説明

携帯可能電子装置

【課題】より効率的に発行処理を行う事ができる携帯可能電子装置を提供する。
【解決手段】携帯可能電子装置(2)は、発行モジュールを格納する発行モジュール格納部(28)と、発行情報を格納する発行情報格納部(28)とを具備する。携帯可能電子装置は、外部機器から送信されるコマンドを受信し、受信するコマンドに基づいて発行情報を生成する。携帯可能電子装置は、前記発行モジュール格納部に格納される発行モジュールに基づいて、生成した発行情報を前記発行情報格納部に格納するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯可能電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、携帯可能電子装置として用いられるICカードは、プラスチックなどで形成されたカード状の本体と本体に埋め込まれたICモジュールとを備えている。ICモジュールは、ICチップを有している。ICチップは、電源が無い状態でもデータを保持することができるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)またはフラッシュROMなどの不揮発性メモリと、種々の演算を実行するCPUとを有している。
【0003】
ICカードは、携帯性に優れ、且つ、外部装置との通信及び複雑な演算処理を行う事ができる。また、偽造が難しい為、ICカードは、機密性の高い情報などを格納してセキュリティシステム、電子商取引などに用いられることが想定される。
【0004】
例えば、特許文献1には、上記したような用途に用いられるICカードを発行する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−280668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ICカードを発行する場合、まず、ICカードを発行する発行装置は、上記した構成を備えるICカードのICチップの不揮発性メモリにファイルを創成する。
【0007】
また、ICカードを発行する発行装置は、創成されたファイルにアプリケーション及び個別データなどを書き込む。
【0008】
通常、発行処理において創生されるファイルは、大まかに仕様が決められている。しかし、コアな部分には独自の項目が存在する。この為、異なる仕様のICカードの間でファイルが共通化されていない。
【0009】
即ち、発行装置は、ICカードの仕様毎に異なる構成でICカードにファイルを創成する。発行装置は、各ファイルのアドレスなどの情報をプログラムとして備える。これにより、発行装置は、各ファイルに応じたデータを書き込むことができる。即ち、発行装置は、各ファイルのアドレスを指定し、指定したアドレスにデータを書き込む。
【0010】
しかし、ICカードの仕様が変更される場合、ICカード内のファイルのアドレスが変更される場合がある。この結果、発行装置のプログラムを修正する必要があるという問題がある。
【0011】
また、発行装置のプログラムを修正した場合、発行装置は、仕様が変更される前のICカードに対して発行処理を行う事ができなくなるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、より効率的に発行処理を行う事ができる携帯可能電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態として携帯可能電子装置は、外部機器から送信されるコマンドを受信する受信部と、前記受信部により受信するコマンドに基づいて発行情報を生成する発行情報生成部と、前記発行情報生成部により生成される発行情報を格納する発行情報格納部と、前記受信部により受信するコマンドに基づいて、前記発行情報格納部に格納されている発行情報の変更、または前記発行情報格納部に対して発行情報の追加を行う発行モジュールを格納する発行モジュール格納部と、前記発行モジュール格納部に格納される発行モジュールに基づいて、前記発行情報生成部により生成される発行情報を前記発行情報格納部に格納するように制御する制御部と、を具備する。
【発明の効果】
【0014】
この発明の一形態によれば、より効率的に発行処理を行う事ができる携帯可能電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る携帯可能電子装置の発行システムの構成の例について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す発行装置の構成例について説明するためのブロック図である。
【図3】図3は、図1に示すICカードの構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、一次発行されたICカードの不揮発性メモリに記憶されているデータの例について説明する為の説明図である。
