される本体部材と、
前記ワークを支持する支持部材と、
前記本体部材に設けられ、前記支持部材を前記本体部材に対して回転可能に支持する回転機構と、
を備えたことを特徴とする請求項8乃至10の何れか1項に記載の搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate