説明

携帯型電子機器

【課題】テレビ放送視聴機能を備えた携帯型電話装置において、テレビ放送視聴が快適に行えるようにする。
【解決手段】ベースバンドチップ3に接続されているメモリ9のフラッシュメモリには、電話モード時の画像/音の関連情報(電話モード時のコントラスト情報、画面輝度情報、音量情報)、及びTV視聴モード時の画像/音の関連情報(TV視聴モード時のコントラスト情報、画面輝度情報、音量情報)が格納されている。電話モード時には、前記電話モード時の画像/音の関連情報に基づいて表示装置6及びスピーカ装置7が駆動され、TV視聴モード時には、前記TV視聴モード時の画像/音の関連情報に基づいて表示装置6及びスピーカ装置7が駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、TV視聴機能を備えた携帯型電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電話装置においては、表示装置として例えばカラー液晶ディスプレイを備え、このディスプレイ上に電話モードにおける待ち受け画面や送信時/受信時画面などを表示できるようになっており、この表示の輝度調整をメニュー画面上で設定できるようになっている。また、着信音の音量もメニュー画面上で設定できるようになっている。これらの設定に基づき、ディスプレイのドライバやスピーカアンプが調整されることになる。また、近年、テレビ放送視聴機能が設けられた携帯型電話装置が提案されており(特許文献1参照)、放送受信に基づく映像は前記ディスプレイのドライバに供給され、放送受信に基づく音声は前記スピーカアンプに供給されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−184576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来装置においては、ディスプレイやスピーカアンプの設定は電話機としての設定が反映されることになるため、例えば、待ち受け画面が低コントラストに設定されていた場合、上記放送受信に基づく映像も低コントラストで表示されたり、着信音を最高値に設定していた場合、この設定値に基づいて上記放送受信に基づく音声も最高値で出力されてしまうことになる。また、消費電力低減のために時間経過で画面輝度を低下させる低輝度設定がなされている場合であれば、テレビ放送の視聴途中で低輝度画面に勝手に切り替わってしまう。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑み、テレビ放送視聴機能を備えた携帯型電話装置において、テレビ放送視聴が快適に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の携帯型電話装置は、上記の課題を解決するために、テレビ放送視聴機能を備えた携帯型電話装置において、テレビ放送視聴モードの画像に関する設定情報と電話モードの画像に関する設定情報が格納される記憶手段と、テレビ放送視聴モードでは前記放送視聴モードの画像に関する設定情報を前記記憶手段から読み出して表示装置の設定を行う一方、電話モードでは前記電話モードの画像に関する設定情報を前記記憶手段から読み出して表示装置の設定を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、画像に関して、電話モード時とテレビ放送視聴モード時とで別々の設定が可能となるため、テレビ放送視聴が快適に行える。
【0008】
前記画像に関する設定情報には、画面輝度設定及びコントラスト設定のうちの少なくとも一つが含まれるのがよい。また、電話モードの画像に関する設定情報については時間経過で画面輝度を低下させる低輝度設定情報を持たせる一方でテレビ放送視聴モードの画像に関する設定情報については前記低輝度設定情報を持たないか或いは異なる低輝度設定情報を持つ設定が行えるのがよい。
【0009】
また、この発明の携帯型電話装置は、テレビ放送視聴機能を備えた携帯型電話装置において、テレビ放送視聴モードの音に関する設定情報と電話モードの音に関する設定情報が格納される記憶手段と、テレビ放送視聴モードでは前記放送視聴モードの音に関する設定情報を前記記憶手段から読み出して音出力部の設定を行う一方、電話モードでは前記電話モードの音に関する設定情報を前記記憶手段から読み出して音出力部の設定を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記の構成であれば、音に関して、電話モード時とテレビ放送視聴モード時とで別々の設定が可能となるため、テレビ放送視聴が快適に行える。
【0011】
