説明

携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法

【課題】ラベルガイド片により覆われていたラベル連続体(台紙なしラベル)の左右両縁部にも印字を可能とすることにより、印字器の活字の桁数を増やしたり、活字をより大きくすることができる携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を提供する。
【解決手段】ラベル連続体3を押さえてガイドするラベルガイド片52を、印字動作時に側板2の方向に退避させるようにすることに着目したもので、ラベルガイド片52は、移送路41に沿って設けた支持部53と、支持部53に対して接近および離脱する方向に弾性変形可能な弾性部54と、弾性部54の先端部においてラベル連続体3を押さえ付け可能なガイド部55と、を有するとともに、印字器7が、ラベル連続体3に印字を行う際にラベルガイド片52の弾性部54に当接して、ガイド部55を側板2方向に押しのけ可能とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法にかかるもので、とくにラベル連続体の左右両縁部を案内するための携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、単葉のラベル片を複数枚有するラベル連続体を移送するとともに印字器により、ラベル片に印字を行って商品その他任意の被貼付け体に貼り付けるための携帯式ラベル印字貼付け機においては、印字器との間にラベル連続体が位置することになるプラテンの上面部分においてラベル連続体を案内するためのラベルガイド片を設けている。
従来の携帯式ラベル印字貼付け機として台紙なしラベル用の携帯式ラベル印字貼付け機(携帯式台紙なしラベル印字貼付け機1)を例にとって図4ないし図7にもとづき概説する。
【0003】
図4は、携帯式台紙なしラベル印字貼付け機1の概略側面図、図5は、同、一方の側板2を取り除いた状態の概略側面図である。
携帯式台紙なしラベル印字貼付け機1は、左右(紙面表裏)一対の側板2と、台紙なしラベル3(ラベル連続体)の用紙ホルダー4と、操作レバー5と、プラテンユニット6と、印字器7と、貼付けローラー8と、を有する。
【0004】
左右一対の側板2は、操作者が握持可能なグリップ9を一体に形成するとともに、このグリップ9に対してレバー軸10(図5)のまわりに操作レバー5を回動操作可能としている。
なお、操作レバー5とグリップ9との間には、任意の付勢部材、たとえばコイルスプリング11を設けて、操作レバー5をグリップ9に対して、図4に示すような常時(操作レバー5の解放時)離反状態に付勢可能としている。
操作者は、コイルスプリング11の付勢力に抗してグリップ9および操作レバー5を握持して携帯式台紙なしラベル印字貼付け機1内のプラテンユニット6および印字器7を駆動するとともに、この握持操作を解放後、携帯式台紙なしラベル印字貼付け機1の貼付けローラー8による台紙なしラベル3の貼付け操作を行うことになる。
【0005】
台紙なしラベル3は、これをロール状に巻いて用紙ホルダー4に保持するとともに、操作レバー5の操作にともなって、プラテンユニット6により印字器7方向に台紙なしラベル3を帯状に繰り出し、プラテンユニット6の先端部でプラテンユニット6から台紙なしラベル3を分離し、貼付けローラー8により台紙なしラベル3を被貼付け体(図示せず)に貼り付け可能とする。ただし、台紙なしラベル3には所定ピッチで移送用スリット3Aなどを形成し、プラテンユニット6上を移送する際に、任意の切断分離ユニット(図示せず)により、帯状の台紙なしラベル3から単葉のラベル片3Bとすることができる。
【0006】
用紙ホルダー4は、側板2の上面に設けたホルダー軸12のまわりに側板2に対して開閉回動可能とした断面半円弧状のホルダーカバー13と、このホルダーカバー13の内部に設けたラベル保持軸14と、側板2への固定用フック15と、を有し、ラベル保持軸14にロール状の台紙なしラベル3を装填保持可能としてある。
【0007】
図6は、台紙なしラベル3を装填した状態のプラテンユニット6部分の縦断面図であって、プラテンユニット6は、用紙ホルダー4から帯状に繰り出された台紙なしラベル3をその上面に移送するもので、プラテンフレーム16と、移送ローラー17と、押付けエレメント18と、を有している。
【0008】
プラテンフレーム16は、側板2に設けたプラテン開閉軸19(図5)のまわりにこれを回動可能とし、側板2に対してプラテンユニット6全体を開閉し、台紙なしラベル3の挿通装填を可能とする。
プラテンフレーム16は、駆動ギア20および従動ギア21と、これら駆動ギア20および従動ギア21のまわりに掛け回した移送用無端ベルト22と、を備えており、駆動ギア20が移送ローラー17のローラーギア23に係合する。
