携帯式ラベル貼付け機
【課題】移送用無端ベルトの伸縮を抑制し、移送用無端ベルトによる移送距離をより正確に制御し、ラベル連続体の移送を安定的かつ継続的に可能とする。
【解決手段】携帯式ラベル貼付け機は、ラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構と、ロール体からラベル連続体を引き出して移送する移送ローラーと、操作レバーの回動に伴って移送ローラーを回転させる操作機構と、移送ローラーの回転に伴って駆動される移送ベルトを含み、移送ローラーから供給されるラベル連続体を移送する移送機構と、操作レバーの回動に伴ってラベル連続体をミシン目に沿って切断する切断機構とを含み、移送ベルトが、移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含む。
【解決手段】携帯式ラベル貼付け機は、ラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構と、ロール体からラベル連続体を引き出して移送する移送ローラーと、操作レバーの回動に伴って移送ローラーを回転させる操作機構と、移送ローラーの回転に伴って駆動される移送ベルトを含み、移送ローラーから供給されるラベル連続体を移送する移送機構と、操作レバーの回動に伴ってラベル連続体をミシン目に沿って切断する切断機構とを含み、移送ベルトが、移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、帯状のラベル連続体がロール状に巻回されたロール体からラベル連続体を引き出して個々のラベルに分離し、必要に応じてラベルに印字を行い、分離されたラベルを被貼付け体に貼り付けるために用いられる携帯式ラベル貼付け機に関し、特に、台紙（剥離紙）のないラベル連続体に適応可能な携帯式ラベル貼付け機に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の携帯式ラベル貼付け機は、台紙上に複数枚のラベルが仮着されたラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持し、ロール体からラベル連続体を繰り出して、ラベル剥離部で台紙を転向させ、個々のラベルを台紙から剥離して被貼付け体に貼り付け可能としている（特許文献１参照）。従って、ラベルの貼り付け後には、台紙は不要となって廃棄されるので、資源の無駄が生じていた。
【０００３】
そこで、特許文献２に記載されているように、台紙のないラベル連続体を使用することができる携帯式ラベル貼付け機が要請されるに至った。台紙のないラベル連続体を使用すれば、資源を無駄にすることがなく、環境に配慮した携帯式ラベル貼付け機を実現することができる。
【０００４】
台紙のないラベル連続体は、例えば、帯状のラベル基材に所定の間隔で幅方向にミシン目（マイクロミシン目）を形成することによって個々のラベルを分離可能とし、ラベル基材の裏面の左右両側縁部に粘着剤層を細帯状に設け、ラベル基材の表面の相当部分に剥離剤層（シリコーンオイル層等）を細帯状に設けたものであり、ラベル基材の表面における左右の剥離剤層の間の領域を印字領域としている。
【０００５】
そのようなラベル連続体は、移送用無端ベルトによって移送されつつ、必要に応じて印字され、あるいは単葉のラベルに分離される。この移送用無端ベルトは、特許文献２に記載されているように、粘着剤層が付着しにくいシリコーンゴムなどの材料によって構成される。
【０００６】
しかしながら、シリコーンゴムは伸縮性に富んでいるため、移送用無端ベルトによる移送距離がシリコーンゴムの伸縮によって変化し、移送距離を正確に制御できないという問題が生じている。また、移送用無端ベルトを駆動するための駆動ギアとの噛み合わせがずれてしまい、移送距離を正確に制御できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】実開昭５５−１５０７１８号公報（第２図）
【特許文献２】特開２００４−２９９７５７号公報（段落０００３、００２４）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、移送用無端ベルトの伸縮を抑制し、移送用無端ベルトによる移送距離をより正確に制御し、ラベル連続体の移送やラベルの剥離及び貼付けを安定的かつ継続的に可能とする携帯式ラベル貼付け機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
以上の課題を解決するため、本発明の１つの観点に係る携帯式ラベル貼付け機は、所定の間隔で幅方向にミシン目が形成されると共に一方の面に粘着剤層が設けられたラベル連続体を個々のラベルに分離し、分離されたラベルを被貼付け体に貼り付けるために用いられる携帯式ラベル貼付け機であって、ラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構と、保持機構に保持されたロール体からラベル連続体を引き出して移送する移送ローラーと、筐体に設けられたグリップに対して回動可能な操作レバーを含み、操作レバーの回動に伴って移送ローラーを回転させる操作機構と、移送ローラーの回転に伴って駆動される移送ベルトを含み、移送ローラーから供給されるラベル連続体を所定の方向に移送する移送機構と、操作レバーの回動に伴って移送ベルト上のラベル連続体をミシン目に沿って切断する切断機構とを具備し、移送ベルトが、移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含む。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の１つの観点によれば、移送ベルトが、移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含むことにより、移送用無端ベルトの伸縮を抑制し、移送用無端ベルトによる移送距離をより正確に制御し、ラベル連続体の移送やラベルの剥離及び貼付けを安定的かつ継続的に可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の一実施形態に係る携帯式ラベル貼付け機の一方の側板を取り除いた状態を示す側面図である。
【図２】図１に示すプラテンユニットの分解斜視図である。
【図３】図１に示す操作レバー及びプラテンユニットの要部斜視図である。
【図４】移送用無端ベルトの詳細を示すための図である。
【図５】プラテンユニットが筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。
【図６】プラテンユニットが筐体に対して開かれた状態を示す側面図である。
【図７】図１に示す操作レバー及びラベル切断機構の斜視図である。
【図８】図７に示すラベル切断機構の分解斜視図である。
【図９】図８に示すラベル切断機構の組立図である。
【図１０】操作レバーが握持されて台紙なしラベル連続体の切断が開始される状態における切断コマ及び連動機構の側面図である。
【図１１】図１０に示す切断コマ及び連動機構の切断動作を説明するための図である。
【図１２】図１０に示す切断コマ及び連動機構の復帰動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
図１は、本発明の一実施形態に係る携帯式ラベル貼付け機の一方の側板を取り除いた状態を示す側面図である。携帯式ラベル貼付け機１は、帯状のラベル連続体３がロール状に巻回されたロール体からラベル連続体３を引き出して個々のラベル３ａに分離し、必要に応じてラベル３ａに印字を行い、分離されたラベル３ａを被貼付け体（図示せず）に貼り付けるために用いられるものであり、特に、台紙（剥離紙）のない台紙なしラベル連続体に適応可能である。
【００１３】
図１に示すように、携帯式ラベル貼付け機１は、筐体を構成する左右一対の側板２と、台紙なしラベル連続体３がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構４と、操作レバー５と、プラテンユニット６と、印字器７と、ラベル切断機構８と、貼付けローラー９とを含んでいる。
【００１４】
保持機構４は、側板２に設けられたホルダー軸１３の回りに回動することにより側板２に対して開閉可能に取り付けられたホルダーカバー１４と、このホルダーカバー１４の内部に設けられたラベル保持軸１５とを含み、台紙なしラベル連続体３がロール状に巻回されたロール体をラベル保持軸１５に装填保持することが可能である。
【００１５】
左右一対の側板２には、操作者が握持可能なグリップ１０が一体的に設けられている。操作レバー５は、このグリップ１０に対して、レバー軸１１の回りに回動可能に取り付けられている。操作レバー５とグリップ１０との間には、任意の付勢部材、例えば、コイルスプリング１２が設けられており、グリップ１０に対して操作レバー５を図１に示すような解放時離反状態に付勢可能としている。
【００１６】
操作者は、コイルスプリング１２の付勢力に抗してグリップ１０と共に操作レバー５を握持及び解放することにより、プラテンユニット６、印字器７、及び、ラベル切断機構８を駆動し、その後、貼付けローラー９を用いて、台紙なしラベル連続体３から分離された単葉の台紙なしラベル３ａを被貼付け体に貼り付ける操作を行うことになる。
【００１７】
台紙なしラベル３ａは、帯状のラベル基材の裏面側全面に粘着剤層を有し、ラベル基材の表面側全面に剥離剤層を有している。粘着剤層は、任意タイプの粘着剤をラベル基材の裏面側に塗工することでできるもので、例えばゴム系やアクリル系のホットメルト粘着剤あるいはエマルジョン粘着剤などを採用可能である。剥離剤層は、剥離剤として、例えば紫外線硬化型のシリコーンを主成分とするものを採用可能である。さらに、ラベル基材の表面に剥離剤を網点印刷することにより、印字に際しては印字性能をより向上させることも可能である。
