説明

携帯型バーコードリーダ

【課題】価格の低減を実現し、バーコード印刷面上のバーコードの読み取りに際して、バーコードの位置を確実に確認することが可能な携帯型のバーコードリーダを提供する。
【解決手段】紫外線UVを発する複数の紫外線LED11を具備して郵便物Pのバーコード印刷面Paに紫外線UVを照射する投光部10と、紫外線LED11を動作させて紫外線UVを照射させる読み取りスイッチ20と、バーコード印刷面Paで反射する紫外線UVを受けてバーコードBCを読み取る受光部30を備え、紫外線LED11のうちのバーコード印刷面Pa上のバーコードBCの住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dに対応する紫外線LEDをガイド兼用紫外線LED11a〜11dとし、読み取りスイッチ20の始動操作の段階で、ガイド兼用紫外線LED11a〜11dから光量を下げて発した紫外線UVを照射してバーコードBCを視認可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便物や宅配物のバーコード印刷面に紫外線を照射して該バーコード印刷面上のバーコードを読み取る携帯型バーコードリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した紫外線を照射するバーコードリーダとしては、例えば、郵便局に設置された据付タイプのものがあるが、この据付タイプのバーコードリーダは、大掛かりであるのに加えて、低額とは言えないことから、紫外線を用いる手頃なバーコードリーダとして携帯型のバーコードリーダの出現が望まれている。
現在、広く使用されている携帯型のバーコードリーダは、いずれも可視光を用いたものであり、このバーコードリーダでは、その読み取り窓をバーコード印刷面上のバーコードに向けて可視光を照射して、情報を取得するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この携帯型のバーコードリーダにおいて、離れた位置からバーコードに狙いを定めて可視光を照射するので、必ずしもバーコードに可視光が当たるとは限らないことから、可視光の光源とは別のレーザ光の光源及び回折格子を搭載して、レーザ光が回折格子を通過するように成すことで形成したガイドパターンをバーコードに重ねて位置決めするようにしたバーコードリーダも普及し始めている。
【特許文献1】特開平08-077288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したガイドパターンを用いる携帯型のバーコードリーダにおいて、ガイドパターン形成用のレーザ光の光源をバーコード読み取り用の可視光の光源とは別に設けているので、その分だけ、価格が高くついてしまうという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、価格の低減を実現したうえで、バーコード印刷面上のバーコードの読み取りに先立って、バーコードの位置を確実に確認することが可能な携帯型バーコードリーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る発明は、波長が365nm程度の紫外線を発する光源を具備して郵便物や宅配物のバーコード印刷面に紫外線を照射する投光部と、この投光部の光源を動作させて紫外線を照射させる読み取りスイッチと、前記投光部から照射されてバーコード印刷面で反射して戻る紫外線を受けてバーコードを読み取る受光部を備えた携帯型バーコードリーダであって、前記読み取りスイッチの始動操作の段階で、バーコードの読み取りに先立って、前記バーコード印刷面上におけるバーコードの少なくとも端部に前記投光部の光源から光量を下げて発した紫外線を照射して該バーコードを視認可能とした構成としたことを特徴としており、この携帯型バーコードリーダの構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0006】
また、本発明の請求項2に係る携帯型バーコードリーダは、前記投光部の光源を複数の紫外線LEDとすると共に、これらの紫外線LEDのうちの前記バーコード印刷面上におけるバーコードの少なくとも端部に対応する部位に位置する紫外線LEDをガイド兼用紫外線LEDとし、前記読み取りスイッチの始動操作の段階で、前記ガイド兼用紫外線LEDから光量を下げて発した紫外線を照射して前記バーコードを視認可能とした構成としている。
【0007】
さらに、本発明の請求項3に係る携帯型バーコードリーダは、紫外線の励起中心波長から可視光側の波長にシフトさせた波長が380nm程度の近紫外線を発する近紫外線光源を前記投光部の光源とし、前記読み取りスイッチの始動操作の段階で、前記近紫外線光源から光量を下げて発した近紫外線を照射して前記バーコードを視認可能とした構成としている。
【0008】
本発明に係る携帯型バーコードリーダにおいて、投光部の光源から発する紫外線の光量を下げる場合には、紫外線をパルス状に照射する手法や、光源を動作させる駆動電圧を低光量に切り替える手法を採用することができる。
本発明に係る携帯型バーコードリーダでは、読み取りスイッチの操作を開始すると、バーコードの読み取りに先立って、バーコード印刷面上におけるバーコードの少なくとも端部に対して、投光部の光源から光量を下げて発せられた紫外線が照射されるので、バーコード印刷面上のバーコードが浮かび上がって目視で確認し得ることとなり、この状態で読み取りスイッチの操作を継続すると、浮かび上がっているバーコードに対して、投光部の光源から通常の光量で発せられた紫外線が照射され、バーコード印刷面で反射して戻る紫外線を受光部が受けることで、バーコードの読み取りが成されることとなる。
