説明

携帯式台紙無しラベル貼付け機

【課題】台紙無しラベルを続けて切断し続けても切断不良が発生せずに、良好に台紙無しラベルの切断を行うことのできる切断機構を備えた携帯式台紙無しラベル貼付け機を提供すること。
【解決手段】台紙無しラベルの幅方向に往復動する切断コマ51を採用し、切断コマ51を操作レバーの連動機構52を介して作動させることに着目し、操作レバーの操作により台紙無しラベルを移送する移送ローラーと、移送ローラーにより移送されてくる台紙無しラベルをさらに移送可能な移送用無端ベルトと、移送用無端ベルト上に移送されてくる台紙無しラベルの幅方向に往復動することにより台紙無しラベルを単葉のラベル片に切断可能な切断コマ51と、切断コマ51と操作レバーとを連動する連動機構52と、前記切断コマ51に対して粘着剤付着抑制液体を塗布する塗布手段80と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯式台紙無しラベル貼付け機に係るもので、特に帯状の台紙無しラベルを装填して移送し、所望の被貼付け体に貼付け操作を行うための携帯式台紙無しラベル貼付け機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯式ラベル貼付け機を用いて、各種商品その他の被貼付け体にラベルを貼り付け、商品の価格やその他必要な情報を表示することが行われている。
【0003】
この携帯式ラベル貼付け機の使用にあたっては、ラベルをロール状に巻いた状態で、携帯式ラベル貼付け機における用紙ホルダーなどの保持部に装填保持するとともに、この用紙ホルダーからラベルを帯状に繰り出して、携帯式ラベル貼付け機内に挿通し、移送ないし印字する。
【0004】
携帯式ラベル貼付け機に装填するラベルとしては、帯状のラベル基材と、このラベル基材の裏面に設けた粘着剤層と、ラベル基材の表面に設けた剥離剤層と、を有する一方、台紙を持たない台紙無しラベル(いわゆるノンセパ(登録商標)型のラベル)があり、台紙無しラベルは、台紙を持たないことから省資源にも寄与することができる。
【0005】
ただし、台紙無しラベルは台紙による裏打ちがないことから、その貼付けにあたって、所定のピッチで切断して単葉のラベル片とする必要がある。すなわち、この台紙無しラベルを装填して使用する携帯式台紙無しラベル貼付け機において、機内に移送する帯状の台紙無しラベルを所定ピッチの部分で切断する機構が必要である。
【0006】
例えば特許文献1には、ラベル剥離紙(台紙)を有しないノンセパ型ラベルの連続体を適宜な長さに切断し、被貼着物に貼り付けるラベル連続体の携帯型切断器(携帯式台紙無しラベル貼付け機)が開示されている。特許文献1に記載された携帯式台紙無しラベル貼付け機では、搬送ベルト上を送られてきた台紙無しラベルの上からカッター刃を押し下げて台紙無しラベルを適宜な長さに切断している(特許文献1、図1あるいは図3参照)。
【0007】
しかしながら、台紙無しラベルの裏面には粘着剤層が形成されており、このようなカッター刃で台紙無しラベルを続けて切断していると、しだいに粘着剤がカッター刃に付着するようになり、カッター刃の上下動に伴い台紙無しラベルがカッター刃に引っ張られたりして切断不良が生じたりするなどの問題がある。
【0008】
なおまた、あらかじめ販売促進情報や広告情報などを印刷したラベルを貼り付ける際には、印字部を設けず、操作レバーの操作のみで、ラベルを貼り付けることができるが、このように構成した携帯式台紙無しラベル貼付け機の場合であっても、台紙無しラベルの切断機構については同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−133259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたもので、台紙無しラベルを続けて切断し続けても切断不良が発生せずに、良好に台紙無しラベルの切断を行うことのできる切断機構を備えた携帯式台紙無しラベル貼付け機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、台紙無しラベルの幅方向に往復動する切断コマを採用し、この切断コマを操作レバーからの連動機構を介して作動させる際、切断コマに対して粘着剤付着抑制液体を塗布することにより良好に台紙無しラベルの切断を行うことに着目してなされたもので、ケーシングを構成する左右一対の側板および該側板に形成したグリップと、前記グリップとともに握持および解除される操作レバーと、前記操作レバーの操作により台紙無しラベルを移送する移送ローラーと、前記移送ローラーにより移送されてくる前記台紙無しラベルをさらに移送可能な移送用無端ベルトと、前記移送用無端ベルト上に移送されてくる前記台紙無しラベルの幅方向に往復動することにより前記台紙無しラベルを単葉のラベル片に切断可能な切断コマを備えたバースターブラケットと、前記バースターブラケットの前記台紙無しラベルの幅方向への往復動を規制する移動規制部材と、前記操作レバーの握持および解除により前記バースターブラケットを前記台紙無しラベルの幅方向へ往復動させるように、前記バースターブラケットと前記操作レバーとを連動する連動機構と、前記切断コマに対して粘着剤付着抑制液体を塗布する塗布手段と、を備え、前記移送用無端ベルトを通って前記側板の外部に移送されてきた前記台紙無しラベルを貼り付けることを特徴とする携帯式台紙無しラベル貼付け機である。
【0012】
前記塗布手段は、前記移動規制部材の前記バースターブラケットに備えられた前記切断コマが往復動する範囲の少なくとも一方の端部に配置されたことを特徴とする。
【0013】
前記塗布手段は、前記バースターブラケットの本体内に配置されたことを特徴とする。
【0014】
前記塗布手段は、粘着剤付着抑制液体であるシリコーンオイルが含浸されたフェルトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による携帯式台紙無しラベル貼付け機においては、切断コマに対して粘着剤付着抑制液体を塗布する塗布手段を設けて、切断コマに対して粘着剤付着抑制液体を塗布するようにしたため、切断コマにより台紙無しラベルを続けて切断しても切断コマに粘着剤が付着することなく、良好に台紙無しラベルの切断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例による携帯式台紙無しラベル貼付け機1の側面図である。