【００１８】
台紙なしラベル連続体３は、台紙なしラベル３ａの粘着剤層を内側にしてロール状に巻回されているとともに、所定ピッチで移送用スリット３ｃなどが形成されている。台紙なしラベル連続体３は、プラテンユニット６上で移送される際に、後述するラベル切断機構８により、単葉の台紙なしラベル３ａとされることができる。なお、移送用スリット３ｃに合わせて台紙なしラベル連続体３の幅方向の両端側から内方部に向かって任意の数の切り目から構成したミシン目（マイクロミシン目３ｂ）を形成し、ラベル切断機構８による切断作用を容易にすることができる。
【００１９】
プラテンユニット６は、操作レバー５の回動に伴って台紙なしラベル連続体３を貼付けローラー９の方向に移送し、先端部（図中左端）から台紙なしラベル３ａを送り出し、貼付けローラー９により台紙なしラベル３ａを被貼付け体に貼り付け可能とする。
【００２０】
図２は、図１に示すプラテンユニットの分解斜視図である。プラテンユニット６は、プラテンフレーム１８と、移送ローラー１９と、押付けエレメント２０とを含み、移送ローラー１９と押付けエレメント２０との間は互いに接離可能となっている。
【００２１】
プラテンフレーム１８は、プラテン開閉軸２１の回りに回動可能となるように筐体に取り付けられる。プラテンフレーム１８の先端側の左右には、一対の係脱ローラー２６が突出するように形成されており、開閉用つまみ４９（図１）に連結された開閉用係脱片と係脱可能になっている。開閉用つまみ４９を操作してプラテンユニット６全体を筐体に対して開閉することにより、台紙なしラベル連続体をプラテンフレーム１８と移送ローラー１９との間に挿通して装填することが可能となる。
【００２２】
移送ローラー１９は、プラテンフレーム１８に形成された開口に、ローラー軸２７の回りに回転可能に取り付けられ、台紙なしラベル連続体３の表面（剥離剤層）に当接して回転することにより、保持機構４（図１）に保持されたロール体から台紙なしラベル連続体３を引き出して移送する。
【００２３】
移送ローラー１９には、所定のピッチで二組の移送用爪３３が設けられてもよく、それらの移送用爪３３が、台紙なしラベル連続体３の移送用スリットに係脱可能となっている。二組の移送用爪３３が設けられた円周部の間には、中央円周溝３２が形成され、それらの円周部の両側には、左右一対の外側円周溝３４が形成されている。
【００２４】
図３は、図１に示す操作レバー及びプラテンユニットの要部斜視図である。操作レバー５は、その先端側に二股形状のヨーク部５ａを有し、このヨーク部５ａに印字器７（図１）が取り付けられる。また、操作レバー５においてレバー軸１１の下方に延びる連結アーム２８の連結軸２９には、移送回動用爪３０が往復動可能に取り付けられている。この移送回動用爪３０は、図中上方に付勢され、移送ローラー１９においてローラーギア２５の側面に放射状に設けられた複数の移送用突起３１の各々に係脱可能となっている。操作レバー５及び連結アーム２８〜移送用突起３１は、図１に示すグリップ１０〜コイルスプリング１２と共に、操作レバー５の回動に伴って移送ローラー１９を回転させる操作機構を構成する。
【００２５】
また、プラテンユニット６は、駆動ギア２２と、従動ギア２３と、これら駆動ギア２２及び従動ギア２３の回りに掛け回された移送用無端ベルト２４とを含んでいる。駆動ギア２２〜移送用無端ベルト２４は、移送ローラー１９から供給される台紙なしラベル連続体３を所定の方向に移送する移送機構を構成する。駆動ギア２２が移送ローラー１９のローラーギア２５に係合することにより、移送ローラー１９の回転に伴って移送用無端ベルト２４が駆動される。移送用無端ベルト２４は、台紙なしラベル連続体の裏面（粘着剤層）に当接して台紙なしラベル連続体を移送する。
【００２６】
ここで、操作者がグリップ１０（図１）と共に操作レバー５を握持することにより、操作レバー５が第１の位置（図中下側）から第２の位置（図中上側）に回動する。これにより、連結アーム２８に連結軸２９を介して連結された移送回動用爪３０が、それまで係合していた１つの移送用突起３１の図中左側に隣接するもう１つの移送用突起３１に係合するようになる。
【００２７】
また、操作レバー５の回動に伴って、ラベル切断機構８（図１）が、移送用無端ベルト２４上の台紙なしラベル連続体をマイクロミシン目に沿って切断し、台紙なしラベル連続体から単葉の台紙なしラベルを分離する。さらに、ヨーク部５ａに取り付けられた印字器７（図１）が、台紙なしラベル連続体から分離された単葉の台紙なしラベルに押印を行う。
【００２８】
一方、操作者がグリップから操作レバー５を解放することにより、操作レバー５が第２の位置から第１の位置に回動して、連結アーム２８に連結軸２９を介して連結された移送回動用爪３０が、係合している移送用突起３１を押し込む。これにより、移送ローラー１９がローラー軸２７の回りに所定の角度だけ回転して、保持機構４（図１）に保持されたロール体から台紙なしラベル連続体を引き出して移送する。また、ローラーギア２５を介して駆動ギア２２が回転するので、移送用無端ベルト２４が所定の距離だけ駆動され、移送ローラー１９から供給される台紙なしラベル連続体を所定の方向に移送する。
【００２９】
移送用無端ベルト２４の表面には、移送される台紙なしラベル連続体の裏面（粘着剤層）が接触するので、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で移送用無端ベルト２４を作製するか、又は、移送用無端ベルト２４の表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。また、移送用無端ベルト２４は、印字器７による台紙なしラベル連続体への押印動作の受け台ともなるので、プラテンフレーム１８（図２）において、印字器７に対向する移送用無端ベルト２４の内側に、受圧用プレートが配置されてもよい。
【００３０】
図４は、移送用無端ベルトの詳細を示すための図である。図４（Ａ）は、移送用無端ベルト、駆動ギア及び従動ギアを示す斜視図である。図４（Ｂ）は、図４（Ａ）における囲み線Ｂ内の拡大図である。図４（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、移送用無端ベルト２４は、表面側（外側）に複数の突起７１を有し、裏面側（内側）に複数の歯７２を有し、表面と裏面との間の内部に繊維層７３を有している。
【００３１】
複数の突起７１は、移送用無端ベルト２４の表面側（外側）に一定間隔で設けられている。複数の突起７１は、その頂部が台紙なしラベルの裏面（粘着剤層）に当接し、台紙なしラベルを貼り付けた状態で移送用無端ベルト２４が駆動されることにより、台紙なしラベルを移送できるようになっている。台紙なしラベルの粘着剤層が変質することを防止するため、複数の突起７１は、可塑剤を含まない樹脂（シリコーンゴムなど）によって構成し、あるいは、可塑剤を含まない材料によってコーティングすることが望ましい。
【００３２】
移送用無端ベルト２４が複数の突起７１を有するため、台紙なしラベル３ａの粘着剤層が移送用無端ベルト２４に接着しにくいという効果がある。また、複数の突起７１の各々が、移送用無端ベルト２４の幅方向に延びる形状を有しているため、移送用無端ベルト２４の表面側（外側）に貼り付けられた台紙なしラベル連続体３をラベル切断機構８によって切断する際に、複数の突起７１の間の凹部がガイド溝となり、切断コマ（後述）を案内するので、台紙なしラベル連続体３の切断が容易となる。
【００３３】
複数の歯７２は、駆動ギア２２の外周面に形成された複数の歯、及び、従動ギア２３の外周面に形成された複数の歯と噛み合うように、移送用無端ベルト２４の裏面側（内側）に一定間隔で設けられている。これにより、駆動ギア２２の回転に伴って移送用無端ベルト２４及び従動ギア２２が駆動されるようになっている。
【００３４】
繊維層７３は、平行に配置された複数本の糸７３ａを含んでおり、複数本の糸７３ａの各々は、移送用無端ベルト２４の移送方向に配置されている。このような繊維層７３を有することにより、移送用無端ベルト２４の伸縮が抑制される。従って、移送用無端ベルト２４による移送距離が、より正確に制御される。また、駆動ギア２２及び従動ギア２３の各外周面に形成された複数の歯との噛み合わせが、より確実になされる。
【００３５】
繊維層７３は、移送用無端ベルト２４の厚み方向における中心よりも内側に配置されていることが望ましい。これにより、移送用無端ベルト２４の表面側（外側）の突起７１に貼り付けられた台紙なしラベルを切断機構８によって切断する際に、繊維層７３が傷つけられることを防止できる。また、駆動ギア２２及び従動ギア２３の各外周面に形成された複数の歯との噛み合わせが、より確実になされる。図４（Ｂ）に示すように、繊維層７３は、移送用無端ベルト２４の裏面側（内側）の複数の歯７２の溝に露出していてもよい。
【００３６】
移送用無端ベルト２４の裏面側（内側）の複数の歯７２は、表面側（外側）の複数の突起７１と同様にシリコーンゴムを用いて構成されてもよい。また、複数の歯７２は、突起７１よりも硬い材料によって構成されてもよい。突起７１の材質をシリコーンゴムとし、歯７２の材質を表面側よりも硬い材料とすることにより、駆動ギア２２及び従動ギア２３の各外周面の歯に噛み合わせやすく、移送用無端ベルト２４を駆動しやすくなる。
【００３７】
繊維層７３の材料は特に限定されないが、剛性及び強度を高める目的から、例えばケブラー（登録商標）などのポリアミド繊維を用いてもよい。その他の繊維層として、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、綿繊維、ポリビニルアルコール繊維などを挙げることができる。
