説明

携帯アプリケーション操作システムおよび該システムを組み込んだ携帯電話ならびにそのためのプログラム

【課題】遠隔管理運用に必要なセキュリティや排他性を保持した上で、動的に障害原因を切り分けて対処ができる携帯アプリケーション操作システムの提供。
【解決手段】携帯電話A103に組み込まれる携帯アプリケーション操作システム200は、監視または管理対象となる対象A101に一定間隔で信号を送出し、その応答信号に基づいて該対象A101の状態を判別し、判別結果を予め登録されているメールアドレスに電子メールを送信する監視信号制御手段201と、他の携帯電話B105のエージェント203により接続要求があった場合に、それが予め登録されている許可されている携帯電話からの接続要求であるか否かを判別し、許可されている接続要求であった場合に、該他の携帯電話B105の画面上に操作画面を表示し、該他の携帯電話B105の操作画面上の操作により当該携帯電話A103の操作(内部コマンド操作またはカメラ撮影)を可能にするアプリケーション操作手段202とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話を利用して監視対象となる機器を遠隔操作するための技術に係り、特に、ネットワークやシステム機器などの監視対象装置にレスポンス障害(異常信号)が発生した場合に、障害の切り分けから障害復旧までを可能とする携帯アプリケーション操作システムおよび該システムを組み込んだ携帯電話ならびにそのためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会の拡大に伴い、システムのサービス継続性要求がますます高まっている。このような背景の中、遠隔でのシステム操作や運用監視製品として複数の製品が提供されているが、突然の障害時に運用管理者が外出先から容易に操作できるシステムとしての機能は未だ不十分である。
【0003】
一例をあげると、携帯電話を利用して監視対象となる装置を遠隔操作する遠隔監視システムとして、例えば、特開2006−303934号公報(特許文献1)に開示されたものがある。
【0004】
上記特許文献1に開示された遠隔監視システムには、ネットワークやシステム機器の障害を監視、操作するために携帯電話と専用制御装置を設置し、電子メールでのやり取りによって電子メール本文に記述した指令や予め設定された指令に従って監視対象装置を監視制御するようにしたものである。
【0005】
以下、特許文献1に記載された遠隔監視システムについて図面を用いて具体的に説明する。
【0006】
図6は、特許文献1に記載された遠隔監視システムのイメージ構成図である。同図において、携帯電話機Aは、電子メール送受信部5と、電子メール作成部7と、カメラ部9と、シリアルデータの送受信用のシリアル入出力インターフェイス11とを備えており、無線通信網を介してインターネット2と接続されており、同様の機能を有する携帯電話機Bとの間で電子メールの送受信が可能となっている。
【0007】
監視制御装置としての監視制御用マイコン13は、マイコンで構成されており、CPU15と、ワークエリアとしてのRAM(内部メモリ)17と、遠隔監視制御プログラム(専用のアプリケーションプログラム)および制御データを記憶しているROM等の外部メモリ19と、タイマ21と、シリアルデータの送受信用のシリアル入出力インターフェイス23と、監視等対象物やセンサなどに接続する入出力インターフェイス25を備えている。
【0008】
CPU15は、専用の遠隔監視制御プログラム(アプリケーションプログラム)とOSの手順に従って各部を制御したり、演算処理を行うことで、後述の各手段を機能として実現させている。
【0009】
携帯電話機Aのシリアル入出力インターフェイス11と監視制御用マイコン13のシリアル入出力インターフェイス23は、RS232C、RS422,RS485等の汎用シリアル通信ケーブル27で接続されている。
【0010】
監視制御用マイコン13のROM19に記憶されている遠隔監視制御プログラムは、上記したハード構成を利用して図7に示す各手段を機能として実行するものである。
【0011】
図7に示す遠隔監視制御プログラムに従って、各手段毎に説明すると、先ず、メール監視制御手段29は電子メールの送受信を監視制御するものであり、タイマ21で定まる周期毎に、監視制御用マイコン13側から携帯電話機Aにシリアル信号を送信して携帯電話機Aの電子メール送受信部5を制御する。
【0012】
具体的には、監視制御用マイコン13側からのシリアル信号の送信により、携帯電話機Aを手動で操作した場合と同様に、センターに問合せをして受信メールを取得する。そして、メールが有った場合にはユーザ要求(指令内容)をシリアル信号として転送して、指令解析手段31に渡す。