【図2】同、用紙ホルダー4およびプラテンユニット6を解放した状態の側面図である。
【図3】同、一方の側板2を取り除いた状態の概略側面図である。
【図4】同、プラテンユニット6の分解斜視図である。
【図5】同、操作レバー5および台紙無しラベル切断装置9の斜視図である。
【図6】同、台紙無しラベル切断装置9の分解斜視図である。
【図7】同、操作レバー5の解放状態における切断コマ51および連動機構52の側面図および横レール部材57の底面部の水平断面図である。
【図8】同、操作レバー5がさらに握持されて、台紙無しラベルの切断が行われた状態における切断コマ51および連動機構52の側面図および横レール部材57の底面部の水平断面図である。
【図9】同、操作レバー5が解放されて、切断コマ51が元位置に復帰してゆく状態における切断コマ51および連動機構52の側面図および横レール部材57の底面部の水平断面図である。
【図10】塗布手段の他の実施例を示すバースターブラケット56の拡大図である。
【図11】他の連動機構152における操作レバー5の解放状態を示す概略構成図である。
【図12】同、操作レバー5が解放されて、バースターブラケット156が元位置に復帰してゆく状態における連動機構152の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、携帯式台紙無しラベル貼付け機の台紙無しラベルを切断する切断手段である切断コマに、粘着剤付着抑制液体を塗布する塗布手段を接触させて、該切断コマに粘着剤付着抑制液体を塗布する構成とすることにより、粘着剤が該切断コマに付着するのを抑制し、台紙無しラベルを続けて切断し続けても切断不良が発生せずに、良好に台紙無しラベルの切断を行うことのできるラベル切断機構を備えた携帯式台紙無しラベル貼付け機を実現した。
【実施例】
【0018】
次に、本発明の実施例による携帯式台紙無しラベル貼付け機を添付の図面にもとづき説明する。
【0019】
本実施形態の携帯式台紙無しラベル貼付け機は、台紙無しラベルの幅方向に往復動する切断コマと、操作レバーからの駆動力を切断コマに伝達する連動機構とを備えたラベル切断機構に対して、切断コマに粘着剤付着抑制液体を塗布するための塗布手段を設けたものである。
【0020】
図1は、携帯式台紙無しラベル貼付け機1の側面図である。図1に示すように、携帯式台紙無しラベル貼付け機1は、携帯式台紙無しラベル貼付け機1の本体ケーシングを形成する左右(紙面表裏)一対の側板2と、台紙無しラベル(図示せず、図3参照)の用紙ホルダー4と、操作レバー5と、プラテンユニット6と、印字器7と、貼付けローラー8と、台紙無しラベル切断装置(ラベル切断機構)9と、を有している。
【0021】
左右一対の側板2は、操作者が握持可能なグリップ10を一体に形成するとともに、このグリップ10に対してレバー軸11のまわりに操作レバー5を回動操作可能としている。
【0022】
なお、操作レバー5とグリップ10との間には、任意の付勢部材(例えば後述するようなコイルスプリング)を設けて、操作レバー5をグリップ10に対して、図1に示すような常時(操作レバー5の解放時)離反状態に付勢可能としている。
【0023】
操作者は、付勢部材の付勢力に抗してグリップ10および操作レバー5を握持して携帯式台紙無しラベル貼付け機1内のプラテンユニット6、台紙無しラベル切断装置9および印字器7を駆動するとともに、この握持操作を解放後、携帯式台紙無しラベル貼付け機1の貼付けローラー8による台紙無しラベルの貼付け操作を行うことになる。
【0024】
台紙無しラベルは、これをロール状に巻いて用紙ホルダー4に保持する(後述、図3参照)とともに、操作レバー5の操作に伴って、プラテンユニット6により印字器7方向に台紙無しラベルを帯状に繰り出し、プラテンユニット6の先端部でプラテンユニット6から台紙無しラベルを分離し、貼付けローラー8により台紙無しラベルを被貼付け体(図示せず)に貼り付け可能とする。
【0025】
すなわち、台紙無しラベルは、プラテンユニット6上を移送され、台紙無しラベル切断装置9によって個々のラベル片に切断されて印字器7により印字され、さらにプラテンユニット6の先端部に移送される。貼付けローラー8は、側板2の先端下方部に位置し、プラテンユニット6の移送用無端ベルトから剥離されたラベル片を被貼付け体に貼り付ける。
【0026】
貼付けローラー8は、側板2の端部に位置し、その円周部の一部が側板2の外部に露出しており、側板2の外部に排出するようにプラテンユニット6およびその移送用無端ベルトを通って側板2の外部に移送されてきたラベル片を、貼付けローラー8を被貼付け体に打ちつけるようにして回転させることにより、被貼付け体に貼り付け可能とする。
【0027】
用紙ホルダー4は、断面半円弧状のホルダーカバー14が、側板2の上面に設けたホルダー軸13の周りに、側板2に対して開閉回動可能であり、このホルダーカバー14の内部に設けたラベル保持軸15にロール状の台紙無しラベルを装填保持可能となっている。
【0028】
プラテンユニット6は、用紙ホルダー4から帯状に繰り出された台紙無しラベルを、台紙無しラベル切断装置9、印字器7および貼付けローラー8へと移送するものである。プラテンユニット6は、側板2に設けたプラテン開閉軸20の回りに回動可能である。詳しくは後述するが、プラテンユニット6の先端部が配置される側板2に設けた開閉用つまみ26を操作することにより、台紙無しラベルが搬送不良、いわゆるジャムリを起こしたときや保守点検時などに側板2に対してプラテンユニット6全体を開閉するようになっている。
【0029】
台紙無しラベル切断装置9は、プラテンユニット6の上面に移送されてきた台紙無しラベルを個々のラベルに切断するものである。台紙無しラベル切断装置9の詳細については後述する。
【0030】
