説明

搭載ユニット回転装置

【課題】複雑な部品を追加することなく簡単な構造で搭載ユニットを初期位置から傾く方向に回転させる際の初期操作力を軽減し装置全体の小型化及び低コスト化を図ること。
【解決手段】水平に設置された回転軸線を中心に回転可能に配置された搭載ユニット1と、この搭載ユニット1が傾く方向に回転する際に当該搭載ユニット1の回転方向に逆行する方向に当該搭載ユニットを付勢する逆方向付勢手段(伸縮機構7)を備えた搭載ユニット回転装置であって、前述した搭載ユニット1が予め定められた設定角度だけ回転する間、前記搭載ユニット1に対して作用し前記伸縮機構7による付勢力を吸収する逆付勢力吸収手段10を備えたこと

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載ユニット回転装置に係り、特に、搭載ユニットが水平方向を向く回転軸線を中心に傾く方向に回転する際に、該搭載ユニットを前記傾く方向と逆の方向に付勢する逆方向付勢手段を備えた搭載ユニット回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報処理装置の筐体構造では、例えば記憶媒体の取り出し又は格納やメンテナンスなどに際し、搭載ユニットを回転動作させて実現させる構成のものが多い。この場合、搭載ユニットが比較的重量が重くなることから、搭載ユニットの回転動作の安定化を図るため、搭載ユニットが自重により傾く方向に回転しようとする方向と逆の方向に該搭載ユニットを付勢するガススプリングやコイルスプリングなどの付勢手段を備えた回転装置が多用されている。
【0003】
図5〜図7に、上記関連技術である従来の搭載ユニット回転装置の一例を示す。
図5に示す搭載ユニット回転装置は、回転支軸102を中心に回転可能に設置される搭載ユニット101を備えている。この搭載ユニット101は、上下方向に長い直方体形状をなしており、該搭載ユニット101の図5の前面側の下方には、一対の支軸用リブ101aが、左右方向(水平方向)に互いに離間して突設されている。
【0004】
この一対の支軸用リブ101aには回転支軸102がその軸線を左右方向(水平方向)に向けた状態で固定されており、この回転支軸102の軸方向の両端部は、それぞれ筐体の壁部等に固定された軸受部材101bを介して回転可能に支持されている。また、搭載ユニット101の図5の前面側(図6の右側面)の上端近傍には、搭載ユニット101を回転動作させるための操作ハンドル103が取り付けられている。
【0005】
そして、この操作ハンドル103を手前(図6の矢印C方向)に引くことにより、搭載ユニット101を回転支軸102の軸線を中心として傾く方向(図6の矢印D方向)に回転させることができるようになっている。また、搭載ユニット101が前記傾く方向に回転する際には、搭載ユニット101は、逆方向付勢手段107によって前記傾く方向と逆の方向に付勢される。
【0006】
前述した逆方向付勢手段107は、ガススプリング(空気ばね)構造のシリンダ部107aと、シリンダ部107a内の押圧力を外部出力するピストンロッド107bとを備えている。この逆方向付勢手段107は、搭載ユニット101の前記傾く方向を向く面(図6の右側面)と反対側の面(図6の左側面)側で、且つ該搭載ユニット101の一方の側面(図5の右側面)に、ピストンロッド107bを下端側にした状態でその軸線を上下方向に向けて設置されている。
【0007】
ピストンロッド107bの先端部(図5の下端部)は、搭載ユニット101の図5の右側面の下端側に一体に設けられた支持台101cに回転軸108を介して回転可能に支持されている。また、シリンダ部107aのピストンロッド107bと反対側の端部(図5の上端部)は、筐体の内壁等に取り付けられた保持プレート105に回転軸104を介して回転自在に保持されている。
【0008】
そして、図5に於いて操作ハンドル103を手前(図6の矢印C方向)に引いて、搭載ユニット101を回転支軸102の軸線を中心として傾く方向(図6の矢印D方向)に回転させる際には、逆方向付勢手段107のピストンロッド107bが伸張方向の押圧力(搭載ユニット101が傾く方向と逆の方向の付勢力)に抗して収縮するように動作する。この結果、搭載ユニット101が前記傾く方向に回転する際に、搭載ユニット101が逆方向付勢手段107によって前記傾く方向と逆の方向に付勢される。この付勢力に抗して搭載ユニット101を更に回転させると、ピストンロッド101bが収縮終端まで収縮し、図7に示すように、搭載ユニット101がその長手方向を略水平方向に向けた状態で該搭載ユニット101の回転動作が停止される。
