携帯型無線タグ読み取り装置
【課題】操作者が表示内容をよく見たいときに、自動的に見やすいような表示内容に切り替え、操作者の利便性を向上する。
【解決手段】複数の無線タグ回路部Toに対し無線通信を行うためのRF通信制御部9及びリーダアンテナ3と、表示部8と、表示部8に表示情報を表示させる表示制御部21と、リーダ1が移動する際の移動加速度を検出する3軸加速度センサ23と、3軸加速度センサ23が検出した移動加速度を用いて、リーダ1の移動速度を算出し、算出した移動速度に応じて、表示制御部21により表示部8に表示させる表示情報の内容を切り替える表示制御を行うことにより、リーダ1の動きに応じて異なる表示情報を表示部8に表示させるCPU4とを有する。
【解決手段】複数の無線タグ回路部Toに対し無線通信を行うためのRF通信制御部9及びリーダアンテナ3と、表示部8と、表示部8に表示情報を表示させる表示制御部21と、リーダ1が移動する際の移動加速度を検出する3軸加速度センサ23と、3軸加速度センサ23が検出した移動加速度を用いて、リーダ1の移動速度を算出し、算出した移動速度に応じて、表示制御部21により表示部8に表示させる表示情報の内容を切り替える表示制御を行うことにより、リーダ1の動きに応じて異なる表示情報を表示部8に表示させるCPU4とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグから無線通信により情報を読み取る、携帯型無線タグ読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグに対して情報読み取りを行う携帯型の無線タグ読み取り装置として、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。この従来技術の無線タグ読み取り装置は、探索対象の無線タグに対応する表示情報が表示部としての操作パネルに表示され、操作者は、表示部において、探索対象の無線タグを選択する。操作者により選択された無線タグの識別情報を指定して通信が行われ、指定された無線タグから情報が取得される。無線タグから情報が取得されると、表示部に表示されていた、当該無線タグに対応する表示情報の表示態様が、情報取得前に比べて変化する。これにより、操作者が探索結果をわかりやすく確実に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−86713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、携帯型無線タグ読み取り装置は、操作者の手により把持された状態で使用される。すなわち、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置を手で把持し、ある程度の速度で動かしつつ無線タグからの情報読み取りを行う。このとき、操作者が、情報読み取りの開始前、情報読み取り中、情報読み取り後等の適宜のタイミングで、表示内容の確認を意図する場合がある。この場合、操作者は、表示部を正しく視認できるように、上記のように動かす状態を止め携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させることが多い。このような場合に、操作者の上記の視認の意図に対応して、操作者が見やすいように表示内容を切り替えるようにすれば、操作者がいちいち表示切り替え等の操作を行う必要がなく、便利である。
【0005】
上記従来技術は、無線タグから情報取得されたときに表示を切り替えることで、情報が取得されたことをわかりやすく操作者に視認する。しかしながら、情報取得の有無に関係なく、情報読み取りの開始前、情報読み取り中、情報読み取り後等の適宜のタイミングにおいて操作者が表示内容をよく見たいときに表示切り替えを行うことについては、特に配慮されていない。
【0006】
本発明の目的は、操作者が表示内容をよく見たいときに、自動的に見やすいような表示内容に切り替えることで操作者の利便性を向上できる、携帯型無線タグ読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶する記憶部を備えたIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備え、設置対象物に設けられた無線タグに対し、無線通信を行うための装置アンテナと、前記装置アンテナを用いて前記無線タグから無線通信によりタグ識別情報の取得を行う情報取得手段と、前記情報取得手段により前記タグ識別情報が取得された前記無線タグに対応した前記設置対象物を表す所定の表示情報を表示する表示部とを有する携帯型無線タグ読み取り装置であって、前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っているときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる通信時移動状態量、及び、前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っていないときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる非通信時移動状態量を検出する移動検出手段と、前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が、当該通信時移動状態量及び非通信時移動状態量に係わる所定の条件を満たしているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が前記所定の条件を満たしていると判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替える表示制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、装置アンテナを用いて情報取得手段が通信対象の無線タグよりタグ識別情報の取得を行う。表示部には、上記取得された前記無線タグに対応した設置対象物を表す所定の表示情報が表示される。
【0009】
一般に、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置を手で把持し、ある程度の速度で動かしつつ無線タグからの情報読み取りを行う。その後、操作者が、適宜のタイミングで、情報読み取り結果に対応した表示内容の確認を意図する場合がある。この場合、操作者は、表示部を正しく視認できるように、上記のように動かす状態を止め携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させることが多い。
【0010】
ここで、本願第1発明においては、移動検出手段が携帯型無線タグ読み取り装置の移動状態量を検出する。詳細には、移動検出手段は、情報取得手段が無線通信による情報取得を行っているときの通信時移動状態量と、情報取得手段が無線通信による情報取得を行っていないときの非通信時移動状態量とを検出する。そして、判断手段が、当該検出された通信時移動状態量及び非通信時移動状態量が、それら移動状態量に係わる所定の条件を満たしているかどうかを判断し、判断が満たされたら、表示制御手段が、表示部における表示情報の内容を切り替える。これにより、上記のように操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を移動させた状態の後、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させた場合に、操作者が表示内容を確認しようとしているとみなし、表示情報の内容を当該確認を行いやすいような内容に切り替えることができる。すなわち、操作者が表示内容をよく見たいときに、特別な操作を行わなくても、自動的に見やすいような表示内容に切り替えることができる。したがって、操作者の利便性を向上することができる。
【0011】
第2発明は、上記第1発明において、前記判断手段は、前記所定の条件として、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったか否かを判断し、前記表示制御手段は、前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替えることを特徴とする。
【0012】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を移動させて移動状態量が第1しきい値以上となった後、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させて移動状態量が第2しきい値以下となった場合に、操作者が表示内容を確認しようとしているとみなし、表示情報の内容を当該確認を行いやすいような内容に切り替えることができる。
【0013】
第3発明は、上記第2発明において、前記表示部は、前記情報取得手段により前記タグ識別情報の取得が行われた前記無線タグに対応した前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報を表示し、前記表示制御手段は、前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段により取得された直近の前記タグ識別情報に対応した固定表示モードに設定し、前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断されない場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段が前記タグ識別情報を取得するたびに切り替え可能な切替表示モードに設定することを特徴とする。
【0014】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている最中は切替表示モードとし、タグ識別情報が取得されるたびに表示部の表示情報の内容が切り替わるようにする。また、操作者が上記のように携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行った後、操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させたときは固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した表示内容を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後に取得したタグ識別情報に係わる情報を表示部に固定的に表示させ、確実に視認することができる。
【0015】
第4発明は、上記第3発明において、前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報と、当該設置対象物に対応する前記無線タグの前記タグ識別情報とを対応付けて記憶した記憶手段と、前記情報取得手段により取得された前記タグ識別情報に対応付けられた前記外観画像又は前記対象物識別情報を、前記記憶手段より取得するデータ取得手段とを有することを特徴とする。
【0016】
これにより、取得したタグ識別情報を用いて記憶手段にアクセスし、対応する設置対象物の外観画像や対象物識別情報を取得して、表示部に表示させることができる。
【0017】
第5発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させることを特徴とする。
【0018】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の外観画像の取得履歴を表示部で一覧表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに外観画像を追加して表示内容が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0019】
第6発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記対象物識別情報又は1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させることを特徴とする。
【0020】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の対象物識別情報の取得履歴を表示部で一覧表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに対象物識別情報を追加して表示内容が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の対象物識別情報又は外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0021】