【図5】図5は、発行モジュールに含まれるテーブルについて説明する為の説明図である。
【図6】図6は、二次発行されたICカードの不揮発性メモリに記憶されているデータの例について説明する為の説明図である。
【図7】図7は、二次発行されたICカードの不揮発性メモリに記憶されているデータの他の例について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、二次発行されたICカードの不揮発性メモリに記憶されているデータの他の例について説明する為の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る携帯可能電子装置について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るICカード発行システム10の構成例について説明するための説明図である。
図1に示すようにICカード発行システム10は、携帯可能電子装置の発行装置1と携帯可能電子装置(ICカード)2とを備えている。なお、発行装置1は、ICカード2に対して二次発行を行う発行装置である。また、ICカード2は、一次発行が施されたICカードである。発行装置1は、ICカード2に対してコマンドを送信する事により、種々のデータを書き込む。
【0018】
図2は、図1に示す発行装置1の構成例について説明するためのブロック図である。図2に示すように、発行装置1は、制御部11、ディスプレイ12、キーボード13、カードリーダライタ14、及び記憶部15などを有している。
【0019】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどを備える。制御部11は、発行装置1全体の動作を制御する。CPUは、種々の演算処理を行う。RAMは、CPUの作業領域として機能するバッファメモリである。ROMは、CPUにより実行されるプログラム及び制御データなどを記憶するプログラムメモリである。制御部11は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0020】
ディスプレイ12は、制御部11の制御により種々の情報を表示する。キーボード13は、発行装置1の操作者による操作を操作信号として受け取る。
【0021】
カードリーダライタ14は、ICカード2と通信を行うためのインターフェース装置である。カードリーダライタ14は、ICカード2に対して、電源供給、クロック供給、リセット制御、及びデータの送受信を行う。即ち、カードリーダライタ14は、送信部、及び受信部として機能する。記憶部15は、制御部11が実行する動作のプログラム、及びデータなどを記憶する。
【0022】
記憶部15は、発行プログラム151と個別データ記憶部152とを記憶する。発行プログラム151は、ICカード2に対して二次発行を行う為のプログラムである。個別データ記憶部152は、ICカード2に対して二次発行において書き込む個別データを記憶するユニットである。
【0023】
発行装置1は、キーボード13により入力される個別データを記憶部15の個別データ記憶部152に格納する。制御部11のCPUは、記憶部15に記憶されている発行プログラム151を実行し、個別データ記憶部152に記憶されている個別データを読み出し、ICカード2に対して二次発行を行う。
【0024】
制御部11は、カードリーダライタ14によりICカード2に対して種々のコマンドを送信することにより、種々の処理を実行させる。例えば、ICカード2に対してデータを書き込む場合、発行装置1は、カードリーダライタ14によりICカード2に書き込みコマンドを送信する。
【0025】
ICカード2は、カードリーダライタ14からデータの書き込みコマンドを受信する場合、受信した書き込みコマンドに含まれるデータを不揮発性メモリに書き込む処理を行う。
【0026】
上記のカードリーダライタ14は、接触通信、または非接触通信によりICカード2とデータの送受信を行う。
【0027】
接触通信を行う場合、カードリーダライタ14は、接触端子を備える。また、接触通信を行う場合、ICカード2は、カードリーダライタ14の接触端子と接続されるコンタクトパターンを備える。ICカード2とカードリーダライタ14とは、接触端子及びコンタクトパターンを介して互いにデータの送受信を行う。
【0028】
また、非接触通信を行う場合、カードリーダライタ14は、電波を発生させるアンテナを備える。また、非接触通信を行う場合、ICカード2は、カードリーダライタ14のアンテナから発せられる電波の周波数に対応するアンテナを備える。ICカード2とカードリーダライタ14とは、アンテナを介して互いにデータの送受信を行う。
【0029】
図3は、図1に示すICカード2の構成例について説明するためのブロック図である。
図3に示すように、ICカード2は、カード状の本体21と、本体21内に内蔵されたICモジュール22とを備えている。ICモジュール22は、1つ又は複数のICチップ23と、通信部24とを備える。ICチップ23と通信部24とは、互いに接続された状態でICモジュール22に形成されている。
