説明

携帯型情報読取装置

【課題】比較的大形のアンテナを設けることができながらも、落下時などにおけるアンテナの保護を図る。
【解決手段】本体2の下面側にグリップ部3を設ける。本体2内に、RFタグとの間で電磁波による通信を行なってデータの読取り及び書込みを行なうRFタグ処理部、及び、読取対象に記された光学情報を読取る光学コード読取部を設ける。本体2の下面前部側に位置して、アンテナケース24内にアンテナ19を収容したアンテナ部23をねじ止めにより着脱(交換)可能に設ける。アンテナ部23を、本体2の先端縁部とグリップ部3の下端縁部との双方に接する、複数の仮想平面Pよりも内側に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグ読取機構を備える本体にグリップ部を備えて構成され、RFタグとの間での電磁波による通信を行なってデータを読取る携帯型情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば商品管理等の分野においては、商品等にRFタグを添付し、携帯型の情報読取装置を用いてそのRFタグとの間で電磁波による通信を行ない、該RFタグに記録された商品等に関するデータの読取り(及び書込み)を行なうシステムが実用化されている。例えば特許文献1には、RFタグの読取りと光学情報(バーコード)の光学的な読取りとの双方が可能な携帯型の情報読取装置(リーダライタ)が開示されている。この特許文献1に示された情報読取装置は、手持ち可能な本体ケース内に、RFタグの読取機構と、光学情報の読取機構とを備えて構成され、RFタグとの通信を行うためのアンテナ(アンテナコイル)が、本体ケース内の先端部の読取口付近に配設されていた。
【0003】
ところで、この種の情報読取装置にあっては、RFタグとの間での通信の性能(通信距離)を向上させるために、比較的大形のアンテナを用いたい要望がある。ところが、上記特許文献1に示されたものでは、アンテナを本体ケースに内蔵させる構成のため、アンテナを大型化することが難しい事情があった。この場合、アンテナを単純に大型化した場合、本体ケースの先端部が大形となってしまう等、構造の大幅な変更を招いてしまうことになる。また、近年では、RFタグのシステムにおいて、複数の周波数帯が用いられるようになってきているが、本体ケース内にアンテナを組込むものでは、アンテナ部だけを容易に交換することができない不都合も生ずる。
【0004】
そこで、例えば特許文献2には、やはりRFタグの読取りとバーコードの読取りとの双方が可能な携帯型の情報読取装置において、アンテナ部を本体部と別体に構成し、アンテナ部を本体部の下面側に着脱可能に取付ける構成のものが考えられている。これによれば、比較的大形のアンテナを設けることが可能となり、また、アンテナ部の交換も簡単に行なうことができる。
【特許文献1】特開2000−348133号公報
【特許文献2】特許第3637821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に記載された携帯型の情報読取装置においても、次のような改善すべき点が残されていた。即ち、この種の情報読取装置は、ユーザが手に持って使用するため、ユーザが誤って落下させたりすることが考えられ、この落下により、アンテナ部が、床や地面等に衝突して破損してしまう虞があった。尚、特許文献2に記載されたものでは、アンテナ部の中央部に、バーコード読取用の窓部(開口)が設けられるため、アンテナ部が必要以上に大形となる不具合もあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、比較的大形のアンテナを設けることができながらも、落下時などにおけるアンテナの保護を図ることができる携帯型情報読取装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の携帯型情報読取装置は、RFタグとの間での電磁波による通信を行なってデータを読取るRFタグ読取機構を備える本体と、この本体の後部から下方に延びて設けられたグリップ部とを備えるものにあって、前記RFタグとの間で通信を行なうアンテナ部を前記本体の外側に設けると共に、前記アンテナ部は、前記本体の先端縁部と、前記グリップ部の下端縁部との双方に接する仮想平面よりも内側に位置して配設されているところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0008】