第7発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像ごとに、前記表示部に順次切り替えて表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0022】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の外観画像の取得履歴を表示部に順次切り替えて表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに外観画像が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0023】
第8発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、前記固定表示モードでは、それまでに前記情報取得手段が取得した全ての前記タグ識別情報に共通して予め定められ、前記記憶手段より前記データ取得手段が取得した特定の前記外観画像を、前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0024】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の対象物識別情報の取得履歴を表示部で一覧表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに対象物識別情報を追加して表示内容が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、それまでに取得された全てのタグ識別情報に共通して予め定められた特定の設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物に対応した特定の設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0025】
第9発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記記憶手段に前記タグ識別情報と対応付けて記憶された複数の前記外観画像を前記表示部に一覧表示させるとともに、それら一覧表示された複数の外観画像のうち、当該外観画像に対応する前記タグ識別情報が前記情報取得手段により直近に取得された1つの外観画像を、それ以外の外観画像から区別可能に強調表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させることを特徴とする。
【0026】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、記憶手段にタグ識別情報が記憶された複数の対象物の外観画像を表示部で一覧表示するとともに、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の外観画像を他の外観画像と区別できるように強調表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに強調表示する設置対象物が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0027】
第10発明は、上記第5乃至第9発明のいずれかにおいて、前記表示制御手段は、前記切替表示モードにおいては前記表示部の輝度を通常の輝度に設定し、前記固定表示モードにおいては前記表示部の輝度を前記通常の輝度よりも明るい輝度に設定することを特徴とする。
【0028】
本願第10発明においては、固定表示モードにおいて表示内容を固定的に表示するのみならず、輝度を明るくする。これにより、最後に取得したタグ識別情報に係わる設置対象物を操作者がさらに確認しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、操作者が表示内容をよく見たいときに、自動的に見やすいような表示内容に切り替え、操作者の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態のリーダの使用態様の一例を表す図である。
【図2】リーダの概略構成を表す機能ブロック図である。
【図3】リーダの全体的な外観を表す平面図である。
【図4】液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図5】リーダのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図6】切替表示モードで複数の機器名称の一覧表示を行う変形例における液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図7】切替表示モードで複数の機器画像の遷移表示を行う変形例における液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図8】切替表示モードで、事前表示したサムネイルに強調表示する変形例における液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図9】固定表示モードで代表画像を表示する変形例において、複数の物品の収納例を表す図である。
【図10】液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
本実施形態の携帯型無線タグ読み取り装置であるリーダ1の使用態様の一例を図1を用いて説明する。
【0033】
この例では、リーダ1は、店舗に保管されている機器Gの探索を行う場合に使用される。すなわち、店舗内の複数段の棚の各段に、設置対象物としての複数の機器Gが水平方向に並べられて陳列されている。それら機器Gに、それぞれ無線タグTが貼付等により取り付けられている(煩雑防止のため一部図示省略)。
【0034】
リーダ1は、携帯型いわゆるハンディタイプであり、その筐体2aに、操作手段としての操作部7と表示部8とが設けられている。操作者Hがリーダ1を手に取り操作部7において所定の通信開始操作を行うと、リーダ1は上記複数の機器Gのそれぞれに貼付されている無線タグTのうち通信可能領域20に存在する無線タグTに対し、リーダアンテナ3(後述の図2参照)により情報を送受する。この例では、リーダアンテナ3の通信可能領域20は、リーダアンテナ3から筐体2aの長手方向延長線上に延びる指向性により形成される。この結果、図1に示す使用例では、操作者Hが筐体2aを手で持ち筐体2aの先端部を上記複数の機器Gに向けた状態で、リーダ1は無線通信を行う。
【0035】
リーダ1の概略構成を図2を用いて説明する。リーダ1は、上記筐体2aを備えた本体制御部2と、装置アンテナとしてのリーダアンテナ3とを有している。
【0036】
本体制御部2は、CPU4と、記憶手段としての不揮発性記憶装置5と、メモリ6と、操作部7と、表示部8と、RF通信制御部9と、3軸加速度センサ23とを備えている。
【0037】
3軸加速度センサ23は、例えば公知のピエゾ抵抗方式や静電容量方式によるMEMS型などの3軸加速度センサである。この例では、リーダ1の本体制御部2の筐体2aの幅方向、長さ方向、及び厚み方向にそれぞれ対応する方向、すなわち筐体2aにおける座標軸方向の加速度を個別に検出する。また、CPU4は、この3軸加速度センサ23により検出された各軸方向の加速度をそれぞれ積算する、例えば公知の積分法などによる演算を行うことにより、移動状態量としての、リーダ1の移動速度を算出する。なお、3軸加速度センサ23の代わりに角速度センサや速度センサを用いてもよい。さらに、リーダ1の移動を検出できるのであれば、別のセンサを用いてもよい。
【0038】
無線タグTは、タグアンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路部Toを有している。無線タグ回路部Toに備えられたメモリ部(図示省略)には、当該無線タグ回路部Toの個体を特定するための、タグ識別情報としてのタグIDが記憶されている。
【0039】
RF通信制御部9は、上記リーダアンテナ3を介し、無線タグ回路部ToのIC回路部150の情報へアクセスする。
【0040】
音声報知部22は、各種情報やメッセージを報知する。メモリ6は、例えばRAMやROM等から構成される。操作部7は、操作者Hからの指示や情報が入力される。表示部8は、各種情報やメッセージを表示する。
【0041】
不揮発性記憶装置5は、ハードディスク装置やフラッシュメモリから構成される。不揮発性記憶装置5には、対象物識別情報である機器Gの名称等や機器Gの外観画像と、機器Gに設けられた無線タグTの上記タグIDとが、予め関連付けられて記憶されている。
【0042】
CPU4は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、リーダ1全体の各種制御を行う。CPU4は、無線タグTの上記IC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに、無線タグ回路部ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンドを生成する。
【0043】
またCPU4は、3軸加速度センサ23が検出した軸ごとの移動加速度から移動速度成分を算出し、軸ごとの移動速度成分を用いて移動速度を算出する。そして、その算出した移動速度に基づき、CPU4は、表示部8に表示させる表示情報の内容を変更する表示制御を行う。表示部8は、この表示制御に基づき、通信対象の無線タグTの無線タグ回路部Toに対応する表示情報、例えば上記不揮発性記憶装置5に記憶された、機器Gの画像や機器Gの名称等を、操作者Hが視認可能なように表示する(詳細は後述)。
【0044】
図3を用いて、リーダ1の外観について説明する。前述したように、リーダ1は、略直方体形状の上記筐体2aを有している。筐体2aには、上記表示部8と、上記操作部7と、音声報知部22(図示省略。上記図2参照)と、スイッチSWとが設けられている。
【0045】
表示部は、液晶パネル11と、充電ランプ13と、送信出力インジケータ17とを備えている。
【0046】
操作部7は、4つの方向キー14U,14D,14L,14Rと、決定キー15と、送信/停止キー16と、送信強度調整スライダ18とを備えている。
【0047】
液晶パネル11は、リーダ1が行う各種の操作モードの切替状況や、各操作モードにおける各種情報やメッセージ等を文字や記号で表示する。操作モードには、タグ探索モード、インベントリモード、リスト作成モード等が予め用意されている。
【0048】
タグ探索モードでは、液晶パネル11に識別情報リストとして表示された通信対象である無線タグTのタグIDの中から、少なくとも1つが指定される。そして、リーダ1は、当該無線タグTが通信可能領域20の範囲内に存在しているか否かを、常に問いかけるよう通信し続ける。タグ探索モードは、このようにして、通信対象として指定された無線タグTのタグIDを取得するための処理である。
【0049】
インベントリモードは、予め指定しておいた複数の通信対象が検出できるか否かだけを試行する処理である。このインベントリモードでは、リーダ1は、無線タグTとの無線通信によりそれぞれ取得したタグIDと、予め設定記憶された識別情報リストに記載されたタグIDとの、照合を行う。このモードでは、目的とする無線タグTの存在の有無だけが問題となるため、指定した複数の通信対象の無線タグTが全て検出された時点で、処理が終了する。
【0050】
リスト作成モードでは、無線通信により無線タグTから取得されたタグIDを用いて、上記タグ探索モード、インベントリモードで使用される識別情報リストが作成される。すなわち、リスト作成モードでは、通信対象の無線タグTの指定は行われず、通信可能領域20の範囲内に存在する無線タグT全てとリーダ1が無線通信を行い、検出された無線タグTが全てリストアップされる。作成された識別情報リストは、例えば不揮発性記憶装置5に保存される。
【0051】
なお、以上4つの操作モードの切り替えは、前述した4つの方向キー14U,14D,14L,14Rのうちの左右方向キー14L,14Rを操作することにより行われる。
【0052】
充電ランプ13は、発光ダイオード(LED)などの発光素子により構成される。送信出力インジケータ17は、3つのLED17a,17b,17cで構成されており、それらの点灯個数によって送信出力の大きさを段階的に表示する。
【0053】
4つの方向キー14U,14D,14L,14Rは、液晶パネル11中に表示されるカーソルの移動指示や、複数の選択肢の選択指示などに用いられる。決定キー15は上記選択の決定指示などに用いられる。
【0054】
送信/停止キー16は、通信対象の無線タグTに対して各種の指示コマンドや無線通信の開始を指示するために用いられる。