【0009】
これにより、搭載ユニット101の重量が重い場合等において、誤操作等による搭載ユニット101の急激な回転動作を回避して搭載ユニット101の回転動作の安定化を図るようにしている。また、図7の状態、或いは所定角度回転した状態の搭載ユニット101を逆方向に回転させて初期位置に戻す際には、逆方向付勢手段107の付勢力が前記戻す方向に作用するため、搭載ユニット101を容易に逆方向に回転させて元の初期位置に戻すことができる。
【0010】
更に、上記搭載ユニット回転装置に関連する技術として、装置本体に回転可能に設けられた操作部の回転軸と装置本体との間に操作部の回転運動を緩衝するガススプリングを設けた入出力装置の回転機構が提案されている(特許文献1)。この提案では、操作部を収納位置から使用位置に回転させる際に該回転方向にガススプリングの付勢力が作用するので、軽い操作で操作部を回転動作させて使用位置に配置することが可能になり、オペレータや保守者の作業性を向上することができるとしている。
【0011】
又、上記搭載ユニット回転装置に関連する技術として、歯車減速機構を介してモータの回転力が伝達されるセクタギヤに、モータへの通電が停止された時にセクタギヤを中立位置へ付勢する主ばねを装着すると共に、ロアケースに、セクタギヤの回動に伴ってセクタギヤに設けられた突起と係合する補助ばねを設けたドアロック駆動装置が提案されている(特許文献2)。この提案では、補助ばねが、セクタギヤが中立位置から施錠位置側又は解錠位置側に回動する途中で押し縮められてセクタギヤをモータの回転力を抑える方向に付勢することで、モータの回転数を低下させて、モータ停止時の衝撃的な拘束力を低減することができるとしている。
【0012】
【特許文献1】実開昭60−92320号公報
【特許文献2】特開平7−11825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図5〜図7に示す上記関連技術では、搭載ユニット101を初期位置から前記傾く方向に回転させる際に、搭載ユニット101に対して逆方向付勢手段107による逆回転方向の付勢力が作用するため、操作者が操作ハンドル103を引く際の初期操作力が大きくなり、操作性が悪いという問題がある。
【0014】
この場合、操作者が操作ハンドル103を引く際の初期操作力を軽減するために、搭載ユニット101にスプリング等の補助機構を設置することが考えられるが、このようにすると、補助機構の設置スペースが必要になるため、筐体が大型化するという別の問題が発生する。また、補助機構の追加により筐体の剛性を確保する必要が生じてコスト増を招くと共に、径年変化等によるスプリングの機能低下や破損等により補助機構の機能が低下するという煩わしさが常に存在する。
【0015】
また、上記特許文献1についても、操作部を使用位置から収納位置に回転させる際に、ガススプリングの付勢力が該回転方向(収納位置に戻す回転方向)と逆方向に作用するので、上記同様の問題が生じる。
【0016】
更に、上記特許文献2は、モータの回転数を低下させて、モータ停止時の衝撃的な拘束力を低減することを目的になされたものであり、搭載ユニット101を付勢手段の付勢力に抗して初期位置から前記傾く方向に回転させる技術及びその際の不具合を解消するための技術思想については何ら開示されていない。
【0017】
[発明の目的]