これによれば、アンテナ部を本体の外側に設けたことにより、アンテナ部を本体内に内蔵する場合と異なり、比較的大形のアンテナを設けることが可能となる。そして、アンテナ部は、本体の下面側で且つグリップ部の前方の領域に配設されることになるが、本体の先端縁部とグリップ部の下端縁部との双方に接する仮想平面よりも内側に配置されることにより、ユーザが仮に装置を落下させた場合でも、平坦な床や地面等に対して、本体或いはグリップ部が衝突することになり、アンテナ部が直接衝突することが未然に防止される。ここで、本体の先端縁部とグリップ部の下端縁部との双方に接する仮想平面は、向き等の相違する多数(無数)のものを仮想することができるが、そのいずれに関してもアンテナ部が内側に位置するように構成することにより、落下時などにおけるアンテナ部の保護を図ることができる。
【0009】
本発明においては、前記アンテナ部を、前記本体に対し着脱可能に取付ける構成とすることができ(請求項2の発明)、これにより、例えば既存の本体に対しアンテナ部の着脱を容易に行うことが可能となる。更にこのとき、アンテナ部として通信周波数帯の相違する複数種類のものを用意しておき、交換可能に取付ける構成とすれば(請求項3の発明)、アンテナ部の交換を容易に行なうことができ、複数の周波数帯のRFタグの読取りに対応させることが可能となる。
【0010】
また、上記アンテナ部を、アンテナケース内にアンテナを組込んだユニットとして構成することができるのであるが、この場合、更にアンテナケース内に送受信回路をも組込む構成とすることができる(請求項4の発明)。これによれば、本体側に送受信回路を設ける必要がなくなるので、本体内の読取機構の構成を簡単化することができる。特に複数の周波数帯のRFタグに対応させる場合でも、アンテナ部を交換することによって、対応が容易となる。
【0011】
ところで、この種の携帯型の情報読取装置においては、本体内に、RFタグ読取機構と光学情報を読取るための光学情報読取機構とを組込むことにより、電磁波によるRFタグの読取りと、光学情報の光学的な読取りとの双方に対応させる(共用させる)ことが行なわれる。本発明においても、本体内にRFタグ読取機構に加えて光学情報読取機構を設け、これと共に、その光学情報読取機構による光学情報の読取方向を、RFタグの読取方向と同方向とするように構成することができる(請求項5の発明)。これにより、RFタグの読取りと、光学情報の読取りとの双方に対応することができて、利便性を向上させることができ、しかも、読取方向を同方向としたことにより、操作性に優れたものとなる。
【0012】
このとき、光学情報読取機構による光学情報の読取可能範囲と、RFタグ読取機構によるRFタグの読取可能範囲とが重なる範囲を設けることにより、その重複範囲において光学情報の読取りとRFタグの読取とを同時に行なうことができるように構成しても良い(請求項6の発明)。これにより、1回の操作で、光学情報及びRFタグの双方の読取りを同時に行なう機能を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例について、図1ないし図6を参照しながら説明する。尚、この実施例では、本発明を、RFタグ(RFIDタグ)のデータの読取り及び書込みと、バーコードや二次元コード等の光学情報の読取りとの双方が可能な携帯型(いわゆるガンタイプ)のリーダライタに適用するようにしている。
【0014】
図1及び図2は、本実施例に係る携帯型情報読取装置1(リーダライタ)の外観を示している。この携帯型情報読取装置1は、前後方向にやや長く角部が丸みを帯びたほぼ矩形箱状をなす本体2の下面側後部寄りに、下方やや斜め後方に延びユーザが片手で把持して操作することが可能なグリップ部3を一体的に有して構成されている。前記グリップ部3は、その下端部が前方に突出するような形状をなしている。前記本体2の外殻を構成するケースは、例えばプラスチック製の上ケース4と下ケース5とからなり、それらが突合わされて例えばねじ止めされることにより結合されるようになっている。
【0015】
前記本体2(下ケース5)の先端面部には、光学情報読取り用の読取口2aが設けられている。また、前記グリップ部3の内側(図1(b)で左側)上端部には、読取指示用のトリガスイッチ6が設けられている。前記本体2の上面部(上ケース4)には、図3にも示すように、電源スイッチ7、報知用LED8、スピーカ9、小型の液晶表示器からなる表示部10、数字キーや機能キー等の複数個の操作キーを有するキー操作部11が設けられている。
【0016】