前記音に関する設定情報には、少なくとも音量設定が含まれるのがよい。また、電話モードの音に関する設定情報については着信音を所定音量で出力するとの設定情報を持たせる一方でテレビ放送視聴モードの音に関する設定情報については着信音を出力しないか或いは異なる音量情報を持つ設定が行えるのがよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、画像や音に関して、電話モード時とテレビ放送視聴モード時とで別々の設定が可能となるため、テレビ放送視聴が快適に行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態の携帯型電話装置の外観を示した説明図である。
【図2】この発明の実施形態の携帯型電話装置の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明の実施形態の放送受信機能付き携帯型電話装置30の外観を示した図であって、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)6及び入力装置8におけるキー配置を主に表している。表示装置6には後述するベースバンドチップ3及びアプリケーションプロセッサ4の処理の結果が表示される。入力装置8には、メニューキー81、十字キー(OKキー付き)82、クリア(CLR)キー83、電源キー84などが設けられている。前記十字キー(OKキー付き)82の上下左右方向キー部分を押下すると、上方、下方、左方、右方にそれぞれカーソルを移動させることができ、中央部をまっすぐ下向きに押すことでOKキーとなる。
【0016】
図2は、携帯型電話装置30の回路構成を示したブロック図である。1はテレビ放送波を受信するアンテナであり、2は携帯電話の電波を送受信するアンテナである。構成によっては2つの電波を受けるアンテナ1・2を共通化し得る。
【0017】
チューナモジュール4はディジタルテレビ放送波を受信して変調波を復調する処理等を行う。アプリケーションプロセッサ(APP)5はディジタルテレビ受信処理を行う。このアプリケーションプロセッサ5はチューナモジュール4から復調データを受け取って映像/音声を生成する機能、その他ディジタルテレビの操作に必要な機能を実行するものであり、これら各種処理を行うためのCPU、MPEG4などの映像データのデコーダ、AACなどの音声データのデコーダを行う処理回路が複合化されたLSIから成る。
【0018】
ベースバンドチップ(BB)3は、携帯電話の発着信、通話、ネットワーク接続などの制御を行うものであり、携帯電話に必要な変復調、信号処理、通話処理を行う各種回路とCPUとが複合化されたLSIから成る。また、この実施形態では、ベースバンドチップ(BB)3によって、待ち受け画面、通話時画面、メール画面(作成/受信)などが作成
される。
【0019】
ベースバンドチップ3にはメモリ9が接続されており、アプリケーションプロセッサ5にはメモリ10が接続されている。前記メモリ9・10はプログラムや各種設定データを保存するフラッシュメモリ(不揮発性メモリ)と作業用に使用されるDRAMとで構成されている。表示装置6はベースバンドチップ3およびアプリケーションプロセッサ5に接続され、それぞれの処理の結果を表示する。スピーカ装置7は、ベースバンドチップ3およびアプリケーションプロセッサ5に接続され、それぞれの出力音声信号に基づいて音声(着信音含む)を出力する。入力装置8は後述する各種キーを備えて成り、ベースバンドチップ3に接続されている。
【0020】
前記表示装置6は、例えば液晶表示パネルとバックライトとドライバとを備えて成る。ドライバは、入力された映像データに基づいて液晶表示パネルを駆動すると共に、指定されたコントラスト設定情報に基づいてパネルの駆動制御を行ったり、指定された輝度設定情報に基づいてバックライトの発光量(供給電力)を制御する。
【0021】
前記スピーカ装置7は、例えば、入力された音声データをアナログ音声信号に変換するD/A変換器、アナログ音声信号を増幅するアンプ、及びスピーカを備えて成る。アンプは指定された増幅率(音量設定情報)に基づいてアナログ音声信号を増幅する。
【0022】
ベースバンドチップ3はTV視聴を要求するユーザ操作(メニュー画面上からの要求に限らず、例えば、入力装置8に設けられた例えば「TVボタン」の操作でもよい)を検出したとき、アプリケーションプロセッサ5に放送受信処理を指示すると共に、表示装置6の入力及びスピーカ装置7の入力をアプリケーションプロセッサ5側に切り替える処理を実行する。ベースバンドチップ3及びアプリケーションプロセッサ5は共に現在状態がTV視聴モードか或いは電話モードかを判断することができる。
【0023】
ベースバンドチップ3に接続されているメモリ9のフラッシュメモリには、電話モード時(TV視聴時以外の、電話待ち受け時、メール作成時、各種設定時等を含む)の画像/音の関連情報(コントラスト情報、画面輝度情報、音量情報等)が格納されている。これら情報はユーザ操作(メニュー画面上での操作等)で変更することができる。
【0024】