【0055】
また、送信強度調整スライダ18は、つまみ18aの位置を図中の上下方向に段階的に移動させることのできるスライダ型のスイッチである。操作者Hは、送信強度調整スライダ18を用いて、リーダアンテナ3から出力する電波の送信出力調整することができる。
【0056】
スイッチSWは、移動速度に応じたモード切り替えの有効(ON)/無効(OFF)を設定する(詳細は後述)。
【0057】
ここで、本実施形態のリーダ1の最も大きな特徴は、3軸加速度センサ23が検出した移動加速度から算出した移動速度に応じて、液晶パネル11に表示させる表示情報の内容を切り替える、つまり移動速度が所定の条件を満たすかどうかに応じて、異なる表示情報を表示させる表示制御を行うことにある。以下、その表示制御の詳細を説明する。
【0058】
既に述べたように、一般に、リーダ1は、使用時には、操作者Hが手で把持した状態で使用する。操作者Hは、リーダ1による通信を開始させた後、リーダ1をある程度の速度で動かしながら、無線タグTからの情報の読み取りを行う。その後、操作者Hが、情報読み取り後等の適宜のタイミングで、情報読み取り結果等の表示内容の確認を意図する場合がある。この場合、操作者Hは、液晶パネル11を正しく視認できるように、リーダ1の通信を終了させた後、上記のように動かす状態を止めリーダ1の移動を停止させることが多い。
【0059】
本実施形態では、上記に対応し、CPU4が、3軸加速度センサ23の検出結果に基づき算出した移動速度を所定の切替基準である2つの速度しきい値と比較し、その比較結果に従って、表示情報の内容を切り替える。この切替基準とは、例えばリーダ1が、通信時において基準となる第1しきい値、例えば10[cm/s]以上の状態で移動した後に、通信終了後に基準となる第2しきい値、例えば5[cm/s]以下となったかどうか、とすることができる。なお、第1しきい値と第2しきい値として同じ値を用いてもよい。すなわち、通信時にリーダ1の移動速度が10[cm/s]以上となっていればリーダ1は移動中であり操作者Hが情報読み取りを行っているとみなすことができ、その後通信が停止してリーダ1の移動速度が5[cm/s]以下となったら、リーダ1はほぼ移動停止状態に近いことから操作者Hが情報読み取り結果に対応した表示内容を確認しようとしているとみなすことができる。したがってこの場合は、CPU4は、表示情報の内容を、操作者Hが上記確認を行いやすいような内容の表示情報に切り替える。
【0060】
図4を用いて、CPU4が実行する上記の表示内容の切り替えについて説明する。以下、上記3つの操作モードのうちインベントリモードの場合の表示内容の切り替えを例にとって説明するが、他のモードにおいて同様の切り替えを行うようにしてもよい。
【0061】
図4において、リーダ1が通信を行っている間は、図4(a)に示すように、無線タグTとの無線通信により取得された無線タグ回路部ToのタグIDに対応する画像、すなわち検出できた無線タグTに貼付された機器Gの画像が不揮発性記憶装置5より取得されて表示部8に表示される。液晶パネル11の画面に対して比較的小さく縮小された、いわゆるサムネイル形式により一覧表示される。この際、上記移動により複数の無線タグTが順次検出された場合は、各機器Gの画像が履歴として残る形で、当該検出された順序で一覧表示される。
【0062】
すなわち、1つの機器Gの無線タグTが検出され当該機器Gの画像が表示された図4(a)に示す状態から、新たに別の機器Gの無線タグTが検出された場合、図4(b)に示すように、当該新たな機器Gの画像、つまり直近に検出した無線タグTに対応した機器Gの画像が追加される形で表示される。これにより、サムネイルは、検出した無線タグTに対応した画像を履歴として一覧表示する。そして、新たに追加された画像、すなわち直近に検出された無線タグTに対応した画像は、新たに表示したことを操作者Hが把握できるように、図4(b)に示すように他の画像よりも強調表示される。図示の例では、画像の外枠を他よりも太くすることで協調を行っている。なお、強調表示は、上記以外の方法で行ってもよい。例えば輝度を他より大きくする、他との識別を容易とする表示色を用いる、といった方法を採用してもよい。これら図4(a)及び図4(b)に示す表示態様が、各請求項記載の切替表示モードに相当している。
【0063】
そして、リーダ1が上記のような通信中に比較的に速い速度で移動し上記第1速度しきい値以上となった後、通信が終了しリーダ1の移動がほぼ停止して速度が上記第2しきい値以下となった場合は、上記サムネイル表示を止め、図4(c)に示すように、最後に検出した無線タグTに対応する機器Gの1つの外観画像を拡大表示する。図示の例では、図4(a)に表示した機器G、すなわちプリンタの画像が拡大表示されている。これは、操作者Hがリーダ1の動きを止めたのは、最後に検出した無線タグTについて操作者Hが実際に読み取れたのか否かを確認する意図であるとみなせるからである。この図4(c)に示す表示態様が、各請求項記載の固定表示モードに相当している。
【0064】
上記の表示切り替えを実行するために、リーダ1のCPU4が実行する制御手順を図5に示す。例えばリーダ1の電源の投入後、このフローが開始される。このフローは、メモリ6のROMに記憶されたプログラムをCPU4が実行することにより実現される。
【0065】
まずステップS5で、CPU4は、操作部7への操作者Hの操作に応じて、モード設定を含む各種設定を行う。この設定は、上記操作モードとして、タグ探索モード、インベントリモード、リスト作成モードのいずれを設定するか、及び、3軸加速度センサ23が検出した加速度に基づき図4(a)〜(c)に示したような表示モードの切り換えを行うか否かのスイッチSWによる設定、等の各種設定が含まれる。
【0066】
その後、ステップS10で、CPU4は、動作開始が指示されたか否か、つまり送信/停止キー16を操作者Hが操作したかどうかを判定する。操作者Hにより動作開始が指示されない間は判定は満たされず、ループ待機する。操作者Hにより動作開始が指示された場合、判定が満たされ、ステップS12に進む。
【0067】
ステップS12では、CPU4は、上記第1しきい値に達したことを表す速度フラグFをF=0に初期化する。
【0068】
その後、ステップS15で、CPU4は、上記ステップS5で設定された操作モードに従い、無線通信により無線タグTから情報取得を行う。その後、ステップS20に進む。
【0069】
ステップS20では、CPU4は、3軸加速度センサ9からの検出出力に基づきリーダ1の加速度の値を取得する。そして、その取得結果よりリーダ1の移動速度を算出する。
【0070】
そして、ステップS30で、CPU4は、液晶パネル11に制御信号を出力し、前述の切替表示モードによる表示を行わせる。具体的には、図4(a)、図4(b)に示したように、順次検出される無線タグTが設けられた機器Gの画像をCPU4が上記不揮発性記憶装置5から取得し、サムネイル形式によって液晶パネル11に一覧表示させる。その後、ステップS35に進む。
【0071】
ステップS35では、CPU4は、ステップS20の算出結果に基づき、リーダ1の移動速度が上記第1しきい値以上であるか否かを判定する。例えば前述の例でリーダ1の移動速度が10[cm/s]以上であった場合はステップS35の判定が満たされ、ステップS40へ移る。
【0072】
ステップS40では、CPU4は、上記速度フラグFを、リーダ1の移動速度が上記第1しきい値以上であったことを表すF=1とする。その後、ステップS45へ移る。
【0073】
一方、上記ステップS35において、例えばリーダ1の移動速度が10[cm/s]未満であった場合はステップS35の判定が満たされず、直接ステップS45へ移る。
【0074】
ステップS45では、CPU4は、無線タグTの読み取り動作が終了したか、言い換えれば通信状態が終了したか否かを判定する。前述のタグ探索モード及びインベントリモードでは、取得すべきタグIDが全て取得されるか、操作者Hが送信/停止キー16を停止操作することにより、読み取り動作が終了する。前述のリスト作成モードでは、操作者Hが送信/停止キー16を停止操作することにより読み取り動作は終了する。読み取り動作が終了していた場合、ステップS45の判定が満たされ、後述のステップS50に移る。読み取り動作が終了していない場合にはステップS45の判定は満たされず、ステップS15に戻って同様の手順を繰り返す。
【0075】
ステップS50では、CPU4は、上記ステップS40において速度フラグFが1となっているか、言い換えれば、リーダ1の移動速度が、上記第1しきい値以上となったかことがあるか否かを判定する。F=0のままであった場合はステップS50の判定が満たされず、上記ステップS10に戻り同様の手順を繰り返す。F=1となっていた場合はステップS50の判定が満たされ、ステップS55に移る。
【0076】
ステップS55では、CPU4は、上記ステップS5における設定において、移動速度に応じた表示モードの切替がスイッチSWにより有効に設定されていたか否かを判定する。モード切替が有効となっていなかった場合、ステップS55の判定は満たされず、前述のステップS10に戻り同様の手順を繰り返す。モード切替が有効となっていた場合には、ステップS55の判定が満たされ、ステップS60に進む。
【0077】
ステップS60では、上記ステップS20と同様、CPU4は、3軸加速度センサ9からの検出出力に基づきリーダ1の加速度の値を取得し、その取得結果よりリーダ1の移動速度を算出する。
【0078】
その後、ステップS65で、CPU4は、ステップS60の算出結果に基づき、リーダ1の移動速度が上記第2しきい値以下であるか否かを判定する。例えば前述の例でリーダ1の移動速度が5[cm/s]以下であった場合はステップS65の判定が満たされ、ステップS70へ移る。一方、上記ステップS65において、例えばリーダ1の移動速度が5[cm/s]より大きかった場合はステップS65の判定が満たされず、ステップS60へ戻り、移動速度が5[cm/s]以下となるまで同様の手順を繰り返す。
【0079】
ステップS70では、CPU4は、液晶パネル11に制御信号を出力し、前述の固定表示モードによる表示を行わせる。具体的には、図4(c)に示したような、直近に検出された無線タグTが設けられた機器Gの画像を、CPU4が上記不揮発性記憶装置5から取得し、上記切替表示モードのサムネイル表示において含まれた画像よりも拡大して表示させる。その後、ステップS10に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0080】
以上において、CPU4の実行するステップS15が、各請求項記載の情報取得手段として機能し、ステップS20及びステップS60が移動検出手段として機能し、ステップS35及びステップS65が判断手段として機能し、ステップS30及びステップS70がデータ取得手段として機能するとともに、表示制御手段として機能する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、リーダ1の移動速度が通信中に第1しきい値以上となった後に通信停止して第2しきい値以下となり、操作者Hが表示内容を確認しようとしているとみなされた場合、液晶パネル11の表示が、操作者Hが上記確認を行いやすいような固定表示モードによる表示に切り替えられる。上記の例では、液晶パネル11の表示内容は、操作者Hが知りたい必要最小限に絞り込んだ形で、直近に検出された無線タグTが設けられた機器Gの外観画像が拡大して表示される。この結果、操作者Hが表示内容をよく見たいときに、特別な操作を行わなくても、自動的に見やすいような表示内容に切り替えられ、操作者Hの利便性を向上させることができる。
【0082】
なお、上記のように固定表示モードで液晶パネル11に表示を行うとき、さらに液晶パネル11の輝度を切替表示モードの輝度より明るくするようにしてもよい。この場合、操作者Hは表示内容をさらに確認しやすくなる。
【0083】
なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。以下、そのような変形例を説明する。
【0084】
(1)切替表示モードで複数の機器名称の一覧表示を行う場合
上記実施形態では、切替表示モードにおいて、検出した無線タグTに係わる機器Gの画像をサムネイル表示し、固定表示モードにおいて、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像を拡大表示した。本変形例では、これに代えて、切替表示モードにおいて、対象物識別情報である機器Gの名称等を一覧表示する。
【0085】
すなわち、上記切替表示モードでは、図6(a)に示すように、液晶パネル11に、既に検出した無線タグTに係わる機器Gの名称、型番がリスト形式で一覧表示される。なお、その際、図示のように、直近に検出した無線タグTに係わる機器Gの名称をそれ以外のものより強調表示するようにしてもよい。