図3に示すように、本体2内には、マイコンを主体として構成され装置1全体を制御する制御部12が設けられている。この制御部12には、メモリ13が接続されている。制御部12には、前記トリガスイッチ6やキー操作部11等からの操作信号が入力されるようになっている。また、制御部12が、前記報知用LED8、スピーカ9、表示部10などを制御するようになっている。本体2内には、電源となるバッテリ14及び電源部15、外部(ホスト装置)との間でのデータ通信を行うための外部インターフェース16等も設けられている。
【0017】
そして、本体2内には、前記制御部12に接続され、RFタグ(図示せず)との間で電磁波による通信を行なってデータの読取り及び書込みを行なうRFタグ処理部17、及び、読取対象(図示せず)に記された光学情報(バーコードや二次元コード)を読取るための光学コード読取部18が設けられている。これらは、前記制御部12により制御され、制御部12及びRFタグ処理部17からRFタグ読取機構が構成され、制御部12及び光学コード読取部18から光学情報読取機構が構成されるようになっている。
【0018】
そのうち光学コード読取部18は、図示はしないが、例えばCCDエリアセンサからなる受光センサ、結像レンズ、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部などを備えて構成されている。これにて、照明部によって前記読取口2aを通して前方に配置された読取対象に照明光が照射され、光学情報(バーコードや二次元コード)からの反射光が読取口2aを通して入射され、前記結像レンズを介して受光センサ上に結像されて光学情報の画像データが取込まれ、データの読取り(デコード)が行なわれるようになっているのである。このとき、光学情報の読取方向は、本体2の前方となり、また、読取可能範囲は、図2に一点鎖線で示す範囲R1となる。
【0019】
前記RFタグ処理部17は、図4に示すように、後述するアンテナ19に接続された電源回路27と、送信回路20及び受信回路21と、それらに接続された信号処理回路22とを備えている。RFタグに対して、アンテナ19に接続された電源回路27から電磁波が送信されることにより、RFタグ側のアンテナにて受信した電磁波から動作電力が生成され供給されるようになっている。このとき、前記信号処理回路22は、制御部12により制御され、前記送信回路20を通じてアンテナ19に送信信号を出力すると共に、アンテナ19が受けた受信信号を、受信回路21を通じて復調してデータとして抽出するようになっている。
【0020】
これにて、アンテナ19(本体2)を読取るべきRFタグに近接させた状態で、該RFタグに対して電磁波により電力供給が行われると共に、データの通信(書込み及び読取り)が行われるようになっている。このとき、RFタグ処理部17は、複数の通信周波数に対応可能に構成されている。尚、上記制御部12や各回路等は、本体2内に配設された基板に実装されるようになっている。
【0021】
ここで、図示はしないが、RFタグについて簡単に述べておく。前記RFタグは、例えば商品などの物品に付されるものであり、例えばプラスチック製の荷札状(矩形板状)をなしている。そして、その内部には、前記情報読取装置1との間での通信を行うためのタグ側アンテナを備えると共に、データの保持及び応答信号を発生するRFIDチップを備えて構成される。RFIDチップは、給電用信号から動作電源を得るための整流・平滑回路、通信等の制御を行うCPU、送受信信号の変調,復調を行う変復調回路、動作プログラム等を記憶するROM、データを記憶する読書き可能なEEPROM等をワンチップIC化して構成されている。
【0022】
尚、RFタグには、荷札状以外にも、コイン状、キー(キーホルダ)状など様々な形状のものがあり、更に、カード状のもの(非接触ICカード)もRFタグに含まれる。また、光学情報が記載されたラベルに、更にRFタグを固着して構成された情報ラベル(スマートラベル等と称される)を物品に貼付して使用するようなシステムも存在する。
【0023】
このとき、RFタグを用いるRFIDシステムにおいては、いくつかの周波数(波長)を利用することが可能とされている。具体的には、長波帯(例えば125kHz等)、短波帯(例えば13.56MHz)、UHF帯(例えば952〜954MHz)などの利用が可能とされている。他にも、マイクロ波帯(例えば2.45GHz等)を利用するシステムもある。RFタグには、そのシステムに用いられる周波数に対応したアンテナが組込まれていることは勿論である。
【0024】