【0009】
つまり、バーコード印刷面上のバーコードを読み取る時点では、バーコードが浮かび上がって視認できる状態となっているので、バーコードに対して紫外線を確実に照射し得ることとなる。
また、バーコード読み取り用の紫外線の光源が、バーコード印刷面上のバーコードを浮かび上がらせて視認可能とする紫外線の光源を兼ねているので、バーコードを浮かび上がらせる紫外線の光源を別途設ける必要がない分だけ、価格の低減が図られることとなる。
【0010】
加えて、バーコード印刷面上のバーコードを浮かび上がらせる段階では、投光部の光源から光量を下げて発せられた紫外線を照射するので、安全性にも優れたものとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る携帯型バーコードリーダは、上記した構成としているので、価格の低減を実現可能であるのに加えて、バーコード印刷面上のバーコードの読み取りに先立って、バーコードの位置を確実且つ安全に確認することができるという非常に優れた効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯型バーコードリーダを図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明に係る携帯型バーコードリーダの一実施形態を示している。
図1及び図2に示すように、この携帯型バーコードリーダ1は、波長が365nm程度の紫外線UVを発する複数の紫外線LED(光源)11及び拡散レンズ12を具備して郵便物Pのバーコード印刷面Paに紫外線UVを照射する投光部10と、この投光部10の複数の紫外線LED11を点灯させて紫外線UVを照射させる読み取りスイッチ20と、バーコード印刷面Paで反射して戻る紫外線UVを受ける受光部30と、受光した反射紫外線UVを光電変換する光電変換部40と、この光電変換部40から出力されたアナログ信号に対してA/D変換,2値化,バー情報化及びコード化の各処理を順次行ってバーコードBCを読み取る制御部50を備えている。
【0013】
これらの投光部10,読み取りスイッチ20,受光部30,光電変換部40及び制御部50を装備したケース2には、投光部10の複数の紫外線LED11で発せられた紫外線UV及びバーコード印刷面Paで反射した紫外線UVをそれぞれ通過させる読み取り窓2aが設けてあり、この読み取り窓2aを通して戻る紫外線UVは、ケース2に収容された方向変換用ミラー3,バンドパスフィルタ4及びレンズ5を介して受光部30に到達するようになっている。
【0014】
上記投光部10の複数の紫外線LED11は、図3に示すように、バーコードBCの幅に合わせて並べて配置してあり、これらの紫外線LED11で発せられた紫外線UVは、拡散レンズ12で拡散されてバーコード印刷面PaのバーコードBCに均等に照射されるようになっている。
この場合、上記のようにして配置された複数の紫外線LED11において、図4に示すように、バーコード印刷面Pa上におけるバーコードBCの住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dの合計四箇所に対応する紫外線LED11をガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dとしており、バーコードBCの読み取りに先立つ読み取りスイッチ20の始動操作の段階で、これらのガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dからは、制御部50からの指令によって光量を下げた紫外線UVが発せられるようになっている。
【0015】
なお、図3において、符号60はケース2上に位置する表示部であり、符号70はバーコードBCの読み取り結果を外部に送信するインタフェース部である。
このような構成の携帯型バーコードリーダ1では、読み取りスイッチ20の操作を開始すると、バーコードBCの読み取りに先立って、バーコード印刷面Pa上におけるバーコードBCの住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dの合計四箇所に対して、投光部10のガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dから光量を下げて発せられた紫外線UVが照射されるので、バーコード印刷面Pa上のバーコードBCの住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dが浮かび上がって目視で確認し得ることとなる。
【0016】
続いて、この状態で読み取りスイッチ20の操作を継続すると、住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dが浮かび上がっているバーコードBCに対して、投光部10のガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dを含む全ての紫外線LED11から通常の光量で発せられた紫外線UVが照射され、バーコード印刷面Paで反射して戻る紫外線UVを受光部30,光電変換部40及び制御部50が受けることで、バーコードBCの読み取りが成され、読み取り結果が制御部50内メモリに記憶されることとなる。