【００３８】
再び図２を参照すると、押付けエレメント２０は、エレメントフレーム３５と、上下左右二対のバックアップローラー３６と、バックアップローラー３６の内側に位置する左右一対のバックアップリング３７と、ねじりコイルバネ３８と、左右一対の板バネ３９とを含んでいる。
【００３９】
エレメントフレーム３５は、移送ローラー１９の円周部に対向する左右一対の支持フレーム４１と、支持フレーム４１から外側に跨るように突出する左右一対の拡幅フレーム４２と、支持フレーム４１に設けられてバックアップローラー３６及びバックアップリング３７を取り付けるための上下一対の回転軸４３とを含んでいる。ねじりコイルバネ３８は、押付けエレメント２０から移送ローラー１９を離反させ、それらの間に台紙なしラベル連続体３を挿通可能とする間隙を形成可能とする。
【００４０】
図５は、プラテンユニットが筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。プラテンユニット６が筐体に対して閉じられると、移送ローラー１９と押付けエレメント２０とが互いに押し付けられた状態になる。その際に、バックアップローラー３６及びバックアップリング３７（図２）が、台紙なしラベル連続体３を移送ローラー１９側に押し付ける。
【００４１】
ここで、バックアップローラー３６及びバックアップリング３７は、台紙なしラベル連続体３の裏面（粘着剤層）に線接触するので、粘着剤層との粘着力を極力小さくすることができると共に、左右一対の板バネ３９によって、所定のバネ弾性をもった押付けが可能である。なお、バックアップローラー３６及びバックアップリング３７は、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で作製するか、又は、表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。
【００４２】
バックアップローラー３６が回転軸４３の回りに回転すると共に、バックアップリング３７が移送ローラー１９に形成された外側円周溝３４に沿って回転することにより、移送ローラー１９と押付けエレメント２０との間に台紙なしラベル連続体が挟持される。また、移送ローラー１９の移送用爪３３が台紙なしラベル連続体の表面側から移送用スリットに係合し、移送ローラー１９の回転によって台紙なしラベル連続体が移送用無端ベルト２４上に送り出される。
【００４３】
図６は、プラテンユニットが筐体に対して開かれた状態を示す側面図である。プラテンユニット６が筐体に対して開かれると、移送ローラー１９が押付けエレメント２０から離間して、それらの間に間隙４０が形成される。
【００４４】
支持フレーム４１に固定された拡幅フレーム４２は、プラテンフレーム１８の外壁面に設けられたエレメント軸４７の回りに回動可能に取り付けられており、プラテンフレーム１８を押付けエレメント２０に対して相対的に回動可能としている。
【００４５】
ねじりコイルバネ３８は、一方の支持フレーム４１の外壁面に設けられたバネ取付け軸４４に回転可能に支持されており、プラテンフレーム１８の内壁面に設けられた第１のバネ受け４５と、上記一方の支持フレーム４１に設けられた第２のバネ受け４６とに両端が当接することにより、プラテンフレーム１８を押付けエレメント２０に対して解放状態（図６）となる方向に付勢する。
【００４６】
板バネ３９は、移送ローラー１９とは反対側の支持フレーム４１の背面に取り付けられており、操作レバーのレバー軸１１（図３）の部分に当接することにより、ねじりコイルバネ３８と協動して、プラテンフレーム１８を筐体に対して解放状態（図６）となる方向に付勢する。
【００４７】
図７は、図１に示す操作レバー及びラベル切断機構の斜視図である。図８は、図７に示すラベル切断機構の分解斜視図である。図９は、図８に示すラベル切断機構の組立図である。図８に示すように、ラベル切断機構８は、切断コマ５１と、連動機構５２とを含んでいる。
【００４８】
切断コマ５１は、移送用無端ベルト２４上で移送されて来た台紙なしラベル連続体の幅方向に、マイクロミシン目及び／又は移送用スリットに沿って往復運動することにより、台紙なしラベル連続体を切断して単葉の台紙なしラベルに分離する。切断コマ５１の材料としては、所定の剛性及び非粘着性を有することが望ましく、例えば、ポリアセタール（ＰＯＭ）等の樹脂や、必要に応じてシリコーンやフッ素系のコーティング剤（剥離剤）等が塗布されたポリカーボネート（ＰＣ）やアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン（ＡＢＳ）等の樹脂を採用してもよい。
【００４９】
図７〜図９に示すように、連動機構５２は、側板２（図１）に固定された縦レール部材（第１のレール部材）５３と、連結プレート５４と、リンクバー５５と、バースターブラケット５６と、横レール部材（第２のレール部材）５７とを含んでいる。
【００５０】
縦レール部材５３は、一方の側板２の内壁面に固定されており、その中央部に縦ガイド溝５８が形成され、この縦ガイド溝５８内に連結プレート５４が上下往復動可能に組み付けられている。連結プレート５４は、図７に示す操作レバー５の一方のヨーク部５ａに形成されたヨーク連結孔５９に嵌め込まれる連結ピン６０を有しており、操作レバー５に連動して縦レール部材５３に沿って往復動する。また、連結プレート５４には、リンク連結孔６１が形成されており、このリンク連結孔６１にリンクバー５５の連結ピン６２が嵌め込まれて、操作レバー５（ヨーク部５ａ）からの駆動力がリンクバー５５に伝達される。
【００５１】
リンクバー５５は、連結ピン６２とは反対側の端部に、左右一対のブラケット連結ピン６３が設けられている。リンクバー５５は、連結プレート５４とバースターブラケット５６との間に連結されて、縦レール部材５３及び横レール部材５７に対して傾斜した姿勢の状態で、連結プレート５４の往復動に応じてバースターブラケット５６を往復動させる。
【００５２】
バースターブラケット５６は、ブラケット本体６４と、左右一対の支点ピン６５と、左右一対の姿勢規制ピン６６と、左右一対の弾性突起６７とを含み、移送用無端ベルト２４（図２）の幅方向に沿って往復動可能である。バースターブラケット５６には、切断コマ５１が回転自在に取り付けられている。
【００５３】
図８に示すブラケット本体６４には、バー連結孔６８が形成されており、このバー連結孔６８にリンクバー５５のブラケット連結ピン６３が嵌め込まれて、ブラケット本体６４にリンクバー５５が連結される。従って、リンクバー５５を縦レール部材５３及び横レール部材５７に対して傾斜した状態で移動させることにより、バースターブラケット５６と共に切断コマ５１を台紙なしラベル連続体の幅方向に往復運動させることができる。
【００５４】
横レール部材５７は、移送用無端ベルト２４（図２）の上部に位置するように、移送用無端ベルト２４の幅方向に沿って、縦レール部材５３に対して直角に配置される。横レール部材５７には、バースターブラケット５６の支点ピン６５及び姿勢規制ピン６６が案内されるガイド窓６９が、その左右側の壁面に形成されている。
【００５５】
ガイド窓６９は、バースターブラケット５６を台紙なしラベル連続体の幅方向にガイドすると共に、その動作範囲を規制する。支点ピン６５及び姿勢規制ピン６６は、横レール部材５７に形成されたガイド窓６９に沿って移動可能である。姿勢規制ピン６６は、ガイド窓６９の上方内壁面６９ａ又は下方内壁面６９ｂに接離して、バースターブラケット５６の姿勢、即ち、切断コマ５１の台紙なしラベル連続体に対する接離態勢（押付け及び離反）を規制する。また、図９に示すように、横レール部材５７の底面部には、移送用無端ベルト２４（図２）の幅方向に沿って姿勢制御窓７０が形成されている。
【００５６】
図１０は、操作レバーが握持されて台紙なしラベル連続体の切断が開始される状態における切断コマ及び連動機構の側面図である。図１１は、図１０に示す切断コマ及び連動機構の切断動作を説明するための図であり、図１１（Ａ）は、切断コマ及び連動機構の要部側面図、図１１（Ｂ）は、切断コマ及び移送用無端ベルトの拡大正面図である。図１２は、図１０に示す切断コマ及び連動機構の復帰動作を説明するための図であり、図１２（Ａ）は、切断コマ及び連動機構の要部側面図、図１２（Ｂ）は、切断コマ及び移送用無端ベルトの拡大正面図である。
【００５７】
図１に示すグリップ１０と共に操作レバー５を握持することにより、ラベル切断機構８による台紙なしラベル連続体３の切断が行われる。操作レバー５を解放した状態では、コイルスプリング１２がヨーク部５ａを引き上げる力によって、連動機構５２において、連結プレート５４が縦レール部材５３の縦ガイド溝５８内で最上位に位置している。従って、図１２に示すように、連結プレート５４にリンクバー５５を介して連結されたバースターブラケット５６が、支点ピン６５の回りに反時計方向に僅かに回動し、姿勢規制ピン６６が横レール部材５７のガイド窓６９の上方内壁面６９ａに当接して、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の表面から僅かに上方に離反している状態にある。
【００５８】
グリップ１０と共に操作レバー５が握持されると、図１０に示すように、ヨーク部５ａからの駆動力（矢印Ａ１）が連結プレート５４からリンクバー５５に伝達される。これにより、姿勢規制ピン６６が支点ピン６５の回りに時計方向に僅かに回動して（矢印Ａ２）、下方内壁面６９ｂに当接する。従って、切断コマ５１が、移送用無端ベルト上の台紙なしラベル連続体３より下方に入り込むことができるレベル位置に下がる。