印字器7は、操作レバー5を操作することにより、インキローラー50により印字器7の活字にインキが塗布され、プラテンユニット6によってその上面に移送され、台紙無しラベル切断装置9によって個々のラベル片に切断された、台紙無しラベルに所定の情報を印字する。
【0031】
図2は、用紙ホルダー4およびプラテンユニット6を開放した状態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の側面図である。
【0032】
図2に示すように、ホルダーカバー14がホルダー軸13のまわりに側板2に対して回動して、用紙ホルダー4が側板2から開放される。ホルダーカバー14の内部には、ラベル保持軸15と側板2への固定用フック16が設けられている。
【0033】
プラテンユニット6は、プラテンユニット6を構成するプラテンフレーム17が側板2に設けたプラテン開閉軸20のまわりに回動することにより、側板2に対してその全体が開放される。これにより、台紙無しラベルをプラテンユニット6に対して挿通装填が可能となる。
【0034】
また、詳しくは後述するが、プラテンフレーム17は、駆動ギアおよび従動コロと、これらのまわりに掛け回した移送用無端ベルトを備えている。図2には従動コロ22のみが表示されている。さらに、プラテンフレーム17の先端側の左右には一対の係脱ローラー25が突出形成され、係脱ローラー25が側板2に設けた開閉用つまみ26と連動してプラテンユニット6を側板2から開閉するようになっている。
【0035】
図3は、用紙ホルダー4およびプラテンユニット6を開放した状態で一方の側板2を取り除いた状態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の概略側面図である。
【0036】
なお、図1や図2ではラベル保持軸15にロール状の台紙無しラベルが装填されていなかったが、図3においては、ラベル保持軸15にロール状の台紙無しラベル3を装填した状態を示している。図3に示すように、ホルダーカバー14がホルダー軸13のまわりに側板2に対して回動して、台紙無しラベル3を装填した用紙ホルダー4が側板2から開放されている。
【0037】
さらに図3においては、用紙ホルダー4の図中左横に矢印で示したように、台紙無しラベル3の一部を拡大して表示している。台紙無しラベル3は、ロール状に巻いて用紙ホルダー4に保持され、操作レバー5の操作に伴ってプラテンユニット6により、図3では図示を省略した台紙無しラベル切断装置9および印字器7(ともに図1参照)の方向に移送される。
【0038】
このとき台紙無しラベル3には、図3に拡大して示すように、所定ピッチで移送用スリット3Aなどを形成し、プラテンユニット6上を移送する際に、後述する台紙無しラベル切断装置9により、帯状の台紙無しラベル3から単葉のラベル片3Bとすることができる。
【0039】
なお、移送用スリット3Aに合わせて台紙無しラベル3の両端側から内方部に向かって任意の数の切り目から構成したミシン目3Cを形成し、台紙無しラベル切断装置9による切断作用を容易にすることができる。
【0040】
また、側板2と一体に形成されたグリップ10に対して、レバー軸11のまわりに回動操作可能に操作レバー5が設けられており、操作レバー5とグリップ10との間には付勢手段としてのコイルスプリング12が設けられ、このコイルスプリング12によって、操作レバー5の解放時に操作レバー5とグリップ10とが離反状態となるように操作レバー5が付勢されている。
【0041】
操作レバー5には、その先端側に二股状のヨーク部5Aを有し、操作者が操作レバー5を操作すると、このヨーク部5Aを介して台紙無しラベル切断装置9や印字器7(ともに図1参照)が動作するようになっている。
【0042】
プラテンユニット6は、前述したように、用紙ホルダー4から帯状に繰り出された台紙無しラベル3をその上面に移送するものであり、プラテンフレーム17、移送ローラー18および押付けエレメント19等を有し、移送ローラー18と押付けエレメント19との間を接離可能としている。
【0043】
プラテンフレーム17の先端側の左右には一対の係脱ローラー25が突出形成され、側板2に設けられた開閉用つまみ26(図1、図2参照)に連動してつまみ軸27のまわりに回動する開閉用係脱片28の係脱用凹部28Aに係脱可能としてある。ただし、つまみ軸27には任意のバネ材(図示せず)を設けて、開閉用係脱片28が係脱ローラー25に係合する方向にこれを付勢している。すなわち、開閉用つまみ26は、係脱ローラー25に係脱する開閉用係脱片28を操作して、プラテンユニット6と開閉用係脱片28とを互いに係脱可能としている。
【0044】
以下、プラテンユニット6の構成を説明するが、構成が複雑なので、図4にプラテンユニット6の分解斜視図を示し、図3および図4を参照して説明することとする。
【0045】
図4に示すように、プラテンフレーム17は、駆動ギア21および従動コロ22と、これら駆動ギア21および従動コロ22のまわりに掛け回した移送用無端ベルト23とを備えており、駆動ギア21が移送ローラー18のローラーギア24に係合する。
【0046】
移送用無端ベルト23は、移送ローラー18により移送されてくる台紙無しラベル3をさらに移送可能であって、その表面は、台紙無しラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤などを塗布しておく。
【0047】
また、このプラテンユニット6に組み込まれた移送用無端ベルト23は、印字器7(図1参照)による台紙無しラベル3への押印動作の受け台、さらには台紙無しラベル切断装置9(図1参照)による台紙無しラベル3の切断の切断動作の受け台ともなるもので、移送用無端ベルト23の内方において印字器7に対向する受圧用プレート(図示せず)を配置してある。
【0048】
移送ローラー18は、プラテンフレーム17に設けたローラー軸29のまわりに移送方向に所定ピッチでこれを回転可能としてある。図3に示すように、操作レバー5のレバー軸11の下方部に延びる連結アーム30の連結軸31に、移送回動用爪32を往復動可能に取り付けてあり、この移送回動用爪32が移送ローラー18におけるローラーギア24の側面に放射状に設けた複数個の移送用突起33それぞれに係脱可能である。