【0013】
また、後述する監視等情報メール作成手段35により電子メールが作成されたときにも、監視制御用マイコン13側から携帯電話機Aにシリアル信号を送信して携帯電話機Aの電子メール送受信部5を制御してそのメールを送信する。
【0014】
指令解析手段31は、メールに含まれる指令(コマンド)を予め登録された指令データファイル32を参照しながら解析する。対象物監視制御手段33は、予め遠隔監視制御プログラムで設定された指令や指令解析手段31から提供された指令に従って監視等対象物を監視・制御するものである。なお、監視画像の取得・送信指令を受取ったときには、後述するように携帯電話機Aにシリアル信号を送信してカメラ部9を制御して画像を取得する。
【0015】
監視等情報メール作成手段35は、受信した電子メールの指令や予め設定された指令に従って監視等対象物の監視や制御状態の情報の電子メールを作成する。
【0016】
画像を添付するか否かに対応していずれかのメール作成画面が表示され、先ず、メールアドレスが入力される。監視制御用マイコン13が自発的に監視等を行ったときには、予め登録されたアドレス帳から電子メールの内容毎に指定された1つまたは複数のメールアドレスを選択・入力してメールの宛先とし、ユーザからの監視等の要求で監視制御用マイコン13が監視等を行ったときには、そのユーザのメールアドレスを返信先とする。
【0017】
次に、題名と本文が入力される。監視制御用マイコン13側はメール作成データファイル36を参照しながら監視情報等に対応したシリアル信号を生成・送信する。また、監視画像の取得・送信指令を受取ったときには、携帯電話機Aにシリアル信号を送信してカメラ部9を動作させて画像を取得して、メールに添付する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−303934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
一般的に機器の障害は2種類あり、物理的な破損であるハードウェア障害(ハード障害)と機器を制御するシステムの不具合であるソフトウェア障害(ソフト障害)に分類される。第一ステップとして機器からの応答がなくなった場合には、原因がハードかソフトかのどちらの障害に起因するものかを判別しなければならない。
【0020】
しかし、上記特許文献1に記載された技術には、次のような問題がある。
(1)特許文献1に記載の技術では、機器からの応答なしの状況やハードウェアのランプ点滅等の動的な確認が必要な場合に、情報取得のタイミングによって点滅しているにも関わらず点灯や消灯の断片的な遣り取りとなってしまい誤った判断を誘発しまうという問題がある。
【0021】
(2)特許文献1に記載の方法では、メール送信という形でやり取りが行われるために、重要な監視対象であるにも関わらず悪意のある第三者によって簡単に管理されてしまうという問題がある。
【0022】
(3)特許文献1に記載の方法では、通信する機器と管理機器の間にソフトウェアを組み込んだ監視対象と同じ仕組みで構成されるハードウェアを接続するために監視システム自体が監視対象と同レベルの障害性を持つという問題がある。
【0023】
(4)特許文献1に記載の方法では、遠隔よりメール送信の形で手続きをするために、管理者が複数いた場合にそれぞれの管理者が同時に異なった操作や管理をするという問題がある。
【0024】
本発明の目的は、上記問題を解決し、遠隔管理運用に必要なセキュリティや排他性を保持した上で、動的に障害原因を切り分けて対処ができる携帯アプリケーション操作システムおよび該システムを組み込んだ携帯電話ならびにそのためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、本発明に係る携帯アプリケーション操作システムは、管理対象からの応答信号を動的に判断し、接続しながらの確認操作やコマンド実行操作を可能にすることによって刻々と変化する状態に対して正確に判断して対処でき、また管理システムへ接続するにあたって専用の接続ソフトを持った携帯電話のみを接続を許可し、さらに接続先である携帯電話の備え持つカメラ機能やメール送受信機能を遠隔より自由に操作できる構成を有する。
【0026】
さらに詳しく述べると、