【0030】
ICチップ23は、通信部24、CPU25、ROM26、RAM27、不揮発性メモリ28、及び電源部29などを備えている。
【0031】
通信部24は、発行装置1のカードリーダライタ14と通信を行うためのインターフェースである。上記したように、通信部24は、接触通信を行う場合、コンタクトパターンを具備し、非接触通信を行う場合、アンテナを具備する。通信部24は、カードリーダライタ14と通信を行う為の送信部、及び受信部として機能する。
【0032】
CPU25は、ICカード2全体の制御を司る制御部として機能する。また、CPU25は、種々の判定を行う判定部として機能する。CPU25は、ROM26あるいは不揮発性メモリ28に記憶されている制御プログラム及び制御データに基づいて種々の処理を行う。例えば、カードリーダライタ14から受信したコマンドに応じて種々の処理を行い、処理結果としてのレスポンスなどのデータの生成を行なう。
【0033】
ROM26は、予め制御用のプログラム及び制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。ROM26は、製造段階で制御プログラム及び制御データなどを記憶した状態でICカード2内に組み込まれる。即ち、ROM26に記憶される制御プログラム及び制御データは、予めICカード2の仕様に応じて組み込まれる。
【0034】
RAM27は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM27は、CPU25の処理中のデータなどを一時的に格納する。例えば、RAM27は、通信部24を介して発行装置1から受信したデータを一時的に格納する。また、RAM27は、CPU25が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0035】
不揮発性メモリ28は、例えば、EEPROMあるいはフラッシュROMなどのデータの書き込み及び書換えが可能な不揮発性のメモリにより構成される。不揮発性メモリ28は、ICカード2の運用用途に応じて制御プログラム及び種々のデータを格納する。この為に不揮発性メモリ28は、一次発行において創生される複数のファイルを備える。不揮発性メモリ28に創成される各ファイルには、それぞれアドレスが設定される。
【0036】
一次発行されたICカード2は、不揮発性メモリ28内に、発行モジュール281が格納されたファイルと、OS282が格納されたファイルとを具備する。
【0037】
電源部29は、電力及び動作クロックをICカード2の各部に電力を供給する。通信部24が接触通信を行う構成を備える場合、電源部29は、通信部24により外部機器から電力及び動作クロックを受けとる。また、通信部24が非接触通信を行う構成を備える場合、電源部29は、通信部24によりカードリーダライタ14から電波を受信し、受信した電波から起電力及び動作クロックを発生させる。ICカード2の各部は、電力の供給を受けた場合、動作可能な状態になる。
【0038】
図4は、一次発行されたICカード2の不揮発性メモリ28に記憶されているデータの例について説明する為の説明図である。
図4に示すように、不揮発性メモリ28は、発行モジュール281とOS282とを格納する。即ち、不揮発性メモリ28は、発行モジュール281を格納する発行モジュール格納部として機能する。発行モジュール281は、受信するコマンドに基づいて、発行情報の変更、または発行情報の追加記憶を行う為のモジュールである。
【0039】
不揮発性メモリ28の空き領域は、二次発行においてデータ及びアプリケーションなどの発行情報が書き込まれるファイルが格納されている記憶領域である。すなわち、不揮発性メモリ28は、発行情報を格納する発行情報格納部として機能する。なお、空き領域には複数のファイルが創成される。各ファイルには、それぞれアドレスが設定される。
【0040】
ICカード2に対して二次発行を行う場合、発行装置1は、ICカード2に送信する二次発行コマンドを生成する。この場合、発行装置1の制御部11は、ICカード2に書き込むデータ(発行情報)にTag(タグ情報)を付加する。制御部11は、タグ処理部及びコマンド生成部として機能する。
【0041】
例えば、ICカード2にアプリケーション(APL_A)を書き込む場合、制御部11は、APL_Aに例えばTagAを付加する。また、例えば、ICカード2にデータ「1234」を書き込む場合、制御部11は、データ「1234」に例えばTagBを付加する。
【0042】
制御部11は、タグ情報を付加した発行情報を連結し、ICカードに送信する二次発行コマンドに格納する。制御部11は、生成したコマンドをICカード2に送信する。
【0043】
