説明

携帯情報端末装置

【課題】装置の小型化を図りつつ用紙搬送負荷の低減と二重送りを防止して、用紙搬送を安定的に行う。
【解決手段】携帯情報端末装置10は、連続用紙を交互に折り畳んだ折り畳み用紙16に各種情報を出力するものであり、この折り畳み用紙16を繰り出し保持するプラテン28を有するプリンタ部24と、プリンタ部24に供給される折り畳み用紙16を、その幅方向がプラテン28の長手方向と平行となるように湾曲させて収納し、収納状態での折り畳み用紙16の幅方向と直交方向の折り返し端部16a、16b同士を、用紙搬送方向の前後に所定距離X離間して、かつ装置本体12の基準底面Aからの高さが給紙口44よりも高い位置となるように収納する用紙収納部14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、水道、電力量等の使用量を示す積算メータの値を定期的に検針する際に、その結果を現場で出力する機能を備えた携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検品端末としての携帯情報端末装置は、例えば、ガス、水道、電力量等の検針時に携帯されて、公共料金情報や商品販売情報を用紙に印刷可能な装置として公知である。そして、ガス等の使用量の結果を現場で記録媒体にプリントし、プリントした記録媒体を切り離して使用者に直接手渡しすることができる。
【0003】
この種の携帯情報端末装置として、例えば、特許文献1には、用紙収納部を装置本体の複数のポジションに装着できるように構成し、この用紙収納部に折り畳み用紙(蛇腹用紙)を2つ折りにして収納する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、装置本体に連結された用紙収納部に、折り畳み用紙(蛇腹用紙)を、横置き円筒状の収納ケースの収納空間に丸めて収納し、この収納した用紙を繰り出す際に、収納空間の中心に設けられた筒状案内部材で用紙をガイドしてプリンタ側に引き出すようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−316000号公報
【特許文献2】実公平7−29081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、2つ折りにした折り畳み用紙(蛇腹用紙)の用紙端部が接近しているため、一方の用紙端部から用紙を繰り出すときに、他方の用紙端部に干渉して用紙の搬送負荷が大きくなるおそれがある。この搬送負荷が大きいと、印字不良等の不具合が発生するおそれがある。
【0007】
また、特許文献2では、丸めて収納された折り畳み用紙の一方(下側)の用紙端部は、筒状案内部材と収納ケースとの間に挟み込まれるように収納されているため、一方(下側)の用紙端部から用紙を繰り出すときは、ミシン目が筒状案内部材等に干渉して搬送負荷が大きくなってしまう。
【0008】
この搬送負荷が大きいと、前記と同様に印字不良等のトラブルが発生しやすい。一方、これを解消するには、例えば内蔵する電池容量を大きくして用紙送り用のモータ電圧を高くすることが考えられるが、そうすると電池が大型化する。
【0009】
さらに、電池が大型化すると装置も大型化するため、持ち運びが簡便な携帯情報端末装置に課されている課題である装置の小型化を図ることができない。
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、装置の小型化を図りつつ用紙搬送負荷の低減と二重送りを防止して用紙搬送を安定的に行うことのできる携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、連続用紙を交互に折り畳んだ折り畳み用紙に各種情報を出力する携帯情報端末装置において、
前記折り畳み用紙を繰り出し保持する用紙保持部材を有するプリンタ部と、
前記プリンタ部に供給される前記折り畳み用紙を、その幅方向が前記用紙保持部材の長手方向と平行となるように湾曲させて収納し、収納状態での前記折り畳み用紙の幅方向と直交方向の折り返し端部同士を、用紙搬送方向の前後に所定距離離間してかつ装置本体の基準底面からの高さが前記用紙保持部材近傍の給紙口よりも高い位置となるように収納する用紙収納部と、を有する。
【0011】
また、本発明は、上記の携帯情報端末装置において、前記用紙収納部は、前記基準底面からの高さが低い方の前記折り返し端部に当接する第1の折り返し端当接部を有する。
また、本発明は、上記の携帯情報端末装置において、前記折り返し端部同士の用紙搬送方向の離間距離をXとし、前記折り畳み用紙の装着前の厚みをTとしたとき、
X≒T
である。
【0012】
また、本発明は、上記の携帯情報端末装置において、前記用紙収納部は、前記基準底面からの高さが高い方の前記折り返し端部に当接する第2の折り返し端当接部を有する。
また、本発明は、上記の携帯情報端末装置において、前記折り返し端部同士を前記高さ方向に所定距離離間して配置し、