【００５９】
このとき、図１０に示すように、切断コマ５１は、台紙なしラベル連続体３の図中左端縁部よりも僅かに左方に位置している。操作レバー５のさらなる握持により、切断コマ５１がこの状態から右方に移動するので、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の側面部に切り込んで行くことになる。
【００６０】
操作レバー５がさらに握持されると、操作レバー５からの駆動力の伝達によって連結プレート５４がさらに下降し、リンクバー５５を介してバースターブラケット５６に駆動力が伝達する。これにより、図１１に示すように、バースターブラケット５６が横レール部材５７のガイド窓６９の右端に向けて移動し、切断コマ５１が、移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａに沿って移動する。
【００６１】
切断コマの円周先端部５１ａは、台紙なしラベル連続体３の端縁部分に所定の押圧力を印加しながら移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａ内に入り込み、台紙なしラベル連続体３の端縁部分に延在しているマイクロミシン目の端から順々に台紙なしラベル連続体３を破断させて行く。その結果、台紙なしラベル連続体３を比較的小さな力で切断して、台紙なしラベル連続体３を単葉の台紙なしラベルに分離することができる。
【００６２】
移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａは、切断コマ５１の円周先端部５１ａの形状に合わせて比較的細く形成されているので、円周先端部５１ａと台紙なしラベル連続体３のマイクロミシン目との相対的位置が多少ずれたとしても、台紙なしラベル連続体３のマイクロミシン目又はその近傍が横断凹部２４ａ内に入り込むことができる。従って、上述のような切断動作を的確に行うことができる。
【００６３】
操作レバー５を完全に握りきった状態で、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の切断を完了し、操作レバー５の解放に伴って、コイルスプリング１２（図１）が連結プレート５４に作用する引き上げ力により、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３から離反し始める。
【００６４】
操作レバー５が解放されると、リンクバー５５が連結プレート５４によって引き上げられて行く。これにより、図１２に示すように、バースターブラケット５６が支点ピン６５の回りに反時計方向に回動し、姿勢規制ピン６６がガイド窓６９の上方内壁面６９ａに当接して、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の表面から浮き上がった状態となる。操作レバー５の解放に伴い、連結プレート５４及びリンクバー５５が上方に復帰し、バースターブラケット５６が元の位置に復帰する。
【００６５】
操作レバー５が解放される過程において、移送ローラー１９によって台紙なしラベル連続体３が所定の角度だけ移送されると共に、移送用無端ベルト２４によって台紙なしラベル連続体３が所定の距離だけ移送される。従って、台紙なしラベル連続体３の移動中においては、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３と接触又は干渉せず、台紙なしラベル連続体３の移送に支障がないようにしている。
【００６６】
ただし、操作レバー５の握持及び解放による台紙なしラベル連続体３の切断動作及び移送動作の僅かなタイミング差によって、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３又は移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａに係合している状態のままで台紙なしラベル連続体３が移送されたとしても、切断コマの円周先端部５１ａのテーパー形状と、移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａのテーパー形状とは、ほぼ同一の傾斜面となるように形成されているので（図１２（Ｂ）を参照）、台紙なしラベル連続体３の移送を停止させてしまうことなく、切断コマ５１が移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａから上方へ離反することができる。
【００６７】
再び図１を参照すると、印字器７は、操作レバー５における二股形状のヨーク部５ａの先端部側に取り付けられており、操作者がグリップ１０と共に操作レバー５を握持すると、印字器７も回動する。それにより、インキローラー４８によって印字器７の活字部７ａにインキが塗布され、移送用無端ベルト２４の上面に付着して移送されて来る台紙なしラベル３ａに活字部７ａが当接することにより、台紙なしラベル３ａに所定の情報が印字される。ここで、印字器７及びインキローラー４８は、移送用無端ベルト２４上のラベルに印字を行う印字機構を構成している。
【００６８】
貼付けローラー９は、携帯式ラベル貼付け機１の筐体の先端下方部（図１における左端下方部）に位置すると共に、その円周の一部が筐体の外部に露出しており、移送用無端ベルト２４によってプラテンユニット６の先端部分に搬送されて来た台紙なしラベル３ａに当接する。操作者が、貼付けローラー９上の台紙なしラベル３ａを被貼付け体に押し付ける貼付け操作を行うことにより、台紙なしラベル３ａが貼付けローラー９によって被貼付け体に圧着されて貼り付けられる。
【００６９】
以上の実施形態においては、台紙のないラベル連続体を使用する場合について説明したが、本発明は、台紙付きの一般的なラベル連続体を使用する携帯式ラベル貼付け機にも適用することができる。
【符号の説明】
【００７０】
１…携帯式ラベル貼付け機、２…側板、３…台紙なしラベル連続体、３ａ…台紙なしラベル、３ｂ…マイクロミシン目、３ｃ…移送用スリット、４…保持機構、５…操作レバー、５ａ…ヨーク部、６…プラテンユニット、７…印字器、７ａ…活字部、８…ラベル切断機構、９…貼付けローラー、１０…グリップ、１１…レバー軸、１２…コイルスプリング、１３…ホルダー軸、１４…ホルダーカバー、１５…ラベル保持軸、１８…プラテンフレーム、１９…移送ローラー、１９ａ…基準面、２０…押付けエレメント、２１…プラテン開閉軸、２２…駆動ギア、２３…従動ギア、２４…移送用無端ベルト、２４ａ…横断凹部、２５…ローラーギア、２６…係脱ローラー、２７…ローラー軸、２８…連結アーム、２９…連結軸、３０…移送回動用爪、３１…移送用突起、３２…中央円周溝、３３…移送用爪、３４…外側円周溝、３５…エレメントフレーム、３６…バックアップローラー、３７…バックアップリング、３８…ねじりコイルバネ、３９…板バネ、４０…間隙、４１…支持フレーム、４２…拡幅フレーム、４３…回転軸、４４…バネ取付け軸、４５…第１のバネ受け、４６…第２のバネ受け、４７…エレメント軸、４８…インキローラー、４９…開閉用つまみ、５１…切断コマ、５１ａ…円周先端部、５２…連動機構、５３…縦レール部材、５４…連結プレート、５５…リンクバー、５６…バースターブラケット、５７…横レール部材、５８…縦ガイド溝、５９…ヨーク連結孔、６０…連結ピン、６１…リンク連結孔、６２…連結ピン、６３…ブラケット連結ピン、６４…ブラケット本体、６５…支点ピン、６６…姿勢規制ピン、６７…弾性突起、６８…バー連結孔、６９…ガイド窓、６９ａ…上方内壁面、６９ｂ…下方内壁面、７０…姿勢制御窓、７１…突起、７２…歯、７３…繊維層、７３ａ…糸
【技術分野】
【０００１】
本発明は、帯状のラベル連続体がロール状に巻回されたロール体からラベル連続体を引き出して個々のラベルに分離し、必要に応じてラベルに印字を行い、分離されたラベルを被貼付け体に貼り付けるために用いられる携帯式ラベル貼付け機に関し、特に、台紙（剥離紙）のないラベル連続体に適応可能な携帯式ラベル貼付け機に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の携帯式ラベル貼付け機は、台紙上に複数枚のラベルが仮着されたラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持し、ロール体からラベル連続体を繰り出して、ラベル剥離部で台紙を転向させ、個々のラベルを台紙から剥離して被貼付け体に貼り付け可能としている（特許文献１参照）。従って、ラベルの貼り付け後には、台紙は不要となって廃棄されるので、資源の無駄が生じていた。
【０００３】
そこで、特許文献２に記載されているように、台紙のないラベル連続体を使用することができる携帯式ラベル貼付け機が要請されるに至った。台紙のないラベル連続体を使用すれば、資源を無駄にすることがなく、環境に配慮した携帯式ラベル貼付け機を実現することができる。
【０００４】
台紙のないラベル連続体は、例えば、帯状のラベル基材に所定の間隔で幅方向にミシン目（マイクロミシン目）を形成することによって個々のラベルを分離可能とし、ラベル基材の裏面の左右両側縁部に粘着剤層を細帯状に設け、ラベル基材の表面の相当部分に剥離剤層（シリコーンオイル層等）を細帯状に設けたものであり、ラベル基材の表面における左右の剥離剤層の間の領域を印字領域としている。
【０００５】
そのようなラベル連続体は、移送用無端ベルトによって移送されつつ、必要に応じて印字され、あるいは単葉のラベルに分離される。この移送用無端ベルトは、特許文献２に記載されているように、粘着剤層が付着しにくいシリコーンゴムなどの材料によって構成される。