また、この実施形態では、TV視聴モード時の画像/音の関連情報(TV視聴モード時のコントラスト情報、画面輝度情報、音量情報等)についても前記ベースバンドチップ3に接続されたメモリ9のフラッシュメモリに格納されている。ベースバンドチップ3はメモリ9から前記TV視聴モード時の画像/音の関連情報を読み出し、アプリケーションプロセッサ5に放送受信処理を指示するときに、当該関連情報をアプリケーションプロセッサ5に与える。
【0025】
次に、ベースバンドチップ3の処理及びアプリケーションプロセッサ5の処理を説明していく。携帯型電話装置30の電源ONによって、ベースバンドチップ3は、まず、初期処理を行う。初期処理には、メモリ(DRAM)のクリア、入力装置8の初期化、表示装置6やスピーカ装置7の初期化などがある。表示装置6やスピーカ装置7の初期化においては、ベースバンドチップ3はメモリ9から読み出した電話モード時の画像/音の関連情報に基づいて表示装置6のドライバ設定やスピーカ7の設定を行う。前記ドライバは例えば画面輝度情報に基づくバックライトの明るさ(供給電力)の設定等を行い、スピーカ7は増幅率設定を行うことになる。初期化が終了すると、待ち受け画面を表示し、何らかのイベント発生を待つ。イベントにはキーの入力、着呼、メールの着信、電池チェックタイマーなどがある。イベントが発生した場合には、そのイベントの種類によって処理が分かれることになる。イベントがメニューキー81の押下であると判断した場合、ベースバン
ドチップ3は表示装置6にメインメニューを表示する。
【0026】
ベースバンドチップ3は入力装置8の各キーが操作されたときに発生するキーコードを判定し、例えば、十字キー82の上端を押したときに発生するキーコード(上方向キーのキーコード)であれば、メニュー画面上のカーソルを上方向に移動させる。また、十字キー82の中央を押したときに発生するキーコード(OKキーのキーコード)であれば、カーソルが位置している項目の内容の実行に移行する。この項目が「TV視聴」であれば、ベースバンドチップ3はアプリケーションプロセッサ5をアクティブにし、アプリケーションプロセッサ5に対してTV視聴機能の開始コマンドを通知する。このコマンドによって、アプリケーションプロセッサ5はTV視聴の処理を開始することになる。
【0027】
また、上記コマンドの通知に際して、ベースバンドチップ3はメモリ9からTV視聴モード時の画像/音の関連情報を読み出してアプリケーションプロセッサ5に与える。アプリケーションプロセッサ5は前記関連情報をメモリ10(DRAM)に書き込むと共に、当該関連情報に基づいて表示装置6のドライバ設定やスピーカ7の設定を行う。前記ドライバは例えば前記関連情報である画面輝度情報に基づいてバックライトの明るさ(供給電力)の設定等を行い、スピーカ7は増幅率設定を行うことになる。そして、アプリケーションプロセッサ5は、チューナ4からの受信映像データを表示装置6のドライバに与えると共に受信音声データをスピーカ装置7に与える。
【0028】
TV視聴モードでは、例えば、十字キー81の上下方向キーをチャンネルアップ/ダウンキーとして機能させ、左右方向キーを音量アップ/ダウンキーとして機能させることが考えられる。ベースバンドチップ3は入力されたキーコードをアプリケーションプロセッサ5に転送する。アプリケーションプロセッサ5は転送されたキーコードに基づいて要求を判定し、チャンネルアップ/ダウンや音量アップ/ダウンの処理を実行する。アプリケーションプロセッサ5は、音量アップ/ダウンの処理を行うときには、このアップ/ダウンによる変更設定値をメモリ10(DRAM)に書き込む。ベースバンドチップ3へはその都度、変更設定値を送出するか、或いは、TV視聴モードの終了時に最終設定値を送出する。ベースバンドチップ3は受け取った変更設定値或いは最終設定値を新設定値としてメモリ9のフラッシュメモリに格納する(書き換える)。
【0029】
また、この実施形態では、TV視聴時にユーザが所定キーを長押しすると、この所定キーの長押しをベースバンドチップ3が判定し、この所定キーの押下情報をアプリケーションプロセッサ5に与えることとしている。アプリケーションプロセッサ5は前記押下情報がコントラスト設定を示すものであれば、現在のコントラスト値を例えば受信番組の画面に重ねた(スーパーインポーズした)画像を生成する。そして、例えば、十字キー82のキーコードがベースバンドチップ3を介してアプリケーションプロセッサ5に伝えられると、アプリケーションプロセッサ5はキーコードに基づいてコントラストの設定値を変更する。アプリケーションプロセッサ5は、コントラストの設定値を変更するときには、変更設定値をメモリ10(DRAM)に書き込む。ベースバンドチップ3へはその都度、変更設定値を送出するか、或いは、TV視聴モードの終了時に最終設定値を送出する。
ベースバンドチップ3は受け取った変更設定値或いは最終設定値を新設定値としてメモリ9に格納する(書き換える)。
【0030】