【0049】
かくして、操作レバー5をグリップ10とともに握持および解放することにより、連結アーム30、移送回動用爪32およびローラーギア24などを介してローラー軸29のまわりに移送ローラー18を所定ピッチだけ回転して台紙無しラベル3を移送可能とするとともに、移送ローラー18のローラーギア24と駆動ギア21との連結係合により移送用無端ベルト23を回転させて台紙無しラベル3をその上面に移送可能である。
【0050】
また図4に示すように、移送ローラー18は、その中央円周溝34の左右に所定ピッチで左右一対の移送用爪35を突出形成し、移送用爪35の外周側に左右一対の外周円周溝36を形成してあり、この移送用爪35を台紙無しラベル3の移送用スリット3Aに係脱可能としている。
【0051】
押付けエレメント19は、移送ローラー18に台紙無しラベル3を押し付けるためのものであり、特に図4に示すように、エレメントフレーム37と、上下左右二対のバックアップローラー38と、バックアップローラー38の間で中央に位置するバックアップリング39と、ねじりコイルバネ40および左右一対の板バネ41(付勢部材)とを有する。
【0052】
ねじりコイルバネ40および左右一対の板バネ41は、プラテンユニット6が開閉用係脱片28(図3参照)から離脱したときに、移送ローラー18と押付けエレメント19とを互いに離反させる付勢部材として機能し、押付けエレメント19から移送ローラー18を離反させ、その間に台紙無しラベル3を挿通可能とする間隙42(図3参照)を形成可能とする。
【0053】
ただし、プラテンフレーム17は、係脱ローラー25と開閉用係脱片28との係合により、ねじりコイルバネ40および板バネ41の付勢力に抗して側板2にこれを固定可能としている。
【0054】
図4に示すように、エレメントフレーム37は、移送ローラー18の円周部に対向する左右一対の支持フレーム43と、支持フレーム43から外方にまたがるように出た左右一対の拡幅フレーム44と、支持フレーム43に設けるとともにバックアップローラー38およびバックアップリング39を取り付ける上下一対の回転軸45とを有する。
【0055】
バックアップローラー38およびバックアップリング39は、台紙無しラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤などを塗布しておくもので、台紙無しラベル3を移送ローラー18側に押し付け可能である。
【0056】
また、バックアップローラー38およびバックアップリング39は、台紙無しラベル3の糊面に線接触するため、糊面との粘着力を極力小さくすることができるとともに、所定のバネ弾性を持った押し付けが可能である。
【0057】
バックアップローラー38は、移送ローラー18の移送用爪35の外周部の外周円周溝36に接触回転するとともに、バックアップリング39が、移送ローラー18の移送用爪35の内周部の中央円周溝34に接触回転することにより、移送ローラー18と押付けエレメント19との間に台紙無しラベル3を挟持しつつ、また、移送用爪35が台紙無しラベル3の表面側からその移送用スリット3Aに係合し移送ローラー18の回転によって台紙無しラベル3を移送用無端ベルト23上に送り出す。
【0058】
ねじりコイルバネ40は、エレメントフレーム37における一方の支持フレーム43の外壁面に、移送ローラー18と押付けエレメント19との間において、間隙42(図3)からは側方にずれた位置に設けたバネ取付け軸46にこれを取り付けてあり、プラテンフレーム17の内壁面に設けた第1のバネ受け47と、上記一方の支持フレーム43に設けた第2のバネ受け48との間にこれを配置し、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して常時開放方向(図3参照)に付勢する。
【0059】
板バネ41は、移送ローラー18とは反対側の支持フレーム43の背面にこれを取り付け、操作レバー5のレバー軸11部分に当接して、ねじりコイルバネ40と協動して、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して常時開放方向(図3参照)に付勢する。
【0060】
支持フレーム43は、その外方に位置している拡幅フレーム44との間に連結アーム30からの移送回動用爪32(図3参照)を往復動可能に配置している。
【0061】
拡幅フレーム44は、プラテンフレーム17の外壁面に設けたエレメント軸49のまわりにプラテンフレーム17に対してこれを回動可能としてあり、プラテンユニット6において押付けエレメント19に対してプラテンフレーム17を相対的に開閉可能としている。
【0062】
したがって、押付けエレメント19は、プラテンフレーム17に設けたエレメント軸49のまわりにこれを回動可能としている。
【0063】
次に、本実施形態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の台紙無しラベル切断装置9について図5および図6を参照して説明する。
【0064】
図5は、操作レバー5および台紙無しラベル切断装置9の斜視図であり、図6は、台紙無しラベル切断装置9の分解斜視図である。
【0065】
台紙無しラベル切断装置9は、図5に示すように、操作レバー5と連動する連動機構52を有している。連動機構52は、側板2(図3参照)に固定した縦レール部材53(第1のレール部材)と、操作レバー5に連結するとともに縦レール部材53に沿って往復動する連結プレート54と、リンクバー55と、横レール部材57(第2のレール部材)とを有している。なお、操作レバー5はレバー軸11のまわりに回動操作可能であり、レバー軸11の下方部に延びる連結アーム30には連結軸31が設けられている。
【0066】
また、図6に示すように、リンクバー55と連結するとともに横レール部材57に沿って往復動するバースターブラケット56が設けられている。バースターブラケット56には、切断コマ51が回転自在に取り付けられている。切断コマ51は、移送用無端ベルト23(図4参照)上に移送されてくる台紙無しラベル3の幅方向に、図3に示す移送用スリット3Aおよびミシン目3Cに沿って往復動することにより台紙無しラベル3を単葉のラベル片3Bに切断可能である。