移送用無端ベルト22は、移送ローラー17により移送されてくる台紙なしラベル3をさらに移送可能であって、その表面は、台紙なしラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤などを塗布しておく。また、このプラテンユニット6に組み込まれた移送用無端ベルト22は、印字器7による台紙なしラベル3への押印動作の受け台(プラテン)ともなるもので、その内方において印字器7に対向する受圧用プレート22A(図6)を配置してある。
なお、プラテンフレーム16の先端側の左右には、一対の係脱ローラー24を突出形成し、側板2に設けた開閉用つまみ25(図4)に連動してつまみ軸26(図5)のまわりに回動する開閉用係脱片27の係脱用凹部27Aに係脱可能としてある。ただし、つまみ軸26には任意のバネ材(図示せず)を設けて、開閉用係脱片27が係脱ローラー24に係合する方向にこれを付勢している。
すなわち、開閉用つまみ25は、係脱ローラー24に係脱する開閉用係脱片27を操作して、プラテンユニット6と開閉用係脱片27とを互いに係脱可能としている。
【0009】
移送ローラー17は、プラテンフレーム16に設けたローラー軸28のまわりに移送方向に所定ピッチでこれを回転可能としてある。
操作レバー5のレバー軸10の下方部に延びる連結アーム29(図4)に移送回動用爪30を往復動可能に取り付けてあり、この移送回動用爪30が移送ローラー17におけるローラーギア23の側面に放射状に設けた複数個の移送用突起31それぞれに係脱可能である。
【0010】
かくして、操作レバー5をグリップ9とともに握持および解放することにより、連結アーム29、移送回動用爪30およびローラーギア23などを介してローラー軸28のまわりに移送ローラー17を所定ピッチだけ回転して台紙なしラベル3を移送可能とするとともに、移送ローラー17のローラーギア23と駆動ギア20との連結係合により移送用無端ベルト22を回転させて台紙なしラベル3をその上面に移送可能である。
【0011】
さらに移送ローラー17に所定ピッチでその円周方向に移送用爪(図示せず)を突出形成し、この移送用爪を台紙なしラベル3の移送用スリット3Aに係脱可能としている。
なお、操作レバー5には、その先端側に二股状のヨーク部5Aを有し、このヨーク部5Aに印字器7(図4)を取り付けている。
【0012】
押付けエレメント18は、移送ローラー17に台紙なしラベル3を押し付けるためのものであり、エレメントフレーム32と、上下左右二対のバックアップローラー33と、バックアップローラー33の間に掛け回して中央に位置するバックアップリング34と、左右一対の板バネ35と、を有する。
左右一対の板バネ35は、プラテンユニット6が開閉用係脱片27(図5)から離脱したときに、移送ローラー17と押付けエレメント18とを互いに離反させる付勢部材として機能し、押付けエレメント18から移送ローラー17を離反させ、その間に台紙なしラベル3を挿通可能とする間隙36(図5)を形成可能とする。
ただし、プラテンフレーム16は、係脱ローラー24と開閉用係脱片27との係合により、板バネ35の付勢力に抗して側板2にこれを固定可能としている。
なお、エレメントフレーム32は、プラテンフレーム16の外壁面に設けたエレメント軸37(図5)のまわりにプラテンフレーム16に対してこれを回動可能としてあり、プラテンユニット6において押付けエレメント18に対してプラテンフレーム16を相対的に開閉可能としている。
【0013】
バックアップローラー33およびバックアップリング34は、台紙なしラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤などを塗布しておくもので、台紙なしラベル3を移送ローラー17側に押し付け可能である。
また、バックアップローラー33およびバックアップリング34は、台紙なしラベル3の糊面に線接触するため、糊面との粘着力を極力小さくすることができるとともに、所定のバネ弾性をもった押付けが可能である。
バックアップローラー33は、移送ローラー17と押付けエレメント18との間に台紙なしラベル3を挟持しつつ、移送ローラー17の回転によって台紙なしラベル3を移送用無端ベルト22上に送り出す。
【0014】
板バネ35は、移送ローラー17とは反対側のエレメントフレーム32の背面にこれを取り付け、操作レバー5のレバー軸11部分に当接して、プラテンフレーム16(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント18に対して常時開放方向(図5)に付勢する。
【0015】