このときの離間距離をHとし、前記折り畳み用紙の装着前の積層厚みをTとしたとき、
0≦H≦T
である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置の小型化を図りつつ用紙搬送負荷の低減と二重送りを防止して用紙搬送を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】携帯情報端末装置の外観を示す図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】折り畳み用紙を繰り出すときの用紙の移動軌跡の説明図である。
【図5】折り畳み用紙の折り返し端部同士を接近させて収納したときの従来例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、携帯情報端末装置の外観を示す図、図2は、その平面図、図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。
【0016】
この携帯情報端末装置10は、印字部としてのプリンタ部24を備えた装置本体12と、この装置本体12に一体固定された用紙収納部14とを備えている。装置本体12は、全体として平面視縦長矩形状に形成されている。用紙収納部14には、印字媒体としての連続用紙を交互に折り畳んだ折り畳み用紙16が収納されている。
【0017】
装置本体12には、表示手段としての液晶ディスプレー18、入力手段としてのキーボード20、各種制御を行うことが可能な制御部(図示せず)、電池収納部22に収納された電池(図示せず)、及びプリンタ部24が内蔵されている。電池収納部22には、電池の着脱時に開閉する開閉蓋26が設けられている。この電池が、装置を駆動する駆動源となっている。
【0018】
プリンタ部24には、折り畳み用紙16を繰り出し保持する用紙保持部材としてのプラテン28と、折り畳み用紙16に熱で印字する記録ヘッド30(サーマルヘッド)とを有している。本実施の形態では、プラテン28は、用紙収納部14の上部カバー(後述する)36に取付けられている。このように、上部カバー36にプラテン28を備えたことで、上部カバー36の閉操作によって用紙セットが完了する構成となっている。なお、このプリンタ部24の詳細な構成については、後述する。
【0019】
なお、説明の便宜上、縦長の携帯情報端末装置10の長手方向に沿って用紙収納部14側を前方と呼び、反対のキーボード20側を後方と呼ぶことがある。
用紙収納部14は、プリンタ部24の前方に隣接して装置本体12に一体的に取付けられている。折り畳み用紙16は、この用紙収納部14から繰り出されてプリンタ部24に供給されるようになっている。なお、この用紙収納部14を、装置本体12に一体的に取付けたことにより、プリンタ部24の周辺の容積は大きくなるが、その他の部分の外形寸法は変化しない。このため、装置本体12を片手で持つ場合の把握容易性は維持されている。
【0020】
次に、図3において、用紙収納部14は、内部に折り畳み用紙16が収容される用紙収納空間31が形成された中空構造体をなしている。この用紙収納部14は、プリンタ部24の下部から前方に延設されたロール紙受け部32と、このロール紙受け部32のさらに前方に延設された下部カバー34と、これらロール紙受け部32及び下部カバー34を上方から覆う上部カバー36とを有している。
【0021】
なお、このロール紙受け部32は、従来の装置本体12に本実施の形態の用紙収納部14を取付けたことから存置されているものである。
ロール紙受け部32と下部カバー34とは、ビス等の適宜の固定手段により一体的に固定されている。上部カバー36には、一端側(装置の前端側)に軸38が保持されていて、他端は自由端となっている。この上部カバー36は、軸38を中心として前後に回動可能となっている。
【0022】
上部カバー36の自由端側には、折り畳み用紙16を担持する円柱状のプラテン28が回転可能に取付けられている。このプラテン28は、ゴム等の弾性体からなっている。このプラテン28は、前述した軸38の軸心と略平行に配置されている。
【0023】
また、折り畳み用紙16は、幅方向と直交方向の折り返し端部(ミシン目部分)で交互に折り畳まれた複数の用紙が積層されて構成されている。この折り畳み用紙16は、例えば、折り返し端部で切り離し後の寸法規格がユーザーごとに定められていて、一例として幅(80mm)×長さ(200mm)の用紙が、折り返し端部を境として交互に折り畳まれている。
【0024】
なお、図1及び図2に示すように、装置本体12の平面視左右の両側面には、上部カバー36が不用意に開放するのを防止するためのロック釦48が設けられている。また、上部カバー36には、開閉操作用の操作片46が設けられている。
【0025】