【0067】
切断コマ51の材料としては、所定の剛性および非粘着性を有することが望ましく、例えばポリアセタール(POM)を採用可能であり、必要であればシリコーンやフッ素系のコーティング剤(剥離剤)などを塗布したポリカーボネート(PC)やアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)なども採用することができる。
【0068】
縦レール部材53は、一方の側板2の内壁面にこれを固定してあり、図6に示すように、その中央部に縦ガイド溝58を形成し、この縦ガイド溝58内に連結プレート54を上下往復動可能に組み付けている。
【0069】
連結プレート54は、図5に示すように、操作レバー5に連結しているとともに、縦レール部材53に沿って往復動するもので、操作レバー5の一方のヨーク部5Aに形成したヨーク連結孔59に嵌め込む連結ピン60を有するとともに、図6に示すように、リンク連結孔61を形成して、このリンク連結孔61にリンクバー55の連結ピン62を嵌め込み、操作レバー5(ヨーク部5A)からの駆動力をリンクバー55に伝達可能とする。
【0070】
リンクバー55は、連結プレート54とバースターブラケット56とに連結しているとともに、縦レール部材53と横レール部材57との間に傾斜した姿勢の状態で連結プレート54の往復動に応じて動作するもので、連結ピン62とは反対側の端部に左右一対のブラケット連結ピン63を設けている。
【0071】
バースターブラケット56は、移送用無端ベルト23の幅方向に沿って往復動可能であるとともに、切断コマ51を回転自在に取り付けてあり、ブラケット本体64と、左右一対の支点ピン65と、左右一対の姿勢規制ピン66と、左右一対の弾性突起67とを有する。
【0072】
ブラケット本体64には、バー連結孔68が形成され、このバー連結孔68にリンクバー55のブラケット連結ピン63を嵌め込んで、ブラケット本体64にリンクバー55が連結される。したがって、リンクバー55を縦レール部材53および横レール部材57の間に傾斜した状態で稼働させることにより、バースターブラケット56(切断コマ51)を台紙無しラベル3の幅方向に往復動させることができる。
【0073】
横レール部材57は、バースターブラケット56を台紙無しラベル3の幅方向にガイドするとともにその動作範囲を規制するもので、縦レール部材53に対して直角に移送用無端ベルト23(図4参照)の上部に位置するように移送用無端ベルト23の幅方向に沿ってこれを配置し、バースターブラケット56の支点ピン65および姿勢規制ピン66が案内されるガイド窓69をその左右側壁面に開口形成している。
【0074】
すなわち、支点ピン65および姿勢規制ピン66は、横レール部材57に形成したガイド窓69に沿って移動可能である。姿勢規制ピン66は、図6に示すように、ガイド窓69の上方内壁面69Aおよび下方内壁面69Bに接離してバースターブラケット56の姿勢、ないし切断コマ51の台紙無しラベル3に対する接離(押付けおよび離反)態勢を規制する。
【0075】
さらに、横レール部材57の底面部には、移送用無端ベルト23の幅方向に沿って姿勢制御窓70(後述、図7参照)を開口形成している。なお、特に図5に示すように、横レール部材57の底部にはラベル押付け部材71を固定し、このラベル押付け部材71の底部に取り付けたラベル押付けプレート(後述、図7参照)により台紙無しラベル3を移送用無端ベルト23の上面方向に押し付けて台紙無しラベル3の浮き上がりを防止している。
【0076】
図7は、操作レバー5の解放状態における切断コマ51および連動機構52の側面図および横レール部材57の底面部の水平断面図である。
【0077】
図7に示すように、操作レバー5(図5参照)を解放した状態では、コイルスプリング12(図3参照)による操作レバー5のヨーク部5Aからの引き上げ力により、連動機構52における連結プレート54が縦レール部材53の縦ガイド溝58(図6参照)内で最上位に位置している。
【0078】
したがって、連結プレート54からリンクバー55を介して、バースターブラケット56が支点ピン65のまわりに反時計方向にわずかに回動し、姿勢規制ピン66が横レール部材57のガイド窓69の上方内壁面69Aに当接している結果、ブラケット本体64の切断コマ51が台紙無しラベル3の表面からわずかに上方に離反している状態にある。
【0079】
また、図7に示すように、横レール部材57の底部にはラベル押付け部材71を固定し、このラベル押付け部材71の底部にラベル押付けプレート72が取り付けられている。このラベル押付けプレート72の底面により、移送用無端ベルト23によって移送されてきた台紙無しラベル3を移送用無端ベルト23の上面方向に押し付け可能として、台紙無しラベル3の浮き上がりを防止し、台紙無しラベル切断装置9による台紙無しラベル3の切断作用を確実化している。
【0080】
なお、図7の水平断面図に示すように、バースターブラケット56の下方に位置する切断コマ51および弾性突起67が、姿勢制御窓70に臨んで往復動する。姿勢制御窓70の両端部は幅が狭くなっており、弾性突起67がこの幅の狭い部分と接触することにより、バースターブラケット56の移動が規制される。また、図7の側面図に示すように、横レール部材57の底面部に移送用無端ベルト23の幅方向に沿って開口形成された姿勢制御窓70の図中右端部(縦レール部材53から遠い側)下面側には、切断コマ51に粘着剤付着抑制液体を塗布する塗布手段80が設けられている。この塗布手段80としては、例えば、シリコーンを含浸させたフェルトが好適に例示される。なお、シリコーンオイルとしては、潤滑性は高いが揮発性が小さく、また、他物質を侵さないジメチルシリコーンオイルが好ましいが、ジメチルシリコーンオイルに限定されるものではない。
【0081】