印字器7は、操作レバー5における二股状のヨーク部5Aの先端部側にこれを取り付け、インキローラー38(図4)により印字器7の一列上に選択した複数個の活字39(図4、図7)にインキを塗布し、プラテンユニット6における移送用無端ベルト22の上面に移送されてきた台紙なしラベル3(ラベル片3B)に所定の情報を印字する。
【0016】
なお、移送用無端ベルト22の下流領域には、その上方に左右一対のラベルガイド片40を設けて、台紙なしラベル3の左右両縁部を移送用無端ベルト22(プラテン)側に押さえ付けてこれを案内可能としてあり、ラベルガイド片40の間に位置する台紙なしラベル3(ラベル片3B)に印字器7による印字を可能とする。
かくして、とくに図4に示すように、用紙ホルダー4の部分から側板2内をとおり、プラテンユニット6(移送ローラー17、押付けエレメント18)さらにはラベルガイド片40の部分に至る移送路41を形成している。
【0017】
貼付けローラー8は、側板2の先端下方部に位置し、プラテンユニット6における移送用無端ベルト22の先端部分で移送用無端ベルト22から剥離されたラベル片3Bを、携帯式台紙なしラベル貼付け機1全体の貼付け操作にともなって、貼付けローラー8によるラベル片3Bを被貼付け体に貼り付ける。
すなわち、貼付けローラー8は、側板2の端部(図4中、左端下方端部)に位置するとともに、その円周部の一部が側板2の外部に露出しており、側板2の外部に排出するようにプラテンユニット6およびその移送用無端ベルト22を通って側板2の外部に移送されてきたラベル片3Bを、貼付けローラー8を被貼付け体に打ち付けるようにして回転させることにより、被貼付け体に貼り付け可能とする。
【0018】
図7は、印字器7、移送用無端ベルト22およびラベルガイド片40の部分を下流側(貼付けローラー8側)から見た概略正面図であって、前記操作レバー5およびグリップ9が握持されて印字器7が移送用無端ベルト22方向に下降し、印字器7の活字39が移送用無端ベルト22上の台紙なしラベル3(ラベル片3B)に押し付けられて印字を行った状態を示している。
【0019】
ラベルガイド片40は、左右一対の側板2の間における移送路41に沿ってラベル連続体3の左右両縁部3Cを所定の幅にわたって上面側から押さえつつ案内することにより、移送用無端ベルト22から台紙なしラベル3が上下左右方向に脱落することを防止するようにしているため、印字器7は、このラベルガイド片40の間においてラベル連続体3のラベル片3Bに印字を行うことになる。
したがって、台紙なしラベル3には、ラベルガイド片40に押さえ付けられるその付近の領域すなわち、その左右両縁部3Cの領域部分には印字を行うことは事実上不可能であるという問題がある。
【0020】
しかしながら、ラベル片3Bの印字可能な領域ないし面積をより大きく確保すること、さらには印字される情報の密度を上げてその付加価値を向上させることが、省資源の観点からも要請されているにもかかわらず、印字器7の活字39の幅W1(印字幅)をできるだけ大きく取って活字39による印字の文字をより大きくする構成、あるいは印字(活字39)の桁数を増やす構成が困難であるという問題がある。
上記諸要請に対しては、左右一対の側板2の間の幅を大きくして印字器7を大きく設計すればよいが、携帯式台紙なしラベル印字貼付け機1の大型化を避けられないという別の問題がある。
【0021】
上述のような問題は、ラベル連続体として台紙なしラベル3以外にも、一般的に台紙およびラベル片を有する構成のラベル連続体の場合にも、ラベルガイド片40による印字可能領域ないし印字可能面積の規制があるということは同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2009−274282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、左右一対の側板の間において、より多くの情報を印字可能とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を提供することを課題とする。
【0024】
また本発明は、印字器の活字の桁数を増やすことができる携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を提供することを課題とする。
【0025】
また本発明は、印字器の活字をより大きくすることができる携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を提供することを課題とする。
【0026】
また本発明は、ラベルガイド片により覆われていた左右両縁部にも印字を可能とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を提供することを課題とする。