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、複雑な部品を追加することなく簡単な構造で搭載ユニットを初期位置から傾く方向に回転させる際の初期操作力を軽減することができると共に、小型化及び低コスト化を図る搭載ユニット回転装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明に係る搭載ユニット回転装置は、水平に設置された回転支軸を中心に回転可能に配置された搭載ユニットと、この搭載ユニットが傾く方向に回転する際に当該搭載ユニットの回転方向に逆行する方向に当該搭載ユニットを付勢する逆方向付勢手段とを備えた搭載ユニット回転装置であって、前記搭載ユニットが予め定められた設定角度だけ回転する間、前記搭載ユニットに対して作用し前記逆方向付勢手段による付勢力を吸収する逆付勢力吸収手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述したように構成したので、これによると、複雑な部品を追加することなく簡単な構造で搭載ユニットを初期位置から傾く方向に回転させる際の初期操作力を軽減することができ、これにより搭載ユニットの安定した回転動作を確保することができると共に、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図1乃至図4に基づいて説明する。
図1には本発明の一実施形態である搭載ユニット回転装置の正面図を示し、図2には図1のA−A線からみた左側面図を示す。
【0021】
まず最初に、本実施形態における搭載ユニット回転装置の基本的な構成を説明し、その後に具体的な内容を説明する。
本実施形態における搭載ユニット回転装置は、水平に設置された回転支軸2を中心に回転可能に配置された搭載ユニット1と、この搭載ユニット1が傾く方向に回転する際に当該搭載ユニット1の回転方向Dに逆行する方向に当該搭載ユニットを付勢する逆方向付勢手段とを備えている。そして、搭載ユニット1が予め定められた設定角度(例えば10°〜15°)だけ回転する間、前記搭載ユニット1に対して作用し前記逆方向付勢手段による付勢力を吸収する逆付勢力吸収手段10を備えている。
【0022】
ここで、前述した逆方向付勢手段は本実施形態では前記回転支軸2の方向に伸縮可能な伸縮機構7により構成されている。この伸縮機構7は収縮又は伸張の各方向にそれぞれ逆行する付勢力を発生する機能を備えている。又、この伸縮機構7はその一端部が前記搭載ユニット1に回転自在に保持されている。又、前述した逆付勢力吸収手段10は、前記伸縮機構7の他端部を支軸4を介して回転自在保持する保持プレート5と、この保持プレート5に形成され前記支軸4が前記伸縮機構7の伸縮方向に沿った移動を許容する長穴6とを備えた構成となっている。
【0023】
又、前述した保持プレート5の長穴6の長さは、前記搭載ユニット1の前記設定角度に応じて設定されている。更に、前述した伸縮機構7は、空気ばね構造のシリンダ部7aとこのシリンダ部7a内の押圧力を外部出力するピストンロッド7bとを備えている。この内、シリンダ部7aは前述した保持プレート5によって回転自在に保持され、ピストンロッド7bは前述した搭載ユニット1に回転自在に保持されている。
【0024】
更に、搭載ユニット1の回転支軸2は、該搭載ユニット1の重心位置Wより下方に配置されている。また、前述した逆方向付勢手段(伸縮機構7)による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は、本実施形態では前記搭載ユニット1が自重により前記傾く方向に回転する回転力と釣り合うように設定されている。
以下、これを更に詳細に説明する。
【0025】
本実施形態における搭載ユニット回転装置は、図1及び図2に示すように回転支軸2を中心に回転可能に設置された搭載ユニット1を備えている。この搭載ユニット1は、上下方向に長い箱体状を成しており、当該搭載ユニット1の図1における前面側には、一対の支軸用リブ1aが、搭載ユニット1の重心より下方位置で左右方向(水平方向)に互いに離間して突設されている。
【0026】
この一対の支軸用リブ(以下、単に「リブ」という)1aには、回転支軸2がその軸線を左右方向(水平方向)に向けた状態で固定されており、該回転支軸2の軸方向の両端部は、それぞれ筐体の壁部等に固定された軸受部1bを介して回転可能に支持されている。尚、回転支軸2を固定配置し、リブ1aに軸受機能を持たせて搭載ユニット1を回転可能に支持するようにしてもよい。又、搭載ユニット1の図1の前面側(図2の右側面側)の上端近傍には、搭載ユニット1を回転動作させるための操作ハンドル3が取り付けられている。
【0027】