a)本発明に係る携帯アプリケーション操作システムは、監視または管理対象となる対象機器を遠隔操作するための携帯電話Aに組み込まれる携帯アプリケーション操作システムであって、前記対象機器に一定間隔で信号を送出し、その応答信号に基づいて該対象機器の状態を判別し、判別結果を予め登録されているメールアドレスに電子メールを送信する監視信号制御手段と、他の携帯電話Bのエージェントにより接続要求があった場合に、それが予め登録されている接続が許可されている携帯電話からの接続要求であるか否かを判別し、許可されている接続要求であった場合に、前記他の携帯電話Bの画面上に操作画面を表示し、該他の携帯電話Bの操作画面上の操作により当該携帯電話Aの操作を可能にするアプリケーション操作手段とを具備することを特徴としている。
【0027】
b)また、上記a)において、前記他の携帯電話Bの画面上に表示される操作画面は、少なくとも携帯電話Aの内部コマンドの操作と外観確認操作の選択画面を有し、内部コマンドの操作が選択された場合には前記携帯電話Aの内部コマンドの操作を可能にし、外観確認操作が選択された場合には当該携帯電話Aに内蔵されたカメラにより前記対象機器を撮影すること、また、前記監視信号制御手段は、前記判別結果のほかに、さらに前記携帯電話Aに内蔵されたカメラにより撮影された前記対象機器の画像を予め登録されているメールアドレスに電子メールを送信すること、さらに前記他の携帯電話Bのエージェントにより接続要求があった場合に、それが予め登録されている接続が許可されている携帯電話からの接続要求であるか否かの判別は、携帯電話のUSIM情報に基づいて行われることを特徴としている。
【0028】
c)本発明に係る携帯電話は、上記a)またはb)に記載の携帯アプリケーション操作システムを内蔵したことを特徴とする携帯電話である。
【0029】
d)本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記a)〜b)に記載の携帯アプリケーション操作システムにおける各手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0030】
本発明を適用すると、携帯アプリケーション操作システムが、定期的に運用管理対象機器と信号を送受信しその応答状況に応じて必要になる障害に対して、セキュリティや排他性を確保した上で原因の切り分けや対処を動的に確認操作することにより安全で確実な対処を図ることができ、結果としてシステムを利用するユーザだけでなく運用管理者に高品質で信頼性のあるサービスを提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯電話機を利用した遠隔操作システムのイメージ構成図である。
【図2】本発明に係る監視信号制御手段の処理のフローチャートである。
【図3】本発明に係るアプリケーション操作手段の処理のフローチャートである。
【図4】携帯アプリケーション操作システムのもつデータベースイメージ構成図である。
【図5−A】携帯アプリケーション操作システムのもつ画面構成を説明するための図である(その1)。
【図5−B】携帯アプリケーション操作システムのもつ画面構成を説明するための図である(その2)。
【図5−C】携帯アプリケーション操作システムのもつ画面構成を説明するための図である(その3)。
【図6】従来技術に係る携帯電話機を利用した遠隔操作システムのイメージ構成図である。
【図7】従来技術に係る遠隔監視制御プログラムの論理構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る携帯アプリケーション操作システムの実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る携帯電話機を利用した携帯アプリケーション操作システムの実施形態を説明するためのイメージ構成図である。
【0033】
同図において、対象A 101は、監視対象や運用対象となる監視対象機器であり、例えば、サーバ,ルーター,スイッチ機器などである。対象A 101は、サーバやルーターといった機器の種類に依存せず、後述するケーブルA(LANケーブル,USBケーブルなど)102によって後述する携帯A 103と1対1で接続される。
【0034】
ケーブルA 102は、対象A 101と後述する監視信号制御手段201やアプリケーション操作手段202などのアプリケーションを搭載した携帯A 103とを接続するケーブルである。対象A 101の機器の種類により、USB接続、RS323接続等のケーブルなどのいずれかを選択する。
【0035】
携帯A 103は、監視信号制御手段201とアプリケーション操作手段202とデータベースDB(制御DB301,認証DB302)からなる携帯アプリケーション操作システム、メール機能部401やカメラ機能部402などを搭載した携帯電話機器である。
【0036】
携帯A 103は、監視や運用対象となる対象A 101と1対1にて接続され、携帯A 103で起動している携帯アプリケーション操作システム200にて対象A 101の状態を常時監視する。