本実施例に係る携帯型情報読取装置1は、上記光学コード読取部18(光学情報読取機構)による光学情報の光学的な読取りと、上記RFタグ処理部17(RFタグ読取機構)によるRFタグとの間の通信(データの読取り及び書込み)とが可能となっていると共に、上記したような情報ラベル等に関するRFタグと光学情報との同時読取り(1回の操作での双方の読取り)も可能とされている。それら機能の切替えは、例えば、ユーザがキー入操作部11を操作してモードを選択することにより行われるようになっている。
【0025】
さて、本実施例の携帯型情報読取装置1においては、図1及び図2に示すように、前記RFタグとの間での通信を行なうためのアンテナ19を備えたアンテナ部23が、本体2の外側、ここでは本体2の下面前部側(グリップ部3の前側)に位置して着脱可能に設けられる。また、本実施例では、アンテナ部23は、複数の通信周波数に対応した複数種類この場合3種類が用意され、いずれか1つが本体2に対して交換可能に取付けられるようになっている。
【0026】
前記アンテナ部23は、図5に示すように、例えばプラスチック製のアンテナケース24内に、前記アンテナ19を収容して構成されている。前記アンテナケース24は、上面に開口部を有し、前後方向に薄型のほぼ矩形箱状をなしている。また、図5(a)に示すように、アンテナケース24の上端部には、例えば2箇所に位置して取付用のねじ穴24a(1個のみ図示)が形成されている。前記アンテナ19は、詳細は後に述べるように、全体としてやや厚みのある矩形板状に構成されており、アンテナケース24内に固定的に収容されるようになっている。
【0027】
図6(a)〜(c)は、上記3種類のアンテナ19の構成を概略的に示している。尚、これらアンテナ19を区別する必要がある場合には、符号19の後に(A),(B),(C)を付すこととする。図6(a)に示すアンテナ19(A)は、矩形状のセラミック板を基材としてその表面に薄膜導体を形成して構成された平面状のパッチアンテナからなり、UHF帯(例えば952MHz)に対応している。
【0028】
図6(b)に示すアンテナ19(B)は、矩形状の基板の表面にパターン印刷により形成されたループアンテナからなり、短波帯(例えば13.56MHz)に対応している。図6(c)に示すアンテナ19(C)は、導線を多数回巻回して構成されたアンテナコイルからなり、長波帯(例えば125kHz)に対応している。また、これら各アンテナ19からはケーブル25が上方に導出されるようになっている。詳しく図示はしないが、前記ケーブル25の先端及び、前記本体2内の基板には、コネクタ26(図3にのみ図示)が設けられ、コネクタ26の接続により、アンテナ19とRFタグ処理部17との電気的接続がなされるようになっている。
【0029】
このように構成されたアンテナ部23は、本体2(下ケース5)の下面側に取付けられるのであるが、このとき、図5(a)に示すように、下ケース5の下面側には、前記アンテナケース24の上面開口部に対応した凸状の位置決め部5aが設けられている。また、図示はしないが、下ケース5には、前記各ねじ穴24aに対応したねじ挿通孔や、前記ケーブル25が通される開口部が形成されている。
【0030】
アンテナ部23を取付けるにあたっては、本体2の上ケース4を取外した状態で、下ケース5の位置決め部5aに、アンテナ部23のアンテナケース24の上面開口部を下方から嵌合させるようにすると共に、ケーブル25を開口部を通すようにし、その状態で、上方から各ねじ挿通孔を通して各ねじ穴24aにねじを締付けるようにする。また、ケーブル25のコネクタ26による電気的接続を行なう。このとき、アンテナ部23は、使用するシステムで用いられている周波数に対応した種類のアンテナ19を有したものが選択的に取付けられることは勿論である。
【0031】
そして、このアンテナ部23の取付状態においては、図1に示すように、アンテナ部23が、本体2の先端縁部とグリップ部3の下端縁部との双方に接する仮想平面Pよりも内側に配置されるようになっている。ここで、図1(a),(b)に示すように、本体2の先端縁部とグリップ部3の下端縁部との双方に接する仮想平面Pは、向き等の相違する多数(無数)のものを仮想することができるが、そのいずれに関してもアンテナ部23が仮想平面Pの内側に位置するように構成されている。
【0032】
また、本実施例では、図2に示すように、前記アンテナ部23のアンテナ19(特にパッチアンテナからなるアンテナ19(A)及びループアンテナからなるアンテナ19(B))は、前方に向けて電波を放射するように構成されており、RFタグの読取方向が、光学情報の読取方向と同方向とされている。さらに、RFタグの読取可能範囲は、図2に破線で示す範囲R2となり、前記光学情報の読取可能範囲R1と、RFタグの読取可能範囲R2とが重なる範囲が存在するようになっている。