【０００６】
しかしながら、シリコーンゴムは伸縮性に富んでいるため、移送用無端ベルトによる移送距離がシリコーンゴムの伸縮によって変化し、移送距離を正確に制御できないという問題が生じている。また、移送用無端ベルトを駆動するための駆動ギアとの噛み合わせがずれてしまい、移送距離を正確に制御できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】実開昭５５−１５０７１８号公報（第２図）
【特許文献２】特開２００４−２９９７５７号公報（段落０００３、００２４）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、移送用無端ベルトの伸縮を抑制し、移送用無端ベルトによる移送距離をより正確に制御し、ラベル連続体の移送やラベルの剥離及び貼付けを安定的かつ継続的に可能とする携帯式ラベル貼付け機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
以上の課題を解決するため、本発明の１つの観点に係る携帯式ラベル貼付け機は、所定の間隔で幅方向にミシン目が形成されると共に一方の面に粘着剤層が設けられたラベル連続体を個々のラベルに分離し、分離されたラベルを被貼付け体に貼り付けるために用いられる携帯式ラベル貼付け機であって、ラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構と、保持機構に保持されたロール体からラベル連続体を引き出して移送する移送ローラーと、筐体に設けられたグリップに対して回動可能な操作レバーを含み、操作レバーの回動に伴って移送ローラーを回転させる操作機構と、移送ローラーの回転に伴って駆動される移送ベルトを含み、移送ローラーから供給されるラベル連続体を所定の方向に移送する移送機構と、操作レバーの回動に伴って移送ベルト上のラベル連続体をミシン目に沿って切断する切断機構とを具備し、移送ベルトが、移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含む。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の１つの観点によれば、移送ベルトが、移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含むことにより、移送用無端ベルトの伸縮を抑制し、移送用無端ベルトによる移送距離をより正確に制御し、ラベル連続体の移送やラベルの剥離及び貼付けを安定的かつ継続的に可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の一実施形態に係る携帯式ラベル貼付け機の一方の側板を取り除いた状態を示す側面図である。
【図２】図１に示すプラテンユニットの分解斜視図である。
【図３】図１に示す操作レバー及びプラテンユニットの要部斜視図である。
【図４】移送用無端ベルトの詳細を示すための図である。
【図５】プラテンユニットが筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。
【図６】プラテンユニットが筐体に対して開かれた状態を示す側面図である。
【図７】図１に示す操作レバー及びラベル切断機構の斜視図である。
【図８】図７に示すラベル切断機構の分解斜視図である。
【図９】図８に示すラベル切断機構の組立図である。
【図１０】操作レバーが握持されて台紙なしラベル連続体の切断が開始される状態における切断コマ及び連動機構の側面図である。
【図１１】図１０に示す切断コマ及び連動機構の切断動作を説明するための図である。
【図１２】図１０に示す切断コマ及び連動機構の復帰動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
図１は、本発明の一実施形態に係る携帯式ラベル貼付け機の一方の側板を取り除いた状態を示す側面図である。携帯式ラベル貼付け機１は、帯状のラベル連続体３がロール状に巻回されたロール体からラベル連続体３を引き出して個々のラベル３ａに分離し、必要に応じてラベル３ａに印字を行い、分離されたラベル３ａを被貼付け体（図示せず）に貼り付けるために用いられるものであり、特に、台紙（剥離紙）のない台紙なしラベル連続体に適応可能である。
【００１３】
図１に示すように、携帯式ラベル貼付け機１は、筐体を構成する左右一対の側板２と、台紙なしラベル連続体３がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構４と、操作レバー５と、プラテンユニット６と、印字器７と、ラベル切断機構８と、貼付けローラー９とを含んでいる。
【００１４】
保持機構４は、側板２に設けられたホルダー軸１３の回りに回動することにより側板２に対して開閉可能に取り付けられたホルダーカバー１４と、このホルダーカバー１４の内部に設けられたラベル保持軸１５とを含み、台紙なしラベル連続体３がロール状に巻回されたロール体をラベル保持軸１５に装填保持することが可能である。
【００１５】
左右一対の側板２には、操作者が握持可能なグリップ１０が一体的に設けられている。操作レバー５は、このグリップ１０に対して、レバー軸１１の回りに回動可能に取り付けられている。操作レバー５とグリップ１０との間には、任意の付勢部材、例えば、コイルスプリング１２が設けられており、グリップ１０に対して操作レバー５を図１に示すような解放時離反状態に付勢可能としている。
【００１６】
操作者は、コイルスプリング１２の付勢力に抗してグリップ１０と共に操作レバー５を握持及び解放することにより、プラテンユニット６、印字器７、及び、ラベル切断機構８を駆動し、その後、貼付けローラー９を用いて、台紙なしラベル連続体３から分離された単葉の台紙なしラベル３ａを被貼付け体に貼り付ける操作を行うことになる。
【００１７】
台紙なしラベル３ａは、帯状のラベル基材の裏面側全面に粘着剤層を有し、ラベル基材の表面側全面に剥離剤層を有している。粘着剤層は、任意タイプの粘着剤をラベル基材の裏面側に塗工することでできるもので、例えばゴム系やアクリル系のホットメルト粘着剤あるいはエマルジョン粘着剤などを採用可能である。剥離剤層は、剥離剤として、例えば紫外線硬化型のシリコーンを主成分とするものを採用可能である。さらに、ラベル基材の表面に剥離剤を網点印刷することにより、印字に際しては印字性能をより向上させることも可能である。
【００１８】
台紙なしラベル連続体３は、台紙なしラベル３ａの粘着剤層を内側にしてロール状に巻回されているとともに、所定ピッチで移送用スリット３ｃなどが形成されている。台紙なしラベル連続体３は、プラテンユニット６上で移送される際に、後述するラベル切断機構８により、単葉の台紙なしラベル３ａとされることができる。なお、移送用スリット３ｃに合わせて台紙なしラベル連続体３の幅方向の両端側から内方部に向かって任意の数の切り目から構成したミシン目（マイクロミシン目３ｂ）を形成し、ラベル切断機構８による切断作用を容易にすることができる。
【００１９】
プラテンユニット６は、操作レバー５の回動に伴って台紙なしラベル連続体３を貼付けローラー９の方向に移送し、先端部（図中左端）から台紙なしラベル３ａを送り出し、貼付けローラー９により台紙なしラベル３ａを被貼付け体に貼り付け可能とする。
【００２０】
図２は、図１に示すプラテンユニットの分解斜視図である。プラテンユニット６は、プラテンフレーム１８と、移送ローラー１９と、押付けエレメント２０とを含み、移送ローラー１９と押付けエレメント２０との間は互いに接離可能となっている。
【００２１】
プラテンフレーム１８は、プラテン開閉軸２１の回りに回動可能となるように筐体に取り付けられる。プラテンフレーム１８の先端側の左右には、一対の係脱ローラー２６が突出するように形成されており、開閉用つまみ４９（図１）に連結された開閉用係脱片と係脱可能になっている。開閉用つまみ４９を操作してプラテンユニット６全体を筐体に対して開閉することにより、台紙なしラベル連続体をプラテンフレーム１８と移送ローラー１９との間に挿通して装填することが可能となる。
【００２２】
移送ローラー１９は、プラテンフレーム１８に形成された開口に、ローラー軸２７の回りに回転可能に取り付けられ、台紙なしラベル連続体３の表面（剥離剤層）に当接して回転することにより、保持機構４（図１）に保持されたロール体から台紙なしラベル連続体３を引き出して移送する。
【００２３】
移送ローラー１９には、所定のピッチで二組の移送用爪３３が設けられてもよく、それらの移送用爪３３が、台紙なしラベル連続体３の移送用スリットに係脱可能となっている。二組の移送用爪３３が設けられた円周部の間には、中央円周溝３２が形成され、それらの円周部の両側には、左右一対の外側円周溝３４が形成されている。
【００２４】
図３は、図１に示す操作レバー及びプラテンユニットの要部斜視図である。操作レバー５は、その先端側に二股形状のヨーク部５ａを有し、このヨーク部５ａに印字器７（図１）が取り付けられる。また、操作レバー５においてレバー軸１１の下方に延びる連結アーム２８の連結軸２９には、移送回動用爪３０が往復動可能に取り付けられている。この移送回動用爪３０は、図中上方に付勢され、移送ローラー１９においてローラーギア２５の側面に放射状に設けられた複数の移送用突起３１の各々に係脱可能となっている。操作レバー５及び連結アーム２８〜移送用突起３１は、図１に示すグリップ１０〜コイルスプリング１２と共に、操作レバー５の回動に伴って移送ローラー１９を回転させる操作機構を構成する。
【００２５】