【0086】
一方、上記固定表示モードでは、図6(b)に示すように、上記実施形態と同様、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。なお、図6(c)に示すように、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの名称を、液晶パネル11にて拡大表示するようにしてもよい。
【0087】
本変形例によっても、上記実施形態同様の効果を得る。すなわち、リーダ1の移動速度が通信中に第1しきい値以上となった後に通信停止して第2しきい値以下となった場合、操作者Hが知りたい必要最小限に絞り込んだ形で、直近に検出された無線タグTが設けられた機器Gの外観画像、若しくは、テキストによる機器Gの名称、が液晶パネル11に拡大表示される。この結果、操作者Hは、最後に無線タグTを検出した機器Gが何であるかを容易に確認することができる。したがって、操作者Hの利便性を向上させることができる。
【0088】
(2)切替表示モードで複数の機器画像の遷移表示を行う場合
本変形例では、切替表示モードにおいて、機器Gの外観画像を順次切り替えて遷移表示する。
【0089】
すなわち、上記切替表示モードでは、図7(a)に矢印を付して示すように、液晶パネル11に、既に検出した複数の無線タグTに係わる複数の機器Gの外観画像が所定間隔で自動的に切り替えられ遷移して表示される。
【0090】
一方、上記固定表示モードでは、図7(b)に示すように、上記実施形態と同様、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。なお、リーダ1の移動がほぼ停止して切替表示モードから固定表示モードに切り替えられるとき、上記のような、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像に代え、遷移途中で表示されている1つの機器Gの画像を拡大表示するようにしてもよい。
【0091】
本変形例によっても、上記実施形態や上記(1)の変形例同様、操作者Hは、最後に無線タグTを検出した機器Gが何であるかを容易に確認でき、利便性を向上することができる。
【0092】
(3)切替表示モードで、事前表示したサムネイルに強調表示する場合
【0093】
本変形例では、切替表示モードでは、図8(a)に示すように、予め複数の機器Gの外観画像を予めサムネイルで一覧表示しておくとともに、そのうち直近に検出した無線タグTに対応する機器Gの画像を強調表示する。一方、固定表示モードでは、図8(b)に示すように、上記実施形態や(1)の変形例と同様、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。
【0094】
本変形例によっても、上記実施形態及び(1)の変形例と同様、操作者Hは、最後に無線タグTを検出した機器Gが何であるかを容易に確認でき、利便性を向上することができる。
【0095】
(4)固定表示モードで代表画像を表示する場合
上記実施形態や(1)〜(3)の変形例では、無線タグTの設置対象物である物品の例として、機器Gを例にとって説明した。しかしながら、例えば、段ボールの中に密集して詰め込まれた衣類や、書棚に密集して並べられた同一シリーズの書物等、複数の物品が比較的類似の外観的属性を持つ場合がある。本変形例は、無線タグTの設置対象物がそのような複数の物品である場合に対応した例である。
【0096】
例えば図9に示す例では、外観上、色のみが異なり形状が同一の衣類G1,G2,G3,・・等が、1つの箱の中に収められている。そして、この箱の蓋が閉じられた場合には、当該箱の中に何が収納されているのかを、当該箱の外側から目視して確認することができない。本変形例のリーダ1は、箱の外側から、これら衣類G1,G2,G3,・・に貼付された複数の無線タグTの検出を行う。このとき、上記不揮発性記憶装置5では、上記実施形態のように、衣類G1に設けた無線タグTのタグIDに衣類G1の外観画像が関連付けられ、衣類G2に設けた無線タグTのタグIDに衣類G2の外観画像が関連付けられ、衣類G3に設けた無線タグTのタグIDに衣類G3の外観画像が関連付けられる、等ではない。すなわち、本変形例では、衣類G1,G2,G3,・・にそれぞれ設けた複数の無線タグTのいずれのタグIDに対しても、衣類G1〜G3等を代表する1つの衣類、例えば衣類G1の外観画像が関連付けられるのである。代表画像をいずれの画像とするかは、予め適宜の手法で定めておけばよい。
【0097】
本変形例において、上記切替表示モードでは、図10(a)に示すように、上記実施形態と同様、液晶パネル11に、既に検出した無線タグTに係わる衣類G1,G2,G3・・の名称等がリスト形式で一覧表示される。そして、上記固定表示モードでは、図10(b)に示すように、上記予め定められた代表画像、この例では、衣類G1の画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。
【0098】
本変形例においても、上記実施形態と同様、リーダ1の移動速度が通信中に第1しきい値以上となった後に通信停止して第2しきい値以下となり、操作者Hが表示内容を確認しようとしているとみなされた場合、液晶パネル11の表示が、操作者Hが上記確認を行いやすいような固定表示モードによる表示に切り替えられる。上記の例では、液晶パネル11の表示内容は、操作者Hが知りたい必要最小限に絞り込んだ形で、代表画像である衣類G1の外観画像が拡大して表示される。この結果、操作者Hは、ダンボール箱を開けることなく、内部に入っているのが衣類G1〜G3等のような衣類、例えばTシャツであることを容易に確認することができる。したがって、操作者Hの利便性を向上させることができる。
【0099】
なお、以上において、図5に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0100】
(5)その他
以上においては、上記切替表示モードと上記固定表示モードとを切り替えるための所定の条件を、通信中にリーダ1の移動速度が第1しきい値以上となった後、リーダ1が通信停止して移動速度が第2しきい値以下となったこと、とした。しかしながら、これに限られるものではない。例えばリーダ1の電源投入後、無線通信を行うことなく移動速度が所定のしきい値以下になったことを上記所定の条件としてもよい。あるいは、無線通信時のリーダ1の移動速度がほぼ静止状態で、その静止状態のまま無線通信が停止したことを上記所定の条件としてもよい。あるいは、無線通信時のリーダ1の移動速度がほぼ静止状態で、その後無線通信が停止したときの移動速度が比較的大きい値から所定のしきい値以下になったことを上記所定の条件としてもよい。いずれにしても、通信時移動速度等のリーダ1の通信時移動状態量と、非通信時移動速度等のリーダ1の非通信時移動状態量とが、予め定められた所定の条件を満たすかどうかに基づいて、CPU4が、上記切替表示モードと上記固定表示モードとを切り替えるようにすればよい。
【0101】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0102】
その他、いちいち例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0103】
1 リーダ(携帯型無線タグ読み取り装置)
3 リーダアンテナ(装置アンテナ)
4 CPU
5 不揮発性記憶装置(記憶手段)
8 表示部
9 RF通信制御部
11 液晶パネル
23 3軸加速度センサ
150 IC回路部
151 タグ側アンテナ
G 機器
H 操作者
To 無線タグ回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグから無線通信により情報を読み取る、携帯型無線タグ読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグに対して情報読み取りを行う携帯型の無線タグ読み取り装置として、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。この従来技術の無線タグ読み取り装置は、探索対象の無線タグに対応する表示情報が表示部としての操作パネルに表示され、操作者は、表示部において、探索対象の無線タグを選択する。操作者により選択された無線タグの識別情報を指定して通信が行われ、指定された無線タグから情報が取得される。無線タグから情報が取得されると、表示部に表示されていた、当該無線タグに対応する表示情報の表示態様が、情報取得前に比べて変化する。これにより、操作者が探索結果をわかりやすく確実に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−86713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、携帯型無線タグ読み取り装置は、操作者の手により把持された状態で使用される。すなわち、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置を手で把持し、ある程度の速度で動かしつつ無線タグからの情報読み取りを行う。このとき、操作者が、情報読み取りの開始前、情報読み取り中、情報読み取り後等の適宜のタイミングで、表示内容の確認を意図する場合がある。この場合、操作者は、表示部を正しく視認できるように、上記のように動かす状態を止め携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させることが多い。このような場合に、操作者の上記の視認の意図に対応して、操作者が見やすいように表示内容を切り替えるようにすれば、操作者がいちいち表示切り替え等の操作を行う必要がなく、便利である。
【0005】
上記従来技術は、無線タグから情報取得されたときに表示を切り替えることで、情報が取得されたことをわかりやすく操作者に視認する。しかしながら、情報取得の有無に関係なく、情報読み取りの開始前、情報読み取り中、情報読み取り後等の適宜のタイミングにおいて操作者が表示内容をよく見たいときに表示切り替えを行うことについては、特に配慮されていない。
【0006】
本発明の目的は、操作者が表示内容をよく見たいときに、自動的に見やすいような表示内容に切り替えることで操作者の利便性を向上できる、携帯型無線タグ読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶する記憶部を備えたIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備え、設置対象物に設けられた無線タグに対し、無線通信を行うための装置アンテナと、前記装置アンテナを用いて前記無線タグから無線通信によりタグ識別情報の取得を行う情報取得手段と、前記情報取得手段により前記タグ識別情報が取得された前記無線タグに対応した前記設置対象物を表す所定の表示情報を表示する表示部とを有する携帯型無線タグ読み取り装置であって、前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っているときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる通信時移動状態量、及び、前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っていないときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる非通信時移動状態量を検出する移動検出手段と、前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が、当該通信時移動状態量及び非通信時移動状態量に係わる所定の条件を満たしているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が前記所定の条件を満たしていると判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替える表示制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、装置アンテナを用いて情報取得手段が通信対象の無線タグよりタグ識別情報の取得を行う。表示部には、上記取得された前記無線タグに対応した設置対象物を表す所定の表示情報が表示される。
【0009】