【0027】
また本発明は、情報を表示するラベル連続体(ラベル片)としての付加価値を高めることができる携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
すなわち本発明は、台紙なしラベルその他のラベル連続体を押さえてガイドするラベルガイド片を、印字動作時に側板の方向に退避させるようにすることに着目したもので、第一の発明は、左右一対の側板と、この側板の間における移送路に沿ってラベル連続体の左右両縁部を上面側から押さえつつ案内するためのラベルガイド片と、このラベルガイド片とは異なる領域において上記ラベル連続体のラベル片に印字を行う印字器と、を有するとともに、上記ラベル連続体の上記ラベル片を被貼付け体に貼り付け可能とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置であって、上記ラベルガイド片は、上記移送路に沿って設けた支持部と、この支持部に対して接近および離脱する方向に弾性変形可能な弾性部と、この弾性部の先端部において上記ラベル連続体を押さえ付け可能なガイド部と、を有するとともに、上記印字器が、上記ラベル連続体に印字を行う際に上記ラベルガイド片の上記弾性部に当接して、上記ガイド部を上記側板方向に押しのけ可能とすることを特徴とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置である。
【0029】
第二の発明は、左右一対の側板と、この側板の間における移送路に沿ってラベル連続体の左右両縁部を上面側から押さえつつ案内するためのラベルガイド片と、このラベルガイド片の間において上記ラベル連続体のラベル片に印字を行う印字器と、を有するとともに、上記ラベル連続体の上記ラベル片を被貼付け体に貼り付け可能とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド方法であって、上記ラベルガイド片は、上記移送路に沿って設けた支持部と、この支持部に対して接近および離脱する方向に弾性変形可能な弾性部と、この弾性部の先端部において上記ラベル連続体を押さえ付け可能なガイド部と、を有し、このガイド部は、上記ラベル連続体の上記移送路における移送時には、上記ラベル連続体の上記左右両縁部を上面側から押さえ付け可能であるとともに、上記印字器が上記ラベル連続体に印字を行う際に上記ラベルガイド片の上記弾性部に当接して上記ガイド部を上記側板方向に押しのけて、上記印字器による上記ラベル連続体への印字を可能とし、上記印字器による上記ラベル連続体への印字終了の際に上記ガイド部が上記ラベル連続体を案内可能な元位置に復帰することを特徴とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド方法である。
【0030】
上記ラベルガイド片は、上記移送路の左右にその一対を配置していることができる。
【0031】
上記弾性部は、上記支持部から上記移送路における上記ラベル連続体の方向に向かって斜めにこれを配置していることができる。
【0032】
上記弾性部は、上記移送路において上記ラベル連続体に向かう上記印字器の軌跡内にその一部を位置させていることができる。
【0033】
上記ガイド部は、上記移送路に沿って上記ラベル連続体の長さ方向に延びていることができる。
【0034】
上記ガイド部は、上記ラベル連続体の幅方向においてほぼ平行移動するように上記弾性部にこれを形成していることができる。
【0035】
上記ガイド部が上記側板方向に押しのけられた状態で、上記印字器による上記ラベル連続体への印字を可能とすることができる。
【0036】
上記ラベル連続体をその上面に移送するとともに上記印字器による上記ラベル連続体への印字を行うためのプラテンを有するとともに、上記支持部は、このプラテンの左右にこれを固定してあることができる。
【0037】
上記ラベル連続体としては、図4ないし図7にもとづき説明した台紙なしラベル3に限らず、台紙およびラベル片からなる一般的なラベル連続体であってもよく、このようなラベル連続体を装填する携帯式ラベル印字貼付け機にも本発明を適用可能である。
【発明の効果】
【0038】
本発明による携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法においては、印字器7の印字動作にともなってラベルガイド片40が台紙なしラベル3の幅方向両縁部側に可動するようにしたので、従来ラベルガイド片40により覆われていた両端部の領域にも印字器7の活字39による印字が可能となり、必要な桁数を確保したり、あるいは活字39自体の大きさを大きくするような設計が可能となる。