また、プラテンユニット６は、駆動ギア２２と、従動ギア２３と、これら駆動ギア２２及び従動ギア２３の回りに掛け回された移送用無端ベルト２４とを含んでいる。駆動ギア２２〜移送用無端ベルト２４は、移送ローラー１９から供給される台紙なしラベル連続体３を所定の方向に移送する移送機構を構成する。駆動ギア２２が移送ローラー１９のローラーギア２５に係合することにより、移送ローラー１９の回転に伴って移送用無端ベルト２４が駆動される。移送用無端ベルト２４は、台紙なしラベル連続体の裏面（粘着剤層）に当接して台紙なしラベル連続体を移送する。
【００２６】
ここで、操作者がグリップ１０（図１）と共に操作レバー５を握持することにより、操作レバー５が第１の位置（図中下側）から第２の位置（図中上側）に回動する。これにより、連結アーム２８に連結軸２９を介して連結された移送回動用爪３０が、それまで係合していた１つの移送用突起３１の図中左側に隣接するもう１つの移送用突起３１に係合するようになる。
【００２７】
また、操作レバー５の回動に伴って、ラベル切断機構８（図１）が、移送用無端ベルト２４上の台紙なしラベル連続体をマイクロミシン目に沿って切断し、台紙なしラベル連続体から単葉の台紙なしラベルを分離する。さらに、ヨーク部５ａに取り付けられた印字器７（図１）が、台紙なしラベル連続体から分離された単葉の台紙なしラベルに押印を行う。
【００２８】
一方、操作者がグリップから操作レバー５を解放することにより、操作レバー５が第２の位置から第１の位置に回動して、連結アーム２８に連結軸２９を介して連結された移送回動用爪３０が、係合している移送用突起３１を押し込む。これにより、移送ローラー１９がローラー軸２７の回りに所定の角度だけ回転して、保持機構４（図１）に保持されたロール体から台紙なしラベル連続体を引き出して移送する。また、ローラーギア２５を介して駆動ギア２２が回転するので、移送用無端ベルト２４が所定の距離だけ駆動され、移送ローラー１９から供給される台紙なしラベル連続体を所定の方向に移送する。
【００２９】
移送用無端ベルト２４の表面には、移送される台紙なしラベル連続体の裏面（粘着剤層）が接触するので、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で移送用無端ベルト２４を作製するか、又は、移送用無端ベルト２４の表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。また、移送用無端ベルト２４は、印字器７による台紙なしラベル連続体への押印動作の受け台ともなるので、プラテンフレーム１８（図２）において、印字器７に対向する移送用無端ベルト２４の内側に、受圧用プレートが配置されてもよい。
【００３０】
図４は、移送用無端ベルトの詳細を示すための図である。図４（Ａ）は、移送用無端ベルト、駆動ギア及び従動ギアを示す斜視図である。図４（Ｂ）は、図４（Ａ）における囲み線Ｂ内の拡大図である。図４（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、移送用無端ベルト２４は、表面側（外側）に複数の突起７１を有し、裏面側（内側）に複数の歯７２を有し、表面と裏面との間の内部に繊維層７３を有している。
【００３１】
複数の突起７１は、移送用無端ベルト２４の表面側（外側）に一定間隔で設けられている。複数の突起７１は、その頂部が台紙なしラベルの裏面（粘着剤層）に当接し、台紙なしラベルを貼り付けた状態で移送用無端ベルト２４が駆動されることにより、台紙なしラベルを移送できるようになっている。台紙なしラベルの粘着剤層が変質することを防止するため、複数の突起７１は、可塑剤を含まない樹脂（シリコーンゴムなど）によって構成し、あるいは、可塑剤を含まない材料によってコーティングすることが望ましい。
【００３２】
移送用無端ベルト２４が複数の突起７１を有するため、台紙なしラベル３ａの粘着剤層が移送用無端ベルト２４に接着しにくいという効果がある。また、複数の突起７１の各々が、移送用無端ベルト２４の幅方向に延びる形状を有しているため、移送用無端ベルト２４の表面側（外側）に貼り付けられた台紙なしラベル連続体３をラベル切断機構８によって切断する際に、複数の突起７１の間の凹部がガイド溝となり、切断コマ（後述）を案内するので、台紙なしラベル連続体３の切断が容易となる。
【００３３】
複数の歯７２は、駆動ギア２２の外周面に形成された複数の歯、及び、従動ギア２３の外周面に形成された複数の歯と噛み合うように、移送用無端ベルト２４の裏面側（内側）に一定間隔で設けられている。これにより、駆動ギア２２の回転に伴って移送用無端ベルト２４及び従動ギア２２が駆動されるようになっている。
【００３４】
繊維層７３は、平行に配置された複数本の糸７３ａを含んでおり、複数本の糸７３ａの各々は、移送用無端ベルト２４の移送方向に配置されている。このような繊維層７３を有することにより、移送用無端ベルト２４の伸縮が抑制される。従って、移送用無端ベルト２４による移送距離が、より正確に制御される。また、駆動ギア２２及び従動ギア２３の各外周面に形成された複数の歯との噛み合わせが、より確実になされる。
【００３５】
繊維層７３は、移送用無端ベルト２４の厚み方向における中心よりも内側に配置されていることが望ましい。これにより、移送用無端ベルト２４の表面側（外側）の突起７１に貼り付けられた台紙なしラベルを切断機構８によって切断する際に、繊維層７３が傷つけられることを防止できる。また、駆動ギア２２及び従動ギア２３の各外周面に形成された複数の歯との噛み合わせが、より確実になされる。図４（Ｂ）に示すように、繊維層７３は、移送用無端ベルト２４の裏面側（内側）の複数の歯７２の溝に露出していてもよい。
【００３６】
移送用無端ベルト２４の裏面側（内側）の複数の歯７２は、表面側（外側）の複数の突起７１と同様にシリコーンゴムを用いて構成されてもよい。また、複数の歯７２は、突起７１よりも硬い材料によって構成されてもよい。突起７１の材質をシリコーンゴムとし、歯７２の材質を表面側よりも硬い材料とすることにより、駆動ギア２２及び従動ギア２３の各外周面の歯に噛み合わせやすく、移送用無端ベルト２４を駆動しやすくなる。
【００３７】
繊維層７３の材料は特に限定されないが、剛性及び強度を高める目的から、例えばケブラー（登録商標）などのポリアミド繊維を用いてもよい。その他の繊維層として、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、綿繊維、ポリビニルアルコール繊維などを挙げることができる。
【００３８】
再び図２を参照すると、押付けエレメント２０は、エレメントフレーム３５と、上下左右二対のバックアップローラー３６と、バックアップローラー３６の内側に位置する左右一対のバックアップリング３７と、ねじりコイルバネ３８と、左右一対の板バネ３９とを含んでいる。
【００３９】
エレメントフレーム３５は、移送ローラー１９の円周部に対向する左右一対の支持フレーム４１と、支持フレーム４１から外側に跨るように突出する左右一対の拡幅フレーム４２と、支持フレーム４１に設けられてバックアップローラー３６及びバックアップリング３７を取り付けるための上下一対の回転軸４３とを含んでいる。ねじりコイルバネ３８は、押付けエレメント２０から移送ローラー１９を離反させ、それらの間に台紙なしラベル連続体３を挿通可能とする間隙を形成可能とする。
【００４０】
図５は、プラテンユニットが筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。プラテンユニット６が筐体に対して閉じられると、移送ローラー１９と押付けエレメント２０とが互いに押し付けられた状態になる。その際に、バックアップローラー３６及びバックアップリング３７（図２）が、台紙なしラベル連続体３を移送ローラー１９側に押し付ける。
【００４１】
ここで、バックアップローラー３６及びバックアップリング３７は、台紙なしラベル連続体３の裏面（粘着剤層）に線接触するので、粘着剤層との粘着力を極力小さくすることができると共に、左右一対の板バネ３９によって、所定のバネ弾性をもった押付けが可能である。なお、バックアップローラー３６及びバックアップリング３７は、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で作製するか、又は、表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。
【００４２】
バックアップローラー３６が回転軸４３の回りに回転すると共に、バックアップリング３７が移送ローラー１９に形成された外側円周溝３４に沿って回転することにより、移送ローラー１９と押付けエレメント２０との間に台紙なしラベル連続体が挟持される。また、移送ローラー１９の移送用爪３３が台紙なしラベル連続体の表面側から移送用スリットに係合し、移送ローラー１９の回転によって台紙なしラベル連続体が移送用無端ベルト２４上に送り出される。
【００４３】
図６は、プラテンユニットが筐体に対して開かれた状態を示す側面図である。プラテンユニット６が筐体に対して開かれると、移送ローラー１９が押付けエレメント２０から離間して、それらの間に間隙４０が形成される。
【００４４】
支持フレーム４１に固定された拡幅フレーム４２は、プラテンフレーム１８の外壁面に設けられたエレメント軸４７の回りに回動可能に取り付けられており、プラテンフレーム１８を押付けエレメント２０に対して相対的に回動可能としている。
【００４５】
ねじりコイルバネ３８は、一方の支持フレーム４１の外壁面に設けられたバネ取付け軸４４に回転可能に支持されており、プラテンフレーム１８の内壁面に設けられた第１のバネ受け４５と、上記一方の支持フレーム４１に設けられた第２のバネ受け４６とに両端が当接することにより、プラテンフレーム１８を押付けエレメント２０に対して解放状態（図６）となる方向に付勢する。