ここで、操作レバー5およびグリップ10が握持されると、ヨーク部5A(図5参照)からの駆動力が連結プレート54からリンクバー55に伝達され、姿勢規制ピン66が支点ピン65のまわりに時計方向にわずかに回動して、下方内壁面69Bに当接し、切断コマ51が移送用無端ベルト23上の台紙無しラベル3より下方に入り込むことができるレベル位置に下がり、操作レバー5およびグリップ10のさらなる握持により、弾性突起67と姿勢制御窓70との間の摩擦力に抗して切断コマ51が姿勢制御窓70内を移動し始め、台紙無しラベル3が切断し始められる。
【0082】
図8は、操作レバー5およびグリップ10がさらに握持されて、台紙無しラベル3の切断が行われた状態における切断コマ51および連動機構52の側面図および横レール部材57の底面部の水平断面図である。
【0083】
操作レバー5およびグリップ10のさらなる握持により操作レバー5からの駆動力の伝達により、図8に示すように、連結プレート54がさらに下降し(矢印A1)、リンクバー55を介してバースターブラケット56が横レール部材57のガイド窓69(姿勢制御窓70)の端まで移動し、切断コマ51が、移送用無端ベルト23(図示せず)の幅方向に沿って移動し(矢印A2)、台紙無しラベル3の移送用スリット3Aおよびミシン目3C(図3参照)の部分を破断させて、台紙無しラベル3を単葉のラベル片3Bに切断する。
【0084】
なお、図8の水平断面図に示すように、弾性突起67が姿勢制御窓70の右側の幅の狭い部分と接触してバースターブラケット56はそれ以上右端側に移動しないように規制されている。またこのとき、図8の側面図に示すように、横レール部材57のガイド窓69の右端側まで移動した切断コマ51は、横レール部材57の図中右端下面に設けられた塗布手段80に接触する。前述したように、この塗布手段80は、例えばシリコーンを含浸させたフェルト等で構成されており、切断コマ51が塗布手段80に接触することにより、シリコーン等の粘着剤付着抑制液体が切断コマ51に塗布される。切断コマ51は回転しているので、塗布手段80に切断コマ51の略全円周が接触し、切断コマ51全体にシリコーン等の粘着剤付着抑性液体が塗布される。
【0085】
操作レバー5およびグリップ10を完全に握りきった状態で、切断コマ51が台紙無しラベル3を切断しきった後、つぎの操作レバー5の解放操作をまつことになる。操作レバー5を解放すると、コイルスプリング12(図3)により連結プレート54に対して図8の矢印A1で示すのとは反対向きの力が作用し、この力により連動機構52を介して切断コマ51が台紙無しラベル3から離反し始める。
【0086】
したがって、操作レバー5の解放時には、移送ローラー18により台紙無しラベル3が所定ピッチで移送されるとともに、移送用無端ベルト23上に台紙無しラベル3が同ピッチで移送される最中、すなわち、台紙無しラベル3自体が移送用無端ベルト23上を移動している最中であり、この移動中には、切断コマ51が台紙無しラベル3とは接触ないし干渉せず、台紙無しラベル3の移送用無端ベルト23上での移送に支障がないようにしている。
【0087】
図9は、操作レバー5が解放されて、切断コマ51が元位置に復帰してゆく状態における切断コマ51および連動機構52の側面図および横レール部材57の底面部の水平断面図である。
【0088】
図9に示すように、操作レバー5の解放にともない、連結プレート54およびリンクバー55が上方に復帰し(矢印A3)、バースターブラケット56が横レール部材57の左端の元位置に復帰する(矢印A4)。
【0089】
かくして、連動機構52は、操作レバー5の握持操作時に、台紙無しラベル3を切断可能とし、操作レバー5の解除操作時に、台紙無しラベル3を移送用無端ベルト23上において移送可能とする。さらに連動機構52は、切断コマ51の往動切断動作時には、切断コマ51を台紙無しラベル3に所定の押圧力で押し付け可能であるとともに、切断コマ51の復動非切断動作時には、切断コマ51を台紙無しラベル3から離反可能とする。換言すれば、操作レバー5の握持により連動機構52を介して切断コマ51を台紙無しラベル3の幅方向に往動させて、台紙無しラベル3を切断可能であり、バースターブラケット56は、連動機構52による移送用無端ベルト23の幅方向に沿った往動時に、台紙無しラベル3の表面に対してその切断コマ51を押圧する第1の姿勢(図8)を取る。また、操作レバー5の解除により連動機構52を介して切断コマ51を台紙無しラベル3の幅方向に復動させて元位置に復帰させるときには、バースターブラケット56は、切断コマ51による台紙無しラベル3への押圧を解除する第2の姿勢(図9)にその姿勢を変える。
【0090】
そして、バースターブラケット56の移送用無端ベルト23の幅方向に沿った往復動時に、図8に示す第1の姿勢のとき、切断コマ51は、塗布手段80としての例えばシリコーンを含浸させたフェルトに接触して、シリコーン等の粘着剤付着抑性液体が塗布される。これにより切断コマ51が台紙無しラベル3を切断する際、粘着剤が切断コマ51に付着するのを防止することができ、台紙無しラベル3を切断し続けても、切断コマ51に粘着剤が付着することがなく、良好な切断を維持することができる。
【0091】
なお、上で説明した例においては、シリコーン等の粘着剤付着抑制液体を含浸させたフェルト等からなる塗布手段80を横レール部材57の(例えば図7の)右端(すなわち縦レール部材53から遠い側)に配置して、切断コマ51が、移送用無端ベルト23の幅方向に移動して台紙無しラベル3を切断し横レール部材57の右端にきたときに塗布手段80に接触する構成となっていたが、塗布手段80を配置する場所は横レール部材57の右端(縦レール部材53から遠い側)に限定されるものではなく、横レール部材57の左端(縦レール部材53に近い側)でもよい。あるいは、横レール部材57の両端に配置して切断コマ51が塗布手段80に接触する機会を増やすようにしてもよい。
【0092】
図10に、その他の実施形態に係るバースターブラケット56を拡大して示す。この実施形態は、図10に示すように、バースターブラケット56のブラケット本体64の内部に、切断コマ51に粘着剤付着抑制液体を塗布するための塗布手段82を設けたものである。
【0093】