【0033】
次に、上記構成の作用について述べる。上記した携帯型情報読取装置1においては、ユーザがグリップ部3を握って、バーコード等の光学情報が記された読取対象(物品に貼付されたラベル等)が本体2の前方の読取可能範囲R1に入るようにして、本体2の読取口2aを読取対象に向け、その状態で、光学コード読取部18等による光学情報の光学的な読取りが可能となる。一方、RFタグが本体2(アンテナ部23)の前方の読取可能範囲R2に入っている状態で、アンテナ19を介した通信により、RFタグ処理部17によるRFタグデータの読取り(或いは書込み)が可能となっている。
【0034】
この場合、RFタグの読取りと、光学情報の読取りとの双方に対応することができて、利便性を向上させることができ、また、光学情報の読取方向とRFタグの読取方向とが同方向とされているので、操作性に優れたものとなる。しかも、光学情報の読取可能範囲R1とRFタグの読取可能範囲R2とが重なる範囲を設けたことにより、上記したようなRFタグと光学情報との双方を備えた情報ラベル等に関する、RFタグと光学情報と双方の読取りを、1回の操作で同時に行なう機能を実現することができる。
【0035】
そして、RFタグとの間での通信を行なうアンテナ19を備えるアンテナ部23を、本体2の前部側下面に別体に取付けるようにしたので、例えば既存の本体2に関して、その構造の大幅な変更を招くことなく、比較的大形のアンテナ19を設けてRFタグとの間での通信の性能(通信距離)を向上させることが可能となる。本体2に対し、アンテナ部23だけを容易に交換することもできる。尚、アンテナ部23は、読取口2aとは重ならない位置に設けられるので、アンテナ部23に窓部を設ける必要もなく、アンテナ部23(アンテナケース24)が必要以上に大形となることもない。
【0036】
さらに、本実施例では、アンテナ部23として通信周波数帯の相違するアンテナ19(A),19(B),19(C)を備えた複数種類のものを用意しておき、それらを交換可能に取付ける構成としたので、アンテナ部23の交換を容易に行なうことができ、複数の周波数帯のRFタグの読取りに対応させることが可能となる。
【0037】
ところで、この携帯型情報読取装置1は、ユーザがグリップ部3を手で持って使用するものであるため、ユーザが誤って床や地面等に落下させたりすることが考えられる。この場合、アンテナ部23の本体2に対する固定部分は、他の部分に比べて強度が劣る事情がある。
【0038】
ところが、本実施例では、アンテナ部23は、本体2の先端縁部とグリップ部3の下端縁部との双方に接する仮想平面Pよりも内側に配置されているので、ユーザが仮に装置1を落下させた場合でも、平坦な床や地面等に対して、本体2或いはグリップ部3が衝突することになり、アンテナ部23が直接衝突することがなくなる。この結果、アンテナ部23が破損してしまうことが未然に防止されるのである。このとき、向き等の相違する多数(無数)の仮想平面Pのいずれに関しても、アンテナ部23が内側に位置するように構成したので、装置1がどのような向きで落下した場合でも、アンテナ部23の保護を図ることができるのである。
【0039】
このように本実施例によれば、RFタグとの間の通信を行なうアンテナ部23を、本体2の外側に、本体2の先端縁部とグリップ部3の下端縁部との双方に接する仮想平面Pよりも内側に位置して設ける構成としたので、比較的大形のアンテナ19を設けることができながらも、落下時等におけるアンテナ部23の保護を図ることができるという優れた効果を得ることができる。言い換えれば、本実施例では、落下時等においてアンテナ部23(アンテナケース24)に大きな衝撃が加わることがないことにより、アンテナ部23を着脱可能な構造とすることができたのである。
【0040】
図7は、本発明の他の実施例を示すものであり、この実施例が上記実施例と異なる点は、アンテナ部31の構成にある。即ち、このアンテナ部31は、アンテナケース32内に、アンテナ19及び送受信回路33を備えて構成されている。この場合も、アンテナ部31は、利用する周波数の異なるアンテナ19及び送受信回路33を有した、複数種類のものが用意され、本体2に対して着脱(交換)可能に取付けられる。また、アンテナ部31は、本体2の外側に、本体2の先端縁部とグリップ部3の下端縁部との双方に接する仮想平面Pよりも内側に位置して設けられる。