【0037】
監視の結果、対象A 101に異常が発生した場合、メール機能部103を使って後述のインターネット網104を経由して後述の携帯B 105へ警告のメールを送信し、携帯インターネット網104を介して作業者A 106で起動したアプリケーションとオンライン接続する。
【0038】
携帯インターネット網104は、携帯A 103と携帯B 105を繋ぐインターネット網である。
【0039】
携帯B 105は、携帯A 103と接続できるエージェントを搭載した携帯電話機器であり、作業者A 106による操作にてアプリケーションを起動して携帯インターネット網104を経由して携帯A 103とオンライン接続し、接続した携帯A 103の携帯アプリケーション操作システム200を経由して対象A 101の監視や操作を行う。
【0040】
作業者A 106は、携帯B 105を所持する対象A 101の機器管理者であり、携帯B 105にて受信した警告のメール等を契機に携帯B105のエージェントを起動して対象A 101に対して操作を行う。
【0041】
携帯A 103内の携帯アプリケーション操作システム200における監視信号制御手段201は、対象A 101の監視を制御する。携帯アプリケーション操作システム200においてタイマー(図示せず)などにより設定される一定間隔にて定期的に対象A 101に信号を送り続け、応答があるかを確認する。
【0042】
携帯A 103内の携帯アプリケーション操作システム200におけるアプリケーション操作手段202は、対象A 101と携帯B 105を操作制御する。また、携帯B 105のエージェント経由にて指示された操作を対象A 101に対して直接操作を行う。
【0043】
携帯B 105のエージェント(クライアントソフト)203は、携帯A 103の携帯アプリケーション操作システム200と携帯B 105を繋ぐ専用のアプリケーションエージェントである。携帯B 105は、エージェント203の起動によって携帯A 103内の携帯アプリケーション操作システム200へ自動で接続される。
【0044】
制御DB 301は、監視信号制御部201の処理で参照するデータベース(DB)であり、応答信号に対応するエラー内容(エラー項目)を保持する(図4の(a)参照)。
【0045】
認証DB 302は、監視信号制御部201の処理やアプリケーション操作部202の処理で参照するデータベース(DB)であり、携帯A 103へのアクセスに必要な情報を保持する(図4の(b)参照)。
【0046】
図4の(a)は、制御DB 301の一例を示す図であり、条件がACK信号=0のとき、エラー項目(エラー内容)として「対象Aからの応答がありません。」を保持し、条件がACK信号≠1,0のとき、エラー項目として「対象Aから異常応答があります。」を保持している例である(ACK信号=1が正常な応答があったことを、ACK信号=0が応答がなかったことを、ACK信号≠1,0がそれ以外を示している)。
【0047】
図4の(b)は、認証DB 302の一例を示す図であり、携帯A 103へのアクセスが可能な携帯電話が保持するUSIMの固体番号と該USIM固体番号に対応する携帯電話のメールアドレスをアドレス項目として保持している例である。
【0048】
メール機能部401は、携帯A 103が標準で保持しているメール送受信を可能とするメール機能部であり、カメラ機能部402は、携帯A 103が標準で保持している対象A 101を撮影して機器状態の動的確認を可能とするカメラ機能部である。
【0049】
図2は、本発明において、監視している対象A 101に一定間隔で信号を送り、その応答により状態を診断する監視信号制御手段201の処理を説明するためのフローチャートである。
【0050】
次に、図2を用いて監視信号制御手段201の処理を説明する。
同図に示すように、携帯A 103内で常時起動しているアプリケーション(監視信号制御手段201のアプリケーション)より、定期的に業務影響のない同期要求信号であるSYN信号を対象A 101へ向けて発信する(ステップA01)。操作信号の一定時間内に肯定確認応答であるACK信号を受け取ることを目的として、応答がない場合はすべて異常とみなす。
【0051】
ステップA01の操作信号に対する対象A 101からの肯定確認応答であるACK信号を受信する(ステップA02)。受信したACK信号の内容により、対象A 101の管理者への警告が必要であるかを判断する。
【0052】
ステップA02で受信した対象A 101からのACK信号の内容を診断する(ステップA03)。正常な応答フラグを“1”とし、一定時間内に応答がない場合も含めて、“1”以外は全て異常と診断する。