バースターブラケット56は、前述したように、移送用無端ベルト23(図3)の幅方向に沿って往復動可能であるとともに、切断コマ51を回転自在に取り付けてあり、ブラケット本体64と、左右一対の支点ピン65と、左右一対の姿勢規制ピン66と、左右一対の弾性突起67とを有する。また、ブラケット本体64には、バー連結孔68が形成され、このバー連結孔68にリンクバー55のブラケット連結ピン63を嵌め込んで、ブラケット本体64にリンクバー55が連結されている。そして、操作レバー5のヨーク部5Aを介してリンクバー55を縦レール部材53および横レール部材57の間に傾斜した状態で稼働させることにより、バースターブラケット56(切断コマ51)を台紙無しラベル3の幅方向に往復動させて、台紙無しラベル3を切断するようにしている。
【0094】
このとき、ブラケット本体64内に粘着剤付着抑制液体を含浸させた塗布手段82を配置し、塗布手段82がバースターブラケット56とともに移動して、切断コマ51が常にこの塗布手段82に接触するように構成されている。これにより、例えばシリコーン等の粘着剤付着抑制液体が切断コマ51に常時塗布されることとなる。
【0095】
バースターブラケット56の駆動に伴い、切断コマ51は常に回転するので、切断コマ51の全周に対して満遍なくシリコーン等の粘着剤付着抑制液体が塗布される。したがって、切断コマ51に粘着剤が付着することなく、常に台紙無しラベル3の良好な切断が補償される。
【0096】
以上説明した携帯式台紙無しラベル貼付け機1の、連動機構52は、操作レバー5と連動しバースターブラケット56を移送用無端ベルト23の幅方向に駆動するものであるが、操作レバー5(ヨーク部5A)からの駆動力が、縦レール部材53に沿って垂直方向に移動可能な連結プレート54からリンクバー55を介してリンクバー55の先端に連結されたバースターブラケット56が横レール部材57に沿って水平方向に移動するように構成されている。
【0097】
連動機構の構成はこれに限定されるものではなく、次に、連動機構の他の構成例について説明する。
【0098】
図11に、他の連動機構152の概略構成を示す。図11に示すように、この連動機構152は、側板に固定した縦レール部材153と、操作レバー5(ヨーク部5A)と連結するとともに縦レール部材153に沿って垂直方向に往復移動する移動プレート154と、縦レール部材153と一体形成され、プラテンユニット(図示せず)によって移送される台紙無しラベル(図示せず)の幅方向に延びた固定プレート157と、リンクバー155とを有している。
【0099】
移動プレート154には、横斜め方向に延びる溝154Aが形成されている。また、固定プレート157には、その上部に略水平方向に延びる溝157Aが形成されるとともに、その下部にはプラテンユニット(図示せず)によって移送される台紙無しラベルの幅方向に水平方向に延びる開口部169が形成されている。
【0100】
リンクバー155の上端には、移動プレート154の溝154Aおよび固定プレート157の溝157Aの両方に係合する連結軸162が形成されるとともに、リンクバー155の下端には、バースターブラケット156が設けられている。
【0101】
連結軸162は、各溝154Aおよび157Aの中を移動可能であり、また、バースターブラケット156は固定プレート157の開口部169に沿って台紙無しラベルの幅方向に水平に移動可能である。バースターブラケット156は、上で説明した例と略同様の構成をしており、その本体内部に切断コマを有し、バースターブラケット156が開口部169内を水平に移動することにより切断コマが台紙無しラベルを幅方向に切断する。
【0102】
図11は、操作レバー5を解放した状態を示している。このとき、リンクバー155の連結軸162は、移動プレート154の溝154Aおよび固定プレート157の溝157Aのそれぞれ図中右端側(縦レール部材153側)に位置しており、同様にバースターブラケット156も固定プレート157の開口部169の右端側(縦レール部材153側)に位置している。
【0103】
この状態で、操作レバー5を握持すると、ヨーク部5Aを介してその駆動力が移動プレート154に伝達され、図に矢印A5で示すように、移動プレート154が下方向に移動を開始する。
【0104】
移動プレート154が下方向に移動を開始すると、連結軸162が、移動プレート154の溝154Aおよび固定プレート157の溝157Aの中をしだいに図の左方向に向かって移動し始める。するとリンクバー155も連結軸162に伴い、図の左方向に移動を開始する。これにより、バースターブラケット156も固定プレート157の開口部169内を左方向に移動し始める。
【0105】
図12は、操作レバー5を完全に握りきった状態を示している。操作レバー5(図12では図示せず)を握りきると、移動プレート154は移動可能な範囲で最も下の位置まで下がり、連結軸162は移動プレート154の溝154Aおよび固定プレート157の溝157Aの最も左端側まで移動する。このとき、リンクバー155の動きに伴い、バースターブラケット156は固定プレート157の開口部169の左端側まで移動し、その過程においてバースターブラケット156の切断コマが台紙無しラベルを幅方向に切断する。
【0106】
次に、操作レバー5を解放すると、前の例で説明したように、操作レバー5に対する付勢手段(コイルバネ)の付勢力によって操作レバー5が握持される前の状態にもどるように上昇を開始する。それに伴い、移動プレート154も図に矢印A6で示すように、上方向への移動を開始する。
【0107】
このように構成された連動機構152においても、前の例と同様に、切断コマに粘着剤付着抑制液体を塗布するための塗布手段が配置される。
【0108】
例えば、固定プレート157の開口部169の縦レール部材153から遠い先端側(図11あるいは図12における左端側)に、例えばシリコーン等の粘着剤付着抑制液体を含浸させたフェルト等の塗布手段を配置して、切断コマが開口部169内を先端側まで移動する毎に塗布手段に接触して、切断コマにシリコーン等の粘着剤付着抑制液体が塗布されるようにする。
【0109】