また、上部カバー36を閉止した状態のカバー先端部(自由端側)と装置本体12との間には、若干の隙間を有する排紙口50が形成されている。この排紙口50から、折り畳み用紙16が繰り出されて排出される。
【0026】
なお、下部カバー34と上部カバー36との少なくとも一方は、透明な部材で構成されていることが好ましい。本実施の形態では、上部カバー36が、例えば透明なアクリル樹脂等で構成されている。
【0027】
これにより、折り畳み用紙16を湾曲させて用紙収納部14に収納した後の用紙送り状態を、外部から容易に視認することができる。また、折り畳み用紙16の残量等を視認することもできる。その他、用紙ジャム等のような用紙に関するトラブルを直ちに発見することができる。なお、折り畳み用紙16を湾曲させて収納することで、元に戻ろうとする用紙の反発力により用紙収納部14内での位置ずれは、ある程度規制されている。
【0028】
プリンタ部24は、前述したプラテン28と、上部カバー36の閉止状態でこのプラテン28に対向配置された記録ヘッド30と、印字後の用紙を切断するカッタ刃52と、を有している。
【0029】
記録ヘッド30は、不図示の弾性体による付勢力でプラテン28側に常時付勢されている。そして、この記録ヘッド30により、折り畳み用紙16に各種情報が印字される。なお、上部カバー36を閉じた状態では、プラテン28は記録ヘッド30に所定の弾性付勢力で当接された状態で係合保持されている。また、カバー開時には、プラテン28を弾性力に抗して離脱させることによって、用紙収納空間31を開放することができる。
【0030】
さらに、前述したように、記録ヘッド30としては、熱により折り畳み用紙16に印字可能なサーマルヘッドが用いられている。これにより、ノンインパクト方式で折り畳み用紙16に必要な情報が印字される。ただし、熱印字方式に限らず、例えばワイヤドット等のインパクト方式による印字手段を用いてもよい。
【0031】
用紙収納部14に収納された折り畳み用紙16は、プラテン28と記録ヘッド30との間に挟持されて外方に引き出される(繰り出される)。この折り畳み用紙16には、プラテン28と記録ヘッド30とのニップ位置で記録ヘッド30により各種情報が印字される。排紙口50には、折り畳み用紙16を折り返し端部(ミシン目部分)でカットするためのカッタ刃52が設けられている。また、プリンタ部24には、記録ヘッド30を挟むようにプラテン28と対向する側に、プラテン28を回転させるモータ54が配置されている。
【0032】
用紙収納部14には、折り畳み用紙16が上部カバー36の内壁に沿って側面視略J字状に湾曲された状態で収納される。この折り畳み用紙16は、収納状態において、幅方向(図3の表裏面方向)と直交方向(図3の矢印L−L方向)の一方の折り返し端部16aと他方の折り返し端部16bとを有している。
【0033】
なお、折り返し端部16a、16bの先端が側面から見て鋭角になっているのは、折り畳み用紙16を丸めた場合にも、用紙幅方向と直交方向の長さは変わらないからである。
本実施の形態では、一方の折り返し端部16a及び他方の折り返し端部16bを、用紙搬送方向の前後に所定距離(X)離間して、かつ装置本体12の裏面側である基準底面(A面)からの高さがプラテン28の近傍の給紙口44よりも高い位置となるように収納している。
【0034】
すなわち、一方の折り返し端部16aを用紙搬送方向の前方に、また、他方の折り返し端部16bを用紙搬送方向の後方に収納している(図3の矢印方向(前方、後方)参照)。
【0035】
これは、若しも、折り返し端部16a、16bの先端同士が用紙搬送方向に近接していると、用紙繰り出し時に用紙同士が干渉して用紙搬送負荷が大きくなり、また、例えば折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aが給紙口44に近接していると、用紙繰り出し時に用紙の二重送りが生じるおそれがあるためである。
【0036】
このために、本実施の形態では、用紙収納部14は、装置本体12の基準底面(A面)からの高さが低い方の折り返し端部16aに当接する第1の折り返し端当接部としての下端当接部40と、基準底面(A面)からの高さが高い方の折り返し端部16bに当接する第2の折り返し端当接部としての上端当接部42と、を有している。
【0037】
なお、本実施の形態では、下端当接部40と上端当接部42との両方を備えた場合について説明するが、これに限らず、少なくとも下端当接部40を備えていればよい。
下端当接部40は、下部カバー34に一体的に取付けられている。すなわち、下部カバー34は、一端(装置の前方側)が軸38に係合する係合片34aと、他端がロール紙受け部32との境界で起立する起立片34bと、を有している。
【0038】
そして、下端当接部40、この起立片34bの上端部から直交方向に後方に延びる水平片40aと、この水平片40aの先端部からロール紙収納空間内を斜め上方に延びる傾斜片40bと、を有している。傾斜片40bは、上方に行くに従い後方(プリンタ部24側)に傾斜している。この傾斜片40bには、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aが当接するようになっている。