【0053】
ステップA03にて異常(ACK信号が1以外)と診断された場合(ステップA03:N)、即座に作業者A 106への警告を発信する必要性があるため、携帯A 103が標準で搭載しているメール機能部401をアプリケーション操作手段202上から起動する(ステップA04)。ステップA03にて正常(ACK信号が1)と診断された場合(ステップA03:Y)、ステップA01に戻る。
【0054】
ステップA04でメール機能部401を起動した後、作業者A 106に送信する警告の種類を制御DB内の「エラー項目(エラー内容)」から取得する(ステップA05)。警告の種類はステップA02にて受信したACK信号の内容を検索条件とし、制御DB 301内の「条件」とマッチングさせることにより検索する。
【0055】
ステップA04で起動したメール機能部401を介して新規のメールを起動する。メール本文にはステップA05にてマッチングしたエラー項目(エラー内容、すなわち、「対象Aからの応答がありません。」,「対象Aから異常応答があります。」など)を自動入力する(ステップA06)。
【0056】
次に、作業者A 106に送信するメールのアドレス項目を参照する(ステップA07)。アドレスは認証DB 302が保持している全てのアドレス項目を参照し、送信対象とする。ステップA07にて参照したアドレス項目をメールの宛先に自動入力する(ステップA08)。
【0057】
次に、ステップA05の本文(すなわちエラー項目)とステップA07による宛先(アドレス項目)が入力されたことを受けて携帯A 103内のアプリケーションが該メールを送信する(ステップA09)。
【0058】
図3は、本発明における携帯A 103のアプリケーション操作部202と携帯B 105のエージェント(クライアントソフト)203が連携して行う処理を説明するためのフローチャートである。
【0059】
次に、図3を用いて、携帯A 103のアプリケーション操作部202と携帯B 105のエージェント203が連携して行う処理を説明する。
アプリケーション操作手段202は、作業者A 106が持つ携帯B 105のエージェント203の起動を契機として機能する。同図に示すように、携帯B 105のエージェント203を起動して携帯ネットワーク網104を経由して携帯A 103への接続要求を発信する(ステップB01)。
【0060】
次に、携帯B 105からの接続情報をアプリケーション操作手段202の処理に接続可能な端末情報(携帯A内の認証DB 302に保持)で参照する。すなわち、ステップB01の携帯B 105からの接続要求で受け取った携帯電話の個々の持つICカード情報であるUSIM情報を検索条件として、認証DB 302内の「USIM個体番号」とマッチングさせる(ステップB02)。
【0061】
次に、携帯A 103にて参照したUSIM情報と携帯B 105のUSIM情報が同一か否かを判定し、アプリケーション操作手段202の処理に接続可能な端末であるか否かを判断する(ステップB03)。すなわち、ステップB02にて参照したUSIM情報と携帯B 105からのUSIM情報が完全一致の場合をYES(接続可)として、それ以外はすべてNO(接続不可)と診断する。
【0062】
NO(接続不可)の場合は(ステップB03:N)、携帯B 105のエージェント203を終了する(ステップB05)。すなわち、ステップB03にて接続不可端末と診断されたものについては携帯A 103内携帯アプリケーション操作システム200から強制的に携帯B 105内のエージェント203を終了させ、接続を遮断する。
【0063】
YES(接続可)の場合(ステップB03:Y)、携帯B 105に基本操作画面を表示させ、携帯A 103への操作を許可する。すなわち、ステップB03の診断にて携帯B 105が安全な端末であることを受けて、携帯A 103内の携帯アプリケーション操作システム200(アプリケーション操作手段202)にて自動的に携帯B 105のエージェント(クライアントソフト)203を起動して基本操作画面(図5−A参照)を表示させる(ステップB04)。
【0064】
操作は、携帯B 105に表示される<基本操作画面>(図5−A参照)を用いて実施する。
図5−Aの(a)の左側の<基本操作画面>は、その右側に記述した詳細説明(定義)から明らかなように、システム名として「携帯アプリシステム」、対象Aの状態表示として「現在の対象Aの状態、状態7月1日19:01、対象Aから異常応答があります」、操作選択画面として、(イ)図5−Bへ遷移するための「内部コマンド操作」、(ロ)図5−Cへ遷移するための「外観確認操作」、(ハ)アプリケーションを終了させるための「操作終了」の各ボタンを有している。また、同図(b)のキー操作例に示すように、方向キーの操作により動作選択の移動を、決定キーの操作により操作選択を行う。