一般に、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置を手で把持し、ある程度の速度で動かしつつ無線タグからの情報読み取りを行う。その後、操作者が、適宜のタイミングで、情報読み取り結果に対応した表示内容の確認を意図する場合がある。この場合、操作者は、表示部を正しく視認できるように、上記のように動かす状態を止め携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させることが多い。
【0010】
ここで、本願第1発明においては、移動検出手段が携帯型無線タグ読み取り装置の移動状態量を検出する。詳細には、移動検出手段は、情報取得手段が無線通信による情報取得を行っているときの通信時移動状態量と、情報取得手段が無線通信による情報取得を行っていないときの非通信時移動状態量とを検出する。そして、判断手段が、当該検出された通信時移動状態量及び非通信時移動状態量が、それら移動状態量に係わる所定の条件を満たしているかどうかを判断し、判断が満たされたら、表示制御手段が、表示部における表示情報の内容を切り替える。これにより、上記のように操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を移動させた状態の後、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させた場合に、操作者が表示内容を確認しようとしているとみなし、表示情報の内容を当該確認を行いやすいような内容に切り替えることができる。すなわち、操作者が表示内容をよく見たいときに、特別な操作を行わなくても、自動的に見やすいような表示内容に切り替えることができる。したがって、操作者の利便性を向上することができる。
【0011】
第2発明は、上記第1発明において、前記判断手段は、前記所定の条件として、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったか否かを判断し、前記表示制御手段は、前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替えることを特徴とする。
【0012】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を移動させて移動状態量が第1しきい値以上となった後、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させて移動状態量が第2しきい値以下となった場合に、操作者が表示内容を確認しようとしているとみなし、表示情報の内容を当該確認を行いやすいような内容に切り替えることができる。
【0013】
第3発明は、上記第2発明において、前記表示部は、前記情報取得手段により前記タグ識別情報の取得が行われた前記無線タグに対応した前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報を表示し、前記表示制御手段は、前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段により取得された直近の前記タグ識別情報に対応した固定表示モードに設定し、前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断されない場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段が前記タグ識別情報を取得するたびに切り替え可能な切替表示モードに設定することを特徴とする。
【0014】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている最中は切替表示モードとし、タグ識別情報が取得されるたびに表示部の表示情報の内容が切り替わるようにする。また、操作者が上記のように携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行った後、操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させたときは固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した表示内容を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後に取得したタグ識別情報に係わる情報を表示部に固定的に表示させ、確実に視認することができる。
【0015】
第4発明は、上記第3発明において、前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報と、当該設置対象物に対応する前記無線タグの前記タグ識別情報とを対応付けて記憶した記憶手段と、前記情報取得手段により取得された前記タグ識別情報に対応付けられた前記外観画像又は前記対象物識別情報を、前記記憶手段より取得するデータ取得手段とを有することを特徴とする。
【0016】
これにより、取得したタグ識別情報を用いて記憶手段にアクセスし、対応する設置対象物の外観画像や対象物識別情報を取得して、表示部に表示させることができる。
【0017】
第5発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させることを特徴とする。
【0018】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の外観画像の取得履歴を表示部で一覧表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに外観画像を追加して表示内容が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0019】
第6発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記対象物識別情報又は1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させることを特徴とする。
【0020】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の対象物識別情報の取得履歴を表示部で一覧表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに対象物識別情報を追加して表示内容が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の対象物識別情報又は外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0021】
第7発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像ごとに、前記表示部に順次切り替えて表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0022】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の外観画像の取得履歴を表示部に順次切り替えて表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに外観画像が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0023】
第8発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、前記固定表示モードでは、それまでに前記情報取得手段が取得した全ての前記タグ識別情報に共通して予め定められ、前記記憶手段より前記データ取得手段が取得した特定の前記外観画像を、前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0024】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の対象物識別情報の取得履歴を表示部で一覧表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに対象物識別情報を追加して表示内容が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、それまでに取得された全てのタグ識別情報に共通して予め定められた特定の設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物に対応した特定の設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0025】
第9発明は、上記第4発明において、前記表示制御手段は、前記切替表示モードでは、前記記憶手段に前記タグ識別情報と対応付けて記憶された複数の前記外観画像を前記表示部に一覧表示させるとともに、それら一覧表示された複数の外観画像のうち、当該外観画像に対応する前記タグ識別情報が前記情報取得手段により直近に取得された1つの外観画像を、それ以外の外観画像から区別可能に強調表示させ、前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させることを特徴とする。
【0026】
これにより、操作者が携帯型無線タグ読み取り装置を動かし無線タグから順次読み取りを行っている間は切替表示モードとし、記憶手段にタグ識別情報が記憶された複数の対象物の外観画像を表示部で一覧表示するとともに、取得されたタグ識別情報に対応した設置対象物の外観画像を他の外観画像と区別できるように強調表示し、かつタグ識別情報が取得されるたびに強調表示する設置対象物が切り替わるようにしておく。操作者が上記携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させると固定表示モードとし、最後に取得されたタグ識別情報に対応した1つの設置対象物の外観画像を表示部が固定的に表示する。これにより、操作者は、携帯型無線タグ読み取り装置の移動を停止させるだけで、最後にタグ識別情報を取得した設置対象物が何であるかを、容易に確認することができる。
【0027】
第10発明は、上記第5乃至第9発明のいずれかにおいて、前記表示制御手段は、前記切替表示モードにおいては前記表示部の輝度を通常の輝度に設定し、前記固定表示モードにおいては前記表示部の輝度を前記通常の輝度よりも明るい輝度に設定することを特徴とする。
【0028】
本願第10発明においては、固定表示モードにおいて表示内容を固定的に表示するのみならず、輝度を明るくする。これにより、最後に取得したタグ識別情報に係わる設置対象物を操作者がさらに確認しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、操作者が表示内容をよく見たいときに、自動的に見やすいような表示内容に切り替え、操作者の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態のリーダの使用態様の一例を表す図である。
【図2】リーダの概略構成を表す機能ブロック図である。
【図3】リーダの全体的な外観を表す平面図である。
【図4】液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図5】リーダのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図6】切替表示モードで複数の機器名称の一覧表示を行う変形例における液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図7】切替表示モードで複数の機器画像の遷移表示を行う変形例における液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図8】切替表示モードで、事前表示したサムネイルに強調表示する変形例における液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【図9】固定表示モードで代表画像を表示する変形例において、複数の物品の収納例を表す図である。
【図10】液晶パネルの表示画面例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
本実施形態の携帯型無線タグ読み取り装置であるリーダ1の使用態様の一例を図1を用いて説明する。
【0033】
この例では、リーダ1は、店舗に保管されている機器Gの探索を行う場合に使用される。すなわち、店舗内の複数段の棚の各段に、設置対象物としての複数の機器Gが水平方向に並べられて陳列されている。それら機器Gに、それぞれ無線タグTが貼付等により取り付けられている(煩雑防止のため一部図示省略)。
【0034】