【0039】
さらに、下端当接部40の上部には、リブ部56が設けられている。このリブ部56は、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aを上方から覆うように配置されている。このリブ部56は、プラテン28の長手方向と平行に所定間隔で複数配置されている。
【0040】
次に、上端当接部42は、上部カバー36の自由端側の内側に形成されている。この上端当接部42は、プラテン28の長手方向と平行に所定間隔で複数配置されている。この上端当接部42には、折り畳み用紙16の他方の折り返し端部16bが当接する当接面42aを有している。この当接面42aは、用紙収納空間31内に突出するように形成されている。
【0041】
また、上端当接部42の下部には、これと一体的に用紙ガイド43が連接されている。この用紙ガイド43は、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16a及び他方の折り返し端部16bから繰り出された用紙を、プリンタ部24の給紙口44にスムーズに導くための役目をなしている。
【0042】
本実施の形態では、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aと他方の折り返し端部16bとは、夫々の先端の用紙搬送方向の離間距離をXとし、折り畳み用紙16の用紙収納部14への装着前の厚み(積層厚み)をT(例えば10mm)としたとき、
X≒T
となるように設定されている。
【0043】
このように、離間距離Xを適度に規制することで装置の小型化を図ることができる。
また、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aと他方の折り返し端部16bとは、夫々の先端の高さ方向の離間距離をHとし、折り畳み用紙16の用紙収納部14への装着前の厚み(積層厚み)をT(例えば10mm)としたとき、
0≦H≦T
に設定されている。
【0044】
このように、用紙搬送方向の離間距離Xや高さ方向の離間距離Hを規制することで、装置の小型化を図ることができる。
本実施の形態では、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aの先端は、他方の折り返し端部16bの先端よりも低い位置関係にある。若しも、一方の折り返し端部16aの先端が他方の折り返し端部16bの先端よりも高くなると、用紙繰り出し時に用紙同士が干渉して繰り出し負荷が大きくなるおそれがあるためである。
【0045】
また、本実施の形態では、装置本体12の基準底面(A面)から給紙口44までの高さ方向の離間距離がH0、給紙口44から一方の折り返し端部16aの先端までの高さ方向の離間距離がH1、給紙口44から他方の折り返し端部16bの先端までの高さ方向の離間距離がH2となっている。
【0046】
こうして、本実施の形態では、下端当接部40の傾斜片40bの先端からプリンタ部24の給紙口44までの距離(直線距離)は所定長R(破線)に設定されている。この所定長Rは、傾斜片40bの先端から給紙口44までの用紙搬送方向の距離をX1とし、傾斜片40bの先端から給紙口44までの高さ方向の距離をH1とすると、R=√(X1+H1)となっている。
【0047】
この所定長Rの値は、明らかに用紙搬送方向の距離X1よりも大きい。こうして、傾斜片40bの先端から給紙口44までの距離を長くとることができる。なお、本実施の形態では、傾斜片40bの先端から給紙口44までの距離(直線距離)は、上端当接部42の先端から給紙口44までの距離(直線距離)と略等しくなっている。ただし、必ずしも略等しくする必要はない。
【0048】
本実施の形態によれば、前述した所定長Rを長く設定することにより、また、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aを給紙口44よりも高い位置となるように収納することで用紙の二重送りを防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、収納状態での折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aと他方の折り返し端部16b同士を、用紙搬送方向の前後に所定距離(X)離間してかつ装置本体12の基準底面(A面)からの高さが給紙口44よりも高い位置となるように収納したので、用紙搬送負荷の低減と二重送りの防止を図ることができる。
【0050】
図4は、収納した折り畳み用紙16を繰り出すときの用紙の移動軌跡の説明図である。