【0065】
ステップB04にて携帯B 105に表示された図5−Aの<基本操作画面>にて作業者A 106は「内部コマンド操作」か「外観確認操作」のいずれかを選択させる。
【0066】
対象Aの「内部コマンド操作」が選択された場合(ステップB06:N)、携帯A 103のアプリケーションにより、携帯B 105内のエージェント203にて図5−Bに示した<内部コマンド操作画面>を表示させ(ステップB07)、対象Aの「外観確認操作」が選択された場合(ステップB06:Y)、携帯A 103のアプリケーションにより、携帯B 105内のエージェント203にて図5−Cに示した<カメラ操作画面>(例)を表示させる(ステップB08)。
【0067】
ステップB07で表示される<内部コマンド操作画面>は、図5−B(a)の右側に示す内部コマンド操作画面の詳細説明(定義)から明らかなように、システム名として「携帯アプリシステム」、対象Aのモニター画面、操作選択画面として、(ニ)システムにログインするための 「自動ログイン送信」、(ホ)「ctrl」,「Alt」,「Del」を入力するための 「ctrl+Alt+Del送信」、(ヘ)機器再起動の信号を発信するための 「Shutdown信号送信」,(ト)図5−Aへ遷移させるための 「Cancel」,(チ)アプリケーションを終了させるための「操作終了」、の各ボタンを有している。また、同図(b)のキー操作例に示すように、方向キーの操作により動作選択の移動を、決定キーの操作により操作選択を行う。
【0068】
携帯B 105にて、図5−Bに示した<内部コマンド操作画面>を用いて対象A 101への操作を選択して実行する(ステップB09)。
【0069】
ステップB08で表示される<カメラ操作画面>は、図5−C(a)の右側に示す内部コマンド操作画面の詳細説明(定義)から明らかなように、システム名として「携帯アプリシステム」、カメラ機能による対象Aの外観オンライン表示としてカメラにより撮影された「写真画像」を表示する領域の他に、数字キーを各機能に関連付け、(リ)図5−Aへ遷移するためのcancelキーに数字キー(2)を、(ヌ)拡大表示を行うためのzoomキーに数字キー(4)を、(ル)縮小表示するためのzoomキーに数字キー(6)を、(ヲ)画面を取得(画像撮影・保存・決定)するためのshotキーに数字キー(8)を、機器の再起動の信号を発信するためのrebootキーをキー「#」の2秒以上押下に割り当てるようにしてもよい。
【0070】
携帯B 105にて、ステップB08で表示される<カメラ操作画面>を用いて作業者Aの入力操作により選択された内容により、携帯A 103のカメラ機能部401で撮影を実行する(ステップB10)。
【0071】
上記キーの割当は一例を示したものにすぎず、任意に変更可能であることはいうまでもない。上記キーの割当例は、同図(b)のキー操作例に示す。なお、これらの選択項目はセットアップ時に事前登録したものである。事前登録しておくことにより、状態改善を行う際に迅速に対応できる。
【0072】
ステップB09およびステップB10の操作によって問題が解決したか(作業が終了したか)を判断する(ステップB11)。すなわち、ステップB09およびステップB10の操作を受けて別作業が不要(YES)か、再度操作が必要(NO)かを判断する。
【0073】
再度操作が必要な場合(ステップB11:N)、ステップB06に戻る。別作業が不要な場合(ステップB11:Y)、携帯B 105内のエージェント203を終了させる(ステップB12)。すなわち、ステップB11にて作業完了としたことを契機として、ステップB05と同様に、携帯A 103内アプリケーション(アプリケーション操作手段202)から強制的に携帯B 105内のエージェント203を終了させ、接続を遮断する。
【0074】
なお、携帯アプリケーション操作システム200が行う機能、すなわち、監視信号制御手段201が行う機能(図2に示した処理)およびアプリケーション操作手段202と他の携帯電話のエージェントが連携して行う機能(図3に示した処理)は、携帯A 103と携帯電話B 105に内蔵されているCPU(図示せず)や内部メモリ(図示せず)、データベース(制御DB、認証DB)などのハードウェアを用いて各処理に対応するプログラムを実行することにより実現される。また、これら各処理に対応したプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して、あるいは、CD−ROM、DVD、FDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して、市場に流通させることができる。