ベースバンドチップ3は電話モードにおいて(待ち受け状態において)着信があったとき、予め設定されている着信音をスピーカ装置7から出力させる。その音量は、メモリ9に格納されている電話モード時の画像/音の関連情報に基づいたものとなる。また、バイブレーションが設定されていれば、着信時には図示しない振動子を駆動する。一方、ベースバンドチップ3はTV視聴モードにおいて着信があったとき、メモリ9に格納されているTV視聴モード時の画像/音の関連情報に基づいて処理を行う。当該関連情報が”着信
音無し”であれば、スピーカ装置7からは着信音は出力されない。また、ベースバンドチップ3は、”着信音有り”であれば、スピーカ装置7を自身側に切り替え、TV視聴モード時の着信音量情報に基づいてスピーカ装置7を駆動することになる。この着信音量情報については、電話モード時の着信音よりも低くするといった設定がユーザによって選択されるであろう。
【0031】
ベースバンドチップ3は、電話モードの待ち受け画面を表示させるときは、高輝度で表示装置6を駆動する一方で、タイマーのカウントを開始し、所定時間経過後には低輝度で表示装置6を駆動する。前記所定時間に関する情報は、メモリ9に格納されている電話モード時の画像/音の関連情報に基づいたものとなる。一方、ベースバンドチップ3は、TV視聴処理をアプリケーションプロセッサ5に実行させるとき、前記所定時間に関する情報がTV視聴モード時の画像/音の関連情報として存在すれば、この情報をアプリケーションプロセッサ5に送出する。これにより、例えば、電話モードの待ち受け画面は例えば5秒程度で低輝度表示となり、TV視聴モードの受信番組画面は30分で低輝度になるといったことが可能になる。低輝度とするときの輝度情報はTV視聴モード時の画像/音の関連情報として保持しておけばよい。また、TV視聴モード時の画像/音の関連情報として前記所定時間に関する情報がなければ、当該所定時間に関する情報はアプリケーションプロセッサ5には送出されないので、時間の制約なく、表示装置6は所定輝度を維持することになる。
【0032】
なお、上記実施形態では、ベースバンドチップ3のCPUとアプリケーションプロセッサ5のCPUとで処理を分担することとしたが、一つのCPUによって電話モードの処理とTV視聴モードの処理を担うようにしてもよい。また、分担の仕方についても、上述した例示に限定されるものではない。また、TV視聴モード時の画像/音の関連情報はベースバンドチップ3に接続されたメモリ9(不揮発性メモリ)に格納することとしたが、アプリケーションプロセッサ5に接続されたメモリ10(不揮発性メモリ)に格納してもよい。
【符号の説明】
【0033】
3 ベースバンドチップ(BB)
4 チューナ
5 アプリケーションプロセッサ(APP)
6 表示装置
7 スピーカ装置
8 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送視聴機能を備えた携帯型電話装置において、テレビ放送視聴モードの音及び電話モードの音を出力する音出力部と、テレビ放送視聴モードにおける前記音出力部の音に関する設定情報と電話モードにおける前記音出力部の音に関する設定情報が格納される記憶手段と、テレビ放送視聴モードではテレビ放送視聴モードにおける前記音出力部の音に関する設定情報を前記記憶手段から読み出して前記音出力部の設定を行う一方、電話モードでは電話モードにおける前記音出力部の音に関する設定情報を前記記憶手段から読み出して前記音出力部の設定を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする携帯型電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型電話装置において、前記音出力部の音に関する設定情報には、少なくとも音量設定が含まれることを特徴とする携帯型電話装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の携帯型電話装置において、電話モードにおける前記音出力部の音に関する設定情報については着信音を所定音量で出力するとの設定情報を持たせる一方でテレビ放送視聴モードにおける音出力部の音に関する設定情報については着信音を出力しないか或いは異なる音量情報を持つ設定が行えることを特徴とする携帯型電話装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−182796(P2012−182796A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84114(P2012−84114)
【出願日】平成24年4月2日(2012.4.2)
【分割の表示】特願2003−407408(P2003−407408)の分割
【原出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】