ICカード2は、受信する二次発行コマンドから発行情報を生成する。即ち、ICカード2のCPU25は、コマンドに格納される発行情報を認識して抽出する。CPU25は、受信するコマンドに基づいて不揮発性メモリ28に格納する発行情報を生成する発行情報生成部として機能する。ICカード2のCPU25は、発行モジュール281を読み出し、図5に示すテーブルを参照し、発行情報を格納するアドレスを認識する。
【0044】
図5は、発行モジュール281に含まれるテーブルについて説明する為の説明図である。
図5に示すテーブルは、Tagと不揮発性メモリ28内の各ファイルのアドレスとが対応付けられる情報である。
【0045】
CPU25は、受信したTagと一致するTagをテーブルから検索する。CPU25は、検索したTagに対応付けられているアドレスを読み出す。これによりCPU25は、発行情報を格納するアドレスを特定する。CPU25は、受信したTagが付加されている発行情報を読み出したアドレスに書き込む。即ち、CPU25は、発行モジュール281に基づいて、発行情報を所定のアドレスに格納するように制御する制御部として機能する。
【0046】
例えば、TagAが付加されたアプリケーションAPL_Aが二次発行コマンドに格納されている場合、CPU25は、テーブルを参照し、書き込み先のファイルのアドレスがSFI10であることを認識する。この場合、CPU25は、アドレスがSFI10であるファイルにAPL_Aを書き込む。
【0047】
また、例えば、TagBが付加されたデータ「1234」が二次発行コマンドに格納されている場合、CPU25は、テーブルを参照し、書き込み先のファイルのアドレスがSFI11であることを認識する。この場合、CPU25は、アドレスがSFI11であるファイルにデータ「1234」を書き込む。
【0048】
CPU25は、受信した二次発行コマンドに格納されている全てのTagについて上記の処理を行うことにより、二次発行を完了する。
【0049】
なお、データ或いはアプリケーションに付加するTagは、例えば、データ或いはアプリケーションの種類により決定される。
【0050】
図6は、二次発行されたICカード2の不揮発性メモリ28に記憶されているデータの例について説明する為の説明図である。
【0051】
二次発行が完了した場合、図6に示すように、図4において空き領域であった領域に発行情報としてのアプリケーション及びデータが書き込まれる。
【0052】
上記したように、本実施形態に係るICカードの発行システム10は、発行装置1とICカード2とを備える。発行装置1は、データ或いはアプリケーションにそれぞれTagを付加し、二次発行コマンドに格納し、ICカード2に送信する。ICカード2は、一次発行において格納される発行モジュール281の中に、Tagとアドレスとが対応付けられたテーブルを具備する。ICカード2は、テーブルを参照し、受信した二次発行コマンドに格納されているTagに基づいて、Tagが付加されているデータ或いはアプリケーションを書き込む書き込み先のアドレスを認識する。ICカード2は、認識したアドレスに当該Tagが付加されているデータ或いはアプリケーションを書き込む。
【0053】
これにより、発行装置1から書き込み先のアドレスを指定する必要が無くなる。この為、ICカード2の仕様が変更されても、発行装置1は、ICカード2の仕様の変更に関わらず、常に同じ二次発行コマンドを用いることにより、二次発行を行うことができる。この結果、より効率的に発行処理を行う事ができる携帯可能電子装置を提供することができる。
【0054】
なお、上記の発行モジュール281は、暗号化された状態で不揮発性メモリ28に格納される。通常、二次発行を行う場合、発行装置1は、ICカード2と相互認証を行う。ICカード2は、相互認証の結果に応じて、暗号化された発行モジュール281を復号するか否かを判断する。この構成により、セキュリティ性を高めることができる。
【0055】
従来書き込むデータ及びアプリケーションの数に応じた回数だけ、コマンドとレスポンスとを繰り返す必要がある。しかし、上記した実施形態によると、Tagにより各データ及びアプリケーションをICカード2が認識することができる。この為、発行装置1は、1つのコマンドで複数のデータ及びアプリケーションを一括してICカード2に送信することができる。この結果、二次発行に要する時間を短縮することができる。
【0056】
また、上記した実施形態では、一次発行において発行モジュール281をICカード2内に格納し、格納されている発行モジュール281を用いて二次発行を行う例について説明したが、この構成に限定されない。発行モジュールを二次発行において用いるのはあくまで一例であり、発行モジュール281は、一次発行及び二次発行によらず、ICカード2の発行処理に用いる事ができる。
【0057】
例えば、一次発行の前に発行モジュール281をICカード2内に格納することにより、一次発行に発行モジュール281を用いる事ができる。
【0058】