【００４６】
板バネ３９は、移送ローラー１９とは反対側の支持フレーム４１の背面に取り付けられており、操作レバーのレバー軸１１（図３）の部分に当接することにより、ねじりコイルバネ３８と協動して、プラテンフレーム１８を筐体に対して解放状態（図６）となる方向に付勢する。
【００４７】
図７は、図１に示す操作レバー及びラベル切断機構の斜視図である。図８は、図７に示すラベル切断機構の分解斜視図である。図９は、図８に示すラベル切断機構の組立図である。図８に示すように、ラベル切断機構８は、切断コマ５１と、連動機構５２とを含んでいる。
【００４８】
切断コマ５１は、移送用無端ベルト２４上で移送されて来た台紙なしラベル連続体の幅方向に、マイクロミシン目及び／又は移送用スリットに沿って往復運動することにより、台紙なしラベル連続体を切断して単葉の台紙なしラベルに分離する。切断コマ５１の材料としては、所定の剛性及び非粘着性を有することが望ましく、例えば、ポリアセタール（ＰＯＭ）等の樹脂や、必要に応じてシリコーンやフッ素系のコーティング剤（剥離剤）等が塗布されたポリカーボネート（ＰＣ）やアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン（ＡＢＳ）等の樹脂を採用してもよい。
【００４９】
図７〜図９に示すように、連動機構５２は、側板２（図１）に固定された縦レール部材（第１のレール部材）５３と、連結プレート５４と、リンクバー５５と、バースターブラケット５６と、横レール部材（第２のレール部材）５７とを含んでいる。
【００５０】
縦レール部材５３は、一方の側板２の内壁面に固定されており、その中央部に縦ガイド溝５８が形成され、この縦ガイド溝５８内に連結プレート５４が上下往復動可能に組み付けられている。連結プレート５４は、図７に示す操作レバー５の一方のヨーク部５ａに形成されたヨーク連結孔５９に嵌め込まれる連結ピン６０を有しており、操作レバー５に連動して縦レール部材５３に沿って往復動する。また、連結プレート５４には、リンク連結孔６１が形成されており、このリンク連結孔６１にリンクバー５５の連結ピン６２が嵌め込まれて、操作レバー５（ヨーク部５ａ）からの駆動力がリンクバー５５に伝達される。
【００５１】
リンクバー５５は、連結ピン６２とは反対側の端部に、左右一対のブラケット連結ピン６３が設けられている。リンクバー５５は、連結プレート５４とバースターブラケット５６との間に連結されて、縦レール部材５３及び横レール部材５７に対して傾斜した姿勢の状態で、連結プレート５４の往復動に応じてバースターブラケット５６を往復動させる。
【００５２】
バースターブラケット５６は、ブラケット本体６４と、左右一対の支点ピン６５と、左右一対の姿勢規制ピン６６と、左右一対の弾性突起６７とを含み、移送用無端ベルト２４（図２）の幅方向に沿って往復動可能である。バースターブラケット５６には、切断コマ５１が回転自在に取り付けられている。
【００５３】
図８に示すブラケット本体６４には、バー連結孔６８が形成されており、このバー連結孔６８にリンクバー５５のブラケット連結ピン６３が嵌め込まれて、ブラケット本体６４にリンクバー５５が連結される。従って、リンクバー５５を縦レール部材５３及び横レール部材５７に対して傾斜した状態で移動させることにより、バースターブラケット５６と共に切断コマ５１を台紙なしラベル連続体の幅方向に往復運動させることができる。
【００５４】
横レール部材５７は、移送用無端ベルト２４（図２）の上部に位置するように、移送用無端ベルト２４の幅方向に沿って、縦レール部材５３に対して直角に配置される。横レール部材５７には、バースターブラケット５６の支点ピン６５及び姿勢規制ピン６６が案内されるガイド窓６９が、その左右側の壁面に形成されている。
【００５５】
ガイド窓６９は、バースターブラケット５６を台紙なしラベル連続体の幅方向にガイドすると共に、その動作範囲を規制する。支点ピン６５及び姿勢規制ピン６６は、横レール部材５７に形成されたガイド窓６９に沿って移動可能である。姿勢規制ピン６６は、ガイド窓６９の上方内壁面６９ａ又は下方内壁面６９ｂに接離して、バースターブラケット５６の姿勢、即ち、切断コマ５１の台紙なしラベル連続体に対する接離態勢（押付け及び離反）を規制する。また、図９に示すように、横レール部材５７の底面部には、移送用無端ベルト２４（図２）の幅方向に沿って姿勢制御窓７０が形成されている。
【００５６】
図１０は、操作レバーが握持されて台紙なしラベル連続体の切断が開始される状態における切断コマ及び連動機構の側面図である。図１１は、図１０に示す切断コマ及び連動機構の切断動作を説明するための図であり、図１１（Ａ）は、切断コマ及び連動機構の要部側面図、図１１（Ｂ）は、切断コマ及び移送用無端ベルトの拡大正面図である。図１２は、図１０に示す切断コマ及び連動機構の復帰動作を説明するための図であり、図１２（Ａ）は、切断コマ及び連動機構の要部側面図、図１２（Ｂ）は、切断コマ及び移送用無端ベルトの拡大正面図である。
【００５７】
図１に示すグリップ１０と共に操作レバー５を握持することにより、ラベル切断機構８による台紙なしラベル連続体３の切断が行われる。操作レバー５を解放した状態では、コイルスプリング１２がヨーク部５ａを引き上げる力によって、連動機構５２において、連結プレート５４が縦レール部材５３の縦ガイド溝５８内で最上位に位置している。従って、図１２に示すように、連結プレート５４にリンクバー５５を介して連結されたバースターブラケット５６が、支点ピン６５の回りに反時計方向に僅かに回動し、姿勢規制ピン６６が横レール部材５７のガイド窓６９の上方内壁面６９ａに当接して、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の表面から僅かに上方に離反している状態にある。
【００５８】
グリップ１０と共に操作レバー５が握持されると、図１０に示すように、ヨーク部５ａからの駆動力（矢印Ａ１）が連結プレート５４からリンクバー５５に伝達される。これにより、姿勢規制ピン６６が支点ピン６５の回りに時計方向に僅かに回動して（矢印Ａ２）、下方内壁面６９ｂに当接する。従って、切断コマ５１が、移送用無端ベルト上の台紙なしラベル連続体３より下方に入り込むことができるレベル位置に下がる。
【００５９】
このとき、図１０に示すように、切断コマ５１は、台紙なしラベル連続体３の図中左端縁部よりも僅かに左方に位置している。操作レバー５のさらなる握持により、切断コマ５１がこの状態から右方に移動するので、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の側面部に切り込んで行くことになる。
【００６０】
操作レバー５がさらに握持されると、操作レバー５からの駆動力の伝達によって連結プレート５４がさらに下降し、リンクバー５５を介してバースターブラケット５６に駆動力が伝達する。これにより、図１１に示すように、バースターブラケット５６が横レール部材５７のガイド窓６９の右端に向けて移動し、切断コマ５１が、移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａに沿って移動する。
【００６１】
切断コマの円周先端部５１ａは、台紙なしラベル連続体３の端縁部分に所定の押圧力を印加しながら移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａ内に入り込み、台紙なしラベル連続体３の端縁部分に延在しているマイクロミシン目の端から順々に台紙なしラベル連続体３を破断させて行く。その結果、台紙なしラベル連続体３を比較的小さな力で切断して、台紙なしラベル連続体３を単葉の台紙なしラベルに分離することができる。
【００６２】
移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａは、切断コマ５１の円周先端部５１ａの形状に合わせて比較的細く形成されているので、円周先端部５１ａと台紙なしラベル連続体３のマイクロミシン目との相対的位置が多少ずれたとしても、台紙なしラベル連続体３のマイクロミシン目又はその近傍が横断凹部２４ａ内に入り込むことができる。従って、上述のような切断動作を的確に行うことができる。
【００６３】
操作レバー５を完全に握りきった状態で、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の切断を完了し、操作レバー５の解放に伴って、コイルスプリング１２（図１）が連結プレート５４に作用する引き上げ力により、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３から離反し始める。
【００６４】
操作レバー５が解放されると、リンクバー５５が連結プレート５４によって引き上げられて行く。これにより、図１２に示すように、バースターブラケット５６が支点ピン６５の回りに反時計方向に回動し、姿勢規制ピン６６がガイド窓６９の上方内壁面６９ａに当接して、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３の表面から浮き上がった状態となる。操作レバー５の解放に伴い、連結プレート５４及びリンクバー５５が上方に復帰し、バースターブラケット５６が元の位置に復帰する。
【００６５】
操作レバー５が解放される過程において、移送ローラー１９によって台紙なしラベル連続体３が所定の角度だけ移送されると共に、移送用無端ベルト２４によって台紙なしラベル連続体３が所定の距離だけ移送される。従って、台紙なしラベル連続体３の移動中においては、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３と接触又は干渉せず、台紙なしラベル連続体３の移送に支障がないようにしている。