【0039】
とくに第一の発明の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置によれば、印字器が、ラベル連続体に印字を行う際にラベルガイド片の弾性部に当接して、ガイド部を側板方向に押しのけ可能としたので、従来は印字不可能であったラベル連続体の左右両縁部にも印字領域を拡大することができる。したがって、印字器における活字の桁数を増やしたり、活字の大きさを拡大するなどの設計が可能となる。
【0040】
とくに第二の発明の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド方法によれば、印字器がラベル連続体に印字を行う際にラベルガイド片の弾性部に当接してガイド部を側板方向に押しのけるとともに、印字器によるラベル連続体への印字終了の際にガイド部がラベル連続体を案内可能な元位置に復帰するようにしたので、印字領域をより大きく確保しつつ、ラベル連続体の移送および印字の工程においてともにラベル連続体を安定して案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例による携帯式ラベル印字貼付け機として、携帯式台紙なしラベル印字貼付け機50を採用した場合の、図7と同様の、印字器7、移送用無端ベルト22およびラベルガイド装置51(ラベルガイド片52)の部分を下流側(貼付けローラー8側)から見た概略正面図である。
【図2】同、印字動作時の概略正面図である。
【図3】同、ラベルガイド装置51におけるラベルガイド片52の斜視図である。
【図4】従来の携帯式台紙なしラベル印字貼付け機1の概略側面図である。
【図5】同、一方の側板2を取り除いた状態の概略側面図である。
【図6】同、台紙なしラベル3を装填した状態のプラテンユニット6部分の縦断面図である。
【図7】同、印字器7、移送用無端ベルト22およびラベルガイド片40の部分を下流側(貼付けローラー8側)から見た概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、印字動作を行う印字器がラベルガイド片を押しのけることができるような弾性部およびガイド部を形成したので、印字にともないラベルガイド片がラベル連続体から退避し、印字が終了して印字器が元位置に戻ると、ラベルガイド片のガイド部も元位置に復帰してラベル連続体の通常のガイドを行うことができる携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を実現した。
【実施例】
【0043】
つぎに本発明の実施例による携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置およびラベルガイド方法を図1ないし図3にもとづき説明する。ただし、図4ないし図7と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、携帯式ラベル印字貼付け機として、携帯式台紙なしラベル印字貼付け機50を採用した場合の、図7と同様の、印字器7、移送用無端ベルト22およびラベルガイド装置51(ラベルガイド片52)の部分を下流側(貼付けローラー8側)から見た概略正面図であって、図2は、同、印字動作時の概略正面図、図3は、ラベルガイド装置51におけるラベルガイド片52の斜視図である。
【0044】
ラベルガイド片52は、所定の剛性および弾性を有する金属材料あるいは合成樹脂材料からこれを構成するもので、移送路41の左右にその一対を設けており、支持部53と、弾性部54と、ガイド部55と、をそれぞれ有する。
【0045】
支持部53は、板状であって、その基部に取付け固定用貫通孔56を形成してあるとともに、台紙なしラベル3(ラベル連続体)を移送するためのプラテンユニット6(プラテン)の左右に移送路41に沿って、移送路41の面に垂直に起立した状態で印字器7の図1中、下方部に位置してこれを固定してある。
【0046】
弾性部54は、この支持部53に対して接近および離脱する方向に弾性変形可能であって、とくに図1に示すように、支持部53から移送路41における印字器7の下方に向かって(台紙なしラベル3の方向に)側板2から離れる方向に斜め方向にその一対を位置させている。
換言すれば、弾性部54は、移送路41において台紙なしラベル3に向かって下降動作する印字器7の軌跡内にその一部を位置させている。
かくして、印字器7が台紙なしラベル3に印字を行う際にその最下方両端部7Aがラベルガイド片52の弾性部54に当接してガイド部55を側板2方向に押しのけ可能とする。
【0047】