また、上記した実施形態では、発行モジュール281として、タグ情報とアドレス情報とを対応付けたテーブルを格納し、受信するコマンドに含まれるTagに基づいて発行情報を書き込むアドレスを特定する構成について説明したが、この構成に限定されない。受信したコマンド内の発行情報を、ICカード2に適合する内容に展開することができる構成であれば、如何なるものであってもよい。
【0059】
また、不揮発性メモリ28内の発行モジュール281を、二次発行完了後、または二次発行処理中に所定の条件に基づいて削除するようにICカード2が構成されていてもよい。
【0060】
この場合、例えば、二次発行の完了をICカード2のCPU25が認識してから所定時間経過後に、CPU25は、不揮発性メモリ28内の発行モジュール281を削除する。これにより、発行モジュール281が運用フェーズにおいてICカード2内に残らないようにすることができる。この結果、改竄などを防ぐことができる。
【0061】
なお、例えば、運用フェーズにおいてオンラインでICカード2の認証を行うことにより、二次発行の完了をICカード2のCPU25が認識してから不揮発性メモリ28内の発行モジュール281を削除するまでの時間を中止または延長する構成であってもよい。
【0062】
また、二次発行の完了をICカード2のCPU25が認識してから所定時間経過後に、CPU25は、不揮発性メモリ28内の発行モジュール281を削除するのではなく、フェーズの移行に応じて、不揮発性メモリ28内の発行モジュール281を削除する構成であってもよい。即ち、ICカード2は、運用フェーズに移行したことを認識する場合、不揮発性メモリ28内の発行モジュール281を削除する。
【0063】
また、二次発行中に発行モジュール281を削除する構成であってもよい。例えば、二次発行によりICカード2に書き込まれるデータ及びアプリケーションの容量が不揮発性メモリ28の空き容量を超える場合、容量が不足するという問題がある。そこで、ICカード2は、運用フェーズ移行時に空けることができる領域、即ち、発行モジュール281が格納されている領域を空き予定領域として認識することにより、二次発行を行う。
【0064】
図7は、二次発行されたICカードの不揮発性メモリに記憶されているデータの例について説明する為の説明図である。
二次発行によりICカード2に書き込まれる発行情報の容量が不揮発性メモリ281の空き容量を超える場合、ICカード2のCPU25は、不揮発性メモリ281の空き容量を超えるデータを一時的にRAM27に書き込む。この場合、CPU25は、RAM27に書き込んだデータに付加されているTagに基づいて書き込み先のファイルのアドレスを発行モジュール281から読み出す。CPU25は、読み出したアドレスをRAM27に書き込んだデータに付加する。
【0065】
CPU25は、RAM27に書き込んだデータを除く他のデータの書き込み処理を行う。CPU25は、他のデータの書き込み処理が完了する場合、発行モジュール281を不揮発性メモリ28から削除する。
【0066】
CPU25は、RAM27に一時的に書き込んだデータを、当該データに付加されるアドレスに基づいて不揮発性メモリ28のファイルに書き込む。
【0067】
図7に示す例によると、APL_Aを格納するための容量が不揮発性メモリ28上に存在しない。この為、CPU25は、APL_AをRAM27に格納する。また、同時に、CPU25は、APL_Aに付加されているTagに基づいて発行モジュール281からアドレスを読み出し、読み出したアドレスをRAM27のAPL_Aに付加する。
【0068】
図8に示すように、他のデータの書き込み処理が完了する場合、CPU25は、発行モジュール281を不揮発性メモリ28から削除し、RAM27からAPL_Aとアドレスとを読み出す。CPU25は、読み出したアドレスのファイルにAPL_Aを書き込むことにより、二次発行を完了させる。
【0069】
これにより、発行モジュール281が格納されていた領域を、発行情報を格納する為の領域として活用することができる。
【0070】
また、ICカード2の不揮発性メモリ28内に発行モジュール281を再インストールすることにより、発行情報の設定および修正をすることができる。例えば、発行装置1とICカード2との相互認証完了後に発行モジュール281をインストールすることができるように構成することにより、セキュリティ性を保つことができる。これにより、搭載されるアプリケーションの設定を変更することができる。
【0071】
通常、発行モジュール281を再インストールは、発行フェーズにおいて行われる。しかし、運用フェーズ移行後、例えばIssuer Scriptなどのオンラインによる設定変更方法を用いることにより、搭載されるアプリケーションの設定を変更することができる。
【0072】
上記した実施形態によると、本発行モジュールをICチップに設定、再設定、削除することができる。これにより、従来の問題であった項目を解決することができる。
【0073】