【0017】
すなわち、投光部10の全ての紫外線LED11から通常の光量の紫外線UVを照射してバーコード印刷面Pa上のバーコードBCを読み取る時点では、住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dが浮かび上がって視認できる状態となっているので、バーコードBCに対して紫外線UVを確実に照射し得ることとなる。
また、バーコード読み取り用の紫外線UVの光源である紫外線LED11のうちの住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dの合計四箇所に対応する紫外線LED11が、バーコード印刷面Pa上のバーコードBCを浮かび上がらせて視認可能とするガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dとなっているので、バーコードBCを浮かび上がらせる紫外線UVの光源を上記複数の紫外線LED11とは別に設ける必要がない分だけ、価格の低減が図られることとなる。
【0018】
加えて、バーコード印刷面Pa上のバーコードBCを浮かび上がらせる段階において、投光部10のガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dからは、制御部50からの指令によって光量を下げた紫外線UVが発せられるようにしているので、安全性にも優れたものとなる。
上記した実施形態による携帯型バーコードリーダ1では、投光部10の光源を複数の紫外線LED11とすると共に、これらの紫外線LED11のうちの住所バーの両端部a,b及び郵便番号バーの両端部c,dの合計四箇所に対応する紫外線LED11をガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dとして、バーコード印刷面Pa上のバーコードBCを浮かび上がらせる段階において、ガイド兼用紫外線LED11a,11b,11c,11dから光量を下げた紫外線UVが発せられるようにしているが、本発明に係る携帯型バーコードリーダの構成は、この構成に限定されない。
【0019】
他の構成として、例えば、紫外線の励起中心波長から可視光側の波長にシフトさせた波長が380nm程度の近紫外線を発する近紫外線光源を投光部10の光源とし、読み取りスイッチ20の始動操作の段階で、近紫外線光源から光量を下げて発した近紫外線をバーコード印刷面Pa上のバーコードBCの全体に照射する構成も採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る携帯型バーコードリーダの一実施形態を示す側面方向からの簡略断面説明図である。
【図2】図1における携帯型バーコードリーダの構成ブロック説明図である。
【図3】図1における携帯型バーコードリーダの正面方向からの簡略断面説明図である。
【図4】郵便物のバーコード印刷面上のバーコードを示す平面説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 携帯型バーコードリーダ
10 投光部
11 紫外線LED(光源)
11a,11b,11c,11d ガイド兼用紫外線LED(光源)
20 読み取りスイッチ
30 受光部
BC バーコード
P 郵便物
Pa バーコード印刷面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を発する光源を具備して郵便物や宅配物のバーコード印刷面に紫外線を照射する投光部と、
この投光部の光源を動作させて紫外線を照射させる読み取りスイッチと、
前記投光部から照射されてバーコード印刷面で反射して戻る紫外線を受けてバーコードを読み取る受光部
を備えた携帯型バーコードリーダであって、
前記読み取りスイッチの始動操作の段階で、バーコードの読み取りに先立って、前記バーコード印刷面上におけるバーコードの少なくとも端部に前記投光部の光源から光量を下げて発した紫外線を照射して該バーコードを視認可能とした
ことを特徴とする携帯型バーコードリーダ。
【請求項2】
前記投光部の光源を複数の紫外線LEDとすると共に、これらの紫外線LEDのうちの前記バーコード印刷面上におけるバーコードの少なくとも端部に対応する部位に位置する紫外線LEDをガイド兼用紫外線LEDとし、前記読み取りスイッチの始動操作の段階で、前記ガイド兼用紫外線LEDから光量を下げて発した紫外線を照射して前記バーコードを視認可能とした請求項1に記載の携帯型バーコードリーダ。
【請求項3】
紫外線の励起中心波長から可視光側の波長にシフトさせた波長の近紫外線を発する近紫外線光源を前記投光部の光源とし、前記読み取りスイッチの始動操作の段階で、前記近紫外線光源から光量を下げて発した近紫外線を照射して前記バーコードを視認可能とした請求項1に記載の携帯型バーコードリーダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−251787(P2009−251787A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97050(P2008−97050)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390035884)株式会社ウェルキャット (18)
【Fターム(参考)】