あるいは、固定プレート157の開口部169の縦レール部材153側にこのような塗布手段を設けて、切断コマが開口部169内を縦レール部材153側まで移動する毎に塗布手段に接触して、切断コマにシリコーン等の粘着剤付着抑制液体が塗布されるようにしてもよい。さらには、開口部169の両端側にこのような塗布手段を配置するようにしてもよい。
【0110】
また、前述した他の実施形態のように、バースターブラケット156の本体内に上記のような塗布手段を配置して、常に切断コマがこの塗布手段と接触するようにしてもよい。
【0111】
以上のように、本実施形態の携帯式台紙無しラベル貼付け機によれば、バースターブラケットの切断コマにシリコーン等の粘着剤付着抑制液体を塗布するための塗布手段を設けたため、切断コマの駆動に伴い自動的に粘着剤付着抑制液体が塗布されるので、切断コマに粘着剤が付着するのが防止され、常に台紙無しラベルを切断コマで良好に切断することが可能となる。
【符号の説明】
【0112】
1 携帯式台紙無しラベル貼付け機(図1)
2 左右一対の側板
3 台紙無しラベル
3A 台紙無しラベル3の移送用スリット(図3)
3B 台紙無しラベル3の単葉のラベル片
3C 台紙無しラベル3のミシン目
4 用紙ホルダー
5 操作レバー
5A 操作レバー5の二股状のヨーク部
6 プラテンユニット(図4)
7 印字器
8 貼付けローラー
9 携帯式台紙無しラベル貼付け機1の台紙無しラベル切断装置(実施例、図5、図6)
10 グリップ
11 レバー軸
12 コイルスプリング
13 ホルダー軸
14 ホルダーカバー
15 ラベル保持軸
16 固定用フック
17 プラテンフレーム(図4)
18 移送ローラー
19 押付けエレメント(図4)
20 プラテン開閉軸
21 駆動ギア
22 従動コロ
23 移送用無端ベルト
24 ローラーギア
25 係脱ローラー
26 開閉用つまみ
27 つまみ軸
28 開閉用係脱片
28A 開閉用係脱片28の係脱用凹部
29 ローラー軸
30 連結アーム
31 連結軸
32 移送回動用爪
33 移送ローラー18の移送用突起
34 中央円周溝
35 左右一対の移送用爪
36 左右一対の外周円周溝
37 エレメントフレーム
38 上下左右二対のバックアップローラー
39 バックアップリング
40 ねじりコイルバネ(付勢部材)
41 左右一対の板バネ(付勢部材)
42 移送ローラー18と押付けエレメント19との間の間隙(図3)
43 左右一対の支持フレーム
44 左右一対の拡幅フレーム
45 上下一対の回転軸
46 バネ取付け軸
47 第1のバネ受け
48 第2のバネ受け
49 エレメント軸
50 インキローラー
51 切断コマ(図6)
52 連動機構(図6)
53 縦レール部材(第1のレール部材)
54 連結プレート
55 リンクバー
56 バースターブラケット
57 横レール部材(第2のレール部材)
58 縦ガイド溝
59 ヨーク連結孔
60 連結ピン
61 リンク連結孔
62 連結ピン
63 ブラケット連結ピン
64 ブラケット本体
65 支点ピン
66 姿勢規制ピン
67 弾性突起
68 バー連結孔
69 ガイド窓
69A ガイド窓69の上方内壁面
69B ガイド窓69の下方内壁面
70 姿勢制御窓
71 ラベル押付け部材
72 ラベル押付けプレート
80 塗布手段
82 その他の実施形態の塗布手段
152 連動機構
153 縦レール部材
154 移動プレート
154A 移動プレート154の溝
155 リンクバー
156 バースターブラケット
157 固定プレート
157A 固定プレート157の溝
162 連結軸
169 固定プレート157の開口部
A1〜A6 切断コマ51による台紙無しラベル3の切断作用を説明するための矢印(図8、図9、図11、図12)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングを構成する左右一対の側板および該側板に形成したグリップと、
前記グリップとともに握持および解除される操作レバーと、
前記操作レバーの操作により台紙無しラベルを移送する移送ローラーと、
前記移送ローラーにより移送されてくる前記台紙無しラベルをさらに移送可能な移送用無端ベルトと、
前記移送用無端ベルト上に移送されてくる前記台紙無しラベルの幅方向に往復動することにより前記台紙無しラベルを単葉のラベル片に切断可能な切断コマを備えたバースターブラケットと、
前記バースターブラケットの前記台紙無しラベルの幅方向への往復動を規制する移動規制部材と、
前記操作レバーの握持および解除により前記バースターブラケットを前記台紙無しラベルの幅方向へ往復動させるように、前記バースターブラケットと前記操作レバーとを連動する連動機構と、
前記切断コマに対して粘着剤付着抑制液体を塗布する塗布手段と、
を備え、前記移送用無端ベルトを通って前記側板の外部に移送されてきた前記台紙無しラベルを貼り付けることを特徴とする携帯式台紙無しラベル貼付け機。
【請求項2】
前記塗布手段は、前記移動規制部材の前記バースターブラケットに備えられた前記切断コマが往復動する範囲の少なくとも一方の端部に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の携帯式台紙無しラベル貼付け機。
【請求項3】
前記塗布手段は、前記バースターブラケットの本体内に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の携帯式台紙無しラベル貼付け機。
【請求項4】
前記塗布手段は、粘着剤付着抑制液体であるシリコーンオイルが含浸されたフェルトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の携帯式台紙無しラベル貼付け機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−75704(P2013−75704A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217541(P2011−217541)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】