図4に示すように、折り返し端部16a、16b同士を用紙搬送方向の前後に離間(X)したので、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aから用紙S1を繰り出すときは(破線S1参照)、折り畳み用紙16の他方の折り返し端部16b側の用紙S2と接触することはない。
【0051】
同様に、折り畳み用紙16の他方の折り返し端部16bから用紙S2を繰り出すときは(破線S2参照)、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16a側の用紙S1と接触することはない。これにより、用紙搬送負荷の低減を図ることができる。
【0052】
さらに、本実施の形態では、折り畳み用紙16の折り返し端部16a、16b同士を、装置本体12の基準底面(A面)からの高さがプラテン28の近傍の給紙口44よりも高い位置となるように収納したので、例えば折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aから用紙S1を繰り出すときは、用紙S1の折り返し端部(ミシン目部分)を用紙搬送方向(図の左右方向)と直交する方向(図の上方)に若干持ち上げながら給紙口44に向けて繰り出すことになる。
【0053】
このため、用紙搬送負荷も略一定であり、また、2枚目の用紙が一緒に送り出されるという二重送りを防止することができる。
すなわち、用紙S1の折り返し端部(ミシン目部分)は、下端当接部40の上部から延出されたリブ部56の内側面を摺動しながら一旦は反プラテン28側に後退し、次いで、リブ部56を乗り越えるように用紙搬送方向に搬送されるので、二重送りが防止される。
【0054】
同様に、折り畳み用紙16の他方の折り返し端部16bから用紙S2を繰り出すときは、用紙S2の折り返し端部(ミシン目部分)を一旦は反プラテン28側に後退させるようにしてから、給紙口44に向けて繰り出す。よって、この場合も二重送りが防止される。
【0055】
参考までに、二重送りに関する本実施の形態の効果についての実験結果を説明する。
本実施の形態では、図3に示したように、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aと他方の折り返し端部16bとを用紙搬送方向にXだけ離間し、かつ折り返し端部16a、16bを給紙口44よりも上方に位置させている。
【0056】
これに対し、図5は、折り畳み用紙16の折り返し端部16a、16bを用紙搬送方向に接近させて収納したとき(従来例)の用紙収納部14の断面図である。なお、図5において、本実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
<二重送り発生枚数の実験結果>
図3の場合(本実施の形態) 0枚/200枚
すなわち、200枚の用紙束で二重送りは1枚もなかった。
図5の場合(従来例) 10枚/200枚
すなわち、200枚の用紙束で二重送りは10枚発生した。
以上から、本実施の形態によれば、折り畳み用紙16の二重送りを確実に防止できることが確認できた。
【0058】
こうして、本実施の形態によれば、収納状態での折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aと他方の折り返し端部16b同士を、用紙搬送方向の前後に所定距離(X)離間してかつ装置本体12の基準底面(A面)からの高さが給紙口44よりも高い位置となるように収納したので、折り畳み用紙16の用紙搬送負荷の低減と二重送りの防止を図ることができる。
【0059】
このとき、折り返し端部16a、16b同士の用紙搬送方向の離間距離Xを、折り畳み用紙16の装着前の厚みT(例えば10mm)と等しい値としたので、大きなスペースもとらず、装置の小型化を図ることができる。
【0060】
次に、本実施の形態の作用について簡単に説明する。
まず、用紙収納部14に折り畳み用紙16をセットするには、例えば装置本体12を左手に持ち、右手でロック釦48(図1参照)をアンロック側にスライド操作する。次に、右手の親指を上部カバー36の操作片46に引っ掛けて上部カバー36を、前方の軸38を中心として上方に開放する。
【0061】
次に、用紙収納部14の用紙収納空間31に折り畳み用紙16をセットする。
この場合、用紙収納部14内に折り畳み用紙16を一端側から挿入する。このとき、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aが下端当接部40の傾斜片40bに当接したことを確認したら、次に他方の折り返し端部16bが上端当接部42に当接したことを確認する。次いで、折り畳み用紙16を排紙口50の付近まで引き出して上部カバー36を閉じる。
【0062】
これにより、折り畳み用紙16の繰り出し側はプラテン28と記録ヘッド30との間に挟持された状態となり、用紙セットが完了する。
次に、携帯情報端末装置10の具体的な使用方法について簡単に説明する。
【0063】