リーダ1は、携帯型いわゆるハンディタイプであり、その筐体2aに、操作手段としての操作部7と表示部8とが設けられている。操作者Hがリーダ1を手に取り操作部7において所定の通信開始操作を行うと、リーダ1は上記複数の機器Gのそれぞれに貼付されている無線タグTのうち通信可能領域20に存在する無線タグTに対し、リーダアンテナ3(後述の図2参照)により情報を送受する。この例では、リーダアンテナ3の通信可能領域20は、リーダアンテナ3から筐体2aの長手方向延長線上に延びる指向性により形成される。この結果、図1に示す使用例では、操作者Hが筐体2aを手で持ち筐体2aの先端部を上記複数の機器Gに向けた状態で、リーダ1は無線通信を行う。
【0035】
リーダ1の概略構成を図2を用いて説明する。リーダ1は、上記筐体2aを備えた本体制御部2と、装置アンテナとしてのリーダアンテナ3とを有している。
【0036】
本体制御部2は、CPU4と、記憶手段としての不揮発性記憶装置5と、メモリ6と、操作部7と、表示部8と、RF通信制御部9と、3軸加速度センサ23とを備えている。
【0037】
3軸加速度センサ23は、例えば公知のピエゾ抵抗方式や静電容量方式によるMEMS型などの3軸加速度センサである。この例では、リーダ1の本体制御部2の筐体2aの幅方向、長さ方向、及び厚み方向にそれぞれ対応する方向、すなわち筐体2aにおける座標軸方向の加速度を個別に検出する。また、CPU4は、この3軸加速度センサ23により検出された各軸方向の加速度をそれぞれ積算する、例えば公知の積分法などによる演算を行うことにより、移動状態量としての、リーダ1の移動速度を算出する。なお、3軸加速度センサ23の代わりに角速度センサや速度センサを用いてもよい。さらに、リーダ1の移動を検出できるのであれば、別のセンサを用いてもよい。
【0038】
無線タグTは、タグアンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路部Toを有している。無線タグ回路部Toに備えられたメモリ部(図示省略)には、当該無線タグ回路部Toの個体を特定するための、タグ識別情報としてのタグIDが記憶されている。
【0039】
RF通信制御部9は、上記リーダアンテナ3を介し、無線タグ回路部ToのIC回路部150の情報へアクセスする。
【0040】
音声報知部22は、各種情報やメッセージを報知する。メモリ6は、例えばRAMやROM等から構成される。操作部7は、操作者Hからの指示や情報が入力される。表示部8は、各種情報やメッセージを表示する。
【0041】
不揮発性記憶装置5は、ハードディスク装置やフラッシュメモリから構成される。不揮発性記憶装置5には、対象物識別情報である機器Gの名称等や機器Gの外観画像と、機器Gに設けられた無線タグTの上記タグIDとが、予め関連付けられて記憶されている。
【0042】
CPU4は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、リーダ1全体の各種制御を行う。CPU4は、無線タグTの上記IC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに、無線タグ回路部ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンドを生成する。
【0043】
またCPU4は、3軸加速度センサ23が検出した軸ごとの移動加速度から移動速度成分を算出し、軸ごとの移動速度成分を用いて移動速度を算出する。そして、その算出した移動速度に基づき、CPU4は、表示部8に表示させる表示情報の内容を変更する表示制御を行う。表示部8は、この表示制御に基づき、通信対象の無線タグTの無線タグ回路部Toに対応する表示情報、例えば上記不揮発性記憶装置5に記憶された、機器Gの画像や機器Gの名称等を、操作者Hが視認可能なように表示する(詳細は後述)。
【0044】
図3を用いて、リーダ1の外観について説明する。前述したように、リーダ1は、略直方体形状の上記筐体2aを有している。筐体2aには、上記表示部8と、上記操作部7と、音声報知部22(図示省略。上記図2参照)と、スイッチSWとが設けられている。
【0045】
表示部は、液晶パネル11と、充電ランプ13と、送信出力インジケータ17とを備えている。
【0046】
操作部7は、4つの方向キー14U,14D,14L,14Rと、決定キー15と、送信/停止キー16と、送信強度調整スライダ18とを備えている。
【0047】
液晶パネル11は、リーダ1が行う各種の操作モードの切替状況や、各操作モードにおける各種情報やメッセージ等を文字や記号で表示する。操作モードには、タグ探索モード、インベントリモード、リスト作成モード等が予め用意されている。
【0048】
タグ探索モードでは、液晶パネル11に識別情報リストとして表示された通信対象である無線タグTのタグIDの中から、少なくとも1つが指定される。そして、リーダ1は、当該無線タグTが通信可能領域20の範囲内に存在しているか否かを、常に問いかけるよう通信し続ける。タグ探索モードは、このようにして、通信対象として指定された無線タグTのタグIDを取得するための処理である。
【0049】
インベントリモードは、予め指定しておいた複数の通信対象が検出できるか否かだけを試行する処理である。このインベントリモードでは、リーダ1は、無線タグTとの無線通信によりそれぞれ取得したタグIDと、予め設定記憶された識別情報リストに記載されたタグIDとの、照合を行う。このモードでは、目的とする無線タグTの存在の有無だけが問題となるため、指定した複数の通信対象の無線タグTが全て検出された時点で、処理が終了する。
【0050】
リスト作成モードでは、無線通信により無線タグTから取得されたタグIDを用いて、上記タグ探索モード、インベントリモードで使用される識別情報リストが作成される。すなわち、リスト作成モードでは、通信対象の無線タグTの指定は行われず、通信可能領域20の範囲内に存在する無線タグT全てとリーダ1が無線通信を行い、検出された無線タグTが全てリストアップされる。作成された識別情報リストは、例えば不揮発性記憶装置5に保存される。
【0051】
なお、以上4つの操作モードの切り替えは、前述した4つの方向キー14U,14D,14L,14Rのうちの左右方向キー14L,14Rを操作することにより行われる。
【0052】
充電ランプ13は、発光ダイオード(LED)などの発光素子により構成される。送信出力インジケータ17は、3つのLED17a,17b,17cで構成されており、それらの点灯個数によって送信出力の大きさを段階的に表示する。
【0053】
4つの方向キー14U,14D,14L,14Rは、液晶パネル11中に表示されるカーソルの移動指示や、複数の選択肢の選択指示などに用いられる。決定キー15は上記選択の決定指示などに用いられる。
【0054】
送信/停止キー16は、通信対象の無線タグTに対して各種の指示コマンドや無線通信の開始を指示するために用いられる。
【0055】
また、送信強度調整スライダ18は、つまみ18aの位置を図中の上下方向に段階的に移動させることのできるスライダ型のスイッチである。操作者Hは、送信強度調整スライダ18を用いて、リーダアンテナ3から出力する電波の送信出力調整することができる。
【0056】
スイッチSWは、移動速度に応じたモード切り替えの有効(ON)/無効(OFF)を設定する(詳細は後述)。
【0057】
ここで、本実施形態のリーダ1の最も大きな特徴は、3軸加速度センサ23が検出した移動加速度から算出した移動速度に応じて、液晶パネル11に表示させる表示情報の内容を切り替える、つまり移動速度が所定の条件を満たすかどうかに応じて、異なる表示情報を表示させる表示制御を行うことにある。以下、その表示制御の詳細を説明する。
【0058】
既に述べたように、一般に、リーダ1は、使用時には、操作者Hが手で把持した状態で使用する。操作者Hは、リーダ1による通信を開始させた後、リーダ1をある程度の速度で動かしながら、無線タグTからの情報の読み取りを行う。その後、操作者Hが、情報読み取り後等の適宜のタイミングで、情報読み取り結果等の表示内容の確認を意図する場合がある。この場合、操作者Hは、液晶パネル11を正しく視認できるように、リーダ1の通信を終了させた後、上記のように動かす状態を止めリーダ1の移動を停止させることが多い。
【0059】
本実施形態では、上記に対応し、CPU4が、3軸加速度センサ23の検出結果に基づき算出した移動速度を所定の切替基準である2つの速度しきい値と比較し、その比較結果に従って、表示情報の内容を切り替える。この切替基準とは、例えばリーダ1が、通信時において基準となる第1しきい値、例えば10[cm/s]以上の状態で移動した後に、通信終了後に基準となる第2しきい値、例えば5[cm/s]以下となったかどうか、とすることができる。なお、第1しきい値と第2しきい値として同じ値を用いてもよい。すなわち、通信時にリーダ1の移動速度が10[cm/s]以上となっていればリーダ1は移動中であり操作者Hが情報読み取りを行っているとみなすことができ、その後通信が停止してリーダ1の移動速度が5[cm/s]以下となったら、リーダ1はほぼ移動停止状態に近いことから操作者Hが情報読み取り結果に対応した表示内容を確認しようとしているとみなすことができる。したがってこの場合は、CPU4は、表示情報の内容を、操作者Hが上記確認を行いやすいような内容の表示情報に切り替える。
【0060】
図4を用いて、CPU4が実行する上記の表示内容の切り替えについて説明する。以下、上記3つの操作モードのうちインベントリモードの場合の表示内容の切り替えを例にとって説明するが、他のモードにおいて同様の切り替えを行うようにしてもよい。
【0061】
図4において、リーダ1が通信を行っている間は、図4(a)に示すように、無線タグTとの無線通信により取得された無線タグ回路部ToのタグIDに対応する画像、すなわち検出できた無線タグTに貼付された機器Gの画像が不揮発性記憶装置5より取得されて表示部8に表示される。液晶パネル11の画面に対して比較的小さく縮小された、いわゆるサムネイル形式により一覧表示される。この際、上記移動により複数の無線タグTが順次検出された場合は、各機器Gの画像が履歴として残る形で、当該検出された順序で一覧表示される。
【0062】
すなわち、1つの機器Gの無線タグTが検出され当該機器Gの画像が表示された図4(a)に示す状態から、新たに別の機器Gの無線タグTが検出された場合、図4(b)に示すように、当該新たな機器Gの画像、つまり直近に検出した無線タグTに対応した機器Gの画像が追加される形で表示される。これにより、サムネイルは、検出した無線タグTに対応した画像を履歴として一覧表示する。そして、新たに追加された画像、すなわち直近に検出された無線タグTに対応した画像は、新たに表示したことを操作者Hが把握できるように、図4(b)に示すように他の画像よりも強調表示される。図示の例では、画像の外枠を他よりも太くすることで協調を行っている。なお、強調表示は、上記以外の方法で行ってもよい。例えば輝度を他より大きくする、他との識別を容易とする表示色を用いる、といった方法を採用してもよい。これら図4(a)及び図4(b)に示す表示態様が、各請求項記載の切替表示モードに相当している。
【0063】
そして、リーダ1が上記のような通信中に比較的に速い速度で移動し上記第1速度しきい値以上となった後、通信が終了しリーダ1の移動がほぼ停止して速度が上記第2しきい値以下となった場合は、上記サムネイル表示を止め、図4(c)に示すように、最後に検出した無線タグTに対応する機器Gの1つの外観画像を拡大表示する。図示の例では、図4(a)に表示した機器G、すなわちプリンタの画像が拡大表示されている。これは、操作者Hがリーダ1の動きを止めたのは、最後に検出した無線タグTについて操作者Hが実際に読み取れたのか否かを確認する意図であるとみなせるからである。この図4(c)に示す表示態様が、各請求項記載の固定表示モードに相当している。
【0064】
上記の表示切り替えを実行するために、リーダ1のCPU4が実行する制御手順を図5に示す。例えばリーダ1の電源の投入後、このフローが開始される。このフローは、メモリ6のROMに記憶されたプログラムをCPU4が実行することにより実現される。
【0065】
まずステップS5で、CPU4は、操作部7への操作者Hの操作に応じて、モード設定を含む各種設定を行う。この設定は、上記操作モードとして、タグ探索モード、インベントリモード、リスト作成モードのいずれを設定するか、及び、3軸加速度センサ23が検出した加速度に基づき図4(a)〜(c)に示したような表示モードの切り換えを行うか否かのスイッチSWによる設定、等の各種設定が含まれる。
【0066】
その後、ステップS10で、CPU4は、動作開始が指示されたか否か、つまり送信/停止キー16を操作者Hが操作したかどうかを判定する。操作者Hにより動作開始が指示されない間は判定は満たされず、ループ待機する。操作者Hにより動作開始が指示された場合、判定が満たされ、ステップS12に進む。
【0067】