【００６６】
ただし、操作レバー５の握持及び解放による台紙なしラベル連続体３の切断動作及び移送動作の僅かなタイミング差によって、切断コマ５１が台紙なしラベル連続体３又は移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａに係合している状態のままで台紙なしラベル連続体３が移送されたとしても、切断コマの円周先端部５１ａのテーパー形状と、移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａのテーパー形状とは、ほぼ同一の傾斜面となるように形成されているので（図１２（Ｂ）を参照）、台紙なしラベル連続体３の移送を停止させてしまうことなく、切断コマ５１が移送用無端ベルト２４の横断凹部２４ａから上方へ離反することができる。
【００６７】
再び図１を参照すると、印字器７は、操作レバー５における二股形状のヨーク部５ａの先端部側に取り付けられており、操作者がグリップ１０と共に操作レバー５を握持すると、印字器７も回動する。それにより、インキローラー４８によって印字器７の活字部７ａにインキが塗布され、移送用無端ベルト２４の上面に付着して移送されて来る台紙なしラベル３ａに活字部７ａが当接することにより、台紙なしラベル３ａに所定の情報が印字される。ここで、印字器７及びインキローラー４８は、移送用無端ベルト２４上のラベルに印字を行う印字機構を構成している。
【００６８】
貼付けローラー９は、携帯式ラベル貼付け機１の筐体の先端下方部（図１における左端下方部）に位置すると共に、その円周の一部が筐体の外部に露出しており、移送用無端ベルト２４によってプラテンユニット６の先端部分に搬送されて来た台紙なしラベル３ａに当接する。操作者が、貼付けローラー９上の台紙なしラベル３ａを被貼付け体に押し付ける貼付け操作を行うことにより、台紙なしラベル３ａが貼付けローラー９によって被貼付け体に圧着されて貼り付けられる。
【００６９】
以上の実施形態においては、台紙のないラベル連続体を使用する場合について説明したが、本発明は、台紙付きの一般的なラベル連続体を使用する携帯式ラベル貼付け機にも適用することができる。
【符号の説明】
【００７０】
１…携帯式ラベル貼付け機、２…側板、３…台紙なしラベル連続体、３ａ…台紙なしラベル、３ｂ…マイクロミシン目、３ｃ…移送用スリット、４…保持機構、５…操作レバー、５ａ…ヨーク部、６…プラテンユニット、７…印字器、７ａ…活字部、８…ラベル切断機構、９…貼付けローラー、１０…グリップ、１１…レバー軸、１２…コイルスプリング、１３…ホルダー軸、１４…ホルダーカバー、１５…ラベル保持軸、１８…プラテンフレーム、１９…移送ローラー、１９ａ…基準面、２０…押付けエレメント、２１…プラテン開閉軸、２２…駆動ギア、２３…従動ギア、２４…移送用無端ベルト、２４ａ…横断凹部、２５…ローラーギア、２６…係脱ローラー、２７…ローラー軸、２８…連結アーム、２９…連結軸、３０…移送回動用爪、３１…移送用突起、３２…中央円周溝、３３…移送用爪、３４…外側円周溝、３５…エレメントフレーム、３６…バックアップローラー、３７…バックアップリング、３８…ねじりコイルバネ、３９…板バネ、４０…間隙、４１…支持フレーム、４２…拡幅フレーム、４３…回転軸、４４…バネ取付け軸、４５…第１のバネ受け、４６…第２のバネ受け、４７…エレメント軸、４８…インキローラー、４９…開閉用つまみ、５１…切断コマ、５１ａ…円周先端部、５２…連動機構、５３…縦レール部材、５４…連結プレート、５５…リンクバー、５６…バースターブラケット、５７…横レール部材、５８…縦ガイド溝、５９…ヨーク連結孔、６０…連結ピン、６１…リンク連結孔、６２…連結ピン、６３…ブラケット連結ピン、６４…ブラケット本体、６５…支点ピン、６６…姿勢規制ピン、６７…弾性突起、６８…バー連結孔、６９…ガイド窓、６９ａ…上方内壁面、６９ｂ…下方内壁面、７０…姿勢制御窓、７１…突起、７２…歯、７３…繊維層、７３ａ…糸
【特許請求の範囲】
【請求項１】
所定の間隔で幅方向にミシン目が形成されると共に一方の面に粘着剤層が設けられたラベル連続体を個々のラベルに分離し、分離されたラベルを被貼付け体に貼り付けるために用いられる携帯式ラベル貼付け機であって、
ラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持されたロール体からラベル連続体を引き出して移送する移送ローラーと、
筐体に設けられたグリップに対して回動可能な操作レバーを含み、前記操作レバーの回動に伴って前記移送ローラーを回転させる操作機構と、
前記移送ローラーの回転に伴って駆動される移送ベルトを含み、前記移送ローラーから供給されるラベル連続体を所定の方向に移送する移送機構と、
前記操作レバーの回動に伴って前記移送ベルト上のラベル連続体をミシン目に沿って切断する切断機構と、
を具備し、
前記移送ベルトが、前記移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含む、携帯式ラベル貼付け機。
【請求項２】
前記移送機構が、前記移送ローラーの回転に伴って回転する駆動ギアと、前記駆動ギアから一定間隔離れた従動軸と、をさらに含み、
前記移送ベルトが、前記駆動ギアと前記従動軸とに掛け回され、
前記移送ベルトの内側に、前記駆動ギアと噛み合う複数の歯が形成された、
請求項１記載の携帯式ラベル貼付け機。
【請求項３】
前記移送ベルトの外側に複数の突起が形成され、
前記移送ベルトの内側に形成された前記複数の歯は、前記複数の突起よりも硬い材料によって構成された、
請求項２記載の携帯式ラベル貼付け機。
【請求項４】
前記操作レバーが第１の位置から第２の位置に回動したときに前記移送ベルト上のラベルに印字を行う印字機構をさらに具備し、
前記切断機構が、前記操作レバーの第１の位置から第２の位置への回動に伴って、前記移送ベルト上のラベル連続体をミシン目に沿って切断し、
前記操作機構が、前記操作レバーの第２の位置から第１の位置への回動に伴って、前記移送ローラーを所定の角度だけ回転させる、
請求項１乃至３の何れか一項記載の携帯式ラベル貼付け機。
【請求項１】
所定の間隔で幅方向にミシン目が形成されると共に一方の面に粘着剤層が設けられたラベル連続体を個々のラベルに分離し、分離されたラベルを被貼付け体に貼り付けるために用いられる携帯式ラベル貼付け機であって、
ラベル連続体がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持されたロール体からラベル連続体を引き出して移送する移送ローラーと、
筐体に設けられたグリップに対して回動可能な操作レバーを含み、前記操作レバーの回動に伴って前記移送ローラーを回転させる操作機構と、
前記移送ローラーの回転に伴って駆動される移送ベルトを含み、前記移送ローラーから供給されるラベル連続体を所定の方向に移送する移送機構と、
前記操作レバーの回動に伴って前記移送ベルト上のラベル連続体をミシン目に沿って切断する切断機構と、
を具備し、
前記移送ベルトが、前記移送ベルトの厚み方向における中心よりも内側に繊維層を含む、携帯式ラベル貼付け機。
【請求項２】
前記移送機構が、前記移送ローラーの回転に伴って回転する駆動ギアと、前記駆動ギアから一定間隔離れた従動軸と、をさらに含み、
前記移送ベルトが、前記駆動ギアと前記従動軸とに掛け回され、
前記移送ベルトの内側に、前記駆動ギアと噛み合う複数の歯が形成された、
請求項１記載の携帯式ラベル貼付け機。
【請求項３】
前記移送ベルトの外側に複数の突起が形成され、
前記移送ベルトの内側に形成された前記複数の歯は、前記複数の突起よりも硬い材料によって構成された、
請求項２記載の携帯式ラベル貼付け機。
【請求項４】
前記操作レバーが第１の位置から第２の位置に回動したときに前記移送ベルト上のラベルに印字を行う印字機構をさらに具備し、
前記切断機構が、前記操作レバーの第１の位置から第２の位置への回動に伴って、前記移送ベルト上のラベル連続体をミシン目に沿って切断し、
前記操作機構が、前記操作レバーの第２の位置から第１の位置への回動に伴って、前記移送ローラーを所定の角度だけ回転させる、
請求項１乃至３の何れか一項記載の携帯式ラベル貼付け機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２０１３−７５６９５（Ｐ２０１３−７５６９５Ａ）
【公開日】平成２５年４月２５日（２０１３．４．２５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２１７５３１（Ｐ２０１１−２１７５３１）
【出願日】平成２３年９月３０日（２０１１．９．３０）
【出願人】（３０７０１０９９３）株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】（０００１３０５８１）サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年４月２５日（２０１３．４．２５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年９月３０日（２０１１．９．３０）
【出願人】（３０７０１０９９３）株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】（０００１３０５８１）サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Ｆターム（参考）】
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