折り畳み用紙16には、例えば水道使用量の場合、検針員が顧客番号、検針日、今回指針、前回指針、使用水量、請求金額等の情報をキーボード20から入力する。そして、その入力情報を折り畳み用紙16に印字する。なお、顧客に応じて口座振替済領収書にも必要事項が印字されるようになっている。
【0064】
また、これらの入力情報は、例えば内蔵された記憶装置に記憶されるとともに、必要に応じて無線通信によりホストコンピュータに送信することもできる。
なお、折り畳み用紙16には個人情報が記載されているため、個人情報を保護する観点から通常は用紙表面に目隠し用紙が貼付されている。そして、この目隠し用紙の上から記録ヘッド30により折り畳み用紙16に必要情報が印字される。
【0065】
印字動作を行うと、プリンタ部24のモータ54によりギヤ(図示せず)を介してプラテン28が回転駆動される。このプラテン28の回転により、折り畳み用紙16が所定量ずつ改行されて繰り出される。
【0066】
このとき、用紙収納部14には、折り畳み用紙16の一方の折り返し端部16aが当接する下端当接部40が形成されているので、用紙の搬送負荷を軽減しつつ、繰り出される折り畳み用紙16の二重送りを防止することができる。
【0067】
なお、折り畳み用紙16の裏面には、1枚ごとに位置決め用のマークが付されている。このマークは、不図示のマーク検出センサにより検出され、その検出信号が信号線(図示せず)を通って内蔵した制御部(図示せず)に送られる。この検出信号に基づき、プリンタ部24による印字動作が制御される。
【0068】
印字が終了した折り畳み用紙16は、カッタ刃52により折り返し端部(ミシン目)で切断されて顧客に郵送されるか、又は直接顧客に手渡される。
なお、本発明を、例えばHHT(Hand Held Terminal)のみでなく、広く携帯情報端末装置(Personal Digital Assistants)に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 携帯情報端末装置
12 装置本体
14 用紙収納部
16 折り畳み用紙
16a 一方の折り返し端部
16b 他方の折り返し端部
18 液晶ディスプレー
20 キーボード
22 電池収納部
24 プリンタ部
26 開閉蓋
28 プラテン
30 記録ヘッド
31 用紙収納空間
32 ロール紙受け部
34 下部カバー
34a 係合片
34b 起立片
36 上部カバー
38 軸
40 下端当接部
40a 水平片
40b 傾斜片
42 上端当接部
43 用紙ガイド
44 給紙口
46 操作片
48 ロック釦
50 排紙口
52 カッタ刃
54 モータ
56 リブ部
A面 基準底面
X 折り返し端部同士の用紙搬送方向の離間距離
X1 傾斜片の先端から給紙口までの用紙搬送方向の距離
H 高さ方向の離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続用紙を交互に折り畳んだ折り畳み用紙に各種情報を出力する携帯情報端末装置において、
前記折り畳み用紙を繰り出し保持する用紙保持部材を有するプリンタ部と、
前記プリンタ部に供給される前記折り畳み用紙を、その幅方向が前記用紙保持部材の長手方向と平行となるように湾曲させて収納し、収納状態での前記折り畳み用紙の幅方向と直交方向の折り返し端部同士を、用紙搬送方向の前後に所定距離離間してかつ装置本体の基準底面からの高さが前記用紙保持部材近傍の給紙口よりも高い位置となるように収納する用紙収納部と、を有する
ことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記用紙収納部は、前記基準底面からの高さが低い方の前記折り返し端部に当接する第1の折り返し端当接部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記折り返し端部同士の用紙搬送方向の離間距離をXとし、前記折り畳み用紙の装着前の厚みをTとしたとき、
X≒T
であることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
前記用紙収納部は、前記基準底面からの高さが高い方の前記折り返し端部に当接する第2の折り返し端当接部を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
前記折り返し端部同士を前記高さ方向に所定距離離間して配置し、
このときの離間距離をHとし、前記折り畳み用紙の装着前の厚みをTとしたとき、
0≦H≦T
であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−32025(P2011−32025A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178946(P2009−178946)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】