【符号の説明】
【0075】
1:携帯電話機を利用した遠隔監視システム
2:インターネット
5:電子メール送受信部
7:電子メール作成部
9:カメラ部
11:シリアル入出力インターフェイス
13:監視制御用マイコン
15:CPU
17:RAM
19:ROM
21:タイマ
23:シリアル入出力インターフェイス
25:入出力インターフェイス
27:シリアル通信ケーブル
29:メール監視制御手段
31:指令解析手段
32:指令データファイル
33:対象物監視制御手段
35:監視等情報メール作成手段
36:メール作成データファイル
X,Y:携帯電話機
101:対象A(監視・運用対象機器)
102:通信ケーブルA
103:携帯A(携帯電話機器)
104:携帯インターネット網
105:携帯B(携帯電話機器)
106:作業者A(対象Aの機器管理者)
200:携帯アプリケーション操作システム
201:監視信号制御手段
202:アプリケーション操作手段
203:エージェント
301:制御DB
302:認証DB
401:メール機能部
402:カメラ機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視または管理対象となる対象機器を遠隔操作するための携帯電話Aに組み込まれる携帯アプリケーション操作システムであって、
前記対象機器に一定間隔で信号を送出し、その応答信号に基づいて該対象機器の状態を判別し、判別結果を予め登録されているメールアドレスに電子メールを送信する監視信号制御手段と、
他の携帯電話Bのエージェントにより接続要求があった場合に、それが予め登録されている接続が許可されている携帯電話からの接続要求であるか否かを判別し、許可されている接続要求であった場合に、前記他の携帯電話Bの画面上に操作画面を表示し、該他の携帯電話Bの操作画面上の操作により当該携帯電話Aの操作を可能にするアプリケーション操作手段と
を具備することを特徴とする携帯アプリケーション操作システム。
【請求項2】
請求項1記載の携帯アプリケーション操作システムにおいて、
前記他の携帯電話Bの画面上に表示される操作画面は、少なくとも携帯電話Aの内部コマンドの操作と外観確認操作の選択画面を有し、内部コマンドの操作が選択された場合には前記携帯電話Aの内部コマンドの操作を可能にし、外観確認操作が選択された場合には当該携帯電話Aに内蔵されたカメラにより前記対象機器を撮影することを特徴とする携帯アプリケーション操作システム。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯アプリケーション操作システムにおいて、
前記監視信号制御手段は、前記判別結果のほかに、さらに前記携帯電話Aに内蔵されたカメラにより撮影された前記対象機器の画像を予め登録されているメールアドレスに電子メールを送信することを特徴とする携帯アプリケーション操作システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の携帯アプリケーション操作システムにおいて、
前記他の携帯電話Bのエージェントにより接続要求があった場合に、それが予め登録されている接続が許可されている携帯電話からの接続要求であるか否かの判別は、携帯電話のUSIM情報に基づいて行われることを特徴とする携帯アプリケーション操作システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の携帯アプリケーション操作システムを内蔵したことを特徴とする携帯電話。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から4のいずれかに記載の携帯アプリケーション操作システムにおける各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−A】
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【図5−B】
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【図5−C】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66789(P2011−66789A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217124(P2009−217124)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】