そして、この操作ハンドル3を手前(図2の矢印C方向)に引くことにより、搭載ユニット1を回転支軸2の軸線を中心として傾く方向(図2の矢印D方向)に回転させることができる。また、搭載ユニット1の前記傾く方向を向く面(図2の右側面)と反対側の面(図2の左側面)側で、且つ該搭載ユニット1の一方の側面(図1の右側面)側には、搭載ユニット1を前記傾く方向と逆の方向に付勢する逆方向付勢手段の一例としての伸縮機構7が、その軸線を上下方向に向けた状態で以下に示すように装備されている。
【0028】
即ち、上記伸縮機構7は、軸方向に伸縮可能に構成され、収縮した状態で伸張する方向に付勢力を発生するものであり、ガススプリング(空気ばね)構造のシリンダ部7aと、シリンダ部7a内の押圧力(付勢力)を外部出力するピストンロッド7bと、を備えている。この内、ピストンロッド7bの先端部(図1の下端部)は、搭載ユニット1の図1の右側面の下端側に一体に設けられた支持台1cに回転軸8を介して回転可能に支持されている。また、シリンダ部7aのピストンロッド7bと反対側の端部(図1の上端部)は、筐体の内壁等に取り付けられた遮断手段の一例としての保持プレート5に移動支軸4を介して回転可能に、且つ軸方向に移動可能に支持されている。
【0029】
保持プレート5には、上下方向に延びる長穴6が形成されており、この長穴6に沿って移動支軸4が上下方向に移動可能になっている。これにより、シリンダ部7aの図1の上端部が、支持板5に移動支軸4を介して回転可能に、且つ軸方向に移動可能に支持される。この保持プレート5と長穴6とにより、前述した逆付勢力吸収手段10が構成されている。
【0030】
ここで、上記長穴6の長手方向の長さ(伸縮機構7の軸方向の移動量)は、図3を参照して、操作ハンドル3を手前に引いて搭載ユニット1を回転支軸2の軸線を中心として傾く方向(図3の矢印D方向)に予め定められた設定角度θ(本実施形態では、10〜15°)だけ回転させた際に、伸縮機構7が移動支軸4と共に上方に移動して該移動支軸4が長穴6の上端部に当接するように設定されている。
【0031】
従って、搭載ユニット1が図2の初期位置から図3に示す前記設定角度θだけ回転する間は、搭載ユニット1に対しては、伸縮機構7による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は作用しなくなり、当該付勢力が逆付勢力吸収手段10により吸収された状態となる。これにより、搭載ユニット1を初期位置から傾く方向に回転させる際の初期操作力を軽減する
ことができる。
尚、本実施形態では、伸縮機構7の伸縮ストロークを図5〜図7に示す伸縮機構17と同一としているが、伸縮機構7の伸縮ストロークを長穴6の長さ分だけ図5〜図7に示す伸縮機構17より短くしてより小型の伸縮機構を用いることもできる。
【0032】
一方、搭載ユニット1が図3に示す前記設定角度θを超えて前記傾く方向に回転すると、上述したように、移動支軸4が長穴6の上端部に当接しているので、伸縮機構7のピストンロッド7bが伸張方向の押圧力(搭載ユニット1が傾く方向と逆の方向の付勢力)に抗して収縮するように動作し、搭載ユニット1が前記傾く方向と逆の方向に付勢される。これにより、搭載ユニット1の重量が重い場合等において、誤操作等による搭載ユニット1の急激な回転動作を回避することができる。ここで、伸縮機構7による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は、搭載ユニット1が自重により前記傾く方向に回転する回転力と釣り合うように設定されている。
[動作説明]
【0033】
まず、図2の搭載ユニット1の初期位置から操作ハンドル3を手前(図2の矢印C方向)に引いて、搭載ユニット1を回転支軸2の軸線を中心として図3に示す前記設定角度θだけ傾く方向(図3の矢印D方向)に回転させると、移動支軸4が伸縮機構7の負荷がない状態で該伸縮機構7と一体となって保持プレート5の長穴6に沿って上方に移動して該長穴6の上端部に当接する。
【0034】
この搭載ユニット1の初期位置から移動支軸4が長穴6の上端部に当接するまでの範囲は、伸縮機構7のピストンロッド7bは収縮しないため、搭載ユニット1に対しては伸縮機構7による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は作用せず、該付勢力が遮断されている。従って、操作ハンドル3を引く操作力は、搭載ユニット1を傾く方向に回転させる力のみとなる。