即ち、従来、発行装置の発行プログラムによりICチップの固有情報をコントロールしていた。この為、ICチップが変更される度に、発行装置の発行プログラムを変更する必要があった。さらに、発行装置の発行プログラムを変更する場合、従前のICチップについても発行確認をする必要がある。この為、大変手間であるという問題がある。
【0074】
しかし、上記したように、一次発行されたICチップ内に発行モジュールを備えることにより、ICチップの固有情報を補うことができる。即ち、外部のI/Fを変更することなく、新旧のICチップに対応することができる。
【0075】
また、上記したように、発行モジュールを再インストールすることにより、ICチップ内の発行情報を変更することができる。この結果、ICカードを柔軟に運用することができる。
【0076】
また、書き込む発行情報をTagにより仕切ったデータを、一括して端末装置からICカードに送ることができる。この為、従来、コマンド及びレスポンスを繰り返すことにより行っていた発行処理を高速化することができる。
【0077】
さらに、所定の条件で不揮発性メモリ内の発行モジュールを削除することにより、セキュリティ性を保つことができる。
【0078】
またさらに、発行モジュールを削除することにより、発行モジュールが格納されている領域をデータまたはアプリケーションを格納するための領域として活用することができる。
【0079】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…発行装置、2…ICカード、10…ICカード発行システム、11…制御部、12…ディスプレイ、13…キーボード、14…カードリーダライタ、15…記憶部、21…本体、22…ICモジュール、23…ICチップ、24…通信部、25…CPU、26…ROM、27…RAM、28…不揮発性メモリ、29…電源部、151…発行プログラム、152…個別データ記憶部、281…発行モジュール、282…OS。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から送信されるコマンドを受信する受信部と、
前記受信部により受信するコマンドに基づいて発行情報を生成する発行情報生成部と、
前記発行情報生成部により生成される発行情報を格納する発行情報格納部と、
前記受信部により受信するコマンドに基づいて、前記発行情報格納部に格納されている発行情報の変更、または前記発行情報格納部に対して発行情報の追加を行う発行モジュールを格納する発行モジュール格納部と、
前記発行モジュール格納部に格納される発行モジュールに基づいて、前記発行情報生成部により生成される発行情報を前記発行情報格納部に格納するように制御する制御部と、
を具備することを特徴とする携帯可能電子装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信部により受信するコマンドに基づいて、前記発行モジュール格納部により格納される発行モジュールを削除し、前記発行モジュール格納部を、発行情報を格納する格納部として用いるように制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記発行情報生成部により生成した発行情報の容量が、前記発行情報格納部の容量を超える場合、前記発行モジュール格納部により格納される発行モジュールを削除することを特徴とする請求項2に記載の携帯可能電子装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記発行情報格納部に発行情報を格納してから所定時間経過後に前記発行モジュール格納部から前記発行モジュールを削除することを特徴とする請求項2に記載の携帯可能電子装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記携帯可能電子装置が所定の条件を満たす場合、前記発行モジュールの削除を中止することを特徴とする請求項4に記載の携帯可能電子装置。
【請求項6】
前記発行モジュール格納部は、発行モジュールとして、タグ情報と前記発行情報格納部のアドレスとが対応付けられるテーブルを予め格納し、
前記制御部は、前記受信部により受信するコマンドに含まれるタグ情報に基づいて、前記発行モジュール格納部により格納される前記発行モジュールのテーブルを参照し、前記発行情報格納部のアドレスを特定し、前記特定したアドレスに、前記発行情報生成部により生成した発行情報を格納するように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項7】
さらに、前記各部を備えるICモジュールと、
前記ICモジュールが設置される本体と、
を具備することを特徴する請求項1に記載の携帯可能電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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