【0041】
このような構成によれば、比較的大形のアンテナ19を設けることができながらも、落下時などにおけるアンテナ部31の保護を図ることができ、これに加えて、本体2側に送受信回路(RFタグ処理部17)を設ける必要がなくなるので、本体2内の機構の簡単化を図ることができる。特に複数の周波数帯のRFタグに対応させる場合でも、アンテナ部32を交換することによって、対応が容易となる。さらに、既存の光学情報読取装置に、RFタグ読取機構の機能を追加する場合にも、容易に対応することが可能となる。
【0042】
尚、上記各実施例では、アンテナ部23,31を本体2に対しねじ止めにより取付けるようにしたが、その着脱に、例えば爪と凹部とによる係合構造などを採用することもできる。また、上記各実施例では、本発明を光学情報の読取りも可能な装置に適用するようにしたが、RFタグ専用の読取装置として構成しても良い。前記グリップ部3を本体2に対し着脱可能に構成しても良い。その他、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、携帯型情報読取装置の外観を示す正面図(a)、右側面図(b)、上面図(c)
【図2】読取可能範囲を示す右側面図(a)及び上面図(b)
【図3】全体の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】RFタグ処理部の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図5】アンテナ部の縦断正面図(a)及び縦断側面図(b)
【図6】3種類のアンテナの構成(正面及び側面)を概略的に示す図
【図7】本発明の他の実施例を示す図1(b)相当図
【符号の説明】
【0044】
図面中、1は携帯型情報読取装置、2は本体、3はグリップ部、4は上ケース、5は下ケース、12は制御部、17はRFタグ処理部、18は光学コード読取部、19はアンテナ、20は送信回路、21は受信回路、22は信号処理回路、23,31はアンテナ部、24、32はアンテナケース、25はケーブル、33は送受信回路、Pは仮想平面、R1は光学情報の読取可能範囲、R2はRFタグの読取可能範囲を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグとの間での電磁波による通信を行なってデータを読取るRFタグ読取機構を備える本体と、この本体の後部から下方に延びて設けられたグリップ部とを備える携帯型の情報読取装置であって、
前記RFタグとの間で通信を行なうアンテナ部を前記本体の外側に設けると共に、
前記アンテナ部は、前記本体の先端縁部と、前記グリップ部の下端縁部との双方に接する仮想平面よりも内側に位置して配設されていることを特徴とする携帯型情報読取装置。
【請求項2】
前記アンテナ部は、前記本体に対し着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1記載の携帯型情報読取装置。
【請求項3】
前記アンテナ部は、通信周波数帯の相違する複数種類のものが、交換可能に取付けられるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の携帯型情報読取装置。
【請求項4】
前記アンテナ部は、アンテナケース内に、アンテナ及び送受信回路を内蔵して構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項5】
前記本体内には、光学情報を読取るための光学情報読取機構が設けられると共に、前記光学情報読取機構による光学情報の読取方向が、前記RFタグの読取方向と同方向とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯型情報読取装置。
【請求項6】
前記光学情報読取機構による光学情報の読取可能範囲と、前記RFタグ読取機構によるRFタグの読取可能範囲とが重なる範囲が存在し、その重複範囲において前記光学情報の読取りと前記RFタグの読取とを同時に行なうことが可能に構成されているこことを特徴とする請求項5記載の携帯型情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−183732(P2007−183732A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−608(P2006−608)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】