ステップS12では、CPU4は、上記第1しきい値に達したことを表す速度フラグFをF=0に初期化する。
【0068】
その後、ステップS15で、CPU4は、上記ステップS5で設定された操作モードに従い、無線通信により無線タグTから情報取得を行う。その後、ステップS20に進む。
【0069】
ステップS20では、CPU4は、3軸加速度センサ9からの検出出力に基づきリーダ1の加速度の値を取得する。そして、その取得結果よりリーダ1の移動速度を算出する。
【0070】
そして、ステップS30で、CPU4は、液晶パネル11に制御信号を出力し、前述の切替表示モードによる表示を行わせる。具体的には、図4(a)、図4(b)に示したように、順次検出される無線タグTが設けられた機器Gの画像をCPU4が上記不揮発性記憶装置5から取得し、サムネイル形式によって液晶パネル11に一覧表示させる。その後、ステップS35に進む。
【0071】
ステップS35では、CPU4は、ステップS20の算出結果に基づき、リーダ1の移動速度が上記第1しきい値以上であるか否かを判定する。例えば前述の例でリーダ1の移動速度が10[cm/s]以上であった場合はステップS35の判定が満たされ、ステップS40へ移る。
【0072】
ステップS40では、CPU4は、上記速度フラグFを、リーダ1の移動速度が上記第1しきい値以上であったことを表すF=1とする。その後、ステップS45へ移る。
【0073】
一方、上記ステップS35において、例えばリーダ1の移動速度が10[cm/s]未満であった場合はステップS35の判定が満たされず、直接ステップS45へ移る。
【0074】
ステップS45では、CPU4は、無線タグTの読み取り動作が終了したか、言い換えれば通信状態が終了したか否かを判定する。前述のタグ探索モード及びインベントリモードでは、取得すべきタグIDが全て取得されるか、操作者Hが送信/停止キー16を停止操作することにより、読み取り動作が終了する。前述のリスト作成モードでは、操作者Hが送信/停止キー16を停止操作することにより読み取り動作は終了する。読み取り動作が終了していた場合、ステップS45の判定が満たされ、後述のステップS50に移る。読み取り動作が終了していない場合にはステップS45の判定は満たされず、ステップS15に戻って同様の手順を繰り返す。
【0075】
ステップS50では、CPU4は、上記ステップS40において速度フラグFが1となっているか、言い換えれば、リーダ1の移動速度が、上記第1しきい値以上となったかことがあるか否かを判定する。F=0のままであった場合はステップS50の判定が満たされず、上記ステップS10に戻り同様の手順を繰り返す。F=1となっていた場合はステップS50の判定が満たされ、ステップS55に移る。
【0076】
ステップS55では、CPU4は、上記ステップS5における設定において、移動速度に応じた表示モードの切替がスイッチSWにより有効に設定されていたか否かを判定する。モード切替が有効となっていなかった場合、ステップS55の判定は満たされず、前述のステップS10に戻り同様の手順を繰り返す。モード切替が有効となっていた場合には、ステップS55の判定が満たされ、ステップS60に進む。
【0077】
ステップS60では、上記ステップS20と同様、CPU4は、3軸加速度センサ9からの検出出力に基づきリーダ1の加速度の値を取得し、その取得結果よりリーダ1の移動速度を算出する。
【0078】
その後、ステップS65で、CPU4は、ステップS60の算出結果に基づき、リーダ1の移動速度が上記第2しきい値以下であるか否かを判定する。例えば前述の例でリーダ1の移動速度が5[cm/s]以下であった場合はステップS65の判定が満たされ、ステップS70へ移る。一方、上記ステップS65において、例えばリーダ1の移動速度が5[cm/s]より大きかった場合はステップS65の判定が満たされず、ステップS60へ戻り、移動速度が5[cm/s]以下となるまで同様の手順を繰り返す。
【0079】
ステップS70では、CPU4は、液晶パネル11に制御信号を出力し、前述の固定表示モードによる表示を行わせる。具体的には、図4(c)に示したような、直近に検出された無線タグTが設けられた機器Gの画像を、CPU4が上記不揮発性記憶装置5から取得し、上記切替表示モードのサムネイル表示において含まれた画像よりも拡大して表示させる。その後、ステップS10に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0080】
以上において、CPU4の実行するステップS15が、各請求項記載の情報取得手段として機能し、ステップS20及びステップS60が移動検出手段として機能し、ステップS35及びステップS65が判断手段として機能し、ステップS30及びステップS70がデータ取得手段として機能するとともに、表示制御手段として機能する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、リーダ1の移動速度が通信中に第1しきい値以上となった後に通信停止して第2しきい値以下となり、操作者Hが表示内容を確認しようとしているとみなされた場合、液晶パネル11の表示が、操作者Hが上記確認を行いやすいような固定表示モードによる表示に切り替えられる。上記の例では、液晶パネル11の表示内容は、操作者Hが知りたい必要最小限に絞り込んだ形で、直近に検出された無線タグTが設けられた機器Gの外観画像が拡大して表示される。この結果、操作者Hが表示内容をよく見たいときに、特別な操作を行わなくても、自動的に見やすいような表示内容に切り替えられ、操作者Hの利便性を向上させることができる。
【0082】
なお、上記のように固定表示モードで液晶パネル11に表示を行うとき、さらに液晶パネル11の輝度を切替表示モードの輝度より明るくするようにしてもよい。この場合、操作者Hは表示内容をさらに確認しやすくなる。
【0083】
なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。以下、そのような変形例を説明する。
【0084】
(1)切替表示モードで複数の機器名称の一覧表示を行う場合
上記実施形態では、切替表示モードにおいて、検出した無線タグTに係わる機器Gの画像をサムネイル表示し、固定表示モードにおいて、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像を拡大表示した。本変形例では、これに代えて、切替表示モードにおいて、対象物識別情報である機器Gの名称等を一覧表示する。
【0085】
すなわち、上記切替表示モードでは、図6(a)に示すように、液晶パネル11に、既に検出した無線タグTに係わる機器Gの名称、型番がリスト形式で一覧表示される。なお、その際、図示のように、直近に検出した無線タグTに係わる機器Gの名称をそれ以外のものより強調表示するようにしてもよい。
【0086】
一方、上記固定表示モードでは、図6(b)に示すように、上記実施形態と同様、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。なお、図6(c)に示すように、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの名称を、液晶パネル11にて拡大表示するようにしてもよい。
【0087】
本変形例によっても、上記実施形態同様の効果を得る。すなわち、リーダ1の移動速度が通信中に第1しきい値以上となった後に通信停止して第2しきい値以下となった場合、操作者Hが知りたい必要最小限に絞り込んだ形で、直近に検出された無線タグTが設けられた機器Gの外観画像、若しくは、テキストによる機器Gの名称、が液晶パネル11に拡大表示される。この結果、操作者Hは、最後に無線タグTを検出した機器Gが何であるかを容易に確認することができる。したがって、操作者Hの利便性を向上させることができる。
【0088】
(2)切替表示モードで複数の機器画像の遷移表示を行う場合
本変形例では、切替表示モードにおいて、機器Gの外観画像を順次切り替えて遷移表示する。
【0089】
すなわち、上記切替表示モードでは、図7(a)に矢印を付して示すように、液晶パネル11に、既に検出した複数の無線タグTに係わる複数の機器Gの外観画像が所定間隔で自動的に切り替えられ遷移して表示される。
【0090】
一方、上記固定表示モードでは、図7(b)に示すように、上記実施形態と同様、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。なお、リーダ1の移動がほぼ停止して切替表示モードから固定表示モードに切り替えられるとき、上記のような、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像に代え、遷移途中で表示されている1つの機器Gの画像を拡大表示するようにしてもよい。
【0091】
本変形例によっても、上記実施形態や上記(1)の変形例同様、操作者Hは、最後に無線タグTを検出した機器Gが何であるかを容易に確認でき、利便性を向上することができる。
【0092】
(3)切替表示モードで、事前表示したサムネイルに強調表示する場合
【0093】
本変形例では、切替表示モードでは、図8(a)に示すように、予め複数の機器Gの外観画像を予めサムネイルで一覧表示しておくとともに、そのうち直近に検出した無線タグTに対応する機器Gの画像を強調表示する。一方、固定表示モードでは、図8(b)に示すように、上記実施形態や(1)の変形例と同様、最後に検出した無線タグTに係わる1つの機器Gの画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。
【0094】
本変形例によっても、上記実施形態及び(1)の変形例と同様、操作者Hは、最後に無線タグTを検出した機器Gが何であるかを容易に確認でき、利便性を向上することができる。
【0095】
(4)固定表示モードで代表画像を表示する場合
上記実施形態や(1)〜(3)の変形例では、無線タグTの設置対象物である物品の例として、機器Gを例にとって説明した。しかしながら、例えば、段ボールの中に密集して詰め込まれた衣類や、書棚に密集して並べられた同一シリーズの書物等、複数の物品が比較的類似の外観的属性を持つ場合がある。本変形例は、無線タグTの設置対象物がそのような複数の物品である場合に対応した例である。
【0096】
例えば図9に示す例では、外観上、色のみが異なり形状が同一の衣類G1,G2,G3,・・等が、1つの箱の中に収められている。そして、この箱の蓋が閉じられた場合には、当該箱の中に何が収納されているのかを、当該箱の外側から目視して確認することができない。本変形例のリーダ1は、箱の外側から、これら衣類G1,G2,G3,・・に貼付された複数の無線タグTの検出を行う。このとき、上記不揮発性記憶装置5では、上記実施形態のように、衣類G1に設けた無線タグTのタグIDに衣類G1の外観画像が関連付けられ、衣類G2に設けた無線タグTのタグIDに衣類G2の外観画像が関連付けられ、衣類G3に設けた無線タグTのタグIDに衣類G3の外観画像が関連付けられる、等ではない。すなわち、本変形例では、衣類G1,G2,G3,・・にそれぞれ設けた複数の無線タグTのいずれのタグIDに対しても、衣類G1〜G3等を代表する1つの衣類、例えば衣類G1の外観画像が関連付けられるのである。代表画像をいずれの画像とするかは、予め適宜の手法で定めておけばよい。
【0097】
本変形例において、上記切替表示モードでは、図10(a)に示すように、上記実施形態と同様、液晶パネル11に、既に検出した無線タグTに係わる衣類G1,G2,G3・・の名称等がリスト形式で一覧表示される。そして、上記固定表示モードでは、図10(b)に示すように、上記予め定められた代表画像、この例では、衣類G1の画像が、液晶パネル11にて拡大表示される。
【0098】
本変形例においても、上記実施形態と同様、リーダ1の移動速度が通信中に第1しきい値以上となった後に通信停止して第2しきい値以下となり、操作者Hが表示内容を確認しようとしているとみなされた場合、液晶パネル11の表示が、操作者Hが上記確認を行いやすいような固定表示モードによる表示に切り替えられる。上記の例では、液晶パネル11の表示内容は、操作者Hが知りたい必要最小限に絞り込んだ形で、代表画像である衣類G1の外観画像が拡大して表示される。この結果、操作者Hは、ダンボール箱を開けることなく、内部に入っているのが衣類G1〜G3等のような衣類、例えばTシャツであることを容易に確認することができる。したがって、操作者Hの利便性を向上させることができる。
【0099】
なお、以上において、図5に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0100】
(5)その他