【0035】
図3の状態から操作ハンドル3を引いて搭載ユニット1を前記設定角度θを超えて前記傾く方向に回転させると、上述したように、移動支軸4が長穴6の上端部に当接しているので、伸縮機構7のピストンロッド7bが伸張方向の押圧力(搭載ユニット1が傾く方向と逆の方向の付勢力)に抗して収縮するように動作し、搭載ユニット1が前記傾く方向と逆の方向に付勢される。
【0036】
従って、搭載ユニット1を前記設定角度θを超えて前記傾く方向に回転させる際に、搭載ユニット1が伸縮機構7によって前記傾く方向と逆の方向に付勢されて、該付勢力が操作ハンドル3を引く際の操作力に負荷されるが、伸縮機構7による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は、搭載ユニット1が自重により前記傾く方向に回転する回転力と釣り合うように設定されているので、軽い操作力で、且つ安全に操作ハンドル3を操作することができる。そして、伸縮機構7の付勢力に抗して搭載ユニット1を更に傾く方向に回転させると、ピストンロッド1bが収縮終端まで収縮し、図4に示すように、搭載ユニット1が初期位置から約90°回転した状態で該搭載ユニット1の回転動作が停止される。
【0037】
また、図4の状態、或いは前記設定角度θを超えた所定角度まで回転した状態の搭載ユニット1を逆方向に回転させて初期位置に戻す際には、移動支軸4が長穴6の上端部に当接した状態で、伸縮機構7のピストンロッド7bが徐々に伸張しながら押圧力(搭載ユニット1が傾く方向と逆の方向の付勢力)を搭載ユニット1に対して作用させる。このとき、上述したように、伸縮機構7による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は、搭載ユニット1が自重により前記傾く方向に回転する回転力と釣り合うように設定されているので、前記設定角度θの範囲に搭載ユニット1が達するまでは軽い操作力で、且つ安全に操作ハンドル3を逆方向に操作することができる。
【0038】
そして、搭載ユニット1が設定角度θの範囲に達すると、伸縮機構7のピストンロッド7bが伸張端に位置して、伸縮機構7による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は搭載ユニット1に対して作用しなくなり、該付勢力が遮断された状態となる。この状態で、操作ハンドル3を押し操作して搭載ユニット1を初期位置に戻す方向に回転させると、移動支軸4が伸縮機構7の負荷がない状態で該伸縮機構7と一体となって保持プレート5の長穴6に沿って下方に移動して該長穴6の下端部に当接する。これにより、搭載ユニット1を容易に逆方向に回転させて図2に示す元の初期位置に戻すことができる。
【0039】
ここで、搭載ユニット1を搭載ベースに搭載した状態で該搭載ユニット1を回転支軸2を中心に回転可能に配置してもよく、付勢手段として圧縮コイルばね等の伸縮機構やその他の付勢力発生装置を用いてもよい。また、前述した逆付勢力吸収手段の一部を成す長穴(移動支軸4を上下方向に移動可能に支持する手段)6は、長穴に限定されず、公知のスライド機構を用いてもよい。更に、搭載ユニット1が設定角度θだけ回転してから、搭載ユニット1を前記傾く方向と逆の方向に付勢する逆方向付勢手段に当該搭載ユニット1が係合するように構成してもよい。
【0040】
[実施形態の効果]
本実施形態は上述のように構成され機能するので、複雑な部品を追加することなく簡単な構造で搭載ユニット1を初期位置から傾く方向に回転させる際の初期操作力を軽減することができる。この結果、搭載ユニット1の安定した回転動作を確保することができると共に、小型化及び低コスト化を図ることができる優れた搭載ユニット回転装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
金融向け情報処理装置等でプリンタ、現金処理機等の重量ユニットを搭載している筐体において、搭載ユニットの消耗品交換、ジャム除去等のメンテナンスを実施する時、搭載ユニットを回転させる必要がある場合等に有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態である搭載ユニット回転装置の正面図である。
【図2】図1のA−A線からみた左側面図である。