ガイド部55は、この弾性部54の自由端部(先端部)において台紙なしラベル3を押さえ付け可能であって、移送路41に沿って台紙なしラベル3の長さ方向に延びている。とくに図3に示すように、ガイド部55の上流側端部55Aを上方側に反って形成して台紙なしラベル3をプラテンユニット6(移送用無端ベルト22)との間の移送路41に案内しやすくするとともに、その下流側端部55Bを下方側に折り曲げるように形成して単葉のラベル片3Bを貼付けローラー8の下方部に案内可能としている。
なお、印字機7による印字動作およびその解除動作にともなって、ガイド部55は、台紙なしラベル3の幅方向においてほぼ平行移動するように弾性部54にこれを形成している。
【0048】
こうした構成の携帯式台紙なしラベル印字貼付け機50およびそのラベルガイド装置51において、とくに図1に示すように、操作レバー5およびグリップ9が解放されていて、印字動作が行われていない状態では、印字器7がラベルガイド片52の上方に位置しており、携帯式台紙なしラベル印字貼付け機50の作業者が操作レバー5およびグリップ9を握持して印字器7が移送路41(プラテンユニット6の移送用無端ベルト22)方向に下降してくると、その最下方両端部7Aが弾性部54に当接し、これを弾性変形させながら支持部53方向(台紙なしラベル3の幅方向外方の側板2側)に弾性部54が接近するように退避させる。
【0049】
この弾性部54の退避動作にともなって、図2に示すように、弾性部54に一体のガイド部55が外方に退避し、台紙なしラベル3の左右両縁部3C付近の領域を印字器7の活字39が押印可能に開放する。
この押印可能な状態においては、台紙なしラベル3の左右両縁部3Cがラベルガイド片52のガイド部55から外れてもかまわないし、必要であれば、従来より細長い領域にわたってガイド部55により押さえ付けられている状態であってもよい。
なお、ガイド部55を台紙なしラベル3の平面から上方にわずかに反らせるように形成しておくことにより、印字器7による印字動作およびその解除動作にともなってほぼ平行に往復動するガイド部55が台紙なしラベル3を押さえ付ける態勢およびその解除態勢を安定して実現するようにすることができる。
【0050】
かくして、印字器7の活字39の幅W2(図1)を従来の活字39の幅W1(図7)に比較してより大きく形成することが可能となり、図示の例では、活字39による印字をより大きく表示することができる。
【0051】
操作レバー5およびグリップ9を開放すれば、印字器7が図1に示す上方位置に復帰するので、ラベルガイド片52は弾性部54の弾性によりガイド部55も台紙なしラベル3の左右両縁部3Cを押さえ付ける元位置に復帰し、移送ローラー17および移送用無端ベルト22などにより移送される台紙なしラベル3をガイドする態勢になる。
【0052】
したがって、本発明によれば、印字可能領域をラベル連続体(台紙なしラベル3)の幅方向に拡大することができるので、必要に応じて、印字器7の活字39をより大きくしたり、その桁数を増やすことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 携帯式台紙なしラベル印字貼付け機(携帯式ラベル印字貼付け機、従来、図4)
2 側板
3 台紙なしラベル(ラベル連続体)
3A 台紙なしラベル3の移送用スリット
3B 台紙なしラベル3のラベル片
3C 台紙なしラベル3の左右両縁部(図1、図2、図7)
4 用紙ホルダー
5 操作レバー
6 プラテンユニット
7 印字器
7A 印字器7の最下方両端部(図1、図2)
8 貼付けローラー
9 グリップ
10 レバー軸
11 コイルスプリング
12 ホルダー軸
13 ホルダーカバー
14 ラベル保持軸
15 固定用フック
16 プラテンフレーム
17 移送ローラー
18 押付けエレメント
19 プラテン開閉軸
20 駆動ギア
21 従動ギア
22 移送用無端ベルト(プラテン)
22A 移送用無端ベルト22の受圧用プレート
23 ローラーギア
24 係脱ローラー
25 開閉用つまみ
26 つまみ軸
27 開閉用係脱片
27A 開閉用係脱片27の係脱用凹部
28 ローラー軸
29 連結アーム
30 移送回動用爪
31 移送用突起
32 エレメントフレーム
33 バックアップローラー
34 バックアップリング
35 板バネ
36 間隙
37 エレメント軸
38 インキローラー
39 印字器7の活字
40 ラベルガイド片
41 移送路
50 携帯式台紙なしラベル印字貼付け機50(携帯式ラベル印字貼付け機)
51 携帯式台紙なしラベル印字貼付け機50のラベルガイド装置(実施例、図1)
52 ラベルガイド片
53 ラベルガイド片52の支持部
54 ラベルガイド片52の弾性部
55 ラベルガイド片52のガイド部
55A ガイド部55の上流側端部
55B ガイド部55の下流側端部
56 固定用貫通孔