以上においては、上記切替表示モードと上記固定表示モードとを切り替えるための所定の条件を、通信中にリーダ1の移動速度が第1しきい値以上となった後、リーダ1が通信停止して移動速度が第2しきい値以下となったこと、とした。しかしながら、これに限られるものではない。例えばリーダ1の電源投入後、無線通信を行うことなく移動速度が所定のしきい値以下になったことを上記所定の条件としてもよい。あるいは、無線通信時のリーダ1の移動速度がほぼ静止状態で、その静止状態のまま無線通信が停止したことを上記所定の条件としてもよい。あるいは、無線通信時のリーダ1の移動速度がほぼ静止状態で、その後無線通信が停止したときの移動速度が比較的大きい値から所定のしきい値以下になったことを上記所定の条件としてもよい。いずれにしても、通信時移動速度等のリーダ1の通信時移動状態量と、非通信時移動速度等のリーダ1の非通信時移動状態量とが、予め定められた所定の条件を満たすかどうかに基づいて、CPU4が、上記切替表示モードと上記固定表示モードとを切り替えるようにすればよい。
【0101】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0102】
その他、いちいち例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0103】
1 リーダ(携帯型無線タグ読み取り装置)
3 リーダアンテナ(装置アンテナ)
4 CPU
5 不揮発性記憶装置(記憶手段)
8 表示部
9 RF通信制御部
11 液晶パネル
23 3軸加速度センサ
150 IC回路部
151 タグ側アンテナ
G 機器
H 操作者
To 無線タグ回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶部を備えたIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備え、設置対象物に設けられた無線タグに対し、無線通信を行うための装置アンテナと、
前記装置アンテナを用いて前記無線タグから無線通信によりタグ識別情報の取得を行う情報取得手段と、
前記情報取得手段により前記タグ識別情報が取得された前記無線タグに対応した前記設置対象物を表す所定の表示情報を表示する表示部と
を有する携帯型無線タグ読み取り装置であって、
前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っているときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる通信時移動状態量、及び、前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っていないときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる非通信時移動状態量を検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が、当該通信時移動状態量及び非通信時移動状態量に係わる所定の条件を満たしているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が前記所定の条件を満たしていると判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替える表示制御手段と
を有することを特徴とする携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記所定の条件として、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったか否かを判断し、
前記表示制御手段は、
前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項3】
前記表示部は、
前記情報取得手段により前記タグ識別情報の取得が行われた前記無線タグに対応した前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報を表示し、
前記表示制御手段は、
前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段により取得された直近の前記タグ識別情報に対応した固定表示モードに設定し、
前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断されない場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段が前記タグ識別情報を取得するたびに切り替え可能な切替表示モードに設定する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項4】
前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報と、当該設置対象物に対応する前記無線タグの前記タグ識別情報とを対応付けて記憶した記憶手段と、
前記情報取得手段により取得された前記タグ識別情報に対応付けられた前記外観画像又は前記対象物識別情報を、前記記憶手段より取得するデータ取得手段と
を有することを特徴とする請求項3記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記対象物識別情報又は1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像ごとに、前記表示部に順次切り替えて表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、
前記固定表示モードでは、それまでに前記情報取得手段が取得した全ての前記タグ識別情報に共通して予め定められ、前記記憶手段より前記データ取得手段が取得した特定の前記外観画像を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記記憶手段に前記タグ識別情報と対応付けて記憶された複数の前記外観画像を前記表示部に一覧表示させるとともに、それら一覧表示された複数の外観画像のうち、当該外観画像に対応する前記タグ識別情報が前記情報取得手段により直近に取得された1つの外観画像を、それ以外の外観画像から区別可能に強調表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードにおいては前記表示部の輝度を通常の輝度に設定し、前記固定表示モードにおいては前記表示部の輝度を前記通常の輝度よりも明るい輝度に設定する
ことを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれか1項記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項1】
情報を記憶する記憶部を備えたIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備え、設置対象物に設けられた無線タグに対し、無線通信を行うための装置アンテナと、
前記装置アンテナを用いて前記無線タグから無線通信によりタグ識別情報の取得を行う情報取得手段と、
前記情報取得手段により前記タグ識別情報が取得された前記無線タグに対応した前記設置対象物を表す所定の表示情報を表示する表示部と
を有する携帯型無線タグ読み取り装置であって、
前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っているときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる通信時移動状態量、及び、前記情報取得手段が無線通信による情報取得を行っていないときの前記携帯型無線タグ読み取り装置の移動に係わる非通信時移動状態量を検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が、当該通信時移動状態量及び非通信時移動状態量に係わる所定の条件を満たしているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記移動検出手段が検出した前記通信時移動状態量及び前記非通信時移動状態量が前記所定の条件を満たしていると判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替える表示制御手段と
を有することを特徴とする携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記所定の条件として、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったか否かを判断し、
前記表示制御手段は、
前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合に、前記表示部における前記表示情報の内容を切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項3】
前記表示部は、
前記情報取得手段により前記タグ識別情報の取得が行われた前記無線タグに対応した前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報を表示し、
前記表示制御手段は、
前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断された場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段により取得された直近の前記タグ識別情報に対応した固定表示モードに設定し、
前記判断手段により、前記通信時移動状態量が所定の第1しきい値以上となった後、前記非通信時移動状態量が前記所定の第2しきい値以下となったと判断されない場合には、前記表示情報の内容を、前記情報取得手段が前記タグ識別情報を取得するたびに切り替え可能な切替表示モードに設定する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項4】
前記設置対象物の外観画像又は対象物識別情報と、当該設置対象物に対応する前記無線タグの前記タグ識別情報とを対応付けて記憶した記憶手段と、
前記情報取得手段により取得された前記タグ識別情報に対応付けられた前記外観画像又は前記対象物識別情報を、前記記憶手段より取得するデータ取得手段と
を有することを特徴とする請求項3記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記対象物識別情報又は1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記外観画像ごとに、前記表示部に順次切り替えて表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が順次取得した前記対象物識別情報を、前記表示部に情報取得履歴として一覧表示させ、
前記固定表示モードでは、それまでに前記情報取得手段が取得した全ての前記タグ識別情報に共通して予め定められ、前記記憶手段より前記データ取得手段が取得した特定の前記外観画像を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードでは、前記記憶手段に前記タグ識別情報と対応付けて記憶された複数の前記外観画像を前記表示部に一覧表示させるとともに、それら一覧表示された複数の外観画像のうち、当該外観画像に対応する前記タグ識別情報が前記情報取得手段により直近に取得された1つの外観画像を、それ以外の外観画像から区別可能に強調表示させ、
前記固定表示モードでは、直近に前記情報取得手段が取得した前記タグ識別情報を用いて前記データ取得手段が取得した1つの前記外観画像を、前記表示部に拡大表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、
前記切替表示モードにおいては前記表示部の輝度を通常の輝度に設定し、前記固定表示モードにおいては前記表示部の輝度を前記通常の輝度よりも明るい輝度に設定する
ことを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれか1項記載の携帯型無線タグ読み取り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−76337(P2011−76337A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226648(P2009−226648)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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