【図3】図1に示す搭載ユニット回転装置の動作例を示す説明図である。
【図4】図1に示す搭載ユニット回転装置の搭載ユニットが初期位置から約90°回転した状態を示す説明図である。
【図5】関連技術における搭載ユニット回転装置の例を示す正面図である。
【図6】図5のB−B線に沿った左側面図である。
【図7】図5に示す搭載ユニット回転装置の搭載ユニットが初期位置から約90°回転した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 搭載ユニット
2 回転支軸
5 保持プレート
6 長穴
7 伸縮機構(逆方向付勢手段)
7a シリンダ部
7b ピストンロッド
10 逆付勢力吸収手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に設置された回転支軸を中心に回転可能に配置された搭載ユニットと、この搭載ユニットが傾く方向に回転する際に当該搭載ユニットの回転方向に逆行する方向に当該搭載ユニットを付勢する逆方向付勢手段とを備えた搭載ユニット回転装置であって、
前記搭載ユニットが予め定められた設定角度だけ回転する間、前記搭載ユニットに対して作用し前記逆方向付勢手段による付勢力を吸収する逆付勢力吸収手段を備えたことを特徴とした搭載ユニット回転装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の搭載ユニット回転装置において、
前記逆方向付勢手段は、前記回転支軸の方向に伸縮可能な伸縮機構により成り、この伸縮機構は収縮又は伸張の各方向にそれぞれ逆行する付勢力を発生する機能を備えていることを特徴とした搭載ユニット回転装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の搭載ユニット回転装置において、
前記伸縮機構はその一端部が前記搭載ユニットに回転自在に保持されると共に、
前記逆付勢力吸収手段を、前記伸縮機構の他端部を支軸を介して回転自在保持する保持プレートと、この保持プレートに形成され前記支軸が前記伸縮機構の伸縮方向に沿った移動を許容する長穴とにより構成したことを特徴とする搭載ユニット回転装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の搭載ユニット回転装置において、
前記保持プレートの長穴の長さは、前記搭載ユニットの前記設定角度に応じて設定されることを特徴とした搭載ユニット回転装置。
【請求項5】
前記請求項3に記載の搭載ユニット回転装置において、
前記伸縮機構は、空気ばね構造のシリンダ部と当該シリンダ部内の押圧力を外部出力するピストンロッドとを備え、
前記シリンダ部は前記保持プレートによって回転自在に保持され、前記ピストンロッドは前記搭載ユニットに回転可能に保持される構造としたことを特徴とする搭載ユニット回転装置。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれか一つに記載の搭載ユニット回転装置において、
前記搭載ユニットの回転支軸は、該搭載ユニットの重心位置より下方に配置されることを特徴とした搭載ユニット回転装置。
【請求項7】
前記請求項1乃至5のいずれか一つに記載の搭載ユニット回転装置において、
前記逆方向付勢手段による前記傾く方向と逆の方向の付勢力は、前記搭載ユニットが自重により前記傾く方向に回転する回転力と釣り合うように設定されることを特徴とした搭載ユニット回転装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至5の何れか一つに記載の搭載ユニット回転装置において、
前記搭載ユニットの回転支軸を前記搭載ユニットの重心位置より下方に配置すると共に、前記設定角度を10〜15°としたことを特徴とする搭載ユニット回転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−163605(P2009−163605A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2063(P2008−2063)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】