W1 印字器7の活字39の幅(従来、図7)
W2 印字器7の活字39の幅(実施例、図1、W1<W2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側板と、
この側板の間における移送路に沿ってラベル連続体の左右両縁部を上面側から押さえつつ案内するためのラベルガイド片と、
このラベルガイド片とは異なる領域において前記ラベル連続体のラベル片に印字を行う印字器と、を有するとともに、
前記ラベル連続体の前記ラベル片を被貼付け体に貼り付け可能とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置であって、
前記ラベルガイド片は、
前記移送路に沿って設けた支持部と、
この支持部に対して接近および離脱する方向に弾性変形可能な弾性部と、
この弾性部の先端部において前記ラベル連続体を押さえ付け可能なガイド部と、を有するとともに、
前記印字器が、前記ラベル連続体に印字を行う際に前記ラベルガイド片の前記弾性部に当接して、前記ガイド部を前記側板方向に押しのけ可能とすることを特徴とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項2】
前記ラベルガイド片は、前記移送路の左右にその一対を配置していることを特徴とする請求項1記載の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項3】
前記弾性部は、前記支持部から前記移送路における前記ラベル連続体の方向に向かって斜めにこれを配置していることを特徴とする請求項1または2記載の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項4】
前記弾性部は、前記移送路において前記ラベル連続体に向かう前記印字器の軌跡内にその一部を位置させていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記移送路に沿って前記ラベル連続体の長さ方向に延びていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記ラベル連続体の幅方向においてほぼ平行移動するように前記弾性部にこれを形成していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項7】
前記ガイド部が前記側板方向に押しのけられた状態で、前記印字器による前記ラベル連続体への印字を可能とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項8】
前記ラベル連続体をその上面に移送するとともに前記印字器による前記ラベル連続体への印字を行うためのプラテンを有するとともに、
前記支持部は、このプラテンの左右にこれを固定してあることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド装置。
【請求項9】
左右一対の側板と、
この側板の間における移送路に沿ってラベル連続体の左右両縁部を上面側から押さえつつ案内するためのラベルガイド片と、
このラベルガイド片の間において前記ラベル連続体のラベル片に印字を行う印字器と、を有するとともに、
前記ラベル連続体の前記ラベル片を被貼付け体に貼り付け可能とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド方法であって、
前記ラベルガイド片は、
前記移送路に沿って設けた支持部と、
この支持部に対して接近および離脱する方向に弾性変形可能な弾性部と、
この弾性部の先端部において前記ラベル連続体を押さえ付け可能なガイド部と、を有し、
このガイド部は、前記ラベル連続体の前記移送路における移送時には、前記ラベル連続体の前記左右両縁部を上面側から押さえ付け可能であるとともに、
前記印字器が前記ラベル連続体に印字を行う際に前記ラベルガイド片の前記弾性部に当接して前記ガイド部を前記側板方向に押しのけて、前記印字器による前記ラベル連続体への印字を可能とし、
前記印字器による前記ラベル連続体への印字終了の際に前記ガイド部が前記ラベル連続体を案内可能な元位置に復帰することを特徴とする携帯式ラベル印字貼付け機のラベルガイド方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−214229(P2012−214229A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79065